(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220112BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20220112BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220112BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220112BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G09F9/00 302
G02F1/1345
G09F9/00 313
G09F9/00 346Z
G09F9/00 348A
H01L21/60 311S
H01L21/92 602M
H01L27/32
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2017111062
(22)【出願日】2017-06-05
【審査請求日】2020-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2016-0069466
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 辰 奎
(72)【発明者】
【氏名】朴 美 愛
(72)【発明者】
【氏名】姜 盛 球
(72)【発明者】
【氏名】李 相 月
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0155788(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104589744(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104479611(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0043153(US,A1)
【文献】中国実用新案第204884440(CN,U)
【文献】特開2016-031499(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0042406(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0212548(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域および非表示領域を含む基板と、
前記非表示領域に対応して前記基板の一面に位置する第1保護フィルムと、
前記表示領域に対応して前記基板の一面に位置する第2保護フィルムとを含み、
前記第1保護フィルムの透過率は前記第2保護フィルムの透過率より高く、
前記基板は柔軟性を有し、
前記基板は、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムが互いに離隔した空間に対応するベンディング領域をさらに含み、
前記基板の他の一面に位置する中立面調節部材と、
前記第1保護フィルムと前記基板の間および前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する接着層と、
前記接着層の内部に介在されている支持部材とをさらに含み、
前記支持部材は前記中立面調節部材に対応するように位置することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムは互いに異なる物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記接着層は、
前記第1保護フィルムと前記基板の間に位置する第1接着層と、
前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する第2接着層とを含み、
前記第1接着層と前記第2接着層は互いに異なる粘着力を有することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記接着層は、
前記第1保護フィルムと前記基板の間に位置する第1接着層と、
前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する第2接着層とを含み、
前記第1接着層と前記第2接着層は互いに異なる貯蔵弾性率を有することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記接着層は第1接着層、第2接着層、および前記第1接着層と前記第2接着層の間に位置するクッション層を含むことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記クッション層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、およびポリエチレンスルフィド(PES)のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記非表示領域で前記基板の他の一面に位置する駆動集積回路チップをさらに含み、前記駆動集積回路チップは前記基板に実装されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1保護フィルムの色は前記第2保護フィルムの色と異なることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記中立面調節部材は、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムの間の離隔した空間と重畳することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1保護フィルムの透過率は80%以上であり、前記第2保護フィルムの透過率は60%以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1保護フィルムの引張弾性率は3GPa以上15GPa以下であり、前記第2保護フィルムの引張弾性率は2GPa以上10GPa以下であり、
前記第1保護フィルムの引張弾性率が前記第2保護フィルムの引張弾性率より大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1保護フィルムのガラス転移温度(Tg)は摂氏100度以下であり、前記第2保護フィルムのガラス転移温度(Tg)は摂氏150度以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第2保護フィルムは、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンスルフィド(PES)、ポリアミド(PA)、およびアラミドのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記基板は、前記表示領域を横切るフォールディング部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項16】
第1領域、第2領域、および前記第1領域と前記第2領域の間に位置するベンディング領域を含む基板と、
前記第1領域に対応して前記基板の一面に位置する第1保護フィルムと、
前記第2領域に対応して前記基板の一面に位置する第2保護フィルムとを含み、
前記ベンディング領域で前記基板は曲がっており、前記ベンディング領域を基準に前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムは離隔し、
前記第1領域には駆動集積回路チップが位置し、前記第2領域にはフォールディング部が位置し、
前記第1保護フィルムの引張弾性率は前記第2保護フィルムの引張弾性率より大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項17】
前記第1領域と前記第2領域は前記ベンディング領域で折れ曲がることにより互いに重畳することを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記駆動集積回路チップは、異方性導電フィルムによって前記基板に実装されていることを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第1保護フィルムの透過率は前記第2保護フィルムの透過率より高いことを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項20】
前記第1保護フィルムと前記基板の間に位置する第1接着層と、
前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する第2接着層とをさらに含み、
前記第1接着層と前記第2接着層は互いに異なる粘着力を有することを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項21】
前記第1保護フィルムと前記基板の間に位置する第1接着層と、
前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する第2接着層とをさらに含み、
前記第1接着層と前記第2接着層は互いに異なる貯蔵弾性率を有することを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項22】
前記第1保護フィルムと前記基板の間および前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する接着層をさらに含み、
前記接着層は、第1接着層、第2接着層、および前記第1接着層と前記第2接着層の間に位置するクッション層を含むことを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項23】
前記クッション層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、およびポリエチレンスルフィド(PES)のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項22に記載の表示装置。
【請求項24】
前記基板の他の一面に位置する中立面調節部材をさらに含み、
前記中立面調節部材は、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムの間の離隔した空間と重畳することを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項25】
前記基板の他の一面に位置する中立面調節部材と、
前記第1保護フィルムと前記基板の間および前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する接着層と、
前記接着層の内部に介在されている支持部材とをさらに含み、
前記支持部材は前記中立面調節部材に対応するように位置することを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項26】
表示領域および非表示領域を含む基板と、
前記表示領域に対応して前記基板の一面に位置する第
2保護フィルムと、
前記非表示領域に対応して前記基板の一面に位置する第
1保護フィルムと、
前記第1保護フィルムと前記基板の間に位置する第1接着層と、
前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する第2接着層とを含み、
前記第1接着層と前記第2接着層は互いに異なる貯蔵弾性率を有
し、
前記第1接着層の貯蔵弾性率は前記第2接着層の貯蔵弾性率より大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項27】
前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムは互いに離隔して位置し、
前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムは互いに異なる物質を含むことを特徴とする請求項
26に記載の表示装置。
【請求項28】
前記第1保護フィルムの透過率は前記第2保護フィルムの透過率より高いことを特徴とする請求項26に記載の表示装置。
【請求項29】
前記第1接着層の粘着力は前記第2接着層の粘着力より大きいことを特徴とする請求項26に記載の表示装置。
【請求項30】
前記非表示領域で前記基板の他の一面に位置する駆動集積回路チップをさらに含み、前記駆動集積回路チップは前記基板に実装されていることを特徴とする請求項26に記載の表示装置。
【請求項31】
前記基板の他の一面に位置する中立面調節部材をさらに含み、
前記中立面調節部材は前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムの間の離隔した空間と重畳することを特徴とする請求項26に記載の表示装置。
【請求項32】
前記基板は前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムが互いに離隔した空間に対応するベンディング領域をさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の表示装置。
【請求項33】
前記基板は前記表示領域を横切るフォールディング部をさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置および有機発光表示装置のような表示装置は、基板上に様々な層と素子を形成して製造される。表示装置の基板としてガラス(glass)が用いられている。しかし、ガラス基板は重く破損しやすいという短所がある。また、ガラス基板は固い性質を有するので、表示装置を変形させるのが難しい。最近は軽く衝撃に強く変形が容易な、柔軟な性質を有する基板を用いる表示装置が開発されている。
【0003】
柔軟な性質を有する基板を用いる表示装置は、パッド部を有する表示パネルの周縁などをベンディング(bending)するように設計され、これによりガラス基板のように固い性質を有する基板を用いる表示装置よりデッドスペース(dead space)を減らすことができる。デッドスペースを減らせば、表示装置のベゼル(bezel)幅を減らすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、基板上に駆動集積回路チップを実装する時、高圧ボンディング(bonding)による表示パネルの変形および配線クラックのような不良発生を抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態による表示装置は、表示領域および非表示領域を含む基板と、前記非表示領域に対応して前記基板の一面に位置する第1保護フィルムと、前記表示領域に対応して前記基板の一面に位置する第2保護フィルムとを含み、前記第1保護フィルムの透過率は前記第2保護フィルムの透過率より高く、前記基板は柔軟性を有し、前記基板は、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムが互いに離隔した空間に対応するベンディング領域をさらに含み、前記基板の他の一面に位置する中立面調節部材と、前記第1保護フィルムと前記基板の間および前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する接着層と、前記接着層の内部に介在されている支持部材とをさらに含み、前記支持部材は前記中立面調節部材に対応するように位置することを特徴とする。
【0006】
前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムは互いに離隔して位置し、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムは互いに異なる物質を含むことができる。
前記表示装置は、前記第1保護フィルムと前記基板の間に位置する第1接着層と、前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する第2接着層とをさらに含み、前記第1接着層と前記第2接着層は互いに異なる粘着力を有する。
前記第1接着層と前記第2接着層は互いに異なる貯蔵弾性率を有する。
【0007】
前記表示装置は、前記第1保護フィルムと前記基板の間および前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する接着層をさらに含み、前記接着層は第1接着層、第2接着層、および前記第1接着層と前記第2接着層の間に位置するクッション層を含むことができる。
前記クッション層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、およびポリエチレンスルフィド(PES)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
前記第1保護フィルムの色は前記第2保護フィルムの色と異なる。
【0008】
前記表示装置は、前記非表示領域で前記基板の他の一面に位置する駆動集積回路チップをさらに含み、前記駆動集積回路チップは前記基板に実装されている。
前記表示装置は、前記基板の他の一面に位置する中立面調節部材をさらに含み、前記中立面調節部材は前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムの間の離隔した空間と重畳する。
前記第1保護フィルムの透過率は80%以上であり、前記第2保護フィルムの透過率は60%以下である。
【0009】
前記第1保護フィルムの引張弾性率は3GPa以上15GPa以下であり、前記第2保護フィルムの引張弾性率は2GPa以上10GPa以下であり、前記第1保護フィルムの引張弾性率が前記第2保護フィルムの引張弾性率より大きい。
前記第1保護フィルムのガラス転移温度(Tg)は摂氏100度以下であり、前記第2保護フィルムのガラス転移温度(Tg)は摂氏150度以上である。
前記第1保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0010】
前記第2保護フィルムは、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンスルフィド(PES)、ポリアミド(PA)、およびアラミドのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0011】
前記基板は、前記表示領域を横切るフォールディング部をさらに含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態による表示装置は、第1領域、第2領域、および前記第1領域と前記第2領域の間に位置するベンディング領域を含む基板と、前記第1領域に対応して前記基板の一面に位置する第1保護フィルムと、前記第2領域に対応して前記基板の一面に位置する第2保護フィルムとを含み、前記ベンディング領域で前記基板は曲がっており、前記ベンディング領域を基準に前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムは離隔し、前記第1領域には駆動集積回路チップが位置し、前記第2領域にはフォールディング部が位置し、前記第1保護フィルムの引張弾性率は前記第2保護フィルムの引張弾性率より大きいことを特徴とする。
前記第1領域と前記第2領域は互いに重畳する。
【0013】
本発明の一実施形態による表示装置は、表示領域および非表示領域を含む基板と、前記表示領域に対応して前記基板の一面に位置する第2保護フィルムと、前記非表示領域に対応して前記基板の一面に位置する第1保護フィルムと、前記第1保護フィルムと前記基板の間に位置する第1接着層と、前記第2保護フィルムと前記基板の間に位置する第2接着層とを含み、前記第1接着層と前記第2接着層は互いに異なる貯蔵弾性率を有し、前記第1接着層の貯蔵弾性率は前記第2接着層の貯蔵弾性率より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
実施形態によれば、駆動集積回路チップが位置する領域の保護フィルムと表示領域が位置する領域の保護フィルムを互いに異なる材料から形成することによって、環境信頼性と駆動集積回路チップの圧着による不良などを考慮して各領域で要求される保護フィルムの性質を満たすことができる。これにより、フォールダブルディスプレイ(foldable display)およびチップオンプラスチック(chip on plastic)構造など多様なアプリケーションを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による表示装置の概略的な配置図である。
【
図2】
図1の駆動集積回路チップを示す断面図である。
【
図3】
図1の切断線III-IIIによる断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による表示装置がベンディングされる前の構造を概略的に示す図である。
【
図7】
図6の表示装置がベンディングされた後の構造を概略的に示す図である。
【
図8】
図7の表示装置で固定部材が追加された表示装置を示す図である。
【
図9】
図4の変形例として多層の接着層構造を示す断面図である。
【
図10】
図4の変形例として保護フィルムの端部形状が変形された断面図である。
【
図11】
図9の変形例として接着層の内部に介在された支持層を示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態による表示装置であってベンディング領域に対応する保護フィルムの形状を示す断面図である。
【
図13】
図12の変形例としてベンディング領域に対応する保護フィルムが凹凸構造を有することを示す断面図である。
【
図14】
図1の一実施形態として表示領域と非表示領域を比較して示す断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態による光遮蔽領域を含む表示装置を示す概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は様々な形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付与する。
【0017】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面では様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」にまたは「上に」あるというとき、これは他の部分の「直上に」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるというときは、その中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」または「上に」あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「の上に」または「上に」位置することを意味するのではない。
【0018】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
また、明細書全体で、「平面上」というとき、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」というとき、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による表示装置の概略的な配置図である。
図2は、
図1の駆動集積回路チップを示す断面図である。
図3は、
図1の切断線III-IIIによる断面図である。
【0020】
図1乃至
図3に示すように、表示装置10は、表示パネル100、表示パネル100に実装された駆動集積回路チップ700、表示パネル100に結合された印刷回路基板178を含む。表示装置10は有機発光表示装置、液晶表示装置、または電気泳動表示装置であり得、以下では表示装置10が有機発光表示装置である場合を例に挙げて説明する。
表示パネル100は、基板110、基板110の上に形成された表示部130と、表示部130を密封する封止層240を含む。基板110は柔軟性を有する基板であり得、この場合、表示パネル100は曲げるか折り畳むか丸く巻くことができる。
【0021】
基板110は、ポリイミド(polyimide)、ポリアミド(polyamide)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)のうちの少なくとも一つを含むことができる。しかし、このような材料に制限されず、柔軟な性質を有する高分子物質を用いて基板110を形成することができる。
基板110は、表示部130が形成された表示領域DAと、表示領域DAの外側の非表示領域NDAとを含む。非表示領域NDAは、表示領域DAの周縁に沿って表示領域DAを囲む部分である。
【0022】
図1および
図3に示すように、基板110は、駆動集積回路チップ700が形成された第1領域A1、表示領域DAを含む第2領域A2、および第1領域A1と第2領域A2の間に位置するベンディング領域BAを含むものとして説明することもできる。ベンディング領域BAは表示パネル100の周縁を曲げることができる軸が位置する部分であって、後述の第1配線部179が配置されているベンディング部Bが形成された部分である。ベンディング部Bに隣接した第2領域A2部分には、ベンディング部Bから延長された第1配線部179が表示部130から延長された信号線と電気的に接触するための接触構造が形成されている。
【0023】
表示部130は複数の画素PXを含み、複数の画素PXから放出される光の組み合わせでイメージを表示する。表示部130には、複数のゲート線131と複数のデータ線132および複数の駆動電圧線133を含む複数の信号線が形成される。各画素PXは複数の信号線に接続される画素回路と、画素回路によって発光が制御される有機発光素子を含む。
【0024】
有機発光素子は水分および酸素に非常にぜい弱なので、封止層240が表示部130を密封させて外部の水分および酸素の流入を遮断する。封止層240はシーラントによって基板110に接合される密封基板から構成されるか、無機膜と無機膜の複合膜、有機膜と有機膜の複合膜または無機膜と有機膜の複合膜のように複数の膜を積層した薄膜封止(thin film encapsulation)から構成される。ここで、有機膜を形成する物質としてヘキサメチルジシロキサン(Hexamethyl disiloxane)を使用することができる。
【0025】
駆動集積回路チップ700は、基板110の非表示領域NDAに実装される。駆動集積回路チップ700は、データ電圧を表示部130に印加するソース駆動集積回路であるか、表示部130にゲート電圧を印加するゲート駆動集積回路であるか、ソースドライバーとゲートドライバーが共に集積された統合駆動集積回路チップである。
図1には一つの駆動集積回路チップ700が示されているが、駆動集積回路チップ700の個数は図示された例に限定されない。
【0026】
図2に示すように、駆動集積回路チップ700は、印刷回路基板178から信号を受信するための入力バンプ部171および表示部130に信号を伝送するための出力バンプ部172を含む。入力バンプ部171は、印刷回路基板178に向かった駆動集積回路チップ700の一側で互いに距離を置いて並んで配列された複数の入力バンプを含む。出力バンプ部172は、表示部130に向かった駆動集積回路チップ700の一側で互いに距離を置いて並んで配列された複数の出力バンプを含む。
【0027】
基板110の非表示領域NDAには、ゲート絶縁層140の上に第1入力パッド層148、第1入力パッド層148の上に層間絶縁層155、層間絶縁層に形成された接触孔を通じて第1入力パッド層148と接触する第2入力パッド層150が配置される。
基板110の非表示領域NDAには第1入力パッド層148と第2入力パッド層150が形成されて、印刷回路基板178の出力パッド部181と駆動集積回路チップ700の入力バンプ部171を電気的に接続する。また、基板110の非表示領域NDAには第1出力パッド層158と第2出力パッド層160が形成されて、駆動集積回路チップ700の出力バンプ部172と表示部130を電気的に接続する。
【0028】
ゲート絶縁層140は、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの無機絶縁物質を積層して形成することができる。ゲート絶縁層140はベンディング領域BAには配置されなくてもよい。層間絶縁層155は無機物質を含むことができる。層間絶縁層155はベンディング領域BAには配置されなくてもよい。
【0029】
駆動集積回路チップ700は、チップオンプラスチック(chip on plastic)方式で基板110の上に実装することができる。例えば、駆動集積回路チップ700は、第2入力パッド層150と第2出力パッド層160の上に異方性導電フィルム(anisotropic conductive film、ACF)190を配置し、異方性導電フィルム190の上に駆動集積回路チップ700を配置し、加圧装置(図示せず)を用いて駆動集積回路チップ700を高温で圧着する過程を通じて基板110の上に実装することができる。
【0030】
異方性導電フィルム190は、接着樹脂191と、接着樹脂191内に分散した複数の導電粒子192から構成される。異方性導電フィルム190を挟んで基板110に向かって駆動集積回路チップ700を圧着すると、入力バンプ部171と第2入力パッド層150の間に挟まれた導電粒子192によって入力バンプ部171と第2入力パッド層150が通電される。また、出力バンプ部172と第2出力パッド層160の間に挟まれた導電粒子192によって出力バンプ部172と第2出力パッド層160が通電される。
【0031】
印刷回路基板178はフレキシブルプリント回路(flexible printed circuit、FPC)であってもよく、この場合、フレキシブルプリント回路を基板110の裏面に向かって折り畳むことにより表示部130の外側のデッドスペースを最小化することができる。
印刷回路基板178は駆動集積回路チップ700の制御のための信号と電源などを出力し、駆動集積回路チップ700は表示部130の駆動のための信号を出力する。この時、印刷回路基板178が出力した電源は、駆動集積回路チップ700を経ずにバイパス配線115を通じて表示部130に直接伝達される。
【0032】
基板110のベンディング領域BAには非表示領域NDAの第1出力パッド層158と接続される第1配線部179が形成されている。ベンディング領域BAを横切ってのびている第1配線部179は第2領域A2に形成されている第2配線部129と接続される。
【0033】
第2入力パッド層150と第2出力パッド層160それぞれは金属物質から形成することができ、このような金属物質は表示部130に形成された複数の電極のうちのいずれか一つの電極と同一な物質であり、複数の電極と同時に形成することができる。例えば、第2入力パッド層150と第2出力パッド層160それぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)などの金属または金属合金を含むことができる。好ましくは、モジュラスが相対的に小さいアルミニウム、アルミニウム合金のようなアルミニウム系金属から形成することができる。この場合、ベンディング領域BAに位置する第1配線部179は変形(strain)に対する応力が小さいので、表示装置10のベンディング時、第1配線部179が断線されるか劣化される危険を減らすことができる。
【0034】
ベンディング領域BAで、基板110と第1配線部179の間には第1保護層165を配置することができる。第1保護層165は有機物質を含むことができる。
ベンディング領域BAで、第1配線部179は第1保護層165と第2保護層180の間に配置することができ、第1保護層165および第2保護層180によってベンディング時損傷するのが防止される。第1領域A1の大部分には第1、第2保護層165、180が配置されなくてもよい。
応力を緩和し第1配線部179を保護するための中立面調節部材1000をベンディング領域BAに配置することができる。中立面調節部材1000は、ベンディング領域BAの第1配線部179を覆うようにアクリル樹脂を硬化して形成することができる。
【0035】
基板110の下には保護フィルム300が位置する。保護フィルム300はPSA(pressure sensitive adhesive)、OCA(optically clear adhesive)のような接着層30によって基板110に付着されている。保護フィルム300は高分子フィルムであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンスルフィド(PES)、ポリアミド(PA)、およびアラミド(aramide)のうちの少なくとも一つを含むことができる。小さい曲率半径を形成するために、保護フィルム300は
図3に示されているようにベンディング領域BAと重畳する部分で離隔した空間を有し得る。
【0036】
図3でベンディング領域BAの一例として、保護フィルム300の離隔した空間がベンディング領域BAであると示しているが、ベンディング領域BAは平らな状態を基準に実際に曲がる領域を含むことができる。言い換えると、ベンディング領域BAは曲率を有する部分であり、
図3に示した第1領域A1とベンディング領域BAの間の境界面と、ベンディング領域BAと第2領域A2の間の境界面は、それぞれ独立して左右に移動可能である。例えば、第1領域A1とベンディング領域BAの間の境界面は保護フィルム300の離隔した空間を基準に左側の保護フィルム300と重畳するか、保護フィルム300の離隔した空間と重畳し、ベンディング領域BAと第2領域A2の間の境界面は保護フィルム300の離隔した空間を基準に右側の保護フィルム300と重畳するか、保護フィルム300の離隔した空間と重畳する。
【0037】
本実施形態で、基板110は表示領域DAを横切るフォールディング部900をさらに含む。フォールディング部900は表示パネル100が曲がるか折り畳まれるためのフォールディング軸を含むことができる。
本発明の一実施形態による表示装置で、保護フィルム300は領域別に互いに異なる物質から形成することができる。
【0038】
以下、
図4を参照して、本発明の一実施形態による保護フィルムについて詳しく説明する。
図4は
図3の一部構成を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態による保護フィルム300は互いに離隔して位置する第1保護フィルム300aと第2保護フィルム300bを含む。基板110の下方の面に第1保護フィルム300aと第2保護フィルム300bが位置し、これらは接着層30によって基板110に付着される。
【0039】
第1保護フィルム300aは第1領域A1に対応して位置し、第2保護フィルム300bは第2領域A2に対応して位置する。
図1を参照して前述した通り、第1領域A1は駆動集積回路チップ700が形成された領域であり、第2領域A2は表示領域DAを含む領域であり、これら領域の間にベンディング領域BAが位置する。
第1、2保護フィルム300a、300bはベンディング領域BAを基準に互いに離隔して配置することができる。
【0040】
第1保護フィルム300aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)のうちの少なくとも一つを含み、第2保護フィルム300bはポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンスルフィド(PES)、ポリアミド(PA)、およびアラミドのうちの少なくとも一つを含む。例えば、第1保護フィルム300aはポリエチレンテレフタレート(PET)であり、第2保護フィルム300bはポリイミド(PI)を含むことができる。
【0041】
本実施形態で、第1保護フィルム300aの透過率は第2保護フィルム300bの透過率より高い。例えば、第1保護フィルム300aの透過率は約80%以上であり、第2保護フィルム300bの透過率は約60%以下である。
第1保護フィルム300aの色と第2保護フィルム300bの色が互いに異なってもよい。たとえば、第1保護フィルム300aは透明であるが、第2保護フィルム300bは黄みを帯びた色(yellowish)を示す。
【0042】
第1保護フィルム300aの引張弾性率は3GPa以上15GPa以下であり、第2保護フィルム300bの引張弾性率は2GPa以上10GPa以下である。この時、第1保護フィルム300aの引張弾性率が第2保護フィルム300bの引張弾性率より大きいのが好ましい。なぜなら、第1保護フィルム300aが高い引張弾性率を有することによって、駆動集積回路チップ700を基板110に実装する過程で圧力によって配線などにクラックが発生するのを防止することができるためである。
本実施形態で、第1保護フィルム300aのガラス転移温度(Tg)は約摂氏100度以下であり、第2保護フィルム300bのガラス転移温度(Tg)は約摂氏150度以上である。
【0043】
前述のように、第1保護フィルム300aが形成される第1領域A1には、
図3の駆動集積回路チップ700が高圧ボンディングによって基板110に圧着されて形成される。駆動集積回路チップ700を形成した後に駆動集積回路チップ700が基板110によく実装されたか光学顕微鏡などを通じて検査をするためには、保護フィルムの透過率が約80%以上でなければならない。
【0044】
第2保護フィルム300bが形成される第2領域A2は
図3のフォールディング部900を含み、このようなフォールディング部900で表示パネル100を曲げるか折り畳まなければならず、ポリエチレンテレフタレートのような高分子物質から形成された保護フィルムを使用すれば、環境信頼性に問題が発生する。ここで、環境信頼性とは、表示パネル100を曲げるか折り畳むための摂氏60度乃至85度の高温環境で中立面を維持して表示パネル100が壊れない特性を意味する。
【0045】
ポリエチレンテレフタレートは約摂氏78度のガラス転移温度(Tg)を有するので、ポリエチレンテレフタレートのような高分子物質から保護フィルムを形成すると、表示パネル100を曲げるか折り畳む場合に環境信頼性問題が発生することがある。
したがって、本実施形態のように駆動集積回路チップ700が位置する第1領域A1では透過率が相対的に高い第1保護フィルム300aを使用し、フォールディング部900が形成された表示領域DAを含む第2領域A2では透過率が相対的に低いが、ガラス転移温度(Tg)が相対的に高い第2保護フィルム300bに区別して使用することによって、環境信頼性と駆動集積回路チップの圧着による不良問題を同時に解決することができる。
【0046】
第1保護フィルム300aと第2保護フィルム300bそれぞれは約5マイクロメートル乃至250マイクロメートルの厚さ範囲を有する。第1保護フィルム300aは第2保護フィルム300bに比べて厚い。第2保護フィルム300bは
図1のフォールディング部900でよく折り畳まれるように薄いほどよく、第1保護フィルム300aは
図2の駆動集積回路チップ700の圧着を考慮して厚いほどよい。但し、第1保護フィルム300aと第2保護フィルム300bの厚さ差が過度に大きいと段差が大きくなるので、第1領域A1と第2領域A2それぞれに位置する接着層30の厚さを異にして第1領域A1と第2領域A2の間の段差を調節することができる。
【0047】
図5は
図4の変形例を示す断面図である。
図5に示すように、基板110と第1保護フィルム300aの間に第1接着層30aが位置し、基板110と第2保護フィルム300bの間に第2接着層30bが位置し、第1接着層30aと第2接着層30bは互いに異なる物性を有する。例えば、第1接着層30aと第2接着層30bは互いに異なる粘着力を有し、第1接着層30aの粘着力が第2接着層30bの粘着力より大きい。第1接着層30aはガラス粘着力1000gf/inch以上であり、第2接着層30bはガラス粘着力200gf/inch以上である。ここで、ガラス粘着力はガラスからなる基材に付着された接着層を剥がすのに必要な力を測定したものである。
【0048】
本実施形態で、第1接着層30aと第2接着層30bそれぞれの粘着力が互いに同一であるか、第1接着層30aと第2接着層30bは互いに異なる貯蔵弾性率を有してもよい。変形例として第1接着層30aと第2接着層30bそれぞれの粘着力が前述のように互いに異なり、同時に互いに異なる貯蔵弾性率を有してもよい。
この時、第1接着層30aは第2接着層30bよりさらに大きい貯蔵弾性率を有するのが好ましい。なぜなら、第1接着層30aが高い貯蔵弾性率を有することによって、駆動集積回路チップ700を基板110に実装する過程で圧力によって配線などにクラックが発生するのを防止することができるためである。
【0049】
図6は、本発明の一実施形態による表示装置がベンディングされる前の構造を概略的に示す図である。
図7は、
図6の表示装置がベンディングされた後の構造を概略的に示す図である。
図6に示すように、表示パネル100の一面に第1、第2保護フィルム300a、300bと接着層30が位置し、表示パネル100の他の一面に駆動集積回路チップ700、中立面調節部材1000、偏光フィルム500のような光学フィルム、ウィンドウパネル800、下部接着フィルム323aおよび上部接着フィルム323bが位置する。
【0050】
偏光フィルム500は外部から入る外光の反射を減らすために用いることができ、ウィンドウパネル800は表示パネル100を外部から保護する役割を果たし、表示パネル100から出る画像を透過させて使用者に伝達することができる。
ウィンドウパネル800は光透過性物質から形成することができ、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、アクリルなどの透明な素材から形成することができるが、これに制限されるわけではない。図示していないが、ウィンドウパネル800の下部に外部接触を感知するためにタッチパネルを形成することもできる。
【0051】
図7では中立面調節部材1000と偏光フィルム500が離隔しているものを示しているが、変形例で中立面調節部材1000は偏光フィルム500と接しているか、中立面調節部材1000の端部の一部が偏光フィルム500上部と重畳する。変形実施形態として、表示パネル100内に反射防止層または反射防止ユニットなどを導入することによって偏光フィルム500は省略することができる。
【0052】
図7に示すように、
図6の表示装置がベンディング領域BAで曲がって、駆動集積回路チップ700が第2領域A2と重畳するように配置することができる。表示装置が曲がれば、ベンディング領域BAに位置する
図1の第1配線部179が応力を受けることがあるが、ベンディング領域BAを覆う中立面調節部材1000によって第1配線部179の応力を緩和し第1配線部179にクラックが発生することが防止される。具体的に、基板110の上に位置する中立面調節部材1000はベンディング時に引張応力を受容することによって
図1の第1配線部179に加えられる応力を減少させることができる。
【0053】
図7は、表示装置の曲がった状態を示す一例として、互いに同じ一側に位置する第1保護フィルム300aの端部と第2保護フィルム300bの端部が整列されたものを示しているが、前述のようにベンディング領域BAの左右境界面の位置は変更することができる。したがって、
図7に示されたものとは異なり、互いに同じ一側に位置する第1保護フィルム300aの端部と第2保護フィルム300bの端部が、図面をながめる視線を基準に垂直方向に一致しなくてもよい。
【0054】
図8は、
図7の表示装置で固定部材が追加された表示装置を示す図である。
図8に示すように、第1、第2保護フィルム300a、300bの間に固定部材2000が位置する。固定部材2000は、表示装置が曲がった形状を維持できるように固定および支持する役割を果たす。
【0055】
図9は、
図4の変形例として多層の接着層構造を示す断面図である。
図9に示すように、本実施形態による接着層30は、下部接着層30x、上部接着層30z、および下部接着層30xと上部接着層30zの間に位置するクッション層30yを含む。下部接着層30xは第1、第2保護フィルム300a、300bと接触し、上部接着層30zは基板110と接触する構造である。
【0056】
クッション層30yは
図7で説明した中立面調節部材1000の役割を果たすことができるので、基板110の上に位置する中立面調節部材1000を省略することができる。
クッション層30yは基板110の下に位置し、ベンディング時に圧縮応力をクッション層30yが受容することによって
図1の第1配線部179に加えられる応力を減少させることができる。
【0057】
クッション層30yは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、およびポリエチレンスルフィド(PES)のうちの少なくとも一つを含む。
クッション層30yの厚さは、約5マイクロメートル~100マイクロメートルである。
【0058】
図10は、
図4の変形例として保護フィルムの端部形状が変形された断面図である。
図10に示すように、ベンディング領域BAに隣接した第1保護フィルム300aの端部と第2保護フィルム300bの端部のうちの少なくとも一つはアーク(arc)構造を有し、
図9では第1、第2保護フィルム300a、300bの端部が両方ともアーク構造を有する実施形態を示している。
【0059】
第1保護フィルム300aのアーク構造と第2保護フィルム300bのアーク構造の間で基板110の一面は露出されている。このようなアーク構造は本実施形態による表示装置をベンディングする時に曲がり始める開始点になり、ベンディングが容易で元来意図していた方向に正確にベンディングが行われるようにする役割を果たす。
【0060】
図11は、
図9の変形例として接着層の内部に介された支持層を示す断面図である。
図11に示すように、下部接着層30xと上部接着層30zの間に支持部材400が位置し、
図11には示していないが、このような支持部材400はベンディング領域BAに対応するように位置し
図6の中立面調節部材1000と重畳する。支持部材400はモジュラスの高い素材のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンスルフィド(PES)、ポリイミド(PI)、スチール(steel)、ステンレス、およびインバー(invar)のうちの少なくとも一つを含む。
【0061】
中立面調節部材1000が基板110の上に不均一に塗布された状態で表示装置がベンディングされると配線にクラックが発生することがある。しかし、本実施形態のように中立面調節部材1000と重畳するように支持部材400が形成されていれば、中立面が配線に位置するように最大限維持することができる。
【0062】
図12は、本発明の一実施形態による表示装置であってベンディング領域に対応する保護フィルムの形状を示す断面図である。
図12に示すように、第1領域A1の第1保護フィルム300aはベンディング領域BAまで延長され、ベンディング領域BAでの第1保護フィルム300aはパターン化され、その厚さが第1領域A1での第1保護フィルム300aの厚さより薄いこともある。ベンディング領域BAでの第1保護フィルム300aのパターン化された形状は丸い形状、四角形状など多様である。
本実施形態による表示装置をベンディングする時、第1保護フィルム300aのパターン化された部分は、曲がり始める開始点になり、ベンディングが容易で元来意図していた方向に正確にベンディングが行われるようにする役割を果たす。
【0063】
図13は、
図12の変形例としてベンディング領域に対応する保護フィルムが凹凸構造を有することを示す断面図である。
図13に示すように、第1領域A1の第1保護フィルム300aはベンディング領域BAまで延長され、ベンディング領域BAの第1保護フィルムの一面は凹凸構造を有する。このような凹凸構造も曲がり始める開始点になり、ベンディングが容易で元来意図していた方向に正確にベンディングが行われるようにする役割を果たす。
【0064】
図14は、
図1の一実施形態として表示領域と非表示領域を比較して示す断面図である。
図14に示すように、基板110の上にバリア膜301が形成される。基板110は柔軟性を有する基板であり、基板110の下に向かう一面に接着層30と第1、第2保護フィルム300a、300bが位置する。第1、第2保護フィルム300a、300bの厚さは基板110の厚さより大きい。基板110は有機材料単独で形成されるか、有機材料層と無機材料層の積層構造で形成することができる。
【0065】
例えば、基板110は、ポリイミドのような有機材料から形成された第1層111と、酸化ケイ素または窒化ケイ素などの無機材料から形成された第2層112と、第1層111と同一な物質から形成された第3層113の積層構造で形成することができる。積層構造の柔軟性基板は有機材料単独で形成された柔軟性基板に比べて低い酸素透過率と低い水分透過率を有し、高い耐久性を有する。
【0066】
バリア膜301は基板110を通じた水分と酸素の浸透を遮断する機能を果たし、酸化ケイ素と窒化ケイ素を交互に繰り返し積層した多層膜で形成することができる。バリア膜301の上にバッファー膜302を配置することができる。バッファー膜302は画素回路を形成するための平坦面を提供し、酸化ケイ素または窒化ケイ素を含むことができる。
【0067】
バッファー膜302の上に半導体層401が形成される。半導体層401はポリシリコンまたは酸化物半導体から形成することができ、酸化物半導体から形成された半導体層は別途の保護膜(図示せず)で覆われる。半導体層401は不純物がドーピングされていないチャンネル領域と、チャンネル領域の両側に位置し不純物がドーピングされたソース領域およびドレイン領域を含む。
【0068】
半導体層401の上にゲート絶縁層140が形成される。ゲート絶縁層140は酸化ケイ素または窒化ケイ素の単一膜またはこれらの積層膜で形成することができる。ゲート絶縁層140の上にゲート電極402と第1蓄電板501が形成される。ゲート電極402は半導体層401のチャンネル領域と重畳する。ゲート電極402と第1蓄電板501はAu、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Al、およびMoなどを含むことができる。
【0069】
ゲート電極402と第1蓄電板501の上に層間絶縁層155が形成され、層間絶縁層155の上にソース電極403とドレイン電極404および第2蓄電板502が形成される。層間絶縁層304は、酸化ケイ素と窒化ケイ素の単一膜またはこれらの積層膜で形成することができる。
【0070】
ソース電極403とドレイン電極404は層間絶縁層155とゲート絶縁層140に形成された接触孔を通じて半導体層401のソース領域およびドレイン領域とそれぞれ連結される。第2蓄電板502は第1蓄電板501と重畳し、第1蓄電板501と第2蓄電板502は層間絶縁層155を誘電体として使用するストレージキャパシタCstをなす。ソース電極403とドレイン電極404および第2蓄電板502は、チタニウム/アルミニウム/チタニウムの金属多層膜で形成することができる。
【0071】
図14ではトップゲート方式の駆動薄膜トランジスタ(TFT)を例に挙げて示したが、駆動薄膜トランジスタ(TFT)の構造は図示した例に限定されない。画素回路はスイッチング薄膜トランジスタと駆動薄膜トランジスタ(TFT)およびストレージキャパシタCstを含み、便宜上
図14ではスイッチング薄膜トランジスタの図示を省略した。
【0072】
一方、基板110の非表示領域NDAに第1、第2入力パッド層148、150と第1、第2出力パッド層158、160が形成される。第1入力パッド層148および第1出力パッド層158はゲート電極402と同一な物質から形成され、第2入力パッド層150および第2出力パッド層160はソースおよびドレイン電極403、404と同一な物質から形成することができる。
【0073】
駆動薄膜トランジスタ(TFT)は平坦化膜180で覆われ、有機発光素子600と接続されて有機発光素子600を駆動させる。平坦化膜180は有機絶縁物または無機絶縁物を含むか、有機絶縁物と無機絶縁物の複合形態に構成することができる。有機発光素子600は、画素電極601と発光層602および共通電極603を含む。平坦化膜180は、非表示領域NDAの第2保護層180と同一な物質から同時に形成することができる。
【0074】
画素電極601は平坦化膜180の上で画素ごとに一つずつ形成され、平坦化膜180に形成された接触孔を通じて駆動薄膜トランジスタ(TFT)のドレイン電極404と接続される。平坦化膜180の上と画素電極601の周縁の上に画素定義膜360が形成される。発光層602は画素電極601の上に形成され、共通電極603は画素別区分なく表示領域DA全体に形成される。
【0075】
画素電極601と共通電極603のうちのいずれか一つは発光層602に正孔を注入し、他の一つは発光層602に電子を注入する。電子と正孔は発光層602で結合して励起子(exciton)を生成し、励起子が励起状態から基底状態に落ちる時に発生するエネルギーによって光が放出される。
画素電極601は反射膜で形成することができ、共通電極603は透明膜または半透過膜で形成することができる。発光層602から放出された光は画素電極601で反射され、共通電極603を透過して外部に放出される。共通電極603が半透過膜で形成される場合、画素電極601で反射された光の一部は共通電極603で再反射され、共振構造をなして光抽出効率を高める。
【0076】
有機発光素子600は封止層240で覆われる。封止層240は有機発光素子600を密封して外気に含まれている水分と酸素による有機発光素子600の劣化を抑制する。封止層240は無機膜と有機膜の積層構造に形成され、例えば第1無機膜241と有機膜242および第2無機膜243を含むことができる。
【0077】
図15は、本発明の一実施形態による光遮蔽領域を含む表示装置を示す概略的な斜視図である。
図15に示すように、第2領域A2の約50%以上の面積に光遮蔽パターン1100を形成することができ、光遮蔽パターン1100は
図1の基板110と接着層30の間に配置することができる。光遮蔽パターン1100は外部光を遮断する役割を果たす。
【0078】
以上で本開示の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本開示による発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0079】
30a 第1接着層
30b 第2接着層
30y クッション層
100 表示パネル
110 基板
300a 第1保護フィルム
300b 第2保護フィルム
400 支持部材