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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】毛髪洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20220112BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20220112BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/46
A61Q5/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017112418
(22)【出願日】2017-06-07
(65)【公開番号】P2018002706
(43)【公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2016126888
(32)【優先日】2016-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】大石 泉
(72)【発明者】
【氏名】柏井 利之
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-178733(JP,A)
【文献】特開昭59-209635(JP,A)
【文献】特開2012-001488(JP,A)
【文献】国際公開第2014/046252(WO,A1)
【文献】特開2014-076966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリグルタミン酸化合物、
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び
(C)少なくとも1つのエステル残基としてステロール残基を含むN-アシルアミノ酸エステルを含有し、
前記(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が、5質量%以上20質量%以下であり、
前記(C)N-アシルアミノ酸エステルの含有量が、0.08質量%以上2質量%以下であり、
前記(A)ポリグルタミン酸化合物の含有量(質量%)と、前記(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量(質量%)と、前記(C)N-アシルアミノ酸エステルの含有量(質量%)との質量比[B/(A+C)]が、以上40以下であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)ポリグルタミン酸化合物の含有量が、0.2質量%以上1質量%以下であり、
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が、12質量%以上20質量%以下であり、
(C)N-アシルアミノ酸エステルの含有量が、0.08質量%以上1質量%以下である請求項1に記載の毛髪洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴う頭皮や毛髪の悩みとして、抜け毛や細毛、毛髪のうねりやパサつき、頭皮の硬化や頭皮の乾燥などが挙げられる。これらの悩みの中でも、頭皮の硬化や乾燥を解決するため、例えば、保湿効果の高い添加剤、皮膚に対して刺激の少ないアミノ酸系界面活性剤や両性界面活性剤等を配合した毛髪洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1~2参照)。
しかし、これらの提案は、洗髪後の地肌の水分量を増加させるものの、洗髪後に頭皮がうるおった実感に影響する洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できていなかった。また、泡の量(気泡力)、泡の質(弾力性と光沢感)などについても十分満足できるものではなかった。
【0003】
したがって、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できる毛髪洗浄剤組成物の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-30670号公報
【文献】特開2001-354542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できる毛髪洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、(A)ポリグルタミン酸化合物、(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び(C)N-アシルアミノ酸エステルを含有し、前記(A)ポリグルタミン酸化合物の含有量(質量%)と、前記(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量(質量%)と、前記(C)N-アシルアミノ酸エステルの含有量(質量%)との質量比[B/(A+C)]が、2以上125以下である毛髪洗浄剤組成物が、各成分の相乗効果によって、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できることを知見した。
【0007】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)ポリグルタミン酸化合物、
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び
(C)N-アシルアミノ酸エステルを含有し、
前記(A)ポリグルタミン酸化合物の含有量(質量%)と、前記(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量(質量%)と、前記(C)N-アシルアミノ酸エステルの含有量(質量%)との質量比[B/(A+C)]が、2以上125以下であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物である。
<2> (A)ポリグルタミン酸化合物の含有量が、0.2質量%以上1質量%以下であり、
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が、12質量%以上20質量%以下であり、
(C)N-アシルアミノ酸エステルの含有量が、0.08質量%以上1質量%以下である前記<1>に記載の毛髪洗浄剤組成物である。
<3> 質量比[B/(A+C)]が、8以上40以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物である。
<4> (A)ポリグルタミン酸化合物が、ポリ-γ-グルタミン酸又はその塩である前記<1>から<3>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できる毛髪洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(毛髪洗浄剤組成物)
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、(A)ポリグルタミン酸化合物、(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び(C)N-アシルアミノ酸エステルを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0010】
<(A)ポリグルタミン酸化合物>
前記(A)成分のポリグルタミン酸化合物は、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与するために含有される。
【0011】
前記(A)成分のポリグルタミン酸化合物としては、例えば、ポリグルタミン酸又はその塩などが挙げられる。
前記ポリグルタミン酸としては、例えば、ポリ-γ-グルタミン酸、ポリ-α-グルタミン酸、ポリ-α,γ-グルタミン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリ-γ-グルタミン酸が好ましい。
前記ポリ-γ-グルタミン酸は、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基とα位のアミノ基とがアミド結合により繰り返し縮合したポリグルタミン酸である。前記ポリ-γ-グルタミン酸は、例えば、納豆菌、炭疽菌、枯草菌などの細菌が生成することができる。
前記ポリ-α-グルタミン酸は、グルタミン酸のα位のカルボキシル基とα位のアミノ基とがアミド結合により繰り返し縮合したポリグルタミン酸である。前記ポリ-α-グルタミン酸は、例えば、グルタミン酸γ-ベンジルエステルのN-カルボン酸無水物を重合させ、臭化水素で脱ベンジル化して合成することができる。
前記ポリ-α、γ-グルタミン酸は、グルタミン酸のα位又はγ位のカルボキシル基とα位のアミノ基とが繰り返し縮合したポリグルタミン酸である。
【0012】
前記ポリ-γ-グルタミン酸としては、適宜合成した合成ポリ-γ-グルタミン酸を使用してもよいし、納豆菌などの各種ポリ-γ-グルタミン酸産生菌株からの発酵生産物として得られる天然のポリ-γ-グルタミン酸を使用してもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、天然のポリ-γ-グルタミン酸が好ましい。なお、前記ポリ-γ-グルタミン酸は、D体でもL体でもよく、D体及びL体が混合していてもよい。
前記ポリ-γ-グルタミン酸は水に不溶であるが、塩にすることで水溶性となる。
【0013】
前記ポリグルタミン酸塩における対イオンとしては、毛髪洗浄剤組成物として使用できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルカノールアミンイオン、塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルカリ金属イオンが好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。なお、塩の中和度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その1質量%濃度の水溶液が、pH3~11の範囲になるように中和する。
【0014】
前記ポリグルタミン酸化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できる点から、10,000~5,000,000が好ましく、600,000以上2,000,000以下がより好ましく、800,000以上1,800,000以下が更に好ましい。前記ポリグルタミン酸化合物の重量平均分子量は、プルランを標準試料として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定することができる。
【0015】
前記(A)成分のポリグルタミン酸化合物としては、市販品を用いてもよく、適宜合成したものを用いてもよい。前記ポリ-γ-グルタミン酸の市販品としては、例えば、商品名:明治ポリグルタミン酸(株式会社明治フードマテリア製、重量平均分子量:1,000,000)、バイオPGA溶液HB(一丸ファルコス株式会社製)などが挙げられる。前記ポリ-γ-グルタミン酸ナトリウムの市販品としては、例えば、商品名:バイオPGA Naパウダー(一丸ファルコス株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、洗髪時の泡量の増加を図り、優れた泡の弾力性を付与できる点から、商品名:明治ポリグルタミン酸(株式会社明治フードマテリア製)が好ましい。
【0016】
前記(A)成分のポリグルタミン酸化合物の含有量としては、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時の頭皮がうるおった実感を付与できる点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対して、0.05質量%以上2質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.05質量%未満であると、洗髪時の泡量が減少し、泡の弾力性、泡の光沢感、及び洗髪時に頭皮がうるおった実感の付与が不十分となることがあり、2質量%を超えると、泡の弾力性、及び洗髪時の頭皮がうるおった実感の付与が不十分となることがある。
【0017】
<(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩>
前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、洗髪時の泡量の増加、泡の弾力性の向上が図れ、優れた泡の光沢感を有し、及び洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与するために含有される。
【0018】
前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩のアルキル基部分の炭素数としては、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の光沢感を有し、及び洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できる点から、8以上24以下が好ましく、12以上14以下がより好ましい。
前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩のエチレンオキサイドの平均付加モル数(以下、「EO」とも称することがある)としては、洗髪時の泡量の増加が図れ、及び洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できる点から、1以上3以下が好ましく、2以上3以下がより好ましい。
【0019】
前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩における対イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルカノールアミンイオンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが特に好ましい。
【0020】
前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(a)で表される化合物などが挙げられる。
【0021】
O(CHCHO)SO ・・・ 一般式(a)
(ただし、前記一般式(a)中、Rはアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アンモニウム、又はアルカノールアミンを示し、mは1~3の整数を示す)
【0022】
前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、ポリオキシエチレンカプリルエーテル硫酸塩(EO:1~3)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(EO:1~3)、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸塩(EO:1~3)、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル硫酸塩(EO:1~3)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸塩(EO:1~3)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、洗髪時の泡量の増加が図れる点、及び洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与できる点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(EO:1~3)が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO:2)がより好ましい。
【0023】
前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、市販品を用いてもよく、適宜合成したものを用いてもよい。前記市販品としては、例えば、商品名:エマール170J(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO:1)、花王株式会社製)、商品名:シノリンSPE-1250(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO:2)、新日本理化株式会社製)、商品名:テイカポールNE1270(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(EO:3)、テイカ株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、洗髪時の泡量の増加が図れ、及び洗髪時の頭皮がうるおった実感を付与できる点から、商品名:シノリンSPE-1250(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO:2)、新日本理化株式会社製)が好ましい。
【0024】
前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量としては、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の光沢感を有し、及び洗髪時の頭皮がうるおった実感を付与できる点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対して、5質量%以上25質量%以下が好ましく、12質量%以上20質量%以下がより好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、洗髪時の泡量、泡の弾力性、泡の光沢感、及び洗髪時に頭皮がうるおった実感の付与が不十分となることがあり、25質量%を超えると、泡の光沢感、及び洗髪時の頭皮がうるおった実感の付与が不十分となることがある。
【0025】
<(C)N-アシルアミノ酸エステル>
前記(C)成分のN-アシルアミノ酸エステルは、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時の頭皮がうるおった実感を付与するために含有される。
【0026】
前記(C)成分のN-アシルアミノ酸エステルは、N-アシルアミノ酸と高級アルコール類とのエステルである。
前記N-アシルアミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N-アシル酸性アミノ酸などが挙げられる。
前記N-アシル酸性アミノ酸としては、例えば、N-アシルアスパラギン酸、N-アシルグルタミン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、N-アシルグルタミン酸が好ましい。
前記N-アシルアミノ酸におけるアミノ酸の構造としては、L体、D体、L体とD体の混合型、及びラセミ体のいずれでもよい。
前記N-アシルアミノ酸におけるアシル基としては、炭素数が8以上22以下の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基が好ましく、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の単一組成の脂肪酸によるアシル基;ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸;合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)のアシル基であってもよい。
前記高級アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステロール、炭素数が8以上38以下のアルキルアルコール、炭素数が8以上38以下のアルケニルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、ステロール、炭素数が8以上30以下の液状高級アルキルアルコール、炭素数が8以上30以下の液状高級アルケニルアルコール、炭素数が12以上38以下の固形状高級アルキルアルコールが好ましい。
【0027】
前記炭素数が8以上30以下の液状高級アルキルアルコール、及び前記炭素数が8以上30以下の液状高級アルケニルアルコールとしては、炭素数が8以上30以下の天然又は合成脂肪族アルコールであり、かつ常温で液状を呈するものであれば目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2-オクチルドデシルアルコール等の分岐アルコール、オレイルアルコール等の不飽和アルコールなどが挙げられる。
前記炭素数が12~38の固形状高級アルキルアルコールとしては、炭素数が12以上38以下の飽和一価アルコールであり、かつ常温で固形状を呈するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セチルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。
【0028】
前記(C)成分のN-アシルアミノ酸エステルとしては、モノエステル体であってもジエステル体であってもよく、少なくとも一つのエステル生成残基としてステロール残基を有するジエステル体が好ましい。
前記ステロールとしては、動物由来のものであっても植物由来のものであってもよく、例えば、コレステロール、フィトステロール又はこれらの水添加物などが挙げられる。
【0029】
前記(C)成分のN-アシルアミノ酸エステルとしては、例えば、N-ラウロイル-L―グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2-オクチルドデシル)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、少なくとも一つのエステル残基としてステロール残基を有することが好ましい。これらの中でも、優れた泡の弾力性、及び、洗髪時の頭皮がうるおった実感を付与できる点から、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)が好ましい。
【0030】
前記(C)成分のN-アシルアミノ酸エステルとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、商品名:エルデュウPS-203R(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルデシル))、商品名:エルデュウCL-301(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル))、商品名:エルデュウCL-202(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル))、商品名:エルデュウPS-304(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル))、商品名:エルデュウPS-306(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(オクチルドデシル・フィトステリル・ベヘニル))、(以上、味の素株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記(C)成分のN-アシルアミノ酸エステルの含有量としては、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時の頭皮がうるおった実感を付与できる点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対して、0.05質量%以上2質量%以下が好ましく、0.08質量%以上1質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.05質量%未満であると、洗髪時の泡量、泡の弾力性、泡の光沢感、及び洗髪時に頭皮がうるおった実感の付与が不十分となることがあり、2質量%を超えると、洗髪時の泡量、泡の弾力性、泡の光沢感、及び洗髪時の頭皮がうるおった実感の付与が不十分となることがある。
【0032】
<質量比[B/(A+C)]>
前記(A)成分のポリグルタミン酸化合物の含有量(質量%)と、前記(B)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量(質量%)と、前記(C)成分のN-アシルアミノ酸エステルの含有量(質量%)との質量比[B/(A+C)]としては、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与する点から、2以上125以下であり、8以上40以下が好ましい。前記質量比[B/(A+C)]が、2未満であると、洗髪時の泡量、泡の弾力性、泡の光沢感、及び洗髪時に頭皮がうるおった実感の付与が不十分となることがあり、125を超えると、泡の光沢感、及び洗髪時の頭皮がうるおった実感の付与が不十分となることがある。
【0033】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、前記(A)成分~前記(C)成分の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分以外のポリアミノ酸、前記(B)成分以外のアニオン性界面活性剤、前記(C)成分以外の液状油分、固体脂、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、ポリオール類、食塩、芒硝等の無機塩類、有機塩類、プロピレングリコール等の保湿剤、トニック剤、可溶化剤、BHT、α-トコフェロール等の酸化防止剤、トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド等の粘度調整剤、紫外線吸収剤、タンパク質誘導体、動植物抽出液、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等のフケ防止剤、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、安息香酸又はその塩、パラベン類、ケーソンCG等の防腐剤、クエン酸、トリエタノールアミン等のpH調整剤、乳濁剤、ハイドロトロープ、低級アルコール、ビタミン類、揮発性油分、疎水性溶媒、精製水等の希釈性溶媒、色素、香料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
-pH-
前記毛髪洗浄剤組成物の25℃におけるpHとしては、3~7が好ましい。前記pHが、3未満であると、地肌への刺激が懸念され、7を超えると、防腐力が低下し、微生物が繁殖する場合がある。なお、前記pHとしては、医薬部外品原料規格一般試験法pH測定法に準拠して測定することができる。
【0035】
前記毛髪洗浄剤組成物のpHとしては、すべての成分を混合した後に最後にpHを確認しながらクエン酸などのpH調整剤を加えることで調整できる。より詳しくは、クエン酸などのpH調整剤以外の成分の合計が約98質量%となるように精製水をバランスして混合攪拌する。必要なら加温してもよい。混合攪拌中にクエン酸などのpH調整剤の水溶液を徐々に添加し、それぞれpHを測定しながら目標とするpHまで添加する。目標pHとなったところで、最後に残りの精製水を加えて、全体で100質量%となるように水を加える。なお、前記pHとしては、医薬部外品原料規格一般試験法pH測定法に準拠して測定することができる。
【0036】
-形状及び剤型-
前記毛髪洗浄剤組成物の形状、及び剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、液状、クリーム状、フォーム状などが挙げられる。前記剤型としては、例えば、ポンプタイプ、チューブタイプなどが挙げられる。
【0037】
-製造方法-
前記毛髪洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記(A)成分~前記(C)成分、及び前記その他の成分を混合して調製することができる。
具体的には、前記(A)成分、及び前記(B)成分を70℃~75℃に加熱して添加し、均一に混合する。その後40℃以下まで冷却し、前記(C)成分を添加し、均一に混合する。その他の成分のうち、ポリマーや界面活性剤は、適宜適切な温度条件と適切な添加順に従い添加する。30℃以下に冷却後、前記その他の成分の残りを添加し、毛髪洗浄剤組成物の全体が100質量%となるように精製水を配合して均一に混合し、毛髪洗浄剤組成物を得ることができる。
前記毛髪洗浄剤組成物を調製する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断と全体混合できる複数の攪拌羽根(プロペラ、タービン、ディスパー等)を備えた攪拌装置などが挙げられる。
【0038】
-容器-
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートチューブ、EVALチューブ、アルミニウムチューブ、ガラス蒸着プラスチックチューブ等のチューブ容器、機械的又は差圧によるポンプ容器及びスクイーズ容器、ラミネートフィルム容器、スポイト容器、ボトル容器などが挙げられる。
前記アルミニウムラミネートチューブ容器の材質としては、例えば、ラミネートフィルムなどが挙げられる。前記ラミネートフィルムとしては、強度、柔軟性、耐候性等の点から、通常2層以上の多層を有することが好ましく、2層~5層がより好ましい。前記ラミネートフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、紙、アルミニウム蒸着プラスチックなどが挙げられる。
前記ボトル容器の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン-ビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル-スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ガラスなどが挙げられ、これらは、単層乃至2層以上組み合わせて用いることが好ましい。
【0039】
-用途-
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与することができるため、例えば、シャンプー、リンスインシャンプーなどのインバスヘアケア剤に好適である。
【実施例
【0040】
以下に、本発明を実施例、及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。
【0041】
(実施例1~20、及び比較例1~12)
下記表1~表6に示す組成、及び含有量の毛髪洗浄剤組成物を以下の方法で調製した。なお、各成分の含有量は、いずれも質量%であり、全て純分換算した値である。
その他の成分である塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースをプロピレングリコールに分散させ、精製水を加え、50~60℃で均一混合し、膨潤させた後、70℃~75℃に加熱して、(A)成分又は(A)の比較成分、(B)成分又は(B)の比較成分、及びその他の成分であるラウリン酸アミドプロピルベタインを添加し、均一に混合した。その後、40℃以下まで冷却し、(C)成分又は(C)の比較成分及びその他の成分であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.)を添加し、均一に混合した。30℃以下に冷却後、残りのその他の成分(ピロクトンオラミン、モノラウリン酸ポリグリセリル、及び安息香酸ナトリウム)を添加し、均一に混合した後、クエン酸を用いて、pHを5.2に調整し、毛髪洗浄剤組成物を得た。なお、前記pHは、25℃にて、pHメーター(HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。なお、前記E.O.とは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を表す。
【0042】
得られた実施例1~20、及び比較例1~12の毛髪洗浄剤組成物について、以下のようにして、「洗髪時の泡の量」、「泡の弾力性」、「泡の光沢感」、及び「洗髪時の頭皮がうるおった実感」を評価した。結果を表1~表6に示す。
【0043】
<洗髪時の泡の量、泡の弾力性、及び泡の光沢感>
頭皮の硬化や乾燥を感じている20代~40代の男性専門パネラー10名が、各毛髪洗浄剤組成物6gで洗髪を行い、洗髪時に、「洗髪時の泡の量」、「泡の弾力性」、及び「泡の光沢感」について下記の判定基準に基づき判定点を求め、該判定点の平均値を算出し、下記の評価基準に基づき評価した。
【0044】
-洗髪時の泡の量の判定基準-
5点:手からこぼれるほど、毛髪全体を包み込むのに十分な量の泡が立っている
4点:手からこぼれない程度に、毛髪全体にまんべんなく行きわたる量の泡が立っている
3点:毛髪全体に泡が行きわたってはいるが、洗うには物足りなく泡量が不足している
2点:部分的には泡立つが毛髪全体には行きわたらない
1点:いくら泡立てても泡が毛髪に全く行きわたらない
【0045】
-泡の弾力性の判定基準-
5点:泡の弾力が非常にあり、濃厚で重い質感の泡である
4点:泡の弾力があり、十分にしっとりしている
3点:泡の弾力がややあり、スカスカではないがしっとり感にやや欠ける
2点:泡の弾力がややなく、ややスカスカ感がある
1点:泡の弾力がなくスカスカ感がある
【0046】
-泡の光沢感の判定基準-
5点:非常に泡の光沢感がある
4点:やや泡の光沢感がある
3点:どちらともいえない
2点:やや泡の光沢感がない
1点:泡の光沢感がない
【0047】
-洗髪時の泡の量、泡の弾力性、及び泡の光沢感の評価基準-
◎:判定点の平均値が4.5点以上
○:判定点の平均値が3.5点以上4.5点未満
△:判定点の平均値が2.5点以上3.5点未満
×:判定点の平均値が2.5点未満
【0048】
<洗髪時の頭皮がうるおった実感>
頭皮の硬化や乾燥を感じている20代~40代の男性専門パネラー10名が、各毛髪洗浄剤組成物6gで洗髪を行い、すすぎ後、下記の判定基準に基づき判定点を求め、該判定点の平均値を算出し、下記の評価基準に基づき評価した。
【0049】
-洗髪時の頭皮がうるおった実感の判定基準-
5点:非常に感じる
4点:やや感じる
3点:どちらともいえない
2点:あまり感じない
1点:感じない
【0050】
-洗髪時の頭皮がうるおった実感の評価基準-
◎:判定点の平均値が4.5点以上
○:判定点の平均値が3.5点以上4.5点未満
△:判定点の平均値が2.5点以上3.5点未満
×:判定点の平均値が2.5点未満
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
なお、前記実施例と前記比較例とで使用した各種成分の詳細について、下記表7に示す。
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、洗髪時の泡量の増加が図れ、優れた泡の弾力性及び泡の光沢感を有し、洗髪時に頭皮がうるおった実感を付与することができるため、例えば、シャンプー、リンスインシャンプー等のインバスヘアケア剤に好適である。