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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/02 20060101AFI20220112BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20220112BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20220112BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F3/08 311
F28F3/04 A
F28F9/00 331
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017188277
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019066051
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-08-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.販売日 平成29年3月31日 販売した場所 新日鐵住金株式会社 君津製鉄所
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】山内 教生
(72)【発明者】
【氏名】古川 崇之
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特許第4065435(JP,B2)
【文献】特開平09-229580(JP,A)
【文献】特開2007-255826(JP,A)
【文献】特表2009-521658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/02
F28F 3/08
F28F 3/04
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが第一方向において第一面と該第一面に対して反対側を向く第二面とを有する伝熱部を含むとともに、第一方向から見て互いに平行な一対の端縁を少なくとも二対を含んだ輪郭を有し、且つ輪郭を一致させるように第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートであって、それぞれの伝熱部の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面と対向させるとともに、それぞれの伝熱部の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面と対向させた複数の伝熱プレートと、伝熱部の第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートの二対のうちの一方の対を構成する端縁を含む部分同士が溶け込むことで形成された第一溶接部であって、隣り合う伝熱プレートの二対のうちの一方の対を構成する端縁同士を液密に接続する第一溶接部と、伝熱部の第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートの二対のうちの他方の対を構成する端縁を含む部分が溶け込むことで形成された第二溶接部であって、隣り合う伝熱プレートの二対のうちの他方の対を構成する端縁同士を液密に接続する第二溶接部とを備え、隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面間に第一流体を第一溶接部の延びる方向と同方向に流通させる第一流路が形成されるとともに、隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面間に第二流体を第二溶接部の延びる方向と同方向に流通させる第二流路が形成され、複数の伝熱プレートのそれぞれの伝熱部は、第一面及び第二面のそれぞれに第一溶接部又は第二溶接部の延びる方向に対して傾斜する方向に延びる複数の凹条及び凸条を有する主伝熱領域と、主伝熱領域に隣接する応力緩和領域であって、主伝熱領域の複数の凹条及び凸条のうち、凹条及び凸条の延長線が第一溶接部又は第二溶接部の端部に到達する凹条及び凸条の延長線を含む領域に設定された応力緩和領域とを含み、応力緩和領域は、第一方向における第一面の凸条の頂部と第二面の凸条の頂部との間で、第一方向と直交する第二方向及び第一方向と第二方向とに直交する第三方向に広がる中段平板部を含むことを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
応力緩和領域は、第一面及び第二面のそれぞれに形成された複数の凸部であって、第一方向と直交する方向に間隔をあけて配置された複数の凸部を含み、第一面の凸部と第二面の凸部とは第一方向と直交する方向に位置ずれして配置され、中段平板部は、第一面の凸部と第二面の凸部との間に配置され、伝熱部の第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの応力緩和領域の第一面の凸部の頂部同士を当接させ、伝熱部の第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの応力緩和領域の第二面の凸部の頂部同士を当接させる請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
第一面の凸部の頂部及び第二面の凸部の頂部のそれぞれは、第一方向と直交する方向に広がる平面である請求項2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
伝熱プレートは、第一方向から見て四角形状に形成され、伝熱部は、第一方向から見て伝熱プレートよりも小さな四角形状であって、対角線が伝熱プレートの対角線と重なる四角形状に設定され、応力緩和領域は、伝熱部の角部に配置される請求項1乃至3の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、隣り合う伝熱プレートによって流路を画定したプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体同士を熱交換させる熱交換器の一つとして、プレート式熱交換器が提供されている。
【0003】
プレート式熱交換器は、それぞれが第一流体と第二流体とを熱交換させる伝熱部を有する複数の伝熱プレートであって、それぞれの伝熱部が第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備える。
【0004】
伝熱プレートは、第一方向と直交する方向に延びる端縁を有し、伝熱プレートの伝熱部は、第一方向において、第一面と、該第一面に対して反対側を向く第二面とを有する。伝熱プレートの伝熱部は、第一面上に形成された複数の凹条及び凸条と、第二面上に形成された複数の凹条及び凸条であって、第一面上の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面上の凹条と表裏の関係にある凸条とを有する。
【0005】
伝熱部の第一面上に形成された凹条及び凸条のそれぞれは、第一方向と直交する第二方向に延びる中心線に対して傾斜する方向に延び、且つ自身の延びる方向に対して直交する方向に交互に配置される。これに伴い、伝熱部の第一面の凸条及び凹条と表裏の関係にある第二面上の凹条及び凸条のそれぞれについても、第一方向と直交する第二方向に延びる中心線に対して傾斜する方向に延び、且つ自身の延びる方向に対して直交する方向に交互に配置される。
【0006】
すなわち、伝熱部の第一面及び第二面のそれぞれの凹条及び凸条は、当該伝熱プレートの第一方向と直交する方向に延びる端縁に対して傾斜する方向に延びている。これにより、複数の伝熱プレートは、それぞれの伝熱部を第一方向に重ね合わせた状態で、隣り合う伝熱部の凸条同士を交差衝合させ、隣り合う伝熱部の凹条によって流体を流通させる流路を形成する。すなわち、プレート式熱交換器には、伝熱プレート(伝熱部)を境にして、異なる流体を流通させる流路が交互に形成される。
【0007】
ところで、この種のプレート式熱交換器には、隣り合う伝熱プレートの第一方向と直交する方向に延びる端縁同士であって、画定する流路における流体の流通方向と同方向又は略同方向に延びる端縁同士が液密に溶接されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
かかるプレート式熱交換器は、流路における流体の流通方向と交差する方向に延びる伝熱プレートの端縁によって、流路の入口及び出口が画定される。すなわち、複数の伝熱プレートのそれぞれは、第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの端縁と接続(溶接)される端縁と、第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの端縁と接続(溶接)される端縁とを異にし、隣り合う伝熱プレートの端縁と接続されていない端縁によって、流路の入口及び出口を画定する。これにより、この種のプレート式熱交換器は、伝熱プレート(伝熱部)を挟んで隣り合う流路を流通する流体を第一方向から見て交差した態様で流通させつつ伝熱部を介して熱交換させる。
【0009】
しかしながら、この種のプレート式熱交換器では、流体同士の熱交換に伴う熱影響により、伝熱プレートの端縁同士を溶接した溶接部の端部(長手方向の端部)に応力が集中的に作用し、溶接部が破損する虞がある。
【0010】
具体的に説明すると、伝熱プレート(伝熱部)の凹条及び凸条は、自身に延びる方向に対して直交する方向に起伏した形状である。そのため、凹条及び凸条の自身の延びる方向の剛性は、当該凹条及び凸条の延びる方向と直交する方向の剛性よりも高い。
【0011】
これに伴い、流体同士の熱交換に伴う熱影響により、伝熱プレートが第一方向と直交する方向に膨張或いは収縮すると、その膨張或いは収縮に伴って作用する力は、凹条及び凸条の延びる方向に対して直交する方向よりも凹条及び凸条の延びる方向に大きく作用する。
【0012】
すなわち、凹条及び凸条の自身の延びる方向と直交する方向の剛性は低い(変形し易い)ため、伝熱プレートの膨張或いは収縮に伴って作用する力のうち凹条及び凸条の延びる方向と直交する方向に作用する力は、凹条及び凸条の変形等によって分散される。
【0013】
しかし、凹条及び凸条の自身の延びる方向の剛性が高い(変形し難い)ため、伝熱プレートの膨張或いは収縮に伴って作用する力のうち凹条及び凸条の延びる方向に作用する力は、凹条及び凸条に沿って作用する。
【0014】
これに伴い、伝熱プレートの膨張或いは収縮に伴って作用する力は、凹条及び凸条の延長線上にある溶接部に大きく作用することになるが、その溶接部のうちの長手方向の端部は、伝熱プレートの端縁同士の接続の起点又は終点であるため、伝熱プレートの膨張或いは収縮に伴って作用する力が溶接部の端部に作用すると、溶接部の端部に応力が集中し、溶接部が損傷してしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特許第4065435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、隣り合う伝熱プレートの端縁同士を溶接した溶接部の端部に応力が集中することを抑制でき、溶接部の損傷を抑えることのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るプレート式熱交換器は、それぞれが第一方向において第一面と該第一面に対して反対側を向く第二面とを有する伝熱部を含むとともに、第一方向から見て互いに平行又は略平行な一対の端縁を少なくとも二対を含んだ輪郭を有し、且つ輪郭を一致又は略一定させるように第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートであって、それぞれの伝熱部の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面と対向させるとともに、それぞれの伝熱部の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面と対向させた複数の伝熱プレートと、伝熱部の第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートの二対のうちの一方の対を構成する端縁を含む部分同士が溶け込むことで形成された第一溶接部であって、隣り合う伝熱プレートの二対のうちの一方の対を構成する端縁同士を液密に接続する第一溶接部と、伝熱部の第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートの二対のうちの他方の対を構成する端縁を含む部分が溶け込むことで形成された第二溶接部であって、隣り合う伝熱プレートの二対のうちの他方の対を構成する端縁同士を液密に接続する第二溶接部とを備え、隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面間に第一流体を第一溶接部の延びる方向と同方向に流通させる第一流路が形成されるとともに、隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面間に第二流体を第二溶接部の延びる方向と同方向に流通させる第二流路が形成され、複数の伝熱プレートのそれぞれの伝熱部は、第一面及び第二面のそれぞれに第一溶接部又は第二溶接部の延びる方向に対して傾斜する方向に延びる複数の凹条及び凸条を有する主伝熱領域と、主伝熱領域に隣接する応力緩和領域であって、主伝熱領域の複数の凹条及び凸条のうち、凹条及び凸条の延長線が第一溶接部又は第二溶接部の端部に到達する凹条及び凸条の延長線を含む領域に設定された応力緩和領域とを含み、応力緩和領域は、第一方向における第一面の凸条の頂部と第二面の凸条の頂部との間で、第一方向と直交する第二方向及び第一方向と第二方向とに直交する第三方向に広がる中段平板部を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様として、応力緩和領域は、第一面及び第二面のそれぞれに形成された複数の凸部であって、第一方向と直交する方向に間隔をあけて配置された複数の凸部を含み、第一面の凸部と第二面の凸部とは第一方向と直交する方向に位置ずれして配置され、中段平板部は、第一面の凸部と第二面の凸部との間に配置され、伝熱部の第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの応力緩和領域の第一面の凸部の頂部同士を当接させ、伝熱部の第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの応力緩和領域の第二面の凸部の頂部同士を当接させる。
【0019】
本発明の他態様として、第一面の凸部の頂部及び第二面の凸部の頂部のそれぞれは、第一方向と直交する方向に広がる平面であることが好ましい。
【0020】
本発明の別の態様として、伝熱プレートは、第一方向から見て四角形状に形成され、伝熱部は、第一方向から見て伝熱プレートよりも小さな四角形状であって、対角線が伝熱プレートの対角線と重なる四角形状に設定され、応力緩和領域は、伝熱部の角部に配置される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、隣り合う伝熱プレートの端縁同士を溶接した溶接部の端部に応力が集中することを抑制でき、溶接部の損傷を抑えることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器の全体斜視図である。
図2図2は、図1のII―II断面を含む斜視図である。
図3図3は、図1のIII―III断面を含む斜視図である。
図4図4は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の分解斜視図である。
図5図5は、同実施形態に係る伝熱プレートを第一面側から見た図である。
図6図6は、同実施形態に係る伝熱プレートを第二面側から見た図である。
図7図7は、図5のVII部の拡大図である。
図8図8は、図7のVIII-VIII断面図である。
図9図9は、図6のXI-XI断面図である。
図10図10は、図6のX-X断面図である。
図11図11は、同実施形態に係る伝熱プレート積層体の部分拡大断面図であって、伝熱部の応力緩和領域周辺を含むY軸方向から見た部分断面図である。
図12図12は、同実施形態に係る伝熱プレート積層体の部分拡大断面図であって、伝熱部の応力緩和領域周辺を含むX軸方向から見た部分断面図である。
図13図13は、図6のXIII-XIII断面図であって、中間部分を省略した断面図である。
図14図14は、図6のXIV-XIV断面図であって、中間部分を省略した断面図である。
図15図15は、同実施形態に係る伝熱プレート積層体の部分拡大断面図であって、伝熱部の主伝熱領域周辺を含むY軸方向から見た部分拡大断面図である。
図16図16は、同実施形態に係る伝熱プレート積層体の部分拡大断面図であって、伝熱部の主伝熱領域周辺を含むX軸方向から見た部分拡大断面図である。
図17図17は、同実施形態に係る伝熱プレート積層体の伝熱プレートの凸条同士の交点の配置及び他方のブロックにおける第一流路での流体の流れを説明するための図である。
図18図18は、同実施形態に係る伝熱プレート積層体の伝熱プレートの凸条同士の交点の配置及び一方のブロックにおける第一流路での流体の流れを説明するための図である。
図19図19は、同実施形態に係る伝熱プレート積層体の伝熱プレートの凸条同士の交点の配置及び一方のブロックにおける第二流路での流体の流れを説明するための図である。
図20図20は、同実施形態に係る伝熱プレート積層体の伝熱プレートの凸条同士の交点の配置及び他方のブロックにおける第二流路での流体の流れを説明するための図である。
図21図21は、図15のXXI部の拡大図である。
図22図22は、図16のXXII部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1乃至図4に示す如く、プレート式熱交換器1は、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる熱交換部2と、熱交換部2に第一流体Aを供給する第一給液口Pa1と、熱交換部2からの第一流体Aを排出する第一排液口Pa2と、熱交換部2に第二流体Bを供給する第二給液口Pb1と、熱交換部2からの第二流体Bを排出する第二排液口Pb2とを備える。
【0025】
本実施形態において、熱交換部2は、図2乃至図4に示す如く、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート3を備える。さらに、熱交換部2は、重ね合わされた複数の伝熱プレート3を取り囲む外装体4であって、第一給液口Pa1、第一排液口Pa2、第二給液口Pb1、第二排液口Pb2が取り付けられる外装体4を備える。本実施形態において、熱交換部2は、外装体4内に配置された第一仕切プレート5であって、重ね合わされた複数の伝熱プレート3のうちの第一方向における中間位置にある伝熱プレート3に対応して配置された第一仕切プレート5と、外装体4内に配置された第二仕切プレート6であって、重ね合わされた複数の伝熱プレート3のうちの第一方向における中間位置にある伝熱プレート3に対応して配置された第二仕切プレート6とを備える。
【0026】
なお、以下の説明において、第一方向をZ軸方向とし、第一方向と直交する第二方向をX軸方向とし、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向をY軸方向とする。これに伴い、各図面に対し、Z軸方向、X軸方向、Y軸方向に対応した直交三軸(Z軸、X軸、Y軸)、直交二軸(Z軸、X軸、Y軸のうちの何れか二軸)又は一軸(Z軸、X軸、Y軸のうちの何れか一軸)を補助的に図示している。
【0027】
複数の伝熱プレート3…のそれぞれは、図5及び図6に示す如く、Z軸方向において第一面S1と、該第一面S1に対して反対側を向く第二面S2とを有する。複数の伝熱プレート3…のそれぞれは、Z軸方向から見て互いに平行又は略平行な一対の端縁Ea1,Ea1,Ea2,Ea2を少なくとも二対含んだ輪郭Eaを有する。
【0028】
本実施形態において、対となる端縁Ea1,Ea1,Ea2,Ea2は、同一方向に延びる。また、対となる端縁Ea1,Ea1,Ea2,Ea2は、異なる対の端縁Ea1,Ea1,Ea2,Ea2に対して異なる方向に延び、且つ異なる対の端縁Ea1,Ea1,Ea2,Ea2に接続されている。これに伴い、伝熱プレート3は、異なる対の端縁Ea1,Ea2同士の接続によって形成される角部を四つ以上有する。
【0029】
より具体的に説明すると、本実施形態において、伝熱プレート3は、Z軸方向から見て四角形状である。より正確には、伝熱プレート3は、Z軸方向から見て正方形状である。これに伴い、Z軸方向から見た伝熱プレート3の輪郭Eaには、互いに平行又は略平行な一対の端縁Ea1,Ea1,Ea2,Ea2を二組(二対)含んでいる。
【0030】
すなわち、伝熱プレート3の輪郭Eaは、X軸方向に間隔をあけ且つY軸方向に延びる一対の端縁(以下、第一端縁という)Ea1,Ea1と、Y軸方向に間隔をあけ且つそれぞれがX軸方向に延びる一対の端縁(以下、第二端縁という)Ea2,Ea2とを含む。本実施形態において、第一端縁Ea1,Ea1及び第二端縁Ea2,Ea2のそれぞれは、直線状である。これに伴い、伝熱プレート3は、四つの角部を有する。
【0031】
伝熱プレート3は、Z軸方向において第一面S1及び該第一面S1に対して反対側を向く第二面S2を有する伝熱部30と、それぞれが二対のうちの一方の対を構成する第一端縁Ea1を含む一対の第一延出部31,31であって、それぞれが伝熱部30の外縁Eb1からX軸方向に延出した一対の第一延出部31,31と、それぞれが二対のうちの他方の対を構成する第二端縁Ea2を含む一対の第二延出部32,32であって、それぞれが伝熱部30の外縁Eb2からY軸方向に延出した一対の第二延出部32,32とを備える。
【0032】
Z軸方向から見た伝熱部30の輪郭Ebは、Z軸方向から見た伝熱プレート3の輪郭Eaの相似形である。本実施形態において、伝熱プレート3は、Z軸方向から見て正方形状であるため、伝熱部30についてもZ軸方向から見て正方形状である。伝熱部30は、自身の輪郭Ebの二つの角を繋ぐ対角線が伝熱プレートの輪郭Eaの二つの角を繋ぐ対角線と重なるように配置される。また、伝熱部30は、自身の中心を伝熱プレート3全体の中心と一致させて配置されている。
【0033】
従って、伝熱部30の輪郭Ebには、互いに平行又は略平行な一対の外縁Eb1,Eb2が二対含まれる。本実施形態において、伝熱部30の輪郭Ebに含まれる外縁Eb1,Eb2は、伝熱プレート3の輪郭Eaに含まれる端縁Ea1,Ea2(第一端縁Ea1又は第二端縁Ea2)と平行又は略平行である。
【0034】
すなわち、伝熱部30の輪郭Ebは、X軸方向に間隔をあけ且つそれぞれがY軸方向に延びる一対の外縁(以下、第一外縁という)Eb1と、Y軸方向に間隔をあけ且つそれぞれがX軸方向に延びる一対の外縁(以下、第二外縁という)Eb2とを含む。上述の如く、本実施形態において、第一端縁Ea1及び第二端縁Ea2のそれぞれは、直線状であるため、第一外縁Eb1及び第二外縁Eb2のそれぞれも直線状である。
【0035】
伝熱部30は、流体(第一流体A又は第二流体B)の流路(後述する第一流路Ra、第二流路Rb)を形成する主たる領域であって、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換に貢献する主伝熱領域300aと、当該伝熱部30の一部の領域であって、主伝熱領域300aと隣接した応力緩和領域300bとを含む。
【0036】
伝熱部30の主伝熱領域300aの第一面S1には、複数の凹条301及び凸条302が形成され(図5参照)、伝熱部30の主伝熱領域300aの第二面S2には、第一面S1の凹条301と表裏の関係にある凸条302及び第一面S1の凸条302と表裏の関係にある凹条301が形成される(図6参照)。なお、図5及び図6等において、凹条301等の窪んだ部分にドットを付し、同一面上での凹凸関係を明確にしている。
【0037】
図5に示す如く、主伝熱領域300aの第一面S1にある凹条301及び凸条302は、X軸方向に延びる中心線(以下、縦中心線という)CL1及びY軸方向に延びる中心線(以下、横中心線という)CL2のそれぞれに対して傾斜する方向に延びる。すなわち、主伝熱領域300aの第一面S1にある凹条301及び凸条302は、X軸方向の成分とY軸方向の成分とを含む合成方向に延びる。主伝熱領域300aの第一面S1にある凹条301及び凸条302は、X軸方向の成分とY軸方向の成分とを含む合成方向に対して直交する方向で交互に並んでいる。
【0038】
上述の如く、伝熱部30の第二面S2にある凹条301は、第一面S1の凸条302と表裏の関係にあり、伝熱部30の第二面S2にある凸条302は、第一面S1の凹条301と表裏の関係にある。
【0039】
これに伴い、図6に示す如く、主伝熱領域300aの第二面S2にある凹条301及び凸条302は、X軸方向に延びる縦中心線CL1及び横中心線CL2のそれぞれに対して傾斜する方向に延びる。すなわち、主伝熱領域300aの第二面S2にある凹条301及び凸条302は、X軸方向の成分とY軸方向の成分とを含む合成方向に延びる。そして、主伝熱領域300aの第二面S2にある複数の凹条301及び凸条302は、X軸方向の成分とY軸方向の成分とを含む合成方向に対して直交する方向で交互に並んでいる。
【0040】
本実施形態において、伝熱部30(主伝熱領域300a)は、図5及び図6に示す如く、第一面S1上にある凹条301及び凸条302に跨り且つ第二面S2上にある凹条301及び凸条302に跨る補強部303を有する。
【0041】
本実施形態において、補強部303は、図7に示す如く、伝熱部30における第一面S1又は第二面S2の何れか一方(本実施形態においては第一面S1)で凹条301を挟んで横並びする三つの凸条302のそれぞれの中心線と対応する位置に配置された起点部304aと、前記三つの凸条302のうちの中央の凸条302の中心線上にある起点部304aと残りの二つの起点部304a,304aとを繋ぐ一対の接続部304b,304bとを含む少なくとも一つの屈曲平板部304を備える。
【0042】
屈曲平板部304において、前記三つの凸条302のうちの中央の凸条302の中心線と対応する位置に配置された起点部304aは、相手方の伝熱部30(Z軸方向で重なり合って隣り合う伝熱部30)の第一面S1又は第二面S2の何れか一方(本実施形態においては第一面S1)で凸条302を挟んで横並びする二つの凹条301,301のうちの一方の凹条301の中心線と対応する位置に配置される。これに対し、三つの凸条302…のうちの中央の凸条302の両側にある凸条302,302のそれぞれの中心線と対応する位置に配置された二つの起点部304a,304aは、相手方の伝熱部30(Z軸方向で重なり合って隣り合う伝熱部30)の第一面S1又は第二面S2の何れか一方(本実施形態においては第一面S1)で凸条302を挟んで横並びする二つの凹条301,301のうちの他方の凹条301の中心線と対応する位置に配置される。
【0043】
本実施形態において、凸条302は、縦中心線CL1に対して45°の角度に傾斜しているため、屈曲平板部304において、一方の接続部304bはX軸方向に延び、他方の接続部304bはY軸方向に延びている。すなわち、単一の起点部304aを介して接続された一対の接続部304b、304bは、隣り合う伝熱部30の凸条302,302同士の交差位置を内角側に位置させて(取り囲むように)直角をなす。
【0044】
補強部303(屈曲平板部304)は、図8に示す如く、Z軸方向における第一面S1上の凸条302の頂部と第二面S2上の凸条302の頂部との間に位置する。本実施形態において、補強部303は、第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間のZ軸方向における途中位置を通る第一仮想平面BLに沿った平板部分である。
【0045】
より具体的に説明すると、伝熱部30の第一面S1の凹条301は、X軸方向及びY軸方向に広がる基準面BLからZ軸方向に窪み、伝熱部30の第一面S1の凸条302は、基準面BLからZ軸方向に突出する。これに伴い、第一面S1の凹条301と表裏の関係にある第二面S2の凸条302は、基準面BLからZ軸方向に突出し、第一面S1の凸条302と表裏の関係にある第二面S2の凹条301は、基準面BLからZ軸方向に窪む。これを前提に、本実施形態において、第一面S1の凹条301と凸条302との境界となる基準面を第一仮想平面BLとしている。従って、本実施形態において、補強部303は、第一面S1の凹条301(凸条302)と第二面S2の凹条301(凸条302)との境界となる基準面BLに沿う(通る)ように形成される。
【0046】
本実施形態において、補強部303は、図5及び図6に示す如く、複数の屈曲平板部304を備える。複数の屈曲平板部304は、連続している。すなわち、隣り合う屈曲平板部304が、共通の起点部304aを介して接続される(図7参照)。
【0047】
これに伴い、複数の屈曲平板部304が連なった補強部303は、凹条301及び凸条302の延びる方向に対して直交する方向に長手をなし、Z軸方向から見てジグザク状に形成される。
【0048】
本実施形態において、伝熱部30(主伝熱領域300a)は、複数の補強部303を備える。複数の補強部303のうちの一つの補強部303は、伝熱部30の対角を結ぶように配置され、残りの補強部303は、伝熱部30の対角を結ぶ仮想線(本実施形態においては、対角を結ぶ補強部303の長手方向に延びる仮想線)を基準に対称となるように配置される。
【0049】
本実施形態において、伝熱部30の輪郭Ebが正方形状に形成されるため、縦中心線CL1又は横中心線CL2の何れか一方(本実施形態においては、縦中心線CL1)を回転軸にして伝熱プレート3を反転させることで、反転後の補強部303が反転前の補強部303に対してX軸方向に延びる中心線を基準に対称な位置に配置されるようになっている。
【0050】
応力緩和領域300bは、主伝熱領域300aの複数の凹条301及び凸条302のうち、凹条301及び凸条302の延長線(図示しない)が伝熱プレート3の輪郭Eaに含まれる第一端縁Ea1又は第二端縁Ea2の長手方向の端部に到達する凹条301及び凸条302の延長線を含む領域に設定される。
【0051】
応力緩和領域300bは、図9及び図10に示す如く、Z軸方向における第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間に位置する中段平板部305であって、X軸方向及びY軸方向に広がる中段平板部305を含む。本実施形態において、応力緩和領域300bは、第一面S1及び第二面S2のそれぞれに複数の凸部306であって、Z軸方向と直交する方向に間隔をあけて配置された複数の凸部306を含む。
【0052】
中段平板部305は、第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間のZ軸方向における途中位置を通る第一仮想平面BLに沿った平板部分である。
【0053】
応力緩和領域300bにおいて、第一面S1の凸部306と第二面S2の凸部306とは、Z軸方向と直交する方向に位置ずれして配置される。
【0054】
これに伴い、中段平板部305は、第一面S1の凸部306と第二面S2の凸部306との間に配置される。各応力緩和領域300bにおいて、第一面S1の凸部306の頂部及び第二面S2の凸部306の頂部のそれぞれは、Z軸方向と直交する方向(X軸方向及びY軸方向)に広がる平面である。
【0055】
本実施形態において、図5及び図6に示す如く、伝熱部30がZ方向から見て多角形状であることを前提に、主伝熱領域300aは、当該伝熱部30の平面形状に含まれる複数の角部のうちの少なくとも一つの角部を除く領域に設定され、応力緩和領域300bは、伝熱部30のうちの主伝熱領域300a以外の領域に設定される。
【0056】
本実施形態において、伝熱部30は、Z軸方向から見て四つの角部を含む四角(正方形)状である。これに伴い、本実施形態において、主伝熱領域300aは、当該伝熱部30の四つの角部を除く領域に設定され、応力緩和領域300bは、当該伝熱部30の四つの角部のそれぞれに設定される。本実施形態において、各応力緩和領域300bは、伝熱部30の直角な角を含んだ略直角三角形状の領域とされる。これに伴い、主伝熱領域300aは、平面視八角形状の領域とされる。
【0057】
具体的には、本実施形態において、伝熱プレート3は、伝熱部30の第一面S1をZ軸方向の一方側で隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1と対向させ、伝熱プレート3は、伝熱部30の第二面S2をZ軸方向の他方側で隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2と対向させる。これに伴い、図11及び図12に示す如く、伝熱部30の第一面S1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート3,3は、互いの応力緩和領域300bの第一面S1の凸部306の頂部同士を当接させ、伝熱部30の第二面S2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート3は、互いの応力緩和領域300bの第二面S2の凸部306の頂部同士を当接させる。
【0058】
本実施形態において、複数の伝熱プレート3をZ方向に重ね合わせるに際し、Z軸方向において一つおきに、縦中心線CL1又は横中心線CL2の何れか一方(本実施形態においては、縦中心線CL1を回転軸にして伝熱プレート3を反転させて配置する。これに伴い、図5及び図6に示す如く、本実施形態に係る伝熱プレート3は、主伝熱領域300aの凹条301及び凸条302の延長線上にある応力緩和領域300bに対し、縦中心線CL1又は横中心線CL2の何れか一方(本実施形態においては、縦中心線CL1)を基準にした対称となる領域にも応力緩和領域300bが設定される。従って、本実施形態に係る伝熱部30は、Z軸方向から見た角部を含む応力緩和領域300bを四つ含む。
【0059】
対称関係にある応力緩和領域300bの第一面S1の凸部306の配置は、縦中心線CL1又は横中心線CL2の何れか一方(本実施形態においては、縦中心線CL1)を基準に互いに対称関係にあり、対称関係にある応力緩和領域300bの第二面S2の凸部306の配置は、縦中心線CL1又は横中心線CL2の何れか一方(本実施形態においては、縦中心線CL1)を基準に互いに対称関係にある。
【0060】
図5図6、及び図13に示す如く、一対の第一延出部31,31のそれぞれは、X軸方向に基端と先端とを有する第一中段部310であって、Z軸方向における第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間の位置で伝熱部30に基端が接続された第一中段部310と、X軸方向と交差する方向に基端と先端とを有する第一折曲部311であって、基端が第一中段部310の先端に接続され、伝熱部30の第一面S1側に延出し且つ先端が二対の端縁Ea1,Ea2うちの一方の対を構成する端縁Ea1となる第一折曲部311とを備える。
【0061】
一対の第一延出部31,31のうちの一方の第一延出部31の第一中段部310の基端は、一対の第一外縁Eb1,Eb1のうちの一方の第一外縁Eb1に接続され、一対の第一延出部31,31のうちの他方の第一延出部31の第一中段部310の基端は、一対の第一外縁Eb1,Eb1のうちの他方の第一外縁Eb1に接続される。
【0062】
一対の第一延出部31,31のそれぞれの第一中段部310は、第一端縁Ea1,Ea1の延びる方向(Y軸方向)を長手とする帯板状の部分であり、長手方向と直交する方向(短手方向)において、基端と先端とを有する。
【0063】
第一中段部310は、図13に示す如く、第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間のZ軸方向における途中位置を通る第一仮想平面BLに沿うように、当該第一中段部310の基端が第一外縁Eb1に接続されている。本実施形態において、第一仮想平面BLは、上述の如く、第一面S1の凹条301と凸条302との境界となる基準面に設定されている。
【0064】
従って、第一延出部31の第一中段部310は、第一面S1の凹条301(凸条302)と第二面S2の凹条301(凸条302)との境界となる基準面BLに沿う(通る)ように、伝熱部30の第一外縁Eb1から延出している。
【0065】
一対の第一延出部31,31のそれぞれにおいて、第一折曲部311は、第一端縁Ea1の延びる方向(Y軸方向)を長手とする帯板状の部分であり、長手方向と直交する方向(短手方向)において、基端と先端とを有する。第一折曲部311の基端は、対応する第一中段部310の先端の全長に亘って接続される。
【0066】
第一折曲部311は、自身の基端(第一中段部310の先端)を支点にして伝熱部30の第一面S1側に曲げられている。本実施形態において、第一折曲部311は、接続された第一中段部310に対して傾斜している。
【0067】
具体的には、第一折曲部311は、X軸方向において先端を基端よりも外側に位置させるように傾斜している。この第一折曲部311の先端Ea1は、Z軸方向において伝熱部30の第一面S1の凸条302の頂部と同一レベルに位置する。本実施形態において、第一折曲部311の先端Ea1を含む所定範囲は、重ね合わされる伝熱プレート3との接続代(溶接代)として、Y軸方向に延びる仮想線を曲率中心にしてX軸方向において外側に湾曲している。
【0068】
図5及び図13に示す如く、本実施形態において、一対の第一延出部31,31のうちの少なくともの第一流路Raの上流側を始点にした凹条301が到達する第一延出部31は、第一中段部310からZ軸方向に突出した少なくとも一つの第一凸部312を備える。
【0069】
具体的には、上述の如く、伝熱部30の第一面S1にある複数の凹条301及び凸条302は、X軸方向の成分とY軸方向の成分とを含む合成方向に延び、且つ、X軸方向の成分とY軸方向の成分とを含む合成方向に対して直交する方向に並ぶ。このため、その複数の凹条301及び凸条302の中には、一対の第二外縁Eb2,Eb2のうちの一方の第二外縁Eb2を始点とし、一対の第一外縁Eb1,Eb1のうちの一方の第一外縁Eb1を終点とする凹条301及び凸条302が存在する。従って、一方の第一外縁Eb1を終点とする凹条301は、伝熱部30と第一中段部310との境界でX軸方向に向けて開放する。
【0070】
これに伴い、一方の第二外縁Eb2を始点とする凹条301が到達する第一延出部31は、第一中段部310を部分的に膨出させて第一面S1側に突出した第一凸部312を備える。
【0071】
本実施形態では、図13に示す如く、一対の第一延出部31,31のそれぞれが、第一中段部310を第一面S1側に膨出させた第一凸部312を備える。
【0072】
本実施形態において、第一凸部312は、第一中段部310の長手方向の略中央位置の一か所に配置される。第一凸部312は、X軸方向において第一中段部310の全幅に亘って形成される。すなわち、第一凸部312は、伝熱部30の第一外縁Eb1と第一折曲部311との間の略全範囲に存在する。
【0073】
本実施形態では、Z軸方向において、第一凸部312の頂部は、伝熱部30の第一面S1にある凸条302の頂部よりも低い位置に設定される。すなわち、第一凸部312の基準面BLからの突出量は、第一面S1の凸条302の基準面BLからの突出量より小さい。
【0074】
図5図6、及び図14に示す如く、一対の第二延出部32,32のそれぞれは、Y軸方向に基端と先端とを有する第二中段部320であって、Z軸方向における第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間の位置で伝熱部30に基端が接続された第二中段部320と、Y軸方向と交差する方向に基端と先端とを有する第二折曲部321であって、基端が第二中段部320の先端に接続され、伝熱部30の第二面S2側に延出し且つ先端が二対の端縁Ea1,Ea2うちの一方の対を構成する端縁Ea2となる第二折曲部321とを備える。
【0075】
一対の第二延出部32,32のうちの一方の第二延出部32の第二中段部320の基端は、一対の第二外縁Eb2,Eb2のうちの一方の第二外縁Eb2に接続され、一対の第二延出部32,32のうちの他方の第二延出部32の第二中段部320の基端は、一対の第二外縁Eb2,Eb2のうちの他方の第二外縁Eb2に接続される。
【0076】
一対の第二延出部32,32のそれぞれの第二中段部320は、第二端縁Ea2の延びる方向(X軸方向)を長手とする帯板状の部分であり、長手方向と直交する方向(短手方向)において、基端と先端とを有する。
【0077】
第二中段部320は、図14に示す如く、第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間のZ軸方向における途中位置を通る第二仮想平面BLに沿うように、当該第二中段部320の基端が第二外縁Eb2に接続されている。本実施形態において、第二仮想平面BLは、第一仮想平面BLと共通の仮想平面である。すなわち、第二仮想平面BLは、第一面S1の凹条301と凸条302との境界となる基準面に設定されている。
【0078】
従って、本実施形態における第二延出部32の第二中段部320は、第一面S1の凹条301(凸条302)と第二面S2の凹条301(凸条302)との境界となる基準面BLに沿う(通る)ように、伝熱部30の第二外縁Eb2から延出している。
【0079】
一対の第二延出部32,32のそれぞれにおいて、第二折曲部321は、第二端縁Ea2の延びる方向(X軸方向)を長手とする帯板状の部分であり、長手方向と直交する方向(短手方向)において、基端と先端とを有する。第二折曲部321の基端は、対応する第二中段部320の先端の全長に亘って接続される。
【0080】
第二折曲部321は、自身の基端(第二中段部320の先端)を支点にして伝熱部30の第二面S2側に曲げられている。本実施形態において、第二折曲部321は、接続された第二中段部320に対して傾斜している。
【0081】
具体的には、第二折曲部321は、Y軸方向において先端を基端よりも外側に位置させるように傾斜している。この第二折曲部321の先端Ea2は、Z軸方向において伝熱部30の第二面S2の凸条302の頂部と同一レベルに位置する。本実施形態において、第二折曲部321の先端Ea2を含む所定範囲は、重ね合わされる伝熱プレート3との接続代(溶接代)として、X軸方向に延びる仮想線を曲率中心にしてY軸方向において外側に湾曲している。
【0082】
図6及び図14に示す如く、一対の第二延出部32,32のうちの少なくともの第二流路Rbの上流側を始点にした凹条301が到達する第二延出部32は、第二中段部320からZ軸方向に突出した少なくとも一つの第二凸部322を備える。
【0083】
具体的には、上述の如く、伝熱部30の第二面S2にある複数の凹条301及び凸条302は、X軸方向の成分とY軸方向の成分とを含む合成方向に延び、且つ、X軸方向の成分とY軸方向の成分とを含む合成方向に対して直交する方向に並ぶ。このため、その複数の凹条301及び凸条302の中には、一対の第一外縁Eb1,Eb1のうちの一方の第一外縁Eb1を始点とし、一対の第二外縁Eb2,Eb2のうちの一方の第二外縁Eb2を終点とする凹条301及び凸条302が存在する。従って、一方の第二外縁Eb2を終点とする凹条301は、伝熱部30と第二中段部320との境界でY軸方向に向けて開放する。
【0084】
これに伴い、一方の第一外縁Eb1を始点とする凹条301が到達する第二延出部32は、第二中段部320を部分的に膨出させて第二面S2側に突出した第二凸部322を備える。
【0085】
本実施形態では、図14に示す如く、一対の第二延出部32,32のそれぞれが、第二中段部320を第二面S2側に膨出させた第二凸部322を備える。
【0086】
本実施形態において、第二凸部322は、第二延出部32の長手方向の略中央位置の一か所に配置される。第二凸部322は、Y軸方向において第二中段部320の全幅に亘って形成される。すなわち、第二凸部322は、伝熱部30の第二外縁Eb2と第二折曲部321との間の略全範囲に存在する。
【0087】
本実施形態では、Z軸方向において、第二凸部322の頂部は、伝熱部30の第二面S2にある凸条302の頂部よりも低い位置に設定される。すなわち、第二凸部322の基準面BLからの突出量は、第二面S2の凸条302の基準面BLからの突出量より小さい。
【0088】
複数の伝熱プレート3は、輪郭Eaを一致又は略一定させるようにZ軸方向に重ね合わされる。具体的には、図15及び図16に示す如く、複数の伝熱プレート3のそれぞれは、自身の伝熱部30の第一面S1をZ軸方向の一方側で隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1を対向させるとともに、自身の伝熱部30の第二面S2をZ軸方向の他方側で隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2を対向させる。すなわち、複数の伝熱プレート3は、それぞれの伝熱部30をZ方向に重ね合わせるに際し、一つおきに縦中心線CL1又は横中心線CL2の何れか一方(本実施形態においては、縦中心線CL1)を回転軸にして反転される。
【0089】
これにより、伝熱部30の第一面S1同士を対向させる二つの伝熱プレート3は、図17及び図18に示す如く、互いの伝熱部30の第一面S1の凸条302同士を交差衝合させ、伝熱部30の第二面S2同士を対向させる二つの伝熱プレート3は、図19及び図20に示す如く、互いの伝熱部30の第一面S1の凸条302同士を交差衝合させる。
【0090】
そして、本実施形態において、補強部303の屈曲平板部304が上記の態様にされることで、補強部303は、伝熱部30の第一面S1同士を対向させる伝熱プレート3の凸条302同士の交差点CP1を躱して配置されるとともに、伝熱部30の第二面S2同士を対向させる伝熱プレート3の凸条302同士の交差点CP2を躱して配置される。
【0091】
この状態において、図15及び図16に示す如く、伝熱部30の第一面S1同士を対向させた伝熱プレート3の第一折曲部311の先端(第一端縁Ea1)同士は、線状に突き合わせた状態となり、伝熱部30の第二面S2同士を対向させた伝熱プレート3の第二折曲部321の先端(第二端縁Ea2)同士は、線状に突き合わせた状態となる。これに伴い、突き合わせ状態になった第一折曲部311の先端(第一端縁Ea1)同士が溶接によって接続され、突き合わせ状態になった第二折曲部321の先端(第二端縁Ea2)同士が溶接によって接続される。
【0092】
すなわち、第一折曲部311の先端(第一端縁Ea1)を含んだ部分同士が溶け込んだ第一溶接部330がY軸方向に延びて形成され、第二折曲部321の先端(第二端縁Ea2)を含んだ部分同士が溶け込んだ第二溶接部331がX軸方向に延びて形成される。
【0093】
これにより、伝熱部30の第一面S1同士を対向させた伝熱プレート3間には、何れか一方の第二端縁Ea2間を第一流入口Ra1とするとともに、何れか他方の第二端縁Ea2間を第一流出口Ra2とする第一流路RaがY軸方向に延びて形成され(図16参照)、伝熱部30の第二面S2同士を対向させた伝熱プレート3間には、何れか一方の第一端縁Ea1間を第二流入口Rb1とするとともに、何れか他方の第一端縁Ea1間を第二流出口Rb2とする第二流路RbがX軸方向に延びて形成される(図15参照)。
【0094】
本実施形態において、図21に示す如く、第一溶接部330は、第一流路Ra内で露出し、図22に示す如く、第二溶接部331は、第二流路Rb内で露出している。
【0095】
具体的に説明すると、図21に示す如く、第一折曲部311は、接続された第一中段部310に対して先端Ea1側ほどX軸方向において外側に位置するように傾斜している。そのため、伝熱部30の第一面S1同士を対向させた伝熱プレート3の第一折曲部311の内面は、第一流路Raの内側に向かうほど拡大した空間を形成する。
【0096】
第一流路Ra内に露出する第一溶接部330は、接続された二つの第一折曲部311のそれぞれの内面に対する二本の仮想線(以下、第一仮想線という)VL1の交点P1を含むように形成される。本実施形態において、第一折曲部311の先端Ea1を含む所定範囲が外側に向けて湾曲しているため、二本の第一仮想線VL1のそれぞれは、第一折曲部311の湾曲した内面に対する接線(湾曲した内面(第一面S1)と一点を共有する線)である。二本の第一仮想線VL1は、溶接前における先端Ea1の突き合わせ位置を通ってX軸方向に延びる仮想線(図示しない)を基準に互いに対称な関係にある。
【0097】
本実施形態において、第一溶接部330は、第一流路Raに露出するとともに、第一流路Raの内側に向けて膨出している。すなわち、第一溶接部330のZ軸方向における両エッジは、第一仮想線VL1の交点P1よりもX軸方向において第一流路Ra側にある。
【0098】
図22に示す如く、第二折曲部321は、接続された第二中段部320に対して先端側ほどY軸方向において外側に位置するように傾斜している。そのため、伝熱部30の第二面S2同士を対向させた伝熱プレート3の第二折曲部321の内面は、第二流路Rbの内側に向かうほど拡大した空間を形成する。
【0099】
これに伴い、第二流路Rb内に露出する第二溶接部331は、接続された二つの第二折曲部321のそれぞれの内面に対する二本の仮想線(以下、第二仮想線という)VL2の交点P2を含むように形成される。本実施形態において、第二折曲部321の先端Ea2を含む所定範囲が外側に向けて湾曲しているため、二本の第二仮想線VL2のそれぞれは、第二折曲部321の湾曲した内面に対する接線(湾曲した内面(第二面S2)と一点を共有する線)である。二本の第二仮想線VL2は、溶接前における先端Ea2の突き合わせ位置を通ってY軸方向に延びる仮想線(図示しない)を基準に互いに対称な関係にある。
【0100】
本実施形態において、第二溶接部331は、第二流路Rbに露出するとともに、第二流路Rbの内側に向けて膨出している。すなわち、第二溶接部331のX軸方向における両エッジは、第二仮想線VL2の交点P2よりもX軸方向において第二流路Rb側にある。
【0101】
このように、複数の伝熱プレート3がZ軸方向に重ね合わされ、隣り合う伝熱プレート3の第一端縁Ea1,Ea1同士が接続されるとともに、隣り合う伝熱プレート3の第二端縁Ea2,Ea2同士が接続されることにより、複数の伝熱プレート3は、図2乃至図4図9及び図10に示す如く、一体となり、伝熱プレート積層体LBを構成する。
【0102】
複数の伝熱プレート3は、上述の如く、輪郭Eaを一致させた状態で重ね合わされる。これに伴い、伝熱プレート積層体LBは、図15及び図16に示す如く、各伝熱プレート3の一方の第一端縁Ea1同士を接続した第一溶接部330がZ軸方向に並ぶ第一表面Saと、各伝熱プレート3の他方の第一端縁Ea1同士を接続した第一溶接部330がZ軸方向に並ぶ第二表面Sbと、各伝熱プレート3の一方の第二端縁Ea2を接続した第二溶接部331がZ軸方向に並ぶ第三表面Scと、各伝熱プレート3の他方の第二端縁Ea2同士を接続した第二溶接部331がZ軸方向に並ぶ第四表面Sdとを周囲に含む。
【0103】
伝熱プレート積層体LBの第一表面Saは、図15に示す如く、それぞれがZ軸方向と直交する方向に延び且つZ軸方向に間隔をあけた複数の第一溶接部330と、Z軸方向で隣り合う第一溶接部330間によって画定され、それぞれが対応する第二流路Rbと繋がる複数の第二流入口Rb1及び第二流出口Rb2の少なくとも何れか一方とを含む。
【0104】
伝熱プレート積層体LBの第二表面Sbは、それぞれがZ軸方向と直交する方向に延び且つZ軸方向に間隔をあけた複数の第一溶接部330と、Z軸方向で隣り合う第一溶接部330間によって画定され、それぞれが対応する第二流路Rbと繋がる複数の第二流入口Rb1及び第二流出口Rb2の少なくとも何れか他方とを含む。
【0105】
伝熱プレート積層体LBの第三表面Scは、図16に示す如く、それぞれがZ軸方向と直交する方向に延び且つZ軸方向に間隔をあけた複数の第二溶接部331と、Z軸方向で隣り合う第二溶接部331間によって画定され、それぞれが対応する第一流路Raと繋がる複数の第一流入口Ra1及び複数の第一流出口Ra2の少なくとも何れか一方とを含む。
【0106】
伝熱プレート積層体LBの第四表面Sdは、それぞれがZ軸方向と直交する方向に延び且つZ軸方向に間隔をあけた複数の第二溶接部331と、Z軸方向で隣り合う第二溶接部331間によって画定され、それぞれが対応する第一流路Raと繋がる複数の第一流入口Ra1及び複数の第一流出口Ra2の少なくとも何れか他方とを含む。
【0107】
図4に戻り、外装体4は、複数の伝熱プレート3(伝熱プレート積層体LB)の周囲に配置される複数の外装プレート40,41,42,43,44,45と、複数の外装プレート40,41,42,43,44,45を複数の伝熱プレート3(伝熱プレート積層体LB)に対して定位置で支持する支持フレーム46とを備える。
【0108】
外装プレート40,41,42,43,44,45には、Z軸方向の延びる中心線を基準とした複数の伝熱プレート3の周囲に配置されるもの40,41,42,43と、Z軸方向において複数の伝熱プレート3の両側に配置されるもの44,45とが含まれる。
【0109】
重ね合わされた複数の伝熱プレート3の周囲に配置される外装プレート40,41,42,43,44,45は、伝熱プレート3の輪郭Eaに含まれる端縁Ea1,Ea2の数に応じて設けられる。すなわち、複数の伝熱プレート3の周囲に配置される外装プレート40,41,42,43,44,45は、伝熱プレート積層体LBの周囲にできる表面Sa,Sb,Sc,Sdの数に応じて設けられる。
【0110】
本実施形態において、伝熱プレート3は、Z軸方向から見て四角形状(正方形状)であり、輪郭Eaに四つの端縁(一対の第一端縁Ea1,Ea1、及び一対の第二端縁Ea2,Ea2)が含まれる。これに伴い、伝熱プレート積層体LBの周囲には、四つの外装プレート40,41,42,43,44,45が配置される。
【0111】
具体的には、本実施形態に係るプレート式熱交換器1(熱交換部2)は、外装プレート40,41,42,43,44,45として、伝熱プレート積層体LBの第一表面Saの全面に対向する第一外装プレート40と、伝熱プレート積層体LBの第二表面Sbの全面に対向する第二外装プレート41と、伝熱プレート積層体LBの第三表面Scの全面と対向する第三外装プレート42と、伝熱プレート積層体LBの第四表面Sdの全面に対向する第四外装プレート43とを備える。
【0112】
本実施形態において、第一外装プレート40には、第二給液口Pb1及び第二排液口Pb2が取り付けられる。具体的には、第一外装プレート40は、Z軸方向と直交する方向に貫通した二つの貫通孔(図示しない)であって、Z軸方向に間隔をあけて配置された二つの貫通孔を有する。本実施形態において、第一外装プレート40の二つの貫通孔は、Z軸方向における当該第一外装プレート40の中間位置を基準にした対称位置に配置される。そして、第一外装プレート40には、第二給液口Pb1が二つの貫通孔のうちの一方の貫通孔と連通するように取り付けられ、第二排液口Pb2が二つの貫通孔のうちの他方の貫通孔と連通するように取り付けられる。
【0113】
また、本実施形態において、第三外装プレート42には、第一給液口Pa1及び第一排液口Pa2が取り付けられる。具体的には、第三外装プレート42は、Z軸方向と直交する方向に貫通した二つの貫通孔であって、Z軸方向に間隔をあけて配置された二つの貫通孔を有する。本実施形態において、第三外装プレート42の二つの貫通孔は、Z軸方向における当該第三外装プレート42の中間位置を基準にした対称位置に配置される。そして、第三外装プレート42には、第一給液口Pa1が二つの貫通孔のうちの一方の貫通孔と連通するように取り付けられ、第一排液口Pa2が二つの貫通孔のうちの他方の貫通孔と連通するように取り付けられる。
【0114】
第二外装プレート41及び第四外装プレート43のそれぞれは、伝熱プレート積層体LBと対向する領域に貫通孔がなく、伝熱プレート積層体LBの対応する面(第二表面Sb、第四表面Sd)を完全に覆う。
【0115】
Z軸方向において複数の伝熱プレート3の両側に配置される外装プレート44,45は、伝熱プレート3のZ軸方向から見た形状及びサイズに対応している。本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、複数の伝熱プレート3を重ね合わせる方向を上下方向にして配置される。これに伴い、熱交換部2は、Z軸方向において複数の伝熱プレート3の両側に配置される外装プレート44,45として、伝熱プレート積層体LBの下端を支持するアンダープレート44と、伝熱プレート積層体LBの上端に重ねられるアッパープレート45とを備える。
【0116】
支持フレーム46は、伝熱プレート3の角部のそれぞれに対応して配置される複数の柱体46a…により構成される。本実施形態において、伝熱プレート3が四角形状であるため、柱体46a…は、伝熱プレート3の角部に対応して四つ設けられる。
【0117】
本実施形態において、柱体46a…は、角柱状であり、自身の中心線をZ軸方向に一致させた状態で、自身の一つの角部を伝熱プレート3の一つの角部に一致させて配置される。すなわち、柱体46a…は、自身の角部を伝熱プレート積層体LBの一つの角部に沿わせて配置される。
【0118】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、伝熱プレート積層体LBとアンダープレート44との間及び伝熱プレート積層体LBとアッパープレート45との間のそれぞれに配置されるライニング部材47を備える。すなわち、プレート式熱交換器1は、伝熱プレート積層体LBをZ軸方向で挟む一対のライニング部材47であって、それぞれが対向する伝熱プレート3に溶接によって固定されたライニング部材47を備える。ライニング部材47は、Z軸方向から見て四角形状をなし、四隅(四つの角部)に切欠きが設けられている。これに伴い、本実施形態において、四つの柱体46a…は、二つのライニング部材47,47のそれぞれの角部に対して嵌め合わされた状態で配置される。
【0119】
第一外装プレート40は、伝熱プレート積層体LBの第一表面Saの両側にある二本の柱体46a…に対して液密な状態で該二本の柱体46a…に連結され、第二外装プレート41は、伝熱プレート積層体LBの第二表面Sbの両側にある二本の柱体46a…に対して液密な状態で該二本の柱体46a…に連結される。また、第三外装プレート42は、伝熱プレート積層体LBの第三表面Scの両側にある二本の柱体46a…に対して液密な状態で該二本の柱体46a…に連結され、第四外装プレート43は、伝熱プレート積層体LBの第四表面Sdの両側にある二本の柱体46a…に対して液密な状態で該二本の柱体46a…に連結される。
【0120】
これにより、第一外装プレート40は、伝熱プレート積層体LBの第一表面Saと間隔をあけて対向し、第二外装プレート41は、伝熱プレート積層体LBの第二表面Sbと間隔をあけて対向する。第三外装プレート42は、伝熱プレート積層体LBの第三表面Scと間隔をあけて対向し、第四外装プレート43は、伝熱プレート積層体LBの第四表面Sdと間隔をあけて対向する。
【0121】
なお、アンダープレート44及びアッパープレート45のそれぞれは、伝熱プレート積層体LBに重ね合わされた状態で、四つの柱体46a…、第一外装プレート40、第二外装プレート41、第三外装プレート42、及び第四外装プレート43に連結される。
【0122】
第一仕切プレート5及び第二仕切プレート6は、Z軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート3のZ軸方向の中間位置にある伝熱プレート3に接続される。具体的には、第一仕切プレート5は、伝熱プレート積層体LBを構成する複数の伝熱プレート3のうちのZ軸方向の中間位置にある伝熱プレート3の一方の第二端縁Ea2と第三外装プレート42とに密接し、該伝熱プレート3の第二端縁Ea2と第三外装プレート42との間を液密に閉じる。これに対し、第二仕切プレート6は、伝熱プレート積層体LBを構成する複数の伝熱プレート3のうちのZ軸方向の中間位置にある伝熱プレート3の一方の第一端縁Ea1と第一外装プレート40とに密接し、該伝熱プレート3の第一端縁Ea1と第一外装プレート40との間を液密に閉じる。
【0123】
これにより、第一仕切プレート5及び第二仕切プレート6は、伝熱プレート積層体LBを疑似的にZ軸方向で二つのブロックB1,B2に区切る。
【0124】
具体的には、図15に示す如く、伝熱プレート積層体LBのうちの何れか一方のブロックB1,B2(本実施形態においては、上側にある一方のブロックB1)の第一表面Saにある第一溶接部330間が第二流入口Rb1となるとともに、伝熱プレート積層体LBのうちの何れか他方のブロックB1,B2(本実施形態においては、下側にある他方のブロックB2)の第一表面Saにある第一溶接部330間が第二流出口Rb2となる。これに伴い、伝熱プレート積層体LBのうちの何れか一方のブロックB1,B2(本実施形態においては、上側にある一方のブロックB1)の第二表面Sbにある第一溶接部330間が第二流出口Rb2となるとともに、伝熱プレート積層体LBのうちの何れか他方のブロックB1,B2(本実施形態においては、下側にある一方のブロックB1)の第二表面Sbにある第一溶接部330間が第二流入口Rb1となる。
【0125】
さらに、図16に示す如く、伝熱プレート積層体LBのうちの何れか一方のブロックB1,B2(本実施形態においては、下側にある他方のブロックB2)の第三表面Scにある第二溶接部331間が第一流入口Ra1となるとともに、伝熱プレート積層体LBのうちの何れか他方のブロックB1,B2(本実施形態においては、上側にある一方のブロックB1)の第三表面Scにある第二溶接部331間が第一流出口Ra2となる。これに伴い、伝熱プレート積層体LBのうちの何れか一方のブロックB1,B2(本実施形態においては、下側にある他方のブロックB2)の第四表面Sdにある第二溶接部331間が第一流出口Ra2となるとともに、伝熱プレート積層体LBのうちの何れか他方のブロックB1,B2(本実施形態においては、上側にある一方のブロックB1)の第四表面Sdにある第二溶接部331間が第一流入口Ra1となる。
【0126】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、以上の通りであり、第一流体Aが第一給液口Pa1から供給されると、第一流体Aは、図2及び図17に示す如く、伝熱プレート積層体LBの他方のブロックB2にある複数の第一流入口Ra1を介して複数の第一流路Raを流通した上で複数の第一流出口Ra2から流出し、第四外装プレート43によって方向変換される。そして、第一流体Aは、図2及び図18に示す如く、伝熱プレート積層体LBの一方のブロックB1にある複数の第一流入口Ra1を介して複数の第一流路Raを流通した上で複数の第一流出口Ra2から流出し、第一排液口Pa2から排液される。
【0127】
また、これに併せ、第二流体Bが第二給液口Pb1から供給されると、第二流体Bは、図3及び図19に示す如く、伝熱プレート積層体LBの一方のブロックB1にある複数の第二流入口Rb1を介して複数の第二流路Rbを流通した上で複数の第二流出口Rb2から流出し、第二外装プレート41によって方向変換される。そして、第二流体Bは、図3及び図20に示す如く、伝熱プレート積層体LBの他方のブロックB2にある複数の第二流入口Rb1を介して複数の第二流路Rbを流通した上で複数の第二流出口Rb2から流出し、第二排液口Pb2から排液される。
【0128】
このように第一流路Raで第一流体Aが流通するとともに、第二流路Rbで第二流体Bが流通することにより、第一流体A及び第二流体Bは、第一流路Raと第二流路Rbとの境界となる伝熱プレート3(伝熱部30)を介して熱交換を行う。
【0129】
ところで、第一流体Aが第一流路Raを流通する際、第一流体Aは、主として対向する伝熱部30間をY軸方向に流通するが、その中には、間隔をあけて対向する第一中段部310間に直接入り込むものや、第一流路Raを画定する伝熱部30の第一面S1にある凹条301に沿って流れ、第一中段部310間に入り込むものがある。
【0130】
本実施形態において、伝熱プレート3は、図15に示す如く、第一流路Raの上流側から延びる凹条301が開放する境界を画定する第一中段部310から相手方に向けて突出した第一凸部312を有するため、第一中段部310間を流通しようとする第一流体Aの流れを阻害する。これにより、第一中段部310間にある第一流体Aに抵抗を与え、該第一流体Aを主たる経路に戻す或いは第一中段部310間で停滞させるため、第一中段部310間に入った第一流体Aを熱交換に寄与させることができる。
【0131】
特に、本実施形態において、対向する伝熱プレート3のそれぞれが対応した位置に第一凸部312を有し、該第一凸部312が伝熱部30の第一面S1にある凸条302よりも低いため、対向する第一凸部312間に僅かに空間ができる。従って、第一中段部310間にある第一流体Aは、第一凸部312間の空間を通って下流側に流通できる。これにより、第一流体Aに不純物等が含まれている場合、その不純物が第一中段部310間で堆積し、腐敗する等をいった事態になることが防止される。
【0132】
また、第二流体Bが第二流路Rbを流通する際も同様である。具体的には、第二流体Bが第二流路Rbを流通する際、第二流体Bは、主として対向する伝熱部30間をX軸方向に流通するが、その中には、間隔をあけて対向する第二中段部320間に直接入り込むものや、第二流路Rbを画定する伝熱部30の第二面S2にある凹条301に沿って流れ、第二中段部320間に入り込むものがある。
【0133】
本実施形態において、伝熱プレート3は、図16に示す如く、第二流路Rbの上流側から延びる凹条301が開口する境界を画定する第二中段部320から相手方に向けて突出した第二凸部322を有するため、第二中段部320間を流通しようとする第二流体Bの流れを阻害する。これにより、第二中段部320間にある第二流体Bに抵抗を与え、該第二流体Bを主たる経路に戻す或いは第二中段部320間で停滞させるため、第二中段部320間に入った第二流体Bを熱交換に寄与させることができる。
【0134】
特に、本実施形態において、対向する伝熱プレート3のそれぞれが対応した位置に第二凸部322を有し、該第二凸部322が伝熱部30の第二面S2にある凸条302よりも低いため、対向する第二凸部322間に僅かに空間ができる。従って、第二中段部320間にある第二流体Bは、第二凸部322間の空間を通って下流側に流通できる。これにより、第二流体Bに不純物等が含まれている場合、その不純物が第二中段部320間で堆積し、腐敗する等をいった事態になることが防止される。
【0135】
さらに、本実施形態に係るプレート式熱交換器1においては、伝熱プレート3同士の接続部分(第一溶接部330、第二溶接部331)が損傷することが防止される。
【0136】
具体的には、第一流体Aが第一流路Raを流通する際、Z軸方向で隣り合う伝熱プレート3(伝熱部30)には流体圧が作用し、第一流体A(流体圧)が隣り合う伝熱プレート3(伝熱部30)をZ軸方向において離間させようとする。このとき、第一折曲部311が先端Ea1側を支点に起き上がろうとし、隣り合う伝熱プレート3の第一端縁Ea1,Ea1同士を接続した部分にも同様の互いに離間しようとする。そのため、第一溶接部330に対して、隣り合う伝熱プレート3が離間しようとする力(第一折曲部311が先端Ea1側を支点に起き上がろうとする力)が作用することになるが、本実施形態において、第一端縁Ea1,Ea1同士を接続する第一溶接部330が第一流路Ra内に露呈しているため、その力が第一流路Ra内に露呈する第一溶接部330の表面で分散される。従って、第一溶接部330の一か所に力が集中的に作用しないため、第一溶接部330に亀裂等入ることなく第一溶接部330が十分に対抗する。
【0137】
特に、本実施形態において、第一流路Ra内に露出する第一溶接部330は、図21に示す如く、接続された二つの第一折曲部311のそれぞれの内面に沿った二本の第一仮想線VL1の交点P1を含むように形成されるため、二つの第一折曲部311の離間の起点となる箇所(交点P1と一致する部分)が二つの第一折曲部311に跨って形成される第一溶接部330によって埋められている。これにより、第一溶接部330の亀裂等の発生要因となる二つの第一折曲部311の離間(起き上がり)が抑えられる。従って、本実施形態では、第一溶接部330は、第一流体Aの流体圧の影響で発生する力に対する対抗性を有するだけでなく、自身に影響を与える発生要因を解消できるため、亀裂や割れ等の損傷の発生をより抑えることができる。
【0138】
また、第二流体Bが第二流路Rbを流通する際、Z軸方向で隣り合う伝熱プレート3(伝熱部30)には流体圧が作用し、第二流体B(流体圧)が隣り合う伝熱プレート3(伝熱部30)をZ軸方向において離間させようとする。このとき、第二折曲部321が先端Ea2側を支点に起き上がろうとし、隣り合う伝熱プレート3の第二端縁Ea2,Ea2同士を接続した部分にも同様の互いに離間しようとする。そのため、第二溶接部331に対して、隣り合う伝熱プレート3が離間しようとする力(第二折曲部321が先端Ea2側を支点に起き上がろうとする力)が作用することになるが、本実施形態において、第二端縁Ea2,Ea2同士を接続する第二溶接部331が第二流路Rb内に露呈しているため、その力が第二流路Rb内に露呈する第二溶接部331の表面で分散される。従って、第二溶接部331の一か所に力が集中的に作用しないため、第二溶接部331に亀裂等入ることなく第二溶接部331が十分に対抗する。
【0139】
特に、本実施形態において、第二流路Rb内に露出する第二溶接部331は、図22に示す如く、接続された二つの第二折曲部321のそれぞれの内面に沿った二本の第二仮想線VL2の交点P2を含むように形成されるため、二つの第二折曲部321の離間の起点となる箇所(交点P2と一致する部分)が二つの第二折曲部321に跨って形成される第二溶接部331によって埋められている。これにより、第二溶接部331の亀裂等の発生要因となる二つの第二折曲部321の離間(起き上がり)が抑えられる。従って、本実施形態では、第二溶接部331は、第二流体Bの流体圧の影響で発生する力に対する対抗性を有するだけでなく、自身に影響を与える発生要因を解消できるため、亀裂や割れ等の損傷の発生をより抑えることができる。
【0140】
また、本実施形態において、図5及び図6に示す如く、伝熱部30が、主伝熱領域300aの複数の凹条301及び凸条302のうち、凹条301及び凸条302の延長線が第一溶接部330又は第二溶接部331の端部に到達する凹条301及び凸条302の延長線を含む領域に設定された応力緩和領域300bを含み、応力緩和領域300bは、図11及び図12に示す如く、Z軸方向における第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間で、Z軸方向と直交する方向(X軸方向及びY軸方向のそれぞれ)に広がる中段平板部305を含む。これにより、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換による熱影響によって、伝熱部30(主伝熱領域300a)が凹条301及び凸条302の延びる方向に膨張又は収縮をしたとしても、その膨張又は収縮に伴う力(凹条301及び凸条302)の延びる方向に作用する力)が中段平板部305によって面方向に分散される。これによって、第一溶接部330の端部及び第二溶接部331の端部に対して応力が集中的に作用することが抑制される。
【0141】
また、本実施形態において、伝熱部30の第一面S1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート3は、互いの応力緩和領域300bの第一面S1の凸部306の頂部同士を当接させ、伝熱部30の第二面S2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート3は、互いの応力緩和領域300bの第二面S2の凸部306の頂部同士を当接させているため、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換による熱影響や、第一流体A又は第二流体Bの流体圧の影響によって、伝熱プレート3(応力緩和領域300b)がZ軸方向に移動(湾曲)しようとしても、相互に支持し合うため、伝熱プレート3同士の相対的な移動が阻止される。これによっても、第一溶接部330の端部及び第二溶接部331の端部に対して応力が集中的に作用することが抑制される。
【0142】
特に、本実施形態において、第一面S1の凸部306の頂部及び第二面S2の凸部306の頂部のそれぞれは、Z軸方向と直交する方向に広がる平面であるため、隣り合う伝熱プレート3(伝熱部30)の凸部306同士を接触させた状態(支持した状態)にしても、凸部306同士の接触面においてZ軸方向と直交する方向の移動が許容される。この結果、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換による熱影響や、第一流体A又は第二流体Bの流体圧の影響によって、伝熱プレート3(応力緩和領域300b)がZ軸方向に移動(湾曲)しようとしたときに、Z軸方向と直交する方向において相互を拘束し合うことがなく、当該領域においても応力が集中的に作用することが阻止される。
【0143】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、それぞれがZ軸方向において第一面S1と該第一面S1に対して反対側を向く第二面S2とを有する伝熱部30を含むとともに、Z軸方向から見て互いに平行又は略平行な一対の端縁Ea1,Ea2を少なくとも二対を含んだ輪郭Eaを有し、且つ輪郭Eaを一致又は略一定させるようにZ軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート3であって、それぞれの伝熱部30の第一面S1をZ軸方向の一方側で隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1と対向させるとともに、それぞれの伝熱部30の第二面S2をZ軸方向の他方側で隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2と対向させた複数の伝熱プレート3と、伝熱部30の第一面S1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート3の二対のうちの一方の対を構成する端縁Ea1を含む部分同士が溶け込むことで形成された第一溶接部330であって、隣り合う伝熱プレート3の二対のうちの一方の対を構成する端縁Ea1同士を液密に接続する第一溶接部330と、伝熱部30の第二面S2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート3の二対のうちの他方の対を構成する端縁Ea2を含む部分が溶け込むことで形成された第二溶接部331であって、隣り合う伝熱プレート3の二対のうちの他方の対を構成する端縁Ea2同士を液密に接続する第二溶接部331とを備え、隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1間に第一流体Aを第一溶接部330の延びる方向と同方向に流通させる第一流路Raが形成されるとともに、隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2間に第二流体Bを第二溶接部331の延びる方向と同方向に流通させる第二流路Rbが形成され、複数の伝熱プレート3のそれぞれの伝熱部30は、第一面S1及び第二面S2のそれぞれに第一溶接部330又は第二溶接部331の延びる方向に対して傾斜する方向に延びる複数の凹条301及び凸条302を有する主伝熱領域300aと、主伝熱領域300aに隣接する応力緩和領域300bであって、主伝熱領域300aの複数の凹条301及び凸条302のうち、凹条301及び凸条302の延長線が第一溶接部330又は第二溶接部331の端部に到達する凹条301及び凸条302の延長線を含む領域に設定された応力緩和領域300bとを含み、応力緩和領域300bは、Z軸方向における第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間で、Z軸方向と直交するX軸方向及びZ軸方向とX軸方向とに直交するY軸方向に広がる中段平板部305を含む。
【0144】
上記構成によれば、応力緩和領域300bは、主伝熱領域300aの凹条301及び凸条302の延長線であって、第一溶接部330又は第二溶接部331の端部に到達する延長線を含む領域に設定されるため、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換に伴う熱影響によって伝熱部30が膨張又は収縮し、該伝熱部30に対して凹条301及び凸条302の延びる方向に力が作用したときに、その力が第一溶接部330又は第二溶接部331の端部に作用する前に応力緩和領域300bがその力を受ける。すなわち、応力緩和領域300bは、主伝熱領域300aの凹条301及び凸条302の延びる方向の力が第一溶接部330又は第二溶接部331に直接作用することを阻止する。
【0145】
そして、応力緩和領域300bは、Z軸方向と直交するX軸方向及びZ軸方向とX軸方向とに直交するY軸方向に広がる中段平板部305を含むため、中段平板部305が凹条301及び凸条302の延びる方向に作用する力をZ軸方向と直交する方向に分散させる。これに伴い、第一溶接部330又は第二溶接部331の端部には、大きな力がそのまま作用することなく分散された小さな力が作用することになる。従って、第一溶接部330又は第二溶接部331の端部に応力が集中的に作用することがなく、第一溶接部330又は第二溶接部331の損傷が抑えられる。
【0146】
また、本実施形態において、応力緩和領域300bは、第一面S1及び第二面S2のそれぞれに形成された複数の凸部306…であって、Z軸方向と直交する方向に間隔をあけて配置された複数の凸部306…を含み、第一面S1の凸部306と第二面S2の凸部306とはZ軸方向と直交する方向に位置ずれして配置され、中段平板部305は、第一面S1の凸部306と第二面S2の凸部306との間に配置され、伝熱部30の第一面S1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート3は、互いの応力緩和領域300bの第一面S1の凸部306の頂部同士を当接させ、伝熱部30の第二面S2同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの応力緩和領域300bの第二面S2の凸部306の頂部同士を当接させる。
【0147】
上記構成によれば、隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の応力緩和領域300bの凸部306の頂部同士を接触させているため、隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30全域(主伝熱領域300a及び応力緩和領域300b)が互いに支持し合う。これにより、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換に伴う熱影響や、第一流体A又は第二流体Bの流体圧の作用によって、伝熱プレート3(伝熱部30)がZ軸方向に変形しようとしても、互いに拘束し合う。従って、伝熱プレート3(伝熱部30)の変形することが抑制されるため、第一溶接部330又は第二溶接部331の端部に集中した応力が作用することが防止される。
【0148】
特に、本実施形態において、第一面S1の凸部306の頂部及び第二面S2の凸部306の頂部のそれぞれは、Z軸方向と直交する方向に広がる平面であるため、隣り合う伝熱プレート3の伝熱部30の応力緩和領域300b同士がZ軸方向と直交する方向で相互に移動できる状態になる。これにより、隣り合う伝熱部30におけるZ軸方向と直交する方向の伸びや収縮の状態が異なったとしても、応力緩和領域300b同士の支持点において応力が集中的に作用することが抑制される。
【0149】
さらに、本実施形態において、伝熱プレート3は、Z軸方向から見て四角形状に形成され、伝熱部30は、Z軸向から見て伝熱プレート3よりも小さな四角形状であって、対角線が伝熱プレート3の対角線と重なる四角形状に設定され、応力緩和領域300bは、伝熱部30の角部に配置される。
【0150】
かかる構成によれば、応力緩和領域300bの配置が均等となるため、隣り合う伝熱プレート3,3(伝熱部30,30)間に形成される流路(第一流路Ra、第二流路Rb)内において、流体(第一流体A、第二流体B)の流れが不均衡になることを防止することができる。
【0151】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0152】
上記実施形態において、伝熱プレート3の輪郭Eaが二対の端縁Ea1,Ea2を含み、伝熱プレート3がZ軸方向から見て四角形状にされたが、これに限定されない。例えば、伝熱プレート3の輪郭Eaが三対以上の端縁を含み、伝熱プレート3がZ軸方向から見て六角形以上の多角形状にされてもよいし、伝熱プレート3の輪郭Eaが二対以上の端縁を含み、伝熱プレート3がZ軸方向から見て非多角形状であってもよい。
【0153】
上記実施形態において、一種類の伝熱プレート3を複数重ね合わせるようにしたが、これに限定されない。例えば、伝熱部30の凹条301及び凸条302の形態を異にする複数種類の伝熱プレート3を重ね合わせるようにしてもよい。但し、隣り合う伝熱プレート3の凸条302同士が交差衝合する(交差点CP1,CP2を形成する)ことが前提である。
【0154】
上記実施形態において、応力緩和領域300bが伝熱部30の四隅に設けられたが、これに限定されない。例えば、応力緩和領域300bは、主伝熱領域300aの凸条302の延長線上にある伝熱部30の角部にのみに設けられてもよい。
【0155】
また、伝熱部30の輪郭が四角形状(正方形状)に形成されることを前提に、伝熱部30の対角のうちの一方の角部であって、主伝熱領域300aの凸条302の延長線上にある一方の角部のみに設けられてもよい。
【0156】
このようにしても、応力緩和領域300bが中段平板部305を有することで、熱交換に伴って主伝熱領域300aの凹条301及び凸条302の延びる方向に力が作用しても、その力を中段平板部305によって分散させることができる。これによって、隣り合う伝熱プレート3の端縁Ea1,Ea2同士を接続した溶接部(第一溶接部330又は第二溶接部331)の端部(始端又は終端)に応力集中が生じることが抑制される。
【0157】
上記実施形態において、応力緩和領域300bの中段平板部305が第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条の頂部との中間位置にある基準面(第一仮想平面)BLに沿って配置されたが、これに限定されるものではない。応力緩和領域300bの中段平板部305は、Z軸方向と直交する方向に広がっていることを前提に、第一面S1の凸条302の頂部と第二面S2の凸条302の頂部との間の位置に配置されていればよい。
【0158】
上記実施形態において、応力緩和領域300bが複数の凸部306を備えたが、これに限定されない。例えば、応力緩和領域300bは、中段平板部305のみで構成されてもよい。
【0159】
上記実施形態において、応力緩和領域300bの凸部306の頂部が平面にされたが、これに限定されない。例えば、応力緩和領域300bが凸部306を有する場合、応力緩和領域300bの凸部306の頂部が円弧面状にされ、隣り合う伝熱プレート3の凸部306の頂部と点接触するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0160】
1…プレート式熱交換器、2…熱交換部、3…伝熱プレート、4…外装体、5…第一仕切プレート、6…第二仕切プレート、30…伝熱部、31…第一延出部、32…第二延出部、40…第一外装プレート(外装プレート)、41…第二外装プレート(外装プレート)、42…第三外装プレート(外装プレート)、43…第四外装プレート(外装プレート)、44…アンダープレート(外装プレート)、45…アッパープレート(外装プレート)、46…支持フレーム、46a…柱体、47…ライニング部材、300a…主伝熱領域、300b…応力緩和領域、301…凹条、302…凸条、303…補強部、304…屈曲平板部、304a…起点部、304b…接続部、305…中段平板部、306…凸部、310…第一中段部、311…第一折曲部、312…第一凸部、320…第二中段部、321…第二折曲部、322…第二凸部、330…第一溶接部、331…第二溶接部、A…第一流体、B…第二流体、B1,B2…ブロック、BL…第一仮想平面(基準面)、BL…第二仮想平面(基準面)、CL1…縦中心線(中心線)、CL2…横中心線(中心線)、CP1,CP2…交差点(交差衝合する部分)、Ea…輪郭、Ea1…第一端縁(端縁、先端)、Ea2…第二端縁(端縁、先端)、Eb…輪郭、Eb1…第一外縁(外縁)、Eb2…第二外縁(外縁)、LB…伝熱プレート積層体、P1,P2…交点、Pa1…第一給液口、Pa2…第一排液口、Pb1…第二給液口、Pb2…第二排液口、Ra…第一流路(流路)、Ra1…第一流入口、Ra2…第一流出口、Rb…第二流路(流路)、Rb1…第二流入口、Rb2…第二流出口、S1…第一面、S2…第二面、Sa…第一表面(表面)、Sb…第二表面(表面)、Sc…第三表面(表面)、Sd…第四表面(表面)、VL1…第一仮想線(仮想線)、VL2…第二仮想線(仮想線)
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