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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】水環境移動ロボット
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/00 20060101AFI20220112BHJP
   B63G 8/14 20060101ALI20220112BHJP
   B63H 25/42 20060101ALI20220112BHJP
   B63B 45/08 20060101ALI20220112BHJP
   G01D 21/00 20060101ALI20220112BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20220112BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20220112BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20220112BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20220112BHJP
   G08C 23/02 20060101ALI20220112BHJP
   G08C 23/04 20060101ALI20220112BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B63C11/00 C
B63C11/00 E
B63G8/14
B63H25/42 E
B63B45/08
G01D21/00 C
G08C15/00 G
G08C17/00 A
G08C17/02
G08C19/00 Q
G08C23/02
G08C23/04
G05D1/00 A
B63C11/00 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017548989
(86)(22)【出願日】2016-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 US2016022340
(87)【国際公開番号】W WO2016149199
(87)【国際公開日】2016-09-22
【審査請求日】2019-03-01
(31)【優先権主張番号】62/133,863
(32)【優先日】2015-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599130449
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アリ・オータ
(72)【発明者】
【氏名】ファドゥル・アブデルラティフ
(72)【発明者】
【氏名】サヘジャド・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ハサン・トゥリグイ
(72)【発明者】
【氏名】アイマン・アメル
(72)【発明者】
【氏名】アミーン・アル・オベダン
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-308766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0269585(US,A1)
【文献】特開2011-031635(JP,A)
【文献】特開平08-145733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0085003(US,A1)
【文献】特表2015-501254(JP,A)
【文献】特開2003-026089(JP,A)
【文献】実開昭62-178292(JP,U)
【文献】特開平05-162684(JP,A)
【文献】特表2015-505278(JP,A)
【文献】特開2008-296875(JP,A)
【文献】特開2008-199413(JP,A)
【文献】特開2008-049942(JP,A)
【文献】特開2010-139270(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104374802(CN,A)
【文献】特開平08-320309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/00
B63G 8/14
G05D 1/00
G01D 21/00
G08C 19/00
G08C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水環境ロボットシステムであって、
制御ステーションと、
水中ロボットビークルであって、本体と、前記本体に連結された複数の脚と、前記本体が水中を水泳移動するためのスラスタと、前記スラスタに制御信号を提供するよう構成された水中ナビゲーションモジュールと、前記脚に制御信号を提供するよう構成されたクロールモジュールと、少なくとも1つの視覚検知モードを含む異なる検知モードを有する複数の検査装置とを有する水中ロボットビークルと、
水面ロボットビークルと、
前記水中ロボットビークルおよび前記水面ロボットビークルにそれぞれ関連する第1および第2通信モジュールであって、水を介して前記ビークル間の通信を提供する第1および第2通信モジュールと、
を備え、
前記水中ロボットビークルは、前記第1および第2通信モジュールを介して前記水中ロボットビークルおよび前記水面ロボットビークルの間で通信されるデータ信号を用いて、水中ロボットビークルによって収集されたマルチモード検査データを送信するよう構成され、
前記水中ナビゲーションモジュールが前記スラスタを制御して水泳動作を提供し、前記クロールモジュールは、海底を這い、航行する間前記スラスタによる航行と比較して目視検査が向上するように、前記水中ナビゲーションモジュールによる前記スラスタの動作を必要とせずに、海底に沿って移動するよう前記脚を制御し、
前記複数の検査装置が、超音波検査プローブ、陰極保護プローブ、渦電流プローブ、赤外線カメラ、3Dスキャンシステム、およびこれらの様々な組み合わせの少なくとも2つを含み、海底の近距離検査用に水中ロボットビークルに適合して配置され、
前記水面ロボットビークルおよび前記水中ロボットビークルが共にドッキングするよう構成され、前記水中ロボットビークルが供給を必要とする場合に、前記水中ロボットビークルは、水柱内を上へ移動し、前記水面ロボットビークルにドッキングすることができる、水環境ロボットシステム。
【請求項2】
前記第1および第2通信モジュールは、可視光、無線周波数、レーザー光、音響通信、およびテザーの少なくとも1つを用いて通信するよう構成されている、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項3】
前記水面ロボットビークルおよび前記水中ロボットビークルが、前記水面ロボットビークルから前記水中ロボットビークルに電力を供給するために電気的に結合するよう構成されている、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項4】
前記水面ロボットビークルおよび前記水中ロボットビークルが機械的に結合するよう構成されている、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項5】
前記水面ロボットビークルが加圧水、圧縮空気、またはサンドブラスト材料、およびこれらの様々な組み合わせの少なくとも1つを、機械的結合、またはテザーおよびこれらの様々な組み合わせの少なくとも1つを介して前記水中ロボットビークルに提供するよう構成されている、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項6】
前記水中ナビゲーションモジュールが垂直スラスタ、水平スラスタ、または浮力制御装置およびこれらの様々な組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項7】
前記クロールモジュールが、クロールスキッド、トラック、またはホイールの少なくとも1つをさらに制御する、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項8】
前記水中ロボットビークルが少なくとも1つの環境センサを含む、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの環境センサが、カメラ、撮像ソナー、高度計、圧力センサ、深度センサ、または温度センサ、およびこれらの様々な組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項10】
前記水中ロボットビークルが少なくとも1つの海洋生物浄化システムを含む、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの追加の水面ロボットビークルをさらに含み、複数の水面ロボットビークルが、前記複数の水面ロボットビークルおよび制御ステーションの間の通信中継を提供するように無線通信する、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項12】
アライメント制御システムをさらに備え、前記アライメント制御システムが、
水中ロボットビークルに関連する位置信号エミッタと、
水面ロボットビークルに関連する位置信号検出器と、前記位置信号エミッタが前記位置信号検出器によって検出可能な信号を発し、
表面推進システムと、
前記位置信号検出器からの信号データを受信し、かつ前記水中ロボットビークルおよび前記水面ロボットビークルの相対位置を決定する、前記水面ロボットビークルに関連するアライメント制御プロセッサであって、前記アライメント制御プロセッサは、前記表面推進システムの動作を制御して、前記水面ロボットビークルおよび前記水中ロボットビークルの間が0度~45度の範囲の垂直方向の位置合わせを維持するように前記水面ロボットビークルを水面に沿って移動させる、アライメント制御プロセッサと、
を備える、請求項1に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項13】
前記位置信号エミッタおよび前記位置信号検出器が、光、音響エネルギー、レーザー放射、およびこれらの様々な組み合わせのエミッタおよび検出器を含むグループから選択される、請求項12に記載の水環境ロボットシステム。
【請求項14】
前記水面ロボットビークルおよび前記水中ロボットビークル間に延在するテザーと、
前記水面ロボットビークルに関連する前記アライメント制御システムであって、
前記テザーにかかる力に関連するテザー力信号データを提供するセンサ、および
前記テザー力信号データを受け取り、前記水中ロボットビークルおよび前記水面ロボットビークルの相対位置を決定するアライメント制御プロセッサを含むアライメント制御システムと、
をさらに備える、請求項12に記載の水環境ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水中ロボット及び水面ロボットを含む、水中パイプライン及び構造を含む水中資産の検査を実行するためのシステム、方法及び装置が提供される。
【背景技術】
【0002】
移動ロボットは、水中や海洋環境下にあるインフラストラクチャなどの産業インフラストラクチャの検査に不可欠な役割を果たすことができる。従来、水中インフラストラクチャ(例えば、水中パイプライン)を検査するために、人間のダイバーまたは遠隔操作されるビークルのいずれかが使用されている。しかし、ダイバーを使用することは安全性の問題を引き起こすとともに、高価である。遠隔操作されるビークルは、ダイバーによる安全上の懸念の多くを排除するが、これらのビークルは、人間の操作者がビークルを制御するためのプラットフォームを格納し、発射し、提供するための支持ボートを必要とする。このような支援ボートは、比較的大きな喫水を有し、安全に作動するための最小の水深を必要とする。したがって、支援ボートの制限のために、浅い水域、海岸に近い地域、およびその他の危険な地域にあるインフラストラクチャを検査することが困難である。このように、移動ロボットの使用は、産業的に複雑な特定の領域のより効率的な検査を可能にすることができる。
【0003】
浅い海域は、大きな作業クラスのROVが繋がれている大型船が海底に衝突する恐れがあるため、これらのエリアを航行することができず、アクセス性の点で大きな課題となっている。したがって、小さなゾディアック(ゴム製ボート)がこれらのエリアにアクセスするために使用されるが、小さな観測クラスのROVを展開するためにのみ使用することができる。これらのROVは目視検査には十分に優れているが、海底流は周囲を移動し、パイプラインから安定した測定値を読み取ることができないため、UTおよびCP測定には適していない。これらの作業にダイバーを使用することは、浅い海域でのボートの航行に関連するため、非常に遅く、非効率的である。浅瀬(深さ0~10m)の検査は、主にダイバーを使用して実行され、潜水支援船およびゾディアックによって支援される。このプロセスは遅く、平均検査速度は、約0.5Km/日の水中パイプラインである。
【0004】
水中移動ロボットが検査能力を提供する一方で、支援ボートが水中移動ロボットから遠距離に位置する場合、長距離の水中通信に伴う困難性および限界のために、ロボットを効果的に制御することができない、および/またはデータをロボットから効果的に受け取ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の検査ビークルおよび検査プロトコルに関連するこれらのおよび他の制限に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、制御ステーションと、水中ロボットビークルと、水面ロボットビークルとを含む水環境ロボットシステムが提供される。第1および第2通信モジュールは、水中ロボットビークルおよび水面ロボットビークルにそれぞれ関連付けられ、第1および第2通信モジュールは、水を介してビークル間の通信を提供する。第3および第4通信モジュールは、水面ロボットビークルおよび制御ステーションにそれぞれ関連付けられ、第3および第4通信モジュールは、水上ロボットビークルと制御ステーションとの間の通信を空中で行う。制御ステーションは、第3および第4通信モジュールを介して制御ステーションと水面ロボットビークルとの間で通信され、第1および第2通信モジュールを介して水面ロボットビークルによって水中ロボットビークルに中継される制御信号を使用して水中ロボットビークルの動作を制御するように構成される。水中ロボットビークルは、第1および第2通信モジュールを介して水中ロボットビークルと水面ロボットビークルとの間で通信され、第3および第4通信モジュールを介して水面ロボットビークルによって制御ステーションに中継されるデータ信号を用いて、水中ロボットビークルによって収集されたデータを伝達するように構成される。
【0007】
本発明のさらなる態様によれば、水環境ロボットシステムは、アライメント制御システムを含む。アライメント制御システムは、水中ロボットビークルに関連する位置信号エミッタと、水面ロボットビークルに関連する位置信号検出器とを含み、位置信号エミッタは、位置信号検出器によって検出可能な信号を発する。アライメント制御システムはまた、位置信号検出器からの信号データを受信し、水中ロボットビークルと水面ロボットビークルとの相対位置を決定する、水面ロボットビークルに関連付けられたアライメント制御プロセッサを含む。
【0008】
本発明の別の態様によれば、水面ロボットビークルは、さらに、表面推進システムを含み、アライメント制御プロセッサは、水面ロボットビークルと水中ロボットビークルとの間のほぼ垂直の位置合わせを維持するように水面ロボットビークルを水面に沿って動かすために、表面推進システムの動作を制御する。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、位置信号エミッタおよび位置信号検出器は、LEDライト、音、レーザー、およびそれらの様々な組み合わせを含むグループから選択される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、水環境ロボットシステムは、水面ロボットビークルと水中ロボットビークルとの間に延在するテザーと、水面ロボットビークルに関連するアライメント制御システムとをさらに含む。アライメント制御システムは、テザーにかかる力に関連するテザー力信号データを提供するセンサと、テザー力信号データを受け取り、水中ロボットビークルと水面ロボットビークルとの相対位置を決定するアライメント制御プロセッサとを含む。
【0011】
本発明の別の態様によれば、第1および第2通信モジュールは、可視光、無線周波数、レーザー光、音響通信、およびテザーのうちの少なくとも1つを使用して通信するように構成される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、水面ロボットビークルおよび水中ロボットビークルは、共にドッキングするように構成されている。
【0013】
本発明の更なる態様によれば、水面ロボットビークル及び水中ロボットビークルは、水面ロボットビークルから水中ロボットビークルに電力を供給するように電気的に結合するように構成されている。
【0014】
本発明の更なる態様によれば、水面ロボットビークルおよび水中ロボットビークルは、機械的に結合するように構成されている。
【0015】
本発明の別の態様によれば、水面ロボットビークルは、加圧水、圧縮空気、またはサンドブラスト材料およびそれらの様々な組み合わせのうちの少なくとも1つを機械的結合、またはテザーおよびそれらの様々な組合せの少なくとも1つを介して水中ロボットビークルに提供するように構成されている。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、水中ロボットビークルは、少なくとも1つの水中移動モジュールと、少なくとも1つの水中クロールモジュールとを含む。
【0017】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つの水中移動モジュールは、垂直スラスタ、水平スラスタ、又は浮力制御装置およびそれらの様々な組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの水中クロールモジュールは、クロールスキッド、トラック、ホイール、作動脚、およびこれらの様々な組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0019】
本発明の更なる態様によれば、水中ロボットビークルは、少なくとも1つの環境センサを含む。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの環境センサは、カメラ、撮像ソナー、高度計、圧力センサ、深度センサ、または温度センサ、およびそれらの様々な組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
本発明の更なる態様によれば、水中ロボットビークルは、少なくとも1つの検査装置を含む。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの検査装置は、超音波検査プローブ、陰極保護プローブ、渦電流プローブ、赤外線カメラ、3Dスキャンシステム、およびそれらの様々な組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、水中ロボットビークルは、少なくとも1つの海洋生物浄化システムを含む。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの追加の水面ロボットビークルをさらに含み、複数の水面ロボットビークルが無線通信して、複数の水面ロボットビークルと制御ユニットとの間の通信中継を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による水中ビークルを示す図である。
図2】本発明の一実施形態による水面ビークルを示す図である。
図3】相互に動作関係にある水中ビークルおよび水面ビークルを示す図である。
図4】相互に動作関係にある水中ビークル、水面ビークル、および制御ユニットを示す図である。
図5A】本発明の追加の実施形態による水中ビークルを示す。
図5B】本発明の追加の実施形態による水中ビークルを示す。
図5C】本発明の追加の実施形態による水中ビークルを示す。
図5D】本発明の追加の実施形態による水中ビークルを示す。
図6】本発明の他の実施形態による水中ビークルを示す。
図7】本発明の他の実施形態による水中ビークルを示す。
図8A】本発明の別の実施形態による水面ビークルを示す図である。
図8B】本発明の別の実施形態による水面ビークルを示す図である。
図9】水面ビークルの特定のシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図3を参照すると、水環境ロボットシステム10は、水中ロボット100および水面ロボット200を含む。水中ロボット100は、水面下に潜り、水中のインフラストラクチャの様々な整備および検査作業を行うことができるように構成されている。水面ロボット200は、水面に残り、それ自体の推進システム202を有するため、水中ロボット100に近接した状態を維持するために水面に沿って移動することができる。水中ロボット100が水中を移動すると、水中ロボットとの近接を維持するために水面ロボット200は、対応する方法で移動する。水面ロボット200が水中ロボット100と近接して移動するため、2つのロボット間の距離は、最小限に維持される。したがって、水面ロボット200および水中ロボット100の間の水中を通る通信距離は、最小化される。水を通る通信信号を送ることは、難しく、水を通る距離が長くなることは、困難性が増し、通信の有効性を低減するため、水を通る通信距離を最小限にすることは、非常に好都合である。これは、水を通る無線通信にとっては信号損失があり、有線通信にとっては長いテザーが必要であるため、重量、費用、テザーのもつれの可能性が増えることがあるため、両方に当てはまることである。
【0027】
このように、水面ロボット200は、水中ロボット100のための通信中継として機能する。水中ロボット100が様々なタスクを実行すると、水面ロボット200は、それ自体の推進システム202を使用して、水中ロボット100のほぼ真上の位置を維持する。2つのロボットの位置合わせの間のいくらかの偏差は、許容可能であり、水面ロボット200は、ロボットの下の約15度の円錐形ゾーン内に水中ロボット100を維持するようにその位置を調整することができ、ゾーンは、約45度まで拡張することができる。
【0028】
水中ロボット100および水面ロボット200の相対的な位置を維持するために、水面ロボット200は、水中ロボット100の相対位置を追跡することができる。水面ロボット200は、水中ロボット100の位置を測定するために使用することができる様々なセンサを含む追跡モジュール204を含むことができる。例えば、追跡モジュールは、水中ロボット100の位置を追跡し、決定する音響定位システムを含むことができる。音響定位システムは、2つの音響トランスデューサを含むことができ、1つは、水面ロボット200に取り付けられ、1つは、水中ロボット100に取り付けられている。超短基線(USBL)システムを使用して、水中ビークルを追跡することができる。2つの受信機を使用して、水面ビークルに取り付けられたトランシーバーが複数のトランスデューサヘッドを使用して音響信号を検出し、信号ランタイムによって水中ビークルの範囲を決定し、かつ各トランスデューサによって検出される異なるタイムシフトによって水中ビークルの方向を決定する。例えば、様々な検出器で受信された信号の差は、水中ビークルの位置を決定するために使用することができる。追跡範囲は、0.1mの距離精度および1度の角度精度で500mを越えることができる。音響定位システムは、テザーレス追跡システムの一例である。
【0029】
水中ロボット100の位置を追跡するために他の追跡および定位システムおよび方法を使用することができる。例えば、水面ロボット200および水中ロボット100の間に延在するセンサを含むテザーを追跡に使用することができる。テザーは、テザーの長さに沿っていくつかの慣性測定ユニット/センサを含むことができる。テザーが移動すると、その動きは、慣性測定ユニットによって感知され、今度は水面ロボット200に対する水中ロボット100の位置の決定に使用される。水中ビークルの深さに応じたテザーの放出および回収を自動化するために、水面ロボット200で自動巻取機を使用することができる。水中ロボット100によってテザーが引っ張られる角度を決定するために三次元力または歪みセンサを水面ロボットテザー巻取機で使用することができ、角度は、ロボットの位置を決定するために使用される。2つのビークルの相対位置および向きを決定する手段として慣性測定ユニットも水面ロボット200および水中ロボットに取り付けることができる。カルマンフィルターなどのデータ融合アルゴリズムを使用して、より正確な推定を得るために異なる追跡方法から得られた様々な推定値を融合することができる。
【0030】
いったん水中ビークルが追跡されると、インテリジェント制御アルゴリズムがフィードバック信号として推定された位置を受け取り、水中ビークルに追従し、水中ビークルの上に近接してとどまるように水面ビークルのスラスタ/プロペラを作動させる。コントローラの目的は、2つのビークル間の距離を最小にし、それによってほぼ垂直の位置合わせを達成することである。ほぼ垂直の位置合わせは、15度~例えば45度まで維持することができる。アルゴリズムは、PIDコントローラ、適応制御、最適制御、または任意の他の通常使用される制御ストラテジーに基づくことができる。作業者が水中ビークルの動きを制御する一方で、水面ビークルは自律的に駆動し、作業者および水中ビークル間で通信を前後に中継することに言及することは重要である。水中ロボットとの連結が失われた場合、コントローラを無効にし、作業者による直接の空中通信を介して水面ビークルを手動でナビゲートすることが可能である。
【0031】
水中ビークル/ロボット100は、水中で浮遊する/泳ぐことも、海底に着陸/這う(クロールする)ことも可能である。水中ロボットには、様々な方法で制御可能な、触覚デバイスを含むロボットアーム102を装備することができる。水中ロボットは、超音波プローブ、陰極保護プローブ、渦電流プローブ、カメラ、海洋生物浄化システムなどの1組の水中検査技術104を含むことができる。
【0032】
図1図4を参照すると、水中ロボット100は、信号A(例えば光/LED、レーザー、音響によって、またはアンビリカルを介して)を使用して水中および水面ロボットにそれぞれ配置された通信モジュール106および206を介して海面ロボットボート200と通信することができる。水面ロボット200は、ルーター/リピーターとして機能し、無線通信デバイスを介して通信を(例えば無線周波数またはレーザーを用いて)制御ステーション300に戻すよう中継する。制御ステーション300は、陸上ベースのステーションであってもよいし、または有人の船舶であってもよい。信号を中継し、範囲を広げるために複数のボート、またはステーションを使用することができる。
【0033】
水中ロボット100は、多様なサポート機能のために水面ロボットボート200にドッキングすることができる。例えば、水中ロボットが搭載バッテリーを充電することができるように、水中ロボットは、水面ロボットにドッキングすることができる。水面ロボットはまた、ドッキングによって、またはアンビリカルコードを介して加圧水、圧縮空気、および(サンドブラスト用の)砂などの異なる材料を水中ロボットに提供することができる。例えば、バッテリー、太陽光、燃焼エンジン、または任意の他のエネルギー源によって水面ロボットに動力を供給することができる。例えば図2に示すように、水面ロボット200は、発電のための太陽電池210を含む。水中ロボットの上の相対位置を維持するために、ロボット水面ボートが水中ロボットを自律的に追従するように、ロボット水面ボートは、インテリジェント制御システムを使用することができる。
【0034】
浅い水域の検査は、退屈で費用のかかる作業であり、システム10は、浅い水域の水中資産1000の検査を可能にし、検査速度および効率を向上させ、これらの資産を検査する時間を短縮することによって、潜水支援船(DSV)費用、ダイバーの費用および全体検査費用に関する検査費用を節約することができ。水中ロボットおよび水面ロボットによって使用される通信およびドッキングシステムは、多様なロボットでの使用に適合させることができる。
【0035】
システム10は、アクセスが困難で費用のかかる浅い水域での検査に関連する課題に対処する。水面ロボット200などの自律的な通信中継ボートを使用することにより、作業船300は、浅いエリアに近づく必要がなくなる。さらに、海底での着陸/クロール(這う)機能を持つことで、小さい観測クラスのROVを安定させることができ、通常作業クラスのROVだけが可能な正確な測定値を得ることができる。
【0036】
一実施形態において、水中ビークル100は、スラスタおよび浮力制御を用いて浮遊およびナビゲートすることができるハイブリッドクローラー/ROVであってもよい。これには、バッテリーが装備されるが、またテザーで繋ぐこともできる。水中ロボットにはまた、深さを制御するための圧力/深度センサを装備することができ、かつ信号を失った場合に位置を修正するためのGPSセンサを有することができる。水中ロボットには、低視界でのナビゲーションのための撮像ソナーおよび高度計を装備することができる。
【0037】
信号を失った場合、水中ロボットビークルは、上方へ移動することができ、いったん水上で例えばRFおよびGPSの組み合わせを用いて通信を再確立する。
【0038】
ビークルには、タンクトレッド108(図5B)または懸架ホイール110(図5A)を使用する他のクロール機構を装備することができ、荒く、平らではない表面上を移動することができる。図5A図5Dは、水中ロボット100が、ホイール110およびスラスタ112(図5A)、トレッド108およびスラスタ112(図5B)、トレッド108および脚114(図5C)、および脚116およびホイール110(図5D)を含む様々な推進手段を含むことを示している。クロール機能の1つの潜在的な利点は、海底を移動して、電力を節約し、より良い制御を可能にすることである。図6および図7は、水平および垂直スラスタ112、ホイール110、および浮力制御装置118を含む水中ロボット他の実施形態を示す。
【0039】
水面ロボット200は、例えば、太陽電池210、バッテリー、ディーゼルエンジン、または環境発電技術を含む任意の他の電源によって動力を得ることができ、かつ水上の作業者と通信するための無線周波数(RF)モジュール/アンテナまたは無線アンテナ208が装備される。図8Aおよび図8Bは、使用可能な水面ボートの船体設計の一実施形態を示す。
【0040】
好ましくは、水面ロボット200は、水面を浮くことができるように構成され(例えばボートなど)、かつ水面に沿って移動および航行できるように、それ自体の推進システム202を有する。水面ロボット200には、水中ビークル100と通信するために水の下に位置する別の通信モジュール206を装備することができる。水中通信モジュール206は、例えば水中で10mまで達することができる音響またはRFとすることができる。水面ロボット200および水中ロボット100間の通信を提供する別の代替形は、多方向のLED通信、または一方向性だが、より高い帯域幅(Gbps)を提供することができ、方向を制御するために複雑なレーザー追跡システムを必要とするレーザー通信を使用することができる。
【0041】
水面ロボット200はまた、水中ビークル100のバッテリーを充電するために無線/誘導充電を提供することができ、ドッキングステーションとして機能することができる。したがって、水面ロボット200は、水中ロボット100の位置を追跡することができ、かつ水面ロボットは、水中ロボットの近くを維持するように自身の推進システムを使用して水面でのその位置を変更することができる(例えば水面ロボットは、水中ロボットの真上の位置を維持することができる)。水中ロボットが海面に沿って移動すると、水面ロボットは、水中ロボットを追跡し、移動することができる。このように、水面ロボットは、水中ロボットのための近接支援および通信中継を提供する。水中ロボットが供給(例えばバッテリー充電)を必要とする場合、水中ロボットは、水柱で上へ移動し、水面ロボットにドッキングすることができる。ドッキングは、物理的および/または誘導的であり、供給(例えばバッテリー充電)を水面ロボットから水中ロボットへ移送することができる。したがって、水面ロボットは、ドッキング装置212を含むことができ、水中ロボットは、非物理的および/または物理的なドッキングを提供するよう構成された対応するドッキング装置120を含むことができる。水面ロボットは、水中ロボットを充電するために余分なバッテリー(それ自体の動作に対して必要以上の)を含むことができるか、または水中ロボットには実用的ではない、または水中ロボットの動作特性(大きさ、重量、可動性)を低下し得る他の発電機能(例えば太陽電池、燃焼エンジン)を有することができる。
【0042】
水面ロボット200はまた、水中ビークルおよびそれを制御する作業者の中間にある信号リピーター/エクステンダ、または単純に水中通信システム(移動式ルーター)として使用することができる(水中ロボットは、自律型、または半自律型とすることができ、検査データなどの他のデータ送信するために信号リピーターを使用することができる)。水面ビークル200には、GPSシステムを装備することができ、ボートがビークルからの音響信号の三角測量を使用することができるように、常に確実に下にいるように水中ビークルを連続的に追従する。したがって、水面ビークル200は、水中ビークル100の実際の位置を決定するために使用されることができ、水中ロボットによって収集される検査データをデータが収集された地理的位置に関連付けることができる。例えば、水面ビークルは、水面ビークルに対する水中ビークルの位置を決定することができ、かつ水面ビークルは、水中ビークルの地理的位置を決定するために使用することができる地理的位置を決定することができる。
【0043】
ロボットの分野の当業者には理解されるように、水面ビークルは、メモリおよび/または構成設定および1または複数の制御プログラムなどの水面ビークルの動作に関する情報を格納するよう構成されたコンピュータ可読記憶媒体を含む電子回路を含むことができる。
【0044】
より具体的には、図9を参照すると、水面ビークルは、制御モジュール902を備えることができる。制御モジュール902には、システムの動作を可能にする様々なハードウェアおよびソフトウェア構成要素が配置され、それらは、プロセッサ904、メモリ906、定位モジュール908、推進モジュール910、水中通信モジュール912、水上通信モジュール914、およびコンピュータ可読記憶媒体916を含む。プロセッサ904は、メモリ906にロードされ得るソフトウェア命令を実行するよう機能する。プロセッサ904は、いくつかのプロセッサ、マルチプロセッサコア、または特定の実施方法に応じた他のタイプのプロセッサとすることができる。
【0045】
好ましくは、メモリ906および/または記憶装置916は、プロセッサ904によってアクセス可能であり、それによりプロセッサ904は、メモリ906および/または記憶装置916に格納された命令を受け取り実行することができる。メモリ906は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、または任意の他の適切な揮発性または不揮発性コンピュータ可読記憶媒体とすることができる。さらに、メモリ906は、固定可能、または取り外し可能である。記憶装置916は、特定の実施方法に応じて様々な形態をとることができる。例えば、記憶装置916は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書き換え可能な光ディスク、書き換え可能な磁気テープ、またはこれらの組み合わせなど1または複数の構成要素またはデバイスを含むことができる。記憶装置916はまた、固定可能、または取り外し可能であり、またはクラウドベースデータ格納システムなどのリモート型とすることができる。
【0046】
1または複数のソフトウェアモジュールが記憶装置916および/またはメモリ906内でエンコードされる。ソフトウェアモジュールは、プロセッサ904で実行されるコンピュータプログラムコードまたは命令セットを有する1または複数のソフトウェアプログラム、またはアプリケーションを備えることができる。本明細書に開示されるシステムおよび方法の態様の動作を実行し、実現するためのこのようなコンピュータプログラムコードまたは命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述することができる。プログラムコードは、独立のソフトウェアパッケージとして水面ビークル200で完全に、水面ビークル200で部分的に、および遠隔のコンピュータ/デバイスで部分的に、または完全にこのような遠隔のコンピュータ/デバイスで実行することができる。後者のシナリオでは、遠隔のコンピュータシステムは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介して水面ビークル200に接続することができるか、または接続は、外部コンピュータを介して(例えばインターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)行われる。
【0047】
好ましくは、ソフトウェアモジュールに含まれるものは、プロセッサ904によって実行される定位モジュール908、推進モジュール910、水中通信モジュール912、および水上通信モジュール914である。ソフトウェアモジュールの実行中に、プロセッサ904は、水面ビークルの構成に関する様々な動作を実行するよう構成されている。さらに、例えば、水面ビークル200の構成で使用される様々な制御プログラムなど、本発明のシステムおよび方法の動作に関連する他の情報および/またはデータも記憶装置916に格納され得ることに留意すべきである。
【0048】
同様に、水中ビークルは、制御モジュールを含むことができ、制御モジュールは、水中ビークルの様々な機能を実行するためにプロセッサ、メモリ、定位モジュール、推進モジュール、水中通信モジュール、検査モジュール、およびコンピュータ可読記憶媒体を含むシステムの動作を可能にする様々なハードウェアおよびソフトウェア構成要素とともに構成される。
【0049】
水中ビークル100を参照すると、水中資産を検出し感じるために触覚を使用することができる1または複数のロボットアーム102からなるモジュールをビークルに組み込むことができる。力フィードバックセンサを使用する結果としてより良好な制御を提供するために触覚フィードバックを使用することができる。このモジュールにより、作業者が水上の制御室にいる間にダイバーが通常行う様々な活動を行うことができる。
【0050】
特定の実施形態において、システムは、水中ロボットおよびそのロボットアームを制御する触覚ジョイスティックを使用することができる制御ステーション300を有することができる。作業者はまた、ロボット水面ボート、水中ビークルを制御およびナビゲートし、ロボットアームを遠隔で操作し、検査活動を実行することができる。
【0051】
水中ロボット100には、検査モジュール104が装備され、検査モジュールは、超音波検査(UT)プローブ、渦電流プローブ(コンクリート被覆を通り海洋生物を検査することができる)、陰極保護(CP)検査プローブ、目視検査のための赤外線カメラを含むカメラ、および他の可能なNDTセンサを含むことができる非破壊試験モジュールを含む。
【0052】
水中ロボット100には、ブラシ、キャビテーション、ウォータージェット、サンドブラスト、または機械的な摩耗を使用して、これらの水中資産に存在する海洋生成物(フジツボ)を清掃するための清掃機構122を装備することができる。例えば、水面ロボットボートは、アンビリカルコードを介して材料または水のジェットを水中ロボットに提供することができる。
【0053】
水中ロボットは、異なる位置および角度で取り付けられた2つ以上のカメラを有することができる。
【0054】
特定の実施形態によると、沖合のロボットシステム10は、少なくとも水中ロボットサブシステム100および少なくとも1つの海面サブシステム200を含むことができる。海面ビークル200は、通信を制御するコントローラを含む制御ステーションと通信する少なくとも1つの空中通信モジュール208を含むことができる。したがって、海面サブシステム200は、通信信号のためのルーターまたはリピーターとして機能する。水中ロボットシステム100および水面サブシステム102は、2つの装置の間の少なくとも1つの通信手段106,206を有する。コントローラは、水面ビークルおよび水中ビークルの特定の動作を制御するために使用することができる。
【0055】
水中ロボットは、推進モジュールを含むことができ、それは、水柱の水中での深度制御を提供する少なくとも1つの水中移動モジュール112a、および水平方向に水中を移動するための水平運動制御モジュール112bを含むことができる。推進モジュールはまた、海底に沿った移動のために、海底に着陸、航行、および安定化するための水中クロールモジュール(例えばトラック108、ホイール110、および脚114および116を制御する)を含むことができる。水中移動モジュールは、異なる方向の水中の移動を制御するためのスラスタ112を含むことができる。スラスタ112の量、位置、および向きは、水中ロボットの移動の自由度を決定する。水中移動モジュールは、浮力制御装置118および/または渦発生器(例えば垂直スラスタプロペラ112a)含むことができ、ロボットの深度調整、および水中ロボットの向きの変更をすることができる。水中移動モジュールはまた水平移動のための水平スラスタ112bを含むことができる。水中クロールモジュールは、荒く、平坦ではない海底面の上を高い可動性で移動するためのトレッド108を有するクロールスキッドを含むことができる。さらに、または代わりに、水中クロールモジュールは、荒く、平坦ではない海底面の上を高い可動性で移動するためのロッカーブギー機構と同様の懸架ホイール110を含むことができる。ホイール110はまた、作動脚116に取り付けることができる。
【0056】
水中ロボットサブシステムは、これらに限定されないが、周囲環境に関する情報および物理的な特性を提供するカメラ、撮像ソナー、高度計、圧力および深度センサ、および温度センサを含む1組のセンサ126を使用することができる。
【0057】
水中ロボットサブシステムは、検査を含む水中での様々な作業、および操作作業を実行する少なくとも1つのロボットアーム102を含むことができる。ロボットアーム102は、より簡単な制御のために触覚フィードバックを使用することができ、外部環境とのより良好な接触を行うことができる。
【0058】
水中ロボットサブシステムは、検査ダイバーによって通常行われる水中での様々な検査作業を実行する少なくとも1つの検査/非破壊検査(NDT)装置104を含むことができる。NDT装置104は、水中資産の厚さを測定し、腐食、侵食、クラックまたは任意の他の異常による可能性がある厚さの損失を確認するための超音波検査(UT)プローブとすることができる。NDT装置は、水中資産に配置されたCPアノードを検査するための陰極保護(CP)プローブとすることができる。NDT装置は、水中資産の欠陥および異常検査するための渦電流(EC)検査プローブとすることができる。NDT装置は、漏れを検査するための漏れおよび温度勾配を検出するための赤外線カメラとすることができる。NDT装置は、環境を3Dで再構成し、パイプラインの下のフリースパンを含む海底のトポグラフィを検出するための3Dスキャンシステムとすることができる。3Dスキャンシステムは、3D再構成の後でCPアノード量を測定し、アノード空乏を検出するためのステレオビジョンカメラとすることができる。水中ロボットサブシステムは、様々な組み合わせおよび構成でいくつかのNDT装置を含むことができる。
【0059】
水中ロボットシステムは、フジツボを除去し、検査のために水中資産の表面を準備するための海洋生物浄化システム112含むことができる。海洋生物浄化システムは、水中資産から海洋生物を清掃し、除去するためにウォータージェットおよび/またはキャビテーションジェットを使用することができる。海洋生物浄化システムはまた、海洋生物を清掃し、除去する作動ブラシを含むことができる。そのうえ、または代わりに、海洋生物浄化システムセットは、海洋生物を清掃し、除去するためにサンドブラストを使用することができる。
【0060】
海面サブシステムは、水上を航行することが可能な遠隔制御ロボットボートとすることができる。特定の構成では、海面サブシステムは、水中サブシステムにアンビリカルで取り付けられ、水中サブシステムが水の下で移動すると海面に沿って引っ張られる浮動バルーンとすることができる。他の構成においては、海面サブシステムは、インテリジェント制御技術を使用して水柱を介して水中ロボットサブシステムとの垂直の位置合わせを維持するために自律的に移動することができるような推進装置202を含むことができる。制御技術は、海面サブシステム200の下に取り付けられた少なくとも1つの検出器204、および水中サブシステム100に取り付けられた少なくとも1つのエミッタ125を使用することができる。検出器は、海面サブシステムの下に取り付けられた少なくとも1つのカメラとすることができ、水中ロボットサブシステムの位置を特定するためにセグメント化するコンピュータビジョンアルゴリズムを有する。エミッタは、水中ロボットサブシステムに配置された発光ダイオードのアレイとすることができ、視界不良時にカメラによって検出されるのに必要な光を提供することができる。制御技術はまた、音響を使用することができ、海面サブシステムは、水中ロボットサブシステムに取り付けられた音響トランスデューサによって放出される音波を検出するための音響センサを含み、海面サブシステムの相対位置を決定する。音響による制御技術は、水中ロボットサブシステムに取り付けられた少なくとも2つの音響トランスデューサからの音響信号の三角測量を使用して、海面サブシステムに対する相対位置を決定することができる。制御技術はまた、アンビリカルコードを使用することができ、海面サブシステムと比較して相対位置を決定するために、水中ロボットサブシステムの抵抗力方向を検出するようにアンビリカルがサブシステムを接続する構成になっている。制御技術はまた、海面サブシステムと比較した相対位置を決定するために水中ロボットサブシステムを追跡する作動レーザー追跡システムを使用することができる。2つ以上のこれらの制御技術を使用した様々な組み合わせをサブシステムの相対位置を決定するために使用することができる。
【0061】
上述のように、空中通信モジュール120は、制御ステーション300と通信するために無線周波数(RF)を使用することができる。制御ステーションは、支援ボート302または海岸304に配置することができる。空中通信モジュール120はまた、制御ステーション300と通信するためにレーザー通信システムを使用することができる。
【0062】
海面および水中サブシステムは、発光ダイオード(LED)などの可視光を用いて互いに通信することができる。サブシステムはまた、短距離を無線周波数で通信することができる。サブシステムはまた、レーザー光、音響通信および/またはアンビリカルコードを用いて通信することができる。
【0063】
海面サブシステム200はまた、水中ロボットサブシステム100のためのドッキングステーションとなる機能を提供することができる。ドッキングステーション212は、水中ロボットサブシステムとの電気結合を提供する(たとえば、充電および/またはデータ通信を提供する)よう構成された電気結合装置を含むことができる。したがって、海面サブシステムは、水中ロボットサブシステムの電力モジュールのバッテリーを充電することができる。物理的な電気接続なしでバッテリーを充電することができる誘導結合を用いた電気結合が達成される。海面サブシステムのドッキングステーション機能は、水中ロボットサブシステムと物理的に連結するための機械結合を含むことができる。海面サブシステムは、ドッキングによって、またはアンビリカルコード(図示せず)を介して加圧水、圧縮空気および(サンドブラスタのための)砂などの異なる材料を供給することができる。
【0064】
水中ロボットサブシステム100は、搭載バッテリーによって自己給電することができる。あるいは、またはさらに、水中ロボットサブシステムは、海面サブシステムに接続されたアンビリカルコード(図示せず)によって動力を得ることができる。海面サブシステム200は、バッテリー、太陽電池、燃焼エンジン、または環境エネルギーを含む任意の他のエネルギー源によって動力を得ることができる。
【0065】
特定の構成において、通信信号の範囲を制御ステーションまで広げるために複数の海面サブシステム200を使用することができる。したがって、複数の海面サブシステムは、信号リピーターとして機能することができる。水中サブシステムの位置を決定し、および相対位置を維持するための定位および制御戦略を強化するために、複数の海面サブシステムを使用することができる。
【0066】
本明細書に記載されたシステムのように、海底を移動する水中サブシステムおよび上で浮かぶ海面サブシステムを用いたハイブリッド操縦性は、より効率的であり、エネルギーを節約するため検査工程を改善する新規な構成である。既存のROVは、DSVを必要とするアンビリカルコードが必要であるが、浅い水域にはアクセスできない場合がある。水中ロボットシステムとの水中通信は大きな課題であり、それは自律型水面ロボットボートを導入することによって対処される。浅い水域での低い可視性は、別の課題である。クロール機構の導入により、海底を航行する間水中ロボットがスラスタを作動させる必要がないため、従来のROV技術の場合のように浮いているよりも視認性が向上し、目視検査工程を向上させる。
【符号の説明】
【0067】
10 水環境ロボットシステム
100 水中ロボット
104 検査モジュール
106 通信モジュール
108 トレッド
110 懸架ホイール
112a 水中移動モジュール
112b 水平運動制御モジュール
116 作動脚
118 浮力制御装置
120 ドッキング装置
122 清掃機構
125 エミッタ
126 センサ
202 推進システム
204 追跡モジュール
206 通信モジュール
208 空中通信モジュール
212 ドッキング装置
300 制御ステーション
302 支援ボート
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図9