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特許7001479デバイス偏向のための可変トルクアセンブリを含む医療用デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】デバイス偏向のための可変トルクアセンブリを含む医療用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A61M25/092 500
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017557999
(86)(22)【出願日】2016-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 US2016030509
(87)【国際公開番号】W WO2016179139
(87)【国際公開日】2016-11-10
【審査請求日】2019-03-08
(31)【優先権主張番号】62/158,154
(32)【優先日】2015-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッセル ディー. ターウェイ
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/108486(WO,A1)
【文献】特開2008-142199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0094654(US,A1)
【文献】実開昭50-049283(JP,U)
【文献】特開2009-5836(JP,A)
【文献】特開2007-252921(JP,A)
【文献】特表2002-508675(JP,A)
【文献】米国特許第5549542(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスの一部分を偏向させるのに使用するアセンブリであって、
第1の外径を有し、第1の引っ張りワイヤが連結される第1の回転可能な部材と、
前記第1の外径より小さい第2の外径を有し、第2の引っ張りワイヤが連結される第2の回転可能な部材と、を備え、
前記第1の外径は、前記一部分の偏向前と偏向後で一定であり、
前記第2の外径は、前記一部分の偏向前と偏向後で一定であり、
前記第2の回転可能な部材は、前記第2の回転可能な部材の中心点が前記第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、前記第1の回転可能な部材に連結され、
前記第1および第2の回転可能な部材は、前記第1の引っ張りワイヤを介した前記第1の回転可能な部材の回転が、前記第2の回転可能な部材および前記第2の引っ張りワイヤを回転させて、前記医療用デバイスの遠位端を偏向させるように構成される、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の引っ張りワイヤは、前記第1の回転可能な部材の外表面に巻き付くように構成され、
前記第2の引っ張りワイヤは、前記第2の回転可能な部材の外表面に巻き付くように構成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の回転可能な部材は、前記第1の回転可能な部材および前記第2の回転可能な部材それぞれを通って延在するセットポストを介して、前記第2の回転可能な部材に連結される、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記アセンブリが第1の位置にあるとき、前記第2の回転可能な部材に連結される前記第2の引っ張りワイヤの端部は、前記第1の回転可能な部材の前記中心点から第1の距離にあり、前記アセンブリが前記第1の位置から回転方向にずれた第2の位置にあるとき、前記第2の回転可能な部材に連結される前記第2の引っ張りワイヤの前記端部は、前記第1の回転可能な部材の前記中心点から第2の距離にあり、
前記第1の距離は、前記第2の距離より長い、請求項1~のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
近位端と偏向可能な遠位領域とを有するカテーテル軸体と、
前記カテーテル軸体の前記近位端に連結されるハンドルであって、長手方向軸線に沿って前記ハンドルに対して移動可能なプランジャを備える、ハンドルと、
偏向アセンブリと、を備え、
前記偏向アセンブリは、
第1の引っ張りワイヤを介して前記プランジャに連結されるとともに、第1の外径を有する第1の回転可能な部材と、
第2の引っ張りワイヤを介して前記偏向可能な遠位領域に連結されるとともに、前記第1の外径より小さい第2の外径を有する第2の回転可能な部材と、を備え、
前記第1の外径は、前記遠位領域の偏向前と偏向後で一定であり、
前記第2の外径は、前記遠位領域の偏向前と偏向後で一定であり、
前記第2の回転可能な部材は、前記第2の回転可能な部材の中心点が前記第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、前記第1の回転可能な部材に連結され、
前記偏向アセンブリは、前記プランジャの遠位方向の移動によって、前記第1の回転可能な部材および前記第2の回転可能な部材が第1の方向で回転移動して、前記カテーテル軸体の前記偏向可能な遠位領域の偏向をもたらすように構成される、医療用デバイス。
【請求項6】
前記第1の引っ張りワイヤは、前記第1の回転可能な部材の外表面に巻き付くように構成され、
前記第2の引っ張りワイヤは、前記第2の回転可能な部材の外表面に巻き付くように構成される、請求項に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記第1の回転可能な部材は、前記第1の回転可能な部材および前記第2の回転可能な部材それぞれを通って延在するロッドを介して、前記第2の回転可能な部材に連結される、請求項5又は6に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
前記医療用デバイスが中立位置にあるとき、前記第2の回転可能な部材に連結される前記第2の引っ張りワイヤの端部は、前記第1の回転可能な部材の前記中心点から第1の距離にあり、前記医療用デバイスが偏向位置にあるとき、前記第2の回転可能な部材に連結される前記第2の引っ張りワイヤの前記端部は、前記第1の回転可能な部材の前記中心点から第2の距離にあり、
前記第1の距離は、前記第2の距離より長い、請求項のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
第1の端部で前記偏向可能な遠位領域に連結され、第2の端部で前記プランジャに連結される第3の引っ張りワイヤを更に備え、
前記第3の引っ張りワイヤは、前記プランジャが近位方向に移動すると前記偏向可能な遠位領域を中立位置に戻すのを支援するように構成される、請求項のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月7日出願の米国仮特許出願第62/158,154号、名称「デバイス偏向のための可変トルクアセンブリを含む医療用デバイス(MEDICAL DEVICE INCLUDING A VARIABLE TORQUE ASSEMBLY FOR DEVICE DEFLECTION)」に対する優先権の利益を主張し、その内容および開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、全体として、人体に使用される医療用デバイスに関する。特に、多くの実施形態において、本開示は、カテーテル軸体の遠位領域の偏向を支援する可変トルクアセンブリを含む、医療用デバイス偏向アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルシステムなどの医療用デバイスは、診断(例えば、心臓マッピング)および治療的処置(例えば、心臓アブレーション)などの医療処置で使用されるものとして、当該分野で良く知られている。一般的なカテーテルシステムは、概して、作動メカニズムを収容した制御ハンドルから延在する、細長い可撓性のカテーテル軸体を含む。医師は、制御ハンドル内に収容された作動メカニズムを介して、カテーテル軸体を操作して患者の血管系に通し、患者の体内の意図される部位に至らせる。
【0004】
カテーテルシステムの作動メカニズムは、体内でカテーテル軸体を所望の部位に位置決めするか、または使用中にカテーテルシステムを動作させるのに手動で操作することができる、機械的操縦機構または構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルまたはカテーテルシステムは、カテーテルの近位端にトルクもしくは力を同時に加えることによって、かつ/またはカテーテルの遠位先端を所望の方向で選択的に偏向することによって、処置の間、患者の血管系内で位置決めされてもよい。
【0005】
カテーテルの遠位先端は、カテーテルの遠位端に取り付けられるかまたは固定されるとともに、引っ張りワイヤに対する張力の印加を制御する制御ハンドル内のアクチュエータまで近位方向に延在する、引っ張りワイヤもしくは他の張力部材によって偏向させることができる。作動メカニズムに外力を加えたときの、制御ハンドルの本体に対するカテーテル軸体の遠位方向移動によって、カテーテル軸体の遠位部分に対して偏心の引っ張り力が働き、結果としてカテーテル軸体の遠位部分が偏向構成をとることができる。作動メカニズムに外力が働いていないと、カテーテル軸体は、緊張した引っ張りワイヤによって働く力によって、元々の非緊張位置に戻る傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の複数の実施形態のカテーテルシステムは、本開示の偏向アセンブリを有さない従来の可撓性カテーテルと比べて、カテーテル軸体の遠位領域が偏向している間の機械的な利点が向上した、偏向アセンブリを含み、つまり、本開示は、デバイスのハンドルに対して遠位方向にプランジャを前進させるのに、またしたがってカテーテル軸体の遠位部分の偏向を生じさせるのに必要な総合力が、開示の偏向アセンブリを含まない医療用デバイスと比べて低減される、カテーテルシステムの実施形態を提供する。多くの実施形態では、所望の偏向を達成するのに要する力は、偏向全体を通して実質的に一定のままである。このように力が低減することによって、一貫した形で性能が向上した、改善されたカテーテルシステムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本開示は、医療用デバイスの一部分を偏向させるのに使用するアセンブリを対象とする。アセンブリは、第1の外径を有し、第1の引っ張りワイヤが連結される第1の回転可能な部材と、第1の外径より小さい第2の外径を有し、第2の引っ張りワイヤが連結される第2の回転可能な部材と、を備える。第2の回転可能な部材は、第2の回転可能な部材の中心点が第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、第1の回転可能な部材に連結され、第1および第2の回転可能な部材は、第1の引っ張りワイヤを介した第1の回転可能な部材の回転が、第2の回転可能な部材および第2の引っ張りワイヤを回転させて、医療用デバイスの遠位端を偏向させるように構成される。
【0008】
別の実施形態では、本開示は、カテーテル軸体と、ハンドルと、偏向アセンブリとを備える医療用デバイスを対象とする。カテーテル軸体は、近位端と偏向可能な遠位領域とを有し、ハンドルは、カテーテル軸体の近位端に連結される。ハンドルは、長手方向軸線に沿ってハンドルに対して移動可能なプランジャを備える。偏向アセンブリは、第1の引っ張りワイヤを介してプランジャに連結されるとともに、第1の外径を有する第1の回転可能な部材と、第2の引っ張りワイヤを介して偏向可能な遠位領域に連結されるとともに、第1の外径より小さい第2の外径を有する第2の回転可能な部材と、を備える。第2の回転可能な部材は、第2の回転可能な部材の中心点が第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、第1の回転可能な部材に連結される。偏向アセンブリは、プランジャの遠位方向の移動によって、第1の回転可能な部材および第2の回転可能な部材が第1の方向で回転移動して、カテーテル軸体の偏向可能な遠位領域の偏向をもたらすように構成される。
【0009】
別の実施形態では、本開示は、医療用デバイスの遠位領域を偏向させる方法を対象とする。本方法は、カテーテル軸体と、ハンドルと、偏向アセンブリとを備える医療用デバイスを提供するステップを備える。カテーテル軸体は、近位端と偏向可能な遠位領域とを有する。ハンドルは、カテーテル軸体の近位端に連結され、長手方向軸線に沿ってハンドルに対して移動可能なプランジャを備える。偏向アセンブリは、第1の引っ張りワイヤを介してプランジャに連結される第1の回転可能な部材と、第2の引っ張りワイヤを介して偏向可能な遠位領域に連結される第2の回転可能な部材と、を備える。第2の回転可能な部材は、第2の回転可能な部材の中心点が第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、第1の回転可能な部材に連結される。本方法は、カテーテル軸体の偏向可能な遠位領域が偏向構成になる位置まで、プランジャをハンドルに対して遠位方向に前進させるステップを更に備える。
【0010】
本開示の上述および他の態様、特徴、詳細、効用、ならびに利点は、以下の説明および特許請求の範囲を読むことによって、また添付図面を精査することによって明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ハンドル、カテーテル軸体、および作動メカニズムを含むカテーテルシステムの一実施形態を示す斜視図である。
【0012】
図2】引っ張りワイヤを使用した図1のカテーテル軸体の遠位端の偏向を示す図である。
【0013】
図3】本開示によるカテーテルの一実施形態を示す破断斜視図である。
【0014】
図4】本開示によるカテーテルの一部分の一実施形態を示す分解組立拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
いくつかの図面を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。図面は必ずしも縮尺通りではないことが理解される。
【0016】
本開示は、様々な既知の医療処置に際してヒトの血管系を通すのに使用するのに適したカテーテルシステムを提供する。本開示の複数の実施形態のカテーテルシステムは、本開示の偏向アセンブリを有さない従来の可撓性カテーテルと比べて、カテーテル軸体の遠位領域が偏向している間の機械的利点が向上した、新規な偏向アセンブリを含み、つまり、本開示は、カテーテルデバイスのハンドルに対して遠位方向にアクチュエータまたはプランジャを前進させるのに、またしたがってカテーテル軸体の遠位部分の偏向を生じさせるのに必要な総合力が、開示の偏向アセンブリを含まない医療用デバイスと比べて低減される、カテーテルシステムの実施形態を提供する。かかる開示の実施形態は、より一貫して改善された患者の転帰に、またユーザに対するストレスの低減に結び付き得る。本明細書の目的のため、本開示は、偏向アセンブリを含む一方向性のプランジャ式カテーテルの多数の実施形態と関連して記載される。しかしながら、本明細書に記載されるような本開示における記載の特徴および方法のうちの1つ以上が、本明細書の開示に基づいて当業者によって理解されるであろう、あらゆるカテーテルまたは他の医療用デバイスに組み込まれてもよいことが想起される。
【0017】
より具体的には、本開示のいくつかの実施形態は、第1の引っ張りワイヤが連結された第1の回転可能な部材と、第2の別個の引っ張りワイヤが連結された第2の回転可能な部材とを備える偏向アセンブリを含む、カテーテルシステムを提供する。第2の回転可能な部材は、第2の回転可能な部材の中心点が第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、つまり、第1および第2の回転可能な部材が積み重ねられた構成で互いに連結されるようにして、ただし、第1および第2の回転可能な部材の中心点が互いに垂直方向で位置合わせされないようにして、第1の回転可能な部材に連結される。多くの実施形態では、第2の回転可能な部材は、第1の回転可能な部材よりも小さい直径を有する。第1の引っ張りワイヤは、カテーテルシステムのアクチュエータに、即ちプランジャに連結され、第2の引っ張りワイヤは、カテーテル軸体の偏向可能な遠位領域に連結される。使用中、アクチュエータはハンドルに対して遠位方向に前進させられて、第1の回転可能な部材の回転を生じさせ、それによって次いで、第2の回転可能な部材が同じ方向で回転する。第2の回転可能な部材の回転によって、第2の引っ張りワイヤが第2の回転可能な部材に巻き付き、それによってカテーテル軸体の遠位領域の偏向が生じる。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、カテーテル軸体の偏向された遠位領域を真っ直ぐな非偏向位置に戻すのを支援する、追加の引っ張りワイヤが更に利用されてもよい。
【0018】
本明細書に記載されるような偏向アセンブリは、本開示の偏向アセンブリを含まず、それよりもむしろ、例えば、カテーテル軸体の遠位領域の偏向をもたらす単一の引っ張りまたは偏向ワイヤを含むカテーテルシステムに対して、機械的利点の向上をもたらす。つまり、当該分野で知られている偏向可能なカテーテル軸体を含むカテーテルシステムは、多くの場合、カテーテル軸体の遠位領域の偏向を開始するために、カテーテル軸体を介してアクチュエータと相互作用するように構成された偏心引っ張りワイヤを利用する。更に詳細に後述するように、これらのようなカテーテルシステムの使用中、ユーザは、アクチュエータ(プランジャもしくはアクチュエータレバーとも呼ばれる)を遠位方向に前進させて、把持部に装填または締結されていてもよい引っ張りワイヤの近位端を、ハンドルハウジング内に位置決めされた障害物(もしくは肩部)によって移動が停止または阻害されるまで、カテーテル軸体と共に移動させてもよい。駆動レバーによって駆動して、カテーテル軸体を引き続き遠位方向移動させることによって、引っ張りワイヤに高い張力が作られる。引っ張りワイヤをカテーテル軸体の遠位端に偏心して固着することによって、引っ張りワイヤに対する張力が、カテーテル軸体の遠位領域に働く曲げモーメントを発生させ、それがカテーテル軸体の遠位領域の偏向に結び付く。しかしながら、カテーテル軸体の遠位領域を偏向させるのにユーザによって働かされる力は、状況によっては、処置の間に厄介なものになる可能性があり得る。
【0019】
本開示の偏向アセンブリを利用することによって、引っ張りワイヤに対して可変トルクが作られて、カテーテル軸体の遠位領域を偏向させるのに必要な力の量が低減する。つまり、アクチュエータを遠位方向に前進させるにつれて、第1の引っ張りワイヤが第1の回転可能な部材の回転を生じさせ、それによって第2の回転可能な部材が同じ方向で回転する。第2の回転可能な部材は中心がずれた位置で第1の回転可能な部材に連結されているので、第2の引っ張りワイヤは、偏向可能な遠位領域が中立状態にあるときの、第1の回転可能な部材の中心点から最も離れた位置から、偏向可能な遠位領域が偏向状態にあるときの、第1の回転可能な部材の中心点により近い位置まで移動し、それによって、カテーテルの遠位領域を偏向させるにつれてトルクが増加し、ユーザがカテーテル軸体の遠位領域を継続して偏向させるのに要する追加の力が制限される。引っ張りワイヤに対する可変トルクを利用してカテーテル軸体の遠位領域の偏向を生じさせる(即ち、遠位領域を偏向させるにつれてトルクが増加する)、偏向アセンブリを提供することによって、機械的利点の向上を達成することができ、それによって、カテーテル軸体の遠位領域の偏向を生じさせるのに要する総合力の量が低減される。つまり、カテーテル軸体の遠位領域を完全に偏向させることによってアクチュエータを遠位方向で前進させても、ユーザに対する力の量は実質的に増加しない。これにより、時間に伴うユーザの疲労を低減させることができる。
【0020】
次に図面を参照すると、特に図1を参照すると、非偏向位置、即ち中立位置にある、プランジャ式カテーテル10が示されている。カテーテル10は、一般に、近位領域14および偏向可能な遠位領域16を有するカテーテル軸体12と、ハンドル18と、ハンドル18内に位置するアクチュエータハウジング(図示なし)とを含む。ハンドル18はアクチュエータメカニズム20を含む。図1および2に示されるように、アクチュエータメカニズム20は、駆動レバー22(アクチュエータレバーもしくはプランジャとも呼ばれる)を含み、駆動レバーは、カテーテル軸体12の遠位領域16を中立位置から偏向させる、矢印Aに沿った第1の方向(例えば、遠位方向)で、ならびに遠位領域16を中立位置に向かって復帰または後退させる、矢印Bに沿った第2の反対方向(例えば、近位方向)で、ハンドル18の中央長手方向軸線24に沿ってハンドル18に対して移動可能である。例えば、カテーテル10は、本明細書に全体が説明されているものとして参照により本明細書に組み込む、2013年9月30日出願の米国仮特許出願第61/884,897号に開示されているタイプに類似したものであり得る。
【0021】
図2は、引っ張りワイヤ26を使用したカテーテル軸体12の遠位領域16の偏向を示している。引っ張りワイヤ26は、カテーテル軸体12の管腔を通って延在している。引っ張りワイヤ26は、カテーテル軸体12の遠位領域16に埋め込まれたプルリング(図示なし)に、かつハンドル18内の把持部(図示なし)に連結されるので、駆動レバー22を矢印Aに沿って第1の方向で移動させると、カテーテル軸体12の遠位領域16が中立位置から第1の偏向方向(例えば、矢印C)に沿って偏向し、駆動レバー22を矢印Bに沿って第2の方向で移動させると、カテーテル軸体12の遠位領域16が中立位置に向かって(例えば、矢印Dに沿って)復帰または後退する。引っ張りワイヤをカテーテルに使用することについて当業者が理解するであろう限りにおいて、本開示のこの態様について本明細書では詳細に説明しない。
【0022】
本明細書に開示するカテーテルシステムは、主に、一方向性のカテーテルに関して記載しているが、開示の原理は、双方向性のカテーテルを含むがそれに限定されない他の文脈において等しく適用可能であることが認識されるべきである。つまり、例えば、後述する抑制アセンブリの様々な構造的構成を用いて、駆動レバー22を矢印Aに沿って第1の方向で移動させることで、遠位領域16を中立位置から第1の偏向方向(例えば、図2の矢印C)で偏向させることができ、駆動レバー22を第2の方向で移動させることで、遠位領域16を中立位置から第2の偏向方向で偏向させることができ、第1および第2の方向は両方とも同じ面内にある。
【0023】
本開示の多数の実施形態によれば、図1および2のカテーテル10は、カテーテル軸体12の遠位領域16の一部分を偏向させるのに使用するアセンブリを更に含んでもよい。次に図3を参照すると、プランジャ式カテーテル30が破断斜視図で示されている。この実施形態では、カテーテル30は、ハンドル32と、プランジャ34と、カテーテル軸体33と、第1の回転可能な部材36と、第2の回転可能な部材38とを含む。いくつかの実施形態では、カテーテル軸体33は、作動させるとプランジャ34がカテーテル軸体33に対して移動するようにして、ハンドル32に固着または接続されてもよい。第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38は、互いに連結されるかまたは別の方法で固着されて、第2の回転可能な部材38が第1の回転可能な部材36の上に位置する形で、積み重ねられた材料の一個片を形成する。第1の回転可能な部材36は第1の外径(以下では、「第1の直径」ともいう。)を有し、第2の回転可能な部材38は第2の外径(以下では、「第2の直径」ともいう。)を有し、第2の直径は第1の直径よりも小さい(後述する、図4を参照)。第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38は、第2の回転可能な部材38の中心点が第1の回転可能な部材36の中心点からずれるように(後述する、図4を参照)、つまり、第2の回転可能な部材38の中心点が第1の回転可能な部材36の中心点と直接整列せず、誤整列がもたらされるようにして、互いに連結されるかまたは別の方法で固着される。
【0024】
再び図3を参照すると、第1の引っ張りワイヤ40は、第1のチューニングピン42で第1の回転可能な部材36に連結され、第2のチューニングピン44でプランジャ34に更に連結される。第2の引っ張りワイヤ46は、第3のチューニングピン48で第2の回転可能な部材38に連結され、カテーテル30の偏向可能な遠位領域(図示なし)に更に連結される。セットポスト(またはロッド)50は、連結された第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38をカテーテル30に取り付ける。任意に、いくつかの実施形態では、カテーテル30は、第3の引っ張りワイヤ52を更に含んでもよく、第3の引っ張りワイヤは第4のチューニングピン54に連結され、またカテーテル30の偏向可能な遠位領域(図示なし)に更に連結される。この任意の第3の引っ張りワイヤ52は、本明細書に記載するように使用されると、カテーテル30の偏向された遠位領域を真っ直ぐに戻すのを更に支援するのに使用されてもよい。チューニングピン42、44、48、および54は、第1の引っ張りワイヤ40、第2の引っ張りワイヤ46、および第3の引っ張りワイヤ52を固定し、また、第1の引っ張りワイヤ40、第2の引っ張りワイヤ46、第3の引っ張りワイヤ52に対する所望の張力を最適化しカスタマイズして、カテーテル30の遠位領域の所望の張力量、およびしたがって所望の偏向量を達成するのに使用されてもよい。
【0025】
次に図4を参照すると、図3のカテーテル30の一部分の拡大分解組立図が示されている。図4は、第2の回転可能な部材38が第1の回転可能な部材36の上に位置する、第2の回転可能な部材38に連結された第1の回転可能な部材36を示している。第1の回転可能な部材36は、外表面37と、直径DAと、中心点CAとを有する。第2の回転可能な部材38は、外表面39と、直径DBと、中心点CBとを有する。図4に示されるように、第1の回転可能な部材36の中心点CAは、第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38が中心点がずれた位置で連結されるようにして、第2の回転可能な部材38の中心点CBからずれている。図4に更に示されるように、第1の回転可能な部材36の直径DAは、第2の回転可能な部材38の直径DBよりも大きい。直径DAおよび直径DBは両方とも、特定の所望の実施形態に応じて、一定の直径(もしくは一定の半径)を有してもよく、または変動する直径(もしくは変動する半径)を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38の一方が一定の直径(もしくは半径)を有してもよく、他方が変動する直径(もしくは半径)を有してもよい。第1の回転可能な部材36の直径DAは、いくつかの実施形態では、0.6インチから1.0インチ(1.52cmから2.54cm)、または更には0.7インチから0.9インチ(1.78cmから2.29cm)、または更には0.8インチ(2.03cm)であってもよい。第2の回転可能な部材38の直径DBは、いくつかの実施形態では、0.1インチから0.59インチ(0.25cmから1.50cm)、または更には0.4インチから0.59インチ(1.02cmから1.50cm)、または更には0.58インチ(1.47cm)であってもよい。本開示の特定の一実施形態では、直径DAは約0.8インチ(2.03cm)であり、直径DBは約0.58インチ(1.47cm)である。また、図4には、上述したような、セットポスト50、第1のチューニングピン42、および第3のチューニングピン48も示されている。
【0026】
第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38は、本明細書に記載するような部材の意図される機能を実施するのに適した重量および堅牢性があるいかなる材料で構築されてもよく、そのため、材料の選択は重要ではない。いくつかの実施形態では、第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38は、アセタールホモポリマーおよびコポリマー、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエステル、強化ポリオレフィン、フルオロポリマー、潤滑ナイロン、またはそれらの組み合わせなどであるがそれらに限定されない、比較的硬質で潤滑性があるポリマー材料から成る群から選択された、1つ以上の材料で構築されてもよい。第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38は、例えば、好適な接着剤または他の既知の手段を含む、材料を接合するための任意の好適な技術を使用して、互いに連結されてもよい。あるいは、第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38は、単一の一体個片として成型されてもよい。
【0027】
第1の引っ張りワイヤ40、第2の引っ張りワイヤ46、および任意の第3の引っ張りワイヤ52は、例えば、繊維系材料、および金属または合金系材料の両方を含む、本明細書に記載するような引っ張りワイヤの意図される機能を実施するのに十分な強度、延伸性、および耐久性を有する、任意の材料または2つ以上の材料の組み合わせで構築されてもよい。好適な材料としては、例えば、Kevlar(登録商標)アラミド繊維編組材料、Vectran(登録商標)繊維、ステンレス鋼ワイヤ、ニッケルワイヤ、ニッケル合金ワイヤ、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。本開示のいくつかの実施形態では、ある材料の引っ張りワイヤが、別の材料の引っ張りワイヤに接続されるかまたは別の方法で固着されて、結果として得られる引っ張りワイヤが2つ以上の材料の組み合わせで構築されてもよい。例えば、特定の一実施形態では、単一の引っ張りワイヤが、繊維性材料(Kevlar(登録商標)もしくはVectran(登録商標)など)で構成され、それが(例えば、チタンクリンプなどの好適なクリンプ、もしくは他の好適な接続手段を使用して)、ステンレス鋼または別の金属もしくは合金材料で構築された従来の引っ張りワイヤに接続されてもよい。偏向を可能にするために、繊維性材料から構築されたこの引っ張りワイヤの部分は、第1の回転可能な部材および/または第2の回転可能な部材の周りに利用されてもよく、従来のステンレス鋼または別の金属もしくは合金材料で構築された引っ張りワイヤの部分は、カテーテル軸体の遠位端に接続されてもよい。
【0028】
本開示によれば、上述の偏向アセンブリは、医療用デバイスを医療処置において好適に使用して個人の血管系に通すことができるように、医療用デバイスの遠位領域を偏向させる方法を提供するのに、カテーテルと共に利用されてもよい。多くの実施形態では、偏向に要する作動力は、7.5ft・lbs(10.17Nm)未満、または更には5.0ft・lbs(6.78Nm)未満、または更には約3.5ft・lbs(4.75Nm)であってもよい。本明細書に記載する偏向アセンブリは、本明細書に記載するように、偏向すべきカテーテル軸体の遠位領域に連結された、第2の引っ張りワイヤ46(図3を参照)に可変トルクを提供するのに利用されてもよい。そのため、使用の際、カテーテル30のプランジャ34(図3を参照)を遠位方向に前進させると、第1の引っ張りワイヤ40(図3を参照)が第1の回転可能な部材36(図3を参照)の回転を生じさせ、それによって次いで、第2の回転可能な部材38(図3、ならびに図3における、第1の回転可能な部材36および第2の回転可能な部材38の回転移動を示している矢印を参照)が同じ方向で回転する。上述したように、第2の回転可能な部材38は中心がずれた位置で第1の回転可能な部材36に連結されているので、また、第2の回転可能な部材38の直径は第1の回転可能な部材36の直径よりも小さいので、第2の引っ張りワイヤ46は、偏向可能な遠位領域が中立状態にあるときの、第1の回転可能な部材36の中心点から最も離れた位置から、偏向可能な遠位領域が偏向状態にあるときの、第1の回転可能な部材36の中心点により近い位置まで移動し、それによって、カテーテル軸体の遠位領域を偏向させるにつれてトルクが増加し、ユーザがカテーテル軸体の遠位領域を継続して偏向させるのに要する追加の力が制限される。
【0029】
本開示によれば、第2の引っ張りワイヤ46に対する可変トルクを利用してカテーテル軸体の遠位領域の偏向を生じさせる(つまり、カテーテル軸体の遠位領域を偏向させるにつれてトルクが増加する)、偏向アセンブリを提供することによって、機械的利点の向上が達成されてもよく、それによって、カテーテル軸体の遠位領域の偏向を生じさせるのに要する総合力の量が低減される。換言すると、カテーテル軸体の遠位領域を完全に偏向させることによってアクチュエータを遠位方向に前進させるにつれて、ユーザによって必要とされる力の量は、実質的に増加しない。
【0030】
本開示の特定の実施形態について、ある程度の特殊性をもって上記に記載してきたが、当業者であれば、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示の実施形態に対して多数の変更を行うことが可能である。全ての方向に関する言及(例えば、上側、下側、上方向、下方向、左側、右側、左方向、右方向、頂部、底部、上方、下方、垂直、水平、時計方向、および反時計方向)は、単に、読者が本開示を理解するのを助けるため、特定目的で使用されるものであり、特に本開示の位置、向き、または使用に関して、限定を作り出すものではない。接合に関する言及(例えば、取り付けられた、連結された、接続されたなど)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続部間の中間部材、および要素間の相対移動を含んでもよい。そのため、接合に関する言及は、2つの要素が直接接続され、互いに対して固定されていることを必ずしも暗示するものではない。上述の説明に含まれる、または添付図面に示される全ての事項は、限定ではなく単なる例示として解釈されるべきものとする。添付の特許請求の範囲において定義されるように、本開示の趣旨から逸脱することなく、詳細または構造が変更されてもよい。
【0031】
本開示またはその好ましい実施形態の要素を紹介する際、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味するものとする。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的であって、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものとする。
【0032】
本開示の範囲から逸脱することなく、上述の構造に様々な変更を行うことができるので、上述の説明に含まれる、または添付図面に示される全ての事項は、限定の意味ではなく例示として解釈されるべきものとする。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
医療用デバイスの一部分を偏向させるのに使用するアセンブリであって、
第1の直径を有し、第1の引っ張りワイヤが連結さる第1の回転可能な部材と、
前記第1の直径より小さい第2の直径を有し、第2の引っ張りワイヤが連結される第2の回転可能な部材と、を備え、
前記第2の回転可能な部材は、前記第2の回転可能な部材の中心点が前記第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、前記第1の回転可能な部材に連結され、
前記第1および第2の回転可能な部材は、前記第1の引っ張りワイヤを介した前記第1の回転可能な部材の回転が、前記第2の回転可能な部材および前記第2の引っ張りワイヤを回転させて、前記医療用デバイスの遠位端を偏向させるように構成される、アセンブリ。
(項目2)
前記第1の引っ張りワイヤは、前記第1の回転可能な部材の外表面に巻き付くように構成され、
前記第2の引っ張りワイヤは、前記第2の回転可能な部材の外表面に巻き付くように構成される、項目1に記載のアセンブリ。
(項目3)
前記第1および第2の回転可能な部材はそれぞれ、一定の直径を有する、項目1に記載のアセンブリ。
(項目4)
前記第1の回転可能な部材は、前記第1の回転可能な部材および前記第2の回転可能な部材それぞれを通って延在するセットポストを介して、前記第2の回転可能な部材に連結される、項目1に記載のアセンブリ。
(項目5)
前記アセンブリが第1の位置にあるとき、前記第2の回転可能な部材に連結される前記第2の引っ張りワイヤの端部は、前記第1の回転可能な部材の前記中心点から第1の距離にあり、前記アセンブリが前記第1の位置から回転方向にずれた第2の位置にあるとき、前記第2の回転可能な部材に連結される前記第2の引っ張りワイヤの前記端部は、前記第1の回転可能な部材の前記中心点から第2の距離にあり、
前記第1の距離は、前記第2の距離より長い、項目1に記載のアセンブリ。
(項目6)
近位端と偏向可能な遠位領域とを有するカテーテル軸体と、
前記カテーテル軸体の前記近位端に連結されるハンドルであって、長手方向軸線に沿って前記ハンドルに対して移動可能なプランジャを備える、ハンドルと、
偏向アセンブリと、を備え、
前記偏向アセンブリは、
第1の引っ張りワイヤを介して前記プランジャに連結されるとともに、第1の直径を有する第1の回転可能な部材と、
第2の引っ張りワイヤを介して前記偏向可能な遠位領域に連結されるとともに、前記第1の直径より小さい第2の直径を有する第2の回転可能な部材と、を備え、
前記第2の回転可能な部材は、前記第2の回転可能な部材の中心点が前記第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、前記第1の回転可能な部材に連結され、
前記偏向アセンブリは、前記プランジャの遠位方向の移動によって、前記第1の回転可能な部材および前記第2の回転可能な部材が第1の方向で回転移動して、前記カテーテル軸体の前記偏向可能な遠位領域の偏向をもたらすように構成される、医療用デバイス。
(項目7)
前記第1の引っ張りワイヤは、前記第1の回転可能な部材の外表面に巻き付くように構成され、
前記第2の引っ張りワイヤは、前記第2の回転可能な部材の外表面に巻き付くように構成される、項目6に記載の医療用デバイス。
(項目8)
前記第1および第2の回転可能な部材はそれぞれ、一定の直径を有する、項目6に記載の医療用デバイス。
(項目9)
前記第1の回転可能な部材は、前記第1の回転可能な部材および前記第2の回転可能な部材それぞれを通って延在するロッドを介して、前記第2の回転可能な部材に連結される、項目6に記載の医療用デバイス。
(項目10)
前記デバイスが中立位置にあるとき、前記第2の回転可能な部材に連結される前記第2の引っ張りワイヤの端部は、前記第1の回転可能な部材の前記中心点から第1の距離にあり、前記デバイスが偏向位置にあるとき、前記第2の回転可能な部材に連結される前記第2の引っ張りワイヤの前記端部は、前記第1の回転可能な部材の前記中心点から第2の距離にあり、
前記第1の距離は、前記第2の距離より長い、項目6に記載の医療用デバイス。
(項目11)
第1の端部で前記偏向可能な遠位領域に連結され、第2の端部で前記プランジャに連結される第3の引っ張りワイヤを更に備え、
前記第3の引っ張りワイヤは、前記プランジャが近位方向に移動すると前記偏向可能な遠位領域を中立位置に戻すのを支援するように構成される、項目6に記載の医療用デバイス。
(項目12)
医療用デバイスを提供するステップであって、
前記医療用デバイスが、
近位端と偏向可能な遠位領域とを有するカテーテル軸体と、
前記カテーテル軸体の前記近位端に連結されるハンドルであって、長手方向軸線に沿って前記ハンドルに対して移動可能なプランジャを備える、ハンドルと、
偏向アセンブリと、を備え、
前記偏向アセンブリが、
第1の引っ張りワイヤを介して前記プランジャに連結される第1の回転可能な部材と、
第2の引っ張りワイヤを介して前記偏向可能な遠位領域に連結される第2の回転可能な部材と、を備え、
前記第2の回転可能な部材が、前記第2の回転可能な部材の中心点が前記第1の回転可能な部材の中心点からずれるように、前記第1の回転可能な部材に連結される、医療用デバイスを提供するステップと、
前記カテーテル軸体の前記偏向可能な遠位領域が偏向構成になる位置まで、前記プランジャを前記ハンドルに対して遠位方向に前進させるステップと、を備える、医療用デバイスの遠位領域を偏向させる方法。
(項目13)
前記カテーテル軸体の前記偏向可能な遠位領域が偏向位置になる位置まで、前記プランジャを前記ハンドルに対して遠位方向に前進させるステップは、前記第1の引っ張りワイヤが前記第1の回転可能な部材の回転を生じさせるように、前記プランジャを遠位方向に前進させるステップを備える、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記第1の回転可能な部材の回転は、前記第2の引っ張りワイヤが前記第2の回転可能な部材の周りで回転するように、前記第2の回転可能な部材の回転を生じさせる、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記第2の回転可能な部材の周りの前記第2の引っ張りワイヤの回転は、前記偏向可能な遠位領域の偏向を生じさせる、項目14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4