(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】流体状またはペースト状の製品をケラチン繊維に塗布する塗布用具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20220112BHJP
A46B 3/04 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
A46B3/04
(21)【出願番号】P 2017563389
(86)(22)【出願日】2016-02-24
(86)【国際出願番号】 FR2016050432
(87)【国際公開番号】W WO2016135423
(87)【国際公開日】2016-09-01
【審査請求日】2019-02-13
(32)【優先日】2015-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517298769
【氏名又は名称】ソシエテ・アンデュストリエル・ド・マティエール・プラスティック
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100136227
【氏名又は名称】長谷 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100073302
【氏名又は名称】神谷 牧
(72)【発明者】
【氏名】ドバルドネッシュ,エリック
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/009517(WO,A1)
【文献】特開2001-204543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0062551(US,A1)
【文献】国際公開第2014/195914(WO,A1)
【文献】特開昭48-083958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A46B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線XXに沿って延びる細長形の中央軸芯(1)と、前記軸芯に配置された第一の端(20)と第二の自由端(21)とを有
し、第一の領域(22)を備え、前記軸芯(1)と一体に成形された、少なくとも1列の細長の櫛歯(2)とを備えてなる、ケラチン繊維に流体状または粘性体状の製品を塗布するための塗布用具であって、
前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の少なくとも1つの櫛歯は、この塗布用具の長手方向面(以下、「基準面P」と呼ぶ)と一致する第一の平らな面(200)および前記第一の平らな面(200)と10°~180°の角度をなす第二の平らな面(210)で端部が画され、かつ前記軸芯(1)に対して放射線状に突き出し、前記長手方向軸線XXを含み、
前記第一の領域(22)は、円の一部分の形状の実質的に一定の断面を有し、前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)は、前記第一の領域(22)から延伸する断面が変化し、
第二の自由端を有する第二の領域(23)を備えており、
前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)の隣接する2つの櫛歯の形状および/または配置は、二者の間に
、前記製品の製品溜めとして機能する少なくとも1つの遠位第一開口(230、236)を作り出し、前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)の前記隣接する2つは、180°異なる方向を向き、前記基準面Pの両側に交互に位置する基準長手方向面Pの両側に交互に位置している基準長手方向面Pの両側に交互に位置している
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布用具において、
前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)の隣接する2つの櫛歯の形状および/または配置は、二者の間に第二の開口(235)を作り出すことができる
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布用具において、
前記遠位第一開口と前記第二の開口は、別個であるかまたは繋がっている
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項4】
請求項1に記載の塗布用具において、
前記遠位第一開口(236)は、前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)の自由端に向かって開口し、概して音叉の形状を呈している
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項5】
請求項1に記載の塗布用具において、
前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)の少なくとも2つは、同一の方向を向いている
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項6】
請求項1に記載の塗布用具において、
前記軸線XXに沿って測った順次2つの前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)の間の距離は、およそ2mmより少ない範囲で負、零または正である
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項7】
請求項1に記載の塗布用具において、
前記第一の面(200)および第二の平らな面(210)は、両者の間におよそ180°の角度を形成しており、前記第二の領域(23)は、前記第一の領域(22)と一直線上で隣接する少なくとも1つの第一の部分(231)および前記基準面Pに沿って前記第一の部分と重なり合うように隣接する第二の部分(232)を備えてなる
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項8】
請求項7に記載の塗布用具において、
前記第一の部分(231)は、第一の膨出部を備えてなり、前記第二の部分(232)は、前記第一の膨出部とは異なる方向を向いた第二の膨出部を備えてなる
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項9】
請求項7に記載の塗布用具において、
前記第二の領域(23)の前記第二の部分(232)は、前記基準面Pの前記第一の部分と反対側で前記基準面と実質的に平行に延びるU字形をしている
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項10】
請求項1に記載の塗布用具において、
前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)の前記第二の領域は、凹曲面と凸曲面が順次並んで延びている
ことを特徴とする塗布用具。
【請求項11】
請求項1に記載の塗布用具において、
前記少なくとも1列の細長の櫛歯(2)の前記少なくとも1つの櫛歯(2)は、膨出部および/または凸状部から出た少なくとも1つの突起(24)を備えてなる
ことを特徴とする塗布用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスカラタイプの、流体状または粘性体状の化粧品のための塗布具の分野に関する。この発明は、より具体的には、化粧品を塗布するための器具または手段に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術には、非常に多くのマスカラ塗布具が知られている。塗布器具自体は、例えば、中央軸芯(コア)とそこから延び出ている一組の毛条片(poils)または櫛歯(picots)を備えた細長形のブラシである。毛条片は、旧い技術であり、撚り合わせた金属線が横方向に延び出た毛条片(複数)を保持している。塗布器具の一例が米国特許US5,611,361号に詳解されている。
【0003】
より最近では、塗布器具は、ブラシの長手方向軸芯(コア)に植え込まれた一連の櫛歯(棘状片)を備えてなるブラシの形をしている。その全体は、プラスチック材料でモールド成形されている。塗布器具は、それを中に入れることができる適当な容器を有して、化粧品用のディスペンサ(小出し使用容器)を形成している。出願FR2,810,860号およびWO2011/045770号が、この技術思想から出る塗布具の数例を示している。
【0004】
従来技術の塗布器具、すなわち、ブラシの欠点は、ケラチン繊維を延ばし、厚くし、および/または分離するために、櫛歯が容器から櫛歯へ化粧品を正しく移し替えて化粧品をケラチン繊維に適切に塗布することができないということである。
【0005】
ブラシへのマスカラの装填(移し替えて載せること)を改善するために従来技術により考えられる1つの解決策は、マスカラを集めるための平らな面を有するとともに平らでない面がまつげの分離に関与する櫛歯を使用することである。文献EP1,872,682号がそのようなブラシを記載している。その櫛歯は、ブラシの長手方向軸線に平行な複数の列に配置されており、1つの列の全ての櫛歯は、それらの平らな面を同じ側に有している。それらの平らな面は、一列に整列されており、他方、平らでない面は、その線の同じ側に位置している。したがって、ブラシの使用者は、ブラシを回しながら、ブラシの長手方向軸線に直角な方向にブラシを動かす。
【0006】
このタイプのブラシは、平らな面がまつげの分離に関与せず、平らでない面がマスカラの装填に関与しないので、最大の効能を有していない。したがって、このタイプのブラシでは、使用者は、マスカラの十分な装填が回復するのを確実にするために、ブラシの動きを逆向きにしながらまつげの上を数回通過させなければならない。
【0007】
いくぶん別のやり方であるが、特許出願EP1,611,817号は、長手方向の支持体と、支持体とともに一体成形され、支持体の同じ側に植え込まれ、支持体の長さの1/4を超えて延びる第一および第二の列の櫛歯とを備えてなるマスカラ塗布器具を記載している。歯(または櫛歯)は、2つの平行でない方向および表面に形成されたいわゆる分離幾何学的表面の両側に延びている。櫛歯は、支持体の平らな面から直立しており、分離表面の両側に互い違いに形成されている。したがって、マスカラを塗布するときは、ブラシを行ったり来たり動かしても装填の最適な分布やまつげの適度な分離ができない。
【0008】
特許出願FR2,930,875号も知られており、平らな面を有し軸芯から放射状に突き出た複数列の櫛歯を支持する長手方向の軸芯を備えてなる、化粧品を塗布するための器具を記載している。櫛歯は、軸芯の長手方向軸線に平行な少なくとも一列に配置されていて、いずれの列においても、その列の中心線(または、中心平面)の両側に交互に置かれて各平らな面がその列の内側に向けられている。その発明の1つの特徴によると、同じ列の櫛歯の平らな面は、軸芯に対して垂直に延び、整列されており、軸芯の周りの2つの螺旋方向に向けられている。
【0009】
この解決策は、従来技術に比較して一定の改良をもたらすけれども、装填に都合のよい規格ユニットは得られていない。そのうえ、まつげの分離には改良の余地がある。
【0010】
したがって、とりわけ各櫛歯の形状に関しては、開発が必要である。各櫛歯は、単独でまたは他の櫛歯と組合せで化粧品の装填およびまつげまたはケラチン繊維の分離の改善に役立つものでなければならい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】US5,611,361B
【文献】FR2,810,860A
【文献】WO2011/045770A
【文献】EP1,872,682A
【文献】EP1,611,817A
【文献】FR2,930,875A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明は、とりわけ化粧品の装填およびまつげの分離に関して従来技術の欠点を取り除くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、この発明により提案される流体または粘性体タイプの製品をケラチン繊維に塗布するための器具は、長手方向軸線XXに沿って延びる細長形の中央軸芯と、軸芯に植え込まれた第一の端と第二の自由端とを有する少なくとも1列の細長の櫛歯とを備えてなり、櫛歯と軸芯は単一片に形成されている。この発明の第一の特徴点によると、櫛歯の少なくとも1つは、基準面と称されるこの塗布器具の長手方向面と一致する第一の平らな面および当該第一の平らな面と10°~180°の角度をなす第二の平らな面で端部が画されている。さらに、前記少なくとも1つの櫛歯は、円の一部分の形状の実質的に一定の断面を有し軸芯に植え込まれた第一の領域および前記第一の領域と実質的に長手方向に一直線に並んで位置し断面の変化する第二の領域を備えている。
【0014】
櫛歯の形状と個々および/または相互の配置の厳格な技術的定義を構成するこれらの特徴は、上述した機能を改善する。
【0015】
有利なことに、軸線XXに沿って順次植え込まれた2つの櫛歯の形状および/または配置は、二者の間に少なくとも1つの遠位開口を作り出すことができる。前記遠位開口は、櫛歯の自由端に向かって開口し、概して音叉の形状であってもよい。
【0016】
この発明の範囲から逸脱することなく、軸線XXに沿って順次植え込まれた2つの櫛歯の形状および/または配置は、二者の間に第二の開口を形成することが可能である。考えられる選択肢によると、遠位開口と第二の開口は、別個であってもよいし、繋がっていてもよい。
【0017】
さらに、この発明の一実施形態によると、1つの列を構成する少なくとも2つの櫛歯は、同一の方向に向いている。
【0018】
この発明の他の実施形態によると、1つの列を構成する少なくとも2つの櫛歯は、異なった方向に向いている。
【0019】
さらに、軸線XXに沿って測った順次並んだ2つの櫛歯の間の距離は、およそ2mm未満で、負の値でもよく、零でもよく、正の値でもよい。この距離は、考えられる特定の場合に容易に適応させることができる。
【0020】
この発明の特定の実施形態によると、記第一および第二の面は、両者の間におよそ180°の角度を形成しており、第二の領域は、第一の領域と一直線上で隣接する少なくとも1つの第一の部分および前記基準面Pに沿って第一の部分と重なり合うように隣接する第二の部分を備えている。
【0021】
より厳密にいうと、前記第一の部分は、第一の膨出部を備えており、第二の部分は、前記第一の膨出部とは異なる方向を向いた第二の膨出部を備えている。
【0022】
この発明の他の代案によると、第二の領域の前記第二の部分は、前記基準面Pの第一の部分と反対側で前記基準面と実質的に平行に延びるU字形をしている。
【0023】
さらに、櫛歯の第二の領域は、順次凹曲面と凸曲面が並んで延びていてもよい。
【0024】
発明の範囲から離れるが、少なくとも1つの櫛歯は、膨出部および/または凸状部から出た少なくとも1つの突起を備えている。
【0025】
この発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら以下の説明を読むことにより、分かるであろう。
【発明の効果】
【0026】
この発明による塗布具は、流体状または粘性体状の化粧品を化粧品容器から塗布具へ正しく移し替えることができるとともに、化粧品をケラチン繊維に適切に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の第一の実施形態による塗布用具の斜視図である。
【
図2A】この発明の第二の実施形態による塗布具の側面図である。
【
図2B】この発明の第二の実施形態の平面図である。
【
図3A】この発明の第三の実施形態によろ塗布具の側面図である。
【
図3B】この発明の第三の実施形態の平面図である。
【
図4A】この発明の変形例による櫛歯を示す斜視図である。
【
図4B】この発明の変形例による櫛歯を示す側面図である。
【
図4C】この発明の変形例による櫛歯を示す平面図である。
【
図5A】この発明の他の変形例による櫛歯を示す斜視図である。
【
図5B】この発明の他の変形例による櫛歯を示す側面図である。
【
図5C】この発明の他の変形例による櫛歯を示す平面図である。
【
図6A】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す斜視図である。
【
図6B】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す側面図である。
【
図6C】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す平面図である。
【
図7A】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す斜視図である。
【
図7B】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す側面図である。
【
図7C】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す平面図である。
【
図8A】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す斜視図である。
【
図8B】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す側面図である。
【
図8C】この発明の変形例による2本の櫛歯の配置を示す平面図である。
【
図12】列に配置した他の形状の櫛歯を横から見て示す。
【
図13A】順次2本の櫛歯の間の長さ方向間隔の違いを図解する。
【
図13B】順次2本の櫛歯の間の長さ方向間隔の違いを図解する。
【
図13C】順次2本の櫛歯の間の長さ方向間隔の違いを図解する。
【
図14】この発明の一実施形態による塗布用具の斜視図である。
【
図15】この発明の他の実施形態による塗布用具の側面図である。
【
図16】この発明による櫛歯の他の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
より明確のために、同一のまたは類似の素子は、全部の図面において同一の参照符号を付した。
【0029】
この明細書の残りの部分において、「塗布具」または「塗布用具」または「塗布器具」は、同じ技術的手段を定義すべく使用される。
【0030】
図1は、この発明の原理を示し、したがって、この発明は、まつげのようなケラチン繊維に流体状または粘性体状の製品を塗布するための用具に関する。公知の様式において、この用具は、長手方向軸線XXに沿って延びる細長の軸芯(コア)1を備えてなり、当該軸芯の断面は、一定であってもなくてもよい。少なくとも1列の櫛歯または突起2は、概して細長い形で、軸芯1に植え込まれた第一の端20と第二の端(自由端)21とを有し、櫛歯2と軸芯1は、とりわけプラスチック成形で一体に形成されると有利である。塗布器具は、概して細長い形で、その外容(嵩)は、円筒形、円錐台形、ピーナッツ形、その他の種々の形を取ることができ、当業者は、細かい点に応じて選択する。
図1Aおよび
図1Bは、実質的に円柱形の外容を示し、
図2Aは、ピーナッツ形の外形を示し、
図3Aは、波打った形を示している。
【0031】
この発明によると、
図4A~
図13Cにも図解されているように、少なくとも1つの櫛歯は、軸芯1に関して放射方向(半径方向)に延びるいわゆる長手方向面または基準面Pと一致するまたは実質的に一致する第一の平らな面200によって端部が画されている。
図1は、当該面Pを明確に示し、この図は、面Pと一致する面を有する1列の櫛歯を図解している。
【0032】
櫛歯2(または、それらのうちの少なくとも1つ)は、また、第一の平らな面とおおよそ10°~180°の間の角度を形成する第二の平らな面210によっても定義され、かつ、端部が画されている。以下の様々な図が、当業者によって選択され、決定され、計算される種々の考え得る角度を示す。
【0033】
さらに、少なくとも1つの櫛歯2は、軸芯1に植え込まれた第一の領域22を備えており、この領域は、ほぞ21に当たり、好ましくは円の一部分の形状で実質的に一定の断面を有し、それは、軸芯1に対する各櫛歯の「根元」または固着部である。第一の領域22と長手方向に一直線に並んで第二の領域23が考慮されており、それは、様々な形状であることができ、網羅的ではないが、添付図面に個々に図解されている。
【0034】
図4A、4B、4Cによると、問題の櫛歯の第一の面200および第二の面210は、
図4に明確に示されているように両者の間に直角を形成している。第二の領域23は、ここでは第一の領域22と一直線に並んだ第一の膨らんだ部分(または第一の膨らみ)231および第一の膨らみ231と一直線に第二の膨らんだ部分(または第二の膨らみ)232を有している。
【0035】
図5Aおよび
図5Bは、第二の膨らんだ部分232が櫛歯の遠位部分21に凹部232を有する点で
図4のものとは異なる実施形態に関する。
図5Bは、櫛歯の2つの面200と210の間の角度においても異なり、この角度は、ここではおおよそ45°である。したがって、この櫛歯は、
図4に図解されたものと比べて、他の点では同じであるが、よりほっそりとして、よりしなやかである。
【0036】
図6A、
図6B、
図6Cは、隣り合う2つの櫛歯の相互配置を、各固有の形とともに、図解している。
図5A、
図5B、
図5Cの櫛歯とは異なり、各櫛歯の形状は、互いに実質的に一直線にある2つの凹部233、234を備えてなる。これらの凹部は、順次2つの櫛歯を互いに適切に配置しつつ、互いに一直線にある2つの開口235、236を形成することができる。
【0037】
面200と面210は、ここでは互いから90°の方に向いているが、発明の範囲から逸脱することなく、この向きは、別の方向であることができる。2つの櫛歯2は、180°異なる方向を向いている。
【0038】
図7A、
図7B、
図7Cは、
図6A、
図6B、
図6Cの場合と同様の、しかし実質的に一定の断面の第二の領域23の形状を示している。この形状は、適当に配置を選択することにより、2つの長手方向に隣り合う櫛歯の間に遠位端21で閉じている大きな細長の開口230を形成することを可能とする。
【0039】
図7A、
図7B、
図7Cの実施形態の変形例が
図8A、
図8Bおよび
図8Cに示されている。違いは、開口230にあり、それは、遠位端21で閉じていない。一種の音叉がここでは第二の領域23を構成しており、それは柔軟であることから利点が得られ、製品溜めとして役立つことおよびケラチン繊維を保持し案内するのにも役立つことにおいて有利である。
【0040】
図9A、
図9B、
図9Cは、上記に挙げたタイプの櫛歯2に関し、膨らみおよび/または突出部232から出ている耳または突出部24がそれに付加されている。ここでもまた、この幾何学的構造がケラチン繊維の案内を改善するのに有利である。そのうえ、ここでは、開口236を2つの隣接する櫛歯の遠位端に形成することが有利に追求されている。
【0041】
図10A、
図10Bは、第一の面200と第二の面210が間に90°の角度をなす2つの櫛歯を接触して並置することによるか、第一の面と第二の面が180°の角度をなす単一の櫛歯とすることによるかの、2とおりのやり方で作ることができる櫛歯2を図解している。いずれの選択肢においても、2つの膨らみ231、232が第二の領域23の所に設けられて、これらの2つの膨らみは、平らな領域200または210から出ている。
【0042】
図11、
図11A、
図11Bは、櫛歯2が、間におおよそ45°の角度をなす第一の平らな面200と第二の平らな面210により端部が画されているこの発明の実施形態を示す。櫛歯の第二の領域23は、凹湾曲と凸湾曲の順次連続で形成されている。2つの隣り合う櫛歯の配置は、塗布器具の長手方向軸線XXに沿って距離Eを測るとおおよそ0.01mmになるようになっている。第一の面200が基準面Pに属している一方、第二の平らな面210が基準長手方向面Pの両側に交互に位置しているので、2つの隣り合う櫛歯の向きは、同じではない。この配置は、実質的に別個の開口235、236を空間的に形成することを可能にする。
【0043】
図12、
図12A、
図12Bは、2つの櫛歯の間の植え込みの長手方向距離Eの点で
図11、
図11A、
図11Bのものと異なる実施形態を提示する。この距離は、おおよそ10倍大きくて、開口235、236が閉じていない。当業者は、最も適切なバージョンを選択する。
【0044】
図13A、
図13B、
図13Cは、2つの長手方向に隣り合う櫛歯2の間の3とおりの可能な分離を示す。
図13Aによると、2つの隣り合う櫛歯が第一の平らな面200同士で最大に重なり合っており、
図13Bによると、重なり合っている面は、第一の平らな面200のおおよそ半分であり、
図13Cによると、ほんの少ない部分しか触れ合っていない。
【0045】
図14は、斜視図により、この発明の好ましい実施形態を図解する。この実施形態の有利な面は、櫛歯の複数の列において、2つの順次並んだ櫛歯2により形成される遠位の開口236に関する。これらの開口236は、流体状または粘性体状製品のための溜まり場所として役立つ。このような溜まり場所は、塗布器具により占められる外容(嵩)の周縁に配置されているので、簡単に製品で満たされる。そのうえ、これらの開口は、櫛歯の2つの自由端により形成されているので、それらは、特に柔軟であり、塗布用具がワイパー(しごき部材:容器の首の所にある小さな円盤)を繰り返し通り抜けることに対して有利である。
【0046】
図15、
図15A、
図15Bは、櫛歯の第二の領域23の第二の部分がU字形をしている解決策に関する。櫛歯の先端は、長手方向平面Pの所で第一の領域22と隣り合っている。
図15Aは、この構成を明確に示している。
図15、
図15Aによると、上述したような櫛歯が軸芯の上に放射状に空間的に離れて複数列(6列)設けられている。他のタイプの櫛歯2を、例えば、2つのU字形の櫛歯の間に放射状に介在させて、軸芯1の上に設けてもよい。
図15Bは、上述したような櫛歯2をより詳細に示す。
【0047】
この発明の変形実施形態が
図16、
図16A、
図16Bに図解されている。これらの図によると、櫛歯は、すでに定義されているように、軸芯に植え込まれた第一の領域22を備えており、さらに、櫛歯は、2つの面が180°の角度を形成し基準面Pに属する第一の部分231によりここで定義される第二の領域23を備えている。当該部分231は、第一の領域22と一直線で長手方向に位置し、遠位部分である第二の部分232と基準面P内で重なり合うように隣り合っており、第二の部分232は、特に
図16Bに示すように、基準面Pの他の側から突き出している。この部分232は、その遠位端に開口または閉じた輪(符号を付してないが、櫛歯の他の実施形態の開口236に相当する)を有している。言い換えれば、櫛歯は、ここでは基準面Pの両側に「配分」されている。これは、この発明の他の実施形態の全ての特徴および利点を有している。
【0048】
図17、
図17A、
図17Bは、
図16、
図16A、
図16Bに図解されたものに類似した実施形態に関する。主な相違点は、第二の部分232の形状にあり、ここでは遠位で開いている鉤に相当する。この実施形態は、
図16、
図16A、
図16Bのものよりも柔軟であって、より大きな柔軟性が必要な場合に、当業者により選択されるであろう。遠位開口236は、ここでは鉤232と定義され、開いている。
【0049】
この発明の範囲から逸脱することなく、
図16~
図17Bの種々の変形が2つの櫛歯により実施可能であり、2つの櫛歯の第一の面200、210がそれらの間に90°の角度を形成し、それら櫛歯の面210が基準面Pには属しないで、互いに相対向して配置されるようにすることができる。
【0050】
そのうえ、櫛歯の列の数は、1から24の間で選択的に変わり得るし、櫛歯自体も櫛歯の配置も同一であってもなくてもよい。とりわけ、
図2Bに示すように、櫛歯は、同じ列において、または塗布器具を構成する櫛歯の全体において同じ方を向いていてもよいし、また、櫛歯は、例えば、長手方向面Pの両側で交互に異なる方向を向いていてもよい。
【0051】
櫛歯の固有の形状に対しても、またそれらの向いている方向および/または互いの配置に対しても、この発明の範囲から逸脱することなく、他の本質的でない変更をすることが可能である。もちろん、この発明による塗布用具は、この発明による種々の実施形態に由来する櫛歯、とりわけ、上記に図解し説明した櫛歯を有することができる。
【0052】
もちろん、当業者には、要求される技術的ニーズに応じるために、とりわけ櫛歯自体、櫛歯間の隔たりおよび軸芯をどのような大きさ(寸法)にすればよいか、分かることである。
【符号の説明】
【0053】
XX…長手方向軸線、P…長手方向基準面、1…軸芯、2…櫛歯、20…第一の端、21…第二の端(自由端)、22…第一の領域、23…第二の領域、24…突出部、200…第一の平らな面、210…第二の平らな面、231…第一の膨らみ、232…第二の膨らみ、233…凹部、234…凹部、235…開口、236…開口。