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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20220112BHJP
   B24B 55/05 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B25F5/02
B24B55/05
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018031295
(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2019141985
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲村 真
(72)【発明者】
【氏名】武藤 英治
(72)【発明者】
【氏名】田伏 賢一
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-061591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0195643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
B24B 55/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータに接続された動力伝達機構と、
前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、
前記ハウジングから突出した先端工具保持部と、
前記先端工具保持部に取り付けられた先端工具の少なくとも一部を覆うカバーと、
マスク部材を備えており、
前記カバーが、前記ハウジングと係合する係合部を備えており、
前記マスク部材が、前記係合部の少なくとも一部を視認することを遮る形状を有しており、
前記係合部が、係合リブを含んでおり、
前記ハウジングが、前記係合リブと係合する係合壁を備えており、
前記係合壁が、前記カバーを前記ハウジングに取り付ける際に、前記係合リブが通過する切り欠きを有しており、
前記マスク部材が、前記切り欠きを遮蔽するマスクプレートと、前記マスクプレートを前記ハウジングに固定するリテーナを備えており、
前記リテーナが、前記ハウジングに螺着されており、
前記リテーナが、前記ハウジングの外部から前記リテーナを前記ハウジングに取り付ける方向に回転させることを許容し、かつ前記ハウジングの外部から前記リテーナを前記ハウジングから取り外す方向に回転させることを禁止する形状を有する、電動工具。
【請求項2】
前記マスクプレートと、前記リテーナが、別体の部品である、請求項1の電動工具。
【請求項3】
前記マスクプレートと、前記リテーナが、一体化された部品である、請求項1の電動工具。
【請求項4】
モータと、
前記モータに接続された動力伝達機構と、
前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、
前記ハウジングから突出した先端工具保持部と、
前記先端工具保持部に取り付けられた先端工具の少なくとも一部を覆うカバーと、
マスク部材を備えており、
前記カバーが、前記ハウジングと係合する係合部を備えており、
前記マスク部材が、前記係合部の少なくとも一部を視認することを遮る形状を有しており、
前記カバーを前記ハウジングから取り外す方向に移動させる際に、前記マスク部材が前記先端工具保持部と干渉することで、前記カバーを前記ハウジングから取り外すことが禁止される、電動工具。
【請求項5】
前記マスク部材が、前記カバーに固定されている、請求項4の電動工具。
【請求項6】
モータと、
前記モータに接続された動力伝達機構と、
前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、
前記動力伝達機構に接続された先端工具保持部と、
前記先端工具保持部の少なくとも一部を覆うカバーと、
前記カバーを取り外すことを禁止するストッパ部材を備えており、
前記ストッパ部材が、前記ハウジングに螺着されており、
前記ストッパ部材が、前記ハウジングの外部から前記ストッパ部材を前記ハウジングに取り付ける方向に回転させることを許容し、かつ前記ハウジングの外部から前記ストッパ部材を前記ハウジングから取り外す方向に回転させることを禁止する形状を有する、電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータと、前記モータに接続された減速機構と、前記モータおよび前記減速機構を収容するハウジングと、前記減速機構に接続された先端工具保持部と、前記先端工具保持部の少なくとも一部を覆うカバーと、を備える電動工具が開示されている。前記カバーは、係合リブを有している。前記ハウジングは、前記係合リブと係合する係合壁を有している。前記係合壁は、前記カバーを前記ハウジングに取り付ける際に前記係合リブが通過する切り欠きを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-135687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの安全のために、電動工具の使用時には、カバーが確実に取り付けられている必要がある。しかしながら、ユーザがカバーを自由に取り外し可能な構成としてしまうと、カバーが取り外された状態で電動工具が使用されるおそれがある。簡素な構成によって、ユーザによるカバーの取り外しを防止することが可能な技術が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、電動工具を開示する。その電動工具は、モータと、前記モータに接続された動力伝達機構と、前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記ハウジングから突出した先端工具保持部と、前記先端工具保持部に取り付けられた先端工具の少なくとも一部を覆うカバーと、マスク部材を備えていてもよい。前記カバーは、前記ハウジングと係合する係合部を備えていてもよい。前記マスク部材は、前記係合部の少なくとも一部を視認することを遮る形状を有していてもよい。
【0006】
上記の構成によれば、マスク部材によってカバーの係合部を視認することが遮られるので、ユーザがカバーとハウジングの係合を解除するために係合部の状態を確認することを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるカバーの取り外しを防止することができる。
【0007】
本明細書は、別の電動工具も開示する。その電動工具は、モータと、前記モータに接続された動力伝達機構と、前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続された先端工具保持部と、前記先端工具保持部の少なくとも一部を覆うカバーと、前記カバーを取り外すことを禁止するストッパ部材を備えていてもよい。前記ストッパ部材は、前記ハウジングに螺着されていてもよい。前記ストッパ部材は、前記ハウジングの外部から前記ストッパ部材を前記ハウジングに取り付ける方向に回転させることを許容し、かつ前記ハウジングの外部から前記ストッパ部材を前記ハウジングから取り外す方向に回転させることを禁止する形状を有していてもよい。
【0008】
上記の構成によれば、ストッパ部材によって、ユーザがカバーをハウジングから取り外すことを防止することができる。また、上記の構成によれば、ユーザがカバーをハウジングから取り外すために、ストッパ部材を取り外してしまうことを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるカバーの取り外しを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のグラインダ2の縦断面図である。
図2】実施例1のグラインダ2の前方の部分を前方右方下方から見た斜視図である。
図3】実施例1のグラインダ2のホイールカバー12の斜視図である。
図4】実施例1のグラインダ2のホイールカバー12の上面図である。
図5】実施例1のグラインダ2のベアリングボックス10およびロック機構60の構造を、後方左方下方から見た斜視断面図である。
図6】実施例1のグラインダ2のロックプレート62の斜視図である。
図7】実施例1のグラインダ2のマスクプレート68の斜視図である。
図8】実施例1のグラインダ2のリテーナ70を前方左方下方から見た斜視図である。
図9】実施例1のグラインダ2のリテーナ70を前方左方上方から見た斜視図である。
図10】実施例1のグラインダ2のマスク部材69の取り付け箇所の断面図である。
図11】実施例1のグラインダ2の前方の部分について、ベアリングボックス10にホイールカバー12を取り付ける前の状態を、後方左方下方から見た斜視図である。
図12】実施例1のグラインダ2の前方の部分について、ベアリングボックス10にホイールカバー12を取り付けた後の状態を、後方左方下方から見た斜視図である。
図13】実施例1のグラインダ2の前方の部分について、ベアリングボックス10にマスク部材69を取り付ける前の状態を、後方左方下方から見た斜視図である。
図14】実施例1のグラインダ2の前方の部分について、ベアリングボックス10にマスク部材69を取り付けた後の状態を、後方左方下方から見た斜視図である。
図15】実施例1のグラインダ2のベアリングボックス10をギヤハウジング8から取り外した状態を前方左方上方から見た斜視図である。
図16】実施例1のグラインダ2の前方の部分について、ベアリングボックス10にマスクプレート68を取り付けることなくリテーナ70を取り付けた状態を、前方右方下方から見た斜視図である。
図17】実施例1のグラインダ2のベアリングボックス10にマスクプレート68を取り付けることなくリテーナ70を取り付けた場合の、リテーナ70の取り付け箇所の断面図である。
図18】実施例2のグラインダ102の前方の部分を前方右方下方から見た斜視図である。
図19】実施例2のグラインダ102のホイールカバー104の斜視図である。
図20】実施例2のグラインダ102のホイールカバー104の取り付け箇所の断面図である。
図21】実施例2のグラインダ102のベアリングボックス10に、ホイールカバー104とスピンドル38を取り付ける前の状態を、後方左方下方から見た斜視図である。
図22】実施例2のグラインダ102の前方の部分について、ホイールカバー104の代わりにホイールカバー12を取り付けた状態を、前方右方下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、前記モータに接続された動力伝達機構と、前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記ハウジングから突出した先端工具保持部と、前記先端工具保持部に取り付けられた先端工具の少なくとも一部を覆うカバーと、マスク部材を備えていてもよい。前記カバーは、前記ハウジングと係合する係合部を備えていてもよい。前記マスク部材は、前記係合部の少なくとも一部を視認することを遮る形状を有していてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、マスク部材によってカバーの係合部を視認することが遮られるので、ユーザがカバーとハウジングの係合を解除するために係合部の状態を確認することを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるカバーの取り外しを防止することができる。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記係合部は、係合リブを含んでいてもよく、前記ハウジングは、前記係合リブと係合する係合壁を備えていてもよく、前記係合壁は、前記カバーを前記ハウジングに取り付ける際に、前記係合リブが通過する切り欠きを有していてもよい。
【0013】
上記の構成では、係合リブを切り欠きに位置合わせした時に、係合壁と係合リブの係合が解除されるが、マスク部材によって係合リブを視認することが遮られるので、ユーザがカバーをハウジングから取り外すために係合リブを切り欠きに位置合わせすることを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるカバーの取り外しを防止することができる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記マスク部材は、前記切り欠きを遮蔽するマスクプレートと、前記マスクプレートを前記ハウジングに固定するリテーナを備えていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、ハウジングの外部から切り欠きを介して係合リブを視認することができないので、ユーザがカバーをハウジングから取り外すために、係合リブを切り欠きに位置合わせすることを防止することができる。また、上記の構成によれば、ハウジングに固定されたマスクプレートによって、係合壁の切り欠きが遮蔽されるので、仮に係合リブを切り欠きに位置合わせした場合であっても、マスクプレートが係合リブと係合することで、カバーの取り外しが禁止される。簡素な構成によって、ユーザによるカバーの取り外しを防止することができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記リテーナは、前記ハウジングに螺着されていてもよく、前記リテーナは、前記ハウジングの外部から前記リテーナを前記ハウジングに取り付ける方向に回転させることを許容し、かつ前記ハウジングの外部から前記リテーナを前記ハウジングから取り外す方向に回転させることを禁止する形状を有していてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、マスクプレートはリテーナによってハウジングに固定されており、リテーナはハウジングの外部から取り外すことができない形状を有している。このため、ユーザがカバーをハウジングから取り外すために、マスクプレートやリテーナを取り外してしまうことを防止することができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記マスクプレートと、前記リテーナは、別体であってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、マスクプレートとリテーナを、製造が容易な簡素な形状の部品とすることができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記マスク部材は、前記カバーに固定されていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、電動工具の既存のハウジングに大きな改変を加えることなく、ユーザによるカバーの取り外しを防止することができる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記マスク部材は、前記先端工具保持部と係合してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、仮にカバーの係合部とハウジングの係合が解除された場合であっても、カバーに固定されたマスク部材が先端工具保持部と係合することで、カバーの取り外しが禁止される。簡素な構成によって、ユーザによるカバーの取り外しを防止することができる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、前記モータに接続された動力伝達機構と、前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続された先端工具保持部と、前記先端工具保持部の少なくとも一部を覆うカバーと、前記カバーを取り外すことを禁止するストッパ部材を備えていてもよい。前記ストッパ部材は、前記ハウジングに螺着されていてもよい。前記ストッパ部材は、前記ハウジングの外部から前記ストッパ部材を前記ハウジングに取り付ける方向に回転させることを許容し、かつ前記ハウジングの外部から前記ストッパ部材を前記ハウジングから取り外す方向に回転させることを禁止する形状を有していてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、ストッパ部材によって、ユーザがカバーをハウジングから取り外すことを防止することができる。また、上記の構成によれば、ユーザがカバーをハウジングから取り外すために、ストッパ部材を取り外してしまうことを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるカバーの取り外しを防止することができる。
【0026】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1のグラインダ2は、モータハウジング4と、リヤハウジング6と、ギヤハウジング8と、ベアリングボックス10と、ホイールカバー12を備えている。
【0027】
モータハウジング4の内部には、モータ14が収容されている。モータ14は、前後方向に伸びる出力軸16を有している。出力軸16は、ベアリング18,20を介して、モータハウジング4に回転可能に支持されている。
【0028】
リヤハウジング6は、モータハウジング4の後方に取り付けられている。リヤハウジング6の内部には、電源回路22が収容されている。電源回路22には、外部の電源から電源コード24を介して電力が供給される。モータハウジング4の下面にはスイッチレバー26が設けられている。ユーザがスイッチレバー26を上方に押し込むと、リンク28が駆動スイッチ30に当接して、モータ14に電力が供給される。モータ14は、電源回路22から供給される電力によって、出力軸16を回転させる。ユーザがスイッチレバー26から手を離すと、リンク28が駆動スイッチ30から離反して、モータ14への電力の供給が停止される。スイッチレバー26には、スイッチレバー26の押し込み操作を許可する状態と禁止する状態の間で切り換わるロックオフレバー32が設けられている。図1に示す状態では、ユーザによるスイッチレバー26の押し込み操作が禁止されている。この状態から、ロックオフレバー32の下端が後方へ向かう方向へロックオフレバー32を回動させると、ユーザによるスイッチレバー26の押し込み操作が許可される。
【0029】
ギヤハウジング8は、モータハウジング4の前方に取り付けられている。ギヤハウジング8の内部には、互いに噛み合うように配置された第1ベベルギヤ34と第2ベベルギヤ36が収容されている。第1ベベルギヤ34は、出力軸16の前方端部に固定されている。第2ベベルギヤ36は、上下方向に伸びるスピンドル38の上方端部に固定されている。以下では、第1ベベルギヤ34と第2ベベルギヤ36を総称して、単にベベルギヤ40ともいう。ベベルギヤ40は、モータ14の回転を減速してスピンドル38に伝達する動力伝達機構である。ギヤハウジング8は、ベアリング42を介して、スピンドル38の上方端部を保持している。図2に示すように、ギヤハウジング8の上面には、シャフトロック41が設けられている。ユーザがシャフトロック41を下方に押し込むと、第2ベベルギヤ36の回転が禁止されて、スピンドル38の回転が禁止される。
【0030】
図1に示すように、ベアリングボックス10は、ギヤハウジング8の下方に取り付けられている。ベアリングボックス10は、上下方向に伸びるねじ43a、43b、43c、43d(図2図5等参照)によって、ギヤハウジング8に固定されている。ベアリングボックス10は、ベアリング44を介して、スピンドル38を保持している。スピンドル38は、上下方向に沿った回転軸に関して、ベアリングボックス10に対して回転可能である。スピンドル38の下方端部には、インナフランジIFとアウタフランジOFを介して、研削ホイールGWを取り付け可能である。スピンドル38には、インナフランジIFと係合する凸部38aと、アウタフランジOFが螺着するねじ部38bが形成されている。グラインダ2において、モータ14が回転すると、スピンドル38とともに研削ホイールGWが回転軸周りに回転することで、ワークの研削を行うことができる。スピンドル38は、先端工具である研削ホイールGWを保持する先端工具保持部ということもできる。なお、以下の説明では、モータハウジング4、リヤハウジング6、ギヤハウジング8およびベアリングボックス10を総称して、単にハウジング46ともいう。
【0031】
ベアリングボックス10には、ホイールカバー12が取り付けられている。ホイールカバー12は、研削ホイールGWの少なくとも一部を覆う形状に形成されている。本実施例では、ホイールカバー12は、研削ホイールGWの略半周にわたる部分を覆う形状に形成されている。図1に示す状態では、ホイールカバー12は、研削ホイールGWの後方の部分を覆う位置に配置されている。ホイールカバー12によって、グラインダ2の使用時に、研削ホイールGWからユーザに向けて研削粉が飛ぶことを防止することができる。なお、ホイールカバー12は、スピンドル38の少なくとも一部を覆っているということもできる。
【0032】
図3に示すように、ホイールカバー12は、バンド部48と、上面部50と、側面部52を備えている。バンド部48は、上下方向に伸びる略円筒形状を有している。図4に示すように、バンド部48の内周面には、内側に向けて突出しており、周方向に長手方向を有する係合リブ48a、48b、48c、48d、48eが形成されている。また、図3に示すように、バンド部48には、所定の角度範囲内に、複数の貫通孔48fが形成されている。係合リブ48a、48b、48c、48d、48eは、上下方向の位置が互いに一致している。また、複数の貫通孔48fは、上下方向の位置が互いに一致している。上面部50は、バンド部48の下側端部から広がっており、一部が切り欠かれた円錐台形状を有している。側面部52は、上面部50の外側端部から下方に伸びる略半円筒形状の半円筒部52aと、半円筒部52aの下端から内側に屈曲した絞り部52bを備えている。
【0033】
図5に示すように、ベアリングボックス10には、スピンドル38の回転軸方向(すなわち上下方向)に沿って下方に突出する略円筒形状のカバー取り付け部54が形成されている。カバー取り付け部54の外周面には、円環状のガイド溝56が形成されており、ガイド溝56よりも下端側には外側に突出するフランジ58が形成されている。フランジ58には、ホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eに対応して、切り欠き58a、58b、58c、58d、58eが形成されている。切り欠き58a、58b、58c、58d、58eは、上下方向に伸びており、ガイド溝56に連通している。フランジ58の下面には、後述するマスクプレート68を取り付けるための取付面58fが形成されている。また、カバー取り付け部54の内周面には、雌ねじ58gが形成されている。
【0034】
ベアリングボックス10には、ホイールカバー12の回転角度を固定するためのロック機構60が取り付けられている。ロック機構60は、ロックプレート62と、圧縮バネ66を備えている。
【0035】
図6に示すように、ロックプレート62は、ギヤハウジング8およびベアリングボックス10と干渉しない形状で左右方向に伸びる平板状の基部62aと、基部62aの左側端部から上方に伸びる操作部62bと、基部62aに形成されており、左右方向に長手方向を有する長孔62c、62dと、基部62aの右側端部の近傍において左側に向けて突出する係止部62eと、基部62aの長孔62cと長孔62dの間で上方に向けて突出する第1柱部62fおよび第2柱部62gと、第1柱部62fから右方向に向けて(第2柱部62gに向けて)伸びる第1凸部62hと、第2柱部62gから左方向に向けて(第1柱部62fに向けて)伸びる第2凸部62iを備えている。
【0036】
図5に示すように、ロックプレート62は、ベアリングボックス10をギヤハウジング8に固定しているねじ43a、43b、43c、43dのうち、後方左方に配置されたねじ43cと、後方右方に配置されたねじ43dに取り付けられている。ねじ43cは、ロックプレート62の長孔62cを貫通して、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。ねじ43dは、ロックプレート62の長孔62dを貫通して、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。ロックプレート62は、左右方向にスライド可能に、ねじ43c、43dに保持されている。
【0037】
本実施例のグラインダ2では、ベアリングボックス10に、バネ受け部10aが形成されている。圧縮バネ66は、一端に第1凸部62hが挿入され、他端に第2凸部62iが挿入された状態で、ロックプレート62に取り付けられている。ロックプレート62は、圧縮バネ66の第2凸部62i側の端部が、バネ受け部10aに当接するように、ベアリングボックス10に取り付けられている。このため、圧縮バネ66は、ベアリングボックス10に対してロックプレート62を左方向、すなわち係止部62eをカバー取り付け部54に近づける方向に付勢している。
【0038】
図2に示すように、本実施例のグラインダ2では、ベアリングボックス10のカバー取り付け部54に、マスク部材69が取り付けられている。マスク部材69は、マスクプレート68と、リテーナ70を備えている。
【0039】
図7に示すように、マスクプレート68は、幅広の円環形状に形成された円環部68aと、円環部68aから上方に屈曲した差込片68b、68c、68dを備えている。マスクプレート68は、カバー取り付け部54のフランジ58の取付面58f(図5参照)に取付可能である。マスクプレート68を取付面58fに取り付けると、差込片68b、68c、68dが、切り欠き58a、58c、58dに差し込まれる。マスクプレート68を取付面58fに取り付けた状態では、切り欠き58a、58c、58dが差込片68b、68c、68dによって覆われるとともに、切り欠き58b、58eが円環部68aによって覆われる。
【0040】
図8図9に示すように、リテーナ70は、幅広の円環形状に形成された蓋部70aと、蓋部70aから上方に伸びる円筒形状の軸部70bを備えている。蓋部70aの外径は、マスクプレート68の円環部68aの内径よりも大きく、マスクプレート68の円環部68aの外径よりも小さい。軸部70bの外周面には、カバー取り付け部54の雌ねじ58gに対応する雄ねじ70cが形成されている。図8に示すように、蓋部70aの下面には、リテーナ70を回転させるための溝70dが形成されている。溝70dでは、雄ねじ70cが前進する方向(蓋部70aを下方から見た時に反時計回りの方向)には段差が形成されており、雄ねじ70cが後退する方向(蓋部70aを下方から見た時に時計回りの方向)には緩やかな斜面が形成されている。このため、溝70dを利用してリテーナ70をカバー取り付け部54に対して反時計回りに回転させることで、リテーナ70の雄ねじ70cをカバー取り付け部54の雌ねじ58gに螺着させて、リテーナ70をカバー取り付け部54に取り付ける事ができる。溝70dを利用してリテーナ70をカバー取り付け部54に対して時計回りに回転させることはできないので、溝70dを利用してリテーナ70をカバー取り付け部54から取り外すことはできない。なお、図9に示すように、軸部70bの上方端部には、切り欠き70eが形成されている。カバー取り付け部54に取り付けられたリテーナ70は、切り欠き70eを利用してリテーナ70をカバー取り付け部54に対して雄ねじ70cが後退する方向(蓋部70aを下方から見た時に時計回りの方向)に回転させることで、カバー取り付け部54から取り外すことができる。
【0041】
図10に示すように、リテーナ70は、蓋部70aとカバー取り付け部54のフランジ58との間でマスクプレート68を挟み込んだ状態で、雄ねじ70cがカバー取り付け部54の雌ねじ58gに螺着して、カバー取り付け部54に対して固定されている。グラインダ2に、ホイールカバー12と、マスクプレート68と、リテーナ70を取り付けた状態では、フランジ58の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eや、ホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを、外部から視認することはできない。なお、ホイールカバー12のバンド部48の上端とカバー取り付け部54の間には、Oリング72が取り付けられている。Oリング72によって、ホイールカバー12がカバー取り付け部54に対してガタつくことを防止することができる。
【0042】
図11に示すように、ホイールカバー12をグラインダ2に取り付ける際には、まずOリング72をカバー取り付け部54に取り付けた状態で、ホイールカバー12をカバー取り付け部54に取り付ける。ホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eをカバー取り付け部54の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせした状態で、ロックプレート62の操作部62bを押し込んで、係止部62eをカバー取り付け部54から離反させつつ、カバー取り付け部54がバンド部48の内側に入り込むように、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、図12に示すように、ホイールカバー12が、カバー取り付け部54に取り付けられる。係合リブ48a、48b、48c、48d、48eが切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせされた状態における、ベアリングボックス10に取り付けられた後のホイールカバー12の位置を、以下では着脱位置ともいう。
【0043】
ベアリングボックス10に取り付けられたホイールカバー12は、カバー取り付け部54の周りに回転可能である。言い換えると、ホイールカバー12は、ベアリングボックス10に対して、スピンドル38の回転軸方向(すなわち上下方向)周りに回転可能である。ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して着脱位置から回転させると、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eがガイド溝56内で摺動し、フランジ58と係合リブ48a、48b、48c、48d、48eが係合することで、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。この場合、ホイールカバー12はベアリングボックス10から取り外すことができない。
【0044】
ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させて、ロックプレート62の係止部62eをバンド部48の複数の貫通孔48fのうちの一つに位置合わせして、ロックプレート62の操作部62bから手を離すと、圧縮バネ66の付勢力によって係止部62eが貫通孔48fに入り込む。この状態では、ホイールカバー12がロックプレート62と係合しているので、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転が禁止されて、ホイールカバー12がベアリングボックス10に対して固定される。ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転角度を変更する場合には、ユーザは、ロックプレート62の操作部62bを押し込んで、係止部62eを貫通孔48fから抜け出した状態とすることで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させることができる。係止部62eが入り込む貫通孔48fを適宜選択することで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して固定する回転角度を選択することができる。
【0045】
図13に示すように、ホイールカバー12を所望の位置まで回転させた上で、マスクプレート68の差込片68b、68c、68dをフランジ58の切り欠き58a、58c、58dに位置合わせした状態で、マスクプレート68をフランジ58の取付面58fに取り付ける。この状態で、マスクプレート68の下側から、リテーナ70の軸部70bをカバー取り付け部54の内側に差し込み、溝70dを利用してリテーナ70を回転させて、リテーナ70の雄ねじ70cをカバー取り付け部54の雌ねじ58gに螺着させる。これによって、図14に示すように、マスク部材69が、ベアリングボックス10に取り付けられる。
【0046】
マスク部材69が取り付けられた状態でも、ホイールカバー12は、カバー取り付け部54の周りに回転可能である。しかしながら、この状態では、マスクプレート68によって、フランジ58の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eや、ホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを、外部から視認することができない。このため、ユーザが、ホイールカバー12をベアリングボックス10から取り外すために、ホイールカバー12を着脱位置に位置合わせすることを防止することができる。また、仮にホイールカバー12が着脱位置に位置合わせされて、ホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eがフランジ58の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eと位置合わせされた場合であっても、マスクプレート68がホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eと係合するので、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。このため、マスク部材69が取り付けられた状態では、ホイールカバー12はベアリングボックス10から取り外すことができない。従って、マスク部材69は、ベアリングボックス10からホイールカバー12を取り外すことを禁止するストッパ部材としても機能する。
【0047】
リテーナ70の溝70dを利用して雄ねじ70cが後退する方向にリテーナ70を回転させることはできないので、図14の状態では、リテーナ70をベアリングボックス10から取り外すことが禁止されている。リテーナ70をベアリングボックス10から取り外す際には、図15に示すように、ホイールカバー12と、マスクプレート68と、リテーナ70が取り付けられた状態のベアリングボックス10を、ギヤハウジング8から取り外す。そして、ベアリングボックス10の上方から工具を差し込んで、リテーナ70の切り欠き70eを利用して、リテーナ70をカバー取り付け部54に対して雄ねじ70cが後退する方向に回転させる。これによって、リテーナ70をベアリングボックス10から取り外すことができ、それによってマスクプレート68をベアリングボックス10から取り外すことができる。リテーナ70とマスクプレート68が取り外された状態とすることで、ホイールカバー12をベアリングボックス10から取り外すことができる。このような構成とすることによって、メンテナンス性を確保することができる。
【0048】
図16図17に示すように、本実施例のグラインダ2は、マスクプレート68を取り付けることなく、リテーナ70のみを取り付ける構成とすることもできる。この場合、図17に示すように、ベアリングボックス10のフランジ58の下面には取付面58fを形成せずに、フランジ58の下面がリテーナ70と直接当接するようにする。図16図17に示す構成では、ユーザは、フランジ58の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eや、ホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを、外部から視認することができる。また、ユーザは、ホイールカバー12を着脱位置に位置合わせした状態で、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して下方にスライドさせることで、ホイールカバー12をベアリングボックス10から取り外すことができる。
【0049】
なお、マスクプレート68とリテーナ70は、上記のように別体の部品としてもよいし、上記とは異なり一体化された部品としてもよい。
【0050】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング46と、ハウジング46から突出したスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38に取り付けられた研削ホイールGWの少なくとも一部を覆うホイールカバー12(カバーの例)と、マスク部材69を備えている。ホイールカバー12は、ハウジング46と係合する係合リブ48a、48b、48c、48d、48e(係合部の例)を備えている。マスク部材69は、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eの少なくとも一部を視認することを遮る形状を有している。上記の構成によれば、マスク部材69によってホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを視認することが遮られるので、ユーザがホイールカバー12とハウジング46の係合を解除するために係合リブ48a、48b、48c、48d、48eの状態を確認することを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるホイールカバー12の取り外しを防止することができる。
【0051】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ホイールカバー12がハウジング46と係合する係合部は、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを含んでいる。ハウジング46の一部であるベアリングボックス10は、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eと係合するフランジ58(係合壁の例)を有している。フランジ58は、ホイールカバー12をハウジング46に取り付ける際に、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eが通過する切り欠き58a、58b、58c、58d、58eを有している。上記の構成では、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせした時に、フランジ58と係合リブ48a、48b、48c、48d、48eの係合が解除されるが、マスク部材69によって係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを視認することが遮られるので、ユーザがホイールカバー12をハウジング46から取り外すために係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせすることを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるホイールカバー12の取り外しを防止することができる。
【0052】
1つまたはそれ以上の実施形態において、マスク部材69は、切り欠き58a、58b、58c、58d、58eを遮蔽するマスクプレート68と、マスクプレート68をハウジング46に固定するリテーナ70を備えている。上記の構成によれば、ハウジング46の外部から切り欠き58a、58b、58c、58d、58eを介して係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを視認することができないので、ユーザがホイールカバー12をハウジング46から取り外すために、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせすることを防止することができる。また、上記の構成によれば、ハウジング46に固定されたマスクプレート68によって、フランジ58の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eが遮蔽されるので、仮に係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせした場合であっても、マスクプレート68が係合リブ48a、48b、48c、48d、48eと係合することで、ホイールカバー12の取り外しが禁止される。簡素な構成によって、ユーザによるホイールカバー12の取り外しを防止することができる。
【0053】
1つまたはそれ以上の実施形態において、リテーナ70は、ハウジング46に螺着されている。リテーナ70は、ハウジング46の外部からリテーナ70をハウジング46に取り付ける方向に回転させることを許容し、かつハウジング46の外部からリテーナ70をハウジング46から取り外す方向に回転させることを禁止する形状を有している。上記の構成によれば、マスクプレート68はリテーナ70によってハウジング46に固定されており、リテーナ70はハウジング46の外部から取り外すことができない形状を有している。このため、ユーザがホイールカバー12をハウジング46から取り外すために、マスクプレート68やリテーナ70を取り外してしまうことを防止することができる。
【0054】
1つまたはそれ以上の実施形態において、マスクプレート68と、リテーナ70は、別体である。上記の構成によれば、マスクプレート68とリテーナ70を、製造が容易な簡素な形状の部品とすることができる。
【0055】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング46と、ベベルギヤ40に接続されたスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38の少なくとも一部を覆うホイールカバー12(カバーの例)と、ホイールカバー12を取り外すことを禁止するマスク部材69(ストッパ部材の例)を備えている。マスク部材69は、ハウジング46に螺着されている。マスク部材69は、ハウジング46の外部からマスク部材69をハウジング46に取り付ける方向に回転させることを許容し、かつハウジング46の外部からマスク部材69をハウジング46から取り外す方向に回転させることを禁止する形状を有している。上記の構成によれば、マスク部材69によって、ユーザがホイールカバー12をハウジング46から取り外すことを防止することができる。また、上記の構成によれば、ユーザがホイールカバー12をハウジング46から取り外すために、マスク部材69を取り外してしまうことを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるホイールカバー12の取り外しを防止することができる。
【0056】
(実施例2)
本実施例のグラインダ102は、実施例1のグラインダ2と同様の構成を備えている。以下では、実施例1のグラインダ2と相違する点のみについて詳細に説明する。
【0057】
図18に示すように、本実施例のグラインダ102は、実施例1のホイールカバー12の代わりに、ホイールカバー104を備えている。
【0058】
図19に示すように、本実施例のホイールカバー104は、実施例1のホイールカバー12と同様に、バンド部48と、上面部50と、側面部52を備えている。本実施例のホイールカバー104はさらに、マスク部106を備えている。マスク部106は、幅広の円環形状を有する円環部106aと、円環部106aの外側端部から下方に屈曲しており、上下方向に伸びる略円筒形状を有する円筒部106bと、円筒部106bの下端から広がっており、略円錐台形状を有する円錐台部106cを備えている。マスク部106は、円環部106aと円筒部106bがバンド部48の内側に入り込んだ状態で、円錐台部106cの上面と上面部50の下面を溶接することで固定されている。
【0059】
図20に示すように、ホイールカバー104をベアリングボックス10に取り付けた状態では、円錐台部106cによって、フランジ58の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eや、ホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを、外部から視認することができない。このため、ユーザが、ホイールカバー104をベアリングボックス10から取り外すために、ホイールカバー104を着脱位置に位置合わせすることを防止することができる。また、ホイールカバー104の円環部106aの内径は、スピンドル38の凸部38aの外径よりも小さい。このため、ホイールカバー104をベアリングボックス10に取り付けた状態では、円環部106aが凸部38aと係合する。このため、仮にホイールカバー104が着脱位置に位置合わせされて、ホイールカバー104の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eがフランジ58の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eと位置合わせされた場合であっても、円環部106aが凸部38aと係合するので、ホイールカバー104をベアリングボックス10に対して下方にスライドさせることが禁止される。ユーザがホイールカバー104をベアリングボックス10から取り外すことを防止することができる。なお、本実施例のベアリングボックス10は、カバー取り付け部54に、取付面58fや、雌ねじ58gは形成されていない。また、カバー取り付け部54の下面は、ホイールカバー104のマスク部106と干渉しない形状に形成されている。
【0060】
図21に示すように、ホイールカバー104をベアリングボックス10に取り付ける際には、スピンドル38およびロック機構60を取り付ける前のベアリングボックス10に対して、Oリング72をカバー取り付け部54に取り付けた状態で、ホイールカバー104をカバー取り付け部54に取り付ける。ホイールカバー104の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eをカバー取り付け部54の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせした状態で、カバー取り付け部54がバンド部48の内側に入り込むように、ホイールカバー104をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー104が、カバー取り付け部54に取り付けられる。その後、スピンドル38をホイールカバー104の下方から、円環部106aの内側を貫通させて、ベアリングボックス10に差し込む。これによって、スピンドル38がベアリングボックス10に取り付けられる。その後、ロック機構60をベアリングボックス10に取り付けるとともに、ベアリングボックス10をギヤハウジング8に取り付けることで、ホイールカバー104が取り付けられたグラインダ102とすることができる。なお、ホイールカバー104をベアリングボックス10から取り外す際には、ホイールカバー104が取り付けられた状態のベアリングボックス10を、ギヤハウジング8から取り外す。そして、ベアリングボックス10からスピンドル38を取り外すことで、ベアリングボックス10からホイールカバー104を取り外すことができる。このような構成とすることによって、メンテナンス性を確保することができる。
【0061】
図22に示すように、本実施例のグラインダ102は、ホイールカバー104の代わりに、実施例1のホイールカバー12を取り付ける構成とすることもできる。図22に示す構成では、ユーザは、フランジ58の切り欠き58a、58b、58c、58d、58eや、ホイールカバー12の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを、外部から視認することができる。また、ユーザは、ホイールカバー12を着脱位置に位置合わせした状態で、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して下方にスライドさせることで、ホイールカバー12をベアリングボックス10から取り外すことができる。
【0062】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ102(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング46と、ハウジング46から突出したスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38に取り付けられた研削ホイールGWの少なくとも一部を覆うホイールカバー104(カバーの例)と、ホイールカバー104の一部であるマスク部106(マスク部材の例)を備えている。ホイールカバー104は、ハウジング46と係合する係合リブ48a、48b、48c、48d、48e(係合部の例)を有している。マスク部106は、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eの少なくとも一部を視認することを遮る形状を有している。上記の構成によれば、マスク部106によってホイールカバー104の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを視認することが遮られるので、ユーザがホイールカバー104とハウジング46の係合を解除するために係合リブ48a、48b、48c、48d、48eの状態を確認することを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるホイールカバー104の取り外しを防止することができる。
【0063】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ホイールカバー104がハウジング46と係合する係合部は、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを含んでいる。ハウジング46は、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eと係合するフランジ58(係合壁の例)を備えている。フランジ58は、ホイールカバー104をハウジング46に取り付ける際に係合リブ48a、48b、48c、48d、48eが通過する切り欠き58a、58b、58c、58d、58eを有している。上記の構成では、係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせした時に、フランジ58と係合リブ48a、48b、48c、48d、48eの係合が解除されるが、マスク部106によって係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを視認することが遮られるので、ユーザがホイールカバー104をハウジング46から取り外すために係合リブ48a、48b、48c、48d、48eを切り欠き58a、58b、58c、58d、58eに位置合わせすることを防止することができる。簡素な構成によって、ユーザによるホイールカバー104の取り外しを防止することができる。
【0064】
1つまたはそれ以上の実施形態において、マスク部106は、ホイールカバー104に固定されている。上記の構成によれば、グラインダ102の既存のハウジング46に大きな改変を加えることなく、ユーザによるホイールカバー104の取り外しを防止することができる。
【0065】
1つまたはそれ以上の実施形態において、マスク部106は、スピンドル38と係合する。上記の構成によれば、仮にホイールカバー104の係合リブ48a、48b、48c、48d、48eとハウジング46の係合が解除された場合であっても、ホイールカバー104に固定されたマスク部106がスピンドル38と係合することで、ホイールカバー104の取り外しが禁止される。簡素な構成によって、ユーザによるホイールカバー104の取り外しを防止することができる。
【0066】
上記の各実施例では、電動工具がグラインダ2、102であり、動力伝達機構がベベルギヤ40であり、先端工具保持部がスピンドル38であり、先端工具が研削ホイールGWであり、カバーがホイールカバー12、104である場合を例として説明したが、電動工具は他の種類の電動工具であってもよいし、動力伝達機構は他の種類の動力伝達機構であってもよいし、先端工具保持部は他の種類の先端工具保持部であってもよいし、先端工具は他の種類の先端工具であってもよいし、カバーは他の種類のカバーであってもよい。
【0067】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0068】
2 :グラインダ
4 :モータハウジング
6 :リヤハウジング
8 :ギヤハウジング
10 :ベアリングボックス
10a :バネ受け部
12 :ホイールカバー
14 :モータ
16 :出力軸
18 :ベアリング
20 :ベアリング
22 :電源回路
24 :電源コード
26 :スイッチレバー
28 :リンク
30 :駆動スイッチ
32 :ロックオフレバー
34 :第1ベベルギヤ
36 :第2ベベルギヤ
38 :スピンドル
38a :凸部
38b :ねじ部
40 :ベベルギヤ
41 :シャフトロック
42 :ベアリング
43a :ねじ
43b :ねじ
43c :ねじ
43d :ねじ
44 :ベアリング
46 :ハウジング
48 :バンド部
48a :係合リブ
48b :係合リブ
48c :係合リブ
48d :係合リブ
48e :係合リブ
48f :貫通孔
50 :上面部
52 :側面部
52a :半円筒部
52b :絞り部
54 :カバー取り付け部
56 :ガイド溝
58 :フランジ
58a :切り欠き
58b :切り欠き
58c :切り欠き
58d :切り欠き
58e :切り欠き
58f :取付面
58g :雌ねじ
60 :ロック機構
62 :ロックプレート
62a :基部
62b :操作部
62c :長孔
62d :長孔
62e :係止部
62f :第1柱部
62g :第2柱部
62h :第1凸部
62i :第2凸部
66 :圧縮バネ
68 :マスクプレート
68a :円環部
68b :差込片
68c :差込片
68d :差込片
69 :マスク部材
70 :リテーナ
70a :蓋部
70b :軸部
70c :雄ねじ
70d :溝
70e :切り欠き
72 :Oリング
102 :グラインダ
104 :ホイールカバー
106 :マスク部
106a :円環部
106b :円筒部
106c :円錐台部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22