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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】シールユニット
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/10 20060101AFI20220112BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
E01D19/10
E01D21/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018037876
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2019152027
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500538715
【氏名又は名称】日軽エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 望
(72)【発明者】
【氏名】大島 勤
(72)【発明者】
【氏名】金澤 宏明
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-255583(JP,A)
【文献】特開平11-081336(JP,A)
【文献】実開昭58-031306(JP,U)
【文献】特開2001-279685(JP,A)
【文献】特開2010-138614(JP,A)
【文献】実公昭38-016143(JP,Y1)
【文献】実公昭42-007066(JP,Y1)
【文献】実開昭59-092116(JP,U)
【文献】実開昭58-195709(JP,U)
【文献】実公昭46-000189(JP,Y1)
【文献】米国特許第05454128(US,A)
【文献】特開2003-090183(JP,A)
【文献】登録実用新案第3135187(JP,U)
【文献】特開平11-350729(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0887611(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00-24/00
E04B 2/86
E02D 27/01
E04B 1/16
E04B 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って配置される複数の型枠ユニットと、
前記複数の型枠ユニットのうち、前記第1方向に隣接する第1型枠ユニットおよび第2型枠ユニットの間に位置する目地に、一部が挿入される押え部材と、
前記第1型枠ユニットおよび前記第2型枠ユニットに対して、前記第1方向に交差する第2方向の一方側に位置し、かつ、前記第1型枠ユニットおよび前記第2型枠ユニットに接するパッキンと、
前記第1型枠ユニットおよび前記第2型枠ユニットに対して、前記第2方向の他方側に位置し、かつ、前記第1型枠ユニットおよび前記第2型枠ユニットに対して前記パッキンとは反対側で接する締付部材と、
を備え、
前記押え部材は、
前記第1方向に延び、前記パッキンに対して前記第2方向の一方側に位置し、かつ、前記パッキンに接する、前記目地の前記第1方向の幅よりも大きい幅を有する第1プレートと、
前記第1プレートから前記第2方向の他方側に向けて前記パッキンおよび前記目地を貫通して延び、かつ、前記第1方向に貫通する円形の孔が設けられる、前記目地の幅よりも小さい厚みを有する第2プレートと、
前記第1プレートにおける前記第1方向の一方側の部位に設けられて前記第2方向の他方側に突出し、前記パッキンの前記第1方向の一方側の端面よりも当該一方側に位置する第1突起と、
前記第1プレートにおける前記第1方向の他方側の部位に設けられて前記第2方向の他方側に突出し、前記パッキンの前記第1方向の他方側の端面よりも当該他方側に位置する第2突起と、を有し、
前記締付部材は、前記第1方向に延びて前記第2プレートの前記孔に挿入される板状部材であり、
前記締付部材の前記第2方向に沿った断面形状における長手方向の一方側に設けられ、前記孔の内壁に沿う円弧状の表面であり、かつ、前記内壁に接する第1表面と、
前記断面形状における長手方向の他方側に設けられ、前記孔の径方向に対して垂直な平面状の表面であり、かつ、当該平面状の表面の角部が前記内壁に接する第2表面と、を有し、
前記締付部材は、前記孔の中心が回転中心と一致し、当該回転中心を中心として前記孔の内側を回転可能であり、
前記第1表面が前記孔の前記内壁のうち前記第2方向の他方側の前記内壁に接すると共に、前記第2表面が直線で、前記第1型枠ユニットおよび前記第2型枠ユニットの前記第1方向の他方側の面に接することで、前記パッキンを圧縮して前記第1プレートと前記第1型枠ユニットおよび前記第2型枠ユニットとの隙間を密閉する、
シールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押え部材及びシールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート製高欄を形成するために、残存型枠が用いられることがある。残存型枠は、コンクリートの打設後に取り外す必要のない型枠である。例えば特許文献1には、残存型枠の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-124518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、隣り合う型枠ユニットの間の目地において防水構造が設けられる。特許文献1の防水構造においては、防水パッキンに押え板を押し付けるために複数のボルト及びナットが用いられている。このような防水構造を形成するためにはある程度の時間を要するため、作業効率を向上させることのできる技術が望まれていた。
【0005】
本発明は、施工時の作業効率を向上させることができる押え部材及びシールユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係る押え部材は、残存型枠の隣り合う型枠ユニット間の目地の幅よりも大きい幅を有する第1プレートと、前記第1プレートと交差しており且つ前記目地の幅よりも小さい厚みを有する第2プレートと、を備え、前記第2プレートは、孔を備える。
【0007】
これにより、押え部材によれば、第1プレートによって目地を覆い且つ第2プレートを型枠ユニットの裏側に突出させることが可能になる。型枠ユニットの裏側に突出した第2プレートの孔に締付部材を挿入し回転させることで、締付部材が型枠ユニットを押す。第1プレートと型枠ユニットとの間に配置されたパッキンが押し潰されることによって、目地が密封される。このように、押え部材によれば、締付部材を回転させることで目地を塞ぐことができる。例えばボルト及びナット等を用いてパッキンを押し潰す場合と比較して、作業が容易である。したがって、本実施形態の押え部材は、施工時の作業効率を向上させることができる。
【0008】
本開示の押え部材において、前記第1プレートは、前記第2プレートが接する表面から突出する2つの突起を備え、一方の前記突起は、前記第2プレートに対して他方の前記突起とは反対側に位置することが望ましい。
【0009】
これにより、パッキンが押し潰された時に第1プレートに沿う方向に拡がったとしても、突起がパッキンの過剰な拡がりを規制する。このため、押え部材によれば、パッキンが第1プレートと型枠構成材との間の隙間からはみ出ることを抑制することができる。
【0010】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係るシールユニットは、上記の押え部材と、前記第1プレートに接するパッキンと、前記孔を貫通する締付部材と、を備え、前記第1プレートに対して垂直な方向における前記締付部材の長さは、前記締付部材の回転角度に応じて変化する。
【0011】
これにより、締付部材が回転させられると、型枠ユニットがパッキンに押し付けられる。第1プレートと型枠ユニットとの間に配置されたパッキンが押し潰されることによって、目地が密封される。このように、シールユニットによれば、締付部材を回転させることで目地を塞ぐことができる。例えばボルト及びナット等を用いてパッキンを押し潰す場合と比較して、作業が容易である。したがって、本実施形態のシールユニットは、施工時の作業効率を向上させることができる。
【0012】
本開示のシールユニットにおいて、前記孔は、円形であり、前記締付部材は、前記孔の内壁に沿う表面である第1表面を備えることが望ましい。
【0013】
これにより、締付部材の回転が滑らかになるので、作業効率がより向上する。また、締付部材が型枠ユニットから反力を受けている時に第1表面が孔の内壁に接することによって、締付部材の姿勢が安定する。このため、型枠ユニットがパッキンに押し付けられた状態が保持されやすくなる。
【0014】
本開示のシールユニットにおいて、前記締付部材は、前記孔の径方向に対して垂直な平面状の表面である第2表面を備えることが望ましい。
【0015】
これにより、第2表面が型枠ユニットに接することによって、締付部材の回転が抑制される。このため、型枠ユニットがパッキンに押し付けられた状態が保持されやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の押え部材及びシールユニットによれば、施工時の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態の残存型枠を備える高欄の斜視図である。
図2図2は、本実施形態の残存型枠の背面図である。
図3図3は、図2におけるA-A断面図である。
図4図4は、図2におけるシールユニットの拡大図である。
図5図5は、図4におけるB-B断面図である。
図6図6は、図5におけるC-C断面図である。
図7図7は、締付部材を回転させる前の状態での図4におけるB-B断面図である。
図8図8は、図7におけるD-D断面図である。
図9図9は、図2におけるシールユニットの下端部の拡大図である。
図10図10は、図9におけるE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0019】
(実施形態)
図1は、本実施形態の残存型枠を備える高欄の斜視図である。図2は、本実施形態の残存型枠の背面図である。図3は、図2におけるA-A断面図である。図1に示す高欄100は、道路の両側端部に設けられる壁である。高欄100は、コンクリート製である。高欄100は、例えば橋梁に設けられる。図1に示すように、高欄100は、床版91と、躯体92と、残存型枠10と、を備える。
【0020】
床版91は、躯体92及び残存型枠10を支持する。躯体92は、鉄筋コンクリートである。躯体92は、床版91、残存型枠10、及び図3に示す型枠99によって形成される。型枠99は、例えば木で形成される。床版91、残存型枠10、及び型枠99に囲まれた空間に鉄筋が配置された後、コンクリートが流し込まれる。コンクリートが固まることで躯体92が形成される。コンクリートが固まった後、型枠99は撤去されるが、残存型枠10は高欄100の外装材として残される。
【0021】
以下の説明において、XYZ直交座標系が用いられる。Y軸は、高欄100が延びる方向に平行である。Z軸は、床版91に対して垂直である。X軸は、Y軸及びZ軸の両方に対して垂直である。X軸に沿う方向はX方向と記載され、Y軸に沿う方向はY方向と記載され、Z軸に沿う方向はZ方向と記載される。高欄100から道路の中央に向かう方向を+X方向とする。道路の中央から高欄100を見た場合の右方向を+Y方向とする。床版91から見て高欄100のある方向を+Z方向とする。
【0022】
図2及び図3に示すように、残存型枠10は、型枠ユニット1と、ブラケット81と、ブラケット82と、斜材83と、支持ロッド85と、セパレータ87と、連結部材86と、シールユニット5と、を備える。
【0023】
図3に示すように、型枠ユニット1は、複数の型枠構成材2と、複数の連結ユニット3と、を備える。複数の型枠構成材2は、Z方向に重ねられる。下端部の型枠構成材2は、床版91に固定された縦板95にシール材等を介して接する。型枠構成材2は、Y方向の延びる長尺部材である。型枠構成材2は、例えばアルミニウム合金押出形材である。型枠構成材2は、ベース部21と、アーム部22と、を備える。ベース部21は、X方向に対して垂直な板状部材である。アーム部22は、ベース部21と交差する板状部材である。アーム部22は、ベース部21から+X方向且つ+Z方向に延びている。
【0024】
図3に示すように、連結ユニット3は、複数の型枠構成材2を連結する。連結ユニット3は、縦部材31と、複数の締結部材33と、を備える。縦部材31は、略L字状の部材であって、Z方向に延びている。縦部材31は、型枠構成材2のアーム部22に接する。締結部材33は、縦部材31とアーム部22とを連結する。締結部材33は、例えば取付板、ボルト及びナットを含む。
【0025】
図3に示すように、ブラケット81及びブラケット82は、床版91に固定されており、型枠ユニット1を支持する。ブラケット81は、縦部材31と連結される。ブラケット82は、斜材83を介して縦部材31と連結される。
【0026】
図3に示すように、支持ロッド85は、縦部材31に支持され、Y方向に延びる部材である。支持ロッド85は、例えばボルト及びナット等で縦部材31に固定される。例えば、支持ロッド85は、隣り合う2つの縦部材31に架け渡されている。支持ロッド85は、3つ以上の縦部材31に架け渡されてもよい。
【0027】
図3に示すように、セパレータ87は、型枠99を位置決めするための部材である。セパレータ87は、棒状であって、X方向に延びている。セパレータ87は、連結部材86によって支持ロッド85に固定される。連結部材86は、例えば金属で形成されており、ボルト等によってセパレータ87を支持ロッド85に固定する。支持ロッド85及び連結部材86によって、セパレータ87を縦部材31に溶接で固定する場合と比較して、セパレータ87の施工が容易となる。また、支持ロッド85がY方向に延びているので、セパレータ87の取付位置が制限されにくい。
【0028】
図4は、図2におけるシールユニットの拡大図である。図5は、図4におけるB-B断面図である。図6は、図5におけるC-C断面図である。図7は、締付部材を回転させる前の状態での図4におけるB-B断面図である。図8は、図7におけるD-D断面図である。図9は、図2におけるシールユニットの下端部の拡大図である。図10は、図9におけるE-E断面図である。
【0029】
シールユニット5は、隣り合う型枠ユニット1の間の目地11を塞ぐための部材である。シールユニット5は、水又はセメント等が目地11から漏れることを抑制する。図5に示すように、シールユニット5は、押え部材50と、パッキン54と、締付部材55と、を備える。
【0030】
図5に示すように、押え部材50は、第1プレート51と、第2プレート52と、を備える。押え部材50は、例えばアルミニウム合金押出形材である。第1プレート51及び第2プレート52は一体に形成されている。
【0031】
第1プレート51は、板状部材である。第1プレート51の幅L51は、隣り合う型枠ユニット1間の目地11の幅L11よりも大きい。幅L51は、Y方向における第1プレート51の長さである。幅L11は、Y方向における目地11の長さである。第1プレート51は、型枠構成材2に対して-X方向側に配置される。第1プレート51は、目地11を覆う。第1プレート51は、第2プレート52に接する表面(+X方向側の表面)から突出する2つの突起511を備える。すなわち、突起511は、+X方向(型枠構成材2に近付く方向)に突出している。一方の突起511は、第2プレート52に対して他方の突起511とは反対側に位置する。すなわち、第2プレート52の両側に、突起511が1つずつ配置されている。本実施形態においては、突起511は、第1プレート51のY方向の端部に配置されている。このため、第1プレート51は、Z方向から見て略U字状である。
【0032】
図5に示すように、第2プレート52は、第1プレート51と交差する板状部材である。例えば本実施形態において第2プレート52は、第1プレート51に対して垂直である。第2プレート52は、第1プレート51のY方向の中央から+X方向に突出する。第2プレート52は、目地11の幅L11よりも小さい厚みL52を有する。厚みL52は、Y方向における第2プレート52の長さである。第2プレート52は、目地11を貫通する。図6に示すように、第2プレート52は、Y方向に貫通する複数の孔521を備える。Y方向から見た孔521の形状は円形である。複数の孔521は、所定間隔を空けてZ方向に並ぶ。
【0033】
パッキン54は、第1プレート51と型枠構成材2との間の隙間を塞ぐための部材である。パッキン54は、例えばゴムである。ゴムの一例としては、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が挙げられる。図5に示すように、パッキン54は、第2プレート52の両側に配置される。パッキン54は、第1プレート51の+X方向側の表面及び型枠構成材2の-X方向側の表面に接する。
【0034】
締付部材55は、型枠構成材2をパッキン54に押し付けるための部材である。締付部材55は、例えばアルミニウム合金押出形材である。締付部材55の長さL55は、目地11の幅L11よりも大きい。長さL55は、Y方向における締付部材55の長さである。さらに、長さL55は、第1プレート51の幅L51よりも大きい。締付部材55は、板状部材であって、第2プレート52の孔521に挿入可能な形状を有する。すなわち、締付部材55を長手方向から見た場合の外形に対する外接円は、孔521が描く円よりも小さい。図4及び図5に示すように、締付部材55は、孔521を貫通する。図6に示すように、締付部材55は、第1表面551と、第2表面552と、を備える。
【0035】
第1表面551は、孔521の内壁に沿う曲面状の表面である。第2表面552は、孔521の中心521cに対して第1表面551とは反対側に位置する。第2表面552は、孔521の径方向(Y方向に対して垂直な方向)に対して垂直な平面状の表面である。すなわち、第2表面552は、孔521の軸方向(Y方向)から見た場合に、孔521の中心521cを通る直線に対して垂直な平面状の表面である。締付部材55の厚みは、第2表面552側から第1表面551側に向かって小さくなっている。すなわち、締付部材55は、Y方向から見て略台形状である。
【0036】
図6及び図8に示すように、第1プレート51に対して垂直な方向(X方向)における締付部材55の長さD55は、締付部材55の回転角度に応じて変化する。回転角度とは、締付部材55の長手方向がY方向に沿っている任意の状態を基準として、Y方向に平行な回転軸を中心に締付部材55が回転した角度である。図6に示すように、長さD55は、第2表面552がX方向に対して垂直になる場合に最大となる。孔521に挿入された締付部材55が回転させられると、締付部材55が型枠構成材2を-X方向に向かって押す。このため、型枠構成材2がパッキン54に押し付けられる。締付部材55は、作業者の手で回転させられてもよいし、工具等で把持された状態で回転させられてもよい。締付部材55によってパッキン54に加わる荷重は、第2表面552が型枠構成材2に近付くにしたがって大きくなる。すなわち、締付部材55によってパッキン54に加わる荷重は、X方向に対して垂直な平面に対して第2表面552がなす角度が小さくなるにしたがって大きくなる。締付部材55が型枠構成材2をパッキン54に押し付けている時、締付部材55は、パッキン54の弾性力によって型枠構成材2から反力を受ける。このため、締付部材55の回転が抑制される。
【0037】
締付部材55が孔521に挿入される前、又は図8に示すように孔521に挿入された締付部材55が回転させられる前におけるパッキン54の厚み(X方向の長さ)を厚みT54b(図8参照)とする。第2表面552がX方向に対して垂直な状態でのパッキン54の厚みを厚みT54a(図6参照)とする。締付部材55の回転によりパッキン54が押し潰される(変形する)ので、厚みT54aは厚みT54bよりも小さい。例えば本実施形態においては、厚みT54aが2.5mmであり、厚みT54bが5mmである。パッキン54が所定量押し潰されることによって、目地11の密封性が向上する。
【0038】
締付部材55によってパッキン54が押し潰された状態で、コンクリートが流し込まれる。締付部材55は残存型枠10の一部として内部に残る。パッキン54によって目地11が密封されているので、水又はセメント等が目地11から漏れることが抑制される。
【0039】
図9に示すように、シールユニット5は、固定部材59を備える。例えば、目地11の下端部に配置される締付部材55は、雌ネジ55aを備える。目地11の下端部に配置される締付部材55において、第2表面522はZ方向に対して垂直である。固定部材59は、ボルトであって、雌ネジ55aに噛み合い且つ雌ネジ55aを貫通している。固定部材59の先端は、型枠構成材2を押している。固定部材59が型枠構成材2を押すことによって、パッキン54が押し潰される。また、固定部材59により、締付部材55の回転が規制されている。
【0040】
残存型枠10を施工する際、工場等で組み立てられた型枠ユニット1が現場に搬送される。次に、それぞれの型枠ユニット1が、ブラケット81及びブラケット82を介して床版91に固定される。次に、隣り合う型枠ユニット1の間の目地11に、押え部材50の第2プレート52が挿入される。この時、第1プレート51と型枠構成材2との間にパッキン54が配置されている。次に、第2プレート52の孔521に締付部材55が挿入される。これにより、図7及び図8の状態となる。次に、締付部材55が回転させられることによって、パッキン54が押し潰される。これにより、図5及び図6の状態となる。その後、残存型枠10、型枠99及び床版91で囲まれる空間にコンクリートが流し込まれることで、高欄100が形成される。
【0041】
なお、押え部材50において、第1プレート51及び第2プレート52は必ずしも一体に形成されていなくてもよい。例えば第2プレート52が、別部材としての第1プレート51に接合されていてもよい。また、第2プレート52は、第1プレート51に対して垂直でなくてもよい。第2プレート52は、少なくとも第1プレート51に対して交差していればよい。第2プレート52は、第1プレート51が目地11を覆うように配置された場合に、目地11の裏側に突出する形状を有していればよい。
【0042】
シールユニット5の各構成の材料は、上述した材料に限定されない。押え部材50及び締付部材55はアルミニウム合金押出形材でなくてもよく、その他の金属等であってもよい。パッキン54は、エチレンプロピレンジエンゴムでなくてもよく、その他のゴム又は樹脂等であってもよい。
【0043】
締付部材55の形状は、上述した形状でなくてもよい。締付部材55は、孔521に挿入された状態で、回転角度に応じて型枠構成材2をパッキン54に押し付けることのできる形状を有していればよい。締付部材55は、Y方向から見て円形でなければよい。例えば、締付部材55は、Y方向から見て多角形又は楕円形等であってもよい。
【0044】
第2プレート52の孔521の形状は、円形でなくてもよい。第2プレート52の孔521は、締付部材55を挿入することのでき且つ締付部材55の回転を許容する形状であればよく、特に限定されない。例えば、孔521は、Y方向から見て多角形又は楕円形等であってもよい。
【0045】
シールユニット5は、必ずしも図9に示す固定部材59を備えていなくてもよい。目地11の下端部においても、第2表面522が型枠構成材2に接することによってパッキン54が押し潰されてもよい。
【0046】
以上で説明したように、押え部材50は、残存型枠10の隣り合う型枠ユニット1間の目地11の幅L11よりも大きい幅L51を有する第1プレート51と、第1プレート51と交差しており且つ目地11の幅L11よりも小さい厚みL52を有する第2プレート52と、を備える。第2プレート52は、孔521を備える。
【0047】
これにより、押え部材50によれば、第1プレート51によって目地11を覆い且つ第2プレート52を型枠ユニット1の裏側に突出させることが可能になる。型枠ユニット1の裏側に突出した第2プレート52の孔521に締付部材55を挿入し回転させることで、締付部材55が型枠ユニット1を押す。第1プレート51と型枠ユニット1との間に配置されたパッキン54が押し潰されることによって、目地11が密封される。このように、押え部材50によれば、締付部材55を回転させることで目地11を塞ぐことができる。例えばボルト及びナット等を用いてパッキン54を押し潰す場合と比較して、作業が容易である。したがって、本実施形態の押え部材50は、施工時の作業効率を向上させることができる。
【0048】
押え部材50において、第1プレート51は、第2プレート52が接する表面から突出する2つの突起511を備える。一方の突起511は、第2プレート52に対して他方の突起511とは反対側に位置する。
【0049】
これにより、パッキン54が押し潰された時に第1プレート51に沿う方向に拡がったとしても、突起511がパッキン54の過剰な拡がりを規制する。このため、押え部材50によれば、パッキン54が第1プレート51と型枠構成材2との間の隙間からはみ出ることを抑制することができる。
【0050】
本実施形態のシールユニット5は、押え部材50と、第1プレート51に接するパッキン54と、孔521を貫通する締付部材55と、を備える。第1プレート51に対して垂直な方向における締付部材55の長さD55は、締付部材55の回転角度に応じて変化する。
【0051】
これにより、締付部材55が回転させられると、型枠ユニット1がパッキン54に押し付けられる。第1プレート51と型枠ユニット1との間に配置されたパッキン54が押し潰されることによって、目地11が密封される。このように、シールユニット5によれば、締付部材55を回転させることで目地11を塞ぐことができる。例えばボルト及びナット等を用いてパッキン54を押し潰す場合と比較して、作業が容易である。したがって、本実施形態のシールユニット5は、施工時の作業効率を向上させることができる。
【0052】
シールユニット5において、孔521は、円形である。締付部材55は、孔521の内壁に沿う表面である第1表面551を備える。
【0053】
これにより、締付部材55の回転が滑らかになるので、作業効率がより向上する。また、締付部材55が型枠ユニット1から反力を受けている時に第1表面551が孔521の内壁に接することによって、締付部材55の姿勢が安定する。このため、型枠ユニット1がパッキン54に押し付けられた状態が保持されやすくなる。
【0054】
シールユニット5において、締付部材55は、孔521の径方向に対して垂直な平面状の表面である第2表面552を備える。
【0055】
これにより、第2表面552が型枠ユニット1に接することによって、締付部材55の回転が抑制される。このため、型枠ユニット1がパッキン54に押し付けられた状態が保持されやすくなる。
【符号の説明】
【0056】
1 型枠ユニット
10 残存型枠
11 目地
100 高欄
2 型枠構成材
21 ベース部
22 アーム部
3 連結ユニット
31 縦部材
33 締結部材
5 シールユニット
50 押え部材
51 第1プレート
511 突起
52 第2プレート
521 孔
521c 中心
54 パッキン
55 締付部材
55a 雌ネジ
551 第1表面
552 第2表面
59 固定部材
81、82 ブラケット
83 斜材
85 支持ロッド
86 連結部材
87 セパレータ
91 床版
92 躯体
99 型枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10