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特許7001501放熱構造体およびそれを備えるバッテリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】放熱構造体およびそれを備えるバッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/653 20140101AFI20220112BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/623 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/655 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20220112BHJP
【FI】
H01M10/653
H01M10/613
H01M10/6555
H01M10/625
H01M10/6568
H01M10/623
H01M10/647
H01M10/655
H01M10/615
H01M50/209
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018042584
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019079780
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2017207386
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】安藤 均
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0101881(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0119921(US,A1)
【文献】特開2017-059299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/653
H01M 10/613
H01M 10/6555
H01M 10/625
H01M 10/6568
H01M 10/623
H01M 10/647
H01M 10/655
H01M 10/615
H01M 50/209
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源と冷却部材との間にあって前記熱源から前記冷却部材に熱を伝導させるための放熱構造体であって、
金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含み、前記熱源と前記冷却部材との間に配置される熱伝導シートと、
前記熱伝導シートに接触して、前記熱源と前記冷却部材との間および/または前記熱源同士の間に配置されるゴム状弾性体若しくは不織布と、を備え、
前記熱伝導シートは、
複数の前記熱源同士の隙間に延出配置可能な突出シート部を備え
前記熱源と前記冷却部材との間に配置される部位において、断面U字状若しくはV字状に折り返された第一折り返し形状、あるいは断面環状の第一袋形状を有し、
前記ゴム状弾性体若しくは不織布は、前記第一折り返し形状あるいは前記第一袋形状の内部に配置されている放熱構造体。
【請求項2】
前記突出シート部は、断面U字状若しくはV字状に折り返された第二折り返し形状、あるいは断面環状の第二袋形状を有し、
前記ゴム状弾性体の一部は、前記第二折り返し形状あるいは前記第二袋形状の内部に配置されている請求項1に記載の放熱構造体。
【請求項3】
前記熱伝導シートと、前記熱源および前記冷却部材の周囲の少なくともいずれか一方とを密着固定するためのゴムシートを、さらに備える請求項1または請求項に記載の放熱構造体。
【請求項4】
前記ゴムシートは、シリコーンゴム製のシートである請求項に記載の放熱構造体。
【請求項5】
前記熱伝導シートは、炭素フィラーと、樹脂とを含むシートである請求項1から請求項のいずれか1項に記載の放熱構造体。
【請求項6】
前記熱伝導シートまたは前記ゴム状弾性体若しくは不織布を加熱するために給電可能な通電用電極を、さらに備える請求項1から請求項のいずれか1項に放熱構造体。
【請求項7】
冷却部材を接触させる筐体内に熱源としての複数のバッテリーセルを備えたバッテリーであって、
前記バッテリーセルの前記冷却部材に近い側の端部と前記冷却部材に近い側の前記筐体の一部との間に、前記バッテリーセルから前記冷却部材に熱を伝導させるための放熱構造体を備え、
前記放熱構造体は、
金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含み、前記バッテリーセルと前記冷却部材との間に配置される熱伝導シートと、
前記熱伝導シートに接触して、前記熱源と前記冷却部材との間および/または前記熱源同士の間に配置されるゴム状弾性体若しくは不織布と、を備え、
前記熱伝導シートは、
複数の前記バッテリーセル同士の隙間に延出配置可能な突出シート部を備え
前記バッテリーセルと前記冷却部材との間に配置される部位において、断面U字状若しくはV字状に折り返された第一折り返し形状、あるいは断面環状の第一袋形状を有し、
前記ゴム状弾性体若しくは不織布は、前記第一折り返し形状あるいは前記第一袋形状の内部に配置されているバッテリー。
【請求項8】
前記突出シート部は、断面U字状若しくはV字状に折り返された第二折り返し形状、あるいは断面環状の第二袋形状を有し、
前記ゴム状弾性体若しくは不織布の一部は、前記第二折り返し形状あるいは前記第二袋形状の内部に配置されている請求項に記載のバッテリー。
【請求項9】
前記熱伝導シートと、前記バッテリーセルおよび前記冷却部材の周囲の少なくともいずれか一方とを密着固定するためのゴムシートを、さらに備える請求項7または請求項に記載のバッテリー。
【請求項10】
前記熱伝導シートまたは前記ゴム状弾性体若しくは不織布を加熱するために給電可能な通電用電極を、さらに備える請求項から請求項のいずれか1項に記載のバッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造体およびそれを備えるバッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
【0003】
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは放熱ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、cBNなどから構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、放熱ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
【0004】
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しょうとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、2040年までにガソリン車とディーゼル車から完全に電気自動車に切り替えることを宣言している。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などの課題がある。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が大きな課題となっている。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
【0005】
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属製の筐体に水冷パイプを配置し、当該筐体にバッテリーセルを多数配置し、バッテリーセルと筐体の底面との間に密着性のゴムシートを挟んだ構造が採用されている。以下、図を参照して説明する。
【0006】
図10は、従来のバッテリーの概略断面図を示す。図10のバッテリー100は、多数のバッテリーセル101を、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る筐体102の内底面103上に備える。筐体102の底部104には、冷却水を流すための水冷パイプ105が備えられている。バッテリーセル101は、底部104との間にゴムシート(例えば、室温硬化型シリコーンゴム製のシート)106を挟んで筐体102内に固定されている。このような構造のバッテリー100では、バッテリーセル101は、ゴムシート106を通じて筐体102に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-243999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図10に示すような従来のバッテリー100の放熱構造には、次のような解決すべき課題がある。ゴムシート106は、アルミニウムやグラファイトと比べて熱伝導性が低いため、バッテリーセル101から筐体102に効率よく熱を移動させることが難しい。また、ゴムシート106に代えてグラファイト等のスペーサを挟む方法も考えられる。しかし、複数のバッテリーセル101の下面が平らではなく段差を有することから、バッテリーセル101とスペーサとの間に隙間が生じ、伝熱効率が低下する。また、バッテリーセルの下面は種々の形状をとり得ることから、バッテリーセルの形状に依らない高い伝熱効率を実現する要望もある。さらには、バッテリーセルの容器の材質をより軽量なものにすることが要望されており、バッテリーセルの軽量化に対応した放熱構造体が望まれている。これは、バッテリーのみならず回路基板や電子機器本体のような他の熱源にも通じる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱源の形状や材質を問わず放熱効率に優れる放熱構造体及びそれを備えたバッテリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱構造体は、熱源と冷却部材との間にあって熱源から冷却部材に熱を伝導させるための放熱構造体であって、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含み、熱源と冷却部材との間に配置可能な熱伝導シートと、熱伝導シートに接触して、熱源と冷却部材との間および/または熱源同士の間に配置されるゴム状弾性体若しくは不織布とを備え、熱伝導シートは、複数の熱源同士の隙間に延出配置可能な突出シート部を備える。
【0011】
(2)別の実施形態に係る放熱構造体では、さらに、熱伝導シートは、熱源と冷却部材との間に配置される部位において、断面U字状若しくはV字状に折り返された第一折り返し形状、あるいは断面環状の第一袋形状を有し、ゴム状弾性体若しくは不織布は、第一折り返し形状あるいは第一袋形状の内部に配置されているのが好ましい。
【0012】
(3)別の実施形態に係る放熱構造体では、また、突出シート部は、断面U字状若しくはV字状に折り返された第二折り返し形状、あるいは断面環状の第二袋形状を有し、ゴム状弾性体の一部は、第二折り返し形状あるいは第二袋形状の内部に配置されているのが好ましい。
【0013】
(4)別の実施形態に係る放熱構造体では、また、熱伝導シートと、熱源および冷却部材の周囲の少なくともいずれか一方とを密着固定するためのゴムシートをさらに備えるのが好ましい。
【0014】
(5)別の実施形態に係る放熱構造体では、さらに、ゴムシートは、シリコーンゴム製のシートであるのが好ましい。
【0015】
(6)別の実施形態に係る放熱構造体では、また、熱伝導シートは、炭素フィラーと、樹脂とを含むシートであるのが好ましい。
【0016】
(7)別の実施形態に係る放熱構造体では、また、熱伝導シートまたはゴム状弾性体若しくは不織布を加熱するために給電可能な通電用電極を、さらに備えるのが好ましい。
【0017】
(8)また、本発明の一実施形態に係るバッテリーは、冷却部材を接触させる筐体内に熱源としての複数のバッテリーセルを備えたバッテリーであって、バッテリーセルの冷却部材に近い側の端部と冷却部材に近い側の筐体の一部との間に、バッテリーセルから冷却部材に熱を伝導させるための放熱構造体を備え、放熱構造体は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含み、バッテリーセルと冷却部材との間に配置される熱伝導シートと、熱伝導シートに接触して、熱源と冷却部材との間および/または熱源同士の間に配置されるゴム状弾性体若しくは不織布とを備え、熱伝導シートは、複数のバッテリーセル同士の隙間に延出配置可能な突出シート部を備える。
【0018】
(9)別の実施形態に係るバッテリーでは、さらに、熱伝導シートは、バッテリーセルと冷却部材との間に配置される部位において、断面U字状若しくはV字状に折り返された第一折り返し形状、あるいは断面環状の第二袋形状を有し、ゴム状弾性体若しくは不織布は、第一折り返し形状あるいは第一袋形状の内部に配置されているのが好ましい。
【0019】
(10)別の実施形態に係るバッテリーでは、また、突出シート部は、断面U字状若しくはV字状に折り返された第二折り返し形状、あるいは断面環状の第二袋形状を有し、ゴム状弾性体若しくは不織布の一部は、第二折り返し形状あるいは第二袋形状の内部に配置されているのが好ましい。
【0020】
(11)別の実施形態に係るバッテリーでは、また、熱伝導シートと、バッテリーセルおよび冷却部材の周囲の少なくともいずれか一方とを密着固定するためのゴムシートをさらに備えるのが好ましい。
【0021】
(12)別の実施形態に係るバッテリーでは、また、熱伝導シートまたはゴム状弾性体若しくは不織布を加熱するために給電可能な通電用電極をさらに備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱源の形状や材質を問わず放熱効率に優れる放熱構造体及びそれを備えたバッテリーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図をそれぞれ示す。
図2図2は、図1中の領域A1の拡大図(2A)および領域B1の拡大図(2B)をそれぞれ示す。
図3図3は、第2実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図をそれぞれ示す。
図4図4は、図3中の領域A2の拡大図(4A)および領域B2の拡大図(4B)をそれぞれ示す。
図5図5は、第3実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図をそれぞれ示す。
図6図6は、図5中の領域C1の拡大図(6A)および領域D1の拡大図(6B)をそれぞれ示す。
図7図7は、第4実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図をそれぞれ示す。
図8図8は、図7の放熱構造体に熱源のバッテリーセルを装着する状況の斜視図及びその一部Eの拡大図をそれぞれ示す。
図9図9は、第5実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図(9A)およびその変形例の同断面図(9B)を、それぞれ示す。
図10図10は、従来のバッテリーの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図をそれぞれ示す。図2は、図1中の領域A1の拡大図(2A)および領域B1の拡大図(2B)をそれぞれ示す。
【0026】
第1実施形態に係る放熱構造体25は、バッテリー1内の熱源の一例であるバッテリーセル20と冷却部材15との間にあって、バッテリーセル20から冷却部材15に熱を伝導させるための放熱構造体である。放熱構造体25は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含むシートであってバッテリーセル20と冷却部材15との間に配置可能な熱伝導シート30と、熱伝導シート30に接触してバッテリーセル20と冷却部材15との間に配置可能なゴム状弾性体若しくは不織布(以後、適宜、「ゴム状弾性体等」という。)31と、を備える。熱伝導シート30は、複数のバッテリーセル20同士の隙間に延出配置可能な突出シート部35を備える。
【0027】
より詳細に説明すると、バッテリー1は、図1に示すように、冷却部材15を接触させる筐体11内に熱源としての複数のバッテリーセル20を備えたバッテリーである。バッテリーセル20の冷却部材15に近い側の端部と冷却部材15に近い側の筐体11の一部(底部12)との間に、バッテリーセル20から冷却部材15に熱を伝導させるための放熱構造体25が備えられている。放熱構造体25は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含み、バッテリーセル20と冷却部材15との間に配置可能な熱伝導シート30と、熱伝導シート30に接触してバッテリーセル20と冷却部材15との間に配置可能なゴム状弾性体等31と、を備える。熱伝導シート30は、複数のバッテリーセル20同士の隙間に延出配置可能な突出シート部35を備える。
【0028】
さらに、熱伝導シート30は、バッテリーセル20と冷却部材15との間に配置される部位において、断面U字状若しくはV字状に折り返された第一折り返し形状を有する。ゴム状弾性体等31は、好ましくは、当該第一折り返し形状の内部32に配置されている。なお、第一折り返し形状は、断面環状の第一袋形状であっても良い。その場合には、ゴム状弾性体等31は、好ましくは、第一袋形状の内部に配置される。なお、本願では、「断面」あるいは「縦断面」とは、バッテリー1の筐体11の内部14における上方開口面から底部12へと垂直に切断する方向の断面を意味する。
【0029】
(1)バッテリーの構成の概略
この実施形態において、バッテリー1は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル20を備える。バッテリー1は、一方に開口する有底型の筐体11を備える。筐体11は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル20は、筐体11の内部14に配置される。バッテリーセル20の上方には、電極(不図示)が突出して設けられている。複数のバッテリーセル20は、好ましくは、筐体11内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体11の底部12には、冷却部材15の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ13が備えられている。バッテリーセル20は、底部12との間に、放熱構造体25を挟むようにして筐体11内に配置されている。このような構造のバッテリー1では、バッテリーセル20は、放熱構造体25を通じて筐体11に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却部材15は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却部材15は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体あるいは固体でも良い。
【0030】
(2)熱伝導シート
熱伝導シート30は、この実施形態では、複数のバッテリーセル20と底部12との間において、縦断面視にてU字状の湾曲部を1つ備えた形態を有する。ただし、熱伝導シート30は、U字状の湾曲部に代えて、V字状の屈曲部を備えても良い。本願では、「U字状」は、「V字状」に比べて急激な折り返しではない程度の意味で用いられるだけであり、正確なアルファベットの「U」の文字のような徐々にカーブする形状に限定されない。また、「V字状」も、「U字状」に比べて徐々にカーブする折り返しではない程度の意味で用いられ、正確なアルファベットの「V」の文字のような急激な方向転換を伴う折り返し形状に限定されない。
【0031】
熱伝導シート30は、好ましくは炭素を含むシートであり、さらに好ましくは炭素フィラーと樹脂とを含むシートである。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、膨張黒鉛、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート30は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。グラファイト繊維やカーボン粒子に代えて、膨張黒鉛性のフィラーを用いても良い。膨張黒鉛は、化学反応を用いて鱗片状の黒鉛に物質を挿入した黒鉛層間化合物を急熱して層間の物質がガス化し、その時に生じたガスの放出によって黒鉛の層間が広がり、層の積み重なり方向に膨張した状態になった黒鉛をいう。グラファイト繊維、カーボン粒子あるいは膨張黒鉛製のフィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。熱伝導シート30は、炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含んでも良い。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、AlN、cBN、hBNなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
【0032】
樹脂は、熱伝導シート30の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは炭素フィラーが上記全質量に対して50質量%を超えていても良い。すなわち、熱伝導シート30は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とし、あるいは炭素フィラーを主材としても良い。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源の一例であるバッテリーセル20からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート30の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状に分散している。熱伝導シート30は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。
【0033】
熱伝導シート30は、後述のゴム状弾性体等31よりも熱伝導性に優れているのが好ましく、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート30の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート30に好ましくはグラファイトと、グラファイトより結晶性の低いカーボンとを含ませて、熱伝導シート30中に電流が流れやすいネットワークを形成するようにしている。しかし、熱伝導シート30は、必ずしも導電性に優れていることを要せず、熱伝導性を有するだけでも良い。その場合、熱伝導シート30を、AlN、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン(グラファイトより導電性は低い)などを含むシートとしても良い。熱伝導シート30は、湾曲性(若しくは屈曲性)のあるシートであれば、その厚さに制約はないが、0.3~5mmが好ましく、0.3~1mmがより好ましい。ただし、熱伝導シート30の熱伝導率は、その厚さが増加するほど低下するため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。
【0034】
放熱構造体25は、熱伝導シート30を、複数のバッテリーセル20の冷却部材15(あるいは筐体11の底部12)に近い側の端部(この実施形態では、バッテリーセル20の底部)と、底部12の内底面との間の領域にて、U字状若しくはV字状に折り返して、その折り返しによって形成された内側空間にゴム状弾性体等31を備える。熱伝導シート30は、さらに、バッテリーセル20同士の隙間に延出する1または2以上の突出シート部35を備える。なお、熱伝導シート30は、筐体11の側壁の内面とバッテリーセル20の側面との間に、終端シート部36を備える。終端シート部36を、突出シート部35の一形態と称することもできる。突出シート部35および終端シート部36は、放熱構造体25の本体部分(バッテリーセル20と底部12との間の空間に配置された部分)からバッテリーセル20同士の隙間に延出する襞(ひだ)と称することもできる。
【0035】
突出シート部35は、断面U字状(若しくはV字状)に折り返された第二折り返し形状を有する。熱伝導シート30は、底部12の内底面の端から端まで延出し、U字状に折り返し、バッテリーセル20同士の隙間を上昇してから折り返して再び同隙間を下降することで1つの第二折り返しを終え、当該第二折り返しを隙間の数だけ繰り返して、最後に終端シート部36の形成に至る。この結果、放熱構造体25は、先述の本体部分に、第二折り返し形状を有する突出シート部35と、終端シート部36とを備えた形態となる。このように、熱伝導シート30は、好ましくは、1枚のシートを折り曲げて形成されている。ただし、熱伝導シート30を複数のシートから構成することもできる。なお、突出シート部35は、「第二折り返し形状」に代えて、断面環状の第二袋形状を採用しても良い。その場合、この実施形態では、好ましくは、第二袋形状の内部に空気を有する。また、突出シート部35は、第二折り返し形状あるいは第二袋形状ではなく、終端シート部36と同じく、一方向に延出する形態を有していても良い。
【0036】
図2(2A)に示すように、突出シート部35は、第二折り返しによって、本体部分から通じる隙間Mを備えることもある。また、この実施形態では、突出シート部35とバッテリーセル20との間には、ゴムシート40が介在している。ゴムシート40は、バッテリーセル20と突出シート部35(熱伝導シート30の一部)との間の熱伝導を高めるのに寄与する。ゴムシート40の詳細については後述する。
【0037】
(3)ゴム状弾性体等
ゴム状弾性体等31は、複数のバッテリーセル20の冷却部材15に近い側の端部と、底部12の内底面との間の領域にて、湾曲若しくは屈曲させた熱伝導シート30の内部32に配置される弾性体である。ゴム状弾性体等31は、バッテリーセル20と底部12との間にあってクッション性を発揮させる機能と、熱伝導シート30に加わる荷重によって熱伝導シート30が破損等しないようにする保護部材としての機能とを有する。ゴム状弾性体等31は、熱伝導シート30に比べて低熱伝導性の部材である。ゴム状弾性体等31は、バッテリーセル20の膨張を許容するクッション材としての役割、隣り合うバッテリーセル20間に介在する場合にはバッテリーセル20間の断熱材としての役割、延焼防止材としての役割を有する。熱伝導シート30から成る放熱構造体に比べると、ゴム状弾性体等31の存在によって、上記各役割に起因する作用・効果が得られる。
【0038】
図2(2B)に示すように、熱伝導シート30と底部12との間には、好ましくは、ゴムシート40が介在している。ゴムシート40は、バッテリーセル20から熱伝導シート30を伝わってきた熱を底部12に伝えやすくする機能を有する。バッテリーセル20から発する熱は、突出シート部35に接するゴムシート40を経て、突出シート部35に伝わり、湾曲若しくは屈曲している熱伝導シート30中を伝わって、底部12の内底面に配置されるゴムシート40を経て、底部12、冷却部材15へと伝わる。
【0039】
ゴム状弾性体等31は、好ましくは、ゴム状弾性体として、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を例示できる。また、ゴム状弾性体等31は、不織布から構成されていても良い。不織布としては、特にその材料に制約はなく、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などを例示できる。
ゴム状弾性体等31は、熱伝導シート30を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、ゴム状弾性体等31は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。以下、ゴム状弾性体等31は、主として、ゴム状弾性体として説明する。ゴム状弾性体等31は、その熱伝導性を少しでも高めるために、内部にAlN、cBN、hBN、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。
【0040】
(4)ゴムシート
ゴムシート40は、この実施形態では、好ましくは、バッテリーセル20と熱伝導シート30との間、および底部12と熱伝導シート30との間に配置されるシートであり、バッテリー1あるいは放熱構造体25にとって必須の構成ではない。ゴムシート40は、上述のゴム状弾性体等31と同様の様々な種類の弾性体にて形成可能であるが、バッテリーセル20からの熱を速やかに熱伝導シート30に伝える必要から、熱伝導性に優れたシリコーンゴムを含むシートであるのが好ましい。ゴムシート40をシリコーンゴムにて主に構成する場合、AlN、アルミニウム等の高熱伝導性のフィラーをシリコーンゴム中に分散させるのが好ましい。また、シリコーンゴム製のゴムシート40としては、粘着性を高めるために、二官能性のシリコーン生ゴムにシリコーンレジンを組み合わせたシリコーンゴムを例示できる。当該シリコーンレジンは、好適には、MQレジンを例示できる。MQレジンとは、Siの4本の結合手に酸素原子を結合させた構造の4方分岐型のQユニットだけを架橋させ、末端の反応性を止めるために、Siの1本の結合手に酸素原子を結合させた構造の一方分岐型のMユニットを加えたレジンである。また、シリコーンレジンとしては、水酸基を多く結合するものを使用した方が、シリコーンゴムの粘着性を高めることができるので好ましい。
【0041】
ゴムシート40は、バッテリーセル20と熱伝導シート30との密着性、あるいは冷却部材15の周囲(底部12、筐体11の側壁など))と熱伝導シート30との密着性を高める機能を持つ。ゴムシート40は、耐熱性および粘着性があれば特に硬度を問わないが、特にシリコーンゴムを主材とするシートであれば、ショアOO基準(ショアオーオー基準)にて60度以下、好ましくは40度以下、さらに好ましくは10度以下である。ゴムシート40が低硬度であるほど、バッテリーセル20表面の凹凸を吸収しやすいからである。また、ゴムシート40の厚さは、好ましくは0.3~5mm、より好ましくは0.7~3mm、さらにより好ましくは1~2.5mmである。ただし、ゴムシート40の厚さは、バッテリーセル20表面の凹凸あるいはゴム硬度等の条件に応じて決定するのが好ましい。
【0042】
(5)バッテリーの好適な組み立て方法
(a)PPS等に代表される樹脂材料と、グラファイト製フィラーおよび/またはグラファイトより低結晶性のカーボン製フィラー(粒子、繊維等の形態が好ましい)を液体(例えば、水)の中で撹拌して紙漉きと同様の方式でフェルト状シートを作製する。
(b)続いて、フェルト状シートを、図1の熱伝導シート30と同一若しくはこれに類似した断面形状になるように折り曲げる。
(c)熱伝導シート30の一部にゴム状弾性体等31を固定して放熱構造体25を完成する。
(d)最後に、放熱構造体25をバッテリー1内に組み込む。
【0043】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図をそれぞれ示す。図4は、図3中の領域A2の拡大図(4A)および領域B2の拡大図(4B)をそれぞれ示す。
【0044】
第2実施形態に係る放熱構造体25aおよびバッテリー1aは、突出シート部35の内部にゴム状弾性体等31が存在する点および突出シート部35とバッテリーセル20の側面との間にゴムシート40を介在させていない点で、第1実施形態に係る放熱構造体25およびバッテリー1と異なり、それら以外の点で共通する。以下、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0045】
(1)相違する構造
図4(4A)に示すように、放熱構造体25aの突出シート部35は、断面U字状若しくはV字状に折り返された第二折り返し形状、あるいは断面環状の第二袋形状を有する。ゴム状弾性体等31の一部は、突出シート部35の第二折り返し形状あるいは第二袋形状の内部37に配置されている。バッテリーセル20の側面に多少の凹凸や段差があっても、突出シート部35の内部37に存在するゴム状弾性体等31によって、突出シート部35を構成する熱伝導シート30とバッテリーセル20との密着性を高めることができ、その結果、バッテリーセル20の放熱性を高めることができる。
【0046】
突出シート部35とバッテリーセル20の側面との間にはゴムシート40が介在していなくとも、突出シート部35の内部37にゴム状弾性体等31が存在するため、バッテリーセル20と突出シート部35との密着性を高めることができる。ただし、突出シート部35とバッテリーセル20の側面との間にゴムシート40を備える方がより好ましい。一方、筐体11の底部12と熱伝導シート30との間にゴムシート40を備える点は、第1実施形態と共通するため、図4(4B)に基づく構造の説明を省略する。
【0047】
(2)バッテリーの好適な組み立て方法
第1実施形態と同様の方法にて放熱構造体25aを製造して、バッテリー1a内に組み込む。
【0048】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図をそれぞれ示す。図6は、図5中の領域C1の拡大図(6A)および領域D1の拡大図(6B)をそれぞれ示す。
【0049】
第3実施形態に係る放熱構造体25bおよびバッテリー1bは、複数のバッテリーセル20と底部12との間において熱伝導シート30の折り返し構造を持たない点、ゴム状弾性体等31が熱伝導シート30によって包まれていない点、熱伝導シート30が筐体11の内側面に2つの終端シート部36を接している点、熱伝導シート30に通電機構を備えている点で、第1実施形態に係る放熱構造体25およびバッテリー1と異なり、それら以外の点で概ね共通する。以下、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0050】
(1)相違する構造
放熱構造体25bは、筐体11の底部12の内底面とバッテリーセル20との間の領域にゴム状弾性体等31を備える。放熱構造体25bは、ゴム状弾性体等31よりもバッテリーセル20側であって、バッテリーセル20と筐体11の側壁内周面との間に2つの終端シート部36を接して、かつバッテリーセル20同士の隙間に突出シート部35を挿入させた形態の熱伝導シート30を備える。バッテリーセル20から発せられた熱は、熱伝導シート30、筐体11の側壁へと伝わり、底部12の冷却部材15を通じて減ぜられる。また、バッテリーセル20から発せられた熱は、熱伝導シート30、ゴム状弾性体等31を経て、底部12の冷却部材15を通じて減ぜられる。
【0051】
ゴム状弾性体等31と底部12との間にはゴムシート40は介在していないのは、ゴム状弾性体等31が底部12と容易に密着することが期待できるからである。ただし、ゴムシート40をゴム状弾性体等31と底部12との間に介在させても良い。
【0052】
この実施形態では、熱伝導シート30は、導電性を有するとともに通電によってその抵抗に起因する発熱を生じる。熱伝導シート30の一部、ここでは一例として2つの終端シート部36に、プラス側のリード線50とマイナス側のリード線51がそれぞれ接続されている。リード線50,51間に電圧を印加すると、熱伝導シート30に電流が流れて発熱する。
【0053】
図6(6A)に示すように、リード線50は、通電用電極60に接続されている。通電用電極60は、一方の終端シート部36に固定されている。同様に、図6(6B)に示すように、リード線51は、通電用電極61に接続されている。通電用電極61は、他方の終端シート部36に固定されている。この実施形態では、通電用電極60,61は、熱伝導シート30の表面に、金属フィラーを含有するペーストを塗布することで形成される薄膜である。金属フィラーを含有するペーストとしては、銀のフィラーを含有するペースト(銀ペースト)を好適に例示できる。その場合には、上記薄膜は銀薄膜となる。ただし、銀以外でも、比較的導電性に優れた金属材料を含有するペーストを塗布して通電用電極60,61を作製しても良い。また、通電用電極60,61の形成方法としては、特に制約はなく、例えば、刷毛塗りや、印刷を採用できる。この実施形態では、通電用電極60,61は、熱伝導シート30の表面に形成されている。ただし、通電用電極60,61は、熱伝導シート30の表面から内方にへこんだ領域に形成され、あるいは熱伝導シート30の内部に埋め込まれていても良い。さらに、終端シート部36と筐体11の側壁との間、若しくはバッテリーセル20の側面と終端シート部36との間にゴムシート40を介在させ、通電用電極60,61をゴムシート40の表面若しくは内部に形成しても良い。また、通電用電極60,61は、互いに離れた2つの突出シート部35の頂点付近に形成されても良い。通電用電極60,61は、熱伝導シート30に接続されずに、別の抵抗体に接続され、熱伝導シート30の加熱に代えて、当該別の抵抗体に接するゴム状弾性体等31を加熱できるようにしても良い。
【0054】
(2)バッテリーの好適な組み立て方法
第1実施形態の組み立て工程(a)から(d)と同様と同様の工程を行い、その後若しくは(a)の後の工程において、通電用電極60,61およびリード線50,51を熱伝導シート30に固定する。
【0055】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図をそれぞれ示す。
【0056】
第4実施形態に係る放熱構造体25cおよびバッテリー1cは、複数のバッテリーセル20cと底部12との間において熱伝導シート30の折り返し構造を持たない点、熱伝導シート30で挟まれたゴム状弾性体等31がバッテリーセル20c同士の間およびバッテリーセル20cと筐体11の内側面との間に配置されている点で、第1実施形態に係る放熱構造体25およびバッテリー1と異なり、それら以外の点で概ね共通する。以下、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0057】
(1)相違する構造
図7に示すように、放熱構造体25cの突出シート部35は、断面U字状若しくはV字状に折り返された第二折り返し形状を有する。突出シート部35の形状は、水冷パイル13を備える底部12側に開口する第二折り返し形状ではなく、断面環状の第二袋形状でも良い。ゴム状弾性体等31は、バッテリーセル20cの下面と接する熱伝導シート30と底部12との間に配置されず、突出シート部35の第二折り返し形状あるいは第二袋形状の内部に配置されている。バッテリーセル20cの側面に多少の凹凸や段差があっても、突出シート部35の内部に存在するゴム状弾性体等31によって、突出シート部35を構成する熱伝導シート30とバッテリーセル20cとの密着性を高めることができ、その結果、バッテリーセル20cの放熱性を高めることができる。なお、バッテリーセル20cの外側のケースは、前述の各実施形態における樹脂製の袋若しくは樹脂と金属フィルムとのラミネート構造を持つ袋をケースとしたバッテリーセル20と異なり、より剛性の高いケースである。ただし、バッテリーセル20cに代えて、バッテリーセル20をバッテリー1cに備えても良い。
【0058】
突出シート部35とバッテリーセル20cの側面との間にはゴムシート40が介在していなくとも、突出シート部35の内部にゴム状弾性体等31が存在するため、バッテリーセル20cと突出シート部35との密着性を高めることができる。ただし、突出シート部35とバッテリーセル20cの側面との間にゴムシート40を備える方がより好ましい。一方、筐体11の底部12と熱伝導シート30との間にゴムシート40を備える方が好ましい点は、第1実施形態と共通するため、図4(4B)に基づく構造の説明を省略する。
【0059】
図8は、図7の放熱構造体に熱源のバッテリーセルを装着する状況の斜視図及びその一部Eの拡大図をそれぞれ示す。
【0060】
第4実施形態に係る放熱構造体25cは、複数のブックスタンドを横に並べたような構造を有する。熱伝導シート30は、複数の突出シート部35を襞のように立設させた状態でバッテリー1cの底部12に配置される。突出シート部35は、底部12側に開口する逆U字若しくは逆V字の形状を有し、その折り返された第二折り返し形状若しくは第二袋形状の内部にゴム状弾性体等31を挟むように備える。バッテリーセル20cは、突出シート部35同士の間に配置される。なお、複数の突出シート部35の一部(特に、筐体11の内壁面側の突出シート部35)は、ゴム状弾性体等31を備えていない熱伝導シート30のみから構成されていても良い。
【0061】
(2)バッテリーの好適な組み立て方法
(a)PPS等に代表される樹脂材料と、グラファイト製フィラーおよび/またはグラファイトより低結晶性のカーボン製フィラー(粒子、繊維等の形態が好ましい)を液体(例えば、水)の中で撹拌して紙漉きと同様の方式でフェルト状シートを作製する。
(b)続いて、フェルト状シートを、図7の熱伝導シート30と同一若しくはこれに類似した断面形状になるように折り曲げる。
(c)熱伝導シート30の一部にゴム状弾性体等31を固定して放熱構造体25cを完成する。
(d)最後に、放熱構造体25cをバッテリー1c内に組み込む。
【0062】
また、上記工程(a)から(d)と同様と同様の工程を行い、その後若しくは(a)の後の工程において、前記実施形態と同様の通電用電極60,61およびリード線50,51を熱伝導シート30に固定することができる。
【0063】
(第5実施形態)
図9は、第5実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図(9A)およびその変形例の同断面図(9B)を、それぞれ示す。
【0064】
第5実施形態に係るバッテリー1dは、放熱構造体25cと放熱構造体25dとを備える。放熱構造体25cは、放熱構造体25d上に載置若しくは固定されている。放熱構造体25cは、第4実施形態で説明した構造および機能を有するため、その詳細な説明を省略する。放熱構造体25dは、バッテリーセル20と冷却部材15との間にあってバッテリーセル20から冷却部材15に熱を伝導させてバッテリーセル20からの放熱を可能とする放熱構造体である。放熱構造体25dは、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含み、バッテリーセル20と冷却部材15との間に配置可能な熱伝導シート30と、熱伝導シート30に少なくとも部分的に包まれるゴム状弾性体等31と、を備える。
【0065】
放熱構造体25dを構成する熱伝導シート30は、好ましくは、バッテリーセル20と冷却部材15との間に配置される部位において、開口70を冷却部材15に向けた縦断面逆さC形状を有する。ゴム状弾性体等31は、逆さC形状の熱伝導シート30の内部(第一折り返し形状の内部)に配置されている。また、ゴム状弾性体等31は、放熱構造体25dの長さ方向(図9の紙面表側および裏側の方向)両端の内の少なくとも一端側を熱伝導シート30から露出させている。
【0066】
筐体11内の複数個の放熱構造体25dは、バッテリーセル20の載置に起因して圧縮されても互いに接触しない距離tをあけて配置されている。隣接する放熱構造体20同士の衝突を回避する必要からである。放熱構造体25d同士の間隔(距離t)は、放熱構造体25dの変形量と熱伝導量にもよるが、好ましくは5mm、より好ましくは2mmである。
【0067】
このような構造のバッテリー1dでは、バッテリーセル20は、放熱構造体25c,25dを通じて筐体11に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。放熱構造体25dを構成する熱伝導シート30は、この実施形態では、複数のバッテリーセル20と底部12との間において、縦断面視にて逆さC形状を有するが、開口70を有さない縦断面視O形状でも良い。この場合、熱伝導シート30は、第一袋形状を備える。
【0068】
バッテリー1dは、例えば、以下の工程にて組み立て可能である。
(a)PPS等に代表される樹脂材料と、グラファイト製フィラーおよび/またはグラファイトより低結晶性のカーボン製フィラー(粒子、繊維等の形態が好ましい)を液体(例えば、水)の中で撹拌して紙漉きと同様の方式でフェルト状シートを作製する。
(b)続いて、フェルト状シートを、図9(9A)に示す2種類の断面形状になるように折り曲げる。この結果、放熱構造体25c用の熱伝導シート30と、放熱構造体25d用の熱伝導シート30とが出来上がる。
(c)次に、各熱伝導シート30の内方にゴム状弾性体等31を固定して放熱構造体25c,25dを完成する。
(d)最後に、放熱構造体25c,25dをバッテリー1dの筐体11内に組み込む。
【0069】
第5実施形態の変形例に係るバッテリー1eは、先に説明した放熱構造体25cと放熱構造体25dとを連接した状態の放熱構造体25eを複数個備える。ゴム状弾性体等31は、放熱構造体25eの外側を包む熱伝導シート30の内方に備えられている。放熱構造体25eは、2つのバッテリーセル20の間、および各バッテリーセル20の底部と水冷パイプ13を備える底部12との間に介在する。
【0070】
放熱構造体25eを構成する熱伝導シート30は、好ましくは、バッテリーセル20と冷却部材15との間に配置される部位において、開口70を冷却部材15に向けた縦断面逆さC形状を有する。筐体11内の複数個の放熱構造体25eは、バッテリーセル20の載置に起因して圧縮されても互いに接触しない距離tをあけて配置されている。距離tは、放熱構造体25eの変形量と熱伝導量にもよるが、好ましくは5mm、より好ましくは2mmである。
【0071】
このような構造のバッテリー1eでは、バッテリーセル20は、放熱構造体25eを通じて筐体11に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。放熱構造体25eを構成する熱伝導シート30であってバッテリーセル20の下方に位置する部分は、この実施形態では、複数のバッテリーセル20と底部12との間において、縦断面視にて逆さC形状を有するが、開口70を有さない縦断面視O形状でも良い。
【0072】
バッテリー1eは、例えば、以下の工程にて組み立て可能である。
(a)PPS等に代表される樹脂材料と、グラファイト製フィラーおよび/またはグラファイトより低結晶性のカーボン製フィラー(粒子、繊維等の形態が好ましい)を液体(例えば、水)の中で撹拌して紙漉きと同様の方式でフェルト状シートを作製する。
(b)続いて、フェルト状シートを、図9(9B)に示す断面形状になるように折り曲げる。この結果、放熱構造体25e用の熱伝導シート30が出来上がる。
(c)次に、熱伝導シート30の内方にゴム状弾性体等31を固定して放熱構造体25eを完成する。
(d)最後に、放熱構造体25eをバッテリー1eの筐体11内に組み込む。
【0073】
(各実施形態の作用・効果)
上記各実施形態に係る放熱構造体25,25a,25b,25c,25d,25e(「放熱構造体25等」という。)は、バッテリーセル20,20c(「バッテリーセル20等」という。)に代表される熱源と冷却水に代表される冷却部材15との間にあってバッテリーセル20等から冷却部材15に熱を伝導させるための放熱構造体であって、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含み、バッテリーセル20等と冷却部材15との間に配置可能な熱伝導シート30と、熱伝導シート30に接触して、バッテリーセル20等と冷却部材15との間および/またはバッテリーセル20等同士の間に配置されるゴム状弾性体等31と、を備える。熱伝導シート30は、複数のバッテリーセル20等同士の隙間に延出配置可能な突出シート部35を備える。このような放熱構造体25等によれば、バッテリーセル20等の冷却部材15に近い側の端部の形状に依存せず、さらにはバッテリーセル20等が軽量であって自重による放熱構造体への密着を期待できない状況であっても、突出シート部35を通じてバッテリーセル20等からの熱を、熱伝導シート30を経由して、バッテリー1,1a,1b,1c,1d,1e(「バッテリー1等」という。)の底部12、冷却部材15へと伝えることができる。
【0074】
また、熱伝導シート30は、バッテリーセル20等と冷却部材15との間に配置される部位において、断面U字状若しくはV字状に折り返された第一折り返し形状、あるいは断面環状の第一袋形状を有する。ゴム状弾性体等31は、上記の第一折り返し形状あるいは第一袋形状の内部32に配置されている。このような構成によれば、バッテリーセル20等と冷却部材15との間に配置される部位において、熱伝導シート30に包まれたゴム状弾性体等31の柔軟性を利用して、複数のバッテリーセル20等の底部の位置が水平ではない場合であっても、バッテリーセル20等の底部と熱伝導シート30との密着性およびバッテリーセル20等の側面と突出シート部35との密着性を共に高めることができ、より高い放熱性を期待できる。
【0075】
また、突出シート部35は、断面U字状若しくはV字状に折り返された第二折り返し形状、あるいは断面環状の第二袋形状を有し、ゴム状弾性体等31の一部は、上記の第二折り返し形状あるいは第二袋形状の内部37に配置されている。このような構成によれば、バッテリーセル20等の側面の凹凸によらず、突出シート部35とバッテリーセル20等の側面との密着性を高めることができ、より高い放熱性を期待できる。さらに、突出シート部35内部にゴム状弾性体等31を備えると、バッテリーセル20の膨張を許容でき、隣り合うバッテリーセル20間に介在する場合にはバッテリーセル20間の断熱材となり、加えて、延焼防止可能である。
【0076】
また、放熱構造体25等は、熱伝導シート30と、バッテリーセル20等および冷却部材15の周囲(底部12、筐体11の側壁など)の少なくともいずれか一方とを密着固定するためのゴムシート40を、さらに備える。ゴムシート40は、バッテリーセル20等から熱伝導シート30、あるいは熱伝導シート30から底部12への放熱を高めるのに寄与する。特に、ゴムシート40をシリコーンゴム製のシートとすると、熱劣化しにくく、長期に亘る密着性を実現できる。また、熱伝導性の高いシリコーンゴムシート製のゴムシート40を用いると、ゴムシート40を挟んだ両側の熱移動を容易にする。
【0077】
また、熱伝導シート30は、好ましくは、炭素フィラーと、樹脂とを含むシートである。これによって、熱伝導性に優れると共に、柔軟で、折り曲げも可能で、さらには湾曲させることも容易なシートを実現できる。よって、バッテリー1等の内部のような複雑な空間内の形状に合わせて賦形できる。加えて、炭素フィラーの存在によって、電気伝導性を付与することもできる。
【0078】
また、放熱構造体25等は、熱伝導シート30若しくはゴム状弾性体等31を加熱するために給電可能な通電用電極60,61を、さらに備える。これによって、寒冷地であっても、バッテリーセル20の加熱を行い、バッテリー1等の充電/放電を容易に実現できる。
【0079】
また、バッテリー1等は、冷却部材15を接触させる筐体11内に熱源としての複数のバッテリーセル20等を備えたバッテリーであって、バッテリーセル20等の冷却部材15に近い側の端部と冷却部材15に近い側の筐体11の一部(底部12)との間に、バッテリーセル20等から冷却部材15に熱を伝導させるための放熱構造体25等を備える。放熱構造体25等は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含みバッテリーセル20等と冷却部材15との間に配置可能な熱伝導シート30と、熱伝導シート30に接触して、バッテリーセル20等と冷却部材15との間および/またはバッテリーセル20等同士の間に配置されるゴム状弾性体等31と、を備える。熱伝導シート30は、複数のバッテリーセル20等同士の隙間に延出配置可能な突出シート部35を備える。このようなバッテリー1等によれば、バッテリーセル20等の冷却部材15に近い側の端部の形状に依存せず、さらにはバッテリーセル20等が軽量であって自重による放熱構造体への密着を期待できない状況であっても、突出シート部35を通じてバッテリーセル20等からの熱を、熱伝導シート30を経由して、バッテリー1等の底部12、冷却部材15へと伝えることができる。
【0080】
また、バッテリー1等は、熱伝導シート30と、バッテリーセル20等および冷却部材15の周囲(底部12、筐体11の側壁など)の少なくともいずれか一方とを密着固定するためのゴムシート40を、さらに備える。ゴムシート40は、バッテリーセル20等から熱伝導シート30、あるいは熱伝導シート30から底部12等への放熱を高めるのに寄与する。特に、ゴムシート40をシリコーンゴム製のシートとすると、熱劣化しにくく、長期に亘る密着性を実現できる。また、熱伝導性の高いシリコーンゴムシート製のゴムシート40を用いると、ゴムシート40を挟んだ両側の熱移動を容易にする。ゴムシート40は、放熱構造体25等をバッテリー1等の内部に配置する前において、筐体11あるいは放熱構造体25等のいずれの側に固定されていても良い。
【0081】
(その他の実施形態)
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0082】
例えば、熱源は、バッテリーセル20等のみならず、回路基板や電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。同様に、冷却部材15は、冷却用の水のみならず、有機溶剤、液体窒素、冷却用の気体であっても良い。また、放熱構造体25等は、バッテリー1等以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。
【0083】
ゴム状弾性体等31は、上述の各実施形態では、熱伝導シート30の湾曲若しくは屈曲にて形成される内方空間、あるいは熱伝導シート30と底部12との間の空間内に配置されているが、これらの空間のみならず、当該空間以外に延出していても良い。例えば、ゴム状弾性体等31は、第4実施形態のように、突出シート部35の内方に配置されているだけでも良く、また、第2あるいは第5実施形態の変形例のように、上記空間から突出シート部35の内方につながる領域を占めても良い。
【0084】
ゴムシート40は、各実施形態では、熱伝導シート30と熱源との間、熱伝導シート30と底部12との間に存在している場合もあるが、これらの間以外に存在していても良い。例えば、ゴムシート40は、終端シート部36と筐体11の側壁の内面との間に存在していても良い。また、ゴムシート40は、熱源や底部12に接着しておらず、接触若しくは密着していて、熱源や底部12から容易に着脱できても良い。また、第3実施形態において、熱伝導シート30は、ゴム状弾性体等31より上方(すなわち、バッテリーセル20側)の筐体11の側壁内面に接触しているが、ゴム状弾性体等31側(すなわち下方)の当該側壁内面に接触していても良い。
【0085】
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。例えば、第3実施形態において、第2実施形態のようなゴム状弾性体等31を内方する突出シート部35を備えるようにしても良い。また、通電用電極60,61を、第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態あるいは第5実施形態に備えるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る放熱構造体は、例えば、自動車用バッテリーの他、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品などの各種電子機器にも利用することができる。また、本発明に係るバッテリーは、自動車用のバッテリー以外に、家庭用の充放電可能なバッテリー、PC等の電子機器用のバッテリーにも利用できる。
【符号の説明】
【0087】
1,1a,1b,1c,1d,1e・・・バッテリー、11・・・筐体、12・・・底部(冷却部材の周囲の一例、冷却部材に近い側の筐体の一部の一例)、15・・・冷却部材、20,20c・・・バッテリーセル(熱源の一例)、25,25a,25b,25c,25d,25e・・・放熱構造体、30・・・熱伝導シート、31・・・ゴム状弾性体等(ゴム状弾性体若しくは不織部)、32・・・内部、35・・・突出シート部、37・・・内部、40・・・ゴムシート、60,61・・・通電用電極。
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