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特許7001505発泡ポリウレタン樹脂組成物および発泡ポリウレタン樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】発泡ポリウレタン樹脂組成物および発泡ポリウレタン樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/22 20060101AFI20220127BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220127BHJP
   C08G 18/24 20060101ALI20220127BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20220127BHJP
   C08G 18/16 20060101ALI20220127BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
C08G18/22
C08G18/00 F
C08G18/24
C08G18/48 054
C08G18/16
C08G101:00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018046332
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019156988
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕司
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕史
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-145617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニルメタンポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、
ポリオール成分と、
水と、
有機金属触媒と、
応遅延剤と、を含有し、
前記反応遅延剤は、ピコリン酸、ニコチン酸またはプロリンであり、
前記有機金属触媒1molに対する前記反応遅延剤のmol比が、0.50以上2.10以下であることを特徴とする、発泡ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記有機金属触媒が、有機スズ化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物を含むことを特徴とする、発泡ポリウレタン樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ポリウレタン樹脂組成物および発泡ポリウレタン樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緩衝材、衝撃吸収材、振動吸収材、クッション材、マットレス材、吸音材などとして、発泡ポリウレタン樹脂(ポリウレタンフォーム、発泡ポリウレタンエラストマーなど)が用いられている。
【0003】
そのような発泡ポリウレタン樹脂の製造方法として、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含むポリウレタン樹脂組成物を金型に注入した後、発泡および硬化させるとともに、所望の形状に成形することが知られている。
【0004】
例えば、ポリフェニルメタンポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、ポリオール成分とを混合して、ポリウレタン組成物を調製し、そのポリウレタン組成物を金型に注入して発泡させる、発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
そのような発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法では、ポリウレタン組成物のライズタイムが経過するまで、ポリウレタン組成物が金型内を流動するとともに発泡する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-204403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、特許文献1に記載の発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法において、発泡ポリウレタンエラストマーの成形不良抑制の観点から、ポリウレタン樹脂組成物のライズタイムの向上が望まれている。
【0008】
そこで、ポリウレタン樹脂組成物に反応遅延剤を添加して、ポリウレタン樹脂組成物のライズタイムの向上を図ることが検討される。
【0009】
しかし、ポリウレタン樹脂組成物に反応遅延剤を添加すると、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応性が低下するために、ポリウレタン樹脂組成物の硬化に要する時間(硬化時間)が長くなるという不具合がある。その結果、発泡ポリウレタン樹脂の製造に要する時間が増加し、発泡ポリウレタン樹脂の製造効率が低下するという不具合がある。
【0010】
そこで、本発明は、ライズタイムの向上を図ることができながら、硬化時間の低減を図ることができる発泡ポリウレタン樹脂組成物および発泡ポリウレタン樹脂を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明[1]は、ポリフェニルメタンポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、水と、有機金属触媒と、下記一般式(1)に示す反応遅延剤と、を含有し、前記有機金属触媒1molに対する前記反応遅延剤のmol比が、0.50以上2.10以下である、発泡ポリウレタン樹脂組成物を含む。
【0012】
【化1】
【0013】
(一般式(1)中、Aは、脂肪族環または芳香族環を示す。Rは、環Aを構成する炭素数1の炭化水素基を示す。Rは、環Aに結合する炭素数1の脂肪族炭化水素基を示す。Rは、環Aに含まれる窒素原子に結合する水素原子またはアルキル基を示す。Rは、環Aに結合する水素原子またはカルボキシル基を示す。mは、1または2であり、nは、0または1であり、nおよびmの総和は、2以下である。)
本発明[2]は、前記反応遅延剤が、ピコリン酸である、上記[1]に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
【0014】
本発明[3]は、前記有機金属触媒が、有機スズ化合物を含む、上記[1]または[2]に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物を含む。
【0015】
本発明[4]は、前記ポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含む、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物を含む。
【0016】
本発明[5]は、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物を含む、発泡ポリウレタン樹脂を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の発泡ポリウレタン樹脂組成物では、有機金属触媒1molに対する反応遅延剤のmol比が上記下限以上であるので、末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との初期の反応を抑制でき、発泡ポリウレタン樹脂組成物のライズタイムの向上を図ることができる。
【0018】
また、反応遅延剤が上記一般式(1)に示す特定の化合物であり、有機金属触媒1molに対する反応遅延剤のmol比が上記上限以下であるので、ライズタイムの経過後(つまり、発泡ポリウレタン樹脂組成物が膨らみきった後)において、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応を円滑に進行させることができ、発泡ポリウレタン樹脂組成物の硬化時間の低減を図ることができる。
【0019】
そのため、発泡ポリウレタン樹脂組成物は、ライズタイムと硬化時間とをバランスよく有することができ、発泡ポリウレタン樹脂の製造に好適に用いることができる。
【0020】
本発明の発泡ポリウレタン樹脂は、上記の発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物を含むので、効率よく製造されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<発泡ポリウレタン樹脂組成物>
本発明の発泡ポリウレタン樹脂組成物は、必須成分として、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、水と、有機金属触媒と、下記一般式(1)に示される反応遅延剤とを含有する。
【0022】
1.ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート成分は、ポリフェニルメタンポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有する。
【0023】
ポリフェニルメタンポリイソシアネート(p-MDI)は、公知の方法で製造され、具体的には、例えば、アニリンとホルマリンとの縮合反応により得られるポリメリックメチレンジアニリンを、ホスゲン化することによって製造される。なお、ポリフェニルメタンポリイソシアネートは、一般に、ポリメリックMDI、クルードMDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどとも表記される。
【0024】
ポリフェニルメタンポリイソシアネートは、通常、ジフェニルメタンジイソシアネート(モノマー)と、ジフェニルメタンジイソシアネートの縮合体(オリゴマー、ポリマー)とを含有する。つまり、ポリフェニルメタンポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と、ジフェニルメタンジイソシアネートの縮合体とを含む組成物である。
【0025】
ジフェニルメタンジイソシアネートとして、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0026】
ポリフェニルメタンポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(NCO%)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。なお、イソシアネート基含有率は、電位差滴定装置を用いて、JIS K-1603-1(2007年)に準拠したn-ブチルアミン法により測定できる(以下同様)。
【0027】
ポリオールとして、例えば、数平均分子量が250未満の低分子量ポリオール、数平均分子量が250以上の高分子量ポリオールなどが挙げられる。ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0028】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量60以上250未満、好ましくは、200以下の化合物である。低分子量ポリオールとして、例えば、2価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、イソソルビド、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールAなど)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)、4価アルコール(例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなど)、5価アルコール(例えば、キシリトールなど)、6価アルコール(例えば、ソルビトールなど)、7価アルコール(例えば、ペルセイトールなど)などが挙げられる。低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0029】
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量250以上、好ましくは、400以上、さらに好ましくは、500以上、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下、さらに好ましくは、1500以下の化合物である。
【0030】
高分子量ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。高分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0031】
ポリエーテルポリオールとして、例えば、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオール(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体など)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0032】
ポリエステルポリオールとして、例えば、アジペート系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0033】
ポリカーボネートポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物、上記した2価アルコールと開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0034】
ポリウレタンポリオールとして、例えば、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
【0035】
エポキシポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、多官能ハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン、β-メチルエピクロルヒドリンなど)との反応生成物などが挙げられる。
【0036】
植物油ポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基含有植物油(例えば、ひまし油、やし油など)、エステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
【0037】
ポリオレフィンポリオールとして、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0038】
アクリルポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど)と、それと共重合可能な共重合性ビニルモノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニルモノマーなど)との共重合体などが挙げられる。
【0039】
シリコーンポリオールとして、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、ビニル基を含むシリコーン化合物(例えば、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど)が配合されるアクリルポリオールなどが挙げられる。
【0040】
フッ素ポリオールとして、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、ビニル基を含むフッ素化合物(例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなど)が配合されるアクリルポリオールなどが挙げられる。
【0041】
ビニルモノマー変性ポリオールとして、例えば、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレートなど)との反応生成物などが挙げられる。
【0042】
このようなポリオールのなかでは、好ましくは、高分子量ポリオール、さらに好ましくは、ポリエーテルポリオール、とりわけ好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。つまり、ポリオールは、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含む。
【0043】
ポリオールがポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むと、発泡ポリウレタン樹脂組成物のライズタイムと硬化時間とをより確実にバランスよく確保でき、また、後述する発泡ポリウレタン樹脂に、ポリフェニルメタンポリイソシアネートとポリテトラメチレンエーテルグリコールとの反応により生成するソフトセグメントを付与することができる。
【0044】
ポリオールの平均官能基数は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下である。ポリオールの平均水酸基価は、例えば、33.7mgKOH/g以上、好ましくは、56.1mgKOH/g以上、例えば、187mgKOH/g以下、好ましくは、112.1mgKOH/g以下である。なお、ポリオール成分の平均官能基数は、仕込み成分から算出することができ、また、平均水酸基価は、JIS K-1557-1(2007年)に準拠したアセチル化法またはフタル化法により測定できる(以下同様)。
【0045】
そして、末端イソシアネート基含有プレポリマーは、上記したポリフェニルメタンポリイソシアネートと、上記したポリオールとを、遊離のイソシアネート基が残存する割合で反応させることにより調製される。
【0046】
末端イソシアネート基含有プレポリマーは、少なくとも分子の両末端に遊離のイソシアネート基を有する。
【0047】
末端イソシアネート基含有プレポリマーにおけるイソシアネート基の平均官能基数は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下である。
【0048】
末端イソシアネート基含有プレポリマーにおけるイソシアネート基含有率(NCO%)は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下である。
【0049】
このような末端イソシアネート基含有プレポリマーは、市販品を用いることもできる。
【0050】
このようなポリイソシアネート成分は、末端イソシアネート基含有プレポリマーに加えて、他のイソシアネート(例えば、カルボジイミド変性MDI誘導体、o-MDIなど)を含むこともできるが、好ましくは、末端イソシアネート基含有プレポリマーからなる。
【0051】
2.ポリオール成分
ポリオール成分として、例えば、上記した低分子量ポリオール、上記した高分子量ポリオールなどが挙げられる。ポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0052】
ポリオール成分のなかでは、好ましくは、低分子量ポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、2価アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、1,4-ブチレングリコールが挙げられる。つまり、ポリオール成分は、好ましくは、低分子量ポリオールを含み、さらに好ましくは、低分子量ポリオールからなる。
【0053】
ポリオール成分が低分子量ポリオールを含むと、後述する発泡ポリウレタン樹脂に、末端イソシアネート基含有プレポリマーと低分子量ポリオールとの反応により生成するハードセグメントを付与することができる。また、ポリオール成分が低分子量ポリオールからなり、高分子量ポリオールを含まない場合、発泡ポリウレタン樹脂組成物の硬化時間の低減を確実に図ることができる。
【0054】
ポリオール成分の平均官能基数は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下である。ポリオール成分の平均水酸基価は、例えば、33.7mgKOH/g以上、好ましくは、56.1mgKOH/g以上、例えば、187mgKOH/g以下、好ましくは、112.1mgKOH/g以下である。
【0055】
3.水
水は、化学発泡剤であって、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基と反応して二酸化炭素を生成する。
【0056】
水の含有割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.10質量部以上、例えば、1.0質量部以下、好ましくは、0.30質量部以下、さらに好ましくは、0.23質量部以下である。
【0057】
4.有機金属触媒
有機金属触媒は、公知のウレタン化触媒であって、例えば、有機スズ化合物、有機鉛化合物、有機ニッケル化合物、有機銅化合物、有機ビスマス化合物、カリウム塩などが挙げられる。有機金属触媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0058】
有機スズ化合物として、例えば、酢酸スズ、オクチル酸スズ、オレイン酸スズ、ラウリル酸スズ、モノブチルスズトリオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメルカプチド、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジネオデカノエート、ジオクチルスズジメルカプチド、ジオクチルスズジラウリレート、ジブチルスズジクロリドなどが挙げられる。
【0059】
有機鉛化合物として、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などが挙げられる。有機ニッケル化合物として、例えば、ナフテン酸ニッケルなどが挙げられる。有機コバルト化合物として、例えば、ナフテン酸コバルトなどが挙げられる。有機銅化合物として、例えば、オクテン酸銅などが挙げられる。有機ビスマス化合物として、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどが挙げられる。
【0060】
カリウム塩として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどが挙げられる。
【0061】
このような有機金属触媒のなかでは、好ましくは、有機スズ化合物が挙げられる。
つまり、有機金属触媒は、好ましくは、有機スズ化合物を含み、さらに好ましくは、有機スズ化合物からなる。
【0062】
有機金属触媒が有機スズ化合物を含むと、発泡ポリウレタン樹脂組成物の硬化時間の低減を確実に図ることができる。
【0063】
有機金属触媒(有効成分量100%換算)の含有割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、0.010質量部以上、好ましくは、0.015質量部以上、例えば、0.10質量部以下、好ましくは、0.05質量部以下、さらに好ましくは、0.025質量部以下である。
【0064】
5.反応遅延剤
反応遅延剤は、下記一般式(1)に示される複素環化合物である。
【0065】
【化1】
【0066】
(一般式(1)中、Aは、脂肪族環または芳香族環を示す。Rは、環Aを構成する炭素数1の炭化水素基を示す。Rは、環Aに結合する炭素数1の脂肪族炭化水素基を示す。Rは、環Aに含まれる窒素原子に結合する水素原子またはアルキル基を示す。Rは、環Aに結合する水素原子またはカルボキシル基を示す。mは、1または2であり、nは、0または1であり、nおよびmの総和は、2以下である。)
一般式(1)において、Rは、環Aを構成する炭素数1の炭化水素基を示し、具体的には、メチレン基(-CH-)またはメチン基(-CH=)を示す。また、一般式(1)中において、mは、1または2である。
【0067】
そのため、一般式(1)において、Aは、mが1である場合、5員複素脂肪族環(ピロリジン環)または5員複素芳香族環(ピロール環)であり、mが2である場合、6員複素脂肪族環(ピペリジン環)または6員複素芳香族環(ピリジン環)である。
【0068】
一般式(1)において、Rは、環Aに結合する炭素数1の脂肪族炭化水素基を示し、具体的には、メチレン基(-CH-)を示す。一般式(1)において、Rは、Rに結合しており、Rの結合箇所は、環Aのα位(2位)またはβ位(3位)である。また、一般式(1)において、nは、0または1であり、nおよびmの総和は、2以下である。
【0069】
そのため、一般式(1)において、カルボキシル基(-COOH)は、nが1である場合、環Aのα位の炭素原子(R)に結合するメチレン基(R)を介して、環Aに結合し、nが0である場合、環Aのα位またはβ位の炭素原子(R)に直接結合する。
【0070】
一般式(1)において、Rは、環Aに含まれる窒素原子に結合する水素原子またはアルキル基を示す。一般式(1)において、Rとして示されるアルキル基は、例えば、炭素数1~12のアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数1~4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)が挙げられる。一般式(1)において、Rは、好ましくは、水素原子である。
【0071】
一般式(1)において、Rは、環Aに結合する水素原子またはカルボキシル基を示し、好ましくは、水素原子を示す。
【0072】
上記一般式(1)に示される反応遅延剤として、具体的には、ピコリン酸、2-ピリジニル酢酸、2-ピペリジンカルボン酸、ニコチン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、プロリンなどが挙げられる。このような一般式(1)に示される反応遅延剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0073】
このような一般式(1)に示される反応遅延剤のなかでは、好ましくは、ピコリン酸、ニコチン酸、プロリンが挙げられ、さらに好ましくは、ピコリン酸が挙げられる。つまり、反応遅延剤は、好ましくは、ピコリン酸、ニコチン酸およびプロリンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、さらに好ましくは、ピコリン酸を含み、とりわけ好ましくは、ピコリン酸からなる。
【0074】
反応遅延剤が、ピコリン酸、ニコチン酸、プロリン、とりわけ、ピコリン酸を含むと、発泡ポリウレタン樹脂組成物のライズタイムの向上をより一層確実に図ることができる。
【0075】
有機金属触媒1molに対する反応遅延剤のmol比は、0.50以上、好ましくは、0.80以上、2.10以下、好ましくは、2.00以下、さらに好ましくは、1.50以下、とりわけ好ましくは、1.00以下である。
【0076】
反応遅延剤のmol比が上記下限以上であれば、発泡ポリウレタン樹脂組成物のライズタイムの向上を図ることができる。反応遅延剤のmol比が上記上限以下であれば、発泡ポリウレタン樹脂組成物の硬化時間の低減を図ることができる。
【0077】
また、反応遅延剤の含有割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、0.0010質量部以上、好ましくは、0.0030質量部以上、例えば、0.010質量部以下、好ましくは、0.0080質量部以下、さらに好ましくは、0.0050質量部以下である。
【0078】
6.添加剤
また、発泡ポリウレタン樹脂組成物は、任意成分として、さらに、公知の添加剤を、適宜の割合で含有することができる。
【0079】
公知の添加剤として、例えば、アミン系触媒、整泡剤(例えば、シリコーン系整泡剤など)、加工助剤(例えば、アクリルコポリマー溶液など)、熱安定化剤(例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤など)、耐熱安定剤(例えば、亜リン酸エステル類など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、難燃剤、着色剤などが挙げられる。
【0080】
<発泡ポリウレタン樹脂>
このような発泡ポリウレタン樹脂組成物は、例えば、上記したポリイソシアネート成分を含むA剤と、上記したポリオール成分を含むB剤とを有する二液型樹脂材料として構成される。なお、有機金属触媒、反応遅延剤および公知の添加剤のそれぞれは、A剤およびB剤のいずれに含有されてもよいが、好ましくは、B剤に含有される。また、水は、B剤に含有される。
【0081】
発泡ポリウレタン樹脂組成物は、発泡ポリウレタン樹脂の原料であり、発泡ポリウレタン樹脂の製造に好適に用いられる。
【0082】
発泡ポリウレタン樹脂を製造するには、例えば、まず、上記したA剤およびB剤を混合して、それらの混合物(発泡ポリウレタン樹脂組成物)を調製する。
【0083】
A剤および/またはB剤は、好ましくは、加温して低粘度化させてから混合される。
【0084】
A剤の加温温度は、例えば、25℃以上、好ましくは、50℃以上、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。B剤の加温温度は、例えば、25℃以上、好ましくは、30℃以上、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、B剤の加温温度は、好ましくは、A剤の加温温度よりも低い。
【0085】
また、A剤とB剤とは、例えば、イソシアネートインデックス(NCO/(OH+HO))×100(つまり、ポリオール成分の水酸基および水の総和に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の総和の割合)が下記の範囲となるように混合される。
【0086】
すなわち、イソシアネートインデックスは、例えば、75以上、好ましくは、90以上、さらに好ましくは、100以上、例えば、300以下、好ましくは、200以下、さらに好ましくは、150以下である。
【0087】
次いで、A剤とB剤との混合物(発泡ポリウレタン樹脂組成物)を、必要に応じて予備加熱される所定の金型に注入する。
【0088】
金型の予備加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上、例えば、130℃以下、好ましくは、100℃以下、さらに好ましくは、90℃以下である。
【0089】
そして、金型内において、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応(ウレタン化反応)させるとともに、A剤とB剤との混合物(発泡ポリウレタン樹脂組成物)を発泡させる。
【0090】
これによって、発泡ポリウレタン樹脂組成物が発泡および硬化して、発泡ポリウレタン樹脂を形成するとともに、発泡ポリウレタン樹脂が所定の形状に成形される。
【0091】
反応温度(成形温度)の範囲は、上記した予備加熱温度の範囲と同じである。
【0092】
反応時間(成形時間)は、例えば、5分以上、好ましくは、10分以上、例えば、60分以下、好ましくは、30分以下、さらに好ましくは、15分以下である。
【0093】
次いで、発泡ポリウレタン樹脂を金型から脱型する。その後、必要に応じて、発泡ポリウレタン樹脂を、上記の反応温度において、24時間以内程度で熱成させてもよい。
【0094】
以上によって、発泡ポリウレタン樹脂が製造される。
【0095】
発泡ポリウレタン樹脂は、発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物を含み、好ましくは、発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物からなる。
【0096】
このような発泡ポリウレタン樹脂は、好ましくは、ポリフェニルメタンポリイソシアネートと高分子量ポリオールとの反応により形成されるソフトセグメントと、末端イソシアネート基含有プレポリマー(ポリフェニルメタンポリイソシアネート)と低分子量ポリオールとの反応により形成されるハードセグメントとを含み、発泡ポリウレタンエラストマーとして構成される。
【0097】
発泡ポリウレタン樹脂(発泡ポリウレタンエラストマー)の硬度(C硬度)は、例えば、40N/100cm以上、好ましくは、60N/100cm以上、例えば、90N/100cm以下、好ましくは、80N/100cm以下である。なお、硬度(C硬度)は、JIS K7312(1996)に基づくアスカーC硬度に準拠して測定できる(以下同様)。
【0098】
また、発泡ポリウレタン樹脂(発泡ポリウレタンエラストマー)の密度は、ポリウレタンフォームの密度(例えば、0.2g/cm以下)よりも高く、例えば、0.3g/cm以上、好ましくは、0.4g/cm以上、さらに好ましくは、0.5g/cm以上、例えば、0.8g/cm以下、好ましくは、0.7g/cm以下、さらに好ましくは、0.6g/cm以下である。
【0099】
このような発泡ポリウレタン樹脂の用途として、例えば、各種産業製品が挙げられ、具体的には、緩衝材、衝撃吸収材、振動吸収材、クッション材、マットレス材、吸音材などが挙げられる。
【0100】
<作用効果>
上記した発泡ポリウレタン樹脂組成物では、有機金属触媒1molに対する反応遅延剤のmol比が上記下限以上である。そのため、末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との初期の反応を抑制でき、発泡ポリウレタン樹脂組成物のライズタイムの向上を図ることができる。
【0101】
また、反応遅延剤が上記一般式(1)に示す化合物であり、有機金属触媒1molに対する反応遅延剤のmol比が上記上限以下であるので、ライズタイムの経過後(つまり、発泡ポリウレタン樹脂組成物が膨らみきった後)において、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応を円滑に進行させることができ、発泡ポリウレタン樹脂組成物の硬化時間の低減を図ることができる。
【0102】
そのため、発泡ポリウレタン樹脂組成物は、ライズタイムと硬化時間とをバランスよく有することができ、発泡ポリウレタン樹脂の製造に好適に用いることができる。
【0103】
発泡ポリウレタン樹脂は、上記の発泡ポリウレタン樹脂組成物を発泡および硬化することにより製造される。そのため、上記の反応温度に発泡ポリウレタン樹脂組成物を加熱しても、発泡ポリウレタン樹脂組成物が有するライズタイムが経過するまで、発泡ポリウレタン樹脂組成物の流動性を確保することができる。そして、ライズタイムの経過後、発泡ポリウレタン樹脂組成物を円滑に硬化させることができる。そのため、発泡ポリウレタン樹脂は、効率よく製造されることができる。
【0104】
また、反応遅延剤が上記一般式(1)に示す化合物であるので、発泡ポリウレタン樹脂は、着色を抑制することができる。
【実施例
【0105】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
【0106】
<原料の準備>
<<ポリイソシアネート成分の準備>>
準備例1(イソシアネート(1))
ポリフェニルメタンポリイソシアネート(p-MDI)と数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG1000)との反応生成物(イソシアネート基含有率=8質量%、平均官能基数=2、市販品)を、イソシアネート(1)として準備した。
【0107】
準備例2(イソシアネート(2))
ポリフェニルメタンポリイソシアネート(p-MDI)と数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG2000)との反応生成物(イソシアネート基含有率=8質量%、平均官能基数=2、市販品)を、イソシアネート(2)として準備した。
【0108】
<<ポリオール成分の準備>>
準備例3(ポリオール(1))
1,4-ブチレングリコール(1,4-BG)を、ポリオール(1)として準備した。
【0109】
準備例4(ポリオール(2))
数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG1000)を、ポリオール(2)として準備した。
【0110】
準備例5(ポリオール(3))
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG2000)を、ポリオール(3)として準備した。
【0111】
<<触媒の準備>>
準備例6(触媒(1))
DBTDL(有機金属触媒、ジラウリン酸ジブチルスズ(IV)(ジブチルスズジラウレート)、日東化成社製)を、触媒(1)として準備した。
【0112】
準備例7(触媒(2))
Dabco 33LV(アミン系触媒、トリエチレンジアミンの33質量%ジプロピレングリコール溶液、エアプロダクツジャパン社製)を、触媒(2)として準備した。
【0113】
<<反応遅延剤の準備>>
準備例8(遅延剤(1))
ピコリン酸(一般式(1)に含まれる反応遅延剤)を、遅延剤(1)として準備した。
【0114】
準備例9(遅延剤(2))
ニコチン酸(一般式(1)に含まれる反応遅延剤)を、遅延剤(2)として準備した。
【0115】
準備例10(遅延剤(3))
プロリン(一般式(1)に含まれる反応遅延剤)を、遅延剤(3)として準備した。
【0116】
<<添加剤の準備>>
Y-10366(シリコーン系整泡剤、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、P9908(加工助剤、アクリルコポリマー溶液、BYK社製)、IRG1135(熱安定化剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製)、JPP100(耐熱安定剤、亜リン酸エステル類、城北化学工業社製)を準備した。
【0117】
<発泡ポリウレタン樹脂組成物および発泡ポリウレタン樹脂の製造>
実施例1~6および比較例1~5
表1に示した成分(原料)中、ポリイソシアネート成分以外の各成分を秤量し、それらを、表1の配合処方に従って配合し、均一になるように攪拌混合することにより、B剤を調製した。なお、B剤の温度を50℃に調整した。
【0118】
別途用意したポリイソシアネート成分を、表1の配合処方に従って秤量し、A剤を調製した。なお、A剤の温度を80℃に調整した。
【0119】
その後、B剤にA剤を加えて、それらを真空減圧により脱気しながら高速撹拌機によって10秒間攪拌して、発泡ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0120】
そして、ポリウレタン樹脂組成物を、予め80℃に加熱した密閉型金型(深さ50mm、縦×横280mm×180mm)に手早く注入し、80℃において15分間で発泡および硬化させ、発泡ポリウレタン樹脂を製造した。
【0121】
<評価>
<<ライズタイム(分)>>
以下の方法により、各実施例および各比較例の発泡ポリウレタン樹脂組成物のライズタイムを測定し、下記の基準により評価した。その結果を表1および表2に示す。
【0122】
発泡ポリウレタン樹脂組成物を、500mLのポリカップに挿入し、発泡ポリウレタン組成物の膨らみきる時間を目視観察にて計測した。
【0123】
なお、ライズタイムの測定開始は、A剤(ポリイソシアネート成分)と、B剤(ポリオール成分)との混合を開始した瞬間とした。
○:ライズタイムが1分以上。
×:ライズタイムが1分未満。
【0124】
<<タックフリータイム(TFT、分)>>
以下の方法により、各実施例および各比較例の発泡ポリウレタン樹脂組成物のタックフリータイムを測定した。その結果を表1および表2に示す。
【0125】
上記のポリカップに挿入した発泡ポリウレタン樹脂組成物の表面指触乾燥時間を計測した。測定開始は、A剤(ポリイソシアネート成分)と、B剤(ポリオール成分)との混合を開始した瞬間とした。
【0126】
<<15分脱型性>>
以下の方法により、各実施例および各比較例の発泡ポリウレタン樹脂の15分脱型性を評価した。その結果を表1および表2に示す。
【0127】
上記の密閉型金型に各発泡ポリウレタン樹脂組成物を注入後、80℃において15分間で発泡および硬化させ、次いで、金型から発泡ポリウレタン樹脂を取り出し、このときの発泡ポリウレタン樹脂の状態を確認した。
○:完全に硬化しており、金型から発泡ポリウレタン樹脂を円滑に脱型可能。
△:未硬化部分は観測されないが、硬化が不十分であり、発泡ポリウレタン樹脂がやや脆い。
×:未硬化の液状樹脂部分もしくは金型内面に付着樹脂が観測され、金型から発泡ポリウレタン樹脂を脱型不能。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】