(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20220112BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20220112BHJP
H01M 50/216 20210101ALI20220112BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20220112BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20220112BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20220112BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20220112BHJP
【FI】
A61M5/142 522
H01M50/202 501B
H01M50/216
H01M50/247
H01M50/244 Z
H01M50/289
H01M50/291
(21)【出願番号】P 2018054152
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 雅人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 剛
【審査官】立木 林
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-164188(JP,A)
【文献】特開2006-331715(JP,A)
【文献】特開平7-45265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に着脱可能に結合する第2部材と、
前記第1部材又は前記第2部材のうち一方に配置された電池と、
前記第1部材又は前記第2部材のうち残りの他方に配置され、前記電池が着脱可能に装着される電池装着部と、
前記第1部材又は前記第2部材のうち残りの他方に配置された基板と、
前記電池装着部における前記電池と対向する壁面部に配置された接続端子と、を備え、
前記接続端子は、
前記基板から前記壁面部に沿って立設する脚部と、
前記脚部における前記基板とは反対側の端部から連続して設けられた弾性部と、
前記弾性部における前記脚部とは反対側の端部から連続し、かつ前記壁面部から離反する向きに突出し、前記電池に接触する接点部と、を有し、
前記電池装着部の前記壁面部は、前記電池と対向する方向に向けて突出する防護突部を有し、
前記防護突部は、前記壁面部において、前記弾性部と同じ位置、又は前記弾性部よりも前記基板から離れた位置に設けられ、前記壁面部に配置された前記接続端子の前記脚部よりも前記電池と対向する方向に向けて突出する
電子機器。
【請求項2】
前記防護突部は、前記弾性部の少なくとも一部を覆う庇部である
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記壁面部は、
前記電池の負極側と対向する第1壁面部と、
前記電池の正極側と対向する第2壁面部と、を有し、
前記庇部は、
前記第1壁面部に設けられた第1庇部と、
前記第2壁面部に設けられた第2庇部と、を有し、
前記第2庇部における前記第2壁面部から前記電池と対向する方向に向けて突出する長さは、前記第1庇部における前記第1壁面部から前記電池と対向する方向に向けて突出する長さよりも短く設定される
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記防護突部は、前記壁面部に配置された前記接続端子の前記弾性部よりも前記電池と対向する方向に向けて突出する突起であり、
前記突起は、前記電池を押圧し、前記電池の位置を矯正する
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記防護突部は、前記弾性部の少なくとも一部を覆う庇部を有し、
前記壁面部は、
前記電池の負極側と対向する第1壁面部と、
前記電池の正極側と対向する第2壁面部と、を有し、
前記庇部は、
前記第1壁面部に設けられた第1庇部と、
前記第2壁面部に設けられた第2庇部と、を有し、
前記第2庇部における前記第2壁面部から前記電池と対向する方向に向けて突出する長さは、前記第1庇部における前記第1壁面部から前記電池と対向する方向に向けて突出する長さよりも短く設定され、
前記突起は、前記第2壁面部に設けられる
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記弾性部は、ねじりばねである
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材と第2部材とを結合した際に電池と接続端子が接続する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器としては、患者の身体又は衣服に固定して持ち運び可能な携帯型の薬液投与装置(いわゆるインスリンポンプ)が提案されている。このような薬液投与装置は、一日中患者に薬液(インスリン)を投与するために、患者の身体又は衣服に固定して持ち運び可能に構成されている。そして、皮下注射や静脈内注射などによって、患者の体内に薬液の持続的な投与が行われる。
【0003】
また、特許文献1には、第1ユニットと、この第1ユニットに着脱可能に結合される第2ユニットとを備えた電子機器が記載されている。第2ユニットには、電源となるバッテリが設けられており、第1ユニットには、バッテリが接続される受信側接点が設けられている。そして、第1ユニットと第2ユニットとを結合した際に、バッテリと受信側接点が接続される。
【0004】
また、このような電子機器には、電源として例えば、ボタン電池が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池と接続する接続端子としては、基板から立設する脚部と、脚部から屈曲し電池に接触する接点部とを有する接続端子が提案されている。このような接続端子を有する電子機器の場合、電池と接続端子の接点部とを接続させる際に、電池の収納位置のズレや第1部材と第2部材との結合動作のズレ等により、電池が接続端子の接点部とは異なる位置に当接するおそれがあった。その結果、接続端子の脚部に荷重が加わり、接続端子が破損や変形するおそれがあった。
【0007】
本目的は、上記の問題点を考慮し、第1部材と第2部材とを結合させる際に接続端子が破損や変形することを防ぐことができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本目的を達成するため、電子機器は、第1部材と、第2部材と、電池と、電池装着部と、基板と、接続端子と、を備えている。第2部材は、第1部材に着脱可能に結合する。電池は、第1部材又は第2部材のうち一方に配置される。電池装着部は、第1部材又は第2部材のうち残りの他方に配置され、電池が着脱可能に装着される。基板は、第1部材又は第2部材のうち残りの他方に配置される。接続端子は、電池装着部における電池と対向する壁面部に配置される。
接続端子は、脚部と、弾性部と、接点部と、を有している。脚部は、基板から壁面部に沿って立設する。弾性部は、脚部における基板とは反対側の端部から連続して設けられる。接点部は、弾性部における脚部とは反対側の端部から連続し、かつ壁面部から離反する向きに突出し、電池に接触する。
また、電池装着部の壁面部は、電池と対向する方向に向けて突出する防護突部を有している。そして、防護突部は、壁面部において、弾性部と同じ位置、又は弾性部よりも基板から離れた位置に設けられ、壁面部に配置された接続端子の脚部よりも電池と対向する方向に向けて突出する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の電子機器によれば、第1部材と第2部材とを結合させる際に接続端子が破損や変形することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態例にかかる電子機器を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態例にかかる電子機器におけるカートリッジ本体を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態例にかかる電子機器における電池収納部を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態例にかかる電子機器における電池収納部に電池を収納させた状態を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態例にかかる電子機器におけるポンプ本体を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態例にかかる電子機器におけるポンプ本体を示す断面図である。
【
図7】実施の形態例にかかる電子機器における接続端子を示す斜視図である。
【
図8】実施の形態例にかかる電子機器におけるカートリッジ本体とポンプ本体とを結合する状態を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態例にかかる電子機器におけるカートリッジ本体とポンプ本体とを結合した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、電子機器の実施の形態例について、
図1~
図10を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0012】
1.電子機器の構成
まず、
図1を参照して、実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる電子機器の構成例について説明する。
図1は、電子機器を示す斜視図である。
【0013】
図1に示す電子機器は、パッチ式や、チューブ式のインスリンポンプ、さらにその他の携帯型の薬液投与装置のように、患者の体内に持続的に薬液投与を行うための携帯型のインスリンポンプである。薬液投与装置1は、薬液投与部2と、薬液投与部2が着脱可能に装着されるクレードル装置3と、クレードル装置3に装着される接続ポート6とを有している。以下、クレードル装置3と薬液投与部2が重なる方向と直交する方向を第1の方向Xとする。また、クレードル装置3と薬液投与部2が重なる方向と直交し、かつ第1の方向Xとも直交する方向を第2の方向Yとする。そして、クレードル装置3と薬液投与部2が重なる方向、すなわち第1の方向X及び第2の方向Yと直交する方向を第3の方向Zとする。
【0014】
[クレードル装置]
クレードル装置3は、扁平状をなす一面が開口した容器状に形成されている。クレードル装置3には、接続ポート6が装着される接続ポート装着部が設けられている。接続ポート6は、カニューレ6aを有している。クレードル装置3を患者の皮膚に貼着し、不図示の穿刺機構を用いることにより、接続ポート6は接続ポート装着部に装着される。接続ポート6をクレードル装置3の接続ポート装着部に装着した際に、クレードル装置3における薬液投与部2が装着される側と反対側からカニューレ6aが突出し、カニューレ6aが患者の体内に穿刺・留置される。
【0015】
また、接続ポート6は、クレードル装置3に装着された状態において、薬液投与部2が装着されると、後述する薬液投与部2におけるカートリッジ本体7の筐体11に設けた裏面収納部11c(
図8参照)に収納される。そして、接続ポート6は、後述する薬液投与部2の送液配管16に接続される。
【0016】
また、クレードル装置3には、患者の皮膚に貼り付けられる貼付シート71が設けられている。貼付シート71は、クレードル装置3における後述する薬液投与部2が装着される面とは反対側の他面に設けられている。そして、貼付シート71は、可撓性を有する部材で形成されており、患者の皮膚に貼り付けられる接着層が設けられている。患者の皮膚に貼り付ける前の状態では、貼付シート71の接着層は、剥離紙72によって覆われている。
【0017】
このクレードル装置3には、薬液投与部2が第1の方向Xの一側から挿入されて、薬液投与部2が着脱可能に装着される。
【0018】
[薬液投与部]
薬液投与部2は、カートリッジ本体7(第1部材)と、ポンプ本体8(第2部材)とを有している。そして、薬液投与部2は、カートリッジ本体7とポンプ本体8とを着脱可能に結合させることで構成されている。
【0019】
[カートリッジ本体]
図2は、カートリッジ本体7を示す斜視図である。
図2に示すように、カートリッジ本体7は、筐体11と、薬液貯蔵部13と、電池収納部12と、押し子部材14と、送液配管16と、押し子部材を操作する押し子操作部17と、を有している。
【0020】
筐体11は、一面が開口した中空の略直方体状に形成されている。筐体11には、第1収納部11aと、第2収納部11bと、裏面収納部11c(
図8参照)が形成されている。第1収納部11aは、筐体11の第2の方向Yの一側に形成されており、第2収納部11bは、筐体11の第2の方向Yの他側に形成されている。裏面収納部11cは、筐体11の第2の方向Yの一側において第1の方向Xの他端部に配置されている(
図8参照)。
【0021】
第1収納部11aには、後述するポンプ本体8に設けられた駆動部32及び伝達機構33の一部が収納される。また、第1収納部11aには、電池収納部12が配置されている。電池収納部12の詳細な構成については後述する。
【0022】
第2収納部11bには、薬液貯蔵部13と、押し子部材14と、押し子操作部17が収納される。また、第2収納部11bには、後述するポンプ本体8に設けられた伝達機構33の一部が収納される。
【0023】
薬液貯蔵部13は、軸方向の一端が開口し、軸方向の他端が閉塞した筒状に形成される筒孔を有している。そして、薬液貯蔵部13は、その軸方向を第1の方向Xと略平行にして第2収納部11bに配置される。
【0024】
薬液貯蔵部13における筒孔の主要部の内径は、開口した軸方向の一端から閉塞した軸方向の他端にかけて同じ大きさに設定されている。そのため、薬液貯蔵部13から排出される薬液の量は、押し子部材14の操作によって、押し子部材14の移動量に対して略一定の量が排出される。この薬液貯蔵部13の筒孔内には、薬液が貯蔵される。薬液貯蔵部13の軸方向の他端部には、送液ポート13aと、充填ポート13bが形成されている。
【0025】
送液ポート13aは、送液配管16に接続されている。送液配管16における送液ポート13aと反対側の端部は、クレードル装置3に設けた接続ポート6に接続される。これにより、薬液貯蔵部13から、送液ポート13a、送液配管16、接続ポート6、カニューレ6aまでが連通する。そして、薬液貯蔵部13の筒孔内に貯蔵された薬液は、送液ポート13aから排出され、送液配管16及び接続ポート6を通過して患者の体内に投与される。
【0026】
充填ポート13bには、不図示の充填装置が接続される。そして、充填ポート13bを介して薬液貯蔵部13の筒孔内に薬液が充填される。
【0027】
また、薬液貯蔵部13の筒孔内には、押し子部材14が摺動可能に挿入されている。押し子部材14は、ガスケット14aと、シャフト部14bと、連結部14cを有している。ガスケット14aは、薬液貯蔵部13の筒孔内において摺動可能に配置されている。ガスケット14aは、薬液貯蔵部13の筒孔の内周面に液密に密着しながら移動して薬液を押圧し、薬液を送液ポート13aから送液配管16内へ排出させる。
【0028】
ガスケット14aにおける先端部、すなわち第1の方向Xの他端部の形状は、薬液貯蔵部13の筒孔の軸方向の他端側の形状に対応して形成されている。これにより、ガスケット14aが薬液貯蔵部13の軸方向の他端側に移動した際に、薬液貯蔵部13内に充填された薬液を無駄なく送液ポート13aから排出させることができる。
【0029】
ガスケット14aにおける先端部と反対側、すなわち第1の方向Xの一端部には、シャフト部14bが設けられている。シャフト部14bは、薬液貯蔵部13の軸方向の一端に形成された開口から外側に延設されている。シャフト部14bにおけるガスケット14aと反対側の端部には、後述する押し子操作部17の連結ナット17bと連結する連結部14cが設けられている。連結部14cが連結ナット17bと連結されて押し子操作部17が駆動すると、押し子部材14は、薬液貯蔵部13の軸方向、すなわち第1の方向Xに沿って移動する。
【0030】
押し子操作部17は、操作歯車17aと、図に表れない送りねじ軸と、連結ナット17bとを有している。操作歯車17aは、後述する伝達機構33の歯車と歯合する。また、操作歯車17aの軸部の一端は、筐体11に設けた軸受け部に回転可能に支持される。操作歯車17aの軸部の他端は、送りねじ軸の軸方向の端部に接続されている。
【0031】
送りねじ軸は、筐体11に設けた軸受け部に回転可能に支持されている。また、送りねじ軸は、その軸方向が、シャフト部14bに対して平行に配置される。すなわち、送りねじ軸は、第1の方向Xと平行をなし、押し子部材14の移動方向と平行に配置される。この送りねじ軸には、連結ナット17bが螺合されている。
【0032】
連結ナット17bは、筐体11に収納された際に、送りねじ軸の周方向回りの回転が規制される。これにより、操作歯車17aが回転し、送りねじ軸が回転すると、連結ナット17bは、送りねじ軸の軸方向に沿って移動する。そして、連結ナット17bに押し子部材14の連結部14cが係合されると、押し子部材14は、連結ナット17bと共に送りねじ軸の軸方向に沿って移動する。また、押し子操作部17には、伝達機構33を介して駆動部32の駆動力が伝達される。
【0033】
[電池収納部]
次に、電池収納部12の構成について
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、電池収納部12を示す斜視図である。
図4は、電池収納部12に電池19を収納した状態を示す斜視図である。
【0034】
図3に示すように、電池収納部12は、第1支持面部21と、第2支持面部22と、下部連結枠23と、上部連結枠24と、短絡防止部材を示す短絡防止枠25とを有している。第1支持面部21及び第2支持面部22は、略四角形をなす平板状に形成されている。第1支持面部21と第2支持面部22は、第2の方向Y及び第3の方向Zと略平行に配置される。
【0035】
第1支持面部21は、電池収納部12の第1の方向Xの一端部に配置され、第2支持面部22は、電池収納部12の第1の方向Xの他端部に配置される。第1支持面部21と第2支持面部22は、第1の方向Xに所定の間隔を空けて対向する。この第1支持面部21と第2支持面部22の間に電池19が配置され、電池19は、第1支持面部21と第2支持面部22によって支持される。
【0036】
第1支持面部21には、第1接続窓21aが開口している。第1接続窓21aは、第1支持面部21における第3の方向Zの一端部の近傍から他端部にかけて開口している。また、第1接続窓21aにおける第3の方向Zの他端部には、短絡防止枠25が配置されている。
【0037】
短絡防止枠25は、第2の方向Yに沿って配置されている。そして、短絡防止枠25は、第1接続窓21aにおける第3の方向Zの他端部を塞ぐようにして配置される。すなわち、短絡防止枠25は、第1接続窓21aの開口の縁部に形成されている。
【0038】
第2支持面部22には、第2接続窓22aが形成されている。第2接続窓22aは、第2支持面部22における第3の方向Zの他端部から一端部に向けて略U字状に切り欠くことで形成される。
【0039】
第1支持面部21及び第2支持面部22における第3の方向Zの一端部には、下部連結枠23が配置されている。下部連結枠23は、第1支持面部21及び第2支持面部22の第2の方向Yの両端部から連続し、第1の方向Xに沿って延在している。そして、下部連結枠23は、第1支持面部21と第2支持面部22とを連結する。
【0040】
また、第1支持面部21及び第2支持面部22における第3の方向Zの他端部には、上部連結枠24が配置されている。上部連結枠24は、第1支持面部21及び第2支持面部22の第2の方向Yの両端部から連続し、第1の方向Xに沿って延在している。そして、上部連結枠24は、第1支持面部21と第2支持面部22とを連結する。また、上部連結枠24は、下部連結枠23と第3の方向Zで対向する。
【0041】
この電池収納部12としては、絶縁性を有する部材であればよく、各種樹脂材料やエラストマー、フィルム素材、ガラス等が使用できる。なかでも、柔軟性と強度を有する部材であると、電池が膨らむ場合や、落下等の問題が発生した場合でも、電池収納部12が破損しにくく、安全に電池を保持し続けることができてより好ましい。このような部材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアセタール、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ナイロン等から適宜選択され、構成される。
【0042】
次に、電池収納部12に収納される電池19の構成について説明する。
図2及び
図4に示すように、電池19としては、例えばボタン電池が適用される。電池19は、正極となる正極缶19aと、負極となる負極缶19bと、境界部19cとを有している。正極缶19aは、軸方向の一端が開口し、軸方向の他端が閉塞した円筒状に形成されている。負極缶19bは、略円板状に形成されている。負極缶19bは、正極缶19aにおける軸方向の一端の開口を塞ぐようにして設けられる。略円板状の負極缶19bが設けられている。そして、電池19における軸方向の一端側の角部には、正極缶19aと負極缶19bの境界となる境界部19cが形成されている。
【0043】
本例の電池収納部12には、上述した構成を有する2つの電池が収納される。2つの電池19は、正極缶19a及び負極缶19bを第1の方向Xに向けて並べた状態で電池収納部12に収納される。第1の方向Xの一側に配置された電池19の負極缶19bは、第1支持面部21に形成した第1接続窓21aを臨む。
【0044】
電池収納部12の短絡防止枠25は、第1の方向Xの一側に配置された電池19の角部、すなわち境界部19cの少なくとも一部を覆う。具体的には、短絡防止枠25は、境界部19cにおける電池19を後述する電池装着部34に装着する際の先端側を覆っている。
【0045】
また、第1の方向Xの他側に配置された電池19の正極缶19aは、第2支持面部22に形成した第2接続窓22aを臨む。
【0046】
[ポンプ本体]
次に、
図5及び
図6を参照してポンプ本体について説明する。
図5は、ポンプ本体8を示す斜視図、
図6は、ポンプ本体8を示す断面図である。
【0047】
図5及び
図6に示すように、ポンプ本体8は、ケース31と、駆動部32と、伝達機構33と、電池装着部34と、基板35とを有している。ケース31は、略平板状に形成されている。ケース31は、カートリッジ本体7の筐体11に設けた第1収納部11aと第2収納部11bを覆い、筐体11の開口を閉じる。
【0048】
ケース31は、第1収納面部31aと、第2収納面部31bと、係合受部31cとを有している。第1収納面部31aは、ケース31における第2の方向Yの一側に形成されており、第2収納面部31bは、ケース31における第2の方向Yの他側に形成されている。第2収納面部31bには、伝達機構33の一部が配置される。ケース31で筐体11の開口を閉じた際、第2収納面部31bは、筐体11に収容した薬液貯蔵部13、押し子部材14及び押し子操作部17を覆う。
【0049】
係合受部31cは、ケース31における第1の方向Xの他端部に形成されている。係合受部31cは、筐体11の第1の方向Xの他端部に設けた不図示の係合部と回動可能に係合する。
【0050】
第1収納面部31aには、駆動部32と、伝達機構33の一部と、電池装着部34及び基板35が配置される。駆動部32は、駆動モータ42(
図6参照)と、モータケース41とを有している。駆動モータ42としては、例えば、ステッピングモータが適用される。駆動モータ42は、第1収納面部31aに配置された基板35における第1の方向Xの一端部に搭載される。モータケース41は、基板35の一部を覆い、基板35に搭載された駆動モータ42を収容する。
【0051】
そして、カートリッジ本体7とポンプ本体8とを結合した際に、駆動モータ42には、基板35を介して電池19から電力が供給される。また、駆動モータ42の駆動軸には、伝達機構33が接続される。
【0052】
伝達機構33は、第1収納面部31a及び第2収納面部31bにおける第1の方向Xの一端部に配置される。伝達機構33は、ギアケースと、ギアケースに収容された複数のギアにより構成される。複数のギアは、駆動モータ42の駆動軸に歯合している。そして、カートリッジ本体7とポンプ本体8とを結合した際に、ギアケースが開き、伝達機構33のギアは、カートリッジ本体7に設けた操作歯車17aと歯合する。
【0053】
電池装着部34は、駆動部32のモータケース41における第1の方向Xの他端部に連続して形成されて、基板35の少なくとも一部を臨む。電池装着部34は、略四角形状に開口した凹部である。カートリッジ本体7とポンプ本体8とを結合した際に、電池装着部34には、カートリッジ本体7に設けられた電池19及び電池収納部12が装着される(
図10参照)。
【0054】
[電池装着部]
電池装着部34は、第1壁面部51と、第2壁面部52と、2つの側面部53、53とを有している。第1壁面部51、第2壁面部52及び2つの側面部53、53は、基板35から第3の方向Zに沿って立設している。
【0055】
第1壁面部51は、電池装着部34の第1の方向Xの一端部においてモータケース41と一体に形成されている。第2壁面部52は、電池装着部34の第1の方向Xの他端部に配置され、第1壁面部51と第1の方向Xで対向している。また、電池19を電池装着部34に装着した際に、第1壁面部51は、電池19の負極缶19bと第1の方向Xで対向し、第2壁面部52は、電池19の正極缶19aと第1の方向Xで対向する。
【0056】
2つの側面部53、53は、第1壁面部51と第2壁面部52の第2の方向Yの両端部に形成されている。そして、2つの側面部53、53は、第1の方向Xと略平行に延在し、第1壁面部51と第2壁面部52を連結する。
【0057】
第1壁面部51における第3の方向Zの一端部、すなわち基板35と反対側の端部には、防護突部の一例を示す第1庇部55が形成されている。第1庇部55は、第1壁面部51の一端部から第2壁面部52、すなわち第1の方向Xの他側に向けて略垂直に突出している。
【0058】
第2壁面部52における第3の方向Zの一端部、すなわち基板35と反対側の端部には、防護突部の一例を示す第2庇部56が形成されている。第2庇部56は、第2壁面部52の一端部から第1壁面部51、すなわち第1の方向Xの一側に向けて略垂直に突出している。なお、第2庇部56における第1の方向Xの長さ(以下、「突出量」という)は、第1庇部55の突出量よりも小さく設定されている。突起57の突出方向は、基板35へ向かって傾斜して配置されることが好ましい。これにより、接触時に荷重が分散し、突起57が破損しにくくなるという効果が得られる。
【0059】
また、第2壁面部52には、防護突部の一例を示す突起57が形成されている。突起57は、第2壁面部52における第3の方向Zの一端部に形成されている。なお、突起57は、第2庇部56よりも第3の方向Zの他側に形成されている。そして、突起57は、第2壁面部52における第2の方向Yの中間部から第1の方向Xの一側に向けて突出している。突起57の突出量は、第1庇部55及び第2庇部56の突出量よりも大きく設定されている。
【0060】
また、突起57は、第2の方向Yから見た形状が略台形状に形成されている。なお、突起57の形状は、略台形状に限定されるものではなく、三角形状や半円状等その他各種の形状に形成してもよい。
【0061】
すなわち、突起57は、第1の方向Xにおける断面形状が、第2壁面部52と接する面の長さが突出側の面の長さよりも長くなっている略台形状、又は、底辺が第2壁面部52と接する略三角形状等の形状となっている。このような形状によって、突起57に対して、主に第1の方向X又は第3の方向Zから力が加わった場合でも、突起57が破損しにくく安定であり、強度が高くなるという利点があることから好ましい。さらに、突起57の第1の方向Xにおける断面形状がこのような台形状、三角形状である円錐等の立体形状の場合、突起57が第2壁面部52と接する面積が大きくなり、第2の方向Yから力が加わった場合においても突起57の強度が高くなるため、より好ましい。なお、突起57の形状は、成型性やコストも考慮して適宜設定される。
【0062】
また、電池装着部34は、基板35に接続される第1接続端子61と、第2接続端子62とを有している。第1接続端子61は、第1壁面部51に配置され、第2接続端子62は、第2壁面部52に配置される。そして、第1接続端子61は、電池19の負極缶19bに接続し、第2接続端子62は、電池19の正極缶19aに接続される。また、第1接続端子61及び第2接続端子62は、同一の構成を有している。
【0063】
[接続端子]
図7は、第1接続端子61及び第2接続端子62を示す斜視図である。
図7に示すように、第1接続端子61及び第2接続端子62は、接点部64と、2つの弾性部65、65と、2つの脚部66、66とを有している。接点部64は、略U字状に形成されている。接点部64の端部には、弾性部65が連続している。弾性部65は、例えば、ねじりばねにより構成されている。そして、弾性部65における接点部64とは反対側の端部には、脚部66が連続する。また、接点部64は、弾性部65を介して脚部66から略垂直に屈曲している。さらに、脚部66における弾性部65が設けられた端部とは反対側の端部が基板35に接続される。
【0064】
本例の薬液投与装置1では、カートリッジ本体7とポンプ本体8との結合に伴って、電池19及び電池収納部12は電池装着部34への着脱を繰り返すことになる。長時間使用時には、端子部分に変形を引き起こしやすく、接続不良により通電しない等の故障のおそれがある。これに対して、本例の薬液投与装置1では、上述したねじりばねを使用した第1接続端子61及び第2接続端子62を適用している。このねじりばねを使用した第1接続端子61及び第2接続端子62によれば、弾性部65を有するため、柔軟性が高く、着脱を繰り返す使用条件であっても変形しにくいため、長時間使用する場合でも機能を維持することができる。
【0065】
すなわち、カートリッジ本体7とポンプ本体8との結合時には、接点部64が電池19の正極缶19a及び負極缶19bと適切に接触し、接点部64において電池19との接触圧を維持して通電し、電池19及び電池収納部12を小さい力で電池装着部34から取り外すことを繰り返すことができる。このため、別のカートリッジ本体7をポンプ本体8に結合して、ポンプ本体8を長期間の再使用が可能となり、治療の低価格が実現する。
【0066】
なお、本例の第1接続端子61及び第2接続端子62では、弾性部65としてねじりばねを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、板ばね等その他各種の弾性部材を適用できるものである。
【0067】
図6に示すように、第1接続端子61及び第2接続端子62は、脚部66が基板35に接続される。そして、脚部66は、第3の方向Zに沿って立設される。そのため、第1接続端子61の脚部66は、第1壁面部51に沿って第1庇部55に向けて立設する。第2接続端子62の脚部66は、第2壁面部52に沿って第2庇部56に向けて立設する。
【0068】
第1接続端子61の弾性部65は、第1庇部55よりも第3の方向Zの他端部側に配置される。すなわち、第1庇部55は、弾性部65よりも基板35から離れた位置に配置される。また、第2接続端子62の弾性部65は、第2庇部56よりも第3の方向Zの他端部側に配置される。すなわち、第1庇部55及び第2庇部56は、弾性部65よりも基板35から離れた位置に配置される。そして、第1接続端子61の弾性部65及び脚部66は、第1庇部55によって覆われる。
【0069】
また、第2接続端子62の弾性部65は、第2庇部56によって少なくとも一部が覆われる。なお、第2庇部56は、第2接続端子62における脚部66よりも第1の方向Xの一側に向けて突出している。そのため、第2接続端子62の脚部66は、弾性部65を介して第2庇部56によって覆われる。
【0070】
また、第1接続端子61の接点部64は、第1壁面部51から離反する向き、すなわち第1の方向Xの他側に向けて突出する。これに対して、第2接続端子62の接点部64は、第2壁面部52から離反する向き、すなわち第1の方向Xの一側に向けて突出する。
【0071】
また、
図5に示すように、第2接続端子62の接点部64における弾性部65側の両端部の間には、突起57が配置される。
図6に示すように、突起57は、第3の方向Zにおいて弾性部65と略同じ位置、又は基板35から離れた位置に設けられている。そして、突起57は、第2接続端子62の弾性部65よりも第1の方向Xの一側に向けて突出している。
【0072】
2.カートリッジ本体とポンプ本体との結合動作例
次に、上述した構成を有するカートリッジ本体7とポンプ本体8との結合動作例について
図8~
図10を参照して説明する。
図8は、カートリッジ本体7とポンプ本体8とを結合する状態を示す斜視図、
図9は、
図8に示す断面図である。
【0073】
本例では、カートリッジ本体7とポンプ本体8が正しく結合した後に、通電及び駆動が可能となる。カートリッジ本体7及びポンプ本体8はいずれも結合面に凹凸があり、結合時は位置がずれやすいため、結合失敗による動作不良や意図しない接触による破損のおそれがある。これに対して、
図8に示すように、まず、ポンプ本体8の係合受部31cにカートリッジ本体7の係合部を係合させる。そして、筐体11とケース31が第3の方向Zで重なるように、筐体11又はケース31を、係合受部31cと係合部を回動中心として回動させる。このように、先に結合部を係合させてから全体を結合する方法により、結合位置がずれにくくなり、動作不良や破損を低減させることができる。
【0074】
さらに、
図9に示すように、電池19を収納する電池収納部12がケース31に設けた電池装着部34に接近する。ここで、電池収納部12に対する電池19の収納位置のズレや、筐体11とケース31の結合動作のズレ等により、電池19又は電池収納部12が第1接続端子61又は第2接続端子62の弾性部65に当接するおそれがある。そして、弾性部65に電池19又は電池収納部12が当接することで、脚部66に荷重が加わり、脚部66が破損や変形するおそれがあった。
【0075】
これに対して、本例の電池装着部34には、弾性部65及び脚部66を覆う第1庇部55及び第2庇部56が設けられている。そのため、電池19の収納位置のズレや、筐体11又はケース31の結合動作のズレ等が発生しても、第1庇部55及び第2庇部56によって電池19又は電池収納部12が弾性部65に当接することを防ぐことができる。
【0076】
また、本例の薬液投与装置1に電源として用いたボタン電池は、特に正極缶19aの端面が軸方向の外側に向けて膨らむおそれがある。そして、正極缶19aが膨らんだ状態の電池19を用いた場合、正極缶19aと接続される第2接続端子62が配置された第2壁面部52の第2庇部56に電池19が引っ掛かるおそれがあった。
【0077】
そのため、第2庇部56は、その突出量が第1庇部55の突出量よりも小さく設定されており、第2接続端子62の弾性部65の一部のみを覆っている。これにより、電池19が第2庇部56に引っ掛かることを抑制でき、電池19と第1接続端子61及び第2接続端子62との接続が阻害されることを防ぐことができる。なお、上述したように、第2庇部56の突出量は、少なくとも弾性部65を介して脚部66を覆うことが可能な長さに設定されている。そのため、第2接続端子62の脚部66に荷重が加わり、脚部66が破損したり変形したりすることを防ぐことができる。
【0078】
なお、第2庇部56は、第1庇部55よりもその突出量が小さいため、電池19の収納位置が第1の方向Xの他側にずれている場合には、電池19が弾性部65に接触するおそれがある。これに対して、本例の電池装着部34には、第2庇部56が設けられた第2壁面部52に突起57を設けている。
【0079】
これにより、電池19の収納位置が第1の方向Xの他側にずれている場合には、第2壁面部52に設けた突起57が電池19の正極缶19aに当接する。そして、突起57によって電池19は、第1の方向Xの一側に押圧される。そのため、突起57によって、電池19における電池収納部12に対する収納位置を矯正することができる。これにより、電池19の収納位置のズレによって電池19が、第2接続端子62の弾性部65に接触することを防ぐことができる。第2庇部56及び突起57の突出量を小さくすることにより、電池19の接続を阻害の防止と、ポンプ本体8の軽量化の両立が可能となる。
【0080】
また、電池19の膨らみが発生し易い正極缶19a側に突起57を設けたことで、結合動作時及び結合時に、膨らみが発生した電池19の正極缶19aが弾性部65に接触することを突起57で防ぐことができる。
【0081】
さらに、電池19の収納位置のズレ量や、筐体11とケース31の結合動作のズレ量が大きい場合には、電池19が突起57に当接し、第1接続端子61及び第2接続端子62が電池19と当接する前に、筐体11とケース31の結合動作が規制される。これにより、電池19の収納位置や、筐体11とケース31の結合動作を修正してから、再び正常な状態で、結合動作を行うことができ、第1接続端子61及び第2接続端子62が破損や変形することを防ぐことができる。
【0082】
次に、筐体11又はケース31をさらに回動させると、電池19が第1接続端子61及び第2接続端子62の接点部64に接触する。電池19との接触を確実に行うため、接点部64は、電池19との接触圧を高めて接続を確実に行うために、弾性部65からの突出量が長く設定されている。なお、接点部64の突出量を長くすると、電池19を電池装着部34に装着する際に、第1接続端子61の接点部64が電池19の正極缶19aと負極缶19bに同時に接触するおそれが高くなる。
【0083】
これに対して、本例の電池収納部12には、電池19の正極缶19aと負極缶19bとの境界部19cを覆う短絡防止枠25を設けている。この短絡防止枠25により、接点部64が電池19の境界部19cに接触することを防ぐことができる。また、電池収納部12は、絶縁性を有する部材により構成されているため、短絡防止枠25に接点部64が接触しても、短絡が発生することを防ぐことができる。
【0084】
なお、短絡防止枠25は、電池19を収納する電池収納部12に一体に形成されている。そのため、新たに短絡防止部材を電池19に設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができ、作業工数の削減とカートリッジ本体7の軽量化が可能となる。また、電池収納部12をこのような構成とすることで、電池19との接触圧を維持すると同時に、接合時の短絡防止を可能とする。また、軽量化と同時に、電池19が膨らむ危険性に対しても、電池収納部12が電池19を保持するための強度を維持することが可能となる。つまり、軽くて、長期間使用しても安全な薬液投与装置1を提供できる。
【0085】
そして、筐体11又はケース31をさらに回動させると、
図10に示すように、電池19及び電池収納部12は、電池装着部34に装着される。このとき、第1接続端子61及び第2接続端子62の接点部64が電池19及び電池収納部12によって押圧され、接点部64は、弾性部65の弾性力に抗して回動する。
【0086】
そして、第1接続端子61の接点部64は、電池収納部12の第1接続窓21aに挿入されて、電池19の負極缶19bに接触する。また、第2接続端子62の接点部64は、電池収納部12の第2接続窓22aに挿入されて、電池19の正極缶19aに接触する。これにより、電池19が第1接続端子61及び第2接続端子62を介して基板35に電気的に接続され、駆動部32の駆動モータ42に電力が供給される。また、伝達機構33(
図5参照)のギアがカートリッジ本体7に設けた操作歯車17a(
図2参照)と歯合する。その結果、カートリッジ本体7とポンプ本体8との結合動作が完了する。
【0087】
以上、本発明の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の薬液投与装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0088】
なお、上述した実施の形態例では、電池装着部34に庇部55、56と、突起57の2つの防護突部を設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。防護突部として、庇部55、56又は突起57のいずれか一方のみを電池装着部34に設けてもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態例では、短絡防止部材を短絡防止枠25として第1支持面部21と一体に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。短絡防止部材としては、例えば、電池19の境界部19cに絶縁性を有するシート、フィルムやゴム等を貼り付けてもよい。
【0090】
さらに、第1部材としてカートリッジ本体7を適用し、第2部材としてポンプ本体8を適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、第1部材としてポンプ本体8を適用し、第2部材としてカートリッジ本体7を適用してもよい。
【0091】
また、第1部材と第2部材との結合方法としては、係合受部31cと係合部とを係合させて、第1部材又は第2部材を回動させる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1部材と第2部材を第3の方向Zに沿って接近させることで、第1部材と第2部材とを結合させてもよい。
【0092】
上述した実施の形態例では、薬液投与装置としてインスリンを投与するインスリンポンプを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。投与する薬液としては、鎮痛薬、抗癌治療薬、HIV薬、鉄キレート薬、肺高血圧症治療薬等のその他各種の薬液を用いてもよい。
【0093】
また、上述した実施の形態例では、電子機器として薬液投与装置を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。電子機器としては、第1部材に電池が収納され、第2部材に第1部材と結合した際に電池と接続される接続端子を有するものであればよく、例えば、血糖計や、血圧計等その他各種の電子機器に適用されるものである。
【符号の説明】
【0094】
1…薬液投与装置(電子機器)、 2…薬液投与部、 3…クレードル装置、 7…カートリッジ本体(第1部材)、 8…ポンプ本体(第2部材)、 11…筐体、 12…電池収納部、 13…薬液貯蔵部、 14…押し子部材、 16…送液配管、 17…押し子操作部、 19…電池、 19a…正極缶、 19b…負極缶、 19c…境界部、 21…第1支持面部、 21a…第1接続窓、 22…第2支持面部、 22a…第2接続窓、 23…下部連結枠、 24…上部連結枠、 25…短絡防止枠(短絡防止部材)、 31…ケース、 31c…係合受部、 32…駆動部、 33…伝達機構、 34…電池装着部、 35…基板、 41…モータケース、 42…駆動モータ、 51…第1壁面部、 52…第2壁面部、 53…側面部、 55…第1庇部(防護突部)、 56…第2庇部(防護突部)、 57…突起(防護突部)、 61…第1接続端子、 62…第2接続端子、 64…接点部、 65…弾性部、 66…脚部