(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】広告制御装置及び広告制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220112BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
(21)【出願番号】P 2018149344
(22)【出願日】2018-08-08
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】竹森 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】溝口 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】本間 輝彰
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-098598(JP,A)
【文献】特開2014-174883(JP,A)
【文献】特開2013-161360(JP,A)
【文献】特開2014-199589(JP,A)
【文献】特開2015-102986(JP,A)
【文献】特開2018-028729(JP,A)
【文献】特開2014-149633(JP,A)
【文献】特開2016-157178(JP,A)
【文献】特開2014-170451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間内においてデジタルサイネージから所定範囲内に存在する複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報を取得する識別情報取得部と、
ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報で識別されるユーザの属性を示す属性情報とを関連付けて記憶する属性情報データベースを参照して、前記識別情報取得部が取得した複数のユーザ識別情報のそれぞれに関連付けられた前記属性情報のうち、関連付けられているユーザ識別情報が相対的に多い属性情報を
複数取得する属性情報取得部と、
属性情報と広告種別とを関連付けて記憶する広告種別データベースを参照して、前記属性情報取得部が取得した属性情報に関連付けられた広告種別を決定する広告種別決定部と、
前記広告種別決定部が決定した前記広告種別に対応する広告コンテンツを前記デジタルサイネージに出力させる出力制御部と、
を備え
、
前記出力制御部は、前記広告種別に関連付けられた属性情報に関連付けられているユーザ識別情報の数が多いほど、前記広告種別に対応する広告コンテンツの単位時間当たりの前記デジタルサイネージへの表示回数を多くする広告制御装置。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記属性情報取得部が取得した複数の属性情報のうち、当該属性情報に関連付けられているユーザ識別情報の数が多い属性情報に対応する広告コンテンツほど、前記デジタルサイネージへの表示時間を長くする、
請求項1に記載の広告制御装置。
【請求項3】
前記属性情報取得部は、前記識別情報取得部が取得した複数のユーザ識別情報のそれぞれに関連付けられた前記属性情報のうち、関連付けられているユーザ識別情報が所定数以下の属性情報を取得しないように制御する、
請求項1
又は2に記載の広告制御装置。
【請求項4】
前記属性情報取得部は、前記識別情報取得部が取得したユーザ識別情報の数が第2閾値以上の場合には、関連付けられているユーザ識別情報の数が所定数以下の属性情報であっても取得する、
請求項
3に記載の広告制御装置。
【請求項5】
前記出力制御部は、前記属性情報取得部が前記属性情報を取得できなかった場合には、予め定められている広告コンテンツを出力させる、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の広告制御装置。
【請求項6】
前記属性情報取得部は、所定数のユーザを個別に識別できない前記属性情報を記憶する属性情報データベースを参照して、前記属性情報を取得する、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の広告制御装置。
【請求項7】
前記属性情報取得部は、所定の条件に基づいて重み付けがされた前記属性情報を記憶する属性情報データベースを参照し、相対的に重みが大きい前記属性情報を取得する、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の広告制御装置。
【請求項8】
前記属性情報取得部は、関連付けられているユーザの前記広告コンテンツの閲覧回数に基づいて重み付けがされた前記属性情報を記憶する属性情報データベースを参照し、相対的に重みが大きい前記属性情報を取得する、
請求項
7に記載の広告制御装置。
【請求項9】
前記属性情報取得部は、関連する前記広告コンテンツの広告料に基づいて重み付けがされた前記属性情報を記憶する属性情報データベースを参照し、相対的に重みが大きい前記属性情報を取得する、
請求項
7又は8に記載の広告制御装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
所定期間内においてデジタルサイネージから所定範囲内に存在する複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報を取得するステップと、
ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報で識別されるユーザの属性を示す属性情報とを関連付けて記憶する属性情報データベースを参照して、取得された複数のユーザ識別情報のそれぞれに関連付けられた前記属性情報のうち、関連付けられているユーザ識別情報が相対的に多い属性情報を
複数取得するステップと、
属性情報と広告種別とを関連付けて記憶する広告種別データベースを参照して、取得された属性情報に関連付けられた広告種別を決定するステップと、
決定された前記広告種別に対応する広告コンテンツを
、前記広告種別に関連付けられた属性情報に関連付けられているユーザ識別情報の数が多いほど、単位時間当たりの表示回数を多くして前記デジタルサイネージに
表示させるステップと、
を備える広告制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告制御装置及び広告制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルサイネージの近くの端末から、当該端末のユーザの嗜好を示す情報を受信することにより嗜好を特定し、当該嗜好に対応する広告コンテンツを表示するデジタルサイネージが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタルサイネージには、端末のユーザの嗜好に対応する広告コンテンツが表示されるため、当該ユーザに対して効果的である。しかしながら、デジタルサイネージの近くに多くの端末が存在する場合に1人のユーザに対応する広告が表示されると、広告の効果が限定的となってしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、デジタルサイネージの広告の効果を高めることができる広告制御装置及び広告制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る広告制御装置は、所定期間内においてデジタルサイネージから所定範囲内に存在する複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報を取得する識別情報取得部と、ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報で識別されるユーザの属性を示す属性情報とを関連付けて記憶する属性情報データベースを参照して、前記識別情報取得部が取得した複数のユーザ識別情報のそれぞれに関連付けられた前記属性情報のうち、関連付けられているユーザ識別情報が相対的に多い属性情報を取得する属性情報取得部と、属性情報と広告種別とを関連付けて記憶する広告種別データベースを参照して、前記属性情報取得部が取得した属性情報に関連付けられた広告種別を決定する広告種別決定部と、前記広告種別決定部が決定した前記広告種別に対応する広告コンテンツを前記デジタルサイネージに出力させる出力制御部と、を備える。
【0007】
前記属性情報取得部は、前記識別情報取得部が取得した複数のユーザ識別情報のそれぞれに関連付けられた前記属性情報のうち、関連付けられているユーザ識別情報が相対的に多い属性情報を複数取得してもよい。
【0008】
前記出力制御部は、前記属性情報取得部が取得した複数の属性情報のうち、当該属性情報に関連付けられているユーザ識別情報の数に基づいて、当該属性情報に対応する広告コンテンツの前記デジタルサイネージへの表示時間を変化させてもよい。
【0009】
前記出力制御部は、前記属性情報取得部が取得した複数の属性情報のうち、当該属性情報に関連付けられているユーザ識別情報の数に基づいて、当該属性情報に対応する広告コンテンツの前記デジタルサイネージへの表示回数を変化させてもよい。
【0010】
前記属性情報取得部は、前記識別情報取得部が取得した複数のユーザ識別情報のそれぞれに関連付けられた前記属性情報のうち、関連付けられているユーザ識別情報が所定数以下の属性情報を取得しないように制御してもよい。
【0011】
前記属性情報取得部は、前記識別情報取得部が取得したユーザ識別情報の数が第2閾値以上の場合には、関連付けられているユーザ識別情報の数が所定数以下の属性情報であっても取得してもよい。
【0012】
前記出力制御部は、前記属性情報取得部が前記属性情報を取得できなかった場合には、予め定められている広告コンテンツを出力させてもよい。
前記属性情報取得部は、所定数のユーザを個別に識別できない前記属性情報を記憶する属性情報データベースを参照して、前記属性情報を取得してもよい。
前記属性情報取得部は、所定の条件に基づいて重み付けがされた前記属性情報を記憶する属性情報データベースを参照し、相対的に重みが大きい前記属性情報を取得してもよい。
【0013】
前記属性情報取得部は、関連付けられているユーザの前記広告コンテンツの閲覧回数に基づいて重み付けがされた前記属性情報を記憶する属性情報データベースを参照し、相対的に重みが大きい前記属性情報を取得してもよい。
【0014】
前記属性情報取得部は、関連する前記広告コンテンツの広告料に基づいて重み付けがされた前記属性情報を記憶する属性情報データベースを参照し、相対的に重みが大きい前記属性情報を取得してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る広告制御方法は、コンピュータが実行する、所定期間内においてデジタルサイネージから所定範囲内に存在する複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報を取得するステップと、ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報で識別されるユーザの属性を示す属性情報とを関連付けて記憶する属性情報データベースを参照して、取得された複数のユーザ識別情報のそれぞれに関連付けられた前記属性情報のうち、関連付けられているユーザ識別情報が相対的に多い属性情報を取得するステップと、属性情報と広告種別とを関連付けて記憶する広告種別データベースを参照して、取得された属性情報に関連付けられた広告種別を決定するステップと、決定された前記広告種別に対応する広告コンテンツを前記デジタルサイネージに出力させるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、デジタルサイネージの広告の効果を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る広告制御システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るデジタルサイネージの構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る広告制御装置の構成を示す図である。
【
図4】属性情報DBに記憶されている情報の一例を示す図である。
【
図5】広告種別DBに記憶されている情報の一例を示す図である。
【
図6】属性情報DBに格納されている属性情報に、重み値が関連付けられている例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る広告制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[広告制御システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る広告制御システムSの概要を示す図である。広告制御システムSは、デジタルサイネージ1と、広告制御装置2と、複数のユーザUのそれぞれが所持する端末3とを備え、デジタルサイネージ1に広告コンテンツを表示させるシステムである。
【0019】
デジタルサイネージ1は、例えば、駅の通路や公共の施設内に設置されており、広告制御装置2の制御に従って広告コンテンツを表示する。デジタルサイネージ1は、広告制御装置2及び端末3と通信可能である。広告制御装置2は、デジタルサイネージ1と通信可能であり、デジタルサイネージ1から所定範囲内に存在するユーザに対応する広告コンテンツをデジタルサイネージ1に出力させるコンピュータである。
【0020】
本実施形態において、広告制御装置2は、所定期間内においてデジタルサイネージ1から所定範囲内に存在する一以上のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報としてのユーザIDを取得する(
図1の(1))。
【0021】
広告制御装置2は、ユーザIDと、ユーザの属性を示す属性情報とを関連付けて記憶する属性情報データベース(以下、属性情報DBという。)221を参照し、取得した一以上のユーザIDのそれぞれに関連付けられた属性情報のうち、関連付けられているユーザIDが相対的に多い属性情報を取得する(
図1の(2))。
【0022】
広告制御装置2は、属性情報と、広告の種別を示す広告種別とを関連付けて記憶する広告種別データベース(以下、広告種別DBという。)222を参照し、取得した属性情報に関連付けられた広告種別を決定する(
図1の(3))。広告制御装置2は、決定した広告種別に対応する広告コンテンツをデジタルサイネージ1に出力させる出力制御を行う(
図1の(4))。
【0023】
このようにすることで、広告制御装置2は、デジタルサイネージ1から所定範囲内に存在する一以上のユーザのうち、相対的に多くのユーザが興味を示す可能性が高い広告コンテンツをデジタルサイネージ1に表示させることができる。したがって、広告制御装置2は、デジタルサイネージ1の広告の効果を高めることができる。
【0024】
[デジタルサイネージ1の構成]
続いて、デジタルサイネージ1の構成を説明する。
図2は、本実施形態に係るデジタルサイネージ1の構成を示す図である。
図2に示すように、デジタルサイネージ1は、通信部11と、近距離無線通信部12と、表示部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0025】
通信部11は、広告制御装置2と情報を送受信するための通信インターフェースである。
近距離無線通信部12は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信方式により無線通信を行う。近距離無線通信部12は、端末3と近距離無線通信を行う。なお、近距離無線通信部12は、上述した近距離無線通信方式に限らず、他の近距離無線通信方式によって無線通信を行ってもよい。
【0026】
表示部13は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、制御部15の制御に応じて広告コンテンツを表示する。
記憶部14は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部14は、デジタルサイネージ1を、識別情報取得部151、識別情報送信部152、表示指示受付部153、及び表示制御部154として機能させる広告表示プログラムを記憶している。また、記憶部14は、複数の広告コンテンツと、当該広告コンテンツの広告種別とを関連付けて記憶する。
【0027】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶された広告表示プログラムを実行することにより、識別情報取得部151、識別情報送信部152、表示指示受付部153、及び表示制御部154として機能する。
【0028】
識別情報取得部151は、近距離無線通信部12を介して、デジタルサイネージ1から所定範囲に存在する一以上のユーザUのそれぞれが所持する端末3から、ユーザIDを取得する。例えば、ユーザUが所持する端末3では、ユーザIDを送信するためのID送信用アプリケーションが実行されている。識別情報取得部151は、所定時間おきに、ユーザIDの送信を要求するためのビーコン信号を近距離無線通信部12に発信させる。ユーザUが所持する端末3は、ビーコン信号を受信したことに応じて、ユーザIDをデジタルサイネージ1に送信する。これにより、識別情報取得部151は、デジタルサイネージ1から所定範囲に存在するユーザUが所持する端末3から、ユーザIDを取得することができる。
【0029】
なお、端末3において実行されているID送信用アプリケーションは、当該アプリケーションのプライバシーポリシー画面やヘルプ画面を介して、ユーザUから、ユーザIDの発信を許可するか否かの選択操作を受け付けてもよい。そして、端末3は、ユーザIDの発信を許可する操作を受け付けている場合に、ユーザIDを発信してもよい。
【0030】
識別情報送信部152は、通信部11を介して、識別情報取得部151が取得したユーザIDを広告制御装置2に送信する。
表示指示受付部153は、広告制御装置2から、広告種別を含み、当該広告種別に対応する広告コンテンツの表示部13への表示を指示する広告表示指示を受け付ける。
表示制御部154は、表示指示受付部153が広告表示指示を受け付けると、広告コンテンツを表示部13に表示させる。具体的には、表示制御部154は、記憶部14を参照し、表示指示受付部153が受け付けた広告表示指示に含まれている広告種別に関連付けられている広告コンテンツを特定する。表示制御部154は、例えば、表示指示受付部153が新たに広告表示指示を受け付けるまで、特定した広告コンテンツを表示部13に表示させる。
【0031】
[広告制御装置2の構成]
続いて、広告制御装置2の構成を説明する。
図3は、本実施形態に係る広告制御装置2の構成を示す図である。
図3に示すように、広告制御装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0032】
通信部21は、デジタルサイネージ1と情報を送受信するための通信インターフェースである。
記憶部22は、ROM及びRAM等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部22は、広告制御装置2を、識別情報取得部231、属性情報取得部232、広告種別決定部233、及び出力制御部234として機能させる広告制御プログラムを記憶している。
【0033】
また、記憶部22は、属性情報DB221を記憶する。属性情報DB221は、ユーザIDと、当該ユーザIDで識別されるユーザの属性とを関連付けて記憶する。
図4は、属性情報DB221に記憶されている情報の一例を示す図である。
図4に示すように、属性情報DB221は、ユーザIDと、属性情報としての趣味・趣向とが関連付けて記憶していることが確認できる。なお、属性情報には、性別、年齢、居住している地域を示す地域情報や、職種といった情報が含まれていてもよい。
【0034】
属性情報DB221は、例えば、属性情報として格納される情報を、複数の属性が含まれる属性情報に上位概念化することにより、所定数のユーザを個別に識別できないK匿名化を行ったデータベースである。所定数は、デジタルサイネージ1の前に存在すると予測されるユーザの数に基づいて予め定められてもよく、例えば、当該ユーザの数の所定の割合に対応する数である。なお、所定数は、例えば、3未満の数であってもよい。K匿名化を行った属性情報DB221を参照することにより、広告制御装置2は、ごく少数のユーザの属性情報に対応する広告種別の広告コンテンツがデジタルサイネージ1に表示され、ごく少数のユーザの趣向等の属性情報が他のユーザに知られてしまうことを防止することができる。
【0035】
記憶部22は、広告種別DB222を記憶する。広告種別DB222は、属性情報と広告種別とを関連付けて記憶するデータベースである。
図5は、広告種別DB222に記憶されている情報の一例を示す図である。
図5に示すように、広告種別DB222は、属性情報と、広告種別とが関連付けて記憶していることが確認できる。ここで、広告種別DB222には、1つの属性情報と、1つの広告種別とを関連付けて記憶することとしたが、これに限らず、複数の属性情報を組み合わせたものと、1つの広告種別とを関連付けて記憶してもよい。
【0036】
なお、属性情報DB221及び広告種別DB222は、広告制御装置2が記憶するものとしたが、これに限らない。属性情報DB221及び広告種別DB222は、広告制御装置2とは異なる外部装置が記憶してもよい。
【0037】
制御部23は、例えばCPUである。制御部23は、記憶部22に記憶された広告制御プログラムを実行することにより、識別情報取得部231、属性情報取得部232、広告種別決定部233、及び出力制御部234として機能する。
【0038】
識別情報取得部231は、所定期間内においてデジタルサイネージ1から所定範囲内に存在する一以上のユーザのそれぞれを識別するためのユーザIDを取得する。具体的には、識別情報取得部231は、計時を開始してから所定期間が経過するまでの間、デジタルサイネージ1が端末3から取得したユーザIDを、通信部21を介してデジタルサイネージ1から受信する。これにより、識別情報取得部231は、デジタルサイネージ1から所定範囲内に存在する一以上のユーザのそれぞれを識別するためのユーザIDを取得する。
【0039】
属性情報取得部232は、記憶部22に記憶されている属性情報DB221を参照し、識別情報取得部231が所定期間内に取得した一以上のユーザIDのそれぞれに関連付けられた属性情報のうち、関連付けられているユーザIDが相対的に多い属性情報を取得する。
【0040】
具体的には、属性情報取得部232は、デジタルサイネージ1に、複数の広告コンテンツを切り替えて表示するために、属性情報DB221を参照し、識別情報取得部231が取得した一以上のユーザIDのそれぞれに関連付けられた属性情報のうち、関連付けられているユーザIDが相対的に多い属性情報を複数取得する。
【0041】
例えば、識別情報取得部231により取得されたユーザIDの個数が20個であり、取得されたユーザIDに関連付けられている属性情報が、「酒」、「化粧品」、「スポーツ」、「旅行」であったとする。そして、属性情報「酒」に関連付けられているユーザIDの数が8、「化粧品」に関連付けられているユーザIDの数が3、「スポーツ」に関連付けられているユーザIDの数が2、「旅行」に関連付けられているユーザIDの数が7であったとする。この場合、属性情報取得部232は、関連付けられているユーザIDの数が相対的に多い属性情報として、3つの属性情報「酒」、「旅行」、「化粧品」を取得する。
【0042】
ここで、属性情報取得部232は、識別情報取得部231が取得した一以上のユーザIDのそれぞれに関連付けられた属性情報のうち、関連付けられているユーザIDが所定数以下の属性情報を取得しないように制御してもよい。例えば、所定数が3である場合、属性情報取得部232は、属性情報「酒」、「旅行」を取得し、属性情報「化粧品」を取得しないように制御する。このようにすることで、広告制御装置2は、例えば、「化粧品」に対応する広告コンテンツがデジタルサイネージ1に表示された場合に、付近を歩行するユーザUの容姿等により、「化粧品」を趣味・趣向としているユーザUをターゲットとして広告コンテンツが表示されていることが特定されてしまうことを抑制することができる。
【0043】
また、デジタルサイネージ1から所定範囲に存在しているユーザUの数が非常に多く、混雑している場合には、どのユーザUをターゲットとして広告コンテンツがデジタルサイネージ1に表示されているかを特定しづらい状況となる。そこで、属性情報取得部232は、識別情報取得部231が取得したユーザIDの数が第2閾値以上の場合には、関連付けられているユーザIDの数が所定数以下の属性情報であっても取得してもよい。
【0044】
例えば、所定数が3、第2閾値が20であったとする。そして、識別情報取得部231により取得されたユーザIDの個数が25個であり、取得されたユーザIDに関連付けられている属性情報が、「酒」、「化粧品」、「スポーツ」、「旅行」、「アウトドア」であったとする。そして、属性情報「酒」、「化粧品」、「スポーツ」、「旅行」、「アウトドア」に関連付けられているユーザIDの数が、それぞれ、12、2、2、6、3であったとする。この場合、属性情報取得部232は、関連付けられているユーザIDの数が相対的に多い属性情報として、2つの属性情報「酒」、「旅行」を取得するとともに、関連付けられているユーザIDの数が所定数以下の属性情報「アウトドア」も取得する。このようにすることで、広告制御装置2は、広告コンテンツに対応するユーザUが特定してしまう可能性を軽減することができる。
【0045】
なお、属性情報DB221に格納されている属性情報は、所定の条件に基づいて重み付けがされていてもよい。
図6は、属性情報DB221に格納されている属性情報に、重み値が関連付けられている例を示す図である。例えば、属性情報DB221に格納されている属性情報は、広告コンテンツの閲覧回数、又は関連する広告コンテンツの広告料に基づいて重み付けがされる。そして、
図6に示すように、属性情報に対して、重み付けの度合いを示す重み値が関連付けられる。
【0046】
図6は、広告コンテンツの広告料に基づいて重み値が関連付けられた例を示している。例えば、属性情報「化粧品」に関連する広告コンテンツの広告料が他の属性情報に関連する広告コンテンツの広告料に比べて高い場合、
図6に示されるように、属性情報「化粧品」に関連する重み値が、他の属性情報に関連する重み値に比べて相対的に高いことが確認できる。
【0047】
属性情報取得部232は、属性情報DB221を参照し、関連付けられているユーザIDが相対的に多く、相対的に重みが大きい属性情報を取得する。例えば、属性情報取得部232は、関連付けられているユーザIDの数を属性情報のスコアとして算出する。そして、属性情報取得部232は、算出したスコアに、属性情報に関連付けられている重み値を乗算することにより、属性情報のスコアを補正する。属性情報取得部232は、補正後のスコアが高い順に複数の属性情報を取得する。このようにすることで、広告制御装置2は、所定の条件に基づいて属性情報の取得順位を変更することができる。
【0048】
広告種別決定部233は、記憶部22に記憶されている広告種別DB222を参照して、属性情報取得部232が取得した属性情報に関連付けられた広告種別を決定する。具体的には、広告種別決定部233は、広告種別DB222を参照し、属性情報取得部232が取得した複数の属性情報のそれぞれに関連付けられている広告種別を決定する。ここで、広告種別決定部233は、薬品に関する広告種別等の公共の場にふさわしくない所定の広告種別を決定しないように制御してもよい。
【0049】
出力制御部234は、広告種別決定部233が決定した広告種別に対応する広告コンテンツをデジタルサイネージ1に出力させる。例えば、出力制御部234は、広告種別決定部233が決定した複数の広告種別を含み、当該広告種別に対応する広告コンテンツの表示を指示する広告表示指示をデジタルサイネージ1に送信する。デジタルサイネージ1の表示制御部154は、表示指示受付部153が当該広告表示指示を受け付けると、当該広告表示指示に含まれている広告種別に対応する広告コンテンツを表示部13に表示させる。
【0050】
ここで、出力制御部234は、属性情報取得部232が取得した複数の属性情報のうち、当該属性情報に関連付けられているユーザIDの数に基づいて、当該属性情報に対応する広告コンテンツのデジタルサイネージ1への表示時間を変化させてもよい。例えば、出力制御部234は、複数の広告種別と、当該広告種別に対応する広告コンテンツの表示時間とを含む広告表示指示をデジタルサイネージ1に送信することにより、広告コンテンツのデジタルサイネージ1への表示時間を変化させる。
【0051】
この場合において、出力制御部234は、関連付けられているユーザIDの数が多い属性情報に対応する広告コンテンツほど表示時間が長くなるように、複数の広告コンテンツのそれぞれの表示時間を設定してもよい。このようにすることで、広告制御装置2は、デジタルサイネージ1の前に存在する多くのユーザUが興味を示す可能性が高い広告コンテンツを相対的に長く表示させることができるので、広告効果を高めることができる。
【0052】
また、出力制御部234は、属性情報取得部232が取得した複数の属性情報のうち、当該属性情報に関連付けられているユーザIDの数に基づいて、当該属性情報に対応する広告コンテンツのデジタルサイネージへの表示回数を変化させてもよい。例えば、出力制御部234は、複数の広告種別と、単位時間(例えば、5分)あたりにおける当該広告種別に対応する広告コンテンツの表示回数とを含む広告表示指示をデジタルサイネージ1に送信することにより、広告コンテンツのデジタルサイネージ1への表示回数を変化させる。
【0053】
この場合において、出力制御部234は、関連付けられているユーザIDの数が多い属性情報に対応する広告コンテンツほど表示回数が多くなるように、複数の広告コンテンツのそれぞれの表示回数を設定してもよい。このようにすることで、広告制御装置2は、デジタルサイネージ1の前に存在する多くのユーザが興味を示す可能性が高い広告コンテンツを相対的に多く表示させることができるので、広告効果を高めることができる。
【0054】
また、属性情報取得部232は、識別情報取得部231が取得したユーザIDの数が所定の閾値以下である場合、ユーザIDに関連付けられている属性情報を取得しなくてもよい。そして、出力制御部234は、属性情報取得部232が属性情報を取得しなかった場合には、予め定められている広告コンテンツをデジタルサイネージ1に出力させてもよい。予め定められている広告コンテンツは、例えば、デジタルサイネージ1の設置場所において閲覧される可能性が高い広告コンテンツや、広告料金が相対的に高い広告コンテンツである。このようにすることで、広告制御装置2は、デジタルサイネージ1から所定範囲内に存在するユーザUの数が少ない場合に、当該ユーザUに対応する広告コンテンツが表示され、当該ユーザUの趣味・趣向が他のユーザに把握されてしまうことを抑制するとともに、効果が高い広告をデジタルサイネージ1に表示させることができる。
【0055】
[広告制御装置2における処理の流れ]
続いて、広告制御装置2における処理の流れについて説明する。
図7は、本実施形態に係る広告制御装置2における処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートでは、属性情報取得部232が属性情報を取得できるものとして説明を行う。
【0056】
まず、識別情報取得部231は、計時を開始する(S1)。
続いて、識別情報取得部231は、デジタルサイネージ1が端末3から取得したユーザIDをデジタルサイネージ1から受信することにより、デジタルサイネージ1から所定範囲内に存在するユーザを識別するユーザIDを取得する(S2)。
【0057】
続いて、識別情報取得部231は、S1において計時を開始してから所定期間が経過したか否かを判定する(S3)。識別情報取得部231は、所定期間が経過したと判定すると、S4に処理を移し、所定期間が経過していないと判定すると、S2に係る処理を再実行する。
【0058】
続いて、属性情報取得部232は、属性情報DB221を参照し、S2において取得された一以上のユーザIDに関連付けられている属性情報を特定する(S4)。
続いて、属性情報取得部232は、関連付けられているユーザIDの数が相対的に多い複数の属性情報を取得する(S5)。
【0059】
続いて、広告種別決定部233は、広告種別DB222を参照し、S5において取得された属性情報に関連付けられている広告種別を決定する(S6)。
続いて、出力制御部234は、S6において決定された広告種別を含み、当該広告種別に対応する広告コンテンツの表示を指示する広告表示指示をデジタルサイネージ1に送信する(S7)。デジタルサイネージ1は、広告表示指示を受信すると、当該広告表示指示に含まれている広告種別に対応する広告コンテンツを表示する。広告制御装置2の制御部23は、S7の制御が終了すると、S1に処理を移す。
【0060】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態に係る広告制御装置2は、所定期間内においてデジタルサイネージ1から所定範囲内に存在する複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザIDを取得し、属性情報DB221を参照して、取得した複数のユーザIDのそれぞれに関連付けられた属性情報のうち、関連付けられているユーザIDが相対的に多い属性情報を取得する。広告制御装置2は、広告種別DB222を参照して、取得した属性情報に関連付けられた広告種別を決定し、当該広告種別に対応する広告コンテンツをデジタルサイネージ1に出力させる。
【0061】
このようにすることで、広告制御装置2は、デジタルサイネージ1から所定範囲内に存在する複数のユーザのうち、相対的に多くのユーザが興味を示す可能性が高い広告コンテンツをデジタルサイネージ1に表示させることができる。したがって、広告制御装置2は、デジタルサイネージ1の広告の効果を高めることができる。
【0062】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。
【0063】
例えば、上記実施形態では、広告制御装置2は、デジタルサイネージ1が取得したユーザIDを受信することにより、所定期間内においてデジタルサイネージ1から所定範囲内に存在する複数のユーザUのそれぞれに対応するユーザIDを取得したが、これに限らない。広告制御装置2は、所定期間内においてデジタルサイネージ1から所定範囲内に存在する複数のユーザのそれぞれが所持する端末3から、対応するユーザIDを直接取得してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、デジタルサイネージ1は、広告コンテンツを記憶しており、広告制御装置2から、広告種別を含む広告表示指示を受け付けたことに応じて広告種別に関連付けられている広告コンテンツを表示したが、これに限らない。広告制御装置2が、決定した広告種別に関連する広告コンテンツを記憶部22又は外部装置から取得してもよい。そして、広告制御装置2が、取得した広告コンテンツをデジタルサイネージ1に送信して、デジタルサイネージ1に表示させるようにしてもよい。
【0065】
また、特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・デジタルサイネージ、11・・・通信部、12・・・近距離無線通信部、13・・・表示部、14・・・記憶部、15・・・制御部、151・・・識別情報取得部、152・・・識別情報送信部、153・・・表示指示受付部、154・・・表示制御部、2・・・広告制御装置、21・・・通信部、22・・・記憶部、221・・・属性情報DB、222・・・広告種別DB、23・・・制御部、231・・・識別情報取得部、232・・・属性情報取得部、233・・・広告種別決定部、234・・・出力制御部、S・・・広告制御システム