(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】通過センサ取付カバー
(51)【国際特許分類】
H01H 35/00 20060101AFI20220112BHJP
B21D 45/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H01H35/00 G
H01H35/00 C
B21D45/00 A
(21)【出願番号】P 2018156028
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2017161909
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】317011414
【氏名又は名称】有限会社根上工業
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】根上 健介
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-511708(JP,A)
【文献】実開平03-062642(JP,U)
【文献】特開2008-176994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/00
B21D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置から排出される加工品の排出口に直接又は近接して取り付けられ内側を通過する前記加工品を検出する通過センサが取り付け可能な通過センサ取付カバーであって、
前記通過センサが、光線を反射する反射板と、前記反射板に向けて光線を投光する投光部及び前記反射板から反射された光線を受光する受光部とを有するセンサ本体とを備え、
内側が前記排出口から排出される前記加工品の排出路となると共に前記通過センサが取り付けられる枠状カバー本体と、
前記枠状カバー本体と前記排出口との間に設けられ排出される前記加工品を前記排出路に誘導する誘導枠部材とを備え、
前記センサ本体と前記反射板とが、前記排出路を挟んで互いに対向状態に前記枠状カバー本体の周壁部に取り付けられ、
前記誘導枠部材が、前記枠状カバー本体の前面に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする通過センサ取付カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の通過センサ取付カバーにおいて、
前記誘導枠部材の背面側に形成された一対のインナーレール部と、
前記枠状カバー本体の前面側に形成され一対の前記インナーレール部をガイドする一対のアウターレール部とを備え、
前記誘導枠部材が、前記アウターレール部に沿って前記インナーレール部をスライドさせることで着脱可能とされていることを特徴とする通過センサ取付カバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の通過センサ取付カバーにおいて、
前記誘導枠部材の背面開口部が、前記周壁部のうち前記反射板が取り付けられた壁部よりも内側に開口していることを特徴とする通過センサ取付カバー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の通過センサ取付カバーにおいて、
前記周壁部のうち前記センサ本体が取り付けられた壁部に、前記センサ本体からの光線が通ると共に前記反射板で反射された光線が通る光線スリットが形成され、
前記センサ本体が、前記光線スリットの外側に前記光線スリットとの間に隙間を設けて取り付けられていることを特徴とする通過センサ取付カバー。
【請求項5】
請求項
4に記載の通過センサ取付カバーにおいて、
前記誘導枠部材の背面開口部が、前記光線スリットの下端よりも上に配されていることを特徴とする通過センサ取付カバー。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の通過センサ取付カバーにおいて、
前記枠状カバー本体の背面開口部に連結され前記排出路を通過した前記加工品を誘導する背面側ガイド部材と、
前記背面側ガイド部材の底面から前記加工品の排出方向に向けてガスを噴出するガス噴出機構とを備えていることを特徴とする通過センサ取付カバー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の通過センサ取付カバーにおいて、
前記誘導枠部材が、前記排出口側に向けて伸縮可能な底板部を有していることを特徴とする通過センサ取付カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機等が排出する加工品の排出口に取り付けられる通過センサ取付カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プレス機等の加工装置では、加工した複数の加工品の排出を検出しカウントするために、加工品が加工装置から排出される際に、光電センサ等の通過センサで加工品を検出している(例えば、特許文献1参照)。
例えば、このような加工品検出用の通過センサは、加工品の排出路の一部を構成するカバーの周壁部に取り付けられ、カバー内を通過する加工品を検出している。
【0003】
特に、プレス機では、自然落下で加工品を排出する場合では排出に時間がかかることから、コンプレッサーによって加工品にエアを吹き付けて強制的に金型外に排出させている。そのため、エアにより勢いよく排出される加工品を検出するため、通過センサを取り付けるカバーは、金型の排出口近傍に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-181188号公報(段落番号0025)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術において、以下の課題が残されている。
従来の通過センサ取付カバーは、カバー内において通過センサの検出エリアが限られており、カバー内を通過する加工品が検出エリア外を通過しないように位置を調整して加工装置の排出口に設置しているが、加工装置から排出される加工品の形状やサイズ等が変更されると、検出エリアを外れて通過してしまう場合があった。このように排出された加工品が検出されないと、排出不良として加工装置が停止してしまう問題があった。そのため、加工品の形状やサイズ等が変更される際には、加工品に合わせて通過センサ取付カバーの設計を変更したり、取付位置等を再度設定し直したり必要があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、加工品の形状やサイズ等が変更されても容易に対応可能な通過センサ取付カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る通過センサ取付カバーは、加工装置から排出される加工品の排出口に直接又は近接して取り付けられ内側を通過する前記加工品を検出する通過センサが取り付け可能な通過センサ取付カバーであって、前記通過センサが、光線を反射する反射板と、前記反射板に向けて光線を投光する投光部及び前記反射板から反射された光線を受光する受光部とを有するセンサ本体とを備え、内側が前記排出口から排出される前記加工品の排出路となると共に前記通過センサが取り付けられる枠状カバー本体と、前記枠状カバー本体と前記排出口との間に設けられ排出される前記加工品を前記排出路に誘導する誘導枠部材とを備え、前記センサ本体と前記反射板とが、前記排出路を挟んで互いに対向状態に前記枠状カバー本体の周壁部に取り付けられ、前記誘導枠部材が、前記枠状カバー本体の前面に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
この通過センサ取付カバーでは、誘導枠部材が、枠状カバー本体の前面に着脱可能に取り付けられているので、加工品の形状やサイズ等が変更になっても加工品に対応する誘導枠部材に容易に交換できるため、枠状カバー本体自体の設計変更や取付調整等が不要になる。また、取り付ける加工装置に対応した誘導枠部材に容易に交換できると共に、通過センサを変更した際でも検出エリアに対応した誘導枠部材に容易に交換可能である。さらに、加工装置の金型等から自然落下でゆっくり加工品を排出させる場合でも、金型等の排出口に誘導枠部材を直接取り付けて近接させることで、自然落下してくる加工品を枠状カバー本体に誘導してタイムオーバーとならずに確実に検出することが可能になる。
【0009】
第2の発明に係る通過センサ取付カバーは、第1の発明において、前記誘導枠部材の背面側に形成された一対のインナーレール部と、前記枠状カバー本体の前面側に形成され一対の前記インナーレール部をガイドする一対のアウターレール部とを備え、前記誘導枠部材が、前記アウターレール部に沿って前記インナーレール部をスライドさせることで着脱可能とされていることを特徴とする。
すなわち、この通過センサ取付カバーでは、誘導枠部材が、アウターレール部に沿ってインナーレール部をスライドさせることで着脱可能とされているので、ネジやボルト等の部材を使用することなく、スライドさせるだけで容易に着脱させることができる。なお、本発明では、誘導枠部材の着脱にネジやボルト等が不要であるが、誘導枠部材をより確実に固定するために、スライドさせて取り付けた状態でさらにネジやボルト等で固定しても構わない。
【0010】
第3の発明に係る通過センサ取付カバーは、第1又は第2の発明において、前記誘導枠部材の背面開口部が、前記周壁部のうち前記反射板が取り付けられた壁部よりも内側に開口していることを特徴とする。
すなわち、この通過センサ取付カバーでは、誘導枠部材の背面開口部が、周壁部のうち反射板が取り付けられた壁部よりも内側に開口しているので、排出されてくる加工品が誘導枠部材で枠状カバー本体内に誘導される際に反射板に当たり難くなり、反射板の傷付きを抑制することができる。
【0011】
第4の発明に係る通過センサ取付カバーは、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記周壁部のうち前記センサ本体が取り付けられた壁部に、前記センサ本体からの光線が通ると共に前記反射板で反射された光線が通る光線スリットが形成され、前記センサ本体が、前記光線スリットの外側に前記光線スリットとの間に隙間を設けて取り付けられていることを特徴とする。
すなわち、この通過センサ取付カバーでは、センサ本体が、光線スリットの外側に光線スリットとの間に隙間を設けて取り付けられているので、加工品に付着している油等が光線スリットを通してセンサ本体に付着してしまうことを抑制可能である。また、誘導されてきた加工品がセンサ本体に当たってしまうことを防止可能である。
【0012】
第5の発明に係る通過センサ取付カバーは、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記誘導枠部材の背面開口部が、前記光線スリットの下端よりも上に配されていることを特徴とする。
すなわち、この通過センサ取付カバーでは、誘導枠部材の背面開口部が、光線スリットの下端よりも上に配されているので、誘導枠部材で枠状カバー本体内に誘導される加工品が光線スリットよりも下側を通って検出されないことを防止できる。
【0013】
第6の発明に係る通過センサ取付カバーは、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記枠状カバー本体の背面開口部に連結され前記排出路を通過した前記加工品を誘導する背面側ガイド部材と、前記背面側ガイド部材の底面から前記加工品の排出方向に向けてガスを噴出するガス噴出機構とを備えていることを特徴とする。
すなわち、この通過センサ取付カバーでは、背面側ガイド部材の底面から加工品の排出方向に向けてガスを噴出するガス噴出機構を備えているので、ガス噴出機構により噴射されたガスによって加工品を排出方向に強制的に押し出すことで、加工品が背面側ガイド部材内に留まってしまうことを防止可能である。
【0014】
第7の発明に係る通過センサ取付カバーは、第1から第6の発明のいずれかにおいて、前記誘導枠部材が、前記排出口側に向けて伸縮可能な底板部を有していることを特徴とする。
すなわち、この通過センサ取付カバーでは、誘導枠部材が、排出口側に向けて伸縮可能な底板部を有しているので、排出口との間に隙間があっても伸縮可能な底板部を伸ばすことで隙間を埋め、加工品が円滑に枠状カバー本体内に誘導することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の通過センサ取付カバーによれば、誘導枠部材が、枠状カバー本体の前面に着脱可能に取り付けられているので、加工品の形状やサイズ等が変更になっても加工品に対応する誘導枠部材に容易に交換できるため、枠状カバー本体自体の設計変更や取付調整等が不要になる。
したがって、本発明の通過センサ取付カバーでは、様々な加工品に容易に対応して確実に検出でき、検出不良による加工装置の停止を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る通過センサ取付カバーの第1実施形態において、誘導枠部材の前面側から視た斜視図である。
【
図2】第1実施形態において、枠状カバー本体の背面側から視た通過センサ取付カバーを示す斜視図である。
【
図3】通過センサ取付カバーのプレス機に設置した状態を示す簡易的な側面図である。
【
図4】第1実施形態において、前面側から視た枠状カバー本体を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態において、背面側から視た誘導枠部材を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態において、センサ本体を収納したセンサ本体カバーを示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態において、反射板を収納した反射板カバーを示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態において、誘導枠部材と枠状カバー本体と光線スリットとの位置関係を示す説明図である。
【
図9】第1実施形態において、インナーレール部をアウターレール部にスライドさせて誘導枠部材を枠状カバー本体に底面側から取り付ける途中の状態を示す斜視図である。
【
図10】第1実施形態において、背面側から視た誘導枠部材の他の例を示す斜視図である。
【
図11】第1実施形態において、背面側から視た背面側ガイド部材を取り付けた状態の通過センサ取付カバーを示す斜視図である。
【
図12】第1実施形態において、前面側から視た背面側ガイド部材を示す斜視図である。
【
図13】第1実施形態において、背面側ガイド部材の底面が平板状の場合(a)と谷折り状の場合(b)とを示す説明図である。
【
図14】本発明に係る通過センサ取付カバーの第2実施形態において、底板部を伸ばさない状態(a)及び底板部を伸ばした状態(b)を示す誘導枠部材の前面下面側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における通過センサ取付カバーの第1実施形態を、
図1から
図13に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態における通過センサ取付カバー1は、
図1から
図3に示すように、プレス機等の加工装置10から排出される加工品Wの排出口10aに直接又は近接して取り付けられ内側を通過する加工品Wを検出する通過センサ2が取り付け可能な通過センサ取付カバーである。
上記通過センサ2は、
図1に示すように、光線を反射する反射板2Aと、反射板2Aに向けて光線を投光する投光部(図示略)及び反射板2Aから反射された光線を受光する受光部(図示略)とを有するセンサ本体2Bとを備えている。すなわち、通過センサ2は、回帰反射型光電センサである。
【0019】
本実施形態の通過センサ取付カバー1は、内側が排出口10aから排出される加工品Wの排出路となると共に通過センサ2が取り付けられる枠状カバー本体3と、枠状カバー本体3と排出口10aとの間に設けられ排出される加工品Wを排出路に誘導する誘導枠部材4とを備えている。
【0020】
上記誘導枠部材4は、枠状カバー本体3の前面に着脱可能に取り付けられている。
すなわち、通過センサ取付カバー1は、誘導枠部材4の背面側に形成された一対のインナーレール部4aと、枠状カバー本体3の前面側に形成され一対のインナーレール部4aをガイドする一対のアウターレール部3aとを備えており、誘導枠部材4が、
図9に示すように、アウターレール部3aに沿ってインナーレール部4aをスライドさせることで着脱可能とされている。
【0021】
上記一対のインナーレール部4aは、壁部に対して例えば60°の角度で内側に曲げられた上下に延在する帯状部である。また、これらインナーレール部4aの内側にスライド可能とするために、一対のアウターレール部3aは外側に60°の角度で曲げられた上下に延在する帯状部である。このように、一対のインナーレール部4aが内側に曲げられており、一対のアウターレール部3aがスライドして嵌め込まれるため、枠状カバー本体3の前面開口部よりも誘導枠部材4の背面開口部4bが狭くなっている。
【0022】
上記センサ本体2Bと反射板2Aとは、
図1,
図6及び
図7に示すように、センサ本体カバー7及び反射板カバー8とを用いて前記排出路を挟んで互いに対向状態に枠状カバー本体3の周壁部に取り付けられる。
前記周壁部のうちセンサ本体2Bが取り付けられた壁部には、センサ本体2Bからの光線が通ると共に反射板2Aで反射された光線が通る光線スリット3bが形成されている。
上記センサ本体2Bは、光線スリット3bの外側に光線スリット3bとの間に隙間Sを設けて取り付けられている。
【0023】
すなわち、センサ本体2Bは、
図6に示すように、センサ本体カバー7内に収納されており、センサ本体カバー7が、枠状カバー本体3の壁部外面に隙間Sを空けて近接した状態で設置されている。また、センサ本体カバー7には、センサ本体2Bからの光線が出射可能で、反射して回帰した光線を入光可能な縦長スリット状の光軸用窓部7aが形成され、この光軸用窓部7aが光線スリット3bに対向配置されている。
なお、センサ本体2Bは、下部に防振ゴム2cが取り付けられた状態でセンサ本体カバー7に収納されている。また、センサ本体2Bは、ネジ・ボルト等によりセンサ本体カバー7から容易に取り出し可能になっている。
【0024】
上記反射板2Aは、
図7に示すように、反射板カバー8内に設置されており、センサ本体2Bが取り付けられた壁部に対向した壁部外面に反射板カバー8が取り付けられている。
なお、反射板2Aは、反射板カバー8の上部から容易に抜き差し可能になっている。
また、反射板カバー8が取り付けられた壁部には、センサ本体2Bからの光線を反射板2Aに通すために縦長スリット状の反射板側窓部3cが形成され、この反射板側窓部3cに反射板2Aが対向配置されている。
【0025】
なお、反射板側窓部3cは、反射板2Aよりも幅狭に形成されており、反射板2Aの右側半分だけが露出するようになっている。このため、反射板2Aの右側半分が傷付いても、反射板2Aの上下を入れ替えることで、傷付いていない半分の面を反射板側窓部3cから露出させることができる。
【0026】
上記枠状カバー本体3は、背面側の天面が45°傾斜しており、排出されてきた加工品Wが傾斜天面に当たることで、加工品Wの排出方向を下方へと誘導可能になっている。なお、枠状カバー本体3の底面も排出方向の下方に向けて傾斜している。
【0027】
上記誘導枠部材4の背面開口部4bは、前記周壁部のうち反射板2Aが取り付けられた壁部よりも内側に開口している。すなわち、誘導枠部材4の背面開口部4bは、枠状カバー本体3の前面開口部よりも横幅がやや狭く絞られている。
また、誘導枠部材4の背面開口部4bが、
図8に示すように、光線スリット3bの下端よりも上に配されている。例えば、誘導枠部材4の底面と枠状カバー本体3の底面とは、互いの接続部分で約5~6mmの段差が設けられ、誘導枠部材4の底面が枠状カバー本体3の底面よりも高く配されている。
【0028】
誘導枠部材4は、
図9に示すように、前面開口部よりも背面開口部4bが小さく設定されたテーパ形状を有し、内側の誘導路の軸線に沿った断面形状が台形状となっている。例えば、誘導枠部材4の背面開口部4bが幅144mm×高さ180mmであるのに対し、誘導枠部材4の前面開口部が幅195mm×高さ200mmとされ、誘導枠部材4の前面開口部から背面開口部4bまでは85mmとされる。
【0029】
なお、誘導枠部材としては、開口形状、枠形状、枠幅、内側の誘導路の断面形状等の種々の形状のものが採用可能である。例えば、
図10の(a)に示すように、前面開口部と背面開口部4bとの形状が同一の矩形状に設定され、内側の誘導路の断面形状が長方形状となっている誘導枠部材4Bや、
図10の(b)に示すように、前面開口部よりも背面開口部4bが大きく設定され、内側の誘導路の断面形状が逆台形状となっている誘導枠部材4Cが取付可能である。
【0030】
また、本実施形態の通過センサ取付カバー1は、
図11及び
図12に示すように、枠状カバー本体3の背面開口部に連結され前記排出路を通過した加工品Wを誘導する背面側ガイド部材8と、背面側ガイド部材8の底面8aから加工品Wの排出方向に向けて空気等のガスを噴出するガス噴出機構9とをさらに備えている。
なお、
図11では、センサ本体2Bをセンサ本体カバー7内に取り付ける前の状態を示している。
上記背面側ガイド部材8は、底面8aが排出方向に沿った谷折り状態とされている。すなわち、背面側ガイド部材8の底面8aは、断面V字形状とされている。
なお、背面側ガイド部材の底面は、中央部が凹んだ断面形状であれば、傾斜が緩やかな断面U字形状や断面台形状としても構わない。
【0031】
背面側ガイド部材8の底面8aは、下流側に向けて下方に傾斜した滑り台状となっており、下端部が加工品Wの収納箱等に向けられる。
なお、背面側ガイド部材8を取り付けるか否かは、加工品Wの排出経路等に応じて任意に選択可能である。
また、背面側ガイド部材8は、複数を連結可能である。
【0032】
上記ガス噴出機構9は、背面側ガイド部材8の底面8aにおいて上流側にガスの噴出口9aが設置されており、噴出口9aが排出経路の下流側に向けられている。なお、噴出口9aの向きは任意に変更可能である。また、本実施形態では、2つの噴出口9aが設置されているが、1つの噴出口9aとしても構わない。
なお、
図13の(a)に示すように、背面側ガイド部材8の底面8aが平面状であると、排出される加工品Wとの接触面積が多く、途中で止まってしまうおそれがあるが、
図13の(b)に示すように、背面側ガイド部材8の底面8aが断面V字状等であり、断面中央部が凹んでいる形状であると、排出される加工品Wとの接触面積が少なくなって、滑り易くなり、途中で止まり難くなる。
【0033】
このように本実施形態の通過センサ取付カバー1では、誘導枠部材4が、枠状カバー本体3の前面に着脱可能に取り付けられているので、加工品Wの形状やサイズ等が変更になっても加工品Wに対応する誘導枠部材4に容易に交換できるため、枠状カバー本体3自体の設計変更や取付調整等が不要になる。また、取り付ける加工装置10に対応した誘導枠部材4に容易に交換できると共に、通過センサ2を変更した際でも検出エリアに対応した誘導枠部材4に容易に交換可能である。
【0034】
特に、誘導枠部材4が、アウターレール部3aに沿ってインナーレール部4aをスライドさせることで着脱可能とされているので、ネジやボルト等の部材を使用することなく、スライドさせるだけで容易に着脱させることができる。
さらに、加工装置10の金型等から自然落下でゆっくり加工品Wを排出させる場合でも、金型等の排出口10aに誘導枠部材4を直接取り付けて近接させることで、自然落下してくる加工品Wを枠状カバー本体3に誘導してタイムオーバーとならずに確実に検出することが可能になる。
【0035】
また、誘導枠部材4の背面開口部4bが、周壁部のうち反射板2Aが取り付けられた壁部よりも内側に開口しているので、排出されてくる加工品Wが誘導枠部材4で枠状カバー本体3内に誘導される際に反射板2Aに当たり難くなり、反射板2Aの傷付きを抑制することができる。
【0036】
また、センサ本体2Bが、光線スリット3bの外側に光線スリット3bとの間に隙間Sを設けて取り付けられているので、加工品Wに付着している油等が光線スリット3bを通してセンサ本体2Bに付着してしまうことを抑制可能である。また、誘導されてきた加工品Wがセンサ本体2Bに当たってしまうことを防止可能である。さらに、加工品Wが光軸用窓部7aに引っ掛かってしまうことも防止可能である。
【0037】
また、誘導枠部材4の背面開口部4bが、光線スリット3bの下端よりも上に配されているので、誘導枠部材4で枠状カバー本体3内に誘導される加工品Wが光線スリット3bよりも下側を通って検出されないことを防止できる。
さらに、背面側ガイド部材8の底面8aから加工品Wの排出方向に向けてガスを噴出するガス噴出機構9を備えているので、ガス噴出機構9により噴射されたガスによって加工品Wを排出方向に強制的に押し出すことで、加工品Wが背面側ガイド部材8内に留まってしまうことを防止可能である。
【0038】
次に、本発明に係る通過センサ取付カバーの第2実施形態について、
図14を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0039】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、誘導枠部材4の外周を構成する板部のうち、底板部が側板部及び上板部と同じ突出量で固定されたものであるのに対し、第2実施形態の通過センサ取付カバー21は、
図14に示すように、誘導枠部材24が、対向している排出口側に向けて伸縮可能な底板部25を有している点である。
【0040】
第2実施形態では、底板部25が、側板部25b及び上板部25cよりも加工装置の排出口側に突出している。
上記底板部25は、両側の側板部25bに固定され側板部25bよりも突出した断面コ字状の支持部25aと、支持部25aから突出方向にスライド可能な断面コ字状の可動部25dとを備えている。
【0041】
上記支持部25a及び可動部25dは、突出方向に直交する方向の断面形状がコ字状に形成され、誘導枠部材24の底面だけでなく、側板部25bの一部としても機能している。
このように支持部25a及び可動部25dを断面コ字状とすることで、突出した部分の両側に壁を構成して側方に加工品が飛び出してしまうことを抑制している。
【0042】
支持部25aの底面には、突出方向に延在する一対のスリット25eが形成されている。また、可動部25dには、一対のスライド25eに先端側が挿通状態のボルトが取り付けられており、このボルトの先端側に螺着させたナット25fによって支持部25aに固定可能となっている。すなわち、ボルトとナット25fとを緩めた状態で、支持部25aに対して可動部25dを突出方向にスライドすることで底板部25が伸縮でき、任意の位置でボルトにナット25fを締めて固定することで、可動部25dを支持部25aに固定することができる。
【0043】
このように第2実施形態の通過センサ取付カバー21では、誘導枠部材24が、排出口側に向けて伸縮可能な底板部25を有しているので、排出口との間に隙間があっても伸縮可能な底板部25を伸ばすことで隙間を埋め、加工品が円滑に枠状カバー本体3内に誘導することができる。
【0044】
例えば、加工装置10に設けられているガイドポスト等が干渉するために通過センサ取付カバーを排出口から離して設置しなければならない場合、第2実施形態の通過センサ取付カバー21では、底板部25を伸ばすことで、ガイドポストを避けつつ排出口との隙間を埋めることができる。また、通過センサ取付カバー21では、底板部25だけが伸びるが上板部25cは伸びないため、上板部25cが加工装置に干渉することも避けることができる。
【0045】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1,21…通過センサ取付カバー、2…通過センサ、2A…反射板、2B…センサ本体、3…枠状カバー本体、3a…アウターレール部、3b…光線スリット、4,24…誘導枠部材、4a…インナーレール部、4b…誘導枠部材の背面開口部、8…背面側ガイド部材、8a…背面側ガイド部材の底面、9…ガス噴出機構、10…加工装置、10a…排出口、25…底板部、W…加工品