(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】フレーク状ガラス及び樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C03B 37/005 20060101AFI20220112BHJP
C03C 17/00 20060101ALI20220112BHJP
C08K 7/00 20060101ALI20220112BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
C03B37/005
C03C17/00
C08K7/00
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2018547577
(86)(22)【出願日】2017-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2017037485
(87)【国際公開番号】W WO2018079335
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】P 2016210514
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100143236
【氏名又は名称】間中 恵子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸一
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-143995(JP,A)
【文献】国際公開第2013/121756(WO,A1)
【文献】特開2012-251083(JP,A)
【文献】特開2004-91507(JP,A)
【文献】特開2011-94070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B37/005
C03C1/00-14/00
C03C17/00-19/00
C08K3/40
C08K7/00
C08L101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材
と、被覆膜と、を含むフレーク状ガラスであって、前記フレーク状ガラスは、以下の(A)及び(B)の条件のうち少なくともいずれか一方を満た
し、
(A)前記第1のフレーク状ガラス基材の平均厚さが0.05~2μmの範囲内であり、前記第2のフレーク状ガラス基材の平均厚さが2~20μmの範囲内であり、かつ、前記第2のフレーク状ガラス基材の前記平均厚さが、前記第1のフレーク状ガラス基材の前記平均厚さの3倍以上である
こと、
(B)前記第1のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD1が0.03~2.5μmの範囲内であり、前記第2のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD2が1.5~25μmの範囲内であり、かつ、前記厚さD2が前記厚さD1の2倍以上である
こと、
前記第1のフレーク状ガラス基材及び前記第2のフレーク状ガラス基材はガラスから形成され、
前記被覆膜は、前記第1のフレーク状ガラス基材及び前記第2のフレーク状ガラス基材の少なくともいずれか一方のフレーク状ガラス基材の表面の少なくとも一部を直接被覆し、かつ結合剤成分を含む、
フレーク状ガラス。
【請求項2】
前記フレーク状ガラスが前記条件(A)を満たす場合は、前記第1のフレーク状ガラス基材の平均厚さが0.1~1μm、かつ、平均粒径が10~2000μmであり、
前記フレーク状ガラスが前記条件(B)を満たす場合は、前記第1のフレーク状ガラス基材の厚さD1が0.05~1.5μm、かつ、平均粒径が10~2000μmである、請求項1に記載のフレーク状ガラス。
【請求項3】
前記フレーク状ガラスが前記条件(A)を満たす場合は、前記第2のフレーク状ガラス基材の平均厚さが3~15μm、かつ、平均粒径が10~2000μmであり、
前記フレーク状ガラスが前記条件(B)を満たす場合は、前記第2のフレーク状ガラス基材の厚さD2が2.5~20μm、かつ、平均粒径が10~2000μmである、
請求項1又は2に記載のフレーク状ガラス。
【請求項4】
質量基準において、前記第2のフレーク状ガラス基材の含有割合は、前記第1のフレーク状ガラス基材の含有割合よりも小さい、
請求項1~
3のいずれか1項に記載のフレーク状ガラス。
【請求項5】
前記第2のフレーク状ガラス基材の含有割合は、0質量%を超え、かつ40質量%以下である、
請求項
4に記載のフレーク状ガラス。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のフレーク状ガラスと、
マトリックス樹脂と、
を含む、樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーク状ガラスと、それを含む樹脂組成物とに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形品では、反り及び変形の低減、及び/又は、機械的強度の向上等を目的として、ガラス繊維、炭素繊維等、マイカ、ガラスビーズ及びフレーク状ガラス等を充填材としてマトリックス樹脂に配合することが一般的に知られている。
【0003】
従来、フレーク状ガラスを充填材として用いる場合は、生産性とコストとの観点から、平均厚さが数μmのフレーク状ガラスが一般的に使用されてきた(例えば特許文献1及び2)。また、近年、フレーク状ガラスを充填材として含む樹脂成形品についての寸法安定性の向上、さらには引張強度及び曲げ強度等の強度特性の向上のために、平均厚さが1μm以下のフレーク状ガラスも使用され始めている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-201041号公報
【文献】特開昭63-225554号公報
【文献】国際公開第2007/111221号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、平均厚さが1μm以下である薄いフレーク状ガラスを樹脂成形品用の充填材として用いた場合、得られる樹脂成形品の引張強度及び曲げ強度等の強度特性が向上する。しかし、このような平均厚さを有するフレーク状ガラスを充填材として用いた場合、得られる樹脂成形品の耐衝撃特性の低下、特にノッチ付き衝撃強度が著しく低下してしまうという新たな問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的の一つは、樹脂成形品を補強するための充填材として用いられた場合に、得られる樹脂成形品の引張強度及び曲げ強度等の強度特性を大きく低下させることなく、耐衝撃特性を向上させることができるフレーク状ガラスを提供することである。さらに本発明の別の目的の一つは、そのようなフレーク状ガラスが配合された、優れた強度特性と優れた耐衝撃特性との両方を有する樹脂成形品を実現できる樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフレーク状ガラスは、第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材を含むフレーク状ガラスであって、前記フレーク状ガラスは、以下の(A)及び(B)の条件のうち少なくともいずれか一方を満たす:
(A)前記第1のフレーク状ガラス基材の平均厚さが0.05~2μmの範囲内であり、前記第2のフレーク状ガラス基材の平均厚さが2~20μmの範囲内であり、かつ、前記第2のフレーク状ガラス基材の前記平均厚さが、前記第1のフレーク状ガラス基材の前記平均厚さの3倍以上である。
(B)前記第1のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD1が0.03~2.5μmの範囲内であり、前記第2のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD2が1.5~25μmの範囲内であり、かつ、前記厚さD2が前記厚さD1の2倍以上である。
【0008】
また、本発明は、上記本発明のフレーク状ガラスと、マトリックス樹脂と、を含む樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフレーク状ガラスは、樹脂成形品を補強するための充填材として用いられた場合に、得られる樹脂成形品の引張強度及び曲げ強度等の強度特性を大きく低下させることなく、耐衝撃特性を向上させることができる。また、本発明の樹脂組成物は、このような本発明のフレーク状ガラスが含まれているので、優れた強度特性と優れた耐衝撃特性との両方を有する樹脂成形品を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】フレーク状ガラス基材の製造装置の一例を説明する模式図
【
図2】フレーク状ガラス基材の製造装置の別の例を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0012】
本実施形態のフレーク状ガラスは、第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材を含んでおり、以下の(A)及び(B)の条件のうち少なくともいずれか一方を満たしている。
(A)前記第1のフレーク状ガラス基材の平均厚さが0.05~2μmの範囲内であり、前記第2のフレーク状ガラス基材の平均厚さが2~20μmの範囲内であり、かつ、前記第2のフレーク状ガラス基材の前記平均厚さが、前記第1のフレーク状ガラス基材の前記平均厚さの3倍以上である。
(B)前記第1のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD1が0.03~2.5μmの範囲内であり、前記第2のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD2が1.5~25μmの範囲内であり、かつ、前記厚さD2が前記厚さD1の2倍以上である。
【0013】
本実施形態のフレーク状ガラスは、上記条件(A)及び(B)のうちいずれか一方のみの条件を満たしていてもよいが、望ましくは条件(A)及び(B)の両方を満たすことである。
【0014】
本実施形態のフレーク状ガラスが上記条件(A)を満たす場合、第1のフレーク状ガラス基材の平均厚さは0.05~2μmの範囲内であり、好ましくは0.1~1μmの範囲内である。また、本実施形態のフレーク状ガラスが上記条件(B)を満たす場合、第1のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD1は0.03~2.5μmの範囲内であり、好ましくは0.05~1.5μmの範囲内である。本実施形態のフレーク状ガラスが上記のような範囲の平均厚さ又は厚さD1を有する第1のフレーク状ガラス基材を含むことにより、当該フレーク状ガラスが樹脂成形品を補強するために樹脂(マトリックス樹脂)に添加されて充填材として用いられた場合に、得られる樹脂成形品の引張強度及び曲げ強度等の強度特性が向上する。また、この第1のフレーク状ガラス基材は、得られる樹脂成形品の寸法安定性の向上にも寄与する。
【0015】
なお、本明細書において、フレーク状ガラス基材の平均厚さとは、フレーク状ガラス基材から100枚以上のフレーク状ガラス基材を抜き取り、それらのフレーク状ガラス基材について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて厚さを測定し、その厚さ合計を測定枚数で割った値のことである。後述の第2のフレーク状ガラス基材の平均厚さについても同様である。
【0016】
また、本明細書において、フレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さとは、フレーク状ガラス基材から300枚以上のフレーク状ガラス基材を抜き取り、それらのフレーク状ガラス基材について干渉位相差顕微鏡を用いて厚さを測定することによって求められる厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さのことである。ここで、干渉位相差顕微鏡を用いた試料(ここでは、フレーク状ガラス基材)の厚さ測定について説明する。試料を透過した光は、試料の周りの媒質を透過した光と光路差を生じるので、この光路差を干渉装置を用いて得られた干渉縞のズレを観察しながら測定して、次の式(1)から試料の厚さを求める。後述の第2のフレーク状ガラス基材の厚さ分布についても同様である。
光路差R=dλ/D=(n-N)×Z …(1)
d:干渉縞のズレ
D:干渉縞の間隔
λ:測定波長(白色光:0.55μm)
n:試料の屈折率
N:周りの媒質の屈折率
Z:試料の厚さ
【0017】
第1のフレーク状ガラス基材の平均粒径は、特には限定されないが、樹脂成形品の補強効果をより効果的に実現するために、10~2000μmであることが好ましい。なお、本明細書において、フレーク状ガラス基材の平均粒径とは、レーザー回折散乱法に基づいて測定された粒度分布において、累積質量百分率が50%に相当する粒径(D50)のことである。後述の第2のフレーク状ガラス基材の平均粒径についても同様である。
【0018】
本実施形態のフレーク状ガラスが上記条件(A)を満たす場合、第2のフレーク状ガラス基材の平均厚さは2~20μmの範囲内であり、好ましくは3~15μmの範囲内である。第2のフレーク状ガラス基材は、第1のフレーク状ガラス基材の平均厚さの3倍以上の平均厚さを有しており、好ましくは4倍以上の平均厚さ、さらに好ましくは5倍以上の平均厚さを有する。また、第2のフレーク状ガラス基材は、第1のフレーク状ガラス基材の平均厚さの400倍以下の平均厚さを有しており、好ましくは100倍以下の平均厚さ、さらに好ましくは30倍以下の平均厚さを有する。
【0019】
本実施形態のフレーク状ガラスが上記条件(B)を満たす場合、第2のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD2は1.5~25μmの範囲内であり、好ましくは2.5~20μmの範囲内である。第2のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD2は、第1のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD1の2倍以上であり、好ましくは3倍以上、さらに好ましくは4倍以上である。また、第2のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD2は、第1のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD1の400倍以下が好ましく、より好ましくは100倍以下、さらに好ましくは30倍以下である。
【0020】
上記のような範囲の平均厚さ又は厚さD2を有する第2のフレーク状ガラス基材が上記の第1のフレーク状ガラス基材と組み合わされて用いられることにより、本実施形態のフレーク状ガラスは、樹脂成形品を補強するために樹脂に添加されて充填材として用いられた場合に、得られる樹脂成形品の強度特性を大きく低下させることなく、耐衝撃特性を向上させることができる。
【0021】
第2のフレーク状ガラス基材を第1のフレーク状ガラス基材と組み合わせることにより上記効果が得られる理由の1つとして、次のようなものが考えられる。フレーク状ガラス基材の平均厚さを薄くすれば、フレーク状ガラス基材のアスペクト比(平均粒径÷平均厚さ)が大きくなるので、その結果、樹脂に添加された場合に樹脂成形品の引張強度及び曲げ強度等の強度特性が向上する。その一方で、フレーク状ガラス基材の平均厚さが薄くなると、フレーク状ガラス基材の厚さ自体による応力緩和効果が小さくなること、さらに薄くなると樹脂に練り込んだ時に割れ易く残存粒径が小さくなることから、得られる樹脂成形品の耐衝撃特性が低下しやすいと考えられる。これに対し、本実施形態のフレーク状ガラスでは、平均厚さが薄い第1のフレーク状ガラス基材に、第1のフレーク状ガラス基材の平均厚さの3倍以上の平均厚さを有する第2のフレーク状ガラス基材が併用されているので、第1のフレーク状ガラス基材による強度特性の向上効果を発揮させつつ、第2のフレーク状ガラス基材の厚さ自体による応力緩和効果、さらには樹脂に添加された後でも大きい粒径を保つことができる効果も得られるので、耐衝撃特性の向上も実現することが可能となると考えられる。
【0022】
本実施形態のフレーク状ガラスでは、質量基準において、第2のフレーク状ガラス基材の含有割合が、第1のフレーク状ガラス基材の含有割合よりも小さいことが好ましい。例えば、本実施形態のフレーク状ガラスにおいて、第2のフレーク状ガラス基材の含有割合が0質量%を超え、かつ40質量%以下、好ましくは0質量%を超え、かつ25質量%以下、さらに好ましくは0質量%を超え、かつ10質量%以下、とすることが好ましい。このようなフレーク状ガラスによれば、第2のフレーク状ガラス基材の含有割合が高すぎることによる樹脂成形物の強度特性の低下を小さく留めながら、優れた強度特性と優れた耐衝撃特性との両方を樹脂成形品に付与することができる。
【0023】
本実施形態のフレーク状ガラスが上記条件(B)を満たす場合、第1のフレーク状ガラス基材と第2のフレーク状ガラス基材とが混合された混合物の厚さ分布(個数基準)では、少なくとも2つのピークが現れることとなり、その2つのピークのうちの厚さが小さい方のピークが厚さ0.03~2.5μmの範囲内に存在し、もう1つの厚さが大きい方のピークが1.5~25μmの範囲内に存在すると考えられる。すなわち、第1のフレーク状ガラス基材と第2のフレーク状ガラス基材とが混合された混合物は、その厚さ分布において、第1のフレーク状ガラス基材の厚さD1に相当するピークと、第2のフレーク状ガラス基材の厚さD2に相当するピークとを有すると考えられる。したがって、換言すると、本実施形態のフレーク状ガラスの一例は、その厚さ分布(個数基準)において少なくとも2つのピークを有し、そのうちの1つのピークは厚さ0.03~2.5μmの範囲内に存在し、もう1つのピークは厚さ1.5~25μmの範囲内に存在する、と特定することが可能である。
【0024】
第1及び第2のフレーク状ガラス基材の組成としては、一般的に知られているガラスの組成を使用できる。具体的には、Eガラス等のアルカリ金属酸化物の少ないガラスを好適に使用できる。Eガラスの代表的な組成を以下に示す。下記の組成の単位は質量%である。
【0025】
SiO2:52~56
Al2O3:12~16
CaO:16~25
MgO:0~6
Na2O+K2O:0~2(好ましくは0~0.8)
B2O3:5~13
F2:0~0.5
【0026】
また、アルカリ金属酸化物の少ないガラスとして、質量%で表して、
59≦SiO2≦65、
8≦Al2O3≦15、
47≦(SiO2-Al2O3)≦57、
1≦MgO≦5、
20≦CaO≦30、
0<(Li2O+Na2O+K2O)<2、
0≦TiO2≦5、
の成分を含有し、B2O3、F、ZnO、BaO、SrO、ZrO2を実質的に含有しないガラス組成を使用できる。当該ガラス組成は、国際公開2006/068255号に、本出願人によって開示されている。
【0027】
なお、「実質的に含有しない」とは、例えば工業用原料により不可避的に混入される場合を除き、意図的に含ませないことを意味する。具体的には、B2O3、F、ZnO、BaO、SrO及びZrO2のそれぞれの含有率が0.1質量%未満(好ましくは0.05質量%未満、より好ましくは0.03質量%未満)であることを意味する。
【0028】
第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材は、同じガラス組成のガラスから形成されていてもよいし、互いに異なるガラス組成のガラスから形成されていてもよい。
【0029】
本実施形態のフレーク状ガラスに用いられる第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材は、市販されているフレーク状ガラス基材の中から、本実施形態における第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材に求められる平均厚さ又は厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さを満たすフレーク状ガラス基材を適宜選択してもよいし、例えば、特公昭41-17148号公報及び特公昭45-3541号公報に開示されている、いわゆるブロー法や、特開昭59-21533号公報及び特表平2-503669号公報に開示されている、いわゆるロータリー法で作製してもよい。
【0030】
ブロー法では、
図1に示すガラス製造装置を使用できる。このガラス製造装置は、耐火窯槽12、ブローノズル15及び押圧ロール17を備えている。耐火窯槽12(熔解槽)で熔融されたガラス素地11は、ブローノズル15に送り込まれたガスによって、風船状に膨らまされ、中空状ガラス膜16となる。中空状ガラス膜16を押圧ロール17により粉砕し、フレーク状ガラス基材1を得る。中空状ガラス膜16の引張速度、ブローノズル15から送り込むガスの流量等を調節することにより、フレーク状ガラス基材1の厚さを制御できる。
【0031】
ロータリー法では、
図2に示すガラス製造装置を使用できる。このガラス製造装置は、回転カップ22、1組の環状プレート23及び環状サイクロン型捕集機24を備えている。熔融ガラス素地11は、回転カップ22に流し込まれ、遠心力によって回転カップ22の上縁部から放射状に流出し、環状プレート23の間を通って空気流で吸引され、環状サイクロン型捕集機24に導入される。環状プレート23を通過する間に、ガラスが薄膜の形で冷却及び固化し、さらに、微小片に破砕されることにより、フレーク状ガラス基材1を得る。環状プレート23の間隔、空気流の速度等を調節することによって、フレーク状ガラス基材1の厚さを制御できる。
【0032】
第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材の少なくともいずれか一方に対し、結合剤成分を含む表面処理剤によって表面処理が施されていてもよい。すなわち、換言すると、第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材の少なくともいずれか一方のフレーク状ガラス基材の表面の少なくとも一部が、結合剤成分を含む被覆膜によって被覆されていてもよい。
【0033】
被覆膜に含まれる結合剤成分は、特には限定されず、フレーク状ガラス基材の表面処理に用いられる公知の結合剤成分を適宜使用可能である。例えば、有機系の結合剤成分として、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル及びウレタン樹脂等が挙げられる。また無機系の結合剤成分としては、水ガラス、コロイダルシリカ及びコロイダルアルミナ等が例示される。
【0034】
被覆膜は、ガラス表面とマトリックス樹脂との親和性を上げるためのカップリング剤成分をさらに含んでいてもよい。カップリング剤成分としては、シランカップリング剤が好適に用いられるが、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤及びジルコニア系カップリング剤等も使用可能である。また、カップリング剤は、複数種を組み合わせて用いることも可能である。シランカップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0035】
被覆膜は、結合剤成分及びカップリング剤成分以外の他の成分、例えば架橋剤等を、必要に応じて含んでいてもよい。
【0036】
被覆膜を形成する方法、すなわちフレーク状ガラス基材の表面処理の方法は、特に限定されない。例えば、表面処理剤は、結合剤成分である樹脂等を予め乳化剤等により水に均一に分散させたものと、カップリング剤成分を加水分解させたものとを混合するか、又は、常温大気圧下で結合剤成分である樹脂及びカップリング剤成分等を有機溶媒中に適宜添加して均一になるまで攪拌することにより製造できる。得られた表面処理剤を、例えばフレーク状ガラス基材に添加して攪拌し、乾燥させることによって、フレーク状ガラス基材の表面の少なくとも一部を被覆する被覆膜を形成することができる。表面処理剤の添加、攪拌及び乾燥の具体的な方法は、特には限定されないが、その例を以下に説明する。
【0037】
例えば、回転円盤混合機や、混合容器内に回転式ブレードを備えたヘンシェルミキサー等の混合機において、フレーク状ガラス基材を流動させつつ所定量の表面処理剤をスプレー等で添加し、混合攪拌する。次に、混合機中で攪拌しながらフレーク状ガラス基材を乾燥させる、又は混合機からフレーク状ガラス基材を取り出して乾燥させる。この方法により、フレーク状ガラス基材の表面に被覆膜を形成することができる。
【0038】
また、別の例として、特開平2-124732号公報に記載されるような転動造粒方式を用いても、フレーク状ガラス基材の表面に被覆膜を形成することができる。すなわち、攪拌羽根を備える水平振動型造粒機内にフレーク状ガラス基材を入れ、これに表面処理剤を噴霧して造粒することによっても、フレーク状ガラス基材の表面に被覆膜を形成することができる。
【0039】
上記以外でも、一般的に攪拌造粒法、流動層造粒法、噴射造粒法及び回転造粒法と呼ばれる公知の方法を適用することによって、フレーク状ガラス基材の表面に被覆膜を形成できる。
【0040】
乾燥工程は、例えば、表面処理剤に用いられている溶媒の沸点以上の温度にフレーク状ガラス基材を加熱して、溶媒が揮発するまで乾燥させることによって行われる。
【0041】
フレーク状ガラスにおける被覆膜の含有割合は、例えば、添加又は噴霧する表面処理剤における固形分の濃度を調整することにより制御できる。
【0042】
第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材に上記の表面処理を施す場合、第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材の混合は、表面処理前でもよいし、表面処理後でもよい。すなわち、第1及び第2のフレーク状ガラス基材を混合した後、その混合されたフレーク状基材に対して表面処理剤を添加して攪拌し、その後乾燥させてもよいし、予め別々に表面処理された第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材を混合してもよい。ただし、予め別々に表面処理された第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材を混合した場合、例えば表面処理時に顆粒にするための処理も行われている場合にはフレーク状ガラス基材がそれぞれ顆粒状態となっているため、輸送中や使用条件などによっては顆粒の粒径の違いから偏りを生じる可能性がある。そのため、表面処理は第1のフレーク状ガラスと第2のフレーク状ガラスとを混合した後で行うことが好ましい。
【0043】
次に、本実施形態の樹脂組成物について説明する。
【0044】
本実施形態の樹脂組成物は、上記のような本実施形態のフレーク状ガラスと、マトリックス樹脂とを含む。
【0045】
マトリックス樹脂としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド又はこれらの共重合体、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、並びに、液晶ポリマー(I型、II型及びIII型)等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。本実施形態のフレーク状ガラスは、特に熱可塑性樹脂がマトリックス樹脂として用いられる場合に樹脂成形品に対する高い補強効果を実現でき、特にポリカーボネートやポリブチレンテレフタレートを用いた場合により高い補強効果を実現できる。
【0046】
樹脂組成物中のフレーク状ガラスの含有率は、5~70質量%が好ましい。5質量%以上とすることで、フレーク状ガラスの補強材としての機能を十分に発揮させることができる。一方、70質量%以下とすることで、樹脂組成物中でフレーク状ガラスを均一に分散させることができる。成形収縮率をより低く抑えるために、フレーク状ガラスの含有率を30質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
【0047】
なお、樹脂組成物は、その用途に応じて、ガラス繊維等のフレーク状ガラス以外の補強材を含有してもよい。例えば、電器・電子機器部品の用途では、非常に高い強度が要求されることから、フレーク状ガラスと同量程度のガラス繊維を混合してもよい。
【0048】
本実施形態の樹脂組成物を用いて作製した樹脂成形品は、本実施形態のフレーク状ガラスが含まれていることにより、高い引張強度及び曲げ強度等の優れた強度特性と、優れた耐衝撃特性との両方を実現することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
[実施例1]
(フレーク状ガラス)
まず、第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材として、以下の2種のフレーク状ガラス基材を準備した。なお、以下に示す第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材の平均厚さは、それぞれのフレーク状ガラス基材から100枚を抜き取り、それら100枚のフレーク状ガラス基材についてSEMを用いて厚さを測定し、その平均値を求めて得られた値である。また、以下に示す第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材の厚さ分布(個数基準)における最大頻度の厚さD1及びD2は、それぞれのフレーク状ガラス基材から300枚を抜き取り、それら300枚のフレーク状ガラス基材について干渉位相差顕微鏡を用いて厚さを測定し、その厚さ分布(個数基準)から最大頻度の厚さを求めた値である。
第1のフレーク状ガラス基材:日本板硝子株式会社製、「マイクログラス ファインフレーク(登録商標) MEG160FY」(Eガラス、平均厚さ0.7μm、厚さD1は0.7μm±25%、平均粒径160μm)
第2のフレーク状ガラス基材:日本板硝子株式会社製、「マイクログラス(登録商標) ガラスフレーク(登録商標) REF-160」(Eガラス、平均厚さ5μm、厚さD2は5μm±25%、平均粒径160μm)
【0051】
第1のフレーク状ガラス基材と第2のフレーク状ガラス基材とを以下の質量比で均一に混合した。
第1のフレーク状ガラス基材:第2のフレーク状ガラス基材=25.8:4.2
【0052】
次に、得られたフレーク状ガラス基材の混合物5kgをヘンシェルミキサーに投入し、結合剤成分とカップリング剤成分とを含む表面処理剤をスプレーでミキサー内に添加しながら、15分間混合及び攪拌を行った。ここで用いた表面処理剤は、シランカップリング剤としてγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(チッソ株式会社製、サイラエースS330)、結合剤成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂エマルションを実固形分換算で10:90(質量比)の割合で混合したものであった。
【0053】
その後、ミキサーからフレーク状ガラス(未乾燥)を取り出し、乾燥機にて125℃で8時間乾燥を行い、実施例1のフレーク状ガラスを得た。
【0054】
得られたフレーク状ガラスにおける被覆膜(表面処理剤の固形分)の付着率を強熱減量法にて調べた。具体的には、適量のフレーク状ガラスを110℃にて乾燥した後、625℃の雰囲気で加熱してフレーク状ガラスの表面から結合剤を除去した。加熱前のフレーク状ガラスの質量と加熱後のフレーク状ガラスの質量との差から、フレーク状ガラスにおける被覆膜の付着率を算出した。結果を表1に示す。
【0055】
(樹脂成形品)
実施例1のフレーク状ガラスとポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ユーピロンS3000F)とを押出成形機(株式会社テクノベル製、KZW15-30MG、成形温度:約270~280℃)にて混練し、マトリックス樹脂としてのポリカーボネートと、補強用の充填材としてのフレーク状ガラスとを含む樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、HM7)にて成形して、樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品におけるフレーク状ガラスの含有率は30質量%であった。
【0056】
また、樹脂成形品の特性を調べた。最大引張強度はJIS K 7113に従って測定した。最大曲げ強度及び曲げ弾性率はJIS K 7171に従って測定した。アイゾット衝撃強度はJIS K 7111-1に従って測定した。測定結果を表1に示す。
【0057】
[実施例2~8]
(フレーク状ガラス)
第1のフレーク状ガラス基材及び第2のフレーク状ガラス基材として、以下の2種のフレーク状ガラス基材(表面処理込みのもの)を準備した。なお、以下に示す2種のフレーク状ガラスの平均厚さは、表面処理前に測定したものである。
第1のフレーク状ガラス基材:日本板硝子株式会社製、「マイクログラス ファインフレーク(登録商標) MEG160FY-M01」(Eガラス、平均厚さ0.7μm、平均粒径160μm、被覆膜(表面処理剤の固形分(結合剤成分:(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)の付着率0.7質量%)
第2のフレーク状ガラス基材:日本板硝子株式会社製、「マイクログラス(登録商標) フレカ(登録商標) REFG-301」(Eガラス、平均厚さ5μm、平均粒径160μm、被覆膜(表面処理剤の固形分(結合剤成分:(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)の付着率0.6質量%)
なお、実施例1で使用したビスフェノールA型エポキシ樹脂と、MEG160FY-M01及びREFG-301の結合剤成分のビスフェノールA型エポキシ樹脂とは、同一のものである。
【0058】
第1のフレーク状ガラス基材と第2のフレーク状ガラス基材とを、表1に示す質量比で均一に混合して、各実施例のフレーク状ガラスを得た。
【0059】
(樹脂成形品)
得られた実施例2~8のフレーク状ガラスについて、実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、それらの各種特性を測定した。結果を表1に示す。
【0060】
[比較例1]
日本板硝子株式会社製の「マイクログラス ファインフレーク(登録商標) MEG160FY-M01」(Eガラス、平均厚さ0.7μm、平均粒径160μm、被覆膜(表面処理剤の固形分(結合剤成分:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)の付着率0.7質量%)の1種のみをフレーク状ガラスとして用いた。この1種のフレーク状ガラスを用いること以外は実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、その各種特性を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
[比較例2]
日本板硝子株式会社製の「マイクログラス(登録商標) フレカ(登録商標) REFG-301」(Eガラス、平均厚さ5μm、平均粒径160μm、被覆膜(表面処理剤の固形分(結合剤成分:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)の付着率0.6質量%)の1種のみをフレーク状ガラスとして用いた。この1種のフレーク状ガラスを用いること以外は実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、その各種特性を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
【0063】
比較例1の樹脂成形品は、フレーク状ガラスとして、平均厚さ0.7μmのフレーク状ガラス基材に表面処理が施されたもののみを含んでいる。比較例1の樹脂成形品は、引張強度、曲げ強度及び曲げ弾性率が高く強度特性は優れているものの、アイゾット衝撃強度は低く、耐衝撃特性は劣っている。また、比較例2の樹脂成形品は、フレーク状ガラスとして、平均厚さ5μmのフレーク状ガラス基材に表面処理が施されたもののみを含んでいる。比較例2の樹脂成形品は、アイゾット衝撃強度は高く耐衝撃特性は優れているものの、引張強度、曲げ強度及び曲げ弾性率は低くなっており、強度特性は劣っている。これらの比較例に対し、平均厚さが異なる2種のフレーク状ガラス基材を含んでいる実施例1~8の樹脂成形品は、比較例1の樹脂成形品よりも高いアイゾット衝撃強度と、比較例2の樹脂成形品よりも高い強度とを実現しており、優れた強度特性と優れた耐衝撃特性との両方を有している。
【0064】
[実施例9]
表面処理剤の結合剤成分をエチレングリシジルメタクリレートグラフト共重合体(PE-GMA)に変更し、フレーク状ガラスにおける被覆膜の付着率を0.6質量%とし、さらに第1のフレーク状ガラス基材と第2のフレーク状ガラス基材との質量比を表2に示すように変更した以下は、実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、その各種特性を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
[比較例3]
日本板硝子株式会社製の「ガラスフレーク(登録商標) MEG160FY」(Eガラス、平均厚さ0.7μm、平均粒径160μm)の1種のみをフレーク状ガラスとして用いた点以外は、実施例9と同じ方法で樹脂成形品を作製し、その各種特性を測定した。結果を表2に示す。
【0066】
【0067】
比較例3の樹脂成形品は、フレーク状ガラスとして、平均厚さ0.7μmのフレーク状ガラス基材に表面処理が施されたもののみを含んでいる。比較例3の樹脂成形品は、引張強度、曲げ強度及び曲げ弾性率が高く強度特性は優れているものの、アイゾット衝撃強度は低く、耐衝撃特性は劣っている。これに対し、比較例3で用いられたフレーク状ガラスに、さらに平均厚さ5μmのフレーク状ガラス基材に表面処理が施されたものを添加した実施例9の樹脂成形品では、比較例3の樹脂成形品の強度よりはやや劣るものの優れた強度特性を維持しつつ、耐衝撃特性が向上している。このように、平均厚さが異なる2種のフレーク状ガラス基材を含んでいる実施例9の樹脂成形品は、優れた強度特性と優れた耐衝撃特性との両方を有している。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のフレーク状ガラスは、優れた強度特性と優れた耐衝撃特性との両方を有しているので、様々な用途に適用可能である。例えば、本発明のフレーク状ガラスを含む樹脂組成物は、自動車の分野、並びに、電気及び電子部品の分野等で好適に用いられる。