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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】刺股
(51)【国際特許分類】
   F41B 15/00 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
F41B15/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019096555
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020190373
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】519186129
【氏名又は名称】山本 知明
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】山本 知明
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331220(JP,A)
【文献】登録実用新案第3105333(JP,U)
【文献】特開2006-292345(JP,A)
【文献】特開2002-115995(JP,A)
【文献】特開2007-071446(JP,A)
【文献】特開2006-258319(JP,A)
【文献】特開2011-106748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 15/00
E01F 1/00,13/00-15/14
E04H 17/00-17/26
E04G 21/24-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者によって把持される棒体(10)と、この棒体(10)の先端(11)に設けられた枠体(20)とを備えた刺股であって、
前記枠体(20)は、外枠(21)と、この外枠(21)内を複数の区画(21a)に区切る仕切部(22)とを備え、
前記枠体(20)の前面(20f)に設けられる前面側粘着層(23)と、
前記枠体(20)の背部(20r)に設けられて、該背部(20r)を覆う防刃布(24)と、
この防刃布(24)と前記枠体(20)との間に設けられる背面側粘着層(25)と、
を備えることを特徴とする刺股。
【請求項2】
請求項1において、
前記仕切部(22)は、外枠(21)内を放射状に仕切る第1仕切部(22b)と、外枠(21)内を周方向において仕切る第2仕切部(22c)とを有していることを特徴とする刺股。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記枠体(20)は前記棒体(10)の先端(11)に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする刺股。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺股に関するものである。より詳しくは、使用者によって把持される棒体と、この棒体の先端に設けられた枠体とを備えた刺股(捕具)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1の要約に記載されているように、「犯人の体に押し当てるだけで身体の自由を奪うこと」を目的とし、「把手2の前部に設けた基部3に、先端側の幅が広くなる二枚の支持体4,4を軸棒5,5で可動軸止して成る前記支持体4,4の前端部に、強力な粘着剤6を施した面につまみ9付き剥離紙10を備えた粘着シ-ト7を掛け渡すように取り付けた粘着型の刺股1」が知られている。
【0003】
この刺股によれば、犯人の体に押し当てることにより身体の自由を奪うことが可能であると思われる。
【0004】
しかしこの刺股は、例えば同文献図4に見られるように犯人が刃物を持っていて、刃物で、粘着シート7を切断しようとした場合の対処については考慮されていない。
【0005】
同文献0013段落の末部には、「さらに、仮に粘着シ-ト7を刃物で切断された場合でも、二股状の支持体4,4によって従来の刺股と同様の防御効果を得ることが可能な刺股1である。」と記載されているが、この記述は、粘着シート7が切断されてしまった後の防御効果についての記述であり、粘着シート7を切断しようとした場合の対処については必ずしも考慮されていない。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-292345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、犯人の体に押し当てることにより身体の自由を奪うことが可能であるばかりでなく、刺股を切断しようとする刃物を奪うことができる刺股を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の刺股は、
使用者によって把持される棒体と、この棒体の先端に設けられた枠体とを備えた刺股であって、
前記枠体は、外枠と、この外枠内を複数の区画に区切る仕切部とを備え、
前記枠体の前面に設けられる前面側粘着層と、
前記枠体の背部に設けられて、該背部を覆う防刃布と、
この防刃布と前記枠体との間に設けられる背面側粘着層と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
この刺股は、使用者によって把持される棒体と、この棒体の先端に設けられた枠体とを備え、枠体の前面には前面側粘着層が設けられているので、使用者は、棒体を持ち、枠体および前面側粘着層を犯人に押し付けることで、犯人の自由を奪うことができる。
【0011】
また、枠体は、外枠と、この外枠内を複数の区画に区切る仕切部とを備え、
枠体の前面には前面側粘着層が設けられ、
枠体の背部には、該背部を覆う防刃布が設けられるとともに、この防刃布と枠体との間には背面側粘着層が設けられているので、
例えば、犯人が枠体前面の粘着層を切断しようとして刃物を枠体に突き刺した場合、刃物は、その先端が防刃布にあたって突抜が阻止されるとともに、枠体に刺さった部位は前面側粘着層と背面側粘着層とで接着ないし吸着されて抜けにくくなる。
そこで、使用者が棒体および枠体を回動させると、枠体に刺さった部位が仕切部に当接することで刃物および犯人の手首が捻られ、犯人から刃物を奪うことが可能となる。
【0012】
以上のように、本発明の刺股によれば、棒体を持って枠体を犯人の体に押し当てることにより身体の自由を奪うことが可能であるばかりでなく、刺股を切断しようとする刃物を奪うことが可能となる。
【0013】
この刺股においては、
前記仕切部は、外枠内を放射状に仕切る第1仕切部と、外枠内を周方向において仕切る第2仕切部とを有している構成とすることができる。
このように構成すると、外枠内をバランス良く区画できるとともに、枠体を効率よく補強することができる。
【0014】
この刺股においては、
前記枠体は前記棒体の先端に対して着脱可能に取り付けられている構成とすることができる。
このように構成すると、枠体を取り替えて再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る刺股の実施の形態を示す図で、(a)は正面図、(b)は図(a)におけるb-b断面図、(c)は枠体20の枠組みを示す正面図。
図2】(a)は図1(b)の部分拡大図、(b)(c)はそれぞれ図(a)の部分拡大図。
図3】作用説明図。
図4】枠体20の断面図。
図5】変形例を示す部分切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る刺股の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0017】
図1に示す刺股1は、使用者によって把持される棒体10と、この棒体10の先端11に設けられた枠体20とを備えている。
【0018】
主として図1(c)および図2に示すように、枠体20は、外枠21と、この外枠21内を複数の区画21aに区切る仕切部22とを備えている。
【0019】
そして、この刺股1は、
枠体20の前面20fに設けられる前面側粘着層23と、
枠体20の背部20rに設けられて、該背部20rを覆う防刃布24と、
この防刃布24と前記枠体20との間に設けられる背面側粘着層25と、
を備えている。
【0020】
この刺股1は、使用者によって把持される棒体10と、この棒体10の先端11に設けられた枠体20とを備え、枠体20の前面20fには前面側粘着層23が設けられているので、使用者は、棒体10を持ち、枠体20および前面側粘着層23を犯人に押し付けることで、犯人の自由を奪うことができる。枠体20および前面側粘着層23を犯人の顔にくっつけて犯人の視野を奪うこともできる。また、枠体20および前面側粘着層23を犯人が持っている鈍器や刃物に押し付け、くっつけて奪うことも可能である。
【0021】
枠体20は、外枠21と、この外枠21内を複数の区画21aに区切る仕切部22とを備え、
枠体20の前面20fには前面側粘着層23が設けられ、
枠体20の背部20rには、該背部20rを覆う防刃布24が設けられるとともに、この防刃布24と枠体20との間には背面側粘着層25が設けられているので、
例えば、犯人が枠体20の前面20fの粘着層23を切断しようとして、例えば図3に示すように、刃物2を枠体20に突き刺した場合、刃物2は、その先端2cが防刃布24にあたって突き抜けが阻止されるとともに、枠体20に刺さった部位2bは前面側粘着層23と背面側粘着層25とで接着ないし吸着されて枠体20から抜けにくくなる。
【0022】
そこで、使用者が棒体10および枠体20を、例えば図1図3に矢印Rで示すように回動させると、枠体20に刺さった部位20bが仕切部22に当接することで刃物2および犯人の手首が捻られ、犯人から刃物2を奪うことが可能となる。
【0023】
以上のように、この実施の形態の刺股1によれば、棒体10を持って枠体20を犯人の体に押し当てることにより犯人の身体の自由を奪うことが可能であるばかりでなく、刺股1を切断しようとする刃物2を奪うことが可能となる。
【0024】
図1(c)および図2に示すように、仕切部22は、外枠21内を放射状に仕切る第1仕切部22bと、外枠21内を周方向において仕切る第2仕切部22cとを有している。
【0025】
このように構成すると、外枠21内をバランス良く区画できるとともに、枠体20を効率よく補強することができる。
【0026】
枠体20は棒体10の先端11に対して着脱可能に取り付けられている。
このように構成すると、枠体20を取り替えて再利用することが可能となる。
【0027】
棒体10は、公知の適宜の材料、例えばアルミパイプで構成することができる。
棒体10には、摩擦係数の高いゴム又は合成樹脂、木材、その他からなる太経のグリップ部12(図1)を設けることが望ましい。
【0028】
枠体20は、公知の適宜の材料、例えばアルミパイプで構成することができる。外枠21と、仕切部22との接合部Bおよび第1仕切部22bと第2仕切部22cとの接合部Bは、それぞれ適宜の固着手段(例えば溶接)で固着する。
【0029】
図示の枠体20は、円柱状の基部26の先端にフランジ部26fを設け、このフランジ部26fと外枠21とを放射状の第1仕切部22bで連結している。
【0030】
前面側粘着層23は、図1(a)に示すように適宜の材料からなる正面視円形の基材シート23b(図2(b))の表面に前面側粘着層23を形成し、基材シート23bの裏面に接着層23cを形成し、この接着層23cを枠体20の表面(この場合、フランジ部26fの表面、外枠21の表面および第1仕切部22bの表面)に接着することで、枠体20の前面20fに設けられている。前面側粘着層23、接着層23cは、それぞれ粘着力の強い粘着剤で構成する。
【0031】
防刃布24および背面側粘着層25は、例えば、図2(a)(c)に示すように、中央に穴24hを有する背面視円形の防刃布24の表面(枠体20側)に背面側粘着層25を形成し、この背面側粘着層25を枠体20の背面(この場合、フランジ部26fの背面、外枠21の背面、および第2仕切部22cの背面)に接着することで、枠体20の背面20rに設けられている。防刃布24は公知の防刃布を採用する。背面側粘着層25は粘着力の強い粘着剤で構成する。
【0032】
枠体20を棒体10の先端11に対して着脱可能とする構成は、公知の適宜の構成を採用することができる。
図2(a)に示すように、この実施の形態では、棒体10の先端部11と、この先端部11に挿入される枠体20の基部26とに、それぞれボルト挿通穴Hを設け、この穴Hに挿入されるボルト27bとナット27nとで、枠体20を棒体10の先端11に対して着脱可能に固定している。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
例えば、
【0034】
図示の枠体20の基部26は円柱状としたが、パイプ状としても良い。
【0035】
図5に示すように、枠体20は、前面中央部20mが少し凹んだ凹形状としてもよい。
このように構成すると、犯人を押し付けやすくなる。
【符号の説明】
【0036】
1: 刺股
10: 棒体
11: 先端
20: 枠体
21: 外枠
22: 仕切部
22b: 第1仕切部
22c: 第2仕切部
23: 前面側粘着層
24: 防刃布
25: 背面側粘着層
図1
図2
図3
図4
図5