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▶ ツェー アー カズィゾ アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】血液検査システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20220128BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220128BHJP
   G01N 33/86 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N33/86
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019215835
(22)【出願日】2019-11-28
(62)【分割の表示】P 2018528982の分割
【原出願日】2016-12-02
(65)【公開番号】P2020038223
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2020-01-06
(31)【優先権主張番号】14/958,890
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511151145
【氏名又は名称】ツェー アー カズィゾ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エム.ゴリン
(72)【発明者】
【氏名】コーリー リー マクラスキー
(72)【発明者】
【氏名】フーベルト マーティン シュヴァイガー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ヒルマン
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0328732(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0329082(US,A1)
【文献】特開2001-258868(JP,A)
【文献】特表2012-513582(JP,A)
【文献】国際公開第2015/095658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
G01N 37/00
G01N 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の粘弾性特性を測定するための測定システム用のカートリッジデバイスであって、
複数の流体チャネルを含むカートリッジ本体部であって、前記複数の流体チャネルの中の一つの流体チャネルは、
入口ポート及び出口ポートを備え、検査サンプルを受容するための測定チャンバであって、前記測定チャンバの入口ポートは前記測定チャンバの出口ポートの上部に配置される測定チャンバ
少なくとも1の試薬を保持し、前記測定チャンバからの前記検査サンプルを受容するための混合チャンバであって、前記測定チャンバと流体連通している混合チャンバ、
前記検査サンプルと前記少なくとも1の試薬との混合物を基にした液体を受容するための検査チャンバであって、前記検査チャンバは前記混合チャンバと流体連通しており、前記測定チャンバは、前記混合チャンバと流体連通しており、前記混合チャンバは、前記検査チャンバと流体連通する検査チャンバ、
と、
前記カートリッジ本体部の少なくとも一部に熱をもたらす加熱エレメント、
とを含み、
前記検査チャンバは前記検査チャンバ内に受容した前記液体を検査できるように構成され、前記検査は前記液体の粘弾性の測定であり、
前記測定チャンバへの、前記測定チャンバと前記混合チャンバとの間の、または前記混合チャンバと前記検査チャンバとの間の、少なくとも1の流体フローは、前記カートリッジ本体部において、少なくとも1の圧力ポートと少なくとも1のベントポートとを、選択的制御することにより実装される圧力の変更に基づき制御可能である、流体チャネルを含むカートリッジ本体部
を含むカートリッジデバイス。
【請求項2】
前記カートリッジ本体部は、前記測定チャンバを含むN(N>1)の測定チャンバと、前記混合チャンバを含むN混合チャンバと、前記検査チャンバを含むN検査チャンバを含み、
各N番目の検査チャンバはN番目の測定チャンバからの検査サンプルとN番目の混合チャンバからの試薬との混合物を基とした液体を受容するためであり、
各N番目の検査チャンバは前記N番目の検査チャンバに受容された前記液体を検査することができるように構成されている、請求項1に記載のカートリッジデバイス。
【請求項3】
前記N番目の混合チャンバの少なくとも2つが異なる試薬を含む、請求項2に記載のカートリッジデバイス。
【請求項4】
前記検査サンプルは血液を含み、前記検査サンプルは前記カートリッジ内に針を通って受容される請求項1に記載のカートリッジデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1のベントポートは複数のベントポートを含み、前記少なくとも1の圧力ポートは複数の圧力ポートを含み、
前記測定チャンバの流体フローはベントポートを閉鎖し、前記複数の圧力ポートの間の真空ポートに対して負圧を印加することにより実施される、請求項1に記載のカートリッジデバイス。
【請求項6】
前記測定チャンバから前記混合チャンバ内への流体フローは、前記複数の圧力ポート内の圧力ポートでの圧力を変更することにより実施される請求項1に記載のカートリッジデバイス。
【請求項7】
前記混合チャンバから前記検査チャンバへの流体フローは前記圧力ポートに対して正圧を印加することにより実施される、請求項6に記載のカートリッジデバイス。
【請求項8】
前記試薬の前記検査サンプルとの混合は少なくとも一部が混合チャンバで行われる請求項1に記載のカートリッジデバイス。
【請求項9】
圧力の変更は前記検査サンプルを前記混合チャンバに流し、前記検査サンプルと前記少なくとも1の試薬との混合物を基にした液体を前記検査チャンバに流すこととなる請求項1に記載のカートリッジデバイス。
【請求項10】
前記カートリッジ本体部は、前記測定チャンバを含む4つの測定チャンバと、前記混合チャンバを含む4つの混合チャンバと、前記検査チャンバを含む4つの検査チャンバとを含む4つの流体チャネルを含み、
各検査チャンバは、同じ流体フロー経路の測定チャンバからの検査サンプルと、同じ流体フロー経路の混合チャンバからの試薬との混合物を基とした液体を受容するためであり、
各検査チャンバは前記検査チャンバに受容された前記液体を検査することができるように構成されている、請求項1に記載のカートリッジデバイス。
【請求項11】
血液の止血特性を測定するためのアナライザコンソールを用いたカートリッジデバイスを使用する方法であって、前記方法は、
前記アナライザコンソールに前記カートリッジデバイスを取り付けるステップであって、前記カートリッジデバイスは流体チャネルを含み、各流体チャネルは、
血液サンプルの一部を受容するための測定チャンバ、
前記測定チャンバと流体連通している混合チャンバ、
前記混合チャンバと流体連通している検査チャンバ、を含むステップ、と
前記カートリッジデバイス上のベントポートの構成と、前記カートリッジデバイス上の圧力ポートの正圧または負圧の印加と、を制御し、前記血液サンプルの一部またはそれらの派生物を前記測定チャンバ内に移動させ、前記測定チャンバから前記測定チャンバを通って前記検査チャンバに移動させるステップとを含み、
前記血液サンプルの一部の前記測定チャンバへ移動させるステップは、前記測定チャンバと流体連通しているベントポートを閉鎖し、前記ベントポートは前記測定チャンバと前記混合チャンバとの間の流路から外れていることを含む、方法。
【請求項12】
前記血液サンプルの一部またはそれらの派生物を前記測定チャンバから前記検査チャンバに移動させるステップは、前記カートリッジデバイスの少なくとも一部に対して加熱を施すことにより行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
あらかじめ決められた温度で、前記カートリッジデバイスの少なくとも一部を保持するよう、加熱の実施を制御するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記血液サンプルの一部を前記測定チャンバに移動させるステップは、前記圧力ポートの間で真空ポートに対して負圧を印加することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記血液サンプルの一部を前記測定チャンバから前記混合チャンバに移動させるステップは、圧力ポートで圧力を変更することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記血液サンプルの一部を前記測定チャンバから前記混合チャンバに移動させるステップは、前記圧力ポートに対して正圧を印加することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記流体チャネルは、第1の混合チャンバおよび第2の混合チャンバを含み、前記第1の混合チャンバおよび前記第2の混合チャンバは異なる試薬を含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の混合チャンバは第1の試薬を含み、前記第2の混合チャンバは第2の試薬を含み、
前記1の試薬または前記第2の試薬の少なくとも1つは凝固の活性剤を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の混合チャンバおよび前記第2の混合チャンバはそれぞれ、前記血液サンプルの第1の部分および第2の部分のそれぞれに溶解するように構成された試薬ビーズを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カートリッジデバイスを前記アナライザコンソールに取り付けた後、前記カートリッジデバイス内に前記血液サンプルを添加する請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記カートリッジデバイスを前記アナライザコンソールに取り付けるステップは、前記アナライザコンソール内に提供されたインターフェースエレメントにより前記カートリッジデバイスを取り外し可能に接続する請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文献は、ポイントオブケア全血液凝固分析のための自動化されたトロンボエラストメトリシステムなどの、血液サンプルの特性を検査するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月3日に出願された米国特許出願第14/958,890号明細書の利益を主張し、それは、2014年9月29日に出願された米国特許出願第14/500,248号明細書の一部継続出願であり、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
止血は、血管損傷および出血に対する人体の反応である。止血は、血小板と多数の血液凝固タンパク質(または、凝血因子)の間の協調努力を伴い、凝血塊の形成、および、その後の出血の停止を結果として生じさせる。
【0004】
様々な方法が、十分な凝血塊を形成するための血液の可能性を評価するために、および、凝血塊の安定性を決定するために導入されてきた。血小板算定またはフィブリン濃度の決定などの、共通の実験室テストは、テストされた成分が十分な量で利用可能であるかどうかということについての情報を提供するが、それらのテストのいくつかは、テストされた成分が生理学的な条件下で適正に働いているかどうかという質問に答えられない可能性がある。他の実験室テストは、血漿に働きかけており、それは、例えば、ポイントオブケアの文脈において(例えば、外科手術の間の手術室内で)好適なものを超える追加的な準備ステップおよび追加的な時間を課す可能性がある。
【0005】
十分な凝血塊を形成するための血液の可能性を評価するテストの別のグループは、「粘弾性方法」として知られている。少なくともいくつかの粘弾性方法において、凝血塊硬度(または、それに依存する他のパラメータ)が、例えば、第1のフィブリン線維の形成から線維素溶解による凝血塊の溶解まで、所定の期間にわたって決定される。凝血塊は血管損傷または切開の現場において血圧および剪断応力に抵抗しなければならないので、凝血塊硬度は生体内での止血に貢献する機能的なパラメータである。多くのケースでは、凝血塊硬度は、凝固活性化、トロンビン形成、フィブリン形成および重合、血小板活性化、ならびに、フィブリン-血小板相互作用を含む、複数の関連し合うプロセスから結果として生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
血液サンプル中の血小板、フィブリノゲン、および他の因子の特定の機能を隔離およびテストするために、試薬化合物は、血液サンプルと混合され、血液サンプル中の特定の成分を活性化または阻害することができる。いくつかの市販のポイントオブケア血液検査システムでは、液体試薬が、血液サンプルを含有する使い捨てのプラスチックカップの中へ注入され、次いで、カップが、血液検査システムの制御コンソールによって係合され、血液サンプルの凝固/凝血の特性を評価する。テストプロセスの一部として、システムは、例えば、試薬、血液、および、混合されたサンプルをディスペンスおよび測定するために、ピペットがオペレータによって使用されるときなどに、アッセイのそれぞれに関して、オペレータによる手動の介入を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
血液サンプル(それは、本明細書で使用されているように、血液または血漿などの血液製剤を含むと理解すべきである)の特性をテストするためのシステムのいくつかの実施形態はカートリッジを含むことが可能であり、カートリッジは制御コンソールと嵌合するように構成されており、また、ポイントオブケア全血液凝固分析のための血液サンプルを受け入れるように構成されている。特定の状況では、カートリッジは制御コンソールと相互作用するように構成されており、血液サンプルの一部分に対して、複数の自動化された輸送および検査動作を実施するようになっており、ポイントオブケアにおいて(例えば、患者が、外科室内で外科手術を受けている間に)患者の血液特性を示す信頼性の高い迅速な結果を提供する。例えば、システムは、自動化された検査プロセスを始めるために、カートリッジ(および、カートリッジにおける血液サンプル)およびオペレータからのインディケーションを受け取ることに応答して、血液凝固特性の詳細かつ迅速な結果を提供するための自動化されたトロンボエラストメトリシステムとしての役割を果たすことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリシステムは、再使用可能なアナライザコンソールと、コンソールと嵌合するように構成された1つまたは複数の使い捨てのカートリッジコンポーネントとを含む。1つの例では、トロンボエラストメトリシステムを動作させるために、ユーザは、カートリッジをアナライザコンソールの中へ挿入し、そして、アナライザコンソールによってプロンプトが表示されると、血液収集チューブ(全血液サンプルを含有する)をカートリッジのレシーバ部分の中へ挿入する。次いで、ユーザは、アナライザコンソールのユーザーインターフェースによってプロンプトが表示され、複数の自動化された血液の移送および検査の動作を開始させる。その後に、アナライザコンソールは、自動的に(カートリッジまたは血液サンプルとのさらなるユーザ相互作用を必要とすることなく)検査を実施し、定性的なグラフィック表現および定量的なパラメータを使用して、グラフィックディスプレイの上に結果を表示する。この特定の例では、ユーザによる試薬の手動のピペット操作、混合、またはハンドリングは必要とされない。いくつかの実施形態では、4つ以上のアッセイが、単一のカートリッジデバイスを使用して、血液サンプルの上で自動的に実施される。そのようなアッセイは、凝血時間、凝血塊形成、凝血塊の安定性、および溶解などの、止血の全体の動態に関する情報を提供する。そのうえ、そのような情報は、システムのユーザーインターフェースから迅速に出力され、ポイントオブケアにおいて(例えば、患者が、外科室内で外科手術を受けている間に)患者の血液特性を示す信頼性の高い迅速な結果を提供することができる。
【0009】
本明細書で説明される特定の実施形態は、血液検査コンソールとともに使用するためのカートリッジを含む。カートリッジは血液サンプルレシーバを含むことが可能であり、血液サンプルレシーバは、テストされることになる血液サンプルを受け入れるように構成されている。また、カートリッジは、1つまたは複数の血液処理および検査経路を含むことができる。それぞれの血液処理および検査経路は、血液サンプルの一部分を受け入れることが可能であり、また、血液サンプル体積測定チャンバ、混合チャンバ、および粘弾性血液検査チャンバを含むことができる。血液サンプル体積測定チャンバは血液サンプルレシーバと流体連通していることが可能であり、血液サンプル体積測定チャンバは、血液サンプルコンテナからの所定の体積の血液サンプルを含有するように、選択された内部体積とすることができる。混合チャンバは血液サンプル体積測定チャンバと流体連通し、また、試薬と流体連通していることが可能であり、混合チャンバは、血液サンプル体積測定チャンバから血液サンプルを受け入れ、受け入れられた血液を試薬と混合するように構成され得る。粘弾性血液検査チャンバは混合された血液および試薬を混合チャンバから受け入れるように構成され、混合された血液および試薬が検査チャンバの中に存在する間、混合された血液および試薬に対して粘弾性テストが実施される。
【0010】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、カートリッジデバイスは、血液サンプルレシーバと、血液サンプルレシーバと選択的に流体連通している複数の血液サンプル経路を含むことができる。それぞれの血液サンプル経路は、血液サンプルレシーバを介して所定量の血液サンプルを受け入れるための血液測定チャンバと、所定量の血液サンプルを受け入れ1つまたは複数の試薬と混合するための試薬混合チャンバと、血液サンプルを、1つまたは複数の試薬がそれと混合されている状態で試薬混合チャンバから受け入れるための血液凝固血液検査チャンバを含むことができる。オプションで、血液凝固血液検査チャンバは、血液凝固特性を測定するための可動プローブをその中に有することができる。
【0011】
本明細書で説明される様々な実施形態は、血液サンプルの粘弾性特性を測定するための測定システム用のカートリッジデバイスを含む。カートリッジは、血液サンプルレシーバと、血液サンプルレシーバと選択的に流体連通している少なくとも1つの血液サンプル経路とを含むことができる。血液サンプル経路は、血液サンプルレシーバを介して所定量の血液サンプルによって充填されるように構成されている血液測定チャンバと、所定量の血液サンプルを血液測定チャンバから受け入れるための、および、所定量の血液サンプルを1つまたは複数の試薬と混合するための、試薬混合チャンバと、血液サンプルを、1つまたは複数の試薬がそれと混合されている状態で、試薬混合チャンバから受け入れるための血液凝固血液検査チャンバと、所定量の血液サンプルを超える過剰な血液を血液測定チャンバから収集するように、血液サンプル経路と流体連通しているオーバーフローチャンバと、を含むことができる。オプションで、血液凝固血液検査チャンバは、血液凝固特性を測定するための可動プローブをその中に有することができる。
【0012】
本明細書で説明される他の実施形態は、血液サンプルの粘弾性特性を測定するための測定システムを含む。システムは、粘弾性測定コンポーネントを収容する制御ユニットを含むことができる。制御ユニットは外部ポートを画定することができる。また、システムは少なくとも1つの使い捨てカートリッジを含むことが可能であり、少なくとも1つの使い捨てカートリッジは、カートリッジの外部に沿ってアクセス可能な血液サンプル入口部と、カートリッジの内部に沿って位置決めされている複数の血液検査チャンバを含む。オプションで、制御ユニットは、外部ポートの中へ挿入されるときに使い捨てのカートリッジと取り外し可能に嵌合するように構成され、複数の血液検査チャンバが制御ユニット中に位置決めされていながら、カートリッジの血液サンプル入口部が制御ユニット外部に残る。
【0013】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、血液サンプルの粘弾性特性を測定するためのシステムを使用する方法を含む。方法は、血液サンプル入口部が外部に露出されたままとなるように、使い捨てのカートリッジを血液検査制御コンソールの中へ挿入することを含むことができる。また、方法は、血液サンプルリザーバを血液サンプル入口部に取り付けることを含むことができる。方法は、血液検査制御コンソールのユーザーインターフェースを介してユーザ入力を提供することをさらに含むことができ、血液検査チャンバのそれぞれの中の血液の粘弾性特性を測定するために、カートリッジの中の複数の血液検査チャンバへの血液サンプルリザーバの中の血液の自動化された輸送を開始させる。
【0014】
本明細書で説明される特定の実施形態では、血液サンプルの粘弾性特性を測定するための測定システム用のカートリッジデバイスは、血液サンプルリザーバコンテナと取り外し可能に嵌合するように構成されたキャビティを画定する血液サンプルレシーバ構造体を含み得る。また、カートリッジデバイスは、複数の血液検査チャンバを含むことができ、複数の血液検査チャンバは、血液サンプルレシーバ構造体から間隔を離して配置され、また、血液凝固特性を測定するための可動プローブをその中にそれぞれ有している。血液検査チャンバのすべては、血液サンプルレシーバ構造体に選択的に流体連通していてもよい。
【0015】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、血液サンプルの粘弾性特性を測定するための測定システム用のカートリッジデバイスは、血液凝固特性を測定するための複数の血液検査チャンバを含むことができる。血液検査チャンバのそれぞれは、大気に露出され、また、血液検査チャンバの側壁部に沿って位置決めされたサンプル入力ポートを有することができる。オプションで、血液検査チャンバのそれぞれは、血液検査チャンバのサンプル入力ポートよりも下方の高さにおいてカートリッジデバイスの中に画定されている、それぞれの試薬混合チャンバの出力ポートと流体連通している。
【0016】
本明細書で説明される様々な実施形態では、血液サンプルの粘弾性特性を測定するための測定システム用のカートリッジデバイスは、所定量の血液サンプルを受け入れて1つまたは複数の試薬ビーズと混合するための複数の試薬混合チャンバを含み得る。また、カートリッジデバイスは、混合チャンバの中の試薬混合ビーズのそれぞれの所定の垂直方向の位置を維持するために、試薬混合チャンバの中へ延在する複数の保持エレメントを含み得る。試薬混合チャンバのうちの少なくとも1つの保持エレメントは、複数の試薬混合ビーズを互いから間隔を離して配置された状態に維持するために、複数の試薬混合ビーズに係合できる。
【0017】
本明細書で説明される特定の実施形態では、血液サンプルの粘弾性特性を測定するための測定システム用のカートリッジデバイスは、所定量の血液サンプルを受け入れて1つまたは複数の試薬ビーズと混合するための複数の試薬混合チャンバを含むことができる。また、カートリッジデバイスは、試薬混合チャンバによって保持されている可動混合エレメントを含むことができる。可動混合エレメントは、血液サンプルに対して不活性な材料を含むことができる。カートリッジデバイスは、可動混合エレメントから間隔を離して配置された位置に試薬混合ビーズを維持するために、試薬混合チャンバの中へ延在する複数の保持エレメントをさらに含むことができる。
【0018】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、血液サンプルの凝固特性を測定するための方法を含み得る。方法は、血液検査カートリッジが血液検査制御ユニットのレシーバ部分の中へ挿入されていることを検出することを含むことができる。また、方法は、血液検査制御ユニットのユーザーインターフェースを介した入力のためにユーザにプロンプトを表示することを含むことが可能であり、血液検査チャンバのそれぞれの中の血液の粘弾性特性を測定するために、カートリッジの中の1つまたは複数の血液検査チャンバへの血液サンプルリザーバの中の血液の自動化された輸送を開始させる。方法は、血液検査カートリッジの血液サンプルレシーバからカートリッジの中の1つまたは複数の血液検査チャンバのそれぞれへ、所定量の血液サンプルを自動的に輸送することをさらに含むことができる。また、オプションで、方法は、血液凝固特性を測定するために、カートリッジのそれぞれの血液検査チャンバの中のプローブを移動させることを含むことができる。方法は、ユーザーインターフェースを介して血液凝固特性の測定結果を表示することをさらに含むことができる。
【0019】
本明細書で説明される他の実施形態は、血液サンプルの凝固特性を測定するための制御コンソールを含む。制御コンソールは制御ユニットハウジングを含むことができ、制御ユニットハウジングは、使い捨てのカートリッジ(それは、オプションで、その中に複数の血液検査チャンバを有することが可能であり、また、使い捨てのカートリッジの複数の血液検査チャンバの中の血液サンプルの凝固特性を測定するように構成された複数の測定コンポーネントを有することが可能である)を取り外し可能に受け入れるように構成された少なくとも1つのインターフェースエレメントを収容している。また、制御コンソールは1つまたは複数の加熱エレメントを含むことが可能であり、1つまたは複数の加熱エレメントはインターフェースエレメントの近位に位置決めされており、また、所定のテスト関連の温度(例えば、いくつかの実施形態では、37℃)までカートリッジを加熱するように構成されている。制御コンソールは、インターフェースエレメントの近位に位置決めされている1つまたは複数の温度センサをさらに含むことができる。制御ユニットは、使い捨てのカートリッジの複数の血液検査チャンバが所定の温度に到達したことを温度センサが示した後に、使い捨てのカートリッジの複数の血液検査チャンバに血液を輸送するように構成され得る。
【0020】
本明細書で説明される実施形態のうちのいくつかまたはすべては、以下の利点のうちの1つまたは複数を提供することができる。第1にトロンボエラストメトリシステムのいくつかの実施形態は自動化されるように構成されており、システムとのユーザ相互作用が最小化される。結果として、特に、手術室のようなポイントオブケアの文脈において、人的資源をより高効率で利用し得る。また、ユーザ相互作用の低減は、測定の不正確さおよび試薬混合エラーなどの、手動のオペレータエラーの機会を低減させる。したがって、より正確なトロンボエラストメトリの結果が、いくつかの状況において得られる。
【0021】
第2に、いくつかの実施形態では、カートリッジコンポーネントは複数の流体チャネルを含み、複数の流体チャネルはそれぞれ個別に制御可能であり、複数の異なるアッセイが血液サンプルの単一の供給から実施され得る。例えば、それぞれの流体チャネルは専用のバルブおよび専用のベントを含み、それらはアナライザコンソールによって制御可能であり、それぞれの流体チャネルの血液フローおよび検査が個別に制御可能である。この特徴は、トロンボエラストメトリシステムが洗練されたアッセイプロセスの自動的な実施を可能にする。
【0022】
第3に、いくつかの実施形態では、アナライザコンソールは、複数の品質制御動作/確認を実施するように構成され、血液テスト結果が損なわれていないことを保証する。例えば、アナライザコンソールは、血液サンプルがカートリッジの検査チャンバに分配される前に、血液検査カートリッジが目標温度(例えば、約37℃)まで加熱されているということを確認するように構成され得る。血液サンプルの温度は、いくつかの状況では、凝固特性に影響を及ぼす可能性があるので、トロンボエラストメトリ結果の精度は、そのような温度制御動作/確認の結果として強化され得る。
【0023】
第4に、カートリッジデバイスの特定の実施形態では、カートリッジの流体チャネルを通る血液流路の幾何学形状は、血液を乱す(例えば、泡形成を引き起こすなど)可能性、および/または、血液テスト結果の精度に悪影響を与える可能性のある様式で、血液に損傷を与える可能性を低減させるように構成されている。
【0024】
第5に、いくつかの実施形態では、血液検査カートリッジ(および、オプションで、血液収集リザーバ)は、1つまたは複数のコンピュータ可読のコンポーネントを装備していることが可能であり、それぞれの血液サンプル検査サイクルに関してアナライザコンソールの関連情報を迅速に移送する。例えば、それぞれのカートリッジは、バーコード、近距離無線通信タグ、およびRFIDタグなどをラベル付けされ、それらは、例えば、それに限定されないが、カートリッジによって実施されることになるアッセイのタイプ、カートリッジの中の試薬コンテナのタイプ、製造業者情報、または有効期限などの、情報を含む。そのような実施形態では、アナライザコンソールは、アナライザコンソールの中へカートリッジの挿入のときにバーコードをスキャンするバーコードリーダー(または、近距離無線通信タグもしくはRFIDタグなどのためのリーダー)を含むことができる。アナライザコンソールは、バーコードから読み取られたデータに応答して、適当なアクションを自動的に実施する。別の例では、対応するカートリッジとともに使用されることになるそれぞれの血液収集リザーバは、バーコード、近距離無線通信タグ、およびRFIDタグなどをラベル付けされ、それらは、例えば、それに限定されないが、患者情報、臨床医情報、または較正情報などの、情報を含む(例えば、それは、アナライザコンソールの対応するリーダーデバイスによって読み取り可能である)。
【0025】
第6に、カートリッジのそれぞれの流体経路は、混合チャンバを含むことが可能であり、混合チャンバは、1つまたは複数の試薬と、その中に位置付けされている混合エレメントとを備えている。いくつかの実施形態では、試薬は、可溶性試薬ビーズを含む。カートリッジの混合チャンバは、1つまたは複数の試薬ビーズを互いから分離するように構成され、また、試薬ビーズとの直接的な接触から混合エレメントを阻止するように構成され得る。また、以下の開示から明らかになるように、本明細書で提供されているトロンボエラストメトリシステムと関連付けられるさらなる利点も想定される。
【0026】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および下記の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに、特許請求の範囲から明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】いくつかの実施形態による、例示的なトロンボエラストメトリシステムのコンポーネントおよび使用を示す斜視図である。
図1B】いくつかの実施形態による、例示的なトロンボエラストメトリシステムのコンポーネントおよび使用を示す斜視図である。
図2】いくつかの実施形態による、例示的なトロンボエラストメトリシステムのコンポーネントおよび使用を示す斜視図である。
図3】いくつかの実施形態による、例示的なトロンボエラストメトリシステムのコンポーネントおよび使用を示す斜視図である。
図4図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの例示的なカートリッジコンポーネントの斜視図である。
図5図4のカートリッジコンポーネントの分解図である。
図6図4のカートリッジコンポーネントの右側の部分的な切り欠き図である。
図7図4のカートリッジコンポーネントの左側面図である。
図8A】いくつかの実施形態による、図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの動作を示す一連の概略ダイアグラムである。
図8B】いくつかの実施形態による、図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの動作を示す一連の概略ダイアグラムである。
図8C】いくつかの実施形態による、図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの動作を示す一連の概略ダイアグラムである。
図8D】いくつかの実施形態による、図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの動作を示す一連の概略ダイアグラムである。
図8E】いくつかの実施形態による、図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの動作を示す一連の概略ダイアグラムである。
図8F】いくつかの実施形態による、図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの動作を示す一連の概略ダイアグラムである。
図8G】いくつかの実施形態による、図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの動作を示す一連の概略ダイアグラムである。
図8H】いくつかの実施形態による、図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムの動作を示す一連の概略ダイアグラムである。
図9】いくつかの実施形態による、別の例示的なトロンボエラストメトリシステムの概略ダイアグラムである。
図10A図4のカートリッジコンポーネントの上面図である。
図10B図10Aのカートリッジコンポーネントの部分断面図である。
図10C図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムのアナライザコンソールの関連のコンポーネントとともに、図10Bのカートリッジコンポーネントの部分断面図を示す概略ダイアグラムである。
図11図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムのトロンボエラストメトリアナライザコンソールの分解斜視図である。
図12図1A図1B図2、および図3のトロンボエラストメトリシステムのトロンボエラストメトリアナライザコンソールのサブシステムを概略的に示すブロック図である。
図13】いくつかの実施形態による、トロンボエラストメトリシステムを使用する方法のフローチャートである。
図14A】いくつかの実施形態による、トロンボエラストメトリシステムを制御するための方法のフローチャートである。
図14B】いくつかの実施形態による、トロンボエラストメトリシステムを制御するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
様々な図面における同様の参照符号は、同様のエレメントを示している。
【0029】
図1A図3を参照すると、血液検査システム100のいくつかの実施形態は、アナライザコンソール140と、アナライザコンソール140と取り外し可能に嵌合するように構成されている1つまたは複数のカートリッジ120とを含む。この実施形態では、血液検査システム100は、カートリッジ120の中へ入れられた血液サンプルの複数の血液凝固特性を決定するように構成されているトロンボエラストメトリシステムである。例えば、カートリッジ120は、血液サンプルリザーバ10(例えば、Becton,Dickinson & Company of Franklin Lakes,NJによって供給されるバキュテイナーサンプルチューブ、または別の血液貯蔵構造体)と嵌合するための血液サンプルレシーバ122を含む、使い捨てのカートリッジとして構成され得る。いくつかのケースでは、アダプタが、他のタイプの血液サンプルリザーバ10をカートリッジ120と連結するために使用され得る(例えば、チュービングが使用され、チュービングを通して、血液がカートリッジ120などの中へ注入され得る)。トロンボエラストメトリシステム100は、ポイントオブケア現場において(例えば、患者が外科手術を受けているか、または外科手術の準備をしている間に、手術室の中などにおいて)とりわけ有利な全血液凝固分析システムとして使用され得る。追加的に、トロンボエラストメトリシステム100は、実験室の場で全血液凝固分析システムとして使用され得る。
【0030】
アナライザコンソール140は、ユーザーインターフェース142(この実施形態では、タッチスクリーンディスプレイを備える)およびメインシャーシ144を含む。ユーザーインターフェースディスプレイ142は、カートリッジ120およびコンソール140を介して実施される血液検査アッセイから1つまたは複数のグラフィカルな結果143を出力するように構成され得る(例えば、1つまたは複数のプロット、例えば、ときにはTEMogramと称されるようなものなど、数値データもしくは測定値、または、それらの組み合わせ)。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースディスプレイ142はアナライザコンソール140にしっかりと取り付けられている。特定の実施形態では、ユーザーインターフェースディスプレイ142は枢動可能であり、および/または、そうでなければ、メインシャーシ144に対して位置的に調節可能である。主電源スイッチ148は、メインシャーシ144の保護された場所を除いて、都合の良い場所に位置付けされ得る。
【0031】
示されている実施形態では、タッチスクリーンディスプレイ142は、ユーザ入力を受け取るように、および、ディスプレイ出力情報をユーザに表示するように構成されている。例えば、ユーザは、検査プロセスの開始、中間、および終了の間の時点においてタッチスクリーンディスプレイ142の上に表示され得る様々なソフトボタンの選択を行うことによって、トロンボエラストメトリシステム100に情報を入力することができる。いくつかの実施形態では、例えば、それに限定されないが、ソフトキーボード入力などの他の選択が、タッチスクリーンディスプレイ142を介して提供され得る。いくつかの実施形態では、データ入力は、音声入力によって、追加的にまたは代替的に実施され得る。他の実施形態では、ユーザーインターフェースは、トロンボエラストメトリシステム100の一部として含まれ得る他の周辺デバイス(例えば、マウス、キーボード、および、追加的なディスプレイデバイスなど)を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータデータネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、LANなど)は、遠隔デバイスがシステム100から情報を受信および/または入力することを可能にするように使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の遠隔ディスプレイが、ネットワーク接続を介して利用され得る。また、示されている実施形態では、トロンボエラストメトリシステム100は、外部バーコードリーダー146を含む。外部バーコードリーダー146は、それに限定されないが、血液サンプルデータ、ユーザ識別、患者識別、および正常値などの、データの都合の良い1次元のまたは2次元のバーコード入力を促進することができる。代替的にまたは追加的に、トロンボエラストメトリシステム100は、近距離無線通信タグまたはRFIDタグなどを読み取るように構成されたリーダーを装備していることができる。
【0032】
示されている実施形態では、メインシャーシ144は、(下記にさらに説明されるような)様々な内部サブシステムを収容し、様々な電子接続レセプタクル(図示せず)を含み、また、カートリッジポート150を含む。様々な電子接続レセプタクルは、それに限定されないが、1つまたは複数のUSBポート、イーサネットポート(例えば、RJ45)、VGAコネクタ、およびSub-D9コネクタ(RS232)などの、ネットワークおよびデバイスコネクタを含むことができる。そのような接続受容部は、メインシャーシ144の背面に、または、メインシャーシ144の上の他の都合の良い場所に位置付けされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のUSBポートが、メインシャーシ144の前面の上または近くに位置付けされ得る。そのように位置付けされているUSBポートは、例えば、メモリスティックの上にデータを記録するためのユーザ利便性を提供することができる。いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリシステム100は、それに限定されないが、Wi-Fi、Bluetooth、NFC、RF、およびIRなどの、ワイヤレス通信モダリティを使用して動作するように構成されている。
【0033】
依然として図1A図3を参照すると、カートリッジポート150はメインシャーシ144上の容易にアクセス可能な場所に位置付けされる。示されている実施形態では、カートリッジポート150はメインシャーシ144の前面に位置付けされており、それは、ポイントオブケア現場においてユーザによって都合良くアクセス可能であるようになっている。カートリッジポート150は、使い捨てのカートリッジ120の外側寸法と相補的に形状決めされた開口部および内部スペースを画定している。使い捨てのカートリッジ120をカートリッジポート150の中へ挿入するために、ユーザは血液サンプルレシーバ122を含むカートリッジ120の端部を掴み、カートリッジポート150の中へ反対側端部(先端部)をスライドさせて挿入することができる。スライド挿入は、完全に挿入された位置を画定するハードストップに到達するまで継続することができる。完全に挿入された位置において、使い捨てのカートリッジ120の後端部部分(この実施形態では血液サンプルレシーバ122を含む)は、メインシャーシ144の外部に残る。カートリッジポート150の中へ受け入れられるカートリッジ120の部分は外側表面フィーチャ(例えば、図1Bに示されている後方端部部分のテーパー付きの角度など)を含むことが可能であり、外側表面フィーチャはコンソール140の内側の少なくとも1つの内部インターフェースエレメントと嵌合し、カートリッジ120の正しい位置決めを保証する。そのために、少なくとも血液サンプルレシーバ122は、血液サンプル検査の期間を通してメインシャーシ144の外部に残る。この構成では、血液サンプルレシーバ122が血液サンプルウェルとしての役割を果たしており、血液サンプルウェルはアクセス可能であり、完全に挿入された位置において使い捨てのカートリッジ120がコンソール140と嵌合させられている間に、血液サンプルリザーバ10がレシーバ122の中へ挿入され得るようになっている。いくつかの実施形態では、カートリッジポート150およびメインシャーシ144は、カートリッジ120の露出された部分が不慮の接触から保護されるように構成されている。さらに下記で説明するように、内部センサ(例えば、マイクロスイッチ、光学センサなど)は、使い捨てのカートリッジ120がメインシャーシ144の中へ完全に挿入されたときを検出することができる。
【0034】
カートリッジ120が完全に挿入されたことをアナライザコンソール140が検出したとき、いくつかの実施形態では、アナライザコンソール140は、以下のアクションのうちの1つまたは複数を開始させる。位置決めピンを含む内部カートリッジクランピングメカニズムは、完全に挿入された位置において、使い捨てのカートリッジ120を正確に位置決めし、取り外し可能に保持するように活性化され得る。1つまたは複数のカートリッジ加熱エレメントが、カートリッジ120を温めるように活性化され得る。カートリッジ120の温度は、モニタリングされ得る。カートリッジ120の先端部の上のバーコードは読み取られ、また、バーコードデータは、アナライザコンソール140のメモリの中に記憶され得る。1つまたは複数の血液検出センサは、血液(それは、この時点では存在すべきではない)の存在に関してカートリッジ120を検査することができる。サブシステムを測定する回転式トロンボエラストメトリは、カートリッジ120と係合させられ、オプションで、サブシステムを測定する回転トロンボエラストメトリの回転が(血液の存在なしに)始まることができる。カートリッジ120は、アナライザコンソール140によって送達される真空または空気圧力を使用してリークテストをされ得る。例えば、圧力/真空の減衰テストが実施され得る。いくつかの実施形態では、カートリッジ120が完全に挿入されたということをアナライザコンソール140が検出したときに他のアクションが、追加的にまたは代替的に活性化され得る。そのようなアクションが完了した後に、いくつかの実施形態では、アクションの結果のインディケーションが、タッチスクリーンディスプレイ142の上に表示され得る(例えば、合格または不合格)。アクションが正常に完了したということをアナライザコンソール140が決定した場合には、プロンプトが、タッチスクリーンディスプレイ142の上に提供され、プロンプトは、トロンボエラストメトリシステム100が血液サンプルリザーバ10を受け入れる準備ができているということを、ユーザに知らせている。
【0035】
簡潔に言えば、いくつかの実施形態では、ユーザは、以下のように、示されているトロンボエラストメトリシステム100の実施形態を操作することができる。第1に、ユーザは、使い捨てのカートリッジ120をカートリッジポート150の中へ挿入することが可能であり、カートリッジ120が完全に挿入された位置に設置されるようになっている。下記で説明するように、そのステップの完了は、トロンボエラストメトリシステム100による一連の動作を自動的に開始させることになる。そのような動作が正常に完了すると、血液収集チューブ10がサンプルウェル122の中へ挿入され得るという通知が、タッチスクリーンディスプレイ142の上に表示されることになる。ユーザがサンプルウェル122の中へ血液収集チューブ10を嵌合させた後に、ユーザは、タッチスクリーンディスプレイ142の上の「開始」ボタン(など)を押すことによって検査を開始させる。少なくとも血液測定、試薬混合、およびトロンボエラストメトリ検査が、その後に、(例えば、この実施形態では、ユーザからの手動の介入を必要とすることなく)システム100によって自動的に実施される。検査が完了すると、結果は、(例えば、図1Aに示されているように)定性的なグラフィック表現および定量的なパラメータの形態で、タッチスクリーンディスプレイ142の上に表示される。また、検査が完了したとき、カートリッジ120は、コンソール140から除去され、廃棄され得る(例えば、そのような実施形態では、試薬ビーズ(下記に説明される)がもはやカートリッジの中に存在せず、測定チャンバが凝固した血液サンプル部分を含有するという点において、カートリッジ120は再使用可能ではない)。
【0036】
あるいは、いくつかの実施形態では、血液収集チューブ10は、カートリッジ120をカートリッジポート150の中へ挿入する前にカートリッジ120のサンプルウェル122の中へ挿入され得る。そのような状況では、収集チューブ10からの血液は、(繰り返しになるが、下記で説明するように)コンソール140がカートリッジ120に作用する後まで、血液カートリッジ120の測定チャンバ(下記に説明される)に前進することができない。血液収集チューブ10がカートリッジ120と事前に連結されている状態で、血液収集チューブ10とカートリッジ120の組み合わせが、次いで、カートリッジポート150の中へ挿入され得る。
【0037】
ここで図4および図5を参照すると、使い捨てのカートリッジ120が示されている実施形態は、主本体部124、右カバー126、左カバー128、ならびに、5つのピン138a、138b、138c、138d、および138eを含む。右カバー126は、主本体部124の右側に貼り付けられており、左カバー128は、主本体部124の左側に貼り付けられている。そうであるので、右カバー126および左カバー128は、さらに下記で説明するように、主本体部124のキャビティおよびフローチャネルを囲み、血液流路を画定している。上述のサンプルウェル122は、主本体部124の一部である。しかし、使い捨てのカートリッジ120の他の構成も想定される。
【0038】
いくつかの実施形態では、主本体部124、右カバー126、左カバー128、ならびに、ピン138a、138b、138c、138d、および138eは射出成形によって作製される。成形後、右カバー126および左カバー128が、それに限定されないが、超音波溶接、レーザ溶接、溶媒結合、接着剤結合、およびUV硬化型接着剤結合などを含む、様々な技法を使用して、主本体部124に貼り付けられ得る。様々なポリマー材料が、主本体部124、右カバー126、左カバー128、およびピン138a~eを構成するために使用され得る。例えば、そのようなポリマー材料は、それに限定されないが、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン、およびポリプロピレンなど、ならびに、それらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、主本体部124、右カバー126、左カバー128、およびピン138a~eを構成するために材料が使用され、アクリル系マルチポリマー化合物を含む。いくつかの実施形態では、主本体部124、右カバー126、および左カバー128は、本質的に透明であるか、または、少なくとも半透明である。したがって、図4では、主本体部124の特徴は、右カバー126がそれに取り付けられたとしても見ることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、例えば、インサート成形またはマルチショット成形技法などによるオーバーモールドを、主本体部124、右カバー126、および/または左カバー128(すなわち、デバイスコンポーネント)のいくつかの態様を構成するために使用し得る。例えば、(さらに下記に説明されるような)エラストマーバルブエレメントは左カバー128中でオーバーモールドされ得る。オーバーモールドによってバルブを発生させるために、第1のマスクが、バルブなしでデバイスコンポーネントを発生させるように使用される。マスクはデバイスコンポーネントの形状の逆のものであり、デバイスコンポーネントは後のバルブの挿入のためのオープンスペースを含む。ポリマーが第1のマスクの中へ注ぎ込まれ、硬質プラスチックデバイスコンポーネントを形成する。次いで、バルブを備えたデバイスコンポーネントの形状の逆のものを有する第2のマスクが提供される。硬化されたプラスチックデバイスコンポーネントがマスクの中に設置され、エラストマー材料が第1のマスクによってデバイスコンポーネント中に形成されたオープンスペースの中へ注入され、それによって、デバイスコンポーネント中にエラストマーバルブを形成する。いくつかの実施形態では、デバイスコンポーネントは、主本体部124、右カバー126、および/または左カバー128である。オーバーモールドによって形成された左カバー128の中の例示的なバルブ160a~e、168、および170が図7に示されている。いくつかの実施形態では、バルブはエラストマー材料を含み、エラストマー材料は圧力を印加すると変形可能である。外部圧力の印加によるバルブの変形はエラストマー材料をダクトの中へ押し込み、それによって、ダクトを流体密封し、ダクトを通るサンプル液体のフローを防止する。
【0040】
さらに、いくつかの実施形態では、カートリッジ120に対して二次的な作業が実施され得る。例えば、血液収集チューブを穿孔するための1つまたは複数の針123a~b(図6を参照)は、二次的な作業を使用してサンプルウェル122中に据え付けられ得る。
【0041】
また、使い捨てのカートリッジ120は、5つのピン138a、138b、138c、138d、および138eを含む。ピン138a~eは個々のコンポーネントパーツ(例えば、図10B参照)であり、それらは、主本体部124の開口部の中に(例えば、図8A図10Bを参照してさらに下記で説明するように、検査チャンバ136a~e(「カップ」と称される場合もある)の中に)保持されている。右カバー126および左カバー128の上に位置付けされているタブ129が、主本体部124の中にピン138a~eを機械的に保持する。しかし、ピン138a~eは、限られた程度まで主本体部124の範囲内で自由に移動することができる。例えば、ピン139a~eは、主本体部124内で制約されずに自由に回転することができ、また、数ミリメートルだけ垂直方向に自由に並進することができる。カートリッジ120の他のコンポーネントに対するピン138a~eのこの構成は、以下のように生成され得る。右カバー126および左カバー128を主本体部124に貼り付ける前に、ピン138a~eは、図5に示されているように主本体部124の中のそれらのそれぞれの場所の中に設置され得る。ピン138a~eが主本体部124の中に位置決めされている状態で、右カバー126および左カバー128が、次いで主本体部124に貼り付けられ得る。右カバー126および左カバー128が主本体部に貼り付けられ、ピン138a~eが主本体部124の中に位置決めされている状態で、ピンは、ピン138a~eの上部を覆うタブ129によって垂直方向に適切な場所に固定され、それらが右カバー126および左カバー128を主本体部124から除去することなく、カップ136a~eから抜け落ちることまたは除去されることができないようになっている。タブ129は、ピン138a~eの自由回転移動、ならびに、十分な垂直方向の運動を可能にし、ピン138a~eが流体サンプルと相互作用することを可能にし、カップ136a~eの中の流体サンプルの粘弾性特性の測定を実施する(例えば、回転式トロンボエラストメトリ)。加えて、タブ129は、図10Cに示されているように、シャフト310bがピン138bと連結するための開口部を提供している。1つの例では、右カバー126および左カバー128が主本体部124に貼り付けられ、その後に、ピン138a~eがタブ129を越えて主本体部122の中へ押し込まれる。右カバー126および左カバー128のタブ129は、カートリッジ120が上下逆さまになっている場合でも、ピン138a~eが主本体部122から脱落することを妨げることになる。いくつかの実施形態では、ピンおよびタブは、カートリッジ120が上下逆さまになっている場合でも、検査チャンバの中の半凝固した流体サンプルが検査チャンバから逃げることを防止するように位置決めされている。
【0042】
いくつかの実施形態では、主本体部124は、バーコード場所125を含む。バーコード場所125は、バーコードラベルを接着するための場所、または、バーコードをプリントするための場所として使用され得る。バーコード場所125は、(図1図3に示されているように、アナライザコンソール140の中へのカートリッジ120の挿入の方向に対して)カートリッジ120の先端部の上にある。
【0043】
示されている実施形態では、右カバー126は、血液検出場所127aおよび127bを含む。さらに下記で説明するように、血液検出場所127aおよび127bは、カートリッジ120の上の指定された場所であり、その場所において、アナライザコンソール140のセンサは、カートリッジ120とインターフェース接続する。センサは、血液検出場所127aおよび127bにおいて、カートリッジ120の中の血液の存在を検査する。いくつかの実施形態では、センサは、光学センサ(例えば、赤外線センサ)であり、血液検出場所127aおよび127bは、強化された透明度および光学的な透明性を有する研磨されたエリアである。そうであるので、アナライザコンソール140の光学センサが血液検出場所127aおよび127bにおいて血液の有無を容易に検出することができるように、右カバー126が構成されている。
【0044】
ここで図4図5、および図6を参照すると、概略的に言えば、使い捨てのカートリッジ120は、(i)血液収集チューブ(例えば、図1図3の血液収集チューブ10)から血液を抽出し、抽出された血液の正確な体積を測定し、(ii)正確な量の血液を試薬と混合し、(iii)トロンボエラストメトリ検査が実施されるカートリッジ120の複数のカップおよびピンの場所に混合物を送達するように構成されている。これらのステップについて、より詳細に下記で説明する。
【0045】
示されている実施形態では、使い捨てのカートリッジ120は5つの個々の血液フローチャネル130a、130b、130c、130d、および130eを含む。あるいは、いくつかの実施形態では、カートリッジは、単一の個々の血液フローチャネル、または、2つの個々の血液フローチャネル、または、3つの個々の血液フローチャネル、または、4つの個々の血液フローチャネル、または、6つの個々の血液フローチャネル、または、7つ以上の個々の血液フローチャネルを含む。それぞれのチャネル130a~eは、(i)測定チャンバ、(ii)試薬および混合エレメントを含有する混合チャンバ、ならびに、(iii)血液凝固検査チャンバ(例えば、この実施形態では、可動プローブ/ピンをその中に有するカップ)を含む。例えば、チャネル130aは、測定チャンバ132a、混合チャンバ134a、および検査チャンバ136a(図10A~Bに詳細に示されている検査チャンバの例を参照)を含む。同様に、チャネル130bは、測定チャンバ132b、混合チャンバ134b、および検査チャンバ136bを含む。チャネル130cは、測定チャンバ132c、混合チャンバ134c、および検査チャンバ136aを含む。チャネル130dは、測定チャンバ132d、混合チャンバ134d、および検査チャンバ136dを含む。チャネル130eは、測定チャンバ132e、混合チャンバ134e、および検査チャンバ136eを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、サンプルウェル122は、針123aおよび123bを含み、針123aおよび123bは、血液収集チューブがサンプルウェル122の中へ挿入されるときに、血液収集チューブのセプタムを穿孔するように構成されている。針123aは、チャネル130a~eと流体連通しており、一方、針123bは、血液収集チューブからの素早い血液のフローを促進するベントである。
【0047】
示されている実施形態では、針123aからチャネル130a~eへの流体流路は以下の通りである。針123aは測定チャンバ132aと合流する。測定チャンバ132aは測定チャンバ132bと合流する。測定チャンバ132bは測定チャンバ132cと合流する。測定チャンバ132cは測定チャンバ132dと合流する。測定チャンバ132dは測定チャンバ132eと合流する。したがって、血液は、血液収集チューブから針123aを通って測定チャンバ132aへ、測定チャンバ132aから測定チャンバ132bへ、測定チャンバ132bから測定チャンバ132cへ、測定チャンバ132cから測定チャンバ132dへ、そして測定チャンバ132dから測定チャンバ132eへ流れることができる。また、測定チャンバ132a~eは計量チャンバ132a~eと称されることも可能である。それぞれの測定チャンバ132a~eは、入口ポートおよび出口ポートを有している。入口ポートは、測定チャンバ132a~eの上部の近くに位置付けされている。例えば、測定チャンバ入口ポート132aiは測定チャンバ132aの上部の近くに位置付けされている。血液が気泡を含有する場合に、この構成は有利である可能性がある。その理由は、血液が測定チャンバ132a~eに進入するときに、そのようなガスが血液から逃げることを許容されるからである。加えて、この構成は、有利には、血液が測定チャンバ132a~eの中へ流入するときに、流体フローの乱れを最小化することが可能であり、それによって、血液細胞を損傷させる可能性を低減する。
【0048】
測定チャンバ132a~eから混合チャンバ134a~eへ血液を移送するための出口ポート134ao~eoは、測定チャンバの底部に位置付けされている。例えば、測定チャンバ出口ポート132aoは、測定チャンバ132aの底部に位置付けされている。いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの底部は、出口ポート132aoに向けて下向きに角度を付けられている。いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの底部は、カートリッジ120の底部または上部に対して平行な平面から、2°~15°の角度になっている。いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの底部は、出口ポート132aoを通して血液サンプルを移動させるために印加される力の方向に対して直交する平面から、2°~15°の角度になっている。一実施形態では、上記で説明した角度は、おおよそ2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、または15°である。好適な実施形態では、上記で説明した角度は、5°であるが、他の角度も効果的であることになる。この構成は、測定チャンバ132a~eを血液によって完全に充填するのを促進することを助けることができる。また、それは、出口ポート132aoの中への泡の移送を最小化することができる。その理由は、測定チャンバ132aの中に含有されている血液(それは、泡を含有する可能性がある)の体積の表面が出口ポート132aoに接触する前に、より多くの血液が出口ポート132aoに移送されるからである。そうであるので、正確な体積の血液が、測定チャンバ132a~eの中に含有されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの上部は、入口ポート132aiの反対側において測定チャンバの上部に位置付けされている移送ポートから空気が測定チャンバ132aから逃げることを引き起こすように角度を付けられている。移送ポートは、測定チャンバ132aから別の測定チャンバ(例えば、132b)の中へ、またはオーバーフローチャンバ139の中へ、空気および流体を移送するために使用される。この実施形態では、測定チャンバ132aの上部は、入口ポート132aiの上方の低いポイントから移送ポートの上方のより高いポイントへ、上向きに角度を付けられている。測定チャンバの上部の角度は、デバイスの底部または上部に対して平行な平面と比較して、または、測定チャンバ132aの中にある間に血液サンプルに印加される主要な重力の場に対して直交する平面と比較して、2°~15°の間にある。一実施形態では、上記で説明した角度は、おおよそ2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、または15°である。好適な実施形態では、上記で説明した角度は、5°であるが、他の角度も効果的である。測定チャンバ132aの角度付きの上部を含むデバイスでは、空気および泡は、血液の前に測定チャンバ132aから移送され、減少した量の空気を伴う測定される血液サンプルを提供し、空気は血液の測定の精度に影響を与える可能性があり、また、他の下流の用途に干渉する可能性がある。いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの上部および底部の両方が、上記で説明したように角度を付けられている。
【0050】
針123aから測定チャンバ132a~eへの流体流路の先述の説明から、および、測定チャンバ出口ポートの場所の先述の説明から、測定チャンバ132a~eはシーケンシャルな様式で血液によって充填されることを理解すべきである。すなわち、第1の測定チャンバ132aが血液によって充填されることになる。次いで、測定チャンバ132aからの血液が測定チャンバ132bへ流れることになる。次いで、測定チャンバ132bが血液によって充填されることになる。次いで、測定チャンバ132bからの血液が測定チャンバ132cへ流れることになる。次いで、測定チャンバ132cが血液によって充填されることになる。次いで、測定チャンバ132cからの血液が測定チャンバ132dへ流れることになる。次いで、測定チャンバ132dが血液によって充填されることになる。次いで、測定チャンバ132dからの血液が測定チャンバ132eへ流れることになる。次いで、測定チャンバ132eが血液によって充填されることになる。
【0051】
測定チャンバ132eが血液によって充填された後に、次いで、測定チャンバ132eからの血液がオーバーフローチャンバ139へ流れることになる。測定チャンバ132eから流れる血液は、オーバーフローチャンバ入口ポート139iにおいてオーバーフローチャンバ139に進入することになる。さらに下記で説明するように、オーバーフローチャンバ139は、測定チャンバ132eが完全に満たされることを保証する役割を果たし、一方、血液がカートリッジ120を出て行くこと、および、真空供給源の中へ流入することを防止し、真空供給源は、上記で説明したように測定チャンバ132a~eの中へ血液を引き込むために使用される。真空供給源は、オーバーフローチャンバ出口ポート139oにおいてオーバーフローチャンバ139に流体接続している。真空供給源からの(大気圧力に対する)負圧がオーバーフローチャンバ出口ポート139oにおいて印加されているときに、針123aと連結されている血液収集チューブからの血液は、すべての測定チャンバ132a~eを充填するようにカートリッジ120中へ流れることになる。また、いくらかの血液は、測定チャンバ132eから出て、オーバーフローチャンバ139に向けて流れることになる。
【0052】
さらに下記で説明するように、様々なバルブおよびベントが流体流路中に散在しており、血液フローを所定のスキームにしたがってアナライザコンソールによって制御し得る。加えて、上述の血液検出場所127aおよび127b(図5参照)はカートリッジ120上の指定された場所であり、その場所においてアナライザコンソール140のセンサがカートリッジ120とインターフェース接続する。センサは、血液検出場所127aおよび127bにおいてカートリッジ120中の血液の存在を検査する。血液センサ場所127aは、針123aと測定チャンバ132aの間の流体流路上にある。アナライザコンソールが血液センサ場所127aにおいて血液を検出するときに、アナライザコンソール140は、血液がカートリッジ120の中へ引き込まれたことを判定する。血液センサ場所127bは、測定チャンバ132eとオーバーフローチャンバ139の間の流体流路上にある。アナライザコンソールが血液センサ場所127bにおいて血液を検出するときに、アナライザコンソール140は、血液がすべての測定チャンバ132a~eの中へ引き込まれてそれらを充填したことを判定する。さらに、アナライザコンソール140が血液センサ場所127bにおいて血液を検出するときに、アナライザコンソール140は、オーバーフローチャンバ出口ポート139oにおける負圧のさらなる印加を停止させることができる。換言すれば、血液センサ場所127bにおいて血液を検出することで、アナライザコンソール140は、真空の印加がすべての測定チャンバ132a~eを正常に充填したこと、および、真空の印加が停止され得ることを判定することができる。オプションで、カートリッジ120は、血液センサ場所127bの場所においてまたはその近くにおいて、血液温度センサを装備することが可能であり、血液サンプルが所定の目標温度にあることを確認するようになっている。
【0053】
上記で説明したように、それぞれの個々のチャネル130a~eは、それぞれ測定チャンバ132a~eを有している。いくつかの実施形態では、個々のチャネル130a~eの中の流体流路は以下の通りである。測定チャンバ132a~eから、血液はそれぞれの混合チャンバ134a~eへ流れることができる。例えば、測定チャンバ132aからの血液は混合チャンバ134aへ流れることができる。同様に、測定チャンバ32bからの血液は混合チャンバ134bへ流れることができる。測定チャンバ132cからの血液は混合チャンバ134cへ流れることができる。測定チャンバ132dからの血液は混合チャンバ134dへ流れることができる。測定チャンバ132eからの血液は混合チャンバ134eへ流れることができる。混合チャンバ132a~eから(混合が完了した後に)、血液は、それぞれの検査チャンバ136a~e(対応するプローブ/ピン138a~eをその中に有している。下記において図10A~b参照)へ流れることができる。例えば、混合チャンバ134aからの血液は検査チャンバ136aへ流れることができる。同様に、混合チャンバ134bからの血液は検査チャンバ136bへ流れることができる。混合チャンバ134cからの血液は検査チャンバ136cへ流れることができる。混合チャンバ134dからの血液は検査チャンバ136dへ流れることができる。混合チャンバ134eからの血液は検査チャンバ136eへ流れることができる。アナライザコンソール140によって制御可能な様々なバルブおよびベントが、個々のチャネル130a~eの流体流路の中に散在している。そのようなバルブおよびベントを使用して、個々のチャネル130a~eの中の血液フローは、所定のスキームにしたがってアナライザコンソール140によって制御され得る。
【0054】
ここで図6および図7を参照すると、カートリッジ120の追加的な特徴が、ここで説明される。図6では、カートリッジ120の特定のチャンバ(測定チャンバ132a~e、試薬混合チャンバ134a~e、および血液凝固検査チャンバ136a~e)の側面図が提供されている。図7では、カートリッジ120および個々のチャネル130a~eの左側面図が提供されている。この図では、検査チャンバ136a~eそれぞれに関する検査チャンバ入口ポート136ai、136bi、136ci、136di、および136eiを見ることができる。入口ポート136ai~eiは検査チャンバ136a~eの上部の近くに位置付けされており、例えば、チャンバ136a~eの側壁部に沿って、および、血液サンプルと相互作用するピン138a~eの遠位ヘッドの上方であるが、ピン138a~eの近位端部の下方の高さに位置付けされている(図10B参照)。血液が気泡を含有する場合に、この構成が有利である可能性がある。その理由は、血液がカップ136a~eに進入するときに、そのようなガスが血液から逃げることを許容され得るからである。粘性溶液において、溶液が底部を通って進入する場合には、泡はカップ136a~eの底部に保持され、カップ136a~eの中のピン138a~eによるトロンボエラストメトリ測定に悪影響を与える。加えて、この構成は、有利には、血液が検査チャンバ136a~eの中へ流入するときに流体フローの乱れを最小化することができる。また、流体フローの乱れおよび泡混合は、カップ136a~eの中へのサンプル入口ポート136biの小さい直径または血液フロー面積を有することによって最小化される。混合チャンバ134a~eからの血液中に存在する泡は、チャンバ136a~eの側壁部に沿った入口ポート136biの場所と組み合わせて、サンプル入口ポート136biのより小さい直径を使用することによって、流体から分離し、カップ136a~eの中の血液の上部表面に残る。いくつかの実施形態では、サンプル入口ポート136biの直径は1mmである。いくつかの実施形態では、サンプル入口ポート136biの直径は、おおよそ0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5mmである。
【0055】
示されている実施形態では、カートリッジ120は、2つのロケータピン(locator pin)受容部140aおよび140bを含む。ロケータピン受容部140aおよび140bは、(さらに下記で説明するように)アナライザコンソール140のロケータピンと嵌合するために使用される。このように、カートリッジ120は、アナライザコンソール140に対して正確に位置決めされ得る。
【0056】
また、カートリッジ120は、真空印加ポート162を含む。真空の供給源が真空印加ポート162において適用されるとき、ならびに、カートリッジ120のベントおよびバルブが適正な構成になっているときに、血液は、上記で説明したように、および、さらに下記で説明するように、測定チャンバ132a~eの中へ引き込まれ得る。
【0057】
また、カートリッジ120は圧力印加ポート164を含む。圧力供給源が圧力印加ポート164において適用されるとき、ならびに、カートリッジ120のベントおよびバルブが適正な構成になっているときに、血液は、上記で説明したように、および、さらに下記で説明するように、測定チャンバ132a~eから混合チャンバ134a~eの中へ、それに続いて混合チャンバ134a~eから検査チャンバ136a~eへ、強制的に流れさせられる。
【0058】
また、示されている実施形態では、カートリッジ120は、ベント166a、166b、166c、166d、および166eを含む。他のカートリッジ実施形態は、より少ないまたはより多いベントを含むことができる。ベント166a~eは、それぞれ、混合チャンバ134a~eと合流する。したがって、ベント166a~eが開いており、それを通る空気フローを可能にするときには、混合チャンバ134a~eからの空気は、血液が混合チャンバ134a~eの中へ流入するときに、混合チャンバ134a~eから容易に変位させられ得る。逆に、ベント166a~eが閉められており、それを通る空気フローを防止するときには、混合チャンバ134a~eの中の空気がそこから変位させられることを許容されないので、血液は、混合チャンバ134a~eの中へ流れ込むことを阻止される。ベント166a~eは、さらに下記で説明するように、所定のスキームにしたがって、アナライザコンソール140によって個別に開閉され得る。したがって、混合チャンバ134a~eの中への血液フローは、所望の通りに制御され得る。
【0059】
また、示されている実施形態では、カートリッジ120は、バルブ168、170、160a、160b、160c、160d、および160eを含む。他のカートリッジの実施形態は、より少ないまたはより多いバルブを含むことができる。バルブ168、170、および160a~eは、カートリッジ120の流体流路の中に位置付けされている。したがって、バルブ168、170、および160a~eは、アナライザコンソール140によって作動させられ得(開けられるかまたは閉められる)、バルブ168、170、および160a~eがそれぞれ位置付けされている流体流路を通る流体フローを可能にするかまたは防止する。例えば、バルブ168は、針123aと測定チャンバ132aの間の流体流路の中に位置付けされている。したがって、バルブ168が開いているときに、血液は、針123aから測定チャンバ132aへ流れることが可能であり、また、バルブ168が閉められているときに、血液は、針123aから測定チャンバ132aへ流れることができない。
【0060】
バルブ170は、測定チャンバ132eとオーバーフローチャンバ139の間の流体流路の中に位置付けされている。したがって、バルブ170が開いているときに、血液は、測定チャンバ132eからオーバーフローチャンバ139へ流れることが可能であり、また、バルブ170が閉められているときに、血液は、測定チャンバ132eからオーバーフローチャンバ139へ流れることができない。
【0061】
バルブ160a~eは、それぞれ混合チャンバ134a~eと検査チャンバ136a~eの間の流体流路の中に位置付けされている。したがって、バルブ160a~eが開いているときに、血液は、それぞれ混合チャンバ134a~eから検査チャンバ136a~eへ流れることが可能であり、また、バルブ160a~eが閉められているときに、血液は混合チャンバ134a~eから検査チャンバ136a~eへ流れることはできない。
【0062】
さらに下記で説明するように、いくつかの実施形態では、バルブ160a~eはピンによって個別に作動させられ、ピンは、バルブ160a~eに向けて、および、バルブ160a~eから離れるように並進させられる。バルブ160a~eを閉めるために、ピンはバルブ160a~eのエラストマー部材と係合して広げることが可能であり、エラストマー部材が、バルブ160a~eのバルブシートと接触するようになっている。そのようなピンがバルブ160a~eのエラストマー部材から離れるように後退させられるときに、エラストマー部材は、エラストマー部材がもはや広げられないように反発することになり、次いでバルブが開けられる。ピンは、いくつかの実施形態ではソレノイドによって並進させられる。
【0063】
また、カートリッジ120の中の流体フローを調整するための他のメカニズムも存在し得る。例えば、ストップジャンクションが測定チャンバ132a~eと混合チャンバ134a~eの間に設置され、測定チャンバ132a~eから混合チャンバ134a~eへの血液のフローを制御することができる。いくつかの実施形態では、ストップジャンクションは、十分な量の圧力がバリアに印加されると開放され得るバリアである。いくつかの実施形態では、ストップジャンクションはサンプル流体のフローのための幅の狭いエリアを含み、十分な圧力が印加されない場合に、サンプル流体の表面張力がストップジャンクションを通るフローを防止するようになっている。十分な圧力が印加されると、ストップジャンクションを通るサンプル流体のフローは、毛細管力に起因して継続することができる。
【0064】
より詳細に図6を参照すると、混合チャンバ134a~eのいくつかの実施形態は、(i)1つまたは複数の可溶性試薬ビーズ180、(ii)複数の保持エレメント182、および(iii)混合エレメント184を含有している。1つまたは複数の試薬ビーズ180は、複数の保持エレメント182の中に配設されており、複数の保持エレメント182の範囲内で保持される。混合エレメント184は、混合チャンバ134a~eの底部部分の中に配設されており、混合チャンバ134a~eの底部部分を横切って水平方向に自由に移動することができる。複数の保持エレメント182は、混合エレメント184から試薬ビーズ180を分離しており、混合エレメント184が混合チャンバ134a~eの底部部分から離れるように上向きに移行することを防止している。したがって、複数の保持エレメント182は、混合エレメント184と混合チャンバ134a~eの中の試薬ビーズ180との直接的な接触を防止している。好ましくは、保持エレメント182は、それぞれの混合チャンバ134a~eの中へ延在しており、混合チャンバの中の試薬ビーズ180のそれぞれの所定の垂直方向の位置(例えば、混合チャンバ134a~eの中へ通される血液部分の高さよりも下方の垂直方向の位置)を維持するようになっており、それによって、所定量の血液がそれぞれの混合チャンバ134a~eの中へ方向付けられるときに、ビーズ180のそれぞれが沈められることになることを保証する。ある実施形態では、測定チャンバ132a~eから混合チャンバ134a~eを充填する液体の高さ(すなわち、充填レベル)は、混合チャンバの中の保持エレメント182の上方にある。いくつかの実施形態では、保持エレメント182は、混合チャンバの充填レベルの高さよりも上方にある。これらの実施形態では、保持エレメントは、流体の経路の中の試薬を位置決めするように構成されており、混合チャンバの中へ液体が侵入すると、試薬が液体によって溶解されるようになっている。いくつかの実施形態では、流路は、入口部またはダクトから進入した後のチャンバ自身の中を含む、液体が1つのチャンバから別のチャンバへ行くためにトラベルする経路として定義される。
【0065】
また、いくつかの実施形態では、それぞれの混合チャンバ134a~eの中の複数の保持エレメント182は、互いから離れているそれぞれの混合チャンバ134a~eの中の試薬ビーズ180のそれぞれを維持している。そのような実施形態では、試薬ビーズ180のそれぞれは、それぞれの混合チャンバ134a~eの中の他のビーズ180によって接触されておらず、それぞれの混合チャンバ134a~eの中の混合エレメント184によって接触されておらず、また、それぞれの混合チャンバ134a~eの中へ輸送される血液部分の高さを下回る、それぞれの混合チャンバ134a~eの中の垂直方向の高さに維持される。
【0066】
保持エレメント182は、試薬ビーズ180の場所に対して制御を結果として生じさせるいくつかの独自の構成の形態をとることができる。また、いくつかの実施形態では、保持エレメント182は、異なる試薬ビーズ180同士の間の接触、試薬ビーズ180と混合エレメント184との接触、および/または、試薬ビーズ180と混合チャンバ134a~eの中の他の表面またはコンポーネントとの接触を防止する。いくつかの実施形態では、保持エレメント182は混合チャンバ134a~eの中の試薬ビーズ180の移動を限定するように構成されており、また、サンプル液体または血液サンプルが試薬ビーズ180を溶解させることを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、保持エレメント182はバリアを含む。また、保持エレメント182は、混合チャンバ134a~eの壁部の中に、または、右カバー126もしくは左カバー128の表面上に、または、デバイスの他の表面上に、内向きの突出部または外向きの突出部を含むことができる。いくつかの実施形態では、保持エレメント182は、チャネル、ポスト、またはディボットを含む。保持エレメント182は、ポストのアレイ、または、ディボットのアレイを含み得る。いくつかの実施形態では、ポストのアレイは、異なる直径の試薬ビーズを保持するために異なる直径のポストを含む。いくつかの実施形態では、保持エレメント182は試薬ビーズを保持するためのコンパートメントまたは一連のコンパートメントを含む。また、保持エレメント182は、混合チャンバ134a~eの中の試薬ビーズの移動を限定するように構成され得るとともに、血液が試薬ビーズ180と接触して試薬ビーズ180を溶解させる様式で血液が流れることを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、保持エレメント182は、混合チャンバ134a~eを通る血液サンプルのフローを可能にするように構成されている。
【0067】
保持エレメント182は、さらに、混合チャンバ134a~eの中の所定の血液サンプル充填レベルの下方に、試薬ビーズ180を固定することができる。この充填レベルは、測定チャンバ132a~eによって提供される血液の体積によって、ならびに、混合チャンバ134a~eの寸法、および、充填するときの混合チャンバ134a~eの中のコンポーネントまたは試薬の体積によって決定される。この充填レベルは、上記の要因に基づいて事前に決定され得る。したがって、保持エレメント182は、具体的には、この所定の充填レベルの下方に試薬ビーズ180の位置を維持するように設計され得る。
【0068】
追加的に、保持エレメント182は、混合チャンバ134a~eの中の混合エレメント184の移動を限定することができる。いくつかの実施形態では、混合チャンバ134a~eの中の混合エレメント184の移動を制限するために使用される静止エレメント182は、ポストのアレイまたはコンパートメントを含み、ポストのアレイまたはコンパートメントは、混合チャンバ134a~eの中のサンプル流体または血液サンプルが混合エレメント184に接触することを可能にし、サンプル流体または血液サンプルが撹拌され、混合チャンバ134a~eの中の試薬を溶解させることを促進するようになっている。
【0069】
示されている実施形態では、1つまたは複数の可溶性試薬ビーズ180は、球形であり、また、2つの異なるサイズ(例えば、約2mm直径および約3mm直径)のものである。しかし、試薬ビーズ180の他の形状および/またはサイズの使用も想定される。いくつかの実施形態では、試薬ビーズ180は、凍結乾燥された材料であるが、他の形態の材料も想定される。試薬ビーズ180は、それに限定されないが、CaCl2、エラグ酸/リン脂質、組織因子、ヘパリナーゼ、ポリブレン、およびサイトカラシンD、トラネキサム酸、ならびに、それらの組み合わせなどの、材料を含むことができる。試薬ビーズ180は、血液中で可溶性である。例えば、この特定の実施形態では、5つの混合チャンバ134a~eのそれぞれは、5つの異なるアッセイを実施する目的のために、(それぞれの測定チャンバ132a~eによって画定されるような)所定の体積の血液を(その中の1つもしくは複数の試薬ビーズ180からの)異なる試薬組成物と混合するように構成されている。この例では、第1の混合チャンバ134eは、複数の試薬ビーズ180を含むことが可能であり、複数の試薬ビーズ180は、(対応する測定チャンバ132eからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2およびエラグ酸/リン脂質を提供し、第1のサンプル部分が、第1のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。また、この例では、第2の混合チャンバ134dは、複数の試薬ビーズ180を含むことが可能であり、複数の試薬ビーズ180は、(対応する測定チャンバ132dからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2、エラグ酸/リン脂質、およびヘパリナーゼを提供し、第2のサンプル部分が、第2のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。さらに、この例では、第3の混合チャンバ134cは、複数の試薬ビーズ180を含むことが可能であり、複数の試薬ビーズ180は、(対応する測定チャンバ132cからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2、組織因子、およびポリブレンを提供し、第3のサンプル部分が、第3のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。また、この例では、第4の混合チャンバ134bは、複数の試薬ビーズ180を含むことが可能であり、複数の試薬ビーズ180は、(対応する測定チャンバ132bからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2、組織因子、ポリブレン、およびサイトカラシンDを提供し、第4のサンプル部分が、第4のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。最後に、この例では、第5の混合チャンバ134aは、複数の試薬ビーズ180を含むことが可能であり、複数の試薬ビーズ180は、(対応する測定チャンバ132aからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2、組織因子、ポリブレン、およびトラネキサム酸を提供し、第5のサンプル部分が、第5のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。
【0070】
いくつかの実施形態では、CaCl2試薬を担持する試薬ビーズ180は、それぞれの混合チャンバ134a~e中のビーズ180の残りの部分から分離され、第1に混合を可能にし、次いでクエン酸塩添加(citrated)血液サンプルの活性化/凝血を可能にする。CaCl2試薬を担持する試薬ビーズ180のそのような分離は、(上記で説明したように)保持エレメント182を使用して実現し得る。あるいは、そのような分離は、それぞれのチャンバ134a~eの中の他のビーズ180から分離されている、CaCl2試薬を担持する試薬ビーズ180を別々のチャネルまたは別々の混合チャンバの中に保持することによって実現し得る(血液部分がそれぞれの混合チャンバ134a~eの中の他のビーズ180と混合した後に、血液部分は、CaCl2試薬に到達するようになっている)。あるいは、そのような分離は、CaCl2試薬液体または乾燥したフィルムCaCl2試薬を別々のチャネルの中に位置決めすることによって実現され、血液部分がそれぞれの混合チャンバ134a~eの中の他のビーズ180と混合した後に、血液部分がCaCl2試薬に到達するようになっている。あるいは、CaCl2試薬を担持する試薬ビーズ180は、追加の層によってコーティングされ(次いで、上記で説明したように、保持エレメント182によって保持され)、血液部分がそれぞれの混合チャンバ134a~eの中の他のビーズ180と先に混合した後に、血液部分が、CaCl2試薬を担持する試薬ビーズ180を溶解させ始めるようになっている。
【0071】
また、試薬を血液サンプルに提供するための他の構成も使用され得る。いくつかの実施形態では、試薬は、混合チャンバ134a~eの壁部の上にコーティングされている。いくつかの実施形態では、試薬は、右カバー126または左カバー128の上にコーティングされている。右カバー126または左カバー128の上にコーティングされる試薬は、それが少なくとも部分的にまたは全体的に混合チャンバ134a~eの中に含有されることになる様式でコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、試薬は、それが混合チャンバ134a~eの充填レベル(充填レベルは、測定チャンバ内で測定されるような所定の体積の血液によって部分的に決定されるような、混合チャンバの中の血液の高さに関連する)の下のままとなるようにコーティングされている。いくつかの実施形態では、コーティングされる試薬は、フィルム層、すなわち、試薬フィルムである。試薬フィルムは、表面の上または近くにコーティングされている試薬の層である。試薬フィルムは、液体であることが可能であり、または、乾燥させられ得る。液体試薬は、液体試薬の上に設置されている材料の可溶性層によって、フィルム層として保持され得る。また、液体試薬層は、表面の上に塗布され、次いで乾燥させられ得る。また、事前に乾燥させられているかまたは固体のフィルム試薬が、表面に塗布され、フィルム層を形成することができる。いくつかの実施形態では、フィルム層は、可溶性フィルムストリップの形態になっている。いくつかの実施形態では、特定の試薬は、試薬ビーズ180とは対照的に、試薬フィルムの中に送達されることが好適である。例えば、試薬ビーズ180内で凍結乾燥することが難しい特定の試薬は、その代わりに、デバイスの中の表面の上または近くに、フィルム層として塗布され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、コーティングされる試薬は試薬ビーズ180の形態になっている。試薬ビーズは、保持エレメント182を使用して、チャンバの壁部に、または、カバーに固定され得る。保持エレメント182は、一連のコンパートメント、ポスト、ディボット、内向きの突出部もしくは外向きの突出部、または、上記のうちの任意のもののアレイを含むことができる。カバー、チャンバの壁部、または、チャンバ同士の間の流体通路の中にコーティングまたは固定され得る試薬の他の形状または構成も想定される。いくつかの実施形態では、試薬ビーズ180および試薬フィルムの両方がデバイスの1つまたは複数の表面の上に、例えば、混合チャンバ134a~eの中にコーティングされている。
【0073】
また、試薬フィルムは、混合チャンバ134a~eの中の血液サンプル中で溶解するように提供され得る。試薬フィルムは血液中で可溶性である。試薬フィルムは、混合チャンバ134a~eの中の表面に接着されている。いくつかの実施形態では、試薬フィルムは混合チャンバ134a~eの壁部の上に堆積されている。いくつかの実施形態では、試薬フィルムは、混合チャンバ134a~eの壁部を少なくとも部分的にカバーまたは形成する領域において、右カバー126または左カバー128の上に堆積されている。試薬フィルムは、単独で使用され得るか、または混合チャンバ134a~eの中に設置されている1つもしくは複数の試薬ビーズ180に加えて使用され得る。したがって、混合チャンバ134a~eの中の1つまたは複数の試薬フィルムの使用は、血液中に溶解するように、混合チャンバ134a~eの中へ試薬を導入する追加的なメカニズムを提供する。
【0074】
いくつかの実施形態では、試薬フィルムは、凍結乾燥された材料を含むが、他の形態の材料も想定される。試薬フィルムは、それに限定されないが、CaCl2、エラグ酸/リン脂質、組織因子、ヘパリナーゼ、ポリブレン、サイトカラシンD、およびトラネキサム酸など、ならびに、それらの組み合わせなどの、材料を含むことができる。1つの特定の例では、5つの混合チャンバ134a~eのそれぞれは、(それぞれの測定チャンバ132a~eによって画定されるような)所定の体積の血液を(その中の1つもしくは複数の試薬ビーズ180および/または1つもしくは複数の試薬フィルムからの)異なる試薬組成物と混合するように構成されている。この例では、第1の混合チャンバ134eは、複数の試薬ビーズ180および少なくとも1つの試薬フィルムを含むことが可能であり、(対応する測定チャンバ132eからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2およびエラグ酸/リン脂質を提供し、第1のサンプル部分が、第1のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。また、この例では、第2の混合チャンバ134dは、複数の試薬ビーズ180および少なくとも1つの試薬フィルムを含むことが可能であり、(対応する測定チャンバ132dからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2、エラグ酸/リン脂質、およびヘパリナーゼを提供し、第2のサンプル部分が、第2のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。さらに、この例では、第3の混合チャンバ134cは、複数の試薬ビーズ180および少なくとも1つの試薬フィルムを含むことが可能であり、(対応する測定チャンバ132cからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2、組織因子、およびポリブレンを提供し、第3のサンプル部分が、第3のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。また、この例では、第4の混合チャンバ134bは、複数の試薬ビーズ180および少なくとも1つの試薬フィルムを含むことが可能であり、(対応する測定チャンバ132bからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2、組織因子、ポリブレン、およびサイトカラシンDを提供し、第4のサンプル部分が、第4のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。最後に、この例では、第5の混合チャンバ134aは、複数の試薬ビーズ180および少なくとも1つの試薬フィルムを含むことが可能であり、(対応する測定チャンバ132aからの)所定の体積の血液と混合するためにCaCl2、組織因子、ポリブレン、およびトラネキサム酸を提供し、第5のサンプル部分が、第5のタイプのアッセイにおいて使用され得るようになっている。
【0075】
さらに、試薬フィルムは、混合チャンバから上流または下流の表面の上に堆積され、混合チャンバの前または後で血液サンプルと混合することができる。いくつかの実施形態では、CaCl2試薬を担持する試薬フィルムは、別々のチャネルまたは別々の混合チャンバの中に設置されており、それは、それぞれのチャンバ134a~eの中の他の試薬ビーズ180または試薬フィルムから分離されている(例えば、血液部分がそれぞれの混合チャンバ134a~eの中の他の試薬ビーズ180および/または試薬フィルムと混合した後に、血液部分がCaCl2試薬フィルムに到達するようになっている)。あるいは、CaCl2試薬フィルムは、混合チャンバ134a~eの中に堆積され、追加の可溶性フィルム層によってコーティングされ、血液部分がそれぞれの混合チャンバ134a~3の中の他の試薬ビーズ180または試薬フィルムと先に混合した後に、血液部分が、CaCl2試薬を担持する他の試薬フィルムを溶解させ始めるようになっている。
【0076】
いくつかの実施形態では、試薬ビーズ180または試薬フィルムは、それぞれの混合チャンバ134a~eの中の試薬ビーズ180または試薬フィルムの残りの部分から分離されており、好適なシーケンスで異なる試薬と混合することを可能にするようになっている。一実施形態では、試薬ビーズ180のそのような分離は、(上記で説明したように)保持エレメント182を使用して実現され得る。あるいは、そのような分離は、それぞれのチャンバ134a~eの中の他のビーズ180または試薬フィルムから分離されている、試薬ビーズ180または試薬フィルムを別々のチャネルまたは別々の混合チャンバの中に保持することによって実現され得る(血液部分が、好適なシーケンスで、装填された試薬に到達して混合するようになっている)。一実施形態では、そのような分離は、試薬液体、試薬ビーズ180、または乾燥したフィルム試薬を別々のチャネルの中に位置決めすることによって実現され、血液部分がそれぞれの混合チャンバ134a~eの中の他の試薬ビーズ180または試薬フィルムと混合する前または後に、血液部分が試薬に到達するようになっている。いくつかの実施形態では、試薬ビーズ180または試薬フィルムは、混合チャンバ134a~eと検査チャンバ136a~eを流体接続するダクト134adに沿って設置されている。あるいは、試薬ビーズ180または試薬フィルムは、追加の層によってコーティングされ(次いで、上記で説明したように、保持エレメント182によって保持され)、血液部分がそれぞれの混合チャンバ134a~eの中の他の試薬ビーズ180または試薬フィルムと先に混合した後に、血液部分が、試薬ビーズ180または追加的な可溶性層を含む試薬フィルムの中の試薬を溶解させ始めるようになっている。いくつかの実施形態では、コーティングされている試薬層は、ポリマー組成物および試薬を含む基材から製造されている可溶性フィルム層である。ポリマー組成物は、可溶性バリアを形成し、デバイスの中の表面の上または近くに試薬のコーティングを維持する。血液サンプルと接触すると、ポリマー組成物が溶解し、血液サンプルが試薬と混合することを可能にする。
【0077】
混合エレメント184は、それに限定されないが、ニッケル、コバルト、クロム(IV)酸化物、ガドリニウム、パーマロイ、およびアルニコ(アルミニウム-ニッケル-コバルト合金)など、ならびに、それらの組み合わせを含む、強磁性材料を含む。示されている実施形態では、混合エレメント184は、球形であり、また、固体である。他の実施形態では、混合エレメント184は、それに限定されないが、立方体、円錐形、円筒形、扇形、細長い形、および角柱形など、ならびに、不規則な形状などの、形状を有することができる。いくつかの実施形態では、混合エレメント184は、突出部、窪み部、または孔部などの、1つまたは複数の表面フィーチャを含むことができる。
【0078】
さらに下記で説明するように、混合エレメント184は、混合エレメント184が磁気的に連結する磁石の移動に応答して、混合チャンバ134a~e内で移動可能である。混合エレメント184が磁気的に連結する磁石は、アナライザコンソール140の中に含有されている。混合エレメント184の移動は、混合チャンバ134a~eの中に含有されている血液に溶解するように、試薬ビーズ180を促す。
【0079】
ここで図8A図8Hを参照すると、本明細書で提供されるトロンボエラストメトリシステムとともに使用され得る例示的な流体制御プロセス200を概略的に示している。プロセス200は、血液収集チューブ10の中だけに含有されている血液から始まり、回転トロンボエラストメトリのために構成されているカップ136a~eの中に含有される血液/試薬混合物で終了する。いくつかの実施形態では、流体制御プロセス200を実装するために使用されるカートリッジ120(図1図7参照)が、任意の血液をその中に有する前に(例えば、約37℃まで)加熱されるということを理解すべきである。
【0080】
図8Aを参照すると、例示的な流体制御プロセス200は、血液収集チューブ10、測定チャンバ132a~e、混合チャンバ134a~e、およびカップ136a~e、オーバーフローチャンバ139、血液検出場所127aおよび127b、真空印加ポート162、圧力印加ポート164、ベント166a~e、バルブ168、170、および160a~eを含む。示されている構成では、バルブ168は閉められており、それによって、血液収集チューブ10の中に実質的に血液を保持している。
【0081】
例示的な流体制御プロセス200は、5つの血液フローチャネル(それぞれが、測定チャンバ132a~e、混合チャンバ134a~e、およびカップ136a~eをそれぞれ含む)を含むが、5つの血液フローチャネルを有することは、すべての実施形態において必要とされるわけではないことを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、単一の血液フローチャネルだけが含まれている。あるいは、2つの血液フローチャネルが含まれるか、または、3つの血液フローチャネルが含まれるか、または、4つの血液フローチャネルが含まれるか、または、6つの血液フローチャネルが含まれるか、または、7つ以上の血液フローチャネルが含まれる。図8Bを参照すると、測定チャンバ132a~eは、血液によって充填されており、少量の血液が、オーバーフローチャンバ139の中に含有されている。この状態に達するために、(図8Aと比較して)以下の変更が行われ、および/または、以下の条件が存在していた。(i)バルブ168および170が開けられ、(ii)バルブ160a~eが閉められ、(iii)ベント166a~eが閉められ、(iv)負圧が真空印加ポート162に印加され、(v)圧力印加ポート164は加圧されなかった。したがって、(i)血液収集チューブ10から、(ii)バルブ168を通って、(iii)血液検出場所127aを通って、(iv)測定チャンバ132aの中へ測定チャンバ132aを充填するように、(v)測定チャンバ132bの中へ測定チャンバ132bを充填するように、(vi)測定チャンバ132cの中へ測定チャンバ132cを充填するように、(vii)測定チャンバ132dの中へ測定チャンバ132dを充填するように、(viii)測定チャンバ132eの中へ測定チャンバ132eを充填するように、(ix)血液検出場所127bを通って、(x)バルブ170を通って、そして、(xi)オーバーフローチャンバ139の中へ、血液が流れた。血液が血液検出場所127b内で検出されたときに、負圧の印加が中止され、それによって、さらなる血液フローを止めた。
【0082】
いくつかの実施形態では、例示的な流体制御プロセス200は、測定チャンバ132a~eのうちの1つ、いくつか、またはそれぞれと混合チャンバ134a~eの間に、ストップジャンクション132asを含む。いくつかの実施形態では、測定チャンバへの正圧の印加、または、混合チャンバ134a~eへの負圧の印加を通して、血液は、測定チャンバ132a~eと混合チャンバ134a~eとを接続するダクト132adの中のストップジャンクション132asを通って流れる。ストップジャンクションは、外部制御デバイスへの接続なしに、フローを調整するためのメカニズムを提供している。正圧または負圧の印加は、ストップジャンクションのいずれかの側に圧力差を生成させることが可能であり、ストップジャンクションが開くことを引き起こし、または、表面張力に起因する力に打ち勝つことによって、ストップジャンクションを通して血液を引き込む。所望の圧力が、圧力印加ポート164を介して印加され、血液がストップジャンクションを通って流れることを引き起こし、および/または、空気圧力ベント166a~eを開けることを通して、対応する混合チャンバ134a~eの中の圧力を解放する。
【0083】
いくつかの実施形態では、例示的な流体制御プロセス200は、測定チャンバ132a~eのうちの1つ、いくつか、またはそれぞれと混合チャンバ134a~eの間のストップジャンクションの代わりに、または、加えて、ストップバルブを含む。いくつかの実施形態では、ストップバルブは、設定圧力に到達するとスナップ式に開くスナップ作動式バルブであるか、または、圧力差に比例して開くモジュレーティングバルブである。他のカートリッジの実施形態は、他の流体経路の中に圧力制御式バルブを含むことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、ストップバルブは、図8A図8Hにおいて反応システムの中に示されているバルブ168、162、160a~eによって提供される同じメカニズムによって、開閉され得る。いくつかの実施形態では、ストップバルブは、血液への圧力印加以外のメカニズムを通して、開閉され得る。いくつかの実施形態では、ストップバルブは、ストップバルブに接続されている制御デバイスからの遠隔コマンドに基づいて開けられる。いくつかの実施形態では、ストップバルブは、アナライザコンソール140によって作動させられ、測定チャンバ132a~eから混合チャンバ134a~eへの流体経路を通る流体フローを許容または防止することができる。
【0085】
図8Cを参照すると、測定チャンバ132a~dは、依然として血液によって充填されているが、測定チャンバ132eからの血液は混合チャンバ134eへ移送されている。この状態に達するために(図8Bと比較して)以下の変更が行われ、および/または、以下の条件が存在していた。(i)バルブ168および170が閉められ、(ii)バルブ160a~eは閉められたままで、(iii)ベント166a~dは閉められたままであり、(iv)ベント166eが開けられ、(v)空気圧力供給源が圧力印加ポート164に適用された。したがって、(i)測定チャンバ132eから、(ii)混合チャンバ134eの中へ、血液が流れた。ベント166a~dおよびバルブ160a~dは閉められたままだったので、測定チャンバ132a~d中の血液は、混合チャンバ134a~d中へ流れなかった。混合チャンバ134e中に血液がある状態で、混合チャンバ134e中の混合エレメントは移動することができ、また、血液を撹拌し、その中の試薬ビーズの溶解を促進することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、図8Cに示されている流体制御プロセス200は、測定チャンバ132a~eと混合チャンバ134a~eの間にストップジャンクション(図示せず)を含み、測定チャンバ132a~eと混合チャンバ134a~eの間に十分な圧力差が印加されない場合には、測定チャンバから混合チャンバへの血液のフローを防止する。この実施形態では、血液がストップジャンクションを通って流れることを引き起こすために、ベント166a~dを開けるか、または、圧力印加ポート164に十分な圧力を印加しなければ、ストップジャンクションは、測定チャンバ132a~dから混合チャンバ166a~dの中への血液の漏出を防止する。混合チャンバ134eからの血液によって測定チャンバ132eを充填するために、(図8Bと比較して)以下の変更が行われ、および/または、以下の条件が存在していた。(i)バルブ168および170が閉められ、(ii)バルブ160a~eは閉められたままであり、(iii)ベント166a~dは閉められたままであり、(iv)ベント166eが開けられ、(v)空気圧力供給源が圧力印加ポート164に適用され、血液が測定チャンバ132eから混合チャンバ134eの中へストップジャンクションを通って流れることを引き起こすが、測定チャンバ132a~dと混合チャンバ134a~dの間のストップジャンクションは、測定チャンバ132a~dから混合チャンバ134a~dの中への血液のフローを防止する。混合チャンバ134eの中に血液がある状態で、混合チャンバ134eの中の混合エレメントは、移動することが可能であり、また、血液を撹拌し、その中の試薬ビーズの溶解を促進することができる。
【0087】
図8Dを参照すると、測定チャンバ132a~dは、依然として血液によって充填されており、混合チャンバ134eの中にあった血液/試薬混合物(図8C参照)がカップ136eへ移送されている。この状態に達するために、(図8Cと比較して)以下の変更が行われ、および/または、以下の条件が存在していた。(i)バルブ168および170は閉められたままであり、(ii)バルブ160eが開けられ、(iii)バルブ160a~dは閉められたままであり、(iv)ベント166eが閉められ、(v)ベント166a~dは閉められたままであり、(vi)空気圧力供給源が圧力印加ポート164に適用された。したがって、(i)混合チャンバ134eから、(ii)カップ136eの中へ血液/試薬混合物が流れた。ベント166a~dおよびバルブ160a~dは閉められたままであったので、血液は測定チャンバ132a~dから混合チャンバ134a~dに向けて流れなかった。血液/試薬混合物がカップ136eの中に位置付けされている状態で、回転トロンボエラストメトリがカップ136e内で始まることができる。
【0088】
図8Eを参照すると、測定チャンバ132a~cは、依然として、血液によって充填されており、カップ136eは、依然として、血液/試薬混合物によって充填されており、測定チャンバ132dの中にあった血液(図8D参照)が、混合チャンバ134dへ移送されている。この状態に達するために、(図8Dと比較して)以下の変更が行われ、および/または、以下の条件が存在していた。(i)バルブ168および170は閉められたままであり、(ii)バルブ160eが閉められ、(iii)バルブ160a~dは閉められたままであり、(iv)ベント166dが開けられ、(v)ベント166a~cおよび166eは閉められたままであり、(vi)空気圧力供給源が圧力印加ポート164に適用された。測定チャンバ132dと混合チャンバ134dの間にストップジャンクションを含む実施形態では、血液は、測定チャンバ132dと混合チャンバ134dの間の圧力差の印加によって、ストップジャンクションを通ってトラベルするが、一方、測定チャンバ132a~cと混合チャンバ134a~cの間のストップジャンクションは、フローを防止する。したがって、(i)測定チャンバ132dから、(ii)混合チャンバ134dの中へ、血液が流れた。ベント166a~cおよびバルブ160a~cは閉められたままであったので、血液は、測定チャンバ132a~cから混合チャンバ134a~cに向けて流れなかった。血液が混合チャンバ134dの中にある状態で、混合チャンバ134dの中の混合エレメントは、血液を撹拌し、その中の試薬ビーズの溶解を促進することができる。
【0089】
図8Fを参照すると、測定チャンバ132a~cは、依然として、血液によって充填されており、カップ136eは、依然として、血液/試薬混合物によって充填されており、混合チャンバ134dの中にあった血液/試薬混合物(図8E参照)が、カップ136dへ移送されている。この状態に達するために、(図8Eと比較して)以下の変更が行われ、および/または、以下の条件が存在していた。(i)バルブ168および170は閉められたままであり、(ii)バルブ160dが開けられ、(iii)バルブ160a~cおよび160eは閉められたままであり、(iv)ベント166dが閉められ、(v)ベント166a~cおよび166eは閉められたままであり、(vi)空気圧力供給源が圧力印加ポート164に適用された。したがって、(i)混合チャンバ134dから、(ii)カップ136dの中へ、血液/試薬混合物が流れた。ベント166a~cおよびバルブ160a~cは閉められたままであったので、血液は、測定チャンバ132a~cから混合チャンバ134a~cに向けて流れなかった。血液/試薬混合物がカップ136dの中に位置付けされている状態で、回転トロンボエラストメトリが、カップ136d内で始まることができる。
【0090】
図8Gを参照すると、測定チャンバ132a~bは、依然として血液によって充填されており、カップ136d~eは、依然として血液/試薬混合物によって充填されており、測定チャンバ132cの中にあった血液(図8F参照)が混合チャンバ134cへ移送されている。この状態に達するために(図8Fと比較して)以下の変更が行われ、および/または、以下の条件が存在していた。(i)バルブ168および170は閉められたままであり、(ii)バルブ160dが閉められ、(iii)バルブ160a~cおよび160eは閉められたままであり、(iv)ベント166cが開けられ、(iv)ベント166a~bおよび166d~eは閉められたままであり、(v)空気圧力供給源が圧力印加ポート164に適用された。測定チャンバ132dと混合チャンバ134dの間にストップジャンクションを含む実施形態では、血液は、測定チャンバ132cと混合チャンバ134cの間の圧力差の印加によって、ストップジャンクションを通ってトラベルするが、一方、測定チャンバ132a~bと混合チャンバ134a~bの間のストップジャンクションは、フローを防止する。したがって、(i)測定チャンバ132cから、(ii)混合チャンバ134cの中へ、血液が流れた。ベント166a~bおよびバルブ160a~bは閉められたままであったので、血液は、測定チャンバ132a~bから混合チャンバ134a~bに向けて流れなかった。血液が混合チャンバ134cの中にある状態で、混合チャンバ134cの中の混合エレメントは、血液を撹拌し、その中の試薬ビーズの溶解を促進することができる。
【0091】
図8Hを参照すると、プロセス200の完了が示されている。すなわち、カップ136a~cは、すべて血液/試薬混合物を含有しており、回転トロンボエラストメトリは、カップ136a~e内で起こっていることができる。この状態は、上記で説明したように、真空印加ポート162に真空を印加すること、または、圧力印加ポート164に圧力を印加することを伴って、バルブ168、170、および160a~e、ならびにベント166a~eを作動させる方法にしたがって、達成させられ得る。
【0092】
図9を参照すると、いくつかの代替的な実施形態では、個々の血液フローチャネルまたは経路のうちの1つまたは複数は、直列に配置されている複数の混合チャンバを含むことができる。例えば、例示的な流体制御プロセス280は、5つの血液フローチャネル(図8A~Hの実施形態の中のチャネルの数と同様)を含むが、チャネルのそれぞれは、(図8A~Hの実施形態のようなそれぞれの混合チャンバに対して、単一の混合チャンバを含むというよりもむしろ)直列に配置されている2つの混合チャンバを含む。すなわち、混合チャンバ137aおよび137fは測定チャンバ132aとカップ136aの間に直列に配置されている。混合チャンバ137bおよび137gは測定チャンバ132bカップ136bの間に直列に配置されている。混合チャンバ137cおよび137hは測定チャンバ132cとカップ136cの間に直列に配置されている。混合チャンバ137dおよび137iは測定チャンバ132dとカップ136dの間に直列に配置されている。混合チャンバ137eおよび137jは測定チャンバ132eとカップ136eの間に直列に配置されている。
【0093】
いくつかの実施形態では、CaCl2試薬を担持する試薬ビーズは、直列に配置されている2つの混合チャンバのうちの第2の中にCaCl2試薬を位置付けすることによって、他の試薬ビーズから分離されている。その様式で、直列の混合チャンバは、血液サンプルが試薬と混合されることを可能にすることができ、それに続いて、制御された時点において、血液サンプルの活性化/凝血が開始させられ得る。
【0094】
例示的な流体制御プロセス280は5つの血液フローチャネルを含み、5つの血液フローチャネルは直列に配置されている2つの混合チャンバをそれぞれ含むが、そのような構成がすべての実施形態において必要とされるわけではないことを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、直列に配置されている2つの混合チャンバを含む単一の血液フローチャネルだけがカートリッジの中に含まれる。2つの混合チャンバを備えたそのような単一の血液フローチャネルは、カートリッジ中の唯一の血液フローチャネルであることが可能であり、または、単一の混合チャンバを含む1つまたは複数の他の血液フローチャネルとカートリッジ中で組み合わせられる。複数の血液フローチャネルおよび混合チャンバのすべての組み合わせおよび並べ替えは、本開示の範囲内に含まれるとことを理解すべきである。
【0095】
ここで、より詳細に血液凝固検査チャンバ136a~eを見てみると、チャンバ136a~eは、それぞれのチャンバの中へ引き込まれた血液サンプル部分に粘弾性検査を提供するように構成される。図10Aおよび図10Bを参照すると、ピン138a~eはカートリッジ120の中に位置付けされている。カップ136bの中に位置付けされているピン138bを示す代表的な例は、ピン138bの外径とカップ136bの内径の間にクリアランススペースが存在することを図示している。血液/試薬混合物は、回転トロンボエラストメトリがその中で実施されているときに、クリアランススペースを少なくとも部分的に充填することになる。ピン138bはショルダ部138bsを有している。ピン138bの外径とカップ136bの内径の間のクリアランススペースは、ショルダ部138bsの上方のエリアにおいてよりも、ショルダ部138bsの下方のエリアにおいて小さくなっている。ショルダ部138bsの下方にある、ピン138bの外径とカップ136bの内径の間のエリアは、回転トロンボエラストメトリを実施することに関して活性化されるエリアである。
【0096】
カップ136bおよびピン138bは、(セクション図10Aの断面10B-10Bにしたがって)図10Bの断面に示されている。加えて、サンプル入口ポート136bi(図10Bの配向において、ピン138bの後ろに位置付けされている)が設けられており、血液/試薬混合物がサンプル入口ポート136biを介してカップ136bの中へ流入することになるようになっている。示されている実施形態では、カップ入口ポート136biは、ピン138bの拡大した遠位部分(ショルダ部138bs参照)の上方であるが、ピン138bの近位端部(ピン138bの軸線方向のボア138bbへの侵入口の近くの端部を参照)よりも下方の高さにおいて、カップ136bの側壁部の中に位置付けされている。この構成では、血液/試薬混合物はカップ136bの中へ流入することになり、泡形成の可能性を低減させるようになっている。加えて、カップ入口ポート136biがショルダ部138bsの下方においてカップ136bの内径とピン138bの外径の間のアクティブスペースの中に位置付けされている場合には、カップ入口ポート136biをカップ136bの上部に位置付けすることは、カップ136b内で実施されるトロンボエラストメトリ測定に対して、カップ入口ポート136biがそうでなければ有し得る影響を排除する。
【0097】
特定のデバイスにおいて、(カップ136bの内部直径の中の)カップ入口ポート136biとピン138b(すなわちプローブエレメント)の外径の間のブリッジング(bridging)または他の構造形成が起こる可能性がある。これは、血液がカップ136a~eの中へ流入する能力に影響を及ぼすことがあり、または、カップ136a~e内で行われるトロンボエラストメトリ測定中に誤差を生じさせることがある。いくつかの実施形態では、入口ポート136biの開口部およびピン138bの外径は、ピン138bとカップ入口ポート136biの間の血液サンプルの安定したブリッジングまたは他の凝固構造形成を防止する、少なくとも最小クリアランス距離だけ離れている。最小クリアランス距離において、サンプル入口ポートとピンの間のブリッジングが検査チャンバを充填すると起こり得るが、しかし、ブリッジは測定の間に持続するには十分に安定していないことになる。典型的に、ブリッジは泡の周りに形成することになり、泡は、直径が最小クリアランス距離以上である場合には不安定になることになる。いくつかの実施形態では、安定したブリッジは、1秒、2秒、3秒、4秒、または5秒よりも長く続く。いくつかの実施形態では、最小クリアランス距離は少なくとも1.5mmである。いくつかの実施形態では、最小クリアランス距離は少なくとも1.5mm、2mm、2.5mm、または3mmである。図10Bに示された実施形態では、カップ入口ポート136biは、ピン138bの拡大した遠位部分(ショルダ部138bs参照)の上方であるが、ピン138bの近位端部(ピン138bの軸線方向のボア138bbへの侵入口の近くの端部を参照)の下方の高さにおいて、カップ136bの側壁部中に位置付けされており、また、入口ポート136biはピン138bから少なくとも1.5mmにある。換言すれば、ピンの幾何学形状は、この追加的なクリアランスを可能にすることができる。その理由は、ブリッジングが起こる可能性のある場所において、ピンがより幅の狭い部分を有しており、それによって、ピンとカップの間のより大きいクリアランスが安定したブリッジングを防止することを可能にするからである。
【0098】
図示の実施形態では、カートリッジ124の上部はベント121を含む。ベント121は針123bと流体連通している。したがって、サンプルウェル122の中に位置付けされている血液サンプルチューブをベントするための空気が必要とされるときに、ベント121を通して空気が引き込まれ、針123bを介して血液サンプルチューブの中へ送り込まれる。
【0099】
ピン138a~eのそれぞれは、軸線方向のボアを含む。例えば、ピン138bは軸線方向のボア138bbを含む。軸線方向のボア138bbは、回転トロンボエラストメトリを実施するためのシャフト(図10Bには示されていない)と係合するために使用され得る。
【0100】
図10Cを参照すると、例示的な回転トロンボエラストメトリアセンブリ300bは、カップ136bの中に含有されている血液サンプルに回転トロンボエラストメトリを実施するようにピン138bと係合することができる。この特定の実施形態では、例示的な回転トロンボエラストメトリアセンブリ300bは、ベースプレート302、シャフト310b、軸受312b、ミラー314b、反力スプリング320b、光源330b、および検出器340b(例えば、電荷結合素子など)を含む。ベースプレート302は、矢印318bによって表されているように低下し、シャフト310bの先端部部分がボア138bbに進入してピン138bと取り外し可能に連結されるようになっている。軸受312bはベースプレート302およびシャフト310bと係合させられており、ベースプレート302に対するシャフト310bの回転移動を促進する。反力スプリング320bはシャフト310bに連結されており、スプリング320bの揺動は、矢印316bによって表されているように約+/-5°だけ往復揺動するようにシャフト310bを誘導することができる。ミラー315はシャフト310bに連結されている。光源330bはミラー314bに向けて光を投影するように構成されており、光は、(シャフト310bの回転配向に応じて)ミラー315から検出器340bに向けて反射され得る。したがって、ピン138bの運動を、光学的な検出システムによって検出し得る。また、回転トロンボエラストメトリアセンブリ300bの他の構成も、本開示の範囲内で想定されるということを理解すべきである。
【0101】
検出された運動データは、アナライザコンソール140(図1図3参照)の上で走るアルゴリズムによって分析され、トロンボエラストメトリ結果を処理および決定する。このシステムは、例えば、それに限定されないが、凝血時間、凝血塊形成時間、アルファ角度、振幅、最大凝血塊硬度、溶解開始時間、溶解時間、溶解インデックス(%)、および最大溶解(%)などの、様々なトロンボエラストメトリパラメータを促進する。
【0102】
カップ136bの中の血液が凝固し始めるとき、シャフト310bの運動振幅は、(ミラー315から検出器340bに向けての光ビームの偏向によって検出されるように)減少し始める。凝固の間に、血液のフィブリンバックボーン(血小板を伴う)は、カップ136bおよびピン138bの表面同士の間に機械的な弾性的なリンケージを生成させる。したがって、上述の活性化因子のうちの1つまたは複数を追加することによって誘導される、進行する凝固プロセスが、観察および定量化され得る。このように、患者の止血状況の様々な欠陥が、明らかにされ、また、適正な医療的介入のために解釈され得る。テストプロセスの終わりに、ベースプレート302は、シャフト310bをピン138bから切り離すために上昇することができる。
【0103】
図11を参照すると、アナライザコンソール140のメインシャーシ144は、フロント部分144fおよびリア部分144bを含むことができる。いくつかの実施形態では、リア部分144bは、アナライザコンソール140の動作に必要なコンピュータおよび電子コンポーネントの少なくともいくつかを収容している。例えば、リア部分144bは、例えば、それに限定されないが、コンピュータプロセッサ、メモリデバイス、オペレーティングシステム、および、他の実行可能なインストラクション、電源、ユーザーインターフェースコントロール、通信デバイス、および回路基板などの、ハードウェアデバイスおよびソフトウェアを収容することができる。
【0104】
示されている実施形態では、フロント部分144fはカバー145およびサンプルハンドラアセンブリ400を含む。サンプルハンドラアセンブリ400は、カートリッジ120がその中に受け入れられ得る内部スペースを画定している。いくつかの実施形態では、サンプルハンドラアセンブリ400はアナライザコンソール140のモジュール式サブアセンブリであり、サンプルハンドラアセンブリ400は、サービスのためにアナライザコンソール140から容易に除去され得る。サンプルハンドラアセンブリ400は、リア部分144bの中に収容されているコンピュータおよび電子コンポーネントと電気的に相互接続されている。そうであるので、アナライザコンソール140はカートリッジ120の中に位置付けされている血液サンプルに対して回転トロンボエラストメトリを実施し、タッチスクリーンディスプレイ142の上に結果を表示することができる。
【0105】
ここで図11および図12を参照すると、アナライザコンソール140は、カートリッジレシーバおよびクランプ410ならびに粘弾性測定システム480を含み得る。機械的なフレームアセンブリは、カートリッジレシーバおよびクランプ410ならびに粘弾性測定システム480を適切な配向に支持するために使用されており、カートリッジレシーバおよびクランプ410ならびに粘弾性測定システム480が共生的に機能することができる。
【0106】
カートリッジレシーバおよびクランプ410ならびに粘弾性測定システム480の一部分は、機械的なフレームアセンブリ(それはアナライザコンソール140に対して静止している)に対して移動可能である。例えば、粘弾性測定システム480は、上向きにおよび下向きに移動することができる。さらに下記で説明するように、粘弾性測定システム480はカートリッジ120(例えば、図11参照)と係合するように下向きに移動することが可能であり、また、カートリッジ120から解除するように上向きに移動することができる。カートリッジレシーバおよびクランプ410の一部分は、機械的なフレームアセンブリに対して水平方向に移動することができる。さらに下記で説明するように、カートリッジレシーバおよびクランプ410の一部分は、水平方向に移動して、サンプルハンドラアセンブリ400の中にカートリッジ120をクランプまたはアンクランプすることができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、カートリッジレシーバおよびクランプ410は、可動ブロックサブアセンブリおよび静止ブロックサブアセンブリを含む。カートリッジ120がその中に受け入れられ得るスペースが、可動ブロックサブアセンブリと静止ブロックサブアセンブリの間に存在している。可動ブロックサブアセンブリは、静止ブロックサブアセンブリに向けて、または、静止ブロックサブアセンブリから離れるように並進させられ得る。したがって、カートリッジ120は、可動ブロックサブアセンブリと静止ブロックサブアセンブリの間で、それらの間の相対的な移動のおかげで、クランプおよびアンクランプされ得る。いくつかの実施形態では、粘弾性測定システム480は、可動ブロックサブアセンブリに装着されている。したがって、可動ブロックサブアセンブリが並進させられると、粘弾性測定システム480も並進させられる。
【0108】
いくつかの実施形態では、可動ブロックサブアセンブリは電気モータによって並進させられ得る。特定の実施形態では、モータはステッパーモータである。いくつかの実施形態では、ギヤ減速機がモータに連結されている。小型化のためにベルトおよびプーリー配置を使用して、モータはリードスクリューを駆動するために使用され得る。リードスクリューのネジ山は、可動ブロックの相補的なネジ山と係合させられ、リードスクリューの回転が可動ブロックの水平方向の並進を結果として生じさせるようになっている。いくつかの実施形態では、エンド-オブ-トラベル検出器(例えば、近接センサ、光学センサ、およびマイクロスイッチなど)は、可動ブロックサブアセンブリが所望のエンド-オブ-トラベル位置まで水平方向に並進させられたときを検出するために含まれている。
【0109】
いくつかの実施形態では、移動可能な可動ブロックサブアセンブリと静止ブロックサブアセンブリの間に1つまたは複数のスプリングが延在することができる。スプリングは、可動ブロックサブアセンブリと静止ブロックサブアセンブリの間の適切なクランピング力を促進するのを助けることができる。いくつかの実施形態では、スプリングは調節可能である。
【0110】
いくつかの実施形態では、カートリッジ120と接触する可動ブロックサブアセンブリおよび静止ブロックサブアセンブリの部分は、可撓性または圧縮可能な材料を含み、カートリッジ120がクランプされている間に、それが、損傷から保護されるようにもなっている。
【0111】
特定の実施形態では、可動ブロックサブアセンブリは、可動ブロックサブアセンブリのクランピング面の上に1つまたは複数のフィーチャを含むことが可能であり、それは、サンプルハンドラアセンブリ400の中の所望の場所にカートリッジ120を位置決めする役割を果たす。例えば、いくつかの実施形態では、可動ブロックサブアセンブリは、2つのロケータピンを含み、2つのロケータピンは、カートリッジ120のロケータピン受容部140aおよび140b(図7参照)と嵌合し、サンプルハンドラアセンブリ400に対してカートリッジ120を正確に位置決めすることができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、可動ブロックサブアセンブリおよび静止ブロックサブアセンブリのうちの一方または両方は、加熱デバイス412を含み、加熱デバイス412は、カートリッジ120がそれらの間にクランプされているときに、カートリッジ120を温めることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ヒータ412は、カートリッジ120の少なくとも一部分を加熱するために使用される電気抵抗ヒータである。いくつかの実施形態では、ヒータ412は、カートリッジ120の他の部分から独立して、カートリッジ120の個々の部分の加温を促進するように構成されている。例えば、個々の血液フローチャネル130a、130b、130c、130d、および130e(図4図7参照)のうちの1つまたは複数は、いくつかのそのような実施形態では、独立して温められ得る。加温は、カートリッジ120の1つまたは複数の側部に実施され得る。それに限定されないが、IR、超音波、およびマイクロ波などを含む、他のタイプの加温モダリティも使用され得る。
【0113】
特定の実施形態では、1つまたは複数の温度センサ414が含まれており、1つまたは複数の温度センサ414は、カートリッジ120の上の1つまたは複数の場所において、カートリッジ120の温度を検出することができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の温度センサ414は、熱電対、サーミスタ、および赤外線温度センサなどであることができる。したがって、アナライザコンソール140は、ヒータ412および温度センサ414を使用して、所定の温度(例えば、約37℃)までカートリッジ120を加熱することを制御することができる。
【0114】
可動ブロックサブアセンブリは、複数のソレノイドを含むことが可能であり、複数のソレノイドは、カートリッジ120の上述のベントおよびバルブを作動させるために使用される。例えば(図7も参照)、バルブ168、170、および160a~eは、バルブアクチュエータ430によって作動させられ、ベント166a~eは、ベントアクチュエータ432によって作動させられ得る。いくつかの実施形態では、バルブアクチュエータ430およびベントアクチュエータ432は、ソレノイドを含む。バルブアクチュエータ430によるバルブ168、170、および160a~eの作動は、ピンをバルブアクチュエータ430に連結することによって達成され、バルブアクチュエータ430は、可動ブロックサブアセンブリから拡張可能であり、バルブエラストマー部材と接触してバルブエラストマー部材を広げ、エラストマー部材が、カートリッジ120の中のバルブシートと接触するようになっている。ベントアクチュエータ432によるベント166a~eの作動は、ピンを弾性先端部に連結することによって達成され、弾性先端部は、可動ブロックサブアセンブリから拡張可能であり、ベント166a~eを妨害する。弾性先端部を備えたそのようなピンは、ベント166a~eを通る空気フローを実質的に防止するためのストッパーとして作用することができる。いくつかの実施形態では、バルブアクチュエータ430およびベントアクチュエータ432は、ソレノイドを含み、ソレノイドは、内部スプリングを含み、内部スプリングは、バルブアクチュエータ430およびベントアクチュエータ432が通常時に拡張させられることを引き起こす(例えば、電力がソレノイドから除去されているとき)。したがって、そのようなノーマルクローズ型ソレノイドは、デフォルトの構成として、カートリッジ120のベントおよびバルブを閉めることになる。
【0115】
また、サンプルハンドラアセンブリ400は、圧力供給源436および真空供給源434を含み、圧力供給源436および真空供給源434によって、空気圧力および真空が、それぞれ、カートリッジ120の圧力印加ポート164および真空印加ポート162に印加され得る(図7参照)。例えば、圧力供給源436および真空供給源434は、カートリッジ120と接触することが可能であり、また、カートリッジ120がカートリッジレシーバおよびクランプ410の中にクランプされているときに、圧力印加ポート164および真空印加ポート162に圧力または真空を伝送することができる。圧力供給源436および真空供給源434は、いくつかの実施形態では、弾性材料から少なくとも部分的に作製されている。例えば、いくつかの実施形態では、圧力供給源436および真空供給源434は、例えば、それに限定されないが、シリコーン、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、およびフルオロエラストマーなどの、弾性材料から少なくとも部分的に作製されている。また、1つまたは複数の内部に収容された圧力ポンプおよび/または真空ポンプ(図示せず)は、アナライザコンソール140の中に含まれ得る。そのような内部に収容された圧力ポンプおよび真空ポンプは、空気圧力または真空を発生させるために使用され、空気圧力または真空は、カートリッジ120に印加され、図8A図8Hを参照して上記で説明したように、カートリッジ120の中の血液の輸送を誘導する。
【0116】
また、以前に説明されたように、カートリッジレシーバおよびクランプ410は、静止ブロックサブアセンブリを含む。いくつかの実施形態では、静止ブロックサブアセンブリは、全体として、機械的なフレームアセンブリに対して、かつ、アナライザコンソール140に対して移動しない。
【0117】
いくつかの実施形態では、アナライザコンソール140は、混合ユニット440を含む。特定の実施形態では、混合ユニット440は、モータ、クランクおよびコネクティングロッドアセンブリ、ならびに磁石シャトルを含む。これらのコンポーネントは、カートリッジ120の混合エレメントを磁気的に連結するために使用され、また、混合チャンバ134a~eの中の混合エレメントの移動を誘導するために使用され得る。混合エレメントの移動は、上記で説明したように、混合チャンバ134a~eの中に含有されている血液中に試薬ビーズが溶解することを促す。
【0118】
また、アナライザコンソール140は、1つまたは複数のセンサ448を含むことができる。1つまたは複数のセンサ448は、上記で説明したように、血液検出場所127aおよび127b(図5参照)などの、カートリッジ120の中の特定の場所での血液の存在を検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、センサ448は、IR(赤外線)センサなどの、光学センサである。いくつかの実施形態では、センサ448は、それに限定されないが、カップ136a~e(図8A図8H参照)の中などの、カートリッジ120の他のエリアの中の血液を検出するために使用され得る。
【0119】
また、アナライザコンソール140のサンプルハンドラアセンブリ400は、粘弾性測定システム480を含む。粘弾性測定システム480は、ベースプレート302(例えば、図10C参照)、1つまたは複数のトロンボエラストメトリアセンブリ(例えば、トロンボエラストメトリアセンブリ300b)、およびリニアアクチュエータアセンブリを含む。1つまたは複数のトロンボエラストメトリアセンブリは、それぞれベースプレート302に貼り付けられ得る。いくつかの実施形態では、リニアアクチュエータアセンブリは、ベースプレート302に、ならびに、カートリッジレシーバおよびクランプ410に連結され、したがって、リニアアクチュエータアセンブリの作動は、ベースプレート302ならびにカートリッジレシーバおよびクランプ410を、互いに向けてまたは互いから離れるように並進させることができる。リニアアクチュエータのリニア軸受アセンブリは、ベースプレート302を線形経路でガイドすることが可能であり、また、ベースプレート302がカートリッジレシーバおよびクランプ410に向けてまたはそれから離れるように並進するときに、ベースプレート302を安定化させることができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、リニアアクチュエータアセンブリは、モータ(例えば、DCモータまたはステッパーモータ)を使用して、ベースプレート302がカートリッジレシーバおよびクランプ410に対して垂直方向に上昇または低下することを引き起こし、モータは、駆動ナットと係合されるネジ山を有するリードスクリューを回転させる。駆動ナットは、ベースプレート302に連結されている。いくつかの実施形態では、エンド-オブ-トラベル検出器(例えば、近接センサ、光学センサ、およびマイクロスイッチなど)は、ベースプレート302が所望のエンド-オブ-トラベル位置まで垂直方向に並進させられたときを検出するために含まれている。
【0121】
粘弾性測定システム480は、さらなる回転トロンボエラストメトリアセンブリのうちの1つ(例えば、図10Cの回転トロンボエラストメトリアセンブリ300b)を含み、1つまたは複数の回転トロンボエラストメトリアセンブリは、ピンと連結するように構成されたシャフト(例えば、ピン138bと連結するように構成されたシャフト310b)を含む。トロンボエラストメトリアセンブリはベースプレート302に装着されているので、シャフトは、ベースプレート302の上昇または低下と連動して、上昇または低下させられる。したがって、リニアアクチュエータアセンブリの作動は、カートリッジ120がカートリッジレシーバおよびクランプ410の中にクランプされているときに、カートリッジレシーバおよびクランプ410に対して、ならびに、カートリッジ120に対して、シャフトが垂直方向に上昇または下降することを引き起こす。したがって、本明細書における説明から、リニアアクチュエータアセンブリの作動は、シャフトをカートリッジ120のピンと係合させ、また、シャフトをカートリッジ120のピンから解除することが可能である(例えば、図10C参照。図10Cは、シャフト310bをピン138bと係合させるためにベースプレート302が低下させられるということを示している)ということを理解し得る。
【0122】
アナライザコンソール140の上述の特徴に加えて、いくつかの実施形態では、アナライザコンソール140はまた、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含む。アナライザコンソール140は1つまたは複数のバーコードスキャナ450を含むことが可能であり、1つまたは複数のバーコードスキャナ450は、例えばカートリッジ120の先端部の上のバーコード場所125においてバーコードを読み取ることが可能である(図5参照)。いくつかの実施形態では、アナライザコンソール140は1つまたは複数のデバイスを含み、所望の挿入場所および/または配向におけるカートリッジ120の存在を検出することができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のマイクロスイッチは、カートリッジ120が所望の場所および配向でサンプルハンドラアセンブリ400の中に挿入されたときを検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、アナライザコンソール140は、1つまたは複数の補助接続部460を含むことができる。補助接続部460は、例えば、それに限定されないが、1つまたは複数のUSBポート、イーサネットポート(例えば、RJ45)、VGAコネクタ、およびSub-D9コネクタ(RS232)などの、ネットワークおよびデバイスコネクタを含むことができる。そのような補助接続部460はメインシャーシ144の背面に位置付けされるか、または、メインシャーシ144の上の他の都合の良い場所に位置決めされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のUSBポートはメインシャーシ144のフロントの上または近くに位置決めされ得る。
【0123】
また、アナライザコンソール140は、ユーザーインターフェース142(例えば、この実施形態では、タッチスクリーンディスプレイを備える)を含む。示されている実施形態では、ユーザーインターフェース142は、ユーザ入力を受け取るように、および、ディスプレイ出力情報をユーザに表示するように構成されている。例えば、ユーザは、検査プロセスの開始、中間、および終了の間の時点においてユーザーインターフェース142の上に表示され得る様々なソフトボタンの選択を行うことによって、アナライザコンソール140に情報を入力することができる。いくつかの実施形態では、例えば、それに限定されないが、ソフトキーボード入力などの他の選択が、ユーザーインターフェース142を介して提供され得る。いくつかの実施形態では、データ入力は、音声入力によって、追加的にまたは代替的に実施され得る。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースは、アナライザコンソール140の一部として他の周辺デバイス(例えば、マウス、キーボード、および、追加的なディスプレイデバイスなど)を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータデータネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、LANなど)は、遠隔デバイスがシステム100から情報を受信および/または入力することを可能にするように使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の遠隔ディスプレイが、補助接続部460を介して利用され得る。また、示されている実施形態では、ユーザーインターフェース142は、外部バーコードリーダー146(図1A参照)を含む。代替的にまたは追加的に、アナライザコンソール140のユーザーインターフェース142は、近距離無線通信タグまたはRFIDタグなどを読み取るように構成されたリーダーを装備していることができる。また、アナライザコンソール140は、1つまたは複数の制御システム470を含むことが可能であり、1つまたは複数の制御システム470は、コンピュータプログラム内で具現化されたインストラクションを実行することができる。制御システム470は、例として、汎用マイクロプロセッサおよび専用マイクロプロセッサの両方、ならびに、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。いくつかの実施形態では、制御システム470は、1つまたは複数のそのようなプロセッサ、メモリ、ストレージデバイス、インターフェース、ならびに、他のタイプの電子的なサブシステムおよびコンポーネントを含む。そのようなコンポーネントは、共通のマザーボードの上に装着されるか、または、必要に応じて他の様式で装着され得る。制御システム470は、アナライザコンソール140内で実行するためのインストラクションを処理することが可能であり、このインストラクションは、メモリの中またはストレージデバイスの上に記憶されているインストラクションを含む。いくつかの実装形態では、複数のプロセッサおよび/または複数のバスは、必要に応じて、複数のメモリ、および、メモリのタイプとともに使用され得る。また、複数のコンピューティングデバイスは、それぞれのデバイスが必要な動作の一部分を提供する状態で接続され得る(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、またはマルチプロセッサシステムのようなもの)。
【0124】
ストレージデバイスは、制御システム470のためのマスストレージを提供することができる。いくつかの実装形態では、ストレージデバイスは、コンピュータ可読の媒体、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、またはテープデバイス、フラッシュメモリ、もしくは、他の同様のソリッドステートメモリデバイス、または、ストレージエリアネットワークもしくは他の構成の中のデバイスを含むデバイスのアレイであるか、または、それを含有することができる。コンピュータプログラムプロダクトは、情報担体の中に有形に具現化され得る。また、コンピュータプログラムプロダクトは、実行されるときに、図8A図8Hを参照して上記で説明したものなどの1つまたは複数の方法を実施するインストラクションを含有することができる。また、コンピュータプログラムプロダクトは、メモリ、ストレージデバイス、または、プロセッサの上のメモリなどの、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体の中に有形に具現化され得る。
【0125】
図13を参照すると、いくつかの実装形態では、ユーザは、例示的なプロセス490にしたがって本明細書で提供されているトロンボエラストメトリシステムと相互作用することができる。ステップ492において、ユーザはアナライザコンソールの中へカートリッジを挿入することができる。いくつかの例では、カートリッジの少なくとも一部分は、カートリッジの他の部分がアナライザコンソールの中に隠されている間も、露出されたままである。例えば、このステップは図1Aを参照して上記に例示されている。ステップ494において、プロンプトがアナライザコンソールから受信された後に、ユーザは血液サンプルコンテナをカートリッジに連結することができる。ステップ492によって定義されているように、カートリッジがアナライザコンソールの中に挿入されたままになっている状態で、ステップ494が実施され得る。ステップ496において、ユーザは「開始」ボタン(または、均等物)を押し、カートリッジの血液検査チャンバへの血液サンプルリザーバの中の血液の自動化された輸送を開始させることが可能であり、血液の粘弾性特性が測定され得るようになっている。いくつかの例では、アナライザコンソールは検査が開始させられる準備ができているというインディケーションを提供するが、そのインディケーションはプロセス490の一部として必要とされるわけではない。
【0126】
図14Aおよび図14Bを参照すると、いくつかの実装形態では、トロンボエラストメトリシステムは、例示的なプロセス500にしたがってトロンボエラストメトリを実施することができる。プロセス500の個々のステップは、必ずしも、列挙されている順序で実施されなくてもよい。さらに、いくつかの実装形態では、プロセス500のいくつかのステップは、並列に実施され得る。プロセス500は、トロンボエラストメトリシステム100などの、上記で説明したトロンボエラストメトリシステムによって実施され得る。
【0127】
ステップ510において、カートリッジの存在が、トロンボエラストメトリシステムのアナライザコンソールの受容部内で検出される。例えば、検出は、マイクロスイッチ、光学センサ、およびバーコードスキャナなど、または、それらの組み合わせによって、実施され得る。カートリッジが受容部の中に検出されたとしても、カートリッジの少なくとも一部分は、アナライザコンソールの外部にあることができる。
【0128】
ステップ520において、アナライザコンソールは、クランピングメカニズムを作動させ、少なくとも部分的にアナライザコンソールの中にカートリッジをクランプする。例えば、上記で説明したようなカートリッジレシーバおよびクランプ410が、カートリッジをクランプするように活性化させられ得る。
【0129】
ステップ530において、アナライザコンソールは、カートリッジが以前に使用されたことを示す特性をカートリッジが有するかどうかということをオプションで決定することができる。例えば、アナライザコンソールは、光学センサを使用し、カートリッジの中の血液の存在を検査することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジが以前に使用されたということを示す1つまたは複数の特性が検出される場合には、アナライザコンソールは、プロセス500のさらなるステップを中断し、ユーザーインターフェースを介して適切なメッセージを提供することができる。
【0130】
ステップ540において、アナライザコンソールは、カートリッジの完全性をテストするために、1つまたは複数のQCテストを実施することができる。例えば、いくつかの実施形態では、カートリッジは、例えば、圧力/真空の減衰テストを実施することなどによって、リークに関してテストされ得る。
【0131】
ステップ550において、アナライザコンソールは、バーコードに関してカートリッジをスキャンする。例えば、アナライザコンソールは、カートリッジの先端部をスキャンすることが可能であり、カートリッジの先端部において、1Dまたは2Dバーコードが存在することができる。
【0132】
ステップ560において、アナライザコンソールは、ステップ550においてバーコードのスキャンから得られる情報に基づいて実施されることになるトロンボエラストメトリアッセイのタイプを決定する。
【0133】
ステップ570において、アナライザコンソールのトロンボエラストメトリサブシステムのシャフトがカートリッジのピンと連結される。ピンは、カートリッジのカップの中に位置付けされる。したがって、ピンへのトロンボエラストメトリサブシステムのシャフトの連結は、カートリッジのカップの中に含有されている血液サンプルに対してトロンボエラストメトリを実施することができるように、トロンボエラストメトリシステムを構成することができる。例えば、図10Cを参照すると、トロンボエラストメトリアセンブリ300bのシャフト310bは、カートリッジに向けて低下させられ、シャフト310bがカートリッジ120のピン138bと摩擦フィットして取り外し可能に連結されるようになっている。
【0134】
ステップ580において、アナライザコンソールは、カートリッジのカップに対して、ピンの回転往復運動を始めることができる。例えば、このステップは、図10Cを参照して上記に例示されている。
【0135】
ステップ590において、アナライザコンソールはカートリッジを加熱することができる。いくつかの実装形態では、アナライザコンソールは所定の温度までカートリッジを加熱することができる。特定の実装形態では、アナライザコンソールはカートリッジを所定の温度に維持することができる。例えば、いくつかの実装形態では、所定の温度は約35℃から約40℃であり、好ましくは、約37℃しすることができる。
【0136】
ステップ600では、アナライザコンソールは、血液サンプルコンテナをカートリッジに連結するようにプロンプトを提供する。例えば、1つもしくは複数のステップが正常に完了したときまたは1つもしくは複数の条件が正常に検証したときに、または、その両方のときにこのプロンプトが提供される。例えば、なかでも、ステップ590にしたがって、所定の温度のカートリッジの正常な達成のときに、このプロンプトが提供され得る。プロンプトはアナライザコンソールのユーザーインターフェースを介して提供され得る。例えば、プロンプトは、アナライザコンソールのタッチスクリーンモニタの上に表示される視覚的なメッセージであることができる。いくつかの実装形態では、可聴プロンプトが提供され得る。
【0137】
ステップ610において、アナライザコンソールは、カートリッジの中の血液の存在をオプションで検出することができる。そのような検出は、例えば、アナライザコンソールの1つまたは複数のIRセンサを使用して実施され得る。このステップにおけるカートリッジの中の血液の検出は、血液サンプルコンテナがカートリッジに正常に連結されたということを示すことができる。
【0138】
ステップ620において、アナライザコンソールは、検査を「開始」するためのプロンプトを提供することができる。いくつかの実装形態では、検査を「開始」するためのプロンプトは、1つまたは複数のステップの正常な完了に基づいて、または、1つまたは複数の条件の正常な検証に基づいて、または、その両方に基づいて提供され得る。プロンプトは、アナライザコンソールのユーザーインターフェースを介して提供され得る。例えば、プロンプトは、アナライザコンソールのタッチスクリーンモニタの上に表示される視覚的なメッセージであることができる。いくつかの実施形態では、タッチスクリーンは、検査を開始するためのユーザ入力を受け取ることができる。
【0139】
ステップ630において、アナライザコンソールは、血液がサンプルコンテナからカートリッジの中へ流れることを引き起こすことができる。いくつかの実装形態では、アナライザコンソールの真空供給源が、血液がカートリッジの中へ流入することを引き起こすために使用され得る。いくつかの実装形態では、アナライザコンソールの空気圧力供給源が、血液がカートリッジの中へ流入することを引き起こすために使用される。また、アナライザコンソールは、様々なバルブまたはベントを作動させ、カートリッジの中の血液フローを制御することが可能である(例えば、図8A図8H参照)。
【0140】
ステップ640では、アナライザコンソールは、カートリッジの中に含有されている血液中の試薬の溶解を支援するように撹拌を誘導することができる。このステップは磁石シャトルの水平方向の往復運動に関連して上記に例示されており、磁石シャトルはカートリッジ120の混合エレメントと磁気的に連結されている、その1つまたは複数の磁石を備えており、このステップは、カートリッジ120の中の混合エレメントの移動が混合チャンバ134a~eの中に含有されている血液中で溶解するように試薬ビーズを促すことを引き起こす。
【0141】
ステップ650において、トロンボエラストメトリ検査が開始される。例えば、アナライザコンソールは、データを分析し始めることが可能であり、データは、カートリッジのカップ136a~eの中に位置付けされているピン138a~eと連結されているシャフトの往復回転に関して、トロンボエラストメトリアセンブリによって作り出される(図8A図8H参照)。いくつかの実装形態では、アナライザコンソールは、トロンボエラストメトリアセンブリのうちの他のものによって作り出されるデータを分析し始める前に、トロンボエラストメトリアセンブリのうちのいくつかによって作り出されるデータを分析し始めることができる。例えば、図8A図8Hを参照して上記で説明したように、アナライザコンソールは、第1に、カップ136eに関してトロンボエラストメトリアセンブリによって作り出されるデータを分析し始めることができる。それに続いて、アナライザコンソールは、カップ136dに関するトロンボエラストメトリアセンブリによって作り出されるデータを分析し始めることが可能であり、そして、以下同様に続く。
【0142】
ステップ660において、アナライザコンソールは、トロンボエラストメトリの結果を表示する。そのような結果は、検査の実施と同時に、および、検査の完了時に表示され得る。結果は、例えば、タッチスクリーンディスプレイの上など、アナライザコンソールのユーザーインターフェースを介して表示され得る。結果は、定性的なグラフィック表現および定量的なパラメータを使用して表示され得る。
【0143】
ステップ670において、アナライザコンソールは、検査の停止時にカートリッジをアンクランプすることができる。いくつかのケースでは、そのような停止は、検査を停止させるためのアナライザコンソールへのユーザ入力によって、または、テストアッセイの完了によって、または、時間ベースのパラメータの満了によって、開始させられ得る。アンクランピングは、例えば、可動ブロックサブアセンブリの水平方向の並進によって実施され得る。アンクランピングの後に、カートリッジは、アナライザコンソールから除去され得る。
【0144】
本発明の複数の実施形態が説明されてきた。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行ない得ることを理解できよう。したがって、他の実施形態は添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14A
図14B