(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】細胞培養の組成または純度を定量し軟骨細胞または滑膜細胞の同一性を生体外で定量するためのマーカーと方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6881 20180101AFI20220128BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20220128BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20220128BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220128BHJP
C12N 5/077 20100101ALN20220128BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20220128BHJP
【FI】
C12Q1/6881 Z
C12Q1/6851 Z
G01N33/48 M
G01N33/68
C12N5/077
C12Q1/686 Z
(21)【出願番号】P 2019504055
(86)(22)【出願日】2017-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2017068781
(87)【国際公開番号】W WO2018019839
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】102016213684.4
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508148138
【氏名又は名称】テテック ティシュー エンジニアリング テクノロジーズ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カリン ベンツ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ゲイスメイエル
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-230493(JP,A)
【文献】特開2014-036658(JP,A)
【文献】国際公開第2012/013712(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/104574(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/071210(WO,A1)
【文献】Sophie P. Toya et al.,Interaction of a specific population of human embryonic stem cell-derived progenitor cells with CD11b+ cells ameliorates sepsis-induced lung inflammatory injury,The American Journal of Pathology,2011年,Vol. 178, No. 1,pp.313-324
【文献】Ying Cui et al.,Differential gene expression profiling of metalloproteinases and their inhibitors: a comparison between bovine intervertebral disc nucleus pulposus cells and articular chondrocytes,Spine,2010年,Vol. 35, No. 11,pp.1101-1108
【文献】Stephen Rapko et al.,Identification of the chondrocyte lineage using microfibril-associated glycoprotein-2, a novel marker that distinguishes chondrocytes from synovial cells.,Tissue engineering: Part C,2010年,Vol. 16, No. 6,pp.1367-1375
【文献】Yuko Segawa et al.,Mesenchymal Stem Cells Derived from Synovium, Meniscus, Anterior Cruciate Ligament, and Articular Chondrocytes Share Similar Gene Expression Profiles,JOURNAL OF ORTHOPAEDIC RESEARCH,2009年,Vol. 27, No.4,pp.435-441
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00 - 7/08
15/00 - 15/90
C12Q 1/00 - 3/00
G01N 33/48 - 33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養の組成および純度を定量するためのマーカーの使用法であって、前記マーカーが、
MMP1/ACEまたはACE/MMP1であり、前記マーカーの発現レベルが定量され、前記細胞培養が、軟骨細胞の培養であることを特徴とする、細胞培養の組成および純度を定量するためのマーカーの使用法。
【請求項2】
前記細胞培養が、軟骨生検試料、軟骨/骨穿孔生検試料、及び、それらの軟骨組織断片のうちの少なくとも一つに由来する細胞を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用法。
【請求項3】
前記生検試料が、関節、及び、膝関節のうちの少なくとも一つからの生検試料であることを特徴とする、請求項2に記載の使用法。
【請求項4】
前記マーカーは、MMP1/ACEであり、
前記マーカーの発現レベルが第1の閾値レベルを超えることは、前記細胞培養が軟骨細胞を含むことを示し、
前記第1の閾値レベルは、純粋な滑膜細胞の培養中の前記マーカーの発現レベル以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用法。
【請求項5】
前記マーカーは、ACE/MMP1であり、
前記マーカーの発現レベルが第2の閾値レベルを超えることは、前記細胞培養が滑膜細胞を含むことを示し、
前記第2の閾値レベルが、純粋な軟骨細胞の培養中の前記マーカーの発現レベル以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用法。
【請求項6】
前記発現レベルは、RNAの塩基、mRNAの塩基、または、タンパク質の塩基について定量されることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の使用法。
【請求項7】
細胞培養の組成または純度を定量する方法であって、
前記方法は、
a)軟骨細胞の培養である細胞培養から細胞試料を取得すること、
b)前記細胞試料におけるマーカーの発現レベルを定量すること、
c)前記細胞培養の前記組成または純度を前記マーカーの前記発現レベルに基づいて定量すること
を含み、
前記マーカーが、
MMP1/ACEまたはACE/MMP1である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養の組成または純度を定量し軟骨細胞または滑膜細胞の同一性を生体外で定量するためのマーカー、細胞培養の組成または純度を定量するための方法、軟骨細胞または滑膜細胞の同一性を定量するための生体外の方法、新規療法のための医薬を製造するための細胞培養の使用法ならびに上記の方法を実行するためのキットの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞に基づいた医薬品の品質、より具体的には細胞に基づいた組織工学製品の品質に関する必要条件がますます厳格さを増加してきている。このことは、特に細胞に基づいた医薬品を製造するために使用される細胞の純度と同一性に関係して適用される。これは特に軟骨細胞に対して大きな問題である。そのような培養は、自家移植軟骨細胞を使って頻繁に調製されまたマトリックスに会合した自家移植軟骨細胞の移植における特定の培養期間の後で使用される。
【0003】
特別な問題は、例えば、骨芽細胞、滑膜細胞および間葉系幹細胞のような間葉系由来の様々な細胞型には大きな差がなく、したがって従来のマーカーを用いて識別することは事実上不可能である。
【0004】
一般に、内皮細胞、骨芽細胞および滑膜細胞は、夾雑細胞型として軟骨細胞培養において有意であると考えることができる。しかし、滑膜細胞は、内皮細胞および骨芽細胞とは対照的に、それらは通常の培養条件下において軟骨細胞と同様の挙動をすることが多いという点で特に重要である。
【0005】
細胞および細胞培養を定量するための方法は、欧州特許第2132562B9号から公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、細胞培養における純度制御を実行して細胞を同定するための代替または改善された可能性が依然として必要とされているという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、細胞培養、より具体的には軟骨細胞および/または滑膜細胞培養の純度制御を可能にするマーカーを提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明の目的は、軟骨細胞および/または滑膜細胞の同定を可能にするマーカーを提供することである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、軟骨細胞および滑膜細胞の識別を可能にするマーカーを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、対応する生体外方法の提供、上記生体外方法を実行するためのキットの使用法および新医療法用の医薬品を製造するための細胞培養の使用法を提供することである。
【0011】
これらの目的は、本発明に従って独立請求項1に記載のマーカーの使用法により、請求項13に記載の方法により、請求項14に記載の細胞培養の使用法により、請求項15に記載のキットの使用法によりそして本明細書において開示された本出願および方法により達成される。好ましい実施形態は従属請求項において画定される。全ての請求項の文言は、本明細書の上記内容に明示的な参照を利用して組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の態様に従い、本発明は細胞培養の組成または純度の評価、具体的には細胞培養の組成または純度を定量するためのマーカーの使用法に関する。
【0013】
そのマーカーは、ACE、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーであることを、特に、特徴とし、当該少なくとも1つのマーカーの発現レベルが定量される。
【0014】
本発明の意味において用語の「少なくとも1つのマーカー」とは、上記のマーカーの1つあるいは2つ以上のマーカーの組み合わせを示し、即ち上記のマーカー2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16の組み合わせまたは上記の全マーカーの組み合わせを示す。特に、本発明の意味において用語の「少なくとも1つのマーカー」とは、上記の2つのマーカーの比を示す。
【0015】
さらに、本発明の意味において用語の「マーカー」とは、一般に遺伝産物、即ち、発現の結果、例えばより具体的にはメッセンジャーRNA(mRNA)または上記のマーカーの1つまたは複数のタンパク質などを示すことができる。
【0016】
本発明の意味において理解される用語の「発現レベル」とは、RNA塩基における発現レベル、より具体的にはメッセンジャーRNA塩基(mRNA塩基)、および/またはタンパク質塩基における発現レベルを示す。
【0017】
本発明において用語の「発現レベル」と関連して使用される用語の「定量する」とは、本発明の意味において任意の生化学的および/または生物工学的方法であって、それを用いて上記少なくとも1つのマーカーの発現レベル、より具体的にはRNAまたはタンパク質塩基を定量し、より具体的には定量的に測定することを示す。
【0018】
その後の生命情報科学的評価を用いた質量分析試験に基づいたプロテオーム解析において、本発明者らは、細胞培養の純度制御を可能にするために適合する軟骨細胞マーカーおよび滑膜細胞マーカー、より具体的には軟骨細胞および/または滑膜細胞培養の同定、および/または軟骨細胞、即ち軟骨細胞および/または滑膜細胞、即ち滑膜細胞または滑膜繊維芽細胞の同一性の同定に成功している。本発明に関連して同定されたマーカーは、より具体的には軟骨細胞培養における滑膜細胞の混入の同定および/または滑膜細胞培養における軟骨細胞の存在の同定および/または軟骨細胞と滑膜細胞との識別を可能にする。
【0019】
したがって本発明により提案されたマーカーは、軟骨細胞または軟骨細胞マーカー、即ち軟骨細胞に対する純度または特性マーカーとして、および/または滑膜細胞または滑膜細胞マーカーとして、即ち滑膜細胞に対する純度または特性マーカーおよび/または同一性マーカーとしても示される。
【0020】
好ましい実施携帯では、少なくとも1つのマーカーの発現レベルが、細胞培養から取得した細胞試料について定量される。
【0021】
本発明の意味における用語の「細胞試料」とは、細胞を含有する試料または細胞培養から採取された細胞を含む試料を示すものと理解される。
【0022】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCINおよび少なくとも2つの上記のマーカーの組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
別の実施形態において、少なくとも1つのマーカーは、ACE、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3および少なくとも2つの上記のマーカーの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3のタンパク質、または少なくとも2つの上記のマーカーのタンパク質の組み合わせである。
【0025】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCINのタンパク質、または少なくとも2つの上記のマーカーのタンパク質の組み合わせでもよい。あるいは、上記少なくとも1つのマーカーは、ACE、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3のタンパク質、または少なくとも2つの上記のマーカーのタンパク質の組み合わせでもよい。
【0026】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはRNA、より具体的には、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3のmRNAまたはRNAの組み合わせ、より具体的には少なくとも2つの上記のマーカーのmRNAの組み合わせである。
【0027】
特に、少なくとも1つのマーカーは、RNA、より具体的には、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCINのmRNAまたはRNAの組み合わせ、より具体的には少なくとも2つの上記マーカーのmRNAの組み合わせでもよい。あるいは、上記少なくとも1つのマーカーは、RNA、より具体的には、ACE、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3のmRNAまたはRNAの組み合わせ、具体的には少なくとも2つの上記のマーカーのmRNAの組み合わせでもよい。
【0028】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはPOSTNである。タンパク質として、POSTNは、「ペリオスチン」または「骨芽細胞の特異的な因子OSF-2」としても示される。ペリオスチンは、上皮細胞の接着および遊走を支持するためにアルファ-V/ベータ-3およびアルファ-V/ベータ-5インテグリン用のリガンドである。
【0029】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、POSTNと、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEとからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0030】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、POSTNと、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1およびSCINからなる群から選択される少なくとも1つの他のマーカーとの組み合わせである。
【0031】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはSYNPOである。タンパク質として、SYNPOは、「上皮細胞」としても示される。上皮細胞は、約73kDaの分子量を有する細胞質のアクチン関連タンパク質である。上皮細胞は、腎臓の有足細胞内および大脳内の両方で産出する。
【0032】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、SYNPOと、POSTN、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPER2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0033】
好ましくは、少なくとも1つのマーカーは、SYNPOと、POSTN、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、およびSCINからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0034】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはMMP1である。タンパク質として、MMP1は、「マトリックスメタロプロテアーゼ-1」、「間質コラゲナーゼ」または「繊維芽細胞コラゲナーゼ」としても示される。
【0035】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1と、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。特に好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1とACEの組み合わせである。
【0036】
さらに、上記少なくとも1つのマーカーは、より具体的にはMMP1と、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1およびSCINからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0037】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはSULF1である。タンパク質として、SULF1は「硫酸塩1」としても示される。硫酸塩1はヘパリン硫酸から6-O硫酸塩基を選択的に除去する酵素である。
【0038】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、SULF1と、POSTN、SYNPO、MMP1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0039】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、SULF1と、POSTN、SYNPO、MMP1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1およびSCINとからなる群から選択される少なくとも1つの他のマーカーとの組み合わせである。
【0040】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはARHGEF28である。タンパク質として、ARHGEF28は「rhoグアニンヌクレオチド交換因子28」として示される。
【0041】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、ARHGEF28と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0042】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、ARHGEF28と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1およびSCINからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0043】
他の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはIGF2BP1である。タンパク質として、IGF2BP1はまたインシュリン様成長因子2のmRNA結合タンパク質1」とも示される。
【0044】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、IGF2BP1と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0045】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、IGF2BP1と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、BAIAP2L1、LIMCH1およびSCINからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0046】
他の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはBAIAPL1である。タンパク質として、BAIAPL1は「脳特異的血管新生阻害剤1関連タンパク質2様タンパク質1(BAI1関連タンパク質2様タンパク質1)」としても示される。
【0047】
具体的には、上記少なくとも1つのマーカーは、BAIAP2L1と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0048】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、BAIAP2L1と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、LIMCH1およびSCINからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0049】
他の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはLIMCH1である。タンパク質として、LIMCH1は「LIMおよびカルポニン相同ドメイン1」としても示される。
【0050】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、LIMCH1と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせででもよい。
【0051】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、LIMCH1と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1およびSCINからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0052】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはSCINである。タンパク質として、SCINは「シンデリン」または「アドセベリン」としても示される。
【0053】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、SCINと、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0054】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、SCINと、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1およびLIMCH1からなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0055】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはDCLK1である。タンパク質として、DCLK1は「ダブルコルチン様キナーゼ1」としても示される。
【0056】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、DCLK1と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0057】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、DCLK1と、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0058】
別の実施形態において、少なくとも1つのマーカーはPPLである。タンパク質として、PPLは「ペリプラキン」としても示される。
【0059】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、PPLと、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0060】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、PPLと、DCLK1、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0061】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはCRABP2である。タンパク質として、CRABP2は「細胞レチノイン酸結合タンパク質2」としても示される。
【0062】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、CRABP2と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0063】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、CRABP2と、DCLK1、PPL、NES、XPNPEP2、SLIT3、およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0064】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはNESである。タンパク質として、NESは「ネスチン」としても示される。
【0065】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、NESと、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、XPNPEP2、SLIT3、およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0066】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、NESと、DCLK1、PPL、CRABP2、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0067】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはXPNPEP2である。タンパク質として、XPNPEP2は「Xプロリルアミノペプチダーゼ」としても示される。
【0068】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、XPNPEP2と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0069】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、XPNPEP2と、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、SLIT3、およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0070】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはSLIT3である。タンパク質として、SLIT3は「軸索ガイダンスリガンド3」としても示される。
【0071】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、SLIT3と、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0072】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーは、SLIT3と、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびACEからなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせである。
【0073】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーはACEである。タンパク質として、ACEは「アンジオテンシン変換酵素」としても示される。
【0074】
特に、上記少なくとも1つのマーカーは、ACEと、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。特に好ましくは。上記少なくとも1つのマーカーは、ACEとMMP1の組み合わせである。
【0075】
さらに、上記少なくとも1つのマーカーは、より具体的にはACEと、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つの別のマーカーとの組み合わせでもよい。
【0076】
別の実施形態において、細胞培養は、軟骨細胞培養(cartilage cell culture or chondrocyte culture)である。
【0077】
用語の「軟骨細胞培養」は、本発明の意味において、軟骨組織から、好ましくは軟骨生検試料、より具体的には酵素消化および消化後に得られた上記細胞のその後の培養による、軟骨/骨穿孔生検から生産または生産可能の培養物を示すように理解されるものとする。
【0078】
用語の「軟骨組織」は、本発明の意味において、好ましくは医学的治療の結果としての健康な軟骨組織、罹患もしくは病理学的に修飾された軟骨組織即ち新規に作成された軟骨細胞、または軟骨組織の再生、具体的には自己由来の軟骨細胞移植(ACT)またはマトリックス関連自家移植軟骨細胞移植(MACT)を示すことができる。
【0079】
用語の「軟骨生検試料」は、本発明の意味において、健常な軟骨組織、罹患もしくは病理学的に修飾された軟骨組織、または再生した軟骨組織または上記の組織の1つからなる軟骨組織を含む生検試料を示すことができる。
【0080】
用語の「軟骨/骨穿孔生検試料」は、本発明の意味において、健常な骨および軟骨組織、罹患骨および軟骨組織または病理学的に修飾された骨および軟骨組織または骨および再生された軟骨組織または上記の1つの組織からなる軟骨組織を含む生検試料を示すものと理解するものとする。
【0081】
別の実施形態において、上記細胞培養は滑膜細胞培養である。用語「滑膜細胞培養物(synovial cell culture)」または「滑膜細胞培養物(synoviocyte culture)」は、本発明の意味において酵素消化および消化後に得られたその後の細胞の培養によって滑膜組織から産生されたあるいは産生され得る培養物を示すように理解されるものとする。
【0082】
別の実施形態において、細胞培養は、軟骨生検試料に由来する細胞を含む。特に、細胞培養は、軟骨/骨穿孔生検試料、より具体的には、それらの軟骨組織断片に由来する細胞を含む。
【0083】
上記生検試料、より具体的には上記軟骨生検試料または軟骨/骨穿孔生検試料は、関節、より具体的には膝関節由来の生検試料が好ましい。
【0084】
別の実施形態において、上記細胞培養は滑膜組織生検試料に由来する細胞を含む。
【0085】
別の実施形態において、少なくとも1つのマーカーは、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、および上記のマーカーの中の少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択され、画定された閾値を超える上記少なくとも1つのマーカーの発現レベルは上記細胞培養が軟骨細胞を含むことを示唆することを特徴とする。上記閾値は、純粋な滑膜細胞培養中における上記少なくとも1つのマーカーの発現レベル以上であることが好ましい。用語の「純粋な滑膜細胞培養」は、本発明の意味において、滑膜細胞の形の細胞のみを含む滑膜細胞培養を示すものと理解するものとする。したがって、本節において述べた上記マーカーは、本発明の意味において、軟骨細胞マーカーを示してもよい。
【0086】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、ACE、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3および上記のマーカーの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択され、画定された閾値を超える発現レベルの上記少なくとも1つのマーカーは細胞培養に滑膜細胞を含むことを示唆することを特徴とする。上記閾値は、純粋な軟骨細胞培養中における上記少なくとも1つのマーカーの発現レベル以上であることが好ましい。用語の「純粋な軟骨細胞培養」は、本発明の意味において軟骨細胞の形態の細胞のみを含む軟骨細胞培養を示すことと理解するものとする。したがって、本節において述べた上記マーカーは、本発明の意味において、滑膜細胞マーカーを示してもよい。
【0087】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1に対するACEの比(ACE/MMP1比)またはACEに対するMMP1の比(MMP1/ACE比)である。換言すると、別の実施形態に従う細胞培養の組成または純度を定量するためのマーカーは、MMP1に対するACEの比またはACEに対するMMP1の比である。好ましくは、上記細胞培養の組成または純度を定量するためには、上記MMP1に対するACEの比が形成され、即ちACE/MMP1比が細胞培養の上記組成または純度を定量するためのマーカーとして使用される。好ましくは、画定された閾値を超えるACE/MMP1比率は、上記細胞培養が滑膜細胞を含有することを示唆する。上記閾値は、純粋な滑膜細胞培養におけるMMP1に対するACEの比の値以下であることが好ましい。上記少なくとも1つのマーカーの上記発現レベルは、別の実施形態においてRNA塩基、好ましくはメッセンジャーRNA塩基(mRNA塩基)について定量される。
【0088】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーの発現レベルは、タンパク質塩基について定量される。
【0089】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーの上記発現レベルは、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応または定量実時間ポリメラーゼ連鎖反応などのポリメラーゼ連鎖反応、電気泳動分析、サザンブロットなどのゲル電気泳動分析、ノーザンブロットまたはウエスタンブロット、タンパク質チップ、抗体、ELISAなどの免疫測定法、LUMINEX免疫測定法またはELISPot分析、免疫蛍光分析、免疫組織化学分析、放射免疫学的分析、プロテオーム分析、HPLCなどのクロマトグラフィーに基づく分析またはゲルクロマトグラフィーなどの質量分析法分析またはフローサイトメトリー分析の手段を用いて定量される。
【0090】
第2の態様に従い、本発明は軟骨細胞および/または滑膜細胞の同一性を生体外で定量するためのマーカーの用途、より具体的には軟骨細胞と滑膜細胞を判別する(区別する)ためのマーカーの使用法に関する。
【0091】
上記マーカーは、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーであって、上記少なくとも1つのマーカーの発現レベルは細胞培養から得られた細胞試料において定量されることを特徴とする。
【0092】
好ましい実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCINおよび上記のマーカーの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択され、画定された閾値レベルを超える上記少なくとも1つのマーカーの発現レベルは、上記細胞が軟骨細胞であることを示唆することを特徴とする。上記閾値は、滑膜細胞における上記少なくとも1つのマーカーの発現レベル以上であることが好ましい。
【0093】
別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、ACE、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3および上記のマーカーの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択され、画定された閾値レベルを超える上記少なくとも1つのマーカーの発現レベルは、上記細胞が滑膜細胞であることを示唆することを特徴とする。上記閾値は、軟骨細胞における上記少なくとも1つのマーカーの発現レベル以上であることが好ましい。
【0094】
別の実施形態において、上記細胞培養は軟骨生検試料に由来する細胞を含有する。特に、上記細胞培養は軟骨/骨穿孔生検試料、より具体的にはその軟骨組織断片に由来する細胞を含有してもよい。
【0095】
上記生検試料、より具体的には上記軟骨生検試料または軟骨/骨穿孔生検試料は、関節、より具体的には膝関節由来の生検試料が好ましい。
【0096】
別の実施形態において、上記細胞培養は滑膜組織生検試料に由来する細胞を含有する。
【0097】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1に対するACEの比(ACE/MMP1比)またはACEに対するMMP1の比(MMP1/ACE比)である。換言すると、別の実施形態に従う軟骨および/または滑膜細胞の同一性の生体外定量のための上記マーカーは、MMP1に対するACEの比またはACEに対するMMP1の比である。好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーはMMP1に対するACEの比である。換言すると、軟骨細胞および/または滑膜細胞の同一性を生体外で定量するためのマーカーが、MMP1に対するACEの比かどうかは、本発明において好ましい。画定された閾値を超える上記ACE/MMP1比の値は、上記細胞が滑膜細胞であることを示唆する。上記閾値は、滑膜細胞におけるMMP1に対するACEの比の値以下であることが好ましい。
【0098】
さらなる特徴とその使用法の利点、より具体的には上記少なくとも1つのマーカーについて、繰り返しを避けるために、上記の記述に照らして行った上記説明は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。ここに記述した実施形態はまた、本発明の第2の態様に従って上記マーカーの使用法に対して準用する。
【0099】
第3の態様に従って、本発明は細胞培養の組成または純度を評価し、より具体的には定量するための方法に関する。
【0100】
上記方法は、
a)細胞培養から細胞試料を取得すること、
b)上記細胞試料における少なくとも1つのマーカーの発現レベルを定量すること、そして
c)上記細胞培養の組成または純度を上記少なくとも1つのマーカーの上記発現レベルに基づいて定量することの、各段階を含む。
【0101】
上記方法は、特に、上記少なくとも1つのマーカーが、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3および上記のマーカーの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
【0102】
別の実施形態において、上記細胞培養は軟骨生検試料に由来する細胞を含有する。特に、上記細胞培養は軟骨/骨穿孔生検試料、より具体的にはその軟骨組織断片に由来する細胞を含有してもよい。
【0103】
上記生検試料、より具体的には上記軟骨生検試料または軟骨/骨穿孔生検試料は、関節、より具体的には膝関節由来の生検試料が好ましい。
【0104】
別の実施形態において、上記細胞培養は滑膜組織生検試料に由来する細胞を含有する。
【0105】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1に対するACEの比(ACE/MMP1比)またはACEに対するMMP1の比(MMP1/ACE比)である。好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーはMMP1に対するACEの比である。好ましくは、画定された閾値を超えるACEのMMP1の比の値は、上記細胞培養が滑膜細胞を含有することを示唆する。上記閾値は、純粋な滑膜細胞培養におけるMMP1に対するACEの比の値以下であることが好ましい。
【0106】
さらなる特徴とその方法の利点、より具体的には上記少なくとも1つのマーカーについて、繰り返しを避けるために、上記の記述に照らして行った上記説明、より具体的には本発明の第1の態様に関しては、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。ここに記述した実施形態はまた、本発明の第3の態様に従った方法に対しても準用する。
【0107】
第4の態様に従い、本発明は軟骨細胞および/または滑膜細胞の同一性を定量するための生体外での方法、より具体的には軟骨細胞を判別する(区別する)ためのマーカーの使用法に関する。
【0108】
上記方法は、
a)細胞培養から取得した細胞試料における少なくとも1つのマーカーの発現レベルを定量すること、そして
b)上記少なくとも1つのマーカーの上記発現レベルに基づいて上記細胞の同一性を定量すること、の各段階を含む。
【0109】
上記方法は、特に、上記少なくとも1つのマーカーが、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3および上記のマーカーの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
【0110】
別の実施形態において、上記細胞培養は軟骨生検試料に由来する細胞を含有する。特に、上記細胞培養は軟骨/骨穿孔生検試料、より具体的にはその軟骨組織断片に由来する細胞を含有してもよい。
【0111】
上記生検試料、より具体的には上記軟骨生検試料または軟骨/骨穿孔生検試料は、関節、より具体的には膝関節由来の生検試料が好ましい。
【0112】
別の実施形態において、上記細胞培養は滑膜組織生検試料に由来する細胞を含有する。
【0113】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1に対するACEの比(ACE/MMP1比)またはACEに対するMMP1の比(MMP1/ACE比)である。好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーはMMP1に対するACEの比である。好ましくは、画定された閾値を超えるMMP1に対するACEの比の値は、上記細胞が滑膜細胞であることを示唆する。上記閾値は、滑膜細胞におけるMMP1に対するACEの比の値以下であることが好ましい。
【0114】
さらなる特徴とその方法の利点、より具体的には上記少なくとも1つのマーカーについて、上記の記述に照らして行った上記説明、より具体的には本発明の第2の態様に関しては、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。ここに記述した実施形態はまた、本発明の第4の態様に従った方法に対しても準用する。
【0115】
第5の態様に従い、本発明は上記評価において使用するためのマーカー、より具体的には細胞培養の組成または純度の定量に関する。
【0116】
上記マーカーは、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーであり、上記少なくとも1つのマーカーの発現レベルが定量されることを特徴とする。
【0117】
別の実施形態において、上記細胞培養は軟骨生検試料に由来する細胞を含有する。特に、上記細胞培養は軟骨/骨穿孔生検試料、より具体的にはその軟骨組織断片に由来する細胞を含有してもよい。
【0118】
上記生検試料、より具体的には上記軟骨生検試料または軟骨/骨穿孔生検試料は、関節、より具体的には膝関節由来の生検試料が好ましい。
【0119】
別の実施形態において、上記細胞培養は滑膜組織生検試料に由来する細胞を含有する。
【0120】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1に対するACEの比(ACE/MMP1比)またはACEに対するMMP1の比(MMP1/ACE比)である。換言すると、別の実施形態に従う細胞培養の組成または純度を評価するためのマーカーは、MMP1に対するACEの比(ACE/MMP1比)またはACEに対するMMP1の比(MMP1/ACE比)である。
【0121】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーはMMP1に対するACEの比である。換言すると、細胞培養の上記組成または純度を評価する際に使用するための上記マーカーがMMP1に対するACEの比かどうかは、本発明において好ましい。好ましくは、画定された閾値を超えるMMP1に対するACEの比の値は、上記細胞培養が滑膜細胞を含有することを示唆する。上記閾値は、純粋な滑膜細胞培養におけるMMP1に対するACEの比の値以下であることが好ましい。
【0122】
上記マーカーのさらなる特徴と利点について、繰り返しを避けるために、上記の記述に照らして行った上記説明、より具体的には本発明の第1の態様に関する上記説明は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。ここに記述した実施形態はまた、本発明の第5の態様に従って上記マーカーに対しても準用する。
【0123】
第6の態様に従い、本発明は軟骨細胞および/または滑膜細胞の同一性を生体外で定量する際に使用するためのマーカー、より具体的には軟骨細胞と滑膜細胞の間の生体外での判別(区別)において使用するためのマーカーに関する。
【0124】
上記マーカーは、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーであって、上記少なくとも1つのマーカーの発現レベルは細胞培養から得られた細胞試料において定量されることを特徴とする。
【0125】
別の実施形態において、上記細胞培養は軟骨生検試料に由来する細胞を含有する。特に、上記細胞培養は軟骨/骨穿孔生検試料、より具体的にはその軟骨組織断片に由来する細胞を含有してもよい。
【0126】
上記生検試料、より具体的には上記軟骨生検試料または軟骨/骨穿孔生検試料は、関節、より具体的には膝関節由来の生検試料が好ましい。
【0127】
別の実施形態において、上記細胞培養は滑膜組織生検試料に由来する細胞を含有する。
【0128】
さらに別の実施形態において、上記少なくとも1つのマーカーは、MMP1に対するACEの比(ACE/MMP1比)またはACEに対するMMP1の比(MMP1/ACE比)である。換言すると、別の実施形態に従って生体外において軟骨細胞および/または滑膜細胞の同一性を定量する際に使用するための上記マーカーは、MMP1に対するACEの比(ACE/MMP1比)またはACEに対するMMP1の比(MMP1/ACE比)である。
【0129】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーはMMP1に対するACEの比である。換言すると、軟骨細胞および/または滑膜細胞の同一性を生体外で定量する際に使うためのマーカーが、MMP1に対するACEの比かどうかは、本発明において好ましい。好ましくは、画定された閾値を超えるMMP1に対するACEの比の値は、上記細胞が滑膜細胞であることを示唆する。上記閾値は、滑膜細胞におけるMMP1に対するACEの比の値以下であることが好ましい。
【0130】
上記マーカーのさらなる特徴と利点について、繰り返しを避けるために、上記の記述に照らして行った上記説明、より具体的には本発明の第1および第2の態様に関する上記説明は、その全体を参照することにより本明細書にもまた組み込まれる。ここに記述した実施形態はまた、本発明の第6の態様に従って上記マーカーに対しても準用する。
【0131】
第7の態様に従い、本発明は、細胞を用いた新規療法または細胞を付与した(生体外)移植組織用の医薬品を製造するための細胞培養の使用法、および好ましくは軟骨細胞培養または軟骨細胞の使用法、および好ましくは組織工学製品に関する。
【0132】
上記細胞培養の組成と純度は、本発明の第1または第5の態様に従うマーカーを用いて若しくは本発明の第3の態様に従う方法を用いて定量される。
【0133】
新規療法の上記医薬品または上記移植組織は、軟骨細胞を含むことが好ましい。
【0134】
例えば、新規療法用の医薬品は、細胞含有の二成分系、より具体的にはキット型のものでもよく、第1成分はマレイミド基類などのチオール反応性基類を有する官能化アルブミン、より具体的にはヒト血清アルブミンおよび自家移植軟骨細胞を含みまた第2成分は例えばジチオポリエチレングリコール(二つの末端チオール基を有する非分枝型ポリエチレングリコール)などのチオール基で官能化された架橋剤を含むことを特徴とする。新規療法用の上記医薬品は、Novocart(登録商標)Injectの名義の出願者により販売されている。
【0135】
あるいは、新規療法用の上記医薬品は自家移植軟骨細胞を植え付けたコラーゲンに基づいた移植組織でもよい。特に、新規治療用の医薬品は、2層構造を有する自家移植軟骨細胞を植え付けた移植組織でもよく、その第1の層は膜型、より具体的には心嚢膜の形態であり、また第2の層はスポンジ状と開孔構造、より具体的には柱状細孔を有し、上記軟骨細胞は上記第2の層またはスポンジ状の層の中に包含されることを特徴とする。当該移植組織は、Novocart(登録商標)3Dの名義の出願者によって市場販売されている。
【0136】
上記使用法のさらなる特徴と利点について、繰り返しを避けるために、上記の記述に照らして行った上記説明、より具体的には本発明の第1、第3および第5の態様に関する上記説明は、その全体を参照することにより本明細書にもまた組み込まれる。ここに記述した実施形態はまた、本発明の第7の態様に従って上記使用法に対しても準用する。
【0137】
第8の態様に従って、本発明は、本発明の第3または第4の態様に従う方法を実行するためのキットの使用法に関する。
【0138】
上記キットは、POSTN、SYNPO、MMP1、SULF1、ARHGEF28、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3およびACEからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを定量するための少なくとも1つの成分を含む。
【0139】
成分は、より具体的には、例えば、捕捉および/または検出抗体などの抗体、蛍光染料のような染料、ビーズ、緩衝液、栄養溶液、洗浄液、開始剤(DNAポリメラーゼのようなDNA複製酵素に対する出発点として作用するオリゴヌクレオチド)または上記の成分の少なくとも2つの混合物/配合物でもよい。
【0140】
上記キットの別の特徴と利点、より具体的には上記少なくとも1つの上記マーカーについて、繰り返しを避けるために、上記の記述に照らして行った上記説明は、その全体を参照することにより本明細書にもまたここに記述した実施形態はまた、本発明の第8の態様に従って上記キットに対しても準用する。
【0141】
本発明の別の特徴と利点は、実施例の形態で後続の記述における好ましい実施形態において見出される。上記個々の特徴は、独立にまたは相互に組み合わせた形で実装できる。下記に記述した実施例は、本発明をさらに説明するために提供するものであって、それにより決して制限されない。
以下に、本明細書で開示する技術の特徴を列挙する。
(項目1)
細胞培養の組成および純度を定量するためのマーカーの使用法であって、前記マーカーが、ACE、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーであり、前記少なくとも1つのマーカーの発現レベルが定量されることを特徴とする、細胞培養の組成および純度を定量するためのマーカーの使用法。
(項目2)
前記少なくとも1つのマーカーの発現レベルが、前記細胞培養から取得した細胞試料について定量されることを特徴とする、項目1に記載の使用法。
(項目3)
前記細胞培養が軟骨細胞培養であることを特徴とする、項目1または項目2に記載の使用法。
(項目4)
前記細胞培養が、軟骨生検試料、好ましくは、軟骨/骨穿孔生検試料、より具体的には、それらの軟骨組織断片に由来する細胞を含むことを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載の使用法。
(項目5)
前記生検試料が、関節、より具体的には膝関節からの生検試料であることを特徴とする、項目4に記載の使用法。
(項目6)
前記少なくとも1つのマーカーが、MMP1、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCINおよび前記記述されたマーカーの中の少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択され、前記少なくとも1つのマーカーの発現レベルが画定された閾値レベルを超えることは、前記細胞培養が軟骨細胞を含むことを示すことを特徴とする、項目1から5のいずれか一項に記載の使用法。
(項目7)
前記閾値が、純粋な滑膜細胞培養中の前記少なくとも1つのマーカーの発現レベル以上であることを特徴とする、項目6に記載の使用法。
(項目8)
前記少なくとも1つのマーカーが、ACE、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3、および前記記述されたマーカーの中の少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択され、前記少なくとも1つのマーカーの発現レベルが画定された閾値レベルを超えることは、前記細胞培養が滑膜細胞を含むことを示すことを特徴とする、項目1から7のいずれか一項に記載の使用法。
(項目9)
前記閾値が、純粋な軟骨細胞培養中の前記少なくとも1つのマーカーの発現レベル以上であることを特徴とする、項目11に記載の使用法。
(項目10)
前記少なくとも1つのマーカーが、ACEに対するMMP1の比または前記2つの逆比であることを特徴とする、項目1から9のいずれか一項に記載の使用法。
(項目11)
ACEに対するMMP1の比の値が画定された閾値を超えることは、前記細胞培養が滑膜細胞を含むことを示し、
前記閾値は、好ましくは、純粋な滑膜細胞培養におけるACEに対するMMP1の比の値以下であることを特徴とする、項目10に記載の使用法。
(項目12)
前記発現レベルはRNAの塩基、好ましくはmRNAの塩基またはタンパク質の塩基について定量されることを特徴とする、項目1から11のいずれか一項に記載の使用法。
(項目13)
細胞培養の前記組成または純度を定量する方法であって、
前記方法は、
a)細胞培養から細胞試料を取得すること、
b)前記細胞試料における少なくとも1つのマーカーの発現レベルを定量すること、
c)前記細胞培養の前記組成または純度を前記少なくとも1つのマーカーの前記発現レベルに基づいて定量すること
を含み、
前記少なくとも1つのマーカーが、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2、SLIT3および前記記述のマーカーの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、方法。
(項目14)
前記細胞培養の前記組成または純度が、項目1から項目12のいずれか一項に記載のマーカーの手段、又は、項目13に記載の方法の手段によって定量されることを特徴とする、新規療法用の医薬品、より具体的には組織工学製品を製造するための細胞培養の使用法。
(項目15)
項目22または項目23に記載の方法を実行するためのキットの使用法であって、前記キットが、MMP1、ACE、POSTN、SYNPO、SULF1、ARHGEF28、IGF2BP1、BAIAP2L1、LIMCH1、SCIN、DCLK1、PPL、CRABP2、NES、XPNPEP2およびSLIT3からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを検出するための少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする、使用法。
【図面の簡単な説明】
【0142】
図は以下を示す。
【
図1】log10変換滑膜細胞/軟骨細胞LQF強度の散布図比較図である。
【
図2】log10変換滑膜細胞/軟骨細胞LQF強度(平均LFQ比)の平均値の可視化用のヴォルカーノプロット図である。
【
図3】滑膜細胞と軟骨細胞間のペプチド数の差および平均順位検定で使用されない全タンパク質用のq値の付随的な差の可視化用の火山プロット図である。
【
図4】軟骨細胞と滑膜細胞における滑膜細胞マーカーACEのmRNA発現である。
【
図5】軟骨細胞と滑膜細胞における軟骨細胞マーカーMMP1のmRNA発現である。
【
図6】軟骨細胞と滑膜細胞における滑膜細胞マーカーACEおよび軟骨細胞マーカーMMP1のmRNA発現の比である。
【
図7】細胞混合物におけるACE/MMP1のmRNA発現の比である。
【
図8】細胞混合物におけるACEのmRNA発現である。
【
図9】細胞混合物におけるMMP1のmRNA発現である。
【図面の詳細な説明】
【0143】
図1は、異なる4人の提供者における提供者1(x軸)に関するlog10変換滑膜細胞/軟骨細胞LEQ強度の散布図の比較を示す。原点を通った傾き1の直線は、繰り返し実験における100%相関に対応する。平均順位テスト(mean rank test)で1つの細胞型において高い発現を示すとして分類されたタンパク質は、暗く示されている。
【0144】
図2は、5回の繰り返し実験の少なくとも3回が定量された全タンパク質の比の標準偏差に対する、log10形質転換滑膜細胞/軟骨細胞のLFQ強度の平均値(平均LFQ比)の可視化用のヴォルカーノプロットを示す。黒い垂直は、陽性(滑膜細胞におけるより高い発現)と陰性(軟骨細胞におけるより高い発現)のLFQ比の間の境界を示す。各々の破線は、タンパク質の発現における2倍または10倍の差(対数の尺度で0.3と1に対応)を示す。
【0145】
図3は、滑膜細胞と軟骨細胞の間のペプチド数の差および平均順位テストにおいて用いられない全タンパク質に対するq値の付随的な差を視覚化するためのヴォルカーノプロットを示す。1より大きいペプチド数の差は、滑膜細胞における高い発現を意味し、また1より小さいペプチド数の差は、軟骨細胞における高い発現を意味する。研究1においてバイオマーカー候補として分類されたタンパク質は、遺伝子名で同定される。
【0146】
図4は、上記滑膜細胞マーカーACEのmRNA発現のグラフを示す。同一提供者由来の軟骨細胞および滑膜細胞が、-以下に記述される、1.材料および方法-において培養される。培養法の終わりで、ACEの上記mRNAの発現が分析された。結果は、上記参照遺伝子GAPDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ)(n=10)の発現に対して示される。上記図中で用いた箱ひげは、25/75パーセンタイル(箱)、10/90パーセンタイル(括弧)、5/95パーセンタイル(点)、中央値(実線)および平均値(点線)を示す。
図4は、滑膜細胞におけるACEのmRNA発現が軟骨細胞においてより有意に高いことを示す。ACEは、したがって、滑膜細胞のマーカーとしての使用に対して特別に適合する。
【0147】
図5は、上記軟骨マーカーMMP1のmRNA発現のグラフを示す。同一提供者由来の軟骨細胞および滑膜細胞が-以下に記述される、1.材料および方法-において培養される。培養法の終わりで、MMP1の上記mRNAの発現が分析された。結果は、上記参照遺伝子GAPDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ)(n=10)の発現に対して示される。上記図中で用いた箱ひげは、25/75パーセンタイル(箱)、10/90パーセンタイル(括弧)、5/95パーセンタイル(点)、中央値(実線)および平均値(点線)を示す。
図5は、軟骨細胞におけるMMP1のmRNA発現が滑膜細胞においてより有意に高いことを示す。MMP1は、したがって、軟骨細胞のマーカーとしての使用に対して特別に適合する。
【0148】
図6は、軟骨細胞および滑膜細胞における滑膜細胞マーカーACEと軟骨細胞マーカーMMP1の発現の比のグラフを示す(n=10)。上記図中で用いた箱ひげは、25/75パーセンタイル(箱)、10/90パーセンタイル(括弧)、5/95パーセンタイル(点)、中央値(実線)および平均値(点線)を示す。
図6は、
MMP1に対するAC
Eの比(ACE/MMP1比)もまた、本発明の意味において、より具体的には細胞培養物の組成または純度を定量するためおよび/または生体外で軟骨細胞および/または滑膜細胞の同一性を定量するためのマーカーとして適合することを示す。
【0149】
図7は、軟骨細胞および滑膜細胞の異なる内容物を有する細胞におけるACEに対するMMP1のmRNA発現の比のグラフを示す。(n=7)。上記図中で用いた箱ひげは、25/75パーセンタイル(箱)、10/90パーセンタイル(括弧)、5/95パーセンタイル(点)、中央値(実線)および平均値(点線)を示す。
図7は、
MMP1に対するAC
Eの比の値が、軟骨細胞含有の細胞混合物の純度の程度と相関し、具体的にはACEに対するMMP1の低い比が軟骨細胞含有の細胞混合物の純度の程度より強く相関し、またACEに対するMMP1の高い比は軟骨細胞含有の細胞混合物の純度が低く相関することを示す。
図7は、特に、軟骨細胞含有の細胞混合物の純度が
MMP1に対するAC
Eの比の縮小に伴って増加することを示す。
【0150】
上記細胞混合物は、以下のように生成された。
【0151】
軟骨細胞および滑膜細胞は、-以下に記述される1.材料および方法-において、互いに独立して培養されて、培養の終了時点でトリプシン処理と遠心処理された。得られた上記細胞ペレットは再懸濁された。細胞懸濁液の細胞数を定量し、次いで各細胞懸濁液の対応する容量を用いて100%、90%、75%、50%、25%、10%および0%の軟骨細胞を含む混合物を生成した。このような手段で調製された上記細胞混合物は、再度遠心分離されてその結果得られた細胞ペレットを溶解して遺伝子用に使用した。
【0152】
図8は、軟骨細胞および滑膜細胞の異なる内容物を有する細胞混合物におけるACEのmRNA発現のグラフを示す(n=7)。上記図中で用いた箱ひげは、25/75パーセンタイル(箱)、10/90パーセンタイル(括弧)、5/95パーセンタイル(点)、中央値(実線)および平均値(点線)を示す。
【0153】
上記細胞混合物の生成に関して、
図7に関する上記説明を参照する。
【0154】
図9は、軟骨細胞および滑膜細胞の異なる内容物を有する細胞混合物におけるMMP1のmRNA発現のグラフを示す(n=7)。上記図中で用いた箱ひげは、25/75パーセンタイル(箱)、10/90パーセンタイル(括弧)、5/95パーセンタイル(点)、中央値(実線)および平均値(点線)を示す。
【0155】
上記細胞混合物の生成に関して、
図7に関する上記説明をまた参照する。
例示的な実施形態の詳細な説明
1.材料および方法
1.1 細胞培養、阻害剤処理および細胞溶解
【0156】
使用された上記軟骨細胞および滑膜細胞は、合衆国からの死亡した提供者の膝関節に由来する。上記組織は2つの解剖用メスを使って細かく切断してのコラゲナーゼを用いて24時間に亘って、5%のCO2で37℃で消化した。培養の間、上記滑膜組織は上記軟骨組織に同様に処理された。消化後、上記試料は、軟骨細胞培地内で48時間に亘って、5%CO2で37℃で縦型インキュベーションを受けた。この処理の後、上記細胞は、細胞ふるいを通過させ、遠心分離にかけて新鮮な軟骨細胞培地内で広げた。増殖に応じて、上記細胞を19~最大23日間に亘って、上記培地を2~3回交換して培養した。
【0157】
培養後、上記細胞をトリプシンを用いて培養表面から剥がし、PBSで洗浄し、凍結し、ドライアイスを用いてミュンヘンのエボティック社に送った。
【0158】
タンパク質の細胞溶解と酵素解裂は、最近発表された実施要綱(Kulak,N.A.、Pichler,G.、Paron,I.、Nagaraj,N.およびMann,M.(2014)Minimal, encapsulated proteomic-sample processing applied to copy-number estimation in eukaryotic cells. Nat Methods 11,319~324)に従って実施した。上記細胞は最初-80℃で保存し、その後溶解の前に氷の上に置いた。溶解は冷涼な緩衝材(1%w/vのSDC、10mMのTCEP、40mMのCAA、pH8.5の100mMのTris)を用いて実行した。細胞抽出物は、直ちに99℃で10分間に亘って培養し、次いで、氷を用いて30秒間超音波処理した。その後、上記細胞破片を遠心分離して除去した。その上澄みは、新規の反応容器に移して、タンパク質濃度を定量した(BCA分析、ピアス)。150μgの各細胞溶解質は、その後の酵素タンパク質解裂に対して使われる。合計10の軟骨細胞と10の滑膜細胞の培養が、分析に使用された。
1.2 質量分析法(MS)用の試料調製
【0159】
細胞溶解質中のタンパク質は、10mMのTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)で還元して40mMのCAA(2-クロロアセトアミド)の存在下でアルキル化した。遠心分離後、各場合において、上記透明溶解質の150μgアリコートはH2Oにより1:2に希釈され、エンドペプチダーゼLys-C(Wako)およびトリプシン(Promega)の1:1混合物が、酵素対タンパク質比1:50の中に添加され、培養が一晩中実行された。得られたペプチド混合物は、99%の酢酸エチルおよび1%のTFAを加えて酸性化し、次いでStrata-X-Cカラム(フェノメネックス社製の100mgの吸着剤)を使用して脱塩した。上記ペプチドは、80%のアセトニトリルおよび5%v/vの水酸化アンモニウムで溶離し、液体窒素中で衝撃凍結し、そして凍結乾燥した。この後、ペプチドを逆相クロマトグラフィー(Wang,Y.、Yang,F.、Gritsenko,MA、Clauss,T.、Liu,T.、Shen,Y.、Monroe,ME、Lopez-Ferrer,D.、Reno,T.、Moore,R.J.ら。(2011)、Reversed-phase chromatography with multiple fraction concatenation strategy for proteome profiling of human MCF10A cells. Proteomics 11,2019-2026)によって高いpHで分画した。この目的のために、上記ペプチドは、20mMギ酸アンモニウム(pH10、緩衝液A)中で再構成され、エクタエクスプローラシステム(Akta Explorer System(GE Healthcare))のXBridge C18 200×4.6mm分析カラム(ウォーターズ社)に充填され、その後、セグメント化されたグラジエントの手段により、増加するアセトニトリル濃度が7%~30%の緩衝液B(80%のアセトニトリルを含む緩衝液A)を用いて15分間、次に最大55%の勾配で5分間に亘って、分離された。上記溶離されたペプチドについて収集された画分は、次に非線形手段を用いて結合されて合計12個の試料が得られた。上記試料は次いで、自己生成C18 STAGEtipカラム(Rappsilber,J.、Mann,M.およびIshihama,Y.(2007)、Protocol for micro-purification, enrichment, pre-fractionation and storage of peptides for proteomics using StageTips. Nat Protoc 2,1896~1906)で脱塩した。質量分析法のために、上記ペプチドは0.5%のギ酸中で再構築された。
1.3 質量分析法
【0160】
全てのLC-MS/MS分析は、Easy n-LC 1000 UPLCシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を備えたQ Exactive Plus質量分析計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)で行った。上記試料は、逆相物質(Reprusil-Pur C18-AQ、3μm、Dr.Maisch GmbH)を最大圧力800barまで充満した40cmの石英ガラス製エミッター(ニューオブジェクティブス)の上のオートサンプラーに充填された。結合ペプチドは全分画された試料の分析用に125分の実行時間内に溶離された。ペプチドは、ナノエレクトロスプレーイオン源(プロジーオンバイオシステムズ社)を用いて質量分析計内に直接噴射した。質量分析計は、目標値が3,000,000計数(最大注入時間=45ms)で分解能がR=70,000(m/z=200)の全MS走査とR=17,500で目標値が100,000イオンにおけるMS/MSフラグメンテーション走査との間の自動切換えを可能にするためにデータ依存モードで動作された。上記10個の最も示強性のペプチドイオンは、HCD(高エネルギー衝突解離)を用いて選別された。
1.4 データ処理方法
【0161】
上記試験で取得された全ての生データは、ペプチドとタンパク質の同定と定量のためにヒトスイスプロットデータベース(バージョン03 02014)(Cox,J.およびMann,M.(2008)、マックスカントは、高いペプチド同定率、個別化p.p.b領域の質量精度およびプロテオーム全体のタンパク質定量が可能である。Nat Biotechnol 26,1367-1372、Olsen,J.V.、Vermeulen,M.、Santamaria,A.、Kumar,C.、Miller,M.L.、Jensen,L.J.、Gnad,F.,、Cox,J.,、Jensen,T.S.、Nigg,E.A.、ら、(2010)。Quantitative phosphoproteomics reveals widespread full phosphorylation site occupancy during mitosis. Sci Signal 3,ra3)を使用してマックスカント(MaxQuant)ソフトウェアスイート(バージョン1.5.3.2)により処理された。ラベルフリーの定量が作動され、一方で「実行間の一致」機能が切られた。最大許容質量偏差は、MSでは4.5ppm、MS2ピークでは20ppmであった。システインのカルバミドメチル化は固定修飾として入力され、またメチオニンの酸化とN末端アセチル化は可変修飾として入力された。全てのペプチドは、最小長さ7のアミノ酸を含む必要があり、また最大2つの未解裂トリプシン部位(解裂見逃し)が許容されていた。タンパク質とペプチドの同定用のFDR(誤発見率)は1%に設定された。
1.5 生命情報科学データの分析
【0162】
無標識定量化(LFQ)のタンパク質強度は、同一提供者の滑膜細胞/軟骨細胞の比を計算するために使用された。この対合は、合計5回の複製をもたらした。取得された比は、その後log10変換して別のデータ分析に使用された。デコイデータベース内で汚染物質またはリバースヒットとして標識されたタンパク質は、修飾されたマックスカントのタンパク質群の表から除外された。3回以上の複製においてLFQ比を有するタンパク質に関する有意な発現差は、非母数の1標本平均順位検定(Klammer M.、Dybowski J.N.、Hoffmann D.、およびSchaab C.(2014)、Identification of significant features by the Global Mean Rank test. PLoS One. 2014年8月13日、9(8):e104504. doi番号:10.1371)を用いて定量された。平均順位テストは、FDR(誤発見率)を確実に制御する包括的な順位に基づいたテストである。
【0163】
3回複製未満の比を有するタンパク質は、与えられたタンパク質に対する個々のペプチド計数を使用した非母数のペプチド計数テストを受けた。各タンパク質に対して、軟骨細胞と滑膜細胞の間のペプチド計数における平均差が定量された。集団標識は次ぎに並べ替えられて、大きな差が発生したタンパク質を全体に亘って計数した。これは、与えられたタンパク質の誤り発見(FD)を予測するために、その誤り発見の平均数を使って考えられるあらゆる再配列に対して繰り返された。
【0164】
上記2つの研究の組み合わせ分析を目的として、関連する軟骨細胞と滑膜細胞を有する合計10の提供者が使われた。少なくとも7回の複製におけるLFQ比を有するタンパク質中の有意な発現差は、上記平均順位テストを用いて定量され、また他の全てのタンパク質が非母数のペプチド計数テストを受けた。
1.6 上記2つのデータ集合の比較
【0165】
夫々5人の提供者を有する上記2つの独立した研究結果を比較できるようにするために、上記データはユニプロットKB識別子および/または遺伝子名の何れかを用いて比較された。上記比較の性質に基づいて、上記データは以下の4つの範疇、即ち、(++)同一のユニプロットKB(UniProtKB)識別子と、(+)部分的に同一のユニプロットKB識別子および同一の遺伝子名と、(+/-)部分的に同一のユニプロットKB識別子および部分的に一致する遺伝子名と、(-)適用不能のもの、に分類された。
1.7 遺伝子発現分析
【0166】
培養が完了した後で、50万の一定分量が、遺伝子発現の分析用に採取され遠心分離され、そして上記細胞ペレットが溶解緩衝液を用いて溶解された。その後のRNAの分離は、RN簡易小型キット(キアゲン社)を使って実行した。相補的DNAの合成は、PCRキット(クロンテック社)用のAdvantage(登録商標)RTを用いて実行された。
【0167】
遺伝子特異的プライマー配列は、プライマーブラストを用いてNCBI社により設計されて、Biotez社によって合成された。上記プライマーは、100nMまたは200nM/ウェルの濃度で使用され、mRNAの発現はロッシュ(Roche)社のLC480を用いて実時間PCR法で分析された。蛍光染料SYBRグリーンが、上記増幅した配列の検出のために使用された。
2.結果
【0168】
合計で、定量されたFDRが<1%、10,702の異なるタンパク質が同定された。軟骨細胞と滑膜細胞に対してタンパク質の同様の数が同定された(10,550または10,462)。同定は、2,300,000を超えるペプチドの検出および162,299の同定済みペプチドに基づいて実行された。全ての上記実験を通して同程度の数のタンパク質が同定されたが、これはプロテオミクス分析に使用される作業の流れの基本的な頑健性を示している。
【0169】
関連する軟骨細胞と滑膜細胞調製物を有する5人の提供者の生物学的複製に関するタンパク質定量の再現性を示すために、無標識の定量比(LFQ比)の散布図分析が実行された。この目的のために、上記LFQの強度は、滑膜細胞のLFQ強度の軟骨細胞のLFQ強度に対する比を表すlog10変換比に換算された。
【0170】
一例として、提供者1に対する上記結果を
図1に示す。上記タンパク質が両方の細胞型において同一に発現されることを意味する、log10変換タンパク質比約ゼロ(=線形比が約1)の大きな斑点に加えて、上記2つの細胞型において異なる頻度を示す少数のタンパク質がいくつか見られる。上記散布図の相互比較は、大多数のタンパク質が勾配1の原点を通って勾配が1の線上にあることから、上記提供者について高い相関関係を示している。取得された結果は、上記2つの研究に関して同等であった。
【0171】
次の段階において、上記2つの細胞型の間で発現レベルが有意に異なるタンパク質を同定するために、別のデータ分析が実行された。この目的のために、5つの生物学的複製のうち少なくとも3つが定量される上記タンパク質の全てが、統計分析された。これらの必要条件は、研究2における合計7,361のタンパク質および研究1における5,378のタンパク質によって満たされた。有意で再現性のある変化は、FDRが10%(q値≦0.1)の平均順位テストを使って同定された(Klammer M.、Dybowski J.N.、Hoffmann D.、およびSchab C.(2014)、Identification of significant features by the Global Mean Rank test. PLoS One. 2014年8月13日、9(8):e104504. doi番号:10.1371)。使用された10%のFDRは、遺伝子オントロジー濃縮および相互作用ネットワーク分析などの研究の別の生命情報科学分析に適合すると見られるような任意に選択された値である。上記2つの細胞型の間で有意に異なるタンパク質の発現を有する上記タンパク質の分布は、所謂ヴォルカーノプロットを使用して視覚化することができる。この目的のために、log10変換された滑膜細胞/軟骨細胞のLFQ強度の平均値(平均LFQ比)が、全タンパク質の比の標準偏差に対してプロットされた。上記2つの細胞型の間で発現が異なる上記タンパク質の全てが、赤で示されている。バイオマーカー候補として分類されたタンパク質は、名称で標識された。
【0172】
平均順位テストを適用した後、上記テストで分析された全タンパク質の15%が、軟骨細胞と滑膜細胞(合計1,135)中で有意に異なることが分かった。次の段階において、上記2つの細胞型の中の1つのみにおいて可能な限り独占的に発現したマーカータンパク質を同定するためにペプチド計数が実行された。このテストは、2つの細胞型のうちのどの1つのタンパク質が同定されたかに関してペプチドの平均数を比較する。このテストに対して、全部で3,340のタンパク質が使われて、その中16が異なって発現された(10%のFDR、q値≦0.1)。これらの16のタンパク質の中、8は1つの型のみで発現され、あるいは1つの細胞型のみにおいて有意に高く発現された。
【0173】
両方の研究においてペプチド計数テストによって見出された軟骨細胞または滑膜細胞における特異的なタンパク質発現を有する選択されたタンパク質が、表1に示される。
【0174】
【0175】
有意に異なる手段を使って発現される生命情報科学分析によって定量されたタンパク質を表2に示す。
【0176】
【0177】
さらに、バイオマーカー候補として分類された上記タンパク質に対して、上記2つの細胞型間のタンパク質発現の差(―倍の差)および平均ペプチド計数を表3に要約する。
【0178】