(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】流動性食品用の包装容器およびポリマー開口部を成形する方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/26 20060101AFI20220112BHJP
B65D 75/44 20060101ALI20220112BHJP
B65D 85/72 20060101ALI20220112BHJP
B65D 41/32 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B65D81/26 K
B65D75/44
B65D85/72 200
B65D41/32
(21)【出願番号】P 2019535935
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2017083628
(87)【国際公開番号】W WO2018122052
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ・ウィンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・クヴァフォード
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・ダムケーア
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-124550(JP,A)
【文献】特表2016-532753(JP,A)
【文献】米国特許第6179147(US,B1)
【文献】国際公開第2011/073104(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0167095(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0216671(US,A1)
【文献】ロシア国特許第2552554(RU,C2)
【文献】欧州特許出願公開第0836935(EP,A2)
【文献】特開2007-15708(JP,A)
【文献】国際公開第2003/025048(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/26
B65D 75/44
B65D 85/72
B65D 41/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性食品用の包装容器(10)であって、前記包装容器はポリマー組成物から形成された開口部(30)を備え、前記開口部(30)は脆弱化特徴部(31)であって200マイクロメートル未満の厚さを有しかつ前記脆弱化特徴部に直接隣接する前記開口部(30)の部分よりも薄い脆弱化特徴部(31)を備え、前記ポリマー組成物は亜硫酸ナトリウム粒子を含み、前記粒子は以下のサイズ特性を有する:
(i)0%が75マイクロメートルを超えるサイズ、および
(ii)25マイクロメートル未満の平均サイズ、
を有する、流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項2】
前記粒子が以下のサイズ特性:
(i)0%が50マイクロメートルを超えるサイズ、および
(ii)15マイクロメートル未満の平均サイズ、
を有する、請求項1に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項3】
前記開口部(30)の前記ポリマー組成物が2~20重量%の亜硫酸ナトリウムを含む、請求項1または2に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項4】
前記開口部(30)の前記ポリマー組成物が5~10重量%の亜硫酸ナトリウムを含む、請求項3に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項5】
前記亜硫酸ナトリウム粒子が無水Na2SO3粒子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項6】
前記開口部(30)が成形される、請求項1~5のいずれか一項に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項7】
前記開口部(30)が射出成形される、請求項6に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項8】
前記開口部(30)が、HDPEを含むポリマー組成物から製造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項9】
前記ポリマー開口部(30)が、LDPEを含むポリマー組成物から製造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項10】
前記開口部(30)が、HDPE、LDPEおよび/またはLLDPEを含むブレンドを含むポリマー組成物から製造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項11】
前記包装容器(10)が包装容器本体(12)と、前記包装容器本体(12)上に成形された前記開口部(30)とを備え、したがって前記包装容器本体(12)と前記開口部(30)との間に界面を形成し、それにより前記包装容器本体(12)は積層材料を備え、前記積層材料はセルロースベース層と酸素遮断材料を含むポリマー層とを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項12】
前記酸素遮断材料がアルミニウム箔である、請求項1
1に記載の流動性食品用の包装容器(10)。
【請求項13】
流動性食品用の包装容器(10)用の開口部(30)を提供する方法であって、
前記包装容器(10)の開口部(30)を形成するのに適したポリマー組成物に亜硫酸ナトリウム粒子を添加することであって、前記粒子は以下のサイズ特性:(i)0%が75マイクロメートルを超えるサイズ、および(ii)25マイクロメートル未満の平均サイズ、を有する、
前記開口部を成形によって形成することであって、それにより前記開口部(30)は、脆弱化特徴部(31)であって200マイクロメートル未満の厚さを有しかつ前記脆弱化特徴部に直接隣接する前記開口部(30)の部分よりも薄い脆弱化特徴部(31)を備える、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性食品用の包装容器に関し、特に、亜硫酸ナトリウム粒子を含むポリマー組成物からの開口部および脆弱化特徴部を有する、流動性食品用の包装容器に関する。
【0002】
本発明はさらに、亜硫酸ナトリウム粒子を含む開口部と包装容器本体とを有する、流動性食品用の包装容器に関する。
【背景技術】
【0003】
包装用シート材料によって形成され、食品などの物質を含むように、特にジュース、水、牛乳、ワイン、その他などの液体飲料を含むように適合された容器などの包装容器に設けられる様々な種類の開口構成が知られている。
【0004】
そのような開口構成の1つは、包装容器の壁部分上の穴または希薄部と、壁部分に取り付けられて閉鎖状態で穴を覆うプラスチック材料開口装置とを含む。開口装置は、壁部分に取り付けられた円周方向の基部を含み、例えば開口装置の蓋部分が、例えばプラスチックヒンジによって基部に取り付けられてもよい。蓋要素が開かれると、穴は係合されて強制的に開かれ、包装容器内の内容物が開口部から抽出される。
【0005】
アルミ箔は、包装食品の分野において酸素に対する遮断材として一般的に使用されている。酸素に対する遮断材を有することにより、酸化的劣化を低減することができ、より高い食品品質ならびに食品の長期保存寿命をもたらす。
【0006】
しかしながら、流動性食品用の包装容器に開口を成形する場合、成形部品を容易に開封しつつ、消費するまで包装を密封した状態に保つように、引裂き線が多くの場合必要とされる。そのような引裂き線は酸素透過に対する遮断材料によって保護されず、周囲の包装材料よりも薄い厚さを有し、酸素透過をより許容しやすい。したがって、引裂き線の比較的に保護されていない状態は、いくつかの問題を引き起こし得る。
【0007】
包装材料中の「酸素捕食物質(oxygen eaters)」としての亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸カリウム粒子の使用は当業者に知られている。しかしながら、これまでに使用されていた酸素捕食物質は、引裂き線を有する開口部には適しておらず、詳細な記載においてさらに論じられる欠点と関連している。
【0008】
開口部と包装容器本体との間の界面に関しても同様の問題が起こり得る。
【0009】
それ故、一般に従来技術の不利点および欠点に対処する流動性食品用の包装容器を提供すること、および酸素透過性の低下を可能にする流動性食品用の包装容器を提供することが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、好ましくは、当該技術分野の上で特定した欠陥および不利点の1つまたは複数を単独でまたは任意の組合せで軽減、緩和または解消しようと努める。また、少なくとも上述の問題を、流動性食品用の包装容器を提供することによって解決し、包装容器は開口部を含み;開口部はポリマー組成物から形成され、脆弱化特徴部であって、200マイクロメートル未満の厚さを有し、前記脆弱化特徴部に直接隣接する開口部の部分よりも薄い脆弱化特徴部を含み;ポリマー組成物は亜硫酸ナトリウム粒子を含み、粒子は以下のサイズ特性:(i)0%が75マイクロメートルを超えるサイズを有する、および(ii)25マイクロメートル未満の平均サイズ、を有する。
【0011】
亜硫酸ナトリウム粒子は、脆弱化特徴部を介した包装製品への酸素透過を低減する。従来技術において知られている他の酸素捕食物質と対照的に、この粒子は、水溶性の結果として前記粒子の著しい膨張が少ないことによって適切な機械的性質と包装材料のより少ない劣化とを提供し、これにより漏れの原因となる亀裂の誘導が低減される。
【0012】
粒子のサイズは、引裂き線または材料中の希薄部などの脆弱化特徴部を有する包装容器に関して特に重要である。代替酸素捕食物質と比較して、前述のサイズ特性を有する前記亜硫酸ナトリウム粒子は、引裂き線中の粒子の蓄積の危険性を低減する。このような粒子の蓄積は、ポリマー組成物が二相不均質材料であるため、輸送中および保存中に最終的に亀裂を引き起こし、したがって材料中の負荷および張力に対してより敏感になる。
【0013】
さらにより好ましくは、亜硫酸ナトリウム粒子は、サイズ特性:(i)0%が50マイクロメートルを超えるサイズ、および(ii)15マイクロメートル未満の平均サイズ、を有し得る。前記サイズ間隔は、脆弱化特徴部を介した包装食品への酸素透過をさらに低減する。
【0014】
好ましくは、ポリマー開口部のポリマー組成物は、2~20重量%の亜硫酸ナトリウムを含み、さらにより好ましくは5~10重量%の亜硫酸ナトリウムを含む。
【0015】
本発明の一態様によれば、流動性食品用の包装容器用の開口部を提供する方法が提示される。この方法は、包装容器のポリマー開口部を形成するのに適したポリマー組成物に亜硫酸ナトリウム粒子を添加することを含む。
【0016】
有利には、前記粒子は以下のサイズ特性を有する。
(i)0%が75マイクロメートルを超えるサイズ、および
(ii)25マイクロメートル未満の平均サイズ
【0017】
この方法は、開口部を成形によって形成することをさらに含む。前記開口部は、脆弱化特徴部であって、200マイクロメートル未満の厚さを有し、前記脆弱化特徴部に直接隣接する開口部の部分よりも薄い脆弱化特徴部を含む。
【0018】
本発明の前述の態様によれば、脆弱化特徴部は、例えば引裂き線、折り線または小さな貫通孔または他の希薄領域などの脆弱化された部分であり得る。
【0019】
本発明の別の態様によれば、流動性食品用の包装容器が提供される。包装容器は、包装容器本体と、前記包装容器本体上に成形された開口部とを含み、かくして前記包装容器本体と開口部との間に界面を形成し、包装容器本体はアルミニウム箔などの酸素遮断材料を含む。
【0020】
前述の態様と同様に、ポリマー組成物から形成された開口部は、有利には、以下のサイズ特性を有する亜硫酸ナトリウムを含む。
(i)0%が75マイクロメートルを超えるサイズ、および
(ii)25マイクロメートル未満の平均サイズ
【0021】
酸素遮断材料は、界面の近くまたは界面中、例えば包装容器の穴もしくは穿孔もしくは壁部分の周囲において不十分であるかまたは存在しない可能性があるので、前記界面は酸素透過を許容しやすいであろう。特定の粒子を含むポリマー組成物を用いると、酸素透過を著しく制限することができる。前記発明の前述の態様によれば、亜硫酸塩粒子のサイズ特性は、高い水溶性の結果として前記粒子の顕著な膨張が少ないために包装材料のより少ない劣化または損傷をもたらす。したがって、包装容器内への酸素ガスの透過および/または包装された食品の漏出を増加させる原因となる亀裂の誘導の危険性が著しく低下する可能性がある。
【0022】
さらなる利点は、詳細な記載および添付の従属項から明らかになるであろう。
【0023】
本発明が可能であるこれらおよび他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、以下の本発明の実施形態の記載から明らかになり、明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態による流動性食品用の包装容器の側面図である。
【
図2】一実施形態によるポリマー開口部の断面図である。
【
図3】一実施形態によるポリマー開口部の引裂き線の周囲領域の断面図である。
【
図4】異なる材料ブレンドを含むポリマー開口装置の23℃での酸素侵入を示すグラフである。
【
図5】異なる材料ブレンドを含むポリマー開口装置の35℃での酸素侵入を示すグラフである。
【
図6】一実施形態による流動性食品用の包装容器の側面図である。
【
図7】一実施形態による流動性食品用の包装容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、流動性食品用の包装容器10が提供されている。包装容器10は、キャップ11を受けるように適合されたポリマー開口部30を含む。
図1では、包装容器は、層状構造のアルミニウム箔をさらに含む実質的に長方形の板紙ベースの包装容器として描かれているが、包装容器はこの材料や形状に限定される必要がないことを当業者は認識する。
【0026】
好ましくは、
図2および
図3で分かるように、開口部30は、キャップ11を密封式に受けるように適合されているねじ付き要素32を含む。密封をさらに確実にするために、前記ねじ付き要素32は、キャップ11の環状保持要素13と弾性的に当接するようにさらに適合されている。
【0027】
図2および
図3を参照すると、包装容器10は、ポリマー開口部30を備える。ポリマー開口部30は、HDPE、LDPE、LLDPEのうちのいずれか1つを含むポリマー組成物、またはそれらの2つ以上のブレンド、すなわち、HDPE、LDPEおよびLLDPEのいずれかを含むポリマーブレンドから製造することができる。
【0028】
効率的な密封を提供するために、開口部30は、より小さな寸法またはより弱い機械的性質を備え、及びほとんどまたは全く酸素遮断材料を有さない脆弱化特徴部を備え、これは引き裂きまたは切断開口を可能にする一方、消費まで密封を提供する。したがって、前記開口部30は、引き裂かれて消費者に包装食品へのアクセスを提供するように適合されている密封要素21を少なくとも部分的に囲む、好ましくは完全に囲む引裂き線などのより弱い部分を含むことができる。
【0029】
図2に示すように、密封要素21は、消費者が前記密封要素21を引き剥がすことを可能にするストラップ22をさらに含むことができる。
【0030】
図2および
図3を参照すると、前記開口部30は、引裂き線31を含む。引裂き線31は、前記引裂き線31に直接隣接する開口部30の部分よりも薄い。密封要素21の引き裂きを確実に成功させるために、引裂き線31は、200マイクロメートル未満の厚さを有することができる。
【0031】
開口部30は、例えば射出成形または圧縮成形によって有利に成形することができる。このようにして、開口部を包装容器本体12上に成形することができる。従来通り、包装容器本体12は、酸素取り込みに対する遮断材として機能しかつ包装食品の劣化を防ぐアルミニウム箔などの酸素遮断材料を含むことができる。
【0032】
いくつかの従来の成形方法が当該技術分野において知られており、本出願では詳細に記載しない。しかしながら、例示的な理由のために、射出成形プロセスを以下に簡単に記載する。
【0033】
前記包装容器本体12は、開口装置成形ステーションでポリマー開口装置30を成形する前に、包装シート材料の従動ウェブから包装容器を形成するための包装機で形成することができる。前記開口装置成形ステーションは、ウェブに設けられたそれぞれの穴に開口部30を成形するように構成されている。ポリマー開口部30を提供するために、開口装置成形ステーションは、ウェブの穴縁部を収容するための金型キャビティを形成するように、閉位置に解放可能に配置可能な第1および第2の金型工具を含む。加熱された熱可塑性材料を金型キャビティ内に射出するための射出通路は、第1および第2の金型工具の少なくとも一方に延在し、その結果、熱可塑性材料は穴の縁部から離れて配置される金型キャビティの射出点で金型キャビティに直接射出される。包装機、すなわち食品で充填された包装を形成する充填および密封機における開口装置のこのような金型形成は、開口部が高速で意図された位置で包装材料上に成形される高速かつ高精度の包装工程で行われる。従って、成形工具および成形用組成物の品質は、等しく高品質の包装および開口部ならびに開口装置を製造するために、高く信頼性がなければならない。このような包装機の速度は、1時間あたり1万個を超える包装容器など、1時間あたり数千個の包装容器に達する。
【0034】
開口装置の密封機能を提供するために、密封要素21は、例えば引裂き線31であり得る前記密封要素21の周囲の成形材料内の導入された脆弱化特徴部31と共に、ポリマー開口部30の一体部分として成形することができる。
【0035】
したがって、包装容器10用の開口部30は、成形前に、包装容器10の開口部30を形成するように適合されたポリマー組成物に亜硫酸ナトリウム粒子を添加する方法によって設けることができる。粒子は上述のサイズ特徴、例えば、75マイクロメートルを超えるサイズを有する0%の粒子、ならびに25マイクロメートル未満の平均サイズを有する。
【0036】
次いで、開口部30は鋳造によって形成され、それによって前記開口部30は、200マイクロメートル未満の厚さを有し、前記脆弱化特徴部31に直接隣接する開口部30の部分よりも薄い、例えば引裂き線31などの脆弱化特徴部31を含む。
【0037】
引き裂き可能な密封要素21を有する前記構成は、消費者による消費まで包装容器の内容物が密封されるため、より長い保存寿命を可能にする。引裂き線を有する構成は、(脱酸素剤の量が少ないため、および酸素遮断材料が存在しないため)より低い酸素遮断性を有する開口部の部分、すなわち密封要素21の引き裂きを可能にする引裂き線31に特に関連する問題と関連付けられる。
【0038】
引裂き線の使用に伴って生じる前記問題の一例は、引裂き線における酸素透過性の増加による包装食品の保存寿命の減少である。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、包装容器の比較的大きな部分を構成する開口部全体は、脱酸素剤の量が少なく、酸素遮断材料を含まないより薄い材料を含んでもよい。酸素遮断材料は、酸素が材料を通って移動するのを阻止し、一方、脱酸素材料は、材料が酸素で飽和するまで、移動してくる酸素を吸収するまたは補足する(すなわち「食べる」)。
【0040】
したがって、酸素劣化および酸素透過性を減少させるために酸素捕食物質を使用することができる。これにはいくつかの課題が伴う。引裂き線31の寸法が薄いため、引裂き線31の周囲およびその中の材料に損傷を与え、それにより漏れ、ひいては保存寿命の短縮を引き起こす可能性がある寸法の変化を特に受けやすい。
【0041】
したがって、開口部30は、例えば無水Na2SO3粒子などの亜硫酸ナトリウム粒子を含むことができる。例えば亜硫酸カリウム粒子または有機ポリマー脱酸素剤などの他の酸素捕食物質と比較して、亜硫酸ナトリウム粒子は湿気と同様に酸素を吸収する能力が低い。しかしながら、より薄い部分、または引裂き線31などの脆弱化特徴部での特定の用途では、より慣習的な亜硫酸カリウム粒子および有機ポリマー脱酸素剤は不適当である。亜硫酸カリウム粒子の湿気および酸素を吸収する増大した能力は、著しい表面変質および前記粒子の膨潤をもたらし、それはいくつかの望ましくない効果をもたらすことが見出されている。
【0042】
数ある欠点の中でも、膨潤による粒子サイズの増大は、引裂き線31中に亜硫酸カリウム粒子の蓄積をもたらし、この結果、材料は損傷し、酸素ガスの透過および/または包装食品の漏出の危険性がより高まる。
【0043】
さらに、亜硫酸ナトリウム以外の亜硫酸塩を前記ポリマー開口部30に使用することができるが、亜硫酸カリウムとは対照的に亜硫酸ナトリウムを使用することが特に好ましい。それというのも、ナトリウム塩の水溶性はカリウム塩の水溶性よりも著しく低いためである。亜硫酸ナトリウムのより低い水溶性は、亜硫酸ナトリウムマスターバッチおよび化合物の製造中の凝集傾向を著しく低減する。低度の凝集は、亜硫酸塩粒子が包装壁の薄い部分に固まるのを回避するために非常に重要である。薄い部分に固まった粒子は、最終的には輸送中または保管中、包装壁にひび割れを引き起こし、それによって充填された包装容器の酸素遮断性の喪失および/または包装容器の完全性の喪失、すなわち食品の漏出または微生物の侵入を回避するための気密性の喪失を引き起こす。
【0044】
上記を支持して、二成分系における無水塩の形態の亜硫酸カリウムの水の溶解度は、温度と共に増加するが、亜硫酸ナトリウムよりも低い勾配である。それでもなお、亜硫酸ナトリウムの水溶性は、包装容器の使用に関連する温度条件で亜硫酸カリウムよりも著しく低いことが証明されている。例えば、約20℃の温度では、亜硫酸カリウムは、同じ温度で約20.82質量%および2.086モル/kgであることが示されている亜硫酸ナトリウムの水溶性と比較して、約51.49質量%および6.71モル/kgの水溶性を有する。約0℃の温度では、亜硫酸カリウムは、約12.50質量%および1.113モル/kgの亜硫酸ナトリウムと比較して、約51.3質量%および6.66モル/kgの水溶性を有することが示されている。
【0045】
本出願人は、引裂き線などの脆弱化特徴部など、薄い部分の適用において、以下のサイズ特性を有する亜硫酸ナトリウム粒子が酸素侵入に対して最良の特性を与えることを発見した:
(i)0%が75マイクロメートルを超えるサイズを有し、
(ii)25マイクロメートル未満の平均サイズ。
【0046】
特に、例えば有機ポリマー脱酸素剤と比較して上述の亜硫酸塩粒子を用いる利点は、亜硫酸塩粒子がポリマー開口部30に実装されるために触媒を使用する必要がないことである。さらに、有機ポリマー脱酸素剤は、得られる成形可能なポリマー組成物材料が、記載された種類の開口部での使用に脆すぎるようになるような量で組み込まれなければならない。加えて、そのような脱酸素剤はしばしば、変色または材料からの望ましくない臭いもしくは臭気など、材料の劣化によるある種の望ましくない副作用を引き起こす。その代わりに、亜硫酸ナトリウム粒子はポリマー開口部のポリマー組成物に単に添加することができ、より複雑でなくより安価な製造方法を達成することができる。
【0047】
図4および
図5を参照すると、参照ポリマー、同じポリマー中に10重量%の亜硫酸ナトリウム粒子を含む組成物、および同じポリマー中に5重量%の亜硫酸ナトリウム粒子を含む組成物のみを含む引裂き線を有する開口部間のそれぞれ23℃および35oCにおける比較が示されている。前記比較から明らかなように、亜硫酸ナトリウム粒子を含むポリマー開口部は、特に5重量%の亜硫酸ナトリウムを含むポリマーに関して、参照ポリマーと比較してかなりより少ない酸素侵入を実現する。
【0048】
上記に基づくと、開口部30を形成するポリマー組成物は、好ましくは2~20重量%の亜硫酸ナトリウム粒子、さらにより好ましくは5~10重量%の亜硫酸ナトリウム粒子を含み得る。
【0049】
さらに
図1~
図3を参照すると、包装容器10は、好ましくは板紙および/またはポリマーなどの他の従来の包装材料と組み合わせた、アルミニウム箔などの酸素遮断材料を含む包装容器本体12をさらに含むことができる。好ましくは、アルミニウム箔および組み合わせられた包装材料は層状構造に配置される。
【0050】
いくつかの例では、開口部はオープンエンド型包装容器本体に直接成形され、それによって開口部は少なくとも部分的に包装容器本体を包み込み、前記開口部と包装容器本体との間に界面を形成する。
【0051】
界面は包装容器本体の酸素遮断材料によって保護されていないため、界面は酸素侵入の増加と関連している。引裂き線に関して前述したように、漏れを引き起こす亀裂を誘導することなく界面を介した酸素の侵入を減少させる流動性食品用の包装を提供することは有利であろう。
【0052】
したがって、本発明の一態様は、包装容器本体12と、前記包装容器本体12上に成形された開口部30とを有する包装容器10を指す。それによって、前記包装容器本体(12)と開口部(30)との間の界面が形成される。いくつかの実施形態によれば、前記界面は、包装容器本体を包囲する開口部によって形成することができる。
【0053】
好ましくは、包装容器本体12は、板紙およびアルミニウム箔などの箔を含み、それらは層状構造に配置することができる。
【0054】
漏れを引き起こす亀裂を誘導することなく前記界面を介した酸素侵入を低減する包装容器を提供するために、ポリマー開口部は以下のサイズ特性を有する亜硫酸ナトリウム、例えば無水Na2SO3粒子などを含み得る。
(i)0%が75マイクロメートルを超えるサイズ、および
(ii)25マイクロメートル未満の平均サイズ
【0055】
さらにより好ましくは、亜硫酸塩粒子は以下のサイズ特性を有し得る。
(i)0%が50マイクロメートルを超えるサイズ、および
(ii)15マイクロメートル未満の平均サイズ
【0056】
引裂き線と同様に、亜硫酸ナトリウム粒子は、MXD6-ポリアミドなどの有機ポリマー酸素捕食物質などの他の酸素捕食物質、および亜硫酸カリウムに関して特に有益である。亜硫酸ナトリウムは、代替酸素捕食物質よりも低い酸素および水溶解度を特に有するため、製造中の粒子の凝集の危険性が減少する。それというのも、凝集は水および空気溶解度と共に増加するためである。それによって、粒子の凝集によって誘導される亀裂を回避することができる。
【0057】
その結果、サイズ特性は、包装の保存および輸送中に亀裂を誘導する成形中の粒子の蓄積の危険性を最小限に抑えるので、特に有利である。
【0058】
図6を参照すると、包装容器10が示されている。包装容器は、酸素遮断材料を含む包装容器本体12と、前記容器本体12に隣接する開口部30とを含む。したがって、界面15は、開口部30を囲む境界領域によって画定される。この例によれば、開口部30は、より少ない酸素遮断材料を含み得る、または酸素遮断材料を全く含まない場合さえある。
【0059】
別の種類の界面が
図7に示されており、それによって包装容器10は、酸素遮断材料を含む包装容器本体12と、包装容器上部30bとを含み、それによって開口部30は一体型の開口部30aおよび上部30bを含み得る。包装容器本体12と比較して、開口部30aを有する包装容器上部30は、それほど多くの酸素遮断材料を含まないか、または全く含まない。酸素の侵入を最小限に抑えるために、包装容器上部30bと開口部30aの両方を前述のポリマー組成物から形成することができる。前記図から明らかなように、界面15は、酸素遮断材料を含まない開口部30および上部30bの比較的大きな壁部分であり得る。
【0060】
本発明は主にいくつかの実施形態を参照して説明された。しかしながら、当業者に容易に理解されるように、上記に開示されたもの以外の他の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内で同様に可能である。