(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】クリップに基づく、取り付け面に対するスピーカーの保持
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
H04R1/02 105B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020023908
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2020-03-18
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500310339
【氏名又は名称】アバイア インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジェームス ホーン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ロー
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-078787(JP,U)
【文献】特開2005-012816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に楕円形のスピーカーフレームを含むスピーカーと、
前記スピーカーフレームが配置される実質的に円筒形のフランジを含む取り付け面と、
前記フランジ内で前記スピーカーフレームと前記フランジの保持リムとの間に配置される実質的に楕円形のクリップと、
を備える、スピーカーの保持が改善された装置。
【請求項2】
前記クリップは、前記クリップの円周においてギャップを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フランジ内に配置されて、前記スピーカーを前記取り付け面及び前記クリップから隔離する、少なくとも1つの振動減衰部材を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記スピーカーは、前記取り付け面に向き、前記取り付け面は、前記スピーカーによって生成される音が通る少なくとも1つの開口を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記スピーカーは、前記取り付け面から離れる方に向き、前記取り付け面における開口は、前記スピーカーの前記スピーカーフレーム以外の部分が前記取り付け面を通り抜けることを許容する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
スピーカーを取り付け面に保持する方法であって、
前記スピーカーの実質的に楕円形のスピーカーフレームを、前記取り付け面の実質的に円筒形のフランジ内に配置することと、
実質的に楕円形のクリップを、前記フランジ内へ前記スピーカーフレームと前記フランジの保持リムとの間に配置することと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記クリップは、前記クリップの円周におけるギャップを有し、前記クリップを配置することは、
前記クリップを締めて、前記クリップが前記リムを通って前記フランジ内に嵌まるように前記ギャップの大きさを減少させることと、
前記クリップが前記フランジに入ったら、前記クリップを解放することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの振動減衰部材を前記フランジ内に配置して、前記スピーカーを前記取り付け面及び前記クリップから隔離することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記スピーカーは、前記取り付け面に向き、前記取り付け面は、前記スピーカーによって生成される音が通る少なくとも1つの開口を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記スピーカーは、前記取り付け面から離れる方に向き、前記取り付け面における開口は、前記スピーカーの前記スピーカーフレーム以外の部分が前記取り付け面を通り抜けることを許容する、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来、スピーカーは、製品の後部カバーからの後部支持体を用いて、又は、スピーカーの外周部を囲むブラケットをねじ留めすることによって、製品の取り付け面に保持される。他の場合では、スピーカーは、接着剤を用いてスピーカーのフレームの外周部に固定されるか、又は、ねじによってスピーカーのフレームにある穴を介して取り付け面に固定される。これらの上記の例は、多数の部品(例えば、ブラケット、ガスケット、ねじ等)を必要とする傾向があるが、多数の部品が必要であれば、組み立てに必要な費用及び労働量は増大する。これらの例のうちのいくつかでは、例えば、製品の後部カバーを用いてスピーカーを保持するのであれば、スピーカーから製品の後部カバーに望ましくない振動も伝わる。これらの振動によって音響歪みが生じ、忠実度の損失を補償するのに多大な労力が必要となり得る。さらに、後部カバーに振動が伝われば、製品の他の構成部品においてガタガタ音が発生し得る。
【発明の概要】
【0002】
本明細書に開示される技術は、クリップ及びフランジを用いて、スピーカーを取り付け面に保持することを可能にする。特定の一実施形態において、装置は、実質的に楕円形のスピーカーフレームを含むスピーカーを備える。装置は、スピーカーフレームが配置される実質的に円筒形のフランジを含む取り付け面を更に備える。また、装置は、スピーカーフレームとフランジの保持リムとの間でフランジ内に配置される、実質的に楕円形のクリップを備える。
【0003】
いくつかの実施形態において、クリップは、クリップの円周においてギャップを有する。これらの実施形態において、クリップは、ギャップの各側に、クリップを配置するための工具に対応する工具把持点を有することができる。
【0004】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの振動減衰部材がフランジに配置され、スピーカーを取り付け面及びクリップから隔離する。これらの実施形態において、少なくとも1つの振動減衰部材は、スピーカーフレームと同様の形状とすることができる。
【0005】
いくつかの実施形態において、スピーカーは、取り付け面に向く。これらの実施形態において、取り付け面は、スピーカーによって生成される音が通る少なくとも1つの開口を有することができる。
【0006】
いくつかの実施形態において、スピーカーは、取り付け面から離れる方に向き、取り付け面における開口は、スピーカーのスピーカーフレーム以外の部分が取り付け面を通り抜けることを許容する。
【0007】
いくつかの実施形態において、電話機が取り付け面を備える。
【0008】
更に別の実施形態において、方法は、スピーカーの実質的に楕円形のスピーカーフレームを、取り付け面の実質的に円筒形のフランジ内に配置することを含む。方法は、実質的に楕円形のクリップを、フランジ内へスピーカーフレームとフランジの保持リムとの間に配置することを更に含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、クリップは、クリップの円周におけるギャップを有する。これらの実施形態において、方法は、クリップを締めて、クリップがリムを通り抜けてフランジ内に嵌まるようにギャップの大きさを減少させることと、クリップがフランジに入ったら、クリップを解放することとを含むことができる。また、これらの実施形態において、クリップを配置することは、ギャップの各側における把持点を把持する配置工具を用いて、ギャップの各側でクリップを把持することを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1つの振動減衰部材をフランジ内に配置して、スピーカーを取り付け面及びクリップから隔離することを含む。これらの実施形態において、少なくとも1つの振動減衰部材は、スピーカーフレームと同様の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施態様における、組み立てられていないスピーカー保持装置の図である。
【
図2】一実施態様における、組み立てられたスピーカー保持装置の図である。
【
図3】一実施態様における、スピーカー保持装置の縦断面図である。
【
図4】一実施態様における、スピーカー保持装置の別の縦断面図である。
【
図5】一実施態様における、スピーカー保持装置の更に別の縦断面図である。
【
図6】様々な実施態様における、スピーカー保持装置のクリップを示す図である。
【
図7】一実施態様における、スピーカー保持装置を備える電話機を示す図である。
【
図8】一実施態様における、スピーカー保持装置の組み立てのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載されるオーディオスピーカーの保持方法は、組み立てに比較的少数の部品を使用し、このことにより、スピーカーを備える製品を組み立てる際、費用の低減及び労働量の低減がもたらされる。さらに、スピーカーは、製品の背面を用いて保持されないので、音を生成しているスピーカーによって生じる振動が、背面保持部を通じて伝わることがない。その代わりに、スピーカーが保持される取り付け面は、スピーカーが配置されるフランジを含む。クリップは、スピーカーのフレームとフランジのリムとの間に配置された場合、スピーカーをフランジ内に保持する。したがって、スピーカーを取り付け面に取り付けるためには、以下で更に記載するように、2つの部品のみ、すなわち取り付け面自体(所要のフランジを有する)及びクリップのみが必要とされる。
【0013】
図1は、一実施態様における、組み立てられていないスピーカー保持装置100の図を示している。組み立てられていないスピーカー保持装置100は、取り付け面101と、スピーカー102と、クリップ103とを備える。取り付け面101は、フランジ111を有し、フランジ111は、リム112を含む。この例の目的では、取り付け面101の見えている面は、背面114であり、図示の向きで取り付け面101の下になっている面は、前面115である。通常、スピーカーは、取り付け面の前面から外側に向かって音を方向付けるので、前後に関するこの取り決めが用いられる。しかしながら、スピーカーが取り付け面の背面から外側に向かって音を方向付ける例も存在し得る。
【0014】
取り付け面101は、ワンピースであることが好ましいが、取り付け面101を形成するように組み付けられる複数の部品から構成することもできる。例えば、ワンピースの取り付け面101は、プラスチック等の射出成形材料から作製することもできるし、3D印刷することもできるし、鋳造することもできるし、何らかの他の製造方法を用いて作製することもできる。別の例において、フランジ111は、接着剤又は機械的締結具を用いて、取り付け面101の他の部分に結合することができる。取り付け面101は、フランジ111を伴う単純な矩形として示されているが、取り付け面101は、スピーカー102を含む製品のパネル等のより大きな構成部品とすることができ、したがって、多くの異なる形状をとることができることが理解されるべきである。
【0015】
この例のスピーカー102は、丸型スピーカーであるが、別の一般的なスピーカー形状である長円形等の、他の実質的に楕円形の形状をとることができる。フランジ111の形状、少なくともフランジ111の内部の形状は、スピーカー102のフレーム121の形状と同様であるが、スピーカー102がフランジ111内に配置されるようにするために、フレーム121よりも大きい。同様に、この例の取り付け面101は、フランジ111内に開口113を有し、開口113は、スピーカー102によって生成される音が取り付け面101を通り抜けることを許容する。開口113は、スピーカー102がフランジ111内に配置されたら、スピーカー102が取り付け面101を通り抜けないような大きさ及び/又は形状でなければならない。取り付け面101における開口113は、フレーム121と同様の形状であるが、他の例における開口は、形状又は複数の開口の配置が、フランジ111内に配置されている場合にフレーム121が取り付け面101を通り抜けることを許容しないものである限り、他の形状をとることができる及び/又は複数の開口を含むことができる。
【0016】
フランジ111は、フランジ111の最上部にリム112を有し、リム112は、リム112の位置においてフランジ111の内寸を減少させる。この例では、リム112は、6つのタブを有しているが、他の例において、リム112が依然として本明細書に記載されるように機能することができる限り、異なる大きさのより多数又はより少数のタブを用いてもよい。いくつかの場合、リム112は、図示のようにタブとして分割されているのではなく、フランジ111全体の周囲に延在してもよい。タブの数及び大きさは、配置されたらスピーカー102をフランジ111内に保持するように十分な剛性を依然として有しながら、クリップ103をフランジ111内に適切に配置することができることを確実にするように、クリップ103の材料及び大きさに応じて決まり得る。いくつかの例において、フレーム121の直径は、スピーカー102をフランジ111内に配置することができることを確実にするように、リム112の内径よりも小さくすることができるが、他の例において、リム112を形成するタブは、より大きな直径のフレーム121が、或る特定の向きでリム112を通り抜けることができるような構成とすることができる。
【0017】
上記で言及したように、クリップ103は、スピーカー102がフランジ111内に配置された後、フランジ111内に配置される。特に、クリップ103は、クリップ103が、リム112によってフランジ111内に依然として保持されながら、フレーム121を除くスピーカー102全体の周囲でフランジ111内に嵌まることができるように、フレーム121及びフランジ111と同様の形状である。これにより、リム112がクリップ103をフランジ111内に保持するのと同時にクリップ103がスピーカー102をフランジ111内に更に保持するので、クリップ103がスピーカー102をフランジ111内に保持することが可能になる。クリップ103をリム112の下でフランジ111に嵌めるために、クリップ103は、リム112の直径内に適合するように操作される(例えば、曲げられる、締められる、撓められる又は別様に変形される)。クリップ103は、いくつかのタイプのプラスチック及びいくつかの金属を含む、少なくとも、フランジ111内に配置される場合に、クリップ103をリム112内に適合させるのに必要な程度まで操作されても、クリップ103が元の形状に戻るような材料から構成される。この例では、クリップ103は、リム112を通り抜けるようにクリップ103の形状を操作することをより容易にするために、楕円形の外周部にギャップを有する。ギャップによって、いくつかの用途においてC字形クリップと呼ばれる物が形成され、クリップ103がスピーカー102をフランジ111内に保持することを依然として可能にする限り、任意のサイズとすることができる。他の例において、場合によってはクリップ103の材料組成に応じて、クリップ103は、楕円形状におけるギャップを含まず、しかし依然として、リム112の下でフランジ111内に嵌まるように操作可能とすることができる。
【0018】
図2は、一実施態様における、組み立てられたスピーカー保持装置200の図を示している。組み立てられたスピーカー保持装置200は、スピーカー102及びクリップ103が取り付け面101のフランジ111内に配置された後の組み立てられていないスピーカー保持装置100を表している。組み立てられたスピーカー保持装置200において見て取ることができるように、スピーカー102は、フランジ111内にあり、フレーム121は、開口113を通り抜けていない。クリップ103は、リム112の下でフレーム121の上に収められ、スピーカー102をフランジ111内で取り付け面101に当接させて保持する。クリップ103は、スピーカー102の通常動作下でフランジ111がフランジ111内で動き得ないように、フレーム121をフランジ111内に十分緊密に保持することが好ましい。なぜなら、そうでなければ、スピーカー102が振動すること及び/又は取り付け面101(又は、取り付け面101がその一部をなすシステム/装置)が動くことで、スピーカー102が動き、望ましくない影響(例えば、ガタガタ音、音響不良等)を引き起こす可能性があるからである。
【0019】
図3は、一実施態様における、スピーカー保持装置300の縦断面図を示している。スピーカー保持装置300は、組み立てられたスピーカー保持装置200におけるスピーカー102の最も幅が広い部分の断面を示しており、リム112のタブ、すなわちタブ301及びタブ302が、フランジ111の両側に存在する。スピーカー保持装置300は、取り付け面101と、スピーカー102と、クリップ103とが、一緒に組み立てられて、スピーカー102をフランジ111内で取り付け面101に対して保持する様子を明確に示している。この例では、フレーム121の直径は、タブ301とタブ302との間の開口よりも小さいので、スピーカー102は、リム112のタブの間の空間を通り抜けるようにスピーカー102の向きを操作することを必要とせずに、フランジに挿入することができる。また、フレーム121の直径は、開口113の横断距離よりも大きいので、フレーム121は、取り付け面101を通り抜けない。クリップ103は、フレーム121の上に配置され、各側において、タブ301及びタブ302のそれぞれ並びにフレーム121に重なるように十分幅広である。適所に置かれると、クリップ103は、リム112の開口の横断距離を減少させることによってリム112の到達範囲を有効に広げ、クリップ103が適所にある間、フレーム121がフランジ111から外れることを防止する。
【0020】
上記の議論から見出すことができるように、スピーカー102の保持に重要であるのは、フランジ111の内部構成/寸法だけである。したがって、フランジ111の外側部が取り付け面101上で真っ直ぐ起立するように示されているが、他のフランジ外側構成を用いてもよい。例えば、取り付け面101をフランジ111の最上部に向かって先細りにしてもよいし、取り付け面101をより厚くして、フランジ111が取り付け面101の他の部分から突出する量を低減させてもよい(場合によっては、フランジ111の最上部を取り付け面101の残りの部分と面一にする)。
【0021】
図4は、一実施態様における、スピーカー保持装置400の縦断面図を示している。この例における縦断面図は、
図3の縦断面図と同様であるが、スピーカー102は、フランジ111内で上記の例とは反対の向きに配置されている。他の例は、音を取り付け面101における開口113に通すように方向付ける向きにあるスピーカー102を示しているが、スピーカー保持装置400は、音をフランジ111のリム112の間の開口に通すように方向付ける。この例では、背面114は、取り付け面101の前面とみなすことができる。スピーカー保持装置400におけるスピーカー102のスピーカー向きは、スピーカーを頻繁に交換する場合があり、したがって、クリップ103に容易にアクセス可能であることが有利となる例において、有益である可能性がある。フランジ111、リム112、クリップ103及びフレーム121の全ての寸法要件は、スピーカー保持装置300と同じままであるが、この例における開口113は、ここでは、スピーカー102の構成部品が通り抜けるように十分大きい必要がある。クリップ103は、リム112とフレーム121との間に配置されることによって、スピーカー102をフランジ111内に依然として保持する。
【0022】
図5は、一実施態様における、スピーカー保持装置500の縦断面図を示している。この例では、スピーカー保持装置500は、スペーサー501を備え、スペーサー501は、フレーム121及びクリップ103によって占められていない、取り付け面101の基部とリム112との間のフランジ111内の余分な空間の充填に役立つ。上方から見た場合、スペーサー501は、クリップ103及びフレーム121と同様の楕円形とすることができる。スペーサー501は、フランジ111内へのスペーサー501の配置を援助するように、クリップ103のギャップと同様のギャップを有することができる。いくつかの例において、スペーサー501は、フランジ111内に又はフレーム121に取り付けることができ、これらの例において、スペーサー501は、リム112のタブのように異なるセグメントに分割することができる。いくつかの例において、スペーサー501は、軟質プラスチック、ゴム、発泡材等のような、スピーカー102から取り付け面101への振動伝達を軽減するのに役立つ振動減衰材料を含むことができる。振動減衰材料としてのスペーサー501の使用は、フレーム121が、金属又はプラスチック等のより硬質の材料ではなく振動減衰材料によって少なくとも部分的に覆われていない場合、特に有益であり得る。この例では、縦断面図におけるスペーサー501がフレームの周囲に形成されている。他の例において、スペーサー501は、クリップ103と同様の形状を有することができ、その少なくとも1つをフレーム121の上及び/又は下に配置することができる。また、スペーサー501の使用は、フレーム121及びクリップ103が取り付け面101とリム112との間の垂直方向の空間を満たさない例において、フレーム121及びクリップ103がフランジ111内で動くことを防止するのに役立ち得る。同様に、図示のスペーサー501は、フレーム121の縁部とフランジ111の内側との間の空間をより多く満たすことができ、このことは、フランジ111内でのスピーカー102の横移動を防止するのに役立つ。
【0023】
図6は、様々な実施態様における、スピーカー保持装置のクリップ601及びクリップ602を示している。クリップ601及びクリップ602は、クリップ103の代替例である。クリップ601及びクリップ602は、クリップ601及びクリップ602の形状を、リム112を越えてフランジ111内に嵌まるように操作するために、それぞれのギャップの両側に物理形状部を有する。特に、クリップ601は、クリップ601をフランジ111内に配置する際又はクリップ601をフランジ111から取り出す際に工具が配置される穴611及び穴612を有する。例えば、穴611及び穴612に挿入するのに十分細い先端部を有するプライヤータイプの工具を用いて、クリップ601を締め、クリップ601におけるギャップの大きさを減少させることができ、それにより、クリップ601がリム112を通り抜けることが可能になる。クリップ602は、ギャップの両側にタブ621及びタブ622を備える。タブ621及びタブ622は、クリップ602をフランジ111に挿入する際又はクリップ602をフランジ111から取り出す際、人員がクリップ602を把持してクリップ602を締めるのに役立ち得る。代替的には、プライヤータイプの工具等の工具を用いて、配置及び取り出しのためにタブ621及びタブ622を把持することができる。
【0024】
タブ621、タブ622、穴611及び穴612は、それぞれのクリップ601及びクリップ602におけるギャップにすぐ隣接してそれぞれ配置されているが、タブ621、タブ622、穴611及び穴612は、上述した機能が維持される限り、クリップ601及びクリップ602の他の場所に配置してもよいことが理解されるべきである。同様に、タブ621、タブ622、穴611及び穴612によって提供される把持点は、同じ機能を維持しながら、穴及びタブ以外の形態をとることができる。
【0025】
図7は、一実施態様における、スピーカー保持装置を備える電話機700を示している。電話機700は、フェイスプレート701と、送受話器702と、ダイヤルパッド703とを備える。送受話器702及びダイヤルパッド703は、通話及びユーザー入力に用いられる一般的な電話機コンポーネントである。フェイスプレート701は、より大きな装置に組み込まれる場合の取り付け面101の一例である。フェイスプレート701の全体は、1つの連続する部品としてもよいし、一緒に組み立てられた複数の部品から構成してもよい。目下、
図7には、フェイスプレート701の前部が示されている。フェイスプレート701の前部は、取り付け面101の前面115の一例であり、スピーカーカバー704を含む。この例のスピーカーカバー704は、本明細書に記載の方法でフェイスプレート701の背面に取り付けられたスピーカーによって生成される音の通過を許容するための、フェイスプレート701の材料のクロスハッチングを含む。したがって、スピーカーカバー704は、上方からの開口113の一例である。他の例において、スピーカーカバー704は、フェイスプレート701の他の部分とは異なる材料で作製することができる(例えば、メッシュインサートとすることができる)。図示していないが、フランジ111と同様のフランジが、フェイスプレート701の背面に存在しており、スピーカーは、上記の
図1~
図3及び/又は
図5に関して記載した方法と同様の方法で、クリップ103と同様のクリップによって、スピーカーカバー704を介して外側に向くようにして、上記フランジ内に保持される。
【0026】
図8は、一実施態様における、スピーカー保持装置を組み立てる方法800を表すフロー図を示している。方法800は、スピーカー102のフレーム121をフランジ111内に配置すること(801)を含む。スピーカー102は、スピーカー102が、
図1、
図2、
図3及び
図5に示すように、フランジ111内へ背面114に向くように配置してもよいし、スピーカー102がフランジ111の外へ背面114から離れる方に向くように配置してもよい。いくつかの例において、振動減衰、空間充填、移動制限のために又は何らかの他の理由のために、フレーム121の周囲にスペーサー(複数の場合もある)501を配置することができる(802)。
【0027】
スピーカー102(及び使用される場合はスペーサー(複数の場合もある)501)が配置された後、クリップ103がフランジ111内へフレーム121とリム112との間に配置され、スピーカー102(及び使用される場合はスペーサー(複数の場合もある)501)をフランジ111内に保持する(803)。上述したように、クリップ103を締めて、クリップ103におけるギャップの大きさを減少させることができ、それにより、クリップ103の寸法を、リム112を通り抜けるように十分減少させる。次に、リム112を越えてフランジ111に入ったら、クリップ103を解放することができ、それにより、クリップ103は、クリップ103をリム112内に保持する寸法まで戻ることができる。いくつかの場合、
図6に示す把持点のような把持点を用いて、クリップ103を締めることができる。リム112を越えてフランジ111に入るようにクリップ103を操作する他の方法を用いてもよい。
【0028】
上記例は、オーディオスピーカーを取り付け面に保持することに焦点を当てているが、同様の形状の他のタイプのオーディオコンポーネントを同様に保持することができる。例えば、上述したスピーカーフレームと同様の楕円形のフレームを有するマイクロフォンを、フレームとフランジのリムとの間のクリップを用いて、取り付け面のフランジ内に保持することができる。
【0029】
本明細書に含まれる記載及び図は、特許請求される発明の特定の実施態様を示している。発明の原理を教示する目的で、いくつかの従来の態様は簡略化又は省略されている。また、本発明の範囲内にあるこれらの実施態様からのいくつかの変形形態が認識され得る。上述した特徴を様々に組み合わせて、複数の実施態様を形成することができることも認識され得る。結果として、本発明は、上述した特定の実施態様に限定されず、特許請求の範囲及びその均等物のみによって限定される。