(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および工具搬送システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/155 20060101AFI20220113BHJP
B23Q 41/08 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B23Q3/155 F
B23Q41/08 Z
(21)【出願番号】P 2021032691
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2021-03-02
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安木 詠介
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-061758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155
B23Q 41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具搬送システムであって、
工作機械と、
複数の工具を収納するための工具収納部と、
複数の工具を装着可能に構成されるマガジンを有する作業ステーションと、
前記マガジンと、前記工具収納部と、前記工作機械との間で工具を搬送するための搬送装置と、
所定の搬送スケジュールに従って前記搬送装置による工具の搬送順を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記マガジンに対して人物が作業中である場合において、前記搬送スケジュールの進行中に前記マガジンへの工具の搬送順が到来したときには、前記マガジンへの当該工具の搬送を中断し、
前記中断する処理は、前記搬送スケジュールの進行において前記マガジンへの工具の搬送順をスキップする処理を
含み、
前記作業ステーションは、
前記マガジンを収容するためのカバー体と、
前記工具搬送システムと前記人物との間で制御権を切り替えるためのボタンとを含み、
前記カバー体には、前記人物が前記マガジンに工具を装着するために設けられたドアが設けられており、
前記工具搬送システムは、さらに、前記ドアの開閉を検知するためのセンサを備え、
前記制御部は、前記制御する処理において、前記ドアが開いていることを前記センサによって検知されている間で、かつ、前記制御権が前記人物にあるときに、前記マガジンに対して当該人物が作業中であると判断する、工具搬送システム。
【請求項2】
前記中断する処理は、前記搬送装置の駆動を停止する処理を含む、請求項1に記載の工具搬送システム。
【請求項3】
前記工具搬送システムは、さらに、表示部を備え、
前記制御部は、さらに、前記マガジンに対して前記人物が作業中でない場合において、前記搬送スケジュールの進行中に前記マガジンへの工具の搬送順が到来したときには、前記搬送装置が前記マガジンに工具を搬送していることを示す警告を前記表示部に表示する処理を実行する、請求項1または2に記載の工具搬送システム。
【請求項4】
前記作業ステーションは、前記マガジンを収容するためのカバー体を含み、
前記カバー体には、前記人物が前記マガジンに工具を装着するために設けられたドアが設けられており、
前記工具搬送システムは、さらに、前記ドアの開閉を検知するためのセンサを備え、
前記制御部は、前記制御する処理において、前記ドアが開いていることを前記センサによって検知されている間、前記マガジンに対して前記人物が作業中であると判断する、請求項1~3のいずれか1項に記載の工具搬送システム。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、前記搬送スケジュールの進行中において前記マガジンへの工具の搬送順が到来したことに基づいて、前記ドアの開閉をロックする処理を実行する、請求項4に記載の工具搬送システム。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、前記搬送スケジュールの進行中において前記マガジンへの工具の搬送順が到来した場合であって、前記制御権が前記工具搬送システムにあるときに、前記ドアの開閉をロックする処理を実行する、請求項
1に記載の工具搬送システム。
【請求項7】
工具搬送システムの制御方法であって、
前記工具搬送システムは、
工作機械と、
複数の工具を収納するための工具収納部と、
複数の工具を装着可能に構成されるマガジンを有する作業ステーションと、
前記マガジンと、前記工具収納部と、前記工作機械との間で工具を搬送するための搬送装置とを備え、
前記制御方法は、
所定の搬送スケジュールに従って、前記搬送装置による工具の搬送順を制御するステップと、
前記マガジンに対して人物が作業中である場合において、前記搬送スケジュールの進行中に前記マガジンへの工具の搬送順が到来したときには、前記マガジンへの工具の搬送を中断するステップとを備え、
前記中断するステップは、前記搬送スケジュールの進行において前記マガジンへの工具の搬送順をスキップするステップを
含み、
前記作業ステーションは、
前記マガジンを収容するためのカバー体と、
前記工具搬送システムと前記人物との間で制御権を切り替えるためのボタンとを含み、
前記カバー体には、前記人物が前記マガジンに工具を装着するために設けられたドアが設けられており、
前記工具搬送システムは、さらに、前記ドアの開閉を検知するためのセンサを備え、
前記制御するステップは、前記ドアが開いていることを前記センサによって検知されている間で、かつ、前記制御権が前記人物にあるときに、前記マガジンに対して当該人物が作業中であると判断するステップを含む、制御方法。
【請求項8】
工具搬送システムの制御プログラムであって、
前記工具搬送システムは、
工作機械と、
複数の工具を収納するための工具収納部と、
複数の工具を装着可能に構成されるマガジンを有する作業ステーションと、
前記マガジンと、前記工具収納部と、前記工作機械との間で工具を搬送するための搬送装置とを備え、
前記制御プログラムは、前記工具搬送システムに、
所定の搬送スケジュールに従って、前記搬送装置による工具の搬送順を制御するステップと、
前記マガジンに対して人物が作業中である場合において、前記搬送スケジュールの進行中に前記マガジンへの工具の搬送順が到来したときには、前記マガジンへの工具の搬送を中断するステップとを実行させ、
前記中断するステップは、前記搬送スケジュールの進行において前記マガジンへの工具の搬送順をスキップするステップを
含み、
前記作業ステーションは、
前記マガジンを収容するためのカバー体と、
前記工具搬送システムと前記人物との間で制御権を切り替えるためのボタンとを含み、
前記カバー体には、前記人物が前記マガジンに工具を装着するために設けられたドアが設けられており、
前記工具搬送システムは、さらに、前記ドアの開閉を検知するためのセンサを備え、
前記制御するステップは、前記ドアが開いていることを前記センサによって検知されている間で、かつ、前記制御権が前記人物にあるときに、前記マガジンに対して当該人物が作業中であると判断するステップを含む、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークの加工に用いられる工具を自動搬送するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の工作機械を運用する企業が増えている。管理する工作機械の数が増えると、各工作機械で使用される工具の管理が難しくなる。これに関して、特許文献1(国際公開第2015/029232号)は、複数の工作機械で用いられる工具を管理する工具管理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、加工の完全自動化が進められている。加工の完全自動化を実現するためには、必要な工具を各工作機械に自動で搬送する技術が必要となる。特許文献1に開示される工具管理システムは、このような工具の自動搬送技術に関するものではない。
【0005】
工具搬送システムは、工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、人物が作業を行うための作業ステーションと、ロボットなどの搬送装置とを含む。搬送装置は、作業ステーションにおいて人物に装着された工具を工作機械または工具収納部に搬送する。また、搬送装置は、工作機械または工具収納部から作業ステーションに不要な工具を搬送する。この搬送時において、人物が作業ステーションで作業中である場合には、人物の作業と搬送装置の搬送とが重複してしまう。
【0006】
上記の点に鑑み、作業ステーションでの人物の作業と、作業ステーションへの工具の搬送との重複を防ぐための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例では、工具搬送システムは、工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、複数の工具を装着可能に構成されるマガジンを有する作業ステーションと、上記マガジンと、上記工具収納部と、上記工作機械との間で工具を搬送するための搬送装置と、所定の搬送スケジュールに従って上記搬送装置による工具の搬送順を制御する制御部とを備える。上記制御部は、上記マガジンに対して人物が作業中である場合において、上記搬送スケジュールの進行中に上記マガジンへの工具の搬送順が到来したときには、上記マガジンへの当該工具の搬送を中断する。
【0008】
本開示の一例では、上記中断する処理は、上記搬送装置の駆動を停止する処理を含む。
本開示の一例では、上記中断する処理は、上記搬送スケジュールの進行において上記マガジンへの工具の搬送順をスキップする処理を含む。
【0009】
本開示の一例では、上記工具搬送システムは、さらに、表示部を備える。上記制御部は、さらに、上記マガジンに対して上記人物が作業中でない場合において、上記搬送スケジュールの進行中に上記マガジンへの工具の搬送順が到来したときには、上記搬送装置が上記マガジンに工具を搬送していることを示す警告を上記表示部に表示する処理を実行する。
【0010】
本開示の一例では、上記作業ステーションは、上記マガジンを収容するためのカバー体を含む。上記カバー体には、上記人物が上記マガジンに工具を装着するために設けられたドアが設けられている。上記工具搬送システムは、さらに、上記ドアの開閉を検知するためのセンサを備える。上記制御部は、上記制御する処理において、上記ドアが開いていることを上記センサによって検知されている間、上記マガジンに対して上記人物が作業中であると判断する。
【0011】
本開示の一例では、上記作業ステーションは、上記マガジンを収容するためのカバー体と、上記工具搬送システムと上記人物との間で制御権を切り替えるためのボタンとを含む。上記カバー体には、上記人物が上記マガジンに工具を装着するために設けられたドアが設けられている。上記工具搬送システムは、さらに、上記ドアの開閉を検知するためのセンサを備える。上記制御部は、上記制御する処理において、上記ドアが開いていることを上記センサによって検知されている間で、かつ、上記制御権が上記人物にあるときに、上記マガジンに対して当該人物が作業中であると判断する。
【0012】
本開示の一例では、上記制御部は、さらに、上記搬送スケジュールの進行中において上記マガジンへの工具の搬送順が到来したことに基づいて、上記ドアの開閉をロックする処理を実行する。
【0013】
本開示の一例では、上記制御部は、さらに、上記搬送スケジュールの進行中において上記マガジンへの工具の搬送順が到来した場合は、上記制御権が上記工具搬送システムにあるときに、上記ドアの開閉をロックする処理を実行する。
【0014】
本開示の他の例では、工具搬送システムの制御方法が提供される。上記工具搬送システムは、工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、複数の工具を装着可能に構成されるマガジンを有する作業ステーションと、上記マガジンと、上記工具収納部と、上記工作機械との間で工具を搬送するための搬送装置とを備える。上記制御方法は、所定の搬送スケジュールに従って、上記搬送装置による工具の搬送順を制御するステップと、上記マガジンに対して人物が作業中である場合において、上記搬送スケジュールの進行中に上記マガジンへの工具の搬送順が到来したときには、上記マガジンへの工具の搬送を中断するステップとを備える。
【0015】
本開示の他の例では、工具搬送システムの制御プログラムが提供される。上記工具搬送システムは、工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、複数の工具を装着可能に構成されるマガジンを有する作業ステーションと、上記マガジンと、上記工具収納部と、上記工作機械との間で工具を搬送するための搬送装置とを備える。上記制御プログラムは、上記工具搬送システムに、所定の搬送スケジュールに従って、上記搬送装置による工具の搬送順を制御するステップと、上記マガジンに対して人物が作業中である場合において、上記搬送スケジュールの進行中に上記マガジンへの工具の搬送順が到来したときには、上記マガジンへの工具の搬送を中断するステップとを実行させる。
【0016】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】工具搬送システムの駆動機構の構成例を示す図である。
【
図3】工具搬送システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】作業ステーションの外観を表わす斜視図である。
【
図5】工具搬送システムにおける工具の搬送態様を概略的に示す図である。
【
図6】収納情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】作業ステーションから工具収納部への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【
図9】工具収納部から工作機械への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【
図10】工作機械から作業ステーションへの工具ホルダーの搬出工程の流れを概略的に示す図である。
【
図11】PLC(Programmable Logic Controller)の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図12】操作端末のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図13】工具収納部または工作機械から作業ステーションへの工具の搬出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】変形例1に従う作業ステーションの外観を示す図である。
【
図15】ドアの開閉状態と制御権との組み合わせに応じた判断部による判断結果を示す図である。
【
図16】変形例2に従う工具搬送システムの機能構成を示す図である。
【
図17】作業ステーションへの工具の搬送指示に応じたドアのロック状態を示す図である。
【
図18】作業ステーションへの工具の搬送指示と制御権との組み合わせに応じたドアのロック状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0019】
<A.工具搬送システム10の外観>
まず、
図1を参照して、工具搬送システム10について説明する。
図1は、工具搬送システム10の外観を示す図である。
【0020】
図1に示されるように、工具搬送システム10は、作業ステーション200と、工具収納部250と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0021】
作業ステーション200は、人物が工具に係る作業を行うための場所である。作業ステーション200は、マガジンM1と、操作端末200Aとを含む。マガジンM1は、複数の工具を装着可能に構成される。人物は、作業ステーション200において、マガジンM1への工具の装着作業、またはマガジンM1からの工具の回収作業を行う。操作端末200Aは、工具搬送システム10に対する各種の操作を受け付ける。
【0022】
工具収納部250には、複数の工具が収納され得る。典型的には、工具収納部250は、工具ホルダーを介して各工具を保持する。工具ホルダーは、工具を保持可能に構成されるポットである。工具収納部250は、たとえば、レール331と平行に設けられる。
【0023】
搬送装置300は、作業ステーション200内、工具収納部250内、および工作機械400内にある工具の内の指定された工具を、作業ステーション200、工具収納部250、および工作機械400の内の指定された搬送先に搬送する。
【0024】
以下では、搬送装置300が作業ステーション200から工具収納部250若しくは工作機械400に工具を運ぶ搬送態様、または、搬送装置300が工具収納部250から工作機械400に工具を運ぶ搬送態様を「搬入」とも言う。
【0025】
また、搬送装置300が工具収納部250若しくは工作機械400から作業ステーション200に工具を運ぶ搬送態様、または、搬送装置300が工作機械400から工具収納部250に工具を運ぶ搬送態様を「搬出」とも言う。
【0026】
また、本明細書でいう「搬送装置」とは、工具を搬送する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。以下では、搬送装置300の一例として、4~7軸駆動の多関節ロボットを例に挙げて説明を行うが、搬送装置300は、多関節ロボットに限定されない。一例として、搬送装置300は、2~3軸駆動の直交ロボット(オートローダ)であってもよい。あるいは、搬送装置300は、自走式のロボットであってもよい。
【0027】
搬送装置300は、アームロボット330と、レール331と、台車332とを含む。アームロボット330は、台車332の上に固定されている。台車332は、レール331上を移動可能に構成される。工具収納部250および工作機械400は、レール331を挟むように、かつ、レール331に沿って平行に配置される。搬送装置300は、作業ステーション200と工具収納部250との間で工具を搬送するように構成されるとともに、工具収納部250と工作機械400との間で工具を搬送するように構成される。
【0028】
工作機械400は、搬送装置300によって搬送される工具を用いてワークを加工する。
図1には、工作機械400として、6台の工作機械400A~400Fが示されているが、工具搬送システム10に備えられる工作機械400の数は、1台以上であればよい。工作機械400は、予め設計された加工プログラムに従って、指定された工具を用いてワークを加工する。
【0029】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械400は、横形のマシニングセンタであってもよいし、縦形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械400は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0030】
なお、工具搬送システム10は、パレット搬送システム(図示しない)をさらに備えても良い。パレット搬送システムは、予め定められた加工スケジュールに従って、ワークを載せたパレットを工作機械400に搬送するためのシステムである。
【0031】
<B.工具搬送システム10の駆動機構>
次に、
図2を参照して、工具搬送システム10における各種の駆動機構について説明する。
図2は、工具搬送システムの駆動機構の構成例を示す図である。
【0032】
図2に示されるように、工具搬送システム10は、制御部50と、リモートI/O(Input/Output)ユニット71~73と、作業ステーション200と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0033】
本明細書でいう「制御部50」とは、工具搬送システム10を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。
図2の例では、制御部50は、管理装置100と、PLC150と、上述の操作端末200Aとで構成されている。また、制御部50は、CNC(Computer Numerical Control)401、またはその他の制御機器を含んでもよい。
【0034】
管理装置100は、工具搬送システム10を管理するメインコンピュータである。管理装置100は、1つのコンピュータで構成されてもよいし、複数のコンピュータで構成されてもよい。
【0035】
PLC150は、加工工程を自動化するための種々の産業用機器を制御する。操作端末200Aは、工具の搬出入に関する各種の操作を受け付けるための端末である。
【0036】
管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される。管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、有線で通信接続されてもよいし、無線で通信接続されてもよい。ネットワークNW1には、EtherNet(登録商標)などが採用される。管理装置100および操作端末200Aは、ネットワークNW1を介して、PLC150に制御指令を送る。当該制御指令によって、搬送対象の工具、当該工具の搬送先、当該工具の搬送開始/停止などが指定される。
【0037】
リモートI/Oユニット71~73およびPLC150は、ネットワークNW2に接続されている。ネットワークNW2には、データの到達時間が保証される、定周期通信を行うフィールドネットワークを採用することが好ましい。このような定周期通信を行うフィールドネットワークとして、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。
【0038】
作業ステーション200は、1つ以上のモータドライバ234と、1つ以上のモータ235とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ234A,234Bと、2つのモータ235A,235Bとが示されている。
【0039】
作業ステーション200内または作業ステーション200周辺には、リモートI/Oユニット71が設置される。リモートI/Oユニット71は、作業ステーション200内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ234)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ234は、リモートI/Oユニット71を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ235の駆動を制御する。
【0040】
モータ235Aは、たとえば、作業ステーション200内のマガジンM1(
図1参照)の駆動を制御する。モータ235Bは、たとえば、作業ステーション200内の後述のATC(Automatic Train Control)238(
図8参照)の駆動を制御する。
【0041】
モータドライバ234は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ235は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0042】
搬送装置300は、1つ以上のモータドライバ334と、1つ以上のモータ335とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ334A,334Bと、2つのモータ335A,335Bとが示されている。
【0043】
搬送装置300内または搬送装置300周辺には、リモートI/Oユニット72が設置される。リモートI/Oユニット72は、搬送装置300内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ334)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ334は、リモートI/Oユニット72を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ335の駆動を制御する。
【0044】
モータ335Aは、たとえば、上述の台車332(
図1参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、たとえば、アームロボット330(
図1参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、アームロボット330の関節の数に応じて設けられる。
【0045】
モータドライバ334は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ335は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0046】
工作機械400は、CNC401と、1つ以上のモータドライバ411と、1つ以上のモータ412とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ411A,411Bと、2つのモータ412A,412Bとが示されている。
【0047】
工作機械400内または工作機械400周辺には、リモートI/Oユニット72が設置される。リモートI/Oユニット72は、工作機械400内の各種駆動ユニット(たとえば、CNC401)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。モータドライバ411は、モータドライバ334と同様に、リモートI/Oユニット72を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従って、モータ412の駆動を制御する。
【0048】
モータ412Aは、たとえば、工具を装着可能に構成される主軸を当該主軸の軸方向に駆動する。モータ412Bは、たとえば、主軸の軸方向を中心とした回転方向に主軸を回転駆動する。
【0049】
モータドライバ411は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ412は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0050】
<C.搬送処理の概要>
次に、上述の
図1を参照して、搬送装置300による工具搬送処理の概略について説明する。
【0051】
搬送装置300は、作業ステーション200において人物に装着された工具を工作機械400または工具収納部250に搬入する。また、搬送装置300は、工作機械400または工具収納部250から作業ステーション200に不要な工具を搬出する。人物が作業ステーション200で作業中である場合に、作業ステーション200への搬出タイミングが到来したときには、人物による作業と搬送装置300による搬出とが重複してしまう。そこで、工具搬送システム10の制御部50は、マガジンM1に対して人物が作業中である場合において、マガジンM1への工具の搬送順が到来したときには、マガジンM1への当該工具の搬送を中断する。
【0052】
より具体的には、制御部50は、所定の搬送スケジュールに従って、搬送装置300による工具の搬送順を制御する。搬送スケジュールの進行中において、作業ステーション200への工具の搬送順が到来したとする。その際に、作業ステーション200内のマガジンM1に対して人物が作業中である場合には、制御部50は、マガジンM1への当該工具の搬送を中断する。
【0053】
これにより、工具搬送システム10は、作業ステーション200での人物の作業を、搬送装置300による作業ステーション200への工具搬送よりも優先することができる。結果として、工具搬送システム10は、人物による作業と搬送装置300による搬出とが重複することを防止することができる。
【0054】
<D.工具搬送システム10の機能構成>
次に、
図3~
図7を参照して、搬送装置300による工具の搬送機能について説明する。
図3は、工具搬送システム10の機能構成の一例を示す図である。
【0055】
図3に示されるように、工具搬送システム10は、機能構成として、判断部52と、搬送制御部54と、監視部55と、表示制御部56とを含む。以下では、これらの構成について順に説明する。
【0056】
なお、各機能構成の配置は、任意である。
図3に示される機能構成の一部または全部は、上述の管理装置100(
図2参照)に実装されてもよいし、上述のPLC150(
図2参照)に実装されてもよいし、上述の操作端末200A(
図2参照)に実装されてもよいし、上述のCNC401(
図2参照)に実装されてもよい。一例として、判断部52および搬送制御部54は、PLC150に実装される。監視部55は、工作機械400に実装される。表示制御部56は、操作端末200Aに実装される。
【0057】
(D1.判断部52)
まず、
図4を参照して、
図3に示される判断部52の機能について説明する。
図4は、作業ステーション200の外観を表わす斜視図である。
【0058】
図4に示されるように、作業ステーション200は、カバー体231を有する。カバー体231は、たとえば、マガジンM1と、上述のモータ235A(
図2参照)とを収容する。
【0059】
カバー体231は、正面カバーCV0と、側面カバーCV1と、側面カバーCV2と、背面カバーCV3とを含む。カバー体231の上面には、搬入対象または搬出対象の工具を通過させるための開口R0が形成される。
【0060】
側面カバーCV1には、開口R1が形成されている。開口R1を覆うように、ドアD1が設けられる。ドアD1は、たとえば、スライド式のドアである。ドアD1が開閉することによって、ドアD1の状態は、開口R1がドアD1によって覆われていない開状態とされたり、開口R1がドアD1によって覆われた閉状態とされたりする。ドアD1は、手動で駆動されてもよいし、モータ(図示しない)などによって自動で駆動されてもよい。
【0061】
人物は、搬入対象の工具をマガジンM1に装着するときに、ドアD1を開く。すなわち、人物は、開口R1を介して搬入対象の工具をマガジンM1に装着することができる。また、人物は、搬出対象の工具をマガジンM1から取り出すときに、ドアD1を開く。すなわち、人物は、開口R1を介してマガジンM1から搬出対象の工具を回収することができる。
【0062】
このように、人物は、マガジンM1に対して作業を行っている際には、ドアD1を開く。この点に着目して、判断部52は、ドアD1の開閉状態に基づいて、人物が作業ステーション200において作業中であるか否かを判断する。
【0063】
一例として、作業ステーション200のカバー体231には、ドアD1の開閉を検知するための開閉センサ240が設けられている。開閉センサ240は、ドアD1の開閉状態を示す信号を一定周期ごとに制御部50に出力する。より具体的には、ドアD1が開かれている場合には、開閉センサ240は、開状態を示す信号を制御部50に出力する。一方で、ドアD1が閉じられている場合には、開閉センサ240は、閉状態を示す信号を制御部50に出力する。これにより、制御部50の判断部52は、ドアD1の開閉状態を定期的に取得する。
【0064】
判断部52は、ドアD1が開いていることを開閉センサ240によって検知されている間、マガジンM1に対して人物が作業中であると判断する。一方で、判断部52は、ドアD1が閉じていることを開閉センサ240によって検知されている間、マガジンM1に対して人物が作業中でないと判断する。
【0065】
なお、人物が作業ステーション200において作業中であるか否かを判断する方法は、開閉センサ240を用いた方法に限定されない。一例として、判断部52は、カメラから得られた画像に基づいて、人物が作業ステーション200において作業中であるか否かを判断してもよい。この場合、当該カメラは、作業ステーション200における作業エリアを撮影視野に含むように配置される。
【0066】
人物を検知するための画像処理アルゴリズムには、任意の画像処理プログラムが採用される。一例として、判断部52は、学習済みモデルを用いて人物を検知する。学習済みモデルは、学習用データセットを用いた学習処理により予め生成されている。学習用データセットは、人物が写っている複数の学習用画像を含む。各学習用画像には、人物の有無がラベルとして関連付けられる。学習済みモデルの内部パラメータは、このような学習用データセットを用いた学習処理により予め最適化されている。これにより、学習済みモデルは、画像の入力を受けると、当該画像に人物が写っている確率を出力する。
【0067】
学習済みモデルを生成するための学習手法には、種々の人物アルゴリズムが採用され得る。一例として、当該人物アルゴリズムとして、ディープラーニング、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)、全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)、サポートベクターマシンなどが採用される。
【0068】
判断部52は、カメラから得られた画像上で所定の矩形領域をずらしながら、当該矩形領域内の部分画像を学習済モデルに順次入力する。当該学習済みモデルは、部分画像の入力を受け付けると、当該部分画像に人物が写っている確率を出力する。判断部52は、当該確率が所定値を超えたことに基づいて、人物が作業ステーション200において作業中であると判断する。一方で、判断部52は、当該確率が所定値以下である場合に、人物が作業ステーション200において作業中でないと判断する。
【0069】
(D2.搬送制御部54)
次に、
図5を参照して、
図3に示される搬送制御部54の機能について説明する。
図5は、工具搬送システム10における工具の搬送態様を概略的に示す図である。
【0070】
搬送制御部54は、工具の搬送スケジュール174に従って、搬送装置300による工具の搬送順を制御する。工具の搬送スケジュール174は、たとえば、搬送対象の各工具について、当該工具の搬送予定時刻と、当該工具の収納場所と、当該工具の搬送先とを規定している。
【0071】
一例として、搬送スケジュール174は、工作機械400に搬入する予定の工具を規定している。搬入予定の工具は、たとえば、工作機械400の各々の加工プログラムに基づいて特定される。各加工プログラムは、Gコードで規定されており、主軸に装着する工具を指定するための工具交換命令や、主軸や工具を回転駆動/送り駆動するための駆動命令などを含む。工具搬送システム10は、各プログラムの実行前にワークの加工に必要な工具の識別情報を特定し、加工に必要な工具を搬入予定の工具として搬送スケジュール174に規定される。工具の搬入順は、たとえば、各加工プログラムの実行順に基づいて決定される。
【0072】
他の例として、搬送スケジュール174は、作業ステーション200に搬出する予定の工具を規定している。搬出予定の工具は、たとえば、工具の残寿命が尽きた工具と、損傷などの異常が検知された工具とを含む。工具の残寿命が尽きた工具と、損傷などの異常が検知された工具とは、たとえば、後述の収納情報176(
図6参照)に基づいて特定される。
【0073】
搬送スケジュール174の進行中に作業ステーション200(マガジンM1)への工具の搬送順が到来したとする。この場合において、人物Uが作業ステーション200で作業中であると判断部52によって判断されたときには、搬送制御部54は、マガジンM1への当該工具の搬送を中断する。これにより、作業ステーション200への工具の搬出が避けられる。
【0074】
ある局面において、搬送制御部54は、搬送装置300の駆動を停止することで、マガジンM1への当該工具の搬送を中断する。この場合、搬送制御部54は、作業ステーション200での人物Uの作業が完了するまで搬送装置300の駆動を停止する。そして、搬送制御部54は、作業ステーション200での人物Uの作業が完了したことに基づいて、搬送装置300の駆動を再開する。これにより、搬送制御部54は、工具の搬送順を変更することなく、工具搬出と人物の作業との重複を防ぐことができる。
【0075】
他の局面において、搬送制御部54は、搬送スケジュール174の進行においてマガジンM1への工具の搬送順をスキップすることで、マガジンM1への当該工具の搬送を中断する。この場合、搬送制御部54は、搬送スケジュール174を参照して、マガジンM1への工具の搬送の次に規定される搬送工程を特定する。そして、搬送制御部54は、作業ステーション200での人物Uの作業が完了したことに基づいて、マガジンM1への工具の搬送工程を実行する。これにより、搬送制御部54は、工具搬出と人物の作業との重複を待ち時間無しに防ぐことができる。
【0076】
搬送制御部54は、工具の搬送が完了したことに基づいて、
図6に示される収納情報176を更新する。
図6は、収納情報176のデータ構造の一例を示す図である。
【0077】
収納情報176において、工具搬送システム10内における各工具の収納場所と、当該収納場所に収納されている工具ホルダーの識別情報と、当該工具ホルダーに保持されている工具の識別情報と、当該工具の状態と、当該工具の残寿命とが対応付けられている。
【0078】
収納情報176に規定される収納場所は、工具搬送システム10内の場所を一意に特定するための情報である。当該収納場所は、たとえば、作業ステーション200内の位置情報、工具収納部250内の位置情報、搬送装置300内の位置情報と、および、工作機械400内の位置情報とのいずれかを示す。
【0079】
収納情報176に規定される工具ホルダーの識別情報は、工具ホルダーを一意に特定するための情報である。当該識別情報は、工具ホルダーごとに予め割り当てられている。当該識別情報は、ID(Identification)などの工具ホルダー番号で示されてもよいし、工具ホルダー名で示されてもよい。
【0080】
搬送制御部54は、工具搬送システム10内における各工具ホルダーの搬送を監視し、搬送装置300によって工具ホルダーが搬送される度に、収納場所と工具ホルダーとの対応付けを更新する。これにより、搬送制御部54は、各工具ホルダーがいずれの場所にあるのかを特定することができる。
【0081】
収納情報176に規定される工具の識別情報は、工具を一意に特定するための情報である。当該識別情報は、工具ごとに予め割り当てられている。当該識別情報は、IDなどの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。
【0082】
搬送制御部54は、工具搬送システム10内における各工具ホルダーの搬送を監視し、搬送装置300によって工具ホルダーが搬送される度に、当該工具ホルダーに保持されている工具と、収納場所との対応付けを更新する。
【0083】
(D3.監視部55)
引き続き
図6を参照して、
図3に示される監視部55の機能について説明する。
【0084】
収納情報176に規定される工具状態は、たとえば、工具ホルダーに保持されている工具が使用可能であるか否か、または、工具ホルダーが工具を保持しているか否かを示す。
【0085】
図6の例では、使用可能状態の工具は、「正常」または「寿命警告」として示されている。「寿命警告」は、寿命が尽きそうであることを示す警告である。一例として、監視部55は、工具の残寿命が所定閾値を下回った場合に、収納情報176において工具の状態を「正常」から「寿命警告」に変更する。
【0086】
また、
図6の例では、使用不能状態の工具は、「寿命切」、「空」、または「損傷」として示されている。一例として、監視部55は、工具の寿命がゼロになったことに基づいて、収納情報176において、工具の状態を「寿命警告」から「寿命切」に変更する。
【0087】
収納情報176に規定される工具状態は、たとえば、工具の残寿命によって変えられる。ここでいう「残寿命」とは、工具が使用不能になるまでの工具の残りの使用可能時間を示す。監視部55は、工作機械400の加工プログラムを監視し、各工具が加工に使用されている間、当該工具の残寿命をカウントダウンする。なお、工具の新品時の残寿命は、工具ごとに予め決められている。
【0088】
工具の残寿命の監視方法の一例について説明する。工作機械400の加工プログラムは、Gコードで規定されており、主軸に装着する工具を指定するための工具交換命令や、主軸や工具を回転駆動/送り駆動するための駆動命令などを含む。監視部55は、加工プログラムに規定されている工具交換命令に基づいて、ワークの加工に用いられる工具の種別を特定しておく。次に、監視部55は、加工プログラムに規定されている駆動命令が実行されたことに基づいて、当該工具の残寿命のカウントダウンを開始する。続いて、監視部55は、加工プログラムに規定されている停止命令または最終行の命令が実行されたことに基づいて、当該工具の残寿命のカウントダウンを停止する。これにより、監視部55は、収納情報176において各工具の残寿命を監視する。
【0089】
(D4.表示制御部56)
次に、
図7を参照して、
図3に示される表示制御部56の機能について説明する。
図7は、操作端末200Aの表示態様の一例を示す図である。
【0090】
表示制御部56は、操作端末200Aの表示制御を担う機能モジュールである。一例として、表示制御部56は、作業ステーション200内のマガジンM1に対して人物が作業中でないと判断部52によって判断された場合において、搬送スケジュール174の進行中にマガジンM1への工具の搬送順が到来したときには、操作端末200A(表示部)に警告30を表示する。警告30は、搬送装置300がマガジンM1に工具を搬送している最中であることを示す。これにより、作業ステーション200の周辺にいる人は、工具が作業ステーション200に搬送されていることに気付くことができる。
【0091】
<E.工具収納部250への工具搬入工程>
次に、
図8を参照して、作業ステーション200から工具収納部250への工具ホルダーの搬入工程について説明する。
図8は、作業ステーション200から工具収納部250への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0092】
ステップS1において、作業者は、搬入対象の工具を工具ホルダーH1に装着し、当該工具ホルダーH1をマガジンM1にセットする。工具ホルダーH1をセットする位置の付近には、バーコードまたはQRコード(登録商標)の読み取り装置(図示しない)が設けられており、当該読み取り装置は、工具ホルダーH1に付されているバーコードまたはQRコードを読み取る。これにより、搬入対象の工具ホルダーH1の識別情報が読み取られる。作業者は、工具ホルダーH1のセットが完了すると、操作端末200Aに対して完了操作を行う。
【0093】
次に、ステップS2において、制御部50は、モータ235A(
図2参照)を制御し、作業ステーション200内のマガジンM1を駆動する。これにより、制御部50は、搬入対象の工具ホルダーH1を所定の工具交換位置に移動する。当該工具交換位置の近傍には、ATC238が設けられている。ATC238は、当該工具交換位置にある工具ホルダーH1をマガジンM1から取り外し、半回転する。
【0094】
次に、ステップS3において、アームロボット330は、ATC238から工具ホルダーH1を取り外し、当該工具ホルダーH1を台車332上の仮置き場336に置く。搬入対象の工具ホルダーが他にある場合には、仮置き場336の収納最大数を超えない範囲で、ステップS1~S3の工程が繰り返される。
【0095】
次に、ステップS4において、制御部50は、モータ335Aを制御し、台車332を駆動する。これにより、制御部50は、指示された工具搬入位置に台車332を移動する。当該工具搬入位置は、たとえば、上述の収納情報176(
図6参照)に基づいて決定される。
【0096】
制御部50は、収納情報176に規定される空の収納場所を参照して、工具ホルダーH1の収納先を決定する。空の収納場所が複数ある場合には、制御部50は、複数の空の収納場所の中からランダムに選択された1つの収納場所を収納先として決定してもよいし、複数の空の収納場所の中から選択された搬送装置300により近い1つの収納場所を収納先として決定してもよい。
【0097】
次に、ステップS5において、アームロボット330は、搬入対象の工具ホルダーH1を仮置き場336から取り外し、当該工具ホルダーH1を決定した収納先に収納する。その後、制御部50は、対応する収納場所に工具ホルダーH1の識別情報を対応付けて収納情報176を更新する。
【0098】
搬入対象の工具ホルダーが他に仮置き場336に残っている場合には、制御部50は、仮置き場336上の工具ホルダーがなくなるまでステップS4,S5の工程を繰り返す。
【0099】
<F.工作機械400への工具搬入工程>
次に、
図9を参照して、
図8に引き続く工具ホルダーの搬入工程について説明する。
図9は、工具収納部250から工作機械400への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0100】
あるタイミングにおいて、制御部50は、工作機械400への工具ホルダーの搬入指示を受け付けたとする。搬入対象の工具および搬送先の工作機械400は、たとえば、搬送スケジュール174に基づいて特定される。一例として、工具ホルダーH2が搬入対象の工具として特定されたとする。この場合、制御部50は、上述の収納情報176(
図6参照)から工具ホルダーH2の収納場所を特定する。その後、制御部50は、モータ335A(
図2参照)を制御することで台車332を駆動し、工具ホルダーH2の収納場所の前に台車332を移動する。
【0101】
次に、ステップS11において、アームロボット330は、搬送対象の工具ホルダーH2を工具収納部250から取り出し、台車332上の仮置き場336に工具ホルダーH2を置く。
【0102】
次に、ステップS12において、制御部50は、モータ335Aを制御することで、搬送先の工作機械400の位置に台車332を駆動する。
【0103】
次に、ステップS13において、アームロボット330は、搬送先の工作機械400に備えられるATC438に工具ホルダーH2を渡す。その後、ATC438は、アームロボット330から受けた工具ホルダーH2を工作機械400内のATC438に装着する。その後、ATC438は、工作機械400内のマガジンに工具ホルダーH2をセットする。これにより、工具ホルダーH2が工作機械400で使用可能な状態になる。
【0104】
<G.作業ステーション200への工具の搬出工程>
次に、
図10を参照して、工具ホルダーの搬出工程について説明する。
図10は、工作機械400から作業ステーション200への工具ホルダーの搬出工程の流れを概略的に示す図である。
【0105】
あるタイミングにおいて、制御部50は、工具ホルダーの搬出指示を受け付けたとする。搬出対象の工具は、たとえば、搬送スケジュール174に基づいて特定される。一例として、工具ホルダーH3が回収対象として特定されたとする。この場合、制御部50は、上述の収納情報176(
図6参照)に基づいて、工具ホルダーH3の収納先を特定する。その後、制御部50は、上述のモータ335A(
図2参照)を制御することで台車332を駆動し、工具ホルダーH3を収納している工作機械400の前に台車332を移動する。次に、アームロボット330は、工作機械400から工具ホルダーH3を取り出し、当該工具ホルダーH3を台車332上の仮置き場336に置く。また、制御部50は、収納情報176から工具ホルダーH3の識別情報を削除し、工具ホルダーH3の収納元を空の状態に書き換える。
【0106】
次に、ステップS21において、制御部50は、上述のモータ335Aを制御することで台車332を駆動し、作業ステーション200の前に台車332を移動する。
【0107】
次に、ステップS22において、アームロボット330は、搬出対象の工具ホルダーH3を仮置き場336から取り外し、作業ステーション200に備えられる上述のATC238(
図8参照)に工具ホルダーH3を装着する。その後、ATC238は、作業ステーション200のマガジンM1に工具ホルダーH3を装着する。
【0108】
次に、ステップS23において、制御部50は、上述のモータ235Aを制御することでマガジンM1を駆動し、搬出対象の工具ホルダーH3を出口に移動する。その後、作業者は、当該出口から搬出対象の工具ホルダーH3を取り出す。
【0109】
なお、
図10の例では、工作機械400から回収された工具ホルダーが作業ステーション200に搬出される例について説明を行ったが、当該工具ホルダーは、工具収納部250に搬出されてもよい。
【0110】
<H.PLC150のハードウェア構成>
図11を参照して、
図2に示されるPLC150のハードウェア構成の一例について説明する。
図11は、PLC150の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0111】
PLC150は、制御回路151と、ROM(Read Only Memory)152と、RAM(Random Access Memory)153と、通信インターフェイス154,155と、記憶装置170とを含む。これらのコンポーネントは、バス160に接続される。
【0112】
制御回路151は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGAまたはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0113】
制御回路151は、制御プログラム172など各種プログラムを実行することで搬送装置300や工作機械400の動作を制御する。制御回路151は、制御プログラム172の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置170からROM152に制御プログラム172を読み出す。RAM153は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム172の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0114】
通信インターフェイス154には、LANやアンテナなどが接続される。PLC150は、通信インターフェイス154を介してネットワークNW1に接続される。これにより、PLC150は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、管理装置100やサーバー(図示しない)などを含む。
【0115】
通信インターフェイス155は、フィールドネットワークであるネットワークNW2に接続するためのインターフェイスである。PLC150は、通信インターフェイス155を介してネットワークNW2に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、上述のリモートI/Oユニット71~73などを含む。
【0116】
記憶装置170は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置170は、制御プログラム172、搬送スケジュール174、および収納情報176などを格納する。これらの格納場所は、記憶装置170に限定されず、制御回路151の記憶領域(たとえば、キャッシュ領域など)、ROM152、RAM153、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0117】
制御プログラム172は、上記
図3に示される機能構成の一部または全部を実現するためのプログラムである。制御プログラム172は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム172の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム172によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム172の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でPLC150が構成されてもよい。
【0118】
<I.操作端末200Aのハードウェア構成>
図12を参照して、
図1に示される操作端末200Aのハードウェア構成について説明する。
図12は、操作端末200Aのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0119】
操作端末200Aは、制御回路201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、入力インターフェイス207と、記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、バス210に接続される。
【0120】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0121】
制御回路201は、制御プログラム222やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで操作端末200Aの動作を制御する。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0122】
通信インターフェイス204には、LANやアンテナなどが接続される。操作端末200Aは、通信インターフェイス204を介してネットワークNW1に接続される。これにより、操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0123】
表示インターフェイス205には、ディスプレイ206が接続される。表示インターフェイス205は、制御回路201などからの指令に従って、ディスプレイ206に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ206は、たとえば、工具ホルダーの回収指示を受け付けるための操作画面、搬入対象の工具ホルダーを指定するための工具選択画面、または、搬入先の工作機械400を指定するための工作機械選択画面などを表示する。ディスプレイ206は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ206は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0124】
入力インターフェイス207には、入力デバイス208が接続される。入力デバイス208は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス208は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0125】
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置220は、制御プログラム222などを格納する。制御プログラム222の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、管理装置100、PLC150、または外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0126】
制御プログラム222は、上記
図3に示される機能構成の一部または全部を実現するためのプログラムである。制御プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、制御プログラム222による制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で操作端末200Aが構成されてもよい。
【0127】
<J.工具の搬出フロー>
次に、
図13を参照して、工具の搬出処理に係る制御フローについて説明する。
図13は、工具収納部250または工作機械400から作業ステーション200への工具の搬出処理の流れを示すフローチャートである。
【0128】
図13に示される処理は、制御部50が制御プログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0129】
ステップS110において、制御部50は、上述の搬送制御部54(
図3参照)として機能し、工具の搬送スケジュール174の進行中において、作業ステーション200への工具の搬出タイミングが到来したか否かを判断する。制御部50は、作業ステーション200への工具の搬出タイミングが到来したと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS120に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0130】
ステップS120において、制御部50は、上述の判断部52(
図3参照)として機能し、作業ステーション200内のマガジンM1に対して人物が作業中であるか否かを判断する。制御部50は、作業ステーション200内のマガジンM1に対して人物が作業中であると判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS110に戻す。これにより、人物が作業ステーション200内で作業中においては、作業ステーション200への工具搬送が中断される。制御部50は、作業ステーション200内のマガジンM1に対して人物が作業中でないと判断した場合(ステップS120においてNO)、制御をステップS132に切り替える。
【0131】
ステップS132において、制御部50は、上述の搬送制御部54として機能し、作業ステーション200への工具の搬送を開始する。
【0132】
ステップS134において、制御部50は、上述の表示制御部56(
図3参照)として機能し、操作端末200Aのディスプレイ206(表示部)に警告を表示する。当該警告は、マガジンM1への工具の搬送中を示す警告である。好ましくは、当該警告は、作業ステーション200への工具の搬送が完了までの時間を含む。当該時間は、カウントダウンされる。制御部50は、作業ステーション200への工具の搬送が完了した時点で当該警告の表示を消す。
【0133】
<K.変形例1>
次に、
図14および
図15を参照して、変形例1に従う工具搬送システム10について説明する。
図14は、変形例1に従う作業ステーション200の外観を示す図である。
【0134】
本変形例に従う作業ステーション200は、工具搬送システム10と人物との間で制御権を切り替えるためのボタン242を有する点で、
図4に示される作業ステーション200とは異なる。ボタン242は、たとえば、カバー体231に設けられる。好ましくは、ボタン242およびドアD1は、同じ側面カバーCV1上に設けられる。
【0135】
なお、ボタン242は、必ずしも物理的なボタンである必要はない。一例として、ボタン242は、GUI(Graphical User Interface)上に表示されるボタンであってもよい。GUIとしてのボタンは、たとえば、操作端末200Aのディスプレイ206に表示される。
【0136】
本変形例では、上述の判断部52(
図3参照)は、人物が作業ステーション200で作業中であるか否かを判断する際の指標に制御権を用いる。一例として、人物は、作業ステーション200で作業を行う場合には、ボタン242を押下することで制御権を人物に切り替える。
【0137】
図15は、ドアの開閉状態と制御権との組み合わせに応じた判断部52による判断結果を示す図である。
【0138】
図15に示されるように、判断部52は、ドアD1が開いていることを開閉センサ240によって検知されている間で、かつ、制御権が人物にあるときに、作業ステーション200内のマガジンM1に対して当該人物が作業中であると判断する。この場合、搬送制御部54は、マガジンM1への当該工具の搬送を中断する。これにより、工具搬送システム10は、作業ステーション200への工具の搬送作業よりも人物の作業を優先する。
【0139】
また、判断部52は、ドアD1が開いていることを開閉センサ240によって検知されている間で、かつ、制御権が工具搬送システム10にあるときには、作業ステーション200内のマガジンM1に対して当該人物が作業中でないと判断する。この場合、搬送制御部54は、マガジンM1への当該工具の搬送を中断しない。
【0140】
また、判断部52は、ドアD1が閉じていることを開閉センサ240によって検知されている間で、かつ、制御権が人物にあるときには、作業ステーション200内のマガジンM1に対して当該人物が作業中でないと判断する。この場合、搬送制御部54は、マガジンM1への当該工具の搬送を中断しない。
【0141】
また、判断部52は、ドアD1が閉じていることを開閉センサ240によって検知されている間で、かつ、制御権が工具搬送システム10にあるときには、作業ステーション200内のマガジンM1に対して当該人物が作業中でないと判断する。この場合、搬送制御部54は、マガジンM1への当該工具の搬送を中断しない。
【0142】
<L.変形例2>
次に、
図16および
図17を参照して、変形例2に従う工具搬送システム10について説明する。
図16は、変形例2に従う工具搬送システム10の機能構成を示す図である。
【0143】
本変形例に従う工具搬送システム10は、機能構成としてドア制御部58を有する点で
図3に示される工具搬送システム10とは異なる。ドア制御部58は、作業ステーション200のドアD1のロック機構245を制御する。ロック機構245は、ドア制御部58からの制御指令に従って、ドアD1をロックしたり、ドアD1のロックを解除したりする。
【0144】
図17は、作業ステーション200への工具の搬送指示に応じたドアD1のロック状態を示す図である。
【0145】
図17に示されるように、ドア制御部58は、工具の搬送スケジュール174の進行中において作業ステーション200内のマガジンM1への工具の搬送順が到来したことに基づいて、ドアD1の開閉をロックする。その後、ドア制御部58は、マガジンM1への工具の搬送が終了したことに基づいて、ドアD1のロック状態を解除する。これにより、ドア制御部58は、マガジンM1への工具の搬送中にドアD1が開かれることを防止する。
【0146】
なお、ドア制御部58は、ドアD1をロックするか否かを判断する際の指標に制御権をさらに用いてもよい。上述のように、人物は、ボタン242(
図14参照)を押下することで、工具搬送システム10と人物との間で制御権を切り替えることができる。
【0147】
図18は、作業ステーション200への工具の搬送指示と制御権との組み合わせに応じたドアD1のロック状態を示す図である。
【0148】
図18に示されるように、工具の搬送スケジュール174の進行中において作業ステーション200内のマガジンM1への工具の搬送順が到来したとする。この場合に、制御権が人物にあるときには、ドア制御部58は、ドアD1の開閉をロックしない。このとき、搬送制御部54は、マガジンM1への当該工具の搬送を中断する。これにより、工具搬送システム10は、制御権が人物にある場合に、マガジンM1への当該工具の搬送作業よりも人物の作業を優先する。
【0149】
また、ドア制御部58は、工具の搬送スケジュール174の進行中において作業ステーション200内のマガジンM1への工具の搬送順が到来した場合であって、制御権が工具搬送システム10にあるときには、ドアD1の開閉をロックする。このとき、搬送制御部54は、マガジンM1への当該工具の搬送を中断しない。これにより、工具搬送システム10は、制御権が工具搬送システム10にある場合に、マガジンM1への当該工具の搬送作業を人物の作業よりも優先する。
【0150】
また、ドア制御部58は、マガジンM1への工具の搬送が行われない間、ドアD1の開閉をロックしない。すなわち、この間には、作業者は、制御権が工具搬送システム10にあるか人物にあるかに関わらず、ドアD1を自由に開閉することができる。
【0151】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0152】
10 工具搬送システム、30 警告、50 制御部、52 判断部、54 搬送制御部、55 監視部、56 表示制御部、58 ドア制御部、71,72,73 リモートI/Oユニット、100 管理装置、151,201 制御回路、152,202 ROM、153,203 RAM、154,155,204 通信インターフェイス、160,210 バス、170,220 記憶装置、172,222 制御プログラム、174 搬送スケジュール、176 収納情報、200 作業ステーション、200A 操作端末、205 表示インターフェイス、206 ディスプレイ、207 入力インターフェイス、208 入力デバイス、231 カバー体、234,234A,234B,334,334A,334B,411,411A,411B モータドライバ、235,235A,235B,335,335A,335B,412,412A,412B モータ、238,438 ATC、240 開閉センサ、242 ボタン、245 ロック機構、250 工具収納部、300 搬送装置、330 アームロボット、331 レール、332 台車、336 仮置き場、400,400A~400F 工作機械。
【要約】
【課題】作業ステーションでの人物の作業と、作業ステーションへの工具の搬送との重複を防ぐための技術を提供する。
【解決手段】工具搬送システムは、工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、複数の工具を装着可能に構成されるマガジンを有する作業ステーションと、マガジンと、工具収納部と、工作機械との間で工具を搬送するための搬送装置と、所定の搬送スケジュールに従って前記搬送装置による工具の搬送順を制御する制御部とを備える。制御部は、マガジンに対して人物が作業中である場合において、搬送スケジュールの進行中にマガジンへの工具の搬送順が到来したときには、マガジンへの当該工具の搬送を中断する。
【選択図】
図5