(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】男性用下着
(51)【国際特許分類】
A41B 9/02 20060101AFI20220113BHJP
A41B 9/12 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A41B9/02 G
A41B9/02 H
A41B9/12 E
(21)【出願番号】P 2021044395
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516094515
【氏名又は名称】有限会社アルファメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【氏名又は名称】石井 豪
(74)【代理人】
【識別番号】100134234
【氏名又は名称】日向 麻里
(72)【発明者】
【氏名】敦賀 友紀
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3171533(JP,U)
【文献】特開2012-197525(JP,A)
【文献】特開2006-328601(JP,A)
【文献】登録実用新案第3208270(JP,U)
【文献】特開平08-081801(JP,A)
【文献】登録実用新案第3010167(JP,U)
【文献】特開2003-183902(JP,A)
【文献】特開平09-003701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/02
A41B 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下半身に着用する男性用下着であって、
男性用下着は、
伸縮性のある生地からなり、かつ男性用下着の内側における、股部から前開き部の上側までわたるように設けられた下地部と、
内側が吸水性を有しその外側が防水性または撥水性を有する生地からなるとともに、下地部とは別体に形成され、かつ当該下地部に固定されるポケット部と、を有し、
下地部は、当該下地部の下端と男性用下着の股部とが固定されるとともに、当該下地部の上端と男性用下着の前開き部の上側とが固定されるものの、他の部分が固定されておらず、
ポケット部は、下地部に固定された際に当該下地部と対向する前生地部と、当該前生地部と対向する後生地部と、を有するとともに、当該前生地部の上端縁と当該後生地部の上端縁とにより形成され上方に向けて開口する開口部を有し、
ポケット部の前生地部の上端から下端までの長さは、下地部の上端から下端までの長さよりも短く、かつポケット部の後生地部の上端から下端までの長さよりも長く、
開口部を形成するポケット部の後生地部の上端縁は、両側から中央に向けて、高さ位置が次第に低くなるように傾斜しており、
ポケット部は、下地部の内側
における、当該下地部の上端よりも下方で
あって、かつ当該下地部の上下方向の中央よりも上側となる位置に、当該ポケット部の前生地部の上端のみ固定されていることを特徴とする男性用下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性の下半身に着用する下着(下穿き)に関する。
【背景技術】
【0002】
健常な人でも中高年になると、排尿後の残尿や少量の尿漏れが生じやすくなってくることが知られている。残尿や少量の尿漏れ対策の男性用下着については、本出願人によるものが特許文献1や特許文献2で提案されている他、下着の前開き部内側(肌側)に貼り付けるタイプの尿取りパッド(吸収性のある消耗品)が男性用にも市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-73824
【文献】特開2019-203213
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貼り付けるタイプの尿取りパッドでは、下着の前開き部内側に貼り付けて使用するがゆえに、前開き部を開けにくくなり、通常のトイレでの排尿時に男性器を取り出すとき不便であった。また、既存の尿取りパッドでは、下着の中で男性器の一部が尿取りパッドからはみ出してしまい、残尿や尿漏れ時に尿を吸収できず下着が濡れてしまうことがあった。
【0005】
そこで、本発明は、残尿や少量の尿漏れがあっても吸収してくれ、収まりの良い男性用下着を提供し、残尿や尿漏れ時の嫌な感じをなくすことを目的とする。
【0006】
なお、本発明における男性用下着のサポーターが有する吸水性は、1cc~20cc程度の尿を吸収できれば良い程度であり、介護用パンツに要求されるような多量の尿を吸収できるほどの吸水性は必要ない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様による男性用下着は、下半身に着用する男性用下着であって、前記下着の内側、股部から前開き部の上側までにわたって、内側が吸水性を有しその外側が防水性または撥水性を有するサポーターを設け、サポーター下端と股部、サポーター上端と前開き部の上側を縫い付け等により固定し、他の部分は固定していないことを特徴とする。
【0008】
前記サポーターは、上下にダーツ(切り込み)が入っていて立体的になっていることが好ましい。サポーターの下着本体への固定方法は、股部については下着本体への縫い付け、前開き部の上側については面ファスナーによる固定であってもよく、縫い付けであっても良い。サポーターの上端下端のみが下着本体に固定されて、他の部分が固定されておらず、また、上下にダーツが入って立体的になっているので、ハンモックのようになり、男性器の収まりが良くなる。
【0009】
また、本発明の他の一態様による男性用下着のサポーターは、伸縮性のある生地からなる下地部と、内側が吸水性を有し外側が防水性または撥水性を有する生地からなるポケット部を有し、ポケット部は、下地部の内側にその上端部だけ固定され、下端部は固定されていないことを特徴とする。ポケットが取り付けられているため、その中に、男性器の少なくとも先端を入れておけるほか、トイレットペーパーを折りたたんで入れておくことができる。市販の尿取りパッドで上側があまり幅広でないものを挟み込んでも良い(この場合、置くだけなので接着用のテープをはがす必要はない)。そうすることで、尿量が100cc~120cc程度あっても吸収することができる。本態様では、ダーツを入れていないがサポーターの下地部が伸縮性のある生地から成り、上端と下端しか下着本体に固定していないため、自然とたわんでハンモックのようになり、やさしく包み込むことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のような構成を採っているので、本発明によれば、残尿や少量の尿漏れがあっても吸収してくれ、男性器の収まりが良い男性用下着を提供することができ、残尿や尿漏れ時の嫌な感じをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態である男性用下着を、サポーターの下着への取り付け方がわかるように後ろ側斜め上方向から見た模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1と同じ男性用下着を上から見た図である。図面上が前である。
【
図4A】
図4Aは、
図1の男性用下着に取り付けられているサポーターのみを示した正面図である。
【
図5】
図4は、本発明の他の一実施形態である男性用下着を、後ろ側斜め上方向から見た模式的な斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5の男性用下着を上から見た図である。図面上が前である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0013】
(第1の実施形態)
図1から
図3は、本発明の第1の実施形態の男性用下着を説明するための図である。
図1は、男性用下着1を、サポーターの下着への取り付け方がわかるように後ろ側斜め上方向から見た模式的な斜視図である。
図2は、
図1と同じ男性用下着を上から見た図である。図面上が前側である。
図3は、
図2のA-B断面図である。
図4Aは、
図1の男性用下着に取り付けられているサポーターのみを示した正面図である。
図4Bは、
図4AのC-D断面図である。
【0014】
図1から
図3に示すように、男性用下着1は、前身ごろにサポーター2を有している。サポーター2は、略矩形で、表(おもて)面と裏面を有している。表(おもて)面(肌側の面)は肌触りが良く吸水性を有しており、裏面(下着側の面)は撥水性もしくは防水性を有している。サポーター2の下端は、男性用下着1の股部に縫製により固定されている。サポーター2の上端は、男性用下着本体3の前身ごろ、ウエストゴム部Wの下、前開き部の上部あたりに、例えば面ファスナー4a,4bにより、取り外し可能に固定されている。面ファスナー4aは下着本体3のウエストゴム部Wの下あたりに縫い付けられ、面ファスナー4bはサポーター2の上端近くの外側に縫い付けられている。下着本体3は、市販されている通常の男性用下着であり、前開き部のあるものである。下着本体3は、トランクスタイプであっても、ボックスタイプであってもよい。
【0015】
サポーター2の表(おもて)面(肌側の面)は吸水性を有する吸水面であり、吸水できる容量は、例えば、1~20cc程度である。サポーター2の裏面(下着側の面)は、撥水性もしくは防水性を有する面であり、吸収した尿が下着側に漏れないようにすることができる。
【0016】
図4A,4Bに示すように、サポーター2は、略矩形ではあるが、上側と下側にダーツ(切れ込み)が入っており、中央部分がへこんだ形になってハンモックのように立体的になるように縫製されている。サポーター2は、上端部と下端部だけ男性用下着本体3に固定されており、その他の部分は固定されていない。これにより、サポーター2は、ハンモックのようにゆらりと優しく男性器を納めることができ、小用を足す際には、通常通り男性器を前開き部から取り出すことができる。
【0017】
上記のように制作した男性用下着1の試作品を複数名の利用者に着用してもらったところ、上記課題が解決され、本発明の効果が確認された。実際に何度か小用を足してもらったところ、特に取り出しにくさはなく、普通に小便できた。
【0018】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、
図5から
図9を参酌しながら説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態である男性用下着を、後ろ側斜め上方向から見た模式的な斜視図である。
図6は、
図5のサポーターを拡大した正面図である。
図7は、
図6のC-D断面図である。
図8は、
図5の男性用下着を上から見た図である。図面上が前である。
図9は、
図8のC-D断面図である。
【0019】
図5から
図9に示すように、第2の実施形態では、サポーター2を、上が少し幅広となった略矩形の下地部21と、図示するように少しくぼんだ折り返しポケット部22を設けたものである。下地部21は、伸縮性のある生地からなり、上端が下着本体3のウエストゴム部Wの下側に縫い付けられており、下端は、下着本体3の股部に縫い付けられており、他の部分は、固定されていない。ポケット部22は、裏側(下地部側,下着本体側)が防水性または撥水性を有し、表側(ポケットの内側)が吸水性を有する生地からなり、図示するように下のほうが折り返されている。
【0020】
ポケット部22は、その長さが例えば、下地部21の3分の2ぐらいである。ポケット部22は、下地部21の内側でウエストゴムから3分の1ぐらいの位置に、その上端が下地部21に縫い付けなどにより固定されている。ポケット部22の下端は固定されていない。ポケット部22の下端が固定されていないので、自然で使いやすい。吸水性を有する生地とは、例えば綿である。
【0021】
このポケット部22には、男性器の先端を入れておけるほか、残尿や少量の尿漏れに備えて、トイレットペーパーを折りたたんで入れておくことができる。また、市販の尿取りパッドで上側があまり幅広でないものを糊付けなしでポケット部22に挟み込んでも良い。この場合、置くだけなので接着用のテープをはがす必要はない。そうすることで、尿量が100cc~120cc程度あっても吸収することができる。吸収済みのトイレットペーパーは、トイレに流せばよい。
【0022】
本態様では、ダーツを入れていないがサポーターの下地部21が伸縮性のある生地から成り、上端と下端しか下着本体3に固定していないため、自然とたわんで、ハンモックのようになり、やさしく包み込むことができる。
【0023】
なお、上記構成は、一例であり、本発明は上記構成に限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、自由に構成することができる。たとえば、サポーター2を男性用下着本体3に固定する方法としては、面ファスナーではなく下着に縫い付けたボタンなどを用いても良く、上端下端共に下着本体に縫い付けても良い。
【0024】
なお、サポーターの寸法は、下着本体の大きさや形状等に合わせ、適宜調節されるものであるから、上記では寸法の記載を省略した。
【符号の説明】
【0025】
1…本発明の第1の実施形態に係る男性用下着
2…サポーター
3…男性用下着本体
4,4a,4b…面ファスナー
10…本発明の第2の実施形態に係る男性用下着
20…第2の実施形態のサポーター
21…第2の実施形態のサポーターにおける下地部
22…第2の実施形態のサポーターにおけるポケット部
W…下着のウエストゴム部
【要約】
【課題】 残尿や少量の尿漏れがあっても吸収してくれ、収まりの良い男性用下着を提供し、残尿や尿漏れ時の嫌な感じをなくすことを目的とする。
【解決手段】 下着の内側、股部から前開き部の上側までにわたって、内側が吸水性を有しその外側が防水性または撥水性を有するサポーターを設け、サポーターの下端と下着の股部、サポーターの上端と前開き部の上側を固定し、サポーターの他の部分は固定しない。サポーターは、伸縮性のある生地から成る下地部と、外側が防水性を有するポケット部に分けてもよく、その場合、ポケット部はその上端だけ下地部に縫い付ける。
【選択図】
図1