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特許7001881有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のための統合処理方法
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  • 特許-有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のための統合処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のための統合処理方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/00 20060101AFI20220113BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20220113BHJP
   A01G 24/22 20180101ALI20220113BHJP
   C09K 17/06 20060101ALI20220113BHJP
   C09K 17/16 20060101ALI20220113BHJP
   C09K 17/42 20060101ALI20220113BHJP
   C09K 17/48 20060101ALI20220113BHJP
   C05F 15/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
C09K17/00 H
A01G7/00 602Z
A01G24/22
C09K17/06 H
C09K17/16 H
C09K17/42 H
C09K17/48 H
C05F15/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021009993
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022001633
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】202010576256.2
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507255592
【氏名又は名称】南京▲農業▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】高彦征
(72)【発明者】
【氏名】張暁▲ふぁん▼
(72)【発明者】
【氏名】王建
【審査官】佐藤 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-179211(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2010-0009450(KR,A)
【文献】国際公開第2009/157387(WO,A1)
【文献】土層改良計画の考え方,農業土木学会誌,日本,51巻11号,第7-13頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 24/00
B09B 1/00-5/00
B09C 1/00-1/10
C05F 11/00-15/00
C09K 17/00
J-STAGE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有毒有機物によって汚染された農地の土壌をプレ処理し、改良剤によりプレ処理された土
壌を修復処理することを含み、
前記改良剤は、施肥/成長促進改良剤および毒性低減改良剤を含み、
前記修復処理は、
1)プレ処理された有毒有機物によって汚染された農地の土壌と前記毒性低減改良剤を1
kg:4gの質量比で混合し、混合しながら水を添加して初回の加湿処理を行い混合物の
水分含有量が10%に達するようにして、均一に混合した後10時間静置し、密封して4
日間放置し、処理土壌を得て、前記毒性低減改良剤はCM複合細菌とフミン酸を2:1の
質量比で混合したものであるステップと、
2)処理土壌を2次加湿処理し、処理土壌の水分含有量が30%に達するようにして、そ
の後6g/kgの質量比で前記施肥/成長促進改良剤を投入し、均一に混合し、密封して
25℃の温度で5日間放置し、2級処理土壌を得るステップと、
3)2級処理土壌を3次加湿処理し、2級処理土壌の水分含有量が38%に達するように
して、その後7g/kgで再び前記施肥/成長促進改良剤を投入し、均一に混合し、そし
て土壌を35分直流処理してから、58℃に昇温し、土壌の水分含有量が18%に達する
ようにして、4g/kgの質量比で再び前記毒性低減改良剤を投入し、均一に混合し、密
封して2日間放置し、修復処理を完了するステップと、
を含み、
記毒性低減改良剤、前記施肥/成長促進改良剤は、
1)前記毒性低減改良剤の調製:10g過酸化カルシウム、4g硫酸第一鉄七水和物、お
よび3.8gシュウ酸カリウムを混合して前記毒性低減改良剤を得て、前記毒性低減改良
剤を有毒有機汚染土壌の処理に用いる投与量は、土壌1kgあたり17.8gの前記毒性
低減改良剤を使用するステップと、
2)前記施肥/成長促進改良剤の調製:天然乾燥ストローを有機材料として使用し、長さ
4~7mmに粉砕・研磨し、5gストロー、0.895g窒素、リン、カリウム肥料およ
び0.11g尿素を混合して前記施肥/成長促進改良剤を得て、前記窒素、リン、カリウ
ム肥料中の各元素の比率は、N:P:KO=15:15:15であり、前記施肥
/成長促進改良剤を有毒有機汚染土壌の処理に用いる投与量は、土壌1kgあたり6.0
1gの前記施肥/成長促進改良剤を使用するステップと、
含む調製方法によって調製される、
ことを特徴とする有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減
のための統合処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌処理の技術分野に関し、具体的には、有毒有機物によって汚染された農地
の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のための統合処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、中国の土壌中の有機物汚染はますます深刻化しており、農産物や人間の健康への影
響が顕著になっている。同時に、都市化・工業化の加速に伴い、都市近郊や工業地帯の土
壌の有機汚染が増加しており、工業地帯周辺の土壌中の有機物の中には、中国の基準を数
倍超えているものもある。
【0003】
農地土壌の有機汚染物質は主に化学農薬であり、農地土壌中の有毒な有機汚染物質を酸化
・修復する際には、修復効果だけでなく、農地土壌の修復による実際の被害も考慮する必
要がある。
【0004】
従来、有毒な有機汚染物質の酸化除去法は、有機質土壌の修復に一般的に使用されていた
が、土壌修復処理後の栽培が困難であるため、農地土壌の実際の修復には適していない。
そのため、有毒な有機物で汚染された農地の土壌を効果的に修復するためには、農地の土
壌の基本的な性質を維持できる修復方法が急務となっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、農地土壌の基本的な特性を維持することができる有毒有機物によって汚
染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のための統合処理方法を提供することで
ある。
【0006】
本発明の技術的解決策は以下の通りである。有毒有機物によって汚染された農地の土壌の
施肥・成長促進・毒性低減のための統合処理方法は、有毒有機物によって汚染された農地
の土壌をプレ処理し、改良剤によりプレ処理された土壌を修復処理することを含み、
前記改良剤は、施肥/成長促進改良剤および毒性低減改良剤を含み、
前記修復処理は、具体的に、
1)毒性低減改良剤をプレ処理された有毒有機物によって汚染された農地の土壌に均一に
散布し、水を添加しながら十分に攪拌・混合し、同時に土壌の水含有率を55~65%に
維持し、均一に混合した後3~5日間反応し、1級の処理土壌を得るステップと、
2)1級の処理土壌を2次処理し、施肥/成長促進改良剤を1級の処理土壌中に散布し均
一に混合して、同時に土壌の水含有率を55~65%に維持し、15日間放置し、修復処
理を完了するステップと、を含む。
【0007】
本発明の一態様として、前記土壌毒性低減改良剤、施肥/成長促進改良剤は以下の調製方
法によって調製される:
1)毒性低減改良剤の調製:過酸化カルシウムをその重合を低減するように研磨しプレ処
理して、研磨した10g過酸化カルシウム、4g硫酸第一鉄七水和物、および3.8gシ
ュウ酸カリウムを混合して毒性低減改良剤を得、前記毒性低減改良剤を有毒有機汚染土壌
の処理に用いる場合の投与量は、土壌1kgあたり17.8gの毒性低減改良剤を使用す
る、
2)施肥/成長促進改良剤の調製:天然乾燥ストローを有機材料として使用し、長さ4~
7mmに粉砕・研磨し、5gストロー、0.895g窒素、リン、カリウム肥料および0
.11g尿素を混合して施肥/成長促進改良剤を得、そのうち、前記窒素、リン、カリウ
ム肥料中の各元素の比率は、N:P:KO=15:15:15であり、前記尿素
中の各元素の比率は、N:P:KO=2:1:1であり、前記施肥/成長促進改
良剤を有毒有機汚染土壌の処理に用いる場合の投与量は、土壌1kgあたり6.01g施
肥/成長促進改良剤を使用する、
施肥/成長促進改良剤および毒性低減改良剤を併用して土壌中の有毒有機物を除去する同
時に農地を効果的に施肥・成長促進して、後の農地の利用および作物の植栽に役立つ。
【0008】
本発明の一態様として、前記プレ処理は、具体的に、有毒有機物によって汚染された農地
の土壌を整地し、4mm以上の粒子径の土壌を破壊し、7~20cmの表層土壌を深耕し
、土壌中の石、植物またはその残留物を除去することを含む。
【0009】
本発明は、有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減統合処
理に使用される装置をさらに提供し、それは、機器キャビティと、給料用の給料装置と、
機器キャビティの内部に取り付けられ攪拌用の現場攪拌装置とを含み、前記現場攪拌装置
は、機器キャビティの底端に取り付けられたスライドレール、スライドレールに取り付け
られスライドレール上を往復移動する取付ラック、および取付ラックに取り付けられた攪
拌アセンブリを含み、前記攪拌アセンブリは、取付ラックの両側に取り付けられた縦方向
攪拌アセンブリ、および取付ラックの中央部に取り付けられた横方向攪拌アセンブリを含
む。
【0010】
従来技術と比較すると、本発明は以下の有益な効果を有する。本発明の方法全体は、操作
が簡単であり、有毒有機物によって汚染された農地の土壌に対して施肥・成長促進・毒性
低減の統合処理を行い、土壌の修復効果が良く、有毒有機物によって汚染された農地の土
壌中の多環芳香族炭化水素、有機塩素系農薬などの汚染物を効果的に除去できるだけでな
く、処理後の土壌の窒素、リン、カリウムの含有量を効果的に増加でき、農地の基本的な
植栽特性を維持し、後の作物の植栽をより役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の装置の分解図である。
【0012】
[符号の説明]
1 機器キャビティ
2 給料装置
3 攪拌装置
31 スライドレール
32 取付ラック
33 攪拌アセンブリ
331 縦方向攪拌アセンブリ
332 横方向攪拌アセンブリ
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例1:有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のため
の統合処理方法は、有毒有機物によって汚染された農地の土壌をプレ処理し、改良剤によ
りプレ処理された土壌を修復処理することを含み、プレ処理は、具体的に、有毒有機物に
よって汚染された農地の土壌を整地し、4mm以上の粒子径の土壌を破壊し、20cmの
表層土壌を深耕し、土壌中の石、植物またはその残留物を除去することを含み、
改良剤は、施肥/成長促進改良剤および毒性低減改良剤を含み、
修復処理は具体的に、
1)毒性低減改良剤をプレ処理された有毒有機物によって汚染された農地の土壌に均一に
散布し、水を添加しながら十分に攪拌・混合し、同時に土壌の水含有率を55%に維持し
、均一に混合した後3日間反応し、1級の処理土壌を得るステップと、
2)1級の処理土壌を2次処理し、施肥/成長促進改良剤を1級の処理土壌中に散布し均
一に混合して、同時に土壌の水含有率を55%に維持し、15日間放置し、修復処理を完
了するステップと、を含む。
【0014】
本発明の一態様として、土壌毒性低減改良剤、施肥/成長促進改良剤は、以下の調製方法
によって調製される:
1)毒性低減改良剤の調製:過酸化カルシウムをその重合を低減するように研磨しプレ処
理して、研磨した10g過酸化カルシウム、4g硫酸第一鉄七水和物、および3.8gシ
ュウ酸カリウムを混合して毒性低減改良剤を得、毒性低減改良剤を有毒有機汚染土壌の処
理に用いる場合の投与量は、土壌1kgあたり17.8gの毒性低減改良剤を使用する、
1)施肥/成長促進改良剤の調製:天然乾燥ストローを有機材料として使用し、長さ5m
mに粉砕・研磨し、5gストロー、0.895g窒素、リン、カリウム肥料および0.1
1g尿素を混合して施肥/成長促進改良剤を得、そのうち、窒素、リン、カリウム肥料中
の各元素の比率は、N:P:KO=15:15:15であり、尿素中の各元素の
比率は、N:P:KO=2:1:1であり、施肥/成長促進改良剤を有毒有機汚
染土壌の処理に用いる場合の投与量は、土壌1kgあたり6.01g施肥/成長促進改良
剤を使用する。
【0015】
図1に示される本実施例で使用される装置は、機器キャビティ1と、給料用の給料装置2
と、機器キャビティ1の内部に取り付けられ攪拌用の現場攪拌装置3とを含み、現場攪拌
装置3は、機器キャビティ1の底端に取り付けられたスライドレール31、スライドレー
ル31に取り付けられスライドレール31上を往復移動する取付ラック32、および取付
ラック32に取り付けられた攪拌アセンブリ33を含み、攪拌アセンブリ33は、取付ラ
ック32の両側に取り付けられた縦方向攪拌アセンブリ331、および取付ラック32の
中央部に取り付けられた横方向攪拌アセンブリ332を含む。
【0016】
実施例2:実施例1と異なり、有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促
進・毒性低減のための統合処理方法は、有毒有機物によって汚染された農地の土壌をプレ
処理し、改良剤によりプレ処理された土壌を修復処理することを含み、プレ処理は、具体
的に、有毒有機物によって汚染された農地の土壌を整地し、4mm以上の粒子径の土壌を
破壊し、15cmの表層土壌を深耕し、土壌中の石、植物またはその残留物を除去するこ
とを含み、
改良剤は、施肥/成長促進改良剤および毒性低減改良剤を含み、
修復処理は具体的に、
1)毒性低減改良剤をプレ処理された有毒有機物によって汚染された農地の土壌に均一に
散布し、水を添加しながら十分に攪拌・混合し、同時に土壌の水含有率を60%に維持し
、均一に混合した後4日間反応し、1級の処理土壌を得るステップと、
2)1級の処理土壌を2次処理し、施肥/成長促進改良剤を1級の処理土壌中に散布し均
一に混合して、同時に土壌の水含有率を60%に維持し、15日間放置し、修復処理を完
了するステップと、を含む。
【0017】
実施例3:実施例1と異なり、有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促
進・毒性低減のための統合処理方法は、有毒有機物によって汚染された農地の土壌をプレ
処理し、改良剤によりプレ処理された土壌を修復処理することを含み、プレ処理は、具体
的に、有毒有機物によって汚染された農地の土壌を整地し、4mm以上の粒子径の土壌を
破壊し、20cmの表層土壌を深耕し、土壌中の石、植物またはその残留物を除去するこ
とを含み、
改良剤は、施肥/成長促進改良剤および毒性低減改良剤を含み、
修復処理は具体的に、
1)毒性低減改良剤をプレ処理された有毒有機物によって汚染された農地の土壌に均一に
散布し、水を添加しながら十分に攪拌・混合し、同時に土壌の水含有率を65%に維持し
、均一に混合した後5日間反応し、1級の処理土壌を得るステップと、
2)1級の処理土壌を2次処理し、施肥/成長促進改良剤を1級の処理土壌中に散布し均
一に混合して、同時に土壌の水含有率を65%に維持し、15日間放置し、修復処理を完
了するステップと、を含む。
実施例2の方法に従い、16組の実際の処理試験を実施し、処理操作のパラメータは表1
に示される。




理論的には、毒性低減改良剤が多いほど、土壌中の汚染物の除去率が高くなり、肥料およ
び尿素の添加量が多いほど、統合処理後の土壌の総窒素、リン、カリウム含有量および植
物生体重が高くなる。
上記の方法により16組の試験土壌を統合修復した後、土壌の有機物、pH値、総窒素、
リン、カリウム含有量に対する影響が表2に示される:
表2:異なる処理の土壌有機物、pH値、総窒素、リン、カリウム含有量に対する影響

【0018】
実施例4:有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のため
の統合処理方法は、有毒有機物によって汚染された農地の土壌をプレ処理し、改良剤によ
りプレ処理された土壌を修復処理することを含み、
改良剤は、施肥改良剤、成長促進改良剤および毒性低減改良剤を含み、
プレ処理方法として、有毒有機物によって汚染された農地の土壌を収集し、土壌中の石、
乾燥した枝と落ち葉を除去し、風乾後2mmのふるいを通過させ、機械的に混合し、その
内、風乾後の土壌水分含有量を0.3%に制御する。
修復処理方法として、具体的には、
1)プレ処理された有毒有機物によって汚染された農地の土壌と毒性低減改良剤を1kg
:3gの質量比で混合し、混合しながら水を添加して初回の加湿処理を行い混合物の水分
含有量が7%に達するようにして、均一に混合した後3h静置し、密封し3日間放置して
、1級の処理土壌を得、その内、毒性低減改良剤として、複合接種物とフミン酸を1:1
の質量比で混合し、複合接種物は具体的にCM複合細菌であり、
2)1級の処理土壌を2次加湿処理して、1級の処理土壌の水分含有量が25%に達する
ようにして、その後5g/kgの質量比で施肥/成長促進改良剤を投入し、均一に混合し
、密封して25℃の温度で3日間放置し、2級処理土壌を得る、
3)2級処理土壌を3次加湿処理して、2級処理土壌の水分含有量が35%に達するよう
にして、その後5g/kgの質量比で再び施肥/成長促進改良剤を投入し、均一に混合し
て、土壌を25分直流処理してから、55℃に昇温し、土壌の水分含有量が15%に達す
るようにして、3g/kgの質量比で再び毒性低減改良剤を投入し、均一に混合し、密封
して2日間放置し、修復処理を完了する、
その内、上記施肥/成長促進改良剤はリン酸マグネシウムカルシウム肥料である。
【0019】
実施例5:有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のため
の統合処理方法は、有毒有機物によって汚染された農地の土壌をプレ処理し、改良剤によ
りプレ処理された土壌を修復処理することを含み、
改良剤は、施肥改良剤、成長促進改良剤および毒性低減改良剤を含み、
修復処理方法として、具体的には、
1)プレ処理された有毒有機物によって汚染された農地の土壌と毒性低減改良剤を1kg
:4gの質量比で混合し、混合しながら水を添加して初回の加湿処理を行い混合物の水分
含有量が10%に達するようにして、均一に混合した後10時間静置し、密封して4日間
放置し、1級の処理土壌を得、その内、毒性低減改良剤は複合接種物とフミン酸を2:1
の質量比で混合したものである、
2)1級の処理土壌を2次加湿処理し、1級の処理土壌の水分含有量が30%に達するよ
うにして、その後6g/kgの質量比で施肥/成長促進改良剤を投入し、均一に混合し、
密封して25℃の温度で5日間放置し、2級処理土壌を得る、
3)2級処理土壌を3次加湿処理し、2級処理土壌の水分含有量が38%に達するように
して、その後7g/kgで再び施肥/成長促進改良剤を投入し、均一に混合し、そして土
壌を35分直流処理して、58℃に昇温し、土壌の水分含有量が18%に達するようにし
て、4g/kgの質量比で再び毒性低減改良剤を投入し、均一に混合し、密封して2日間
放置し、修復処理を完了する、
その内、施肥/成長促進改良剤はリン酸マグネシウムカルシウム肥料である。
【0020】
実施例6:有毒有機物によって汚染された農地の土壌の施肥・成長促進・毒性低減のため
の統合処理は、有毒有機物によって汚染された農地の土壌をプレ処理し、改良剤によりプ
レ処理された土壌を修復処理することを含み、
改良剤は、施肥改良剤、成長促進改良剤および毒性低減改良剤を含み、
修復処理方法として、具体的には、
1)プレ処理された有毒有機物によって汚染された農地の土壌と毒性低減改良剤を1kg
:7gの質量比で混合し、混合しながら水を添加して初回の加湿処理を行い混合物の水分
含有量が7%に達するようにして、均一に混合した後15時間静置し、密封して5日間放
置し、1級の処理土壌を得、その内、毒性低減改良剤は複合接種物とフミン酸を2:1の
質量比で混合したものであり、その内、複合接種物は具体的にCM複合細菌である、
2)1級の処理土壌を2次加湿処理し、1級の処理土壌の水分含有量が33%に達するよ
うにして、その後8g/kgの質量比で施肥/成長促進改良剤を投入し、均一に混合し、
密封して37℃の温度で7日間放置し、2級処理土壌を得る、その内、成長促進改良剤は
リン酸マグネシウムカルシウム肥料である、
3)2級処理土壌を3次加湿処理し、2級処理土壌の水分含有量が35%に達するように
して、その後8g/kgの質量比で再び施肥/成長促進改良剤を投入し、均一に混合し、
その後土壌を45分直流処理してから60℃に昇温し、土壌の水分含有量が20%に達す
るようにして、7g/kgの質量比で再び毒性低減改良剤を投入し、均一に混合し、密封
して3日間放置し、修復処理を完了する、
その内、上記施肥/成長促進改良剤はリン酸マグネシウムカルシウム肥料である。
【0021】
実施例7:実施例4と異なり、施肥/成長促進改良剤は、ストロー、変性活性炭複合ボー
ル、土壌改良剤から調製され、具体的な調製方法として、
1)変性活性炭複合ボールの調製:木材素材を450℃で2時間焼成して活性炭を調製し
、その後カルボキシル化鉄酸化物磁気ナノ粒子と活性炭を0.2:135の質量分率で混
合して混合マトリックスを得、次に、混合マトリックスの表面にメチルセルロースの水溶
液をスプレーし、15分間超音波分散し、純水で2回洗浄し、乾燥して変性活性炭複合ボ
ールを得、その内、メチルセルロースと混合マトリックスの質量比は1:150である、
2)施肥/成長促進改良剤の調製:ストロー、変性活性炭複合ボール、土壌改良剤を重量
部で3部、2部、0.3部の比率で混合し、45℃で攪拌・混合して施肥改良剤を得る。
【0022】
実施例8:実施例4と異なり、施肥/成長促進改良剤は、ストロー、変性活性炭複合ボー
ル、土壌改良剤から調製され、具体的な調製方法として、
1)変性活性炭複合ボールの調製:木材素材を480℃で2.5時間焼成して活性炭を調
製し、その後カルボキシル化鉄酸化物磁気ナノ粒子と活性炭を0.5:140の質量分率
で混合して混合マトリックスを得る、次に混合マトリックスの表面にメチルセルロースの
水溶液をスプレーし、18分間超音波分散し、純水で2回洗浄し、乾燥して変性活性炭複
合ボールを得る、その内、メチルセルロースと混合マトリックスの質量比が1:75であ
る、
2)施肥/成長促進改良剤の調製:ストロー、変性活性炭複合ボール、土壌改良剤を重量
部で10部、3部、0.4部の比率で混合し、50℃で攪拌・混合して施肥/成長促進改
良剤を得る。
【0023】
実施例9:実施例4と異なり、施肥/成長促進改良剤は、ストロー、変性活性炭複合ボー
ル、土壌改良剤から調製され、具体的な調製方法として、
1)変性活性炭複合ボールの調製:木材素材を500℃の条件で3時間焼成して活性炭を
調製し、その後カルボキシル化鉄酸化物磁気ナノ粒子と活性炭を0.7:150の質量分
率で混合して混合マトリックスを得る、次に、混合マトリックスの表面にメチルセルロー
スの水溶液をスプレーし、20分間超音波分散し、純水で3回洗浄し、乾燥して変性活性
炭複合ボールを得る、その内、メチルセルロースと混合マトリックスの質量比が3:50
である、
2)施肥/成長促進改良剤の調製:ストロー、変性活性炭複合ボール、土壌改良剤を重量
部で13部、5部、0.5部の比率で混合し、55℃で攪拌・混合して施肥/成長促進改
良剤を得る。
【0024】
実施例10:実施例8と異なり、施肥/成長促進改良剤は、バイオガス残留物、石灰、リ
ン酸マグネシウムカルシウム肥料を重量部で45部、7部、3部の比率で混合して調製さ
れる。
【0025】
実施例11:実施例8と異なり、施肥/成長促進改良剤は、バイオガス残留物、石灰、リ
ン酸マグネシウムカルシウム肥料を重量部で60部、9部、4部の比率で混合して調製さ
れる。
【0026】
実施例12:実施例8と異なり、施肥/成長促進改良剤は、バイオガス残留物、石灰、リ
ン酸マグネシウムカルシウム肥料を重量部で70部、11部、5部の比率で混合して調製
される。
【0027】
実施例13:実施例11と異なり、毒性低減改良剤は、複合接種物、フミン酸、シユウ酸
ナトリウム、硫酸第一鉄、非イオン性界面活性剤で調製され、具体的な調製方法として、
1)非イオン性界面活性剤、シユウ酸ナトリウム、硫酸第一鉄を重量部で2部、5部、6
部の比率で混合した後水に浸漬し、その後70kHzで30分間超音波処理し、また磁気
撹拌機に置き、55℃で2時間攪拌して、ミセル液を得る、
2)複合接種物、フミン酸、ミセル液を15:12:73の質量%で混合して、毒性低減
改良剤を得る、その内、複合接種物は具体的にCM複合細菌である。
【0028】
実施例14:実施例11と異なり、毒性低減改良剤は、複合接種物、フミン酸、シユウ酸
ナトリウム、硫酸第一鉄、非イオン性界面活性剤から調製され、具体的な調製方法として

1)非イオン性界面活性剤、シユウ酸ナトリウム、硫酸第一鉄を重量部で2部、5部、6
部の比率で混合した後水に浸漬し、その後80kHzで40分間超音波処理し、また磁気
撹拌機に置き、60℃で3時間攪拌して、ミセル液を得る、
2)複合接種物、フミン酸、ミセル液を16:12:72の質量%で混合して、毒性低減
改良剤を得る、その内、複合接種物は具体的にCM複合細菌である。
【0029】
実施例15:実施例11と異なり、毒性低減改良剤は、複合接種物、フミン酸、シユウ酸
ナトリウム、硫酸第一鉄、非イオン性界面活性剤から調製され、具体的な調製方法として

1)非イオン性界面活性剤、シユウ酸ナトリウム、硫酸第一鉄を重量部で2部、7部、7
部の比率で混合した後水に浸漬し、その後95kHzで45分間超音波処理し、また磁気
撹拌機に置き、70℃で4時間攪拌して、ミセル液を得る、
2)複合接種物、フミン酸、ミセル液を17:13:70の質量%で混合して、毒性低減
改良剤を得る、その内、複合接種物は具体的にCM複合細菌である。
【0030】
実施例16:実施例14と異なり、非イオン性界面活性剤は、具体的にポリエチレングリ
コール系非イオン性界面活性剤である。
実験例:実施例1~16の方法に従いシミュレーションテスト実験を行い、具体的には、
1)測定する土壌サンプルの準備:7~20cmの表層農地の土壌を採取し、土壌サンプ
ルを1か月風乾し、研磨して20メッシュのふるいを通過させ、またふるいにかけた土壌
中に16種類の多環芳香族炭化水素、DDTおよびHCBを加え、十分に混均し、その内
、16種類の多環芳香族炭化水素の含有量が5.9480mg/kgであり、DDTの含
有量が1.4153mg/kgであり、HCBの含有量が2.3126mg/kgであり
、16種類の多環芳香族炭化水素の含有量について、ナフタレン、アセナフチレン、アセ
ナフテン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、ピレン、ベン
ゾ(a)アントラセン、ベンゾ(b)フルオランテン、ベンゾ(k)フルオランテン、ベ
ンゾ(a)ピレン、ジベンゾ(a,h)アントラセン、ベンゾ(ghi)ペリレン、イン
デノ(1,2,3~cd)ピレン、クリセンの含有量がそれぞれ0.1536mg/kg、
0.2103mg/kg、0.0161mg/kg、0.1003mg/kg、0.16
21mg/kg、0.3515mg/kg、0.1426mg/kg、0.2139mg
/kg、0.4513mg/kg、1.1324mg/kg、0.6631mg/kg、
0.7154mg/kg、0.3652mg/kg、0.6143mg/kg、0.11
23mg/kg、0.5436mg/kgである。
2)組分け実験:上記の測定する土壌サンプルを平均に3分毎18組に分け、第1組はF
enton酸化法により酸化処理を行い、第2組は通常の電気化学酸化技術により処理し
、第3~18組はそれぞれ実施例1~16の方法により行処理する、
3)測定たに後計算して、実際の平均除去率を得、具体的には以下の表2に示される:
表2:18組の試験土壌中の汚染物の除去効果

4)15組の実験土壌中にそれぞれ3種類の同じ数の一般的な野菜種子(油糧種子菜、中
国キャベツ、ホウレンソウ)を植栽し、30日後有機物、窒素、リン、カリウムおよび植
物の生体重を測定して検出結果を以下の表3に示す:
表3:18組の試験土壌中の有機物、窒素、リン、カリウムおよび植物生体重の検出結果

5)結論:表1と表2の比較から分かるように、本発明は、有毒有機物物によって汚染さ
れた土壌をより良好に修復処理を行い、そして本発明によって修復された有機物汚染土壌
は良い農地の土壌植栽の基本的な特性を有し、植栽野菜の生体重が大幅に増加する。
図1