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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】冷風扇
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20220113BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
F24F1/0007
F04D25/08 307G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017210095
(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2019082291
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年08月08日 販売店 株式会社佐野(静岡県袋井市川井865-4)
(73)【特許権者】
【識別番号】000197344
【氏名又は名称】静岡製機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 成典
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-206497(JP,A)
【文献】特開2003-240266(JP,A)
【文献】実開昭55-181122(JP,U)
【文献】実開昭53-099855(JP,U)
【文献】特開2008-138932(JP,A)
【文献】特開2016-070581(JP,A)
【文献】特開2003-114035(JP,A)
【文献】特表2016-522387(JP,A)
【文献】実開昭51-109958(JP,U)
【文献】実開昭56-046725(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0070430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 6/00
F04D 25/08
F25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性及びを吸収する性質を有する吸水部材と、
前記吸水部材に前記を供給する供給部と、
前記吸水部材を通過した気体を外部に送る送風部と、
前記吸水部材の下方に設けられ前記が貯留されるタンクと、
前記タンクの上面に設けられる第1開口部と、
前記タンクの前記第1開口部に設けられる蓋と、
前記蓋の天面に設けられ前記吸水部材から前記天面の上の前記を前記タンクに流入させる第2開口部と、
前記天面に設けられ、前記天面の端部から前記第2開口部に向かう傾斜面により前記を案内する案内部と、
を備え、
前記蓋は、前記第1開口部を覆う第1位置と前記第1位置から離れる第2位置との間を相互に前記第1開口部に沿って移動可能であり、前記第2位置にあるときに前記案内部が装置本体から突出し、
前記案内部は、
前記蓋が前記第1位置に位置するとき、前記案内部と前記第2開口部を介して、前記吸水部材から漏出する前記を前記タンクに流入可能であり
前記蓋が前記第2位置に位置するとき、前記案内部と前記第2開口部を介して、外部から補給される前記を前記タンクに流入可能である
冷風扇。
【請求項2】
前記蓋は、前記第1位置から略水平に前記第2位置に移動する、
請求項1に記載の冷風扇。
【請求項3】
前記タンクは、前記蓋が前記第1位置と前記第2位置との間を移動するときに前記蓋の鉛直方向の位置を変化させる位置変化部
を備える、
請求項1または2に記載の冷風扇。
【請求項4】
前記第2開口部は、水平方向の位置が前記吸水部材の下方とは異なる位置に設けられる、
請求項1乃至のいずれかに記載の冷風扇。
【請求項5】
鉛直方向における前記吸水部材と前記タンクとの間に設けられ前記吸水部材から漏出した前記を受けて前記を前記蓋に流す受水部と、
水平方向の位置が前記受水部の前記第2開口部の上方とは異なる位置に設けられ前記を前記蓋に流す第3開口部と、
を備える、
請求項1乃至のいずれかに記載の冷風扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷風扇に関する。
【背景技術】
【0002】
冷房装置の一種として冷風扇が知られている。冷風扇は、紙などの液体を吸収する性質を持つ材料で形成される部材(以下「吸水部材」という。)に水などの液体を吸わせ、この吸水部材からの気化熱を利用して空気などの気体を通過させて気体を冷却し、この気体を装置外部に送る。このため、冷風扇は、気体を冷却するための液体を貯留するタンクを備える。
【0003】
なお、冷風扇として、タンクの上方に枢着される導水部材により、吸水フィルタから環流された水をタンク内へと導く技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-138932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冷風扇は、タンクに貯留される液体を消費した場合に、液体を補給する必要がある。
【0006】
しかし、従来の冷風扇は、例えばタンクを装置本体から引き出して給水用の開口部を装置外部に露出させて液体を補給していた。このような従来の冷風扇は、補給後に液体が入って重くなったタンクを装置内部に戻す必要があるため、操作性が悪く液体をこぼすおそれがあり、液体の補給作業が行い難かった。
【0007】
また、特許文献1の冷風扇では、装置側方に給水口を設けているが、開口部の大きさが小さいため、補給作業が行い難かった。
【0008】
本発明は、液体の補給を容易に行うことができる冷風扇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、通気性及び液体を吸収する性質を有する吸水部材と、吸水部材に液体を供給する供給部と、吸水部材を通過した気体を外部に送る送風部と、吸水部材の下方に設けられ液体が貯留されるタンクと、タンクの上面に設けられる第1開口部と、タンクの第1開口部に設けられる蓋と、蓋の天面に設けられ吸水部材から天面の上の液体をタンクに流入させる第2開口部と、天面に設けられ、天面の端部から第2開口部に向かう傾斜面により液体を案内する案内部と、を備え、蓋は、第1開口部を覆う第1位置と第1位置から離れる第2位置との間を相互に第1開口部に沿って移動可能である。
【0010】
また、本発明は、蓋が、第2位置にあるときに案内部が装置本体から突出し、案内部が、蓋が第1位置に位置するとき、吸水部材から漏出する液体をタンクに流入させ、蓋が第2位置に位置するとき、外部から補給される液体をタンクに流入させてもよい。
【0011】
また、本発明は、蓋が、第1位置から略平行に第2位置に移動してもよい。
【0012】
また、本発明は、タンクが、蓋が第1位置と第2位置との間を移動するときに蓋の鉛直方向の位置を変化させる位置変化部を備えてもよい。
【0013】
また、本発明は、第2開口部が、水平方向の位置が吸水部材の下方とは異なる位置に設けられてもよい。
【0014】
また、本発明は、鉛直方向における吸水部材とタンクとの間に設けられ吸水部材から漏出した液体を受けて液体を蓋に流す受水部と、水平方向の位置が受水部の第2開口部の上方とは異なる位置に設けられ液体を蓋に流す第3開口部と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液体の補給を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る冷風扇を示す斜視図である。
図2図1の冷風扇の背面図である。
図3図1の冷風扇の側面図である。
図4図1の冷風扇の断面図である。
図5図1の冷風扇のタンクを示す斜視図である。
図6図1の冷風扇のタンクの第1開口部に設けられる蓋を示す斜視図である。
図7図4の断面図の部分拡大図である。
図8】蓋の側面の第1係合部とタンクの位置変化部の段差とが係合した状態を示す冷風扇の側面の部分拡大図である。
図9】蓋を第2位置に移動させた状態を示す冷風扇の側面図である。
図10図9の側面図の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る冷風扇を、図面に基づいて説明する。以下の説明において、冷風扇は、吸水部材に吸わせる液体として水を用い、吸水部材からの気化熱を利用して冷却する気体として空気を用いる。
【0018】
[冷風扇の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る冷風扇を示す斜視図である。図1に示すように、冷風扇1は、正面パネル111、上面パネル112、側面パネル113、及び側面パネル114により構成され、略直方体の装置本体の外形形状を形成する。冷風扇1は、筐体の内部に、後述の構成要素を収容する。以下の説明において、冷風扇1は、正面パネル111が設けられる面を正面とする。
【0019】
冷風扇1は、正面パネル111に、送風口12を備える。送風口12は、冷却した空気を装置外部に送るためにメッシュやパンチングメタルなどのような通風性の部材により構成される。また、冷風扇1は、側面パネル113に、操作盤13を備える。操作盤13は、冷風扇1の操作を行うためのスイッチ類が配置される。
【0020】
図2は、冷風扇の背面図である。また、図3は、冷風扇1の側面図である。図3では、冷風扇1の構成を説明するために、側面パネル113を取り外している。図2及び図3に示すように、冷風扇1は、筐体内に設けられる構成要素として、ベース部14と、吸水部材15と、送風部16と、タンク17と、蓋18と、受水トレイ19、ポンプ21とを備える。
【0021】
ベース部14は、吸水部材15、送風部16、タンク17などの冷風扇1の構成要素を搭載する基台となる部材である。ベース部14は、冷風扇1を設置する際の脚部として機能するキャスタ141を備える。キャスタ141は、ベース部14の底部の四隅付近に取り付けられる。キャスタ141には、車輪が設けられるため、冷風扇1をユーザが手押しして容易に移動させることができる。冷風扇1における脚部は、車輪付きのキャスタ141ではなく車輪なしでもよい。
【0022】
吸水部材15は、通気性及び液体を吸収する性質を有する材料で形成される。具体的には、吸水部材15は、液体の一例である水を吸収する性質、つまり吸水性を有する。このため、吸水部材15は、例えばボール紙や厚紙などの紙部材を用いて構成される。このような吸水部材15は、軽量で交換作業時などに容易に取り扱うことができる。吸水部材15は、複数の紙部材を積層させてハニカム状に形成される。冷風扇1は、背面側から導入される外部からの空気が水分を含んだ吸水部材15を通過する。冷風扇1では、吸水部材15からの気化熱を利用して冷却効果を得る。
【0023】
吸水部材15の背面側には、吸水部材15を通過する前の空気に含まれる塵などをろ過するフィルタ151が設けられる。
【0024】
送風部16は、吸水部材15を通過した空気を送風口12から冷風扇1の装置の外部に送り出す。送風部16は、例えば回転羽根を持つ電動式のファンである。送風部16は、モータ161と、プロペラ162と、シュラウド163と、ルーバ部164とを備える。送風部16は、モータ161によりプロペラ162を回転させて、吸水部材15を通過した空気を冷風扇1の外部に送り出す。
【0025】
ルーバ部164は、プロペラ162と送風口12との間に設けられる。ルーバ部164は、冷風扇1の上下方向及び左右方向に揺動する複数のフィンを備える。ルーバ部164は、このフィンにより、上下方向及び左右方向の送風方向を変化させることができる。ルーバ部164は、フィンを駆動するためのモータを備える。ルーバ部164は、このモータにより、自動で送風方向を変化させることができる。なお、ルーバ部164は、モータを備えず手動で送風方向を変更可能であってもよい。
【0026】
図4は、冷風扇1の部分断面図である。図4では、冷風扇1の吸水部材15、タンク17、蓋18、及びそれらの周辺の断面を示している。図4に示すように、タンク17は、吸水部材15の下方に設けられる。タンク17は、上面側が開放されるバスタブ状の容器である。タンク17には、吸水部材15に供給するための水が貯留される。
【0027】
蓋18は、トレイのような形状である。蓋18は、タンク17の開口に取り付けられて嵌め合うことが可能な形状を有する。蓋18は、タンク17の開口に取り付けられるとき、タンク17の内部を閉塞する。蓋18は、天面に開口を有し、タンク17の外部と内部とを連通させている。蓋18の開口には、水フィルタ23が設けられる。水フィルタ23は、水に含まれる塵などを除去するために、袋状に形成されたメッシュを用いて形成される。タンク17及び蓋18の開口の位置など、タンク17及び蓋18の詳細な構成は後述する。
【0028】
受水トレイ19は、鉛直方向における吸水部材15とタンク17との間に設けられる。受水トレイ19は、トレイのような形状の部材である。受水トレイ19は、天面に端部(外周側)から天面の中央付近にある頂点に向かって緩やかな傾斜が付けられている。受水トレイ19は、傾斜面の頂点の位置に天面と裏面とを連通させる開口部を備える。
【0029】
受水トレイ19は、吸水部材15から漏出する水を受ける。受水トレイ19は、天面の外周側から開口に向かって傾斜している傾斜面により、天面に水があるときに、水を受水トレイ19の開口に案内する。受水トレイ19の開口は、吸水部材15から漏出した水を蓋18に流す。つまり、受水トレイ19は、吸水部材15から漏出する水を蓋18に流す漏斗のように機能する。
【0030】
ポンプ21は、図2に示すようにベース部14に載置され、ホースによりタンク17に接続している。ポンプ21は、タンク17の中の水を吸水部材15の上部に汲み上げる。
【0031】
供給ノズル22は、吸水部材15の上部に設けられる。供給ノズル22は、水を吸水部材15に供給する。供給ノズル22は、吸水部材15の幅方向に複数の放水用のノズルが配置されている。供給ノズル22は、この複数のノズルにより、吸水部材15の全体に均一に水を流すことができる。以上のように、ポンプ21及び供給ノズル22は、供給部としての機能を有する。
【0032】
[タンク及び蓋の構成]
次に、タンク17及び蓋18の詳細な構成を説明する。
【0033】
図5は、タンク17を示す斜視図である。図5に示すように、タンク17は、タンク本体171と、第1開口部172と、第1側壁部173と、位置変化部174と、第1前壁部175と、第1係合孔176と、を備える。タンク17は、冷風扇1に搭載されているときに正面パネル111側に向く面を前面とする。
【0034】
タンク本体171は、下底と下底の四隅から立ち上げられる壁面により構成され、バスタブ状のタンク17の概略形状を形成する。タンク本体171は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタラート(PET)などの合成樹脂を金型で成型したものである。
【0035】
第1開口部172は、タンク本体171の上面側に設けられる。第1開口部172は、タンク17の上面側のほぼ全体で開口している。このように形成される第1開口部172により、タンク17は、タンク17の内部の奥深い箇所まで手が届く。つまり、タンク17は、清掃などを行う際に高いメンテナンス性を得ることができる。
【0036】
第1側壁部173は、第1開口部172からタンク17の上方向に延出される。第1側壁部173の上縁には、蓋18を第1開口部172の開口面に沿って移動させる際に蓋18の動きを案内するリブ状のガイドレール177が設けられる。
【0037】
位置変化部174は、第1側壁部173の前面寄りの位置に設けられる。位置変化部174は、第1側壁部173を高さ方向に切り欠いたような形状である。位置変化部174の形状は、側面視の形状が概ね第1係合部186の側面視の形状に対応している。このため、位置変化部174は、蓋18がタンク17の第1開口部172に嵌め合わされているときには、第1係合部186に係合した状態になる。
【0038】
位置変化部174の側壁の高さは、ガイドレール177の側壁と比較して2段階で低くなっている。位置変化部174は、タンク17の第1開口部172に係合する蓋18が、第1開口部172と嵌まり合う位置と水平方向で装置後方寄りの位置との間を移動するときに、蓋18の鉛直方向(高さ方向)の位置を変化させる。
【0039】
第1前壁部175は、第1開口部172からタンク17の上方向に延出される。第1前壁部175は、第1側壁部173と連接して設けられる。
【0040】
第1係合孔176は、第1前壁部175の壁面に設けられる。第1係合孔176は、蓋18の第2前壁部187を当接させるときに第2係合部188を受け入れる。
【0041】
図6は、冷風扇1のタンク17の第1開口部172に設けられる蓋18を示す斜視図である。図6に示すように、蓋18は、天面181と、案内部182と、集水部183と、第2開口部184と、第2側壁部185と、第1係合部186と、第2前壁部187と、第2係合部188と、給水部189と、第3係合部180とを備える。蓋18は、タンク17と同じく、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタラート(PET)などの合成樹脂を金型で成型したものである。
【0042】
天面181は、蓋18のほぼトレイ状の概略形状を定める。天面181は、蓋18がタンク17の第1開口部172に嵌め合わされているときに、上方向(吸水部材15の方向)を向く。天面181には、案内部182、集水部183、及び第2開口部184が含まれる。
【0043】
案内部182は、天面181に設けられる。案内部182は、天面181の端部から第2開口部184に向かって傾斜している傾斜面により、案内部182の上に水があるとき、水を第2開口部184に案内する。
【0044】
集水部183は、第2開口部184を頂点として緩やかな傾斜が付けられた面である。集水部183は、案内部182から案内された天面181上の水を、傾斜面の頂点を含む位置に設けられる第2開口部184の方向に集める。
【0045】
第2開口部184は、上述のように、集水部183の頂点とその周辺を含む位置に設けられる。第2開口部184は、天面181とその裏面とを連通させる孔である。第2開口部184は、蓋18がタンク17の第1開口部172に取り付けられているときに、吸水部材15から天面181の上の水をタンク17の内部に流入させる。
【0046】
第2側壁部185は、天面181の側面側の端部から立ち上げられた壁面状の部分である。第2側壁部185には、タンク17の位置変化部174及びガイドレール177に係合する第1係合部186が設けられる。
【0047】
第1係合部186は、第2側壁部185から蓋18の幅方向に突出した部分である。第1係合部186は、側面視の形状が概ね位置変化部174の側面視の形状に対応している。このため、第1係合部186は、蓋18がタンク17の第1開口部172に嵌め合わされているときには、位置変化部174に係合した状態になる。
【0048】
第2前壁部187は、集水部183の前面側の端部から立ち上げられた壁面状の部分である。第2前壁部187は、第2側壁部185と連続して形成されている。第2前壁部187には、タンク17の第1係合孔176に係合する第2係合部188が設けられる。
【0049】
第2係合部188は、第2前壁部187から蓋18の外方向に突出した爪状の部分である。第2係合部188の位置は、蓋18がタンク17の第1開口部172に嵌め合わされているときの、第1係合孔176の位置に対応している。このため、第2係合部188は、蓋18が第1開口部172に嵌め合わされているときには、第1係合孔176に係合した状態になる。
【0050】
給水部189は、蓋18の後側の端部に設けられる。給水部189は、蓋18の天面181とその裏側とを連通させる孔である。図2に示すように、給水部189は、蓋18を取り付けられたタンク17を冷風扇1に搭載した状態において、冷風扇1の背面(後方)側を向く位置に設けられる。給水部189には、孔を塞ぐためのキャップ24が設けられる。
【0051】
給水部189は、一般的な水道用のホースを挿入可能な開口径を有している。このため、給水部189は、タンク17を冷風扇1から取り出すことなく、給水を可能にしている。また、給水部189は、ホースを挿入したままにすることで、継続的なタンク17への給水も可能にしている。
【0052】
第3係合部180は、蓋18の後端付近で裏面方向に突出した爪状の部分である。第3係合部180の位置は、蓋18がタンク17の第1開口部172に嵌め合わされているときの、第2係合孔178位置に対応している。このため、第3係合部180は、蓋18が第1開口部172に嵌め合わされているときには、第2係合孔178に係合した状態になる。
【0053】
[吸水部材からタンクへの流路]
図7は、図4の断面図の部分拡大図である。図7を用いて、吸水部材15から漏出する水がタンク17に還流する流路について説明する。受水トレイ19は、吸水部材15の下方、具体的には鉛直方向における吸水部材15とタンク17との間に設けられる。受水トレイ19は、吸水部材15から漏出した水を受けて、第3開口部191から水を下方の蓋18に流す受水部として機能する。
【0054】
受水トレイ19の第3開口部191は、水平方向の位置が、蓋18の第2開口部184の鉛直方向上方とは異なる位置に設けられる。第3開口部191は、例えば、第2開口部184から水平方向に距離Lだけ装置後方に離れた位置に設けられる。
【0055】
以下の説明において、図4及び図7に示すように、蓋18が、吸水部材15の下方に搭載されているタンク17の第1開口部172を覆うとき、このような蓋18の位置を第1位置という。また、タンク17が吸水部材15の下方に搭載されている状態で、蓋18のみがタンク17の第1開口部172から離れて冷風扇1の装置後方(送風口12とは反対側)に突出するとき、このような蓋18の位置を第2位置という。
【0056】
第2開口部184は、吸水部材15の鉛直方向下方とは異なる位置に設けられる。つまり、冷風扇1では、蓋18が第1位置にあるときに、吸水部材15の下方から漏出する水が、受水トレイ19の第3開口部191から、蓋18の案内部182及び第2開口部184を経由してタンク17に流れる。このため、冷風扇1において、吸水部材15の下方から漏出する水が、直接的にタンク17内の水面に落ちることがない。
【0057】
したがって、冷風扇1では、吸水部材15の下方から漏出する水がタンク17の内部の水面に流入することによる騒音を低減することができる。
【0058】
[タンクへの給水]
次に、蓋18を用いて行う、冷風扇1に搭載されているタンク17への給水について説明する。
【0059】
[蓋の動作]
図8は、蓋18の側面の第1係合部186とタンクの位置変化部174の段差とが係合した状態を示す冷風扇1の側面図である。図8を用いて、蓋18を第1位置から第2位置に移動させるときの動作について説明する。作業者は、蓋18をタンク17の第1開口部172に対する位置を第1位置から第2位置に移動させるとき、ユーザは、蓋18の後端寄りにある第3係合部180とタンク17の第2係合孔178との係合を解く。上記係合を解いた後、ユーザは、装置後方の案内部182の後端付近を手前に引く。そうすると、蓋18は、第2係合部188とタンク17の第1係合孔176との係合が解かれる。上記係合が解かれると、蓋18は、装置後方に移動する。
【0060】
蓋18が装置後方に移動すると、蓋18の第1係合部186は、タンク17の位置変化部174に嵌まり合う状態から解かれる。第1係合部186は、位置変化部174により鉛直方向(高さ方向)の位置が変化しながら装置後方のガイドレール177に向かう。このとき、蓋18は、第1係合部186とタンク17の位置変化部174それぞれの形状により、わずかに案内部182寄りの端部が斜め上向きになって略平行に装置後方へ移動する。
【0061】
ガイドレール177の位置に移動した第1係合部186は、ガイドレール177と係合しながら第2位置まで装置後方に移動する。
【0062】
タンク17の位置変化部174及び蓋18の第1係合部186それぞれの形状により、冷風扇1では、蓋18の位置を第1位置から第2位置に移動させる際に、スムーズに略平行方向へ移動させることができる。このため、冷風扇1では、このようなタンク17及び蓋18の形状により、タンク17の上部の空間が狭い場合でも、蓋18をスムーズに第1位置から第2位置に移動させることができる。
【0063】
図9は、蓋18を第2位置に移動させた状態を示す冷風扇1の断面図である。また、図10は、図9の断面図の部分拡大図である。図9及び図10に示すように、蓋18は、第1開口部172を覆う第1位置と、第1位置から第1開口部172に沿って離れる第2位置との間を相互に移動可能である。蓋18は、タンク17の第1側壁部173に設けられる位置変化部174とガイドレール177とにより、第1位置から略平行に第2位置に移動することができる。
【0064】
蓋18が第2位置に位置したとき、案内部182の部分が冷風扇1の装置後方から突出している。給水を行う作業者は、水を案内部182の上方からタンク17に流入させることができる。
【0065】
以上説明したように、冷風扇1は、蓋18が第1開口部172を覆う第1位置と第1位置から離れる第2位置との間を相互に第1開口部に沿って移動可能であるため、水の補給を容易に行うことができる。
【0066】
また、冷風扇1は、タンク17の上部において、蓋18と受水トレイ19とが近接して配置される。このため、冷風扇1では、蓋18を第2位置に移動させた状態で蓋18の案内部182寄りの端部に下方向の荷重が加わっても、受水トレイ19の下面が蓋18の天面に接するため、蓋18が上方向に持ち上がりにくい。つまり、冷風扇1では、例えば給水時に蓋18の上部に給水用のポリタンクの重さが加わったとしても、蓋18の反転を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 :冷風扇
12 :送風口
13 :操作盤
14 :ベース部
15 :吸水部材
16 :送風部
17 :タンク
18 :蓋
19 :受水トレイ
21 :ポンプ
22 :供給ノズル
23 :水フィルタ
24 :キャップ
111 :正面パネル
112 :上面パネル
113 :側面パネル
114 :側面パネル
141 :キャスタ
151 :フィルタ
161 :モータ
162 :プロペラ
163 :シュラウド
164 :ルーバ部
171 :タンク本体
172 :第1開口部
173 :第1側壁部
174 :位置変化部
175 :第1前壁部
176 :第1係合孔
177 :ガイドレール
178 :第2係合孔
180 :第3係合部
181 :天面
182 :案内部
183 :集水部
184 :第2開口部
185 :第2側壁部
186 :第1係合部
187 :第2前壁部
188 :第2係合部
189 :給水部
191 :第3開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10