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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/42 20060101AFI20220113BHJP
   B60N 2/14 20060101ALI20220113BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20220113BHJP
   B60R 22/20 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B60N2/42
B60N2/14
B60N2/06
B60R22/20 103
B60R22/20 108
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017120601
(22)【出願日】2017-06-20
(65)【公開番号】P2019006152
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 仁一
(72)【発明者】
【氏名】新妻 健一
(72)【発明者】
【氏名】小澤 英俊
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-097780(JP,A)
【文献】特開2009-220644(JP,A)
【文献】特開2015-80950(JP,A)
【文献】特公平7-10658(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
B60R 22/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物のフロアに設けられ、略鉛直方向に延びる回動軸線を中心としてシート本体を回動可能に支持する回動装置と、
前記フロアに設けられ、シートベルトのバックルを前記フロアに対して移動可能に支持する移動装置とを有し、
前記回動装置は、回動を規制するロック状態と回動を可能にするロック解除状態とになり、
前記移動装置は、移動を規制するロック状態と移動を可能にするロック解除状態とになり、
前記移動装置は、前記回動装置の前記回動軸線を中心とした円弧軌跡に沿って前記フロアに対して変位可能であることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記回動装置がロック状態のときに前記移動装置がロック状態になり、前記回動装置がロック解除状態のときに前記移動装置がロック解除状態になることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記回動装置及び前記移動装置を操作するための共通の操作入力装置を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記操作入力装置は、前記回動装置及び前記移動装置にコントロールケーブルを介して接続されたレバーであることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記移動装置は、前記フロアに設けられたレールと、前記レールに変位可能に設けられ、前記バックルが取り付けられたスライダと、前記レールに対して前記スライダを選択的に固定するロック部材とを有することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記スライダは、前記シート本体又は前記回動装置の前記シート本体と一体に回動する部分に連結されていることを特徴とする請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記スライダと前記回動装置とは駆動装置を介して連結され、
前記駆動装置は、前記回動装置の回動角に対して所定の比率の回動角で前記スライダを駆動することを特徴とする請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記スライダは、前記回動装置の前記回動軸線を中心とした円弧軌跡に沿った円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
略鉛直方向に延びる軸線を中心として自動車のフロアに回動可能に設けられたシートが公知である(例えば、特許文献1)。このシートは、シートの回動位置によって、乗員同士の会話や休憩、景色の観賞に適した様々なシートアレンジを実現することができる。このシートを自動運転車両に適用すると、運転席も自動運転中に様々なシートアレンジを取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-97780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートを回動可能にする場合、シートが回動してもシートベルトのバックルがシートの回動位置に応じた適正な位置に配置されるように、バックルもフロアに対して移動可能にする必要がある。バックルを移動可能にする1つの方法として、シートの回動部位にバックルを設け、バックルをシートと一体に回動させる方法がある。しかし、この方法では衝突時等に乗員に生じる慣性力がシートベルト及びシートを介してシートの回動軸に加わるため、回動軸の剛性を高める必要があり、シートのサイズや重量が増加する虞がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、回動可能な乗物用シートにおいて、回動軸に加わる荷重を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、乗物のフロア(2)に設けられ、略鉛直方向に延びる回動軸線(A)を中心としてシート本体(4)を回動可能に支持する回動装置(3)と、前記フロアに設けられ、シートベルト(25)のバックル(31)を前記フロアに対して移動可能に支持する移動装置(40)とを有し、前記回動装置は、回動を規制するロック状態と回動を可能にするロック解除状態とになり、前記移動装置は、移動を規制するロック状態と移動を可能にするロック解除状態とになることを特徴とする乗物用シート(1)を提供する。
【0007】
この構成によれば、衝突時等に乗員に生じる慣性力は、シートベルトからバックル及び移動装置を介してフロアに伝達されるため、回動装置の回動軸に加わる荷重を低減することができる。また、シート本体の回動に応じて、バックルの位置を変更することができる。バックルの位置は固定することができるため、荷重が加わったときの移動を防止することができる。
【0008】
また、上記の態様において、前記回動装置がロック状態のときに前記移動装置がロック状態になり、前記回動装置がロック解除状態のときに前記移動装置がロック解除状態になるとよい。
【0009】
この態様によれば、回動装置をロック解除状態になると移動装置がロック解除状態になるため、シート本体の回動に応じたバックル位置の変更が容易になる。
【0010】
また、上記の態様において、前記回動装置及び前記移動装置を操作するための共通の操作入力装置(15)を有するとよい。
【0011】
この態様によれば、操作入力装置の操作によって、回動装置及び移動装置を共にロック解除状態にすることができるため、操作が容易になる。
【0012】
また、上記の態様において、前記操作入力装置は、前記回動装置及び前記移動装置にコントロールケーブル(14、55)を介して接続されたレバー(59)であるとよい。
【0013】
この態様によれば、レバーの操作によって、回動装置及び移動装置を共にロック解除状態にすることができる。
【0014】
また、上記の態様において、前記移動装置は、前記回動装置の前記回動軸線を中心とした円弧軌跡に沿って前記フロアに対して変位可能であるとよい。
【0015】
この態様によれば、シート本体の回動に応じてバックルを適切な位置に配置することができる。
【0016】
また、上記の態様において、前記移動装置は、前記フロアに設けられたレール(41)と、前記レールに変位可能に設けられ、前記バックルが取り付けられたスライダ(42)と、前記レールに対して前記スライダを選択的に固定するロック部材(51)とを有するとよい。
【0017】
この態様によれば、移動装置を簡素な構造にすることができる。
【0018】
また、上記の態様において、前記スライダは、前記シート本体又は前記回動装置の前記シート本体と一体に回動する部分に連結されているとよい。
【0019】
この態様によれば、シート本体の回動に追従してバックルを自動的に移動させることができる。
【0020】
また、上記の態様において、前記スライダと前記回動装置とは駆動装置(81)を介して連結され、前記駆動装置が、前記回動装置の回動角に対して所定の比率の回動角で前記スライダを駆動するとよい。
【0021】
この態様によれば、シート本体の回動に追従してバックルを自動的に移動させることができる。
【0022】
また、上記の態様において、前記スライダは、前記回動装置の前記回動軸線を中心とした円弧軌跡に沿った円弧形状に形成されているとよい。
【0023】
この態様によれば、スライダとレールとの係合範囲を広くすることができ、移動装置の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、バックルが移動装置によってフロアに対して移動可能に支持されているため、シート本体の回動に応じて、バックルの位置を変更することができる。バックルの位置は固定することができるため、荷重が加わったときの移動を防止することができる。
【0025】
本発明の一態様において、回動装置がロック状態のときに移動装置がロック状態になり、回動装置がロック解除状態のときに移動装置がロック解除状態になる構成にすることによって、シート本体の回動に応じたバックル位置の変更が容易になる。
【0026】
本発明の一態様において、回動装置及び前記移動装置を操作するための共通の操作入力装置を有する構成にすることによって、回動装置及び移動装置を共にロック解除状態にすることができるため、操作が容易になる。
【0027】
本発明の一態様において、レバーが回動装置及び移動装置にコントロールケーブルを介して接続された構成にすることよって、レバーの操作によって回動装置及び移動装置を共にロック解除状態にすることができる。
【0028】
本発明の一態様において、移動装置が回動装置の回動軸線を中心とした円弧軌跡に沿ってフロアに対して変位可能である構成にすることによって、シート本体の回動に応じてバックルを適切な位置に配置することができる。
【0029】
本発明の一態様において、移動装置がレール、スライダ、及びロック部材を有する構成にすることによって、移動装置を簡素な構造にすることができる。
【0030】
本発明の一態様において、スライダがシート本体又は回動装置のシート本体と一体に回動する部分に連結された構成にすることによって、シート本体の回動に追従してバックルを自動的に移動させることができる。
【0031】
本発明の一態様において、回動装置の回動角に対して所定の比率の回動角でスライダを駆動する駆動装置を設けた構成にすることによって、シート本体の回動に追従してバックルを自動的に移動させることができる。
【0032】
本発明の一態様において、スライダを回動装置の回動軸線を中心とした円弧軌跡に沿った円弧形状に形成した構成にすることによって、スライダとレールとの係合範囲を広くすることができ、移動装置の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施形態に係る車両用シートの斜視図
図2】回動装置の横断面図
図3】移動装置の横断面図
図4】車両シートの構成を示す説明図
図5】第2実施形態に係る車両用シートの斜視図
図6】第3実施形態に係る車両シートの構成を示す説明図
図7】第4実施形態に係る車両用シートの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の乗物用シートを自動車用のシートに適用した実施形態について図面を参照して説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1に示すように、シート1は、車両のフロア2の上面に設けられた回動装置3と、回動装置3の上部に設けられたシート本体4とを有する。シート1は、運転席、助手席、後部座席のいずれであってもよい。本実施形態では、シート1は車室の右前部に配置される運転席として構成されている。
【0036】
図1及び図2に示すように、フロア2は、略水平方向に延在している。回動装置3は、下回動部材6と、下回動部材6に略鉛直方向に延びる回動軸線Aを中心として回動可能に設けられた上回動部材7とを有する。下回動部材6及び上回動部材7は、面が上下を向く板状に形成されている。回動装置3の回動軸線Aは、平面視で回動装置3の略中央に配置されている。下回動部材6と上回動部材7とは、それぞれの外周縁において互いに回動可能に係合していることが好ましい。下回動部材6は、フロア2の上面に結合されている。
【0037】
回動装置3は、下回動部材6に対する上回動部材7の回動を規制する第1ロック部材11を有する。第1ロック部材11は、下回動部材6及び上回動部材7の一方に設けられ、下回動部材6及び上回動部材7の他方に係合するロック位置と、下回動部材6及び上回動部材7の他方から離れたロック解除位置との間で変位可能になっている。
【0038】
本実施形態では、先端に爪部を有する第1ロック部材11が上回動部材7の外周部に回動可能に設けられ、下回動部材6の外周部に第1ロック部材11の爪部と係合可能な係止孔12が設けられている。第1ロック部材11の爪部が係止孔12に突入することによって、第1ロック部材11は下回動部材6に対する上回動部材7の回動を規制する。
【0039】
第1ロック部材11は、第1ロック部材11と上回動部材7との間に設けられた付勢部材(不図示)によってロック位置に付勢され、通常時にはロック位置に位置する。図4に示すように、また、第1ロック部材11には、第1コントロールケーブル14の一端が結合されている。第1コントロールケーブル14は、一端において第1ロック部材11に結合し、他端において後述する操作入力装置15に結合されている。
【0040】
図1に示すように、シート本体4は、乗員の臀部及び大腿部を下方から支持する着座部をなすシートクッション21と、乗員の背部を後方から支持する背もたれ部をなすシートバック22とを有する。シートクッション21及びシートバック22は、骨格をなすフレームと、フレームに支持されたクッションパッドと、フレーム及びクッションパッドを覆う表皮材とを有する。シートクッション21の下部は、上回動部材7の上部に結合されている。
【0041】
シートバック22の内部には、シートベルト25を巻き取るベルトリトラクタ24が設けられている。シートバック22の上端には、シートベルト25の通路を画定するベルトガイド26が設けられている。シートベルト25は、シートバック22の内部をベルトリトラクタ24から上方に延び、ベルトガイド26を通過して、シートベルト25の前面側に延びている。シートベルト25の一端は、シートクッション21に結合されたベルトアンカー27に結合されている。シートベルト25におけるベルトガイド26とベルトアンカー27との間の部分には、タングプレート28が設けられている。シートベルト25はタングプレート28に形成された貫通孔を通過し、タングプレート28はシートベルト25の長手方向に移動可能になっている。ベルトガイド26及びベルトアンカー27は、シート本体4に対して幅方向における一側に設けられている。
【0042】
フロア2には、バックル31をフロア2に対して移動可能に支持する移動装置40が設けられている。バックル31は、タングプレート28が挿入されるスロットを有し、タングプレート28と着脱可能に結合する。バックル31及び移動装置40は、シート本体4に対してベルトガイド26が設けられた側と相反する側に配置されている。
【0043】
図3に示すように、移動装置40は、フロア2に設けられたレール41と、レール41に変位可能に設けられたスライダ42とを有する。レール41は、回動装置3の回動軸線Aを中心とした円弧形状に延びている。スライダ42は、レール41の長手方向に沿ってスライド移動可能にレール41に支持されている。そのため、スライダ42は、回動装置3の回動軸線Aを中心とした円弧軌跡に沿ってフロア2に対して変位可能になっている。
【0044】
レール41は、フロア2に結合されたレール下壁44と、レール下壁44の両側縁から上方に突出する一対のレール側壁45と、各レール側壁45の上端のそれぞれから互いに近づく側に突出した一対のレール上壁46とを有する。一対のレール上壁46間にはスリット47が形成されている。
【0045】
スライダ42は、スリット47を通過し、一対のレール上壁46の縁部に係止されている。スライダ42は、平面視において回動軸線Aを中心とした円弧形状に形成され、同じく円弧形状に形成されたレール41の内部に挿入可能になっている。スライダ42は、レール上壁46に当接することによって上下への移動が規制される一方、スリット47内を移動することによってレール41の延在方向にスライド移動可能になっている。
【0046】
移動装置40は、レール41に対して前記スライダ42を選択的に固定する第2ロック部材51を有する。第2ロック部材51は、レール41及びスライダ42の一方に設けられ、レール41及びスライダ42の他方に係合するロック位置と、レール41及びスライダ42の他方から離れたロック解除位置との間で、変位可能になっている。
【0047】
本実施形態では、スライダ42のレール41から突出した部分に爪部51Aを備えた第2ロック部材51が回動可能に設けられ、レール側壁45に第2ロック部材51と係合可能な係止孔52が設けられている。ロック位置において爪部51Aが係止孔52に突入することによって、第2ロック部材51はレール41に対するスライダ42の回動を規制する。
【0048】
第2ロック部材51は、第2ロック部材51とスライダ42との間に設けられた付勢部材によってロック位置に向けて付勢され、通常時にはロック位置に位置する。図4に示すように、第2ロック部材51には、第2コントロールケーブル55の一端が結合されている。第2コントロールケーブル55は、一端において第2ロック部材51に結合し、他端において操作入力装置15に結合されている。他の実施形態では、第2ロック部材51は、レール41の内面に取り付けられ、ロック位置においてスライダ42に係合し、ロック解除位置においてスライダ42から離れる構成としてもよい。
【0049】
図1に示すように、スライダ42のレール41から上方に突出した部分には、上方に延びるアーム57が設けられ、アーム57の先端にバックル31が結合されている。
【0050】
操作入力装置15は、乗員の操作を受ける部材であって、例えば回動可能なレバーや引っ張り操作可能なストラップであってよい。本実施形態では、操作入力装置15は、シートクッション21の側部に回動可能に設けられたレバー59である。レバー59は、初期位置と操作位置との間で回動可能であり、図示しない付勢部材によって初期位置に付勢されている。レバー59が初期位置にあるとき、第1及び第2コントロールケーブル14、55は弛緩し、第1及び第2ロック部材11、51はロック位置にある。一方、レバー59が操作位置にあるとき、第1及び第2コントロールケーブル14、55は引っ張られ、第1及び第2ロック部材11、51はロック解除位置にある。
【0051】
以上のように構成したシート1では、レバー59が初期位置にある通常状態において、回動装置3及び移動装置40がそれぞれロック状態になり、フロア2に対するシート本体4の回動及びバックル31の移動が規制される。このようにバックル31の移動が規制されると、車両の衝突等によって乗員からシートベルト25に荷重が加わる場合においてバックル31の移動が阻止され、シートベルト25は乗員を適切に支持することができる。
【0052】
バックル31が、回動装置3の軸部(下回動部材6及び上回動部材7の係合部)を介さずに、移動装置40を介してフロア2に設けられているため、衝突時等に乗員に生じる慣性力がシートベルト25及び移動装置40を介してフロア2に伝達され、回動装置3の軸部に加わる荷重を抑制することができる。これにより、回動装置3に要求される剛性が低減され、回動装置3のサイズ及び重量を低減することが可能になる。
【0053】
乗員がレバー59を初期位置から操作位置に操作することによって、回動装置3がロック解除状態になってシート本体4がフロア2に対して回動可能になると共に、移動装置40がロック解除状態になってバックル31がフロア2に対して移動可能になる。この状態では、乗員はシート本体4を任意の回動位置に回動させることができると共に、シート本体4の回動位置に合わせてバックル31の位置を調節することができる。
【0054】
乗員は1つのレバー59を操作することによって、回動装置3及び移動装置40をロック状態及びロック解除状態に共に切り替えることができるため、シート本体4の回動に応じたバックル31位置の変更が容易になる。
【0055】
スライダ42の移動経路を定めるレール41が回動装置3の回動軸線Aを中心とした円弧形状に形成されているため、バックル31は回動軸線Aを中心とした円弧軌跡に沿って移動することができる。そのため、シート本体4の回動に応じてバックル31を適切な位置に配置することができる。
【0056】
(第2実施形態)
図5に示すように、第2実施形態に係るシート70は、第1実施形態に係るシート1の構成に加えて、スライダ42と、シート本体4又は回動装置3のシート本体4と一体に回動する部分とを連結する連結部材71を有する。シート70の他の構成は、第1実施形態に係るシート1と同様である。
【0057】
第2実施形態に係るシート70では、連結部材71は上回動部材7とスライダ42とに結合されている。連結部材71によって、シート本体4が回動するときには、シート本体4の回動に応じてスライダ42が自動的に移動する。これにより、乗員はバックル31の位置を手動で調節する必要がなく、シート本体4の回動操作が容易になる。
【0058】
(第3実施形態)
図6に示すように、第3実施形態に係るシート80は、第1実施形態に係るシート1の構成に加えて、スライダ42と回動装置3の上回動部材7とを連結する駆動装置81が設けられている。シート80の他の構成は、第1実施形態に係るシート1と同様である。
【0059】
第3実施形態に係るシート1では、駆動装置81は、回動装置3の回動角に対して所定の比率の回動角でスライダ42を駆動する。駆動装置81は、例えばギヤ列によって構成されている。駆動装置81は、上回動部材7の外周部に形成された回動軸線Aを中心とする第1歯車82と、フロア2に回転可能に支持され、第1歯車82に噛み合う第2歯車83と、フロア2に回転可能に支持され、第2歯車83に噛み合う第3歯車84と、スライダ42の内周部に形成され、第3歯車84と噛み合う第4歯車85とを有する。第4歯車85は、回動軸線Aを中心と円弧形状の内周側に形成されている。この構成によれば、シート本体4の回動に応じてバックル31を所定の比率で自動的に移動させることができる。
【0060】
駆動装置81は、ギヤ列に代えて、リンク機構にしてもよい。
【0061】
(第4実施形態)
図7に示すように、第4実施形態に係るシート90は、第1実施形態に係るシート1の構成に加えて、フロア2と回動装置3との間にスライド装置91を有する。また、第4実施形態に係るシート90は、第1実施形態に係るシート1の構成に比べて、移動装置40のレール41がフロア2に代えてスライド装置91の回動装置3側の部材に設けられている点が異なる。シート90の他の構成は、第1実施形態に係るシート1と同様である。
【0062】
スライド装置91は、フロア2に設けられ、前後に延びる左右一対のロアレール92と、ロアレール92のそれぞれにスライド移動可能に設けられた左右一対のアッパレール93と、左右にアッパレール93に結合されたベース部材94とを有する。ベース部材94は、面が上下を向く板状に形成され、下面においてアッパレール93に結合され、上面において下回動部材6に結合されている。ベース部材94は、その側部に下回動部材6に対して側方に張り出した延長部95を有する。延長部95の上面には、移動装置40のレール41が結合されている。
【0063】
回動装置3とフロア2との間にスライド装置91を設けたため、シート本体4及びバックル31はフロア2に対してスライドすることができる。回動装置3及び移動装置40が共にベース部材94に設けられているため、スライド装置91によってシート本体4が移動しても回動軸線Aに対するレール41の相対位置は変化しない。そのため、シート本体4の回動位置に応じてバックル31を適切な位置に配置することができる。
【0064】
第4実施形態に係るシート90において、上回動部材7とスライダ42とを連結する連結部材71を設けてもよい。
【0065】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第1実施形態に係るシート1の変形例として、操作入力装置15を2つ設け、第1及び第2コントロールケーブル14、55のそれぞれに1つずつ操作入力装置15を設けてもよい。このように構成すると、回動装置3及び移動装置40を互いに独立してロック状態及びロック解除状態の間で切り替えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1、70、80、90 :シート
2 :フロア
3 :回動装置
4 :シート本体
6 :下回動部材
7 :上回動部材
11 :第1ロック部材
14 :第1コントロールケーブル
15 :操作入力装置
21 :シートクッション
22 :シートバック
25 :シートベルト
31 :バックル
40 :移動装置
41 :レール
42 :スライダ
51 :第2ロック部材
55 :第2コントロールケーブル
57 :アーム
59 :レバー
71 :連結部材
81 :駆動装置
A :回動軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7