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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20220113BHJP
   C23C 14/40 20060101ALI20220113BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20220113BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220113BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220113BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C14/40
C23C16/509
H01L21/302 101C
H01L21/31 C
H01L21/205
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018040222
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019153560
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】安東 靖典
(72)【発明者】
【氏名】久保田 清
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207322(JP,A)
【文献】特開2005-149887(JP,A)
【文献】特開平11-233289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
C23C 14/40
C23C 16/509
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する真空容器と、前記真空容器内にプラズマを発生させるための長尺状のアンテナと、前記アンテナに高周波電流を供給する高周波電源とを具備し、前記高周波電流に対するリアクタンスを変更可能に構成されたプラズマ処理装置であって、
前記アンテナの給電側端部に流れる電流又は当該給電側端部に印加される電圧を検出する第1検出部と、
前記アンテナの前記給電側端部とは反対側の接地側端部に流れる電流又は当該接地側端部に印加される電圧を検出する第2検出部とをさらに具備する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記アンテナの前記接地側端部が、可変コンデンサを介して接地されている、請求項1記のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1検出部により検出された第1検出信号を取得する第1取得部と、
前記第2検出部により検出された第2検出信号を取得する第2取得部と、
前記第1検出信号が示す第1検出値及び前記第2検出信号が示す第2検出値の差分が所定の範囲内に収まるように、前記可変コンデンサの容量を制御するコンデンサ制御部とを具備する、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記アンテナが、前記真空容器の対向する側壁それぞれを貫通するとともに、前記給電側端部が及び前記接地側端部が前記真空容器の外部に位置しており、
前記給電側端部に前記第1検出部が設けられており、
前記接地側端部に前記第2検出部が設けられている、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
複数の前記アンテナが、前記高周波電源に並列接続されており、
前記各アンテナと前記高周波電源との間それぞれに第1の可変コンデンサが設けられるとともに、前記各アンテナの接地側端部それぞれに第2の可変コンデンサが接続されており、
前記第1検出部が、前記第1の可変コンデンサよりも前記アンテナ側それぞれに設けられ、
前記第2検出部が、前記第2の可変コンデンサよりも前記アンテナ側それぞれに設けられている、請求項1乃至4のうち何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
少なくとも一対の前記アンテナが、前記真空容器の対向する側壁それぞれを貫通するとともに、前記各アンテナの同じ側の端部の間に介在する接続導体によって互いに直列接続されており、
前記接続導体が、前記一対のアンテナに電気的に接続される第3の可変コンデンサを有し、
前記第1検出部及び前記第2検出部が、前記一対のアンテナそれぞれに対して設けられている、請求項1乃至5のうち何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記アンテナは、内部に冷却液が流れる流路を有しており、
前記接続導体が、
前記第3の可変コンデンサと一方のアンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部から流出する前記冷却液を前記第3の可変コンデンサに導く第1の接続部と、
前記第3の可変コンデンサと他方のアンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部に前記第3の可変コンデンサを通過した前記冷却液を導く第2の接続部とを有し、
前記一方のアンテナに対して設けられた前記第2検出部が、前記第1の接続部に取り付けられており、
前記他方のアンテナに対して設けられた前記第1検出部が、前記第2の接続部に取り付けられている、請求項6記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記アンテナは、内部に冷却液が流れる流路を有しており、
前記接続導体が、
前記第3の可変コンデンサと一方のアンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部から流出する前記冷却液を前記第3の可変コンデンサに導く第1の接続部と、
前記第3の可変コンデンサと他方のアンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部に前記第3の可変コンデンサを通過した前記冷却液を導く第2の接続部とを有し、
前記一方のアンテナに対して設けられた前記第2検出部、及び、前記他方のアンテナに対して設けられた前記第1検出部が、前記第3の可変コンデンサに取り付けられている、請求項6記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記冷却液が前記第3の可変コンデンサの誘電体である、請求項7又は8に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電流が流されて誘導結合型のプラズマを発生されるためのアンテナを備えたプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のプラズマ処理装置としては、特許文献1に示すように、複数本のアンテナを真空容器内の基板の四方に配置して、これらのアンテナに高周波電流を流すことで誘導結合型のプラズマ(略称ICP)を発生させて基板をプラズマ処理するように構成されたものがある。
【0003】
より詳細に説明すると、このプラズマ処理装置は、複数のアンテナそれぞれに接続された可変インピーダンス素子と、複数のアンテナそれぞれの給電側に設けられたピックアップコイル又はキャパシタとをさらに備えている。そして、ピックアップコイル又はキャパシタからの出力値に基づいて可変インピーダンス素子のインピーダンス値をフィードバック制御することで、それぞれのアンテナの周囲に発生するプラズマの密度を所定範囲内に制御して、真空容器に発生させるプラズマ密度の空間的な均一化を図っている。
【0004】
ところが、基板が大型なものになると、特許文献1のプラズマ処理装置に用いられているような比較的短尺なアンテナを基板の四方に配置したのでは対応することができず、この場合には特許文献2に示すような長尺状のアンテナが用いられる。
【0005】
このように長尺状のアンテナを用いた場合、アンテナのインピーダンスが大きくなるので、アンテナの給電側端部とその反対側の端部(接地側端部)とでは大きな電位差が生じる。従って、長尺状のアンテナに対して、上述したように給電側に設けたピックアップコイルやキャパシタの出力値に基づき可変インピーダンスをフィードバック制御したとしても、アンテナの長手方向に沿ったプラズマ密度を均一化することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-228354号公報
【文献】特開2016-138598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、長尺状のアンテナを用いて基板の大型化に対応することができるようにしつつ、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係るプラズマ処理装置は、基板を収容する真空容器と、前記真空容器内にプラズマを発生させるための長尺状のアンテナと、前記アンテナに高周波電流を供給する高周波電源とを具備し、前記高周波電流に対するリアクタンスを変更可能に構成されたプラズマ処理装置であって、前記アンテナの給電側端部に流れる電流又は当該給電側端部に印加される電圧を検出する第1検出部と、前記アンテナの前記給電側端部とは反対側の接地側端部に流れる電流又は当該接地側端部に印加される電圧を検出する第2検出部とをさらに具備することを特徴とするものである。
【0009】
このようなプラズマ処理装置であれば、アンテナの両端部それぞれにおいて検出される電流値や電圧値を考慮しながら、高周波電流に対するリアクタンスを変更することができる。
これにより、例えばアンテナの両端部において検出される電流値や電圧値が互いに近い値となるようにリアクタンスを調整することで、アンテナに流れる電流を長手方向に沿って可及的に均一にすることができる。
その結果、長尺状のアンテナを用いて基板の大型化に対応できるようにしつつ、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることが可能となる。
【0010】
高周波電流に対するリアクタンスを変更可能にするためには、例えばアンテナに容量が異なる複数のコンデンサを並列に接続しておき、これらのコンデンサのうちアンテナに接続されるものを切り替える方法を挙げることができるが、かかる構成では複数のコンデンサが必要であり、装置が大掛かりなる等の問題が生じる。
そこで、簡単な構成で高周波電流に対するリアクタンスを変更可能にするためには、前記アンテナの前記接地側端部が、可変コンデンサを介して接地されていることが好ましい。
このような構成であれば、高周波電流に対するリアクタンスは、簡単に言えば、アンテナの誘導性リアクタンスから可変コンデンサの容量性リアクタンスを差し引いたものとなるので、可変コンデンサの容量を変更することにより、高周波電流に対するリアクタンスを簡単に変更することができる。
【0011】
より具体的な構成としては、前記第1検出部により検出された第1検出信号を取得する第1取得部と、前記第2検出部により検出された第2検出信号を取得する第2取得部と、前記第1検出信号が示す第1検出値及び前記第2検出信号が示す第2検出値の差分が所定の範囲内に収まるように、前記可変コンデンサの容量を制御するコンデンサ制御部とを具備する構成が挙げられる。
このような構成であれば、アンテナの両端部において検出される電流値や電圧値の差分をゼロ或いは小さい値にすることができるので、アンテナに流れる電流を長手方向に沿って可及的に均一にすることができる。
【0012】
前記アンテナが、前記真空容器の対向する側壁それぞれを貫通するとともに、前記給電側端部が及び前記接地側端部が前記真空容器の外部に位置しており、前記給電側端部に前記第1検出部が設けられており、前記接地側端部に前記第2検出部が設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、第1検出部や第2検出部を真空容器の外部に配置することができ、メンテナンスや校正を簡単に行うことができる。
【0013】
複数の前記アンテナが、前記高周波電源に並列接続されており、前記各アンテナと前記高周波電源との間それぞれに第1の可変コンデンサが設けられるとともに、前記各アンテナの接地側端部それぞれに第2の可変コンデンサが接続されており、前記第1検出部が、前記第1の可変コンデンサよりも前記アンテナ側それぞれに設けられ、前記第2検出部が、前記第2の可変コンデンサよりも前記アンテナ側それぞれに設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、各第1の可変コンデンサの容量を変更することで、各アンテナに対して供給される高周波電流の分配比を調整することができ、各第2の可変コンデンサの容量を変更することで、各アンテナを流れる高周波電流に対するリアクタンスを調整することができる。これにより、高周波電流を各アンテナに均等に分配しつつ、各アンテナに流れる高周波電流を長手方向に沿って均一化することができ、空間的に均一なプラズマを発生させることが可能となる。
【0014】
少なくとも一対の前記アンテナが、前記真空容器の対向する側壁それぞれを貫通するとともに、前記各アンテナの同じ側の端部の間に介在する接続導体によって互いに直列接続されており、前記接続導体が、前記一対のアンテナに電気的に接続される第3の可変コンデンサを有し、前記第1検出部及び前記第2検出部が、前記一対のアンテナそれぞれに対して設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、第1検出部及び第2検出部が、一対のアンテナそれぞれに対して設けられているので、各アンテナそれぞれの両端部において検出される電流値や電圧値を考慮しながら、高周波電流に対するリアクタンスを変更することができる。具体的には、接続導体を構成する第3の可変コンデンサの容量を変更することで、一対のアンテナのうちの上流側のアンテナを流れる高周波電流に対するリアクタンスを変更することができる。一方、下流側のアンテナを流れる高周波電流に対するリアクタンスの変更は、例えば下流側のアンテナを可変コンデンサを介して接地しておけば、この可変コンデンサの容量を変更すれば良い。
【0015】
前記アンテナは、内部に冷却液が流れる流路を有しており、前記接続導体が、前記第3の可変コンデンサと一方のアンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部から流出する前記冷却液を前記第3の可変コンデンサに導く第1の接続部と、前記第3の可変コンデンサと他方のアンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部に前記第3の可変コンデンサを通過した前記冷却液を導く第2の接続部とを有し、前記一方のアンテナに対して設けられた前記第2検出部が、前記第1の接続部に取り付けられており、前記他方のアンテナに対して設けられた前記第1検出部が、前記第2の接続部に取り付けられていることが好ましい。
このような構成であれば、第1検出部や第2検出部を冷却することができ、例えば熱変形等による検出精度の悪化を抑制することができる。
さらに、アンテナを冷却液により冷却することができるので、プラズマを安定して発生させることができる。
【0016】
第1検出部や第2検出部を冷却するための別の実施態様としては、前記アンテナは、内部に冷却液が流れる流路を有しており、前記接続導体が、前記第3の可変コンデンサと一方のアンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部から流出する前記冷却液を前記第3の可変コンデンサに導く第1の接続部と、前記第3の可変コンデンサと他方のアンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部に前記第3の可変コンデンサを通過した前記冷却液を導く第2の接続部とを有し、前記一方のアンテナに対して設けられた前記第2検出部、及び、前記他方のアンテナに対して設けられた前記第1検出部が、前記第3の可変コンデンサに取り付けられている構成を挙げることができる。
【0017】
前記冷却液が前記第3の可変コンデンサの誘電体であることが好ましい。
このような構成であれば、第3の可変コンデンサを冷却しつつその静電容量の不意の変動を抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
このように構成した本発明によれば、長尺状のアンテナを用いて基板の大型化に対応することができるようにしつつ、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示す縦断面図。
図2】同実施形態の制御装置の機能を示す機能ブロック図。
図3】同実施形態の制御用データの内容を示すグラフ。
図4】同実施形態の制御用データを求める方法を説明するための図。
図5】変形実施形態のアンテナの周辺構成を模式的に示す図。
図6】変形実施形態のアンテナの周辺構成を模式的に示す図。
図7】変形実施形態の第1検出部及び第2検出部の配置について説明する図。
図8】変形実施形態の接続導体の構成を模式的に示す図。
図9】変形実施形態の第1検出部及び第2検出部の配置について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るプラズマ処理装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
<装置構成>
本実施形態のプラズマ処理装置100は、誘導結合型のプラズマPを用いて基板Wに処理を施すものである。ここで、基板Wは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板、フレキシブルディスプレイ用のフレキシブル基板等である。また、基板Wに施す処理は、例えば、プラズマCVD法による膜形成、エッチング、アッシング、スパッタリング等である。
【0022】
なお、このプラズマ処理装置100は、プラズマCVD法によって膜形成を行う場合はプラズマCVD装置、エッチングを行う場合はプラズマエッチング装置、アッシングを行う場合はプラズマアッシング装置、スパッタリングを行う場合はプラズマスパッタリング装置とも呼ばれる。
【0023】
具体的にプラズマ処理装置100は、図1に示すように、真空排気され且つガスGが導入される真空容器2と、真空容器2内に配置された長尺状のアンテナ3と、真空容器2内に誘導結合型のプラズマPを生成するための高周波をアンテナ3に印加する高周波電源4とを備えている。なお、アンテナ3に高周波電源4から高周波を印加することによりアンテナ3には高周波電流IRが流れて、真空容器2内に誘導電界が発生して誘導結合型のプラズマPが生成される。
【0024】
真空容器2は、例えば金属製の容器であり、その内部は真空排気装置5によって真空排気される。真空容器2はこの例では電気的に接地されている。
【0025】
真空容器2内に、例えば流量調整器(図示省略)及び真空容器2の側壁に形成されたガス導入口21を経由して、ガスGが導入される。ガスGは、基板Wに施す処理内容に応じたものにすれば良い。
【0026】
また、真空容器2内には、基板Wを保持する基板ホルダ6が設けられている。この例のように、基板ホルダ6にバイアス電源7からバイアス電圧を印加するようにしても良い。バイアス電圧は、例えば負の直流電圧、負のパルス電圧等であるが、これに限られるものではない。このようなバイアス電圧によって、例えば、プラズマP中の正イオンが基板Wに入射する時のエネルギーを制御して、基板Wの表面に形成される膜の結晶化度の制御等を行うことができる。基板ホルダ6内に、基板Wを加熱するヒータ61を設けておいても良い。
【0027】
アンテナ3は、ここでは直線状のものであり、真空容器2内における基板Wの上方に、基板Wの表面に沿うように(例えば、基板Wの表面と実質的に平行に)、ここでは1本配置されている。
【0028】
アンテナ3の両端部付近は、真空容器2の相対向する側壁をそれぞれ貫通している。アンテナ3の両端部を真空容器2外へ貫通させる部分には、絶縁部材8がそれぞれ設けられている。この各絶縁部材8を、アンテナ3の両端部が貫通しており、その貫通部は例えばパッキン91によって真空シールされている。各絶縁部材8と真空容器2との間も、例えばパッキン92によって真空シールされている。なお、絶縁部材8の材質は、例えば、アルミナ等のセラミックス、石英、又はポリフェニンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチック等である。
【0029】
真空容器2の外部に位置するアンテナ3の両端部のうち、一方の端部は、高周波電源4に接続される給電側端部3aであり、他方の端部は、接地される接地側端部3bである。具体的に、給電側端部3aは、整合回路41を介して高周波電源4に接続されており、接地側端部3bは、可変コンデンサVCを介して接地されている。
【0030】
上記構成によって、高周波電源4から、整合回路41を介して、アンテナ3に高周波電流IRを流すことができ、可変コンデンサVCの容量を変更することで、高周波電流IRに対するリアクタンスを変更することができる。なお、高周波の周波数は、例えば、一般的な13.56MHzであるが、これに限られるものではない。
【0031】
さらに、アンテナ3において、真空容器2内に位置する部分は、直管状の絶縁カバー10により覆われている。この絶縁カバー10の両端部は絶縁部材8によって支持されている。なお、絶縁カバー10の材質は、例えば、石英、アルミナ、フッ素樹脂、窒化シリコン、炭化シリコン、シリコン等である。
【0032】
本実施形態のアンテナ3は、内部に冷却液CLが流通する流路3Sを有する中空構造のものである。本実施形態では、直管状をなす金属パイプ31である。金属パイプ31の材質は、例えば、銅、アルミニウム、これらの合金、ステンレス等である。
【0033】
なお、冷却液CLは、真空容器2の外部に設けられた循環流路11によりアンテナ3を流通するものであり、前記循環流路11には、冷却液CLを一定温度に調整するための熱交換器などの温調機構111と、循環流路11において冷却液CLを循環させるためのポンプなどの循環機構112とが設けられている。冷却液CLとしては、電気絶縁の観点から、高抵抗の水が好ましく、例えば純水またはそれに近い水が好ましい。その他、例えばフッ素系不活性液体などの水以外の液冷媒を用いても良い。
【0034】
然して、本実施形態のプラズマ処理装置100は、アンテナ3の給電側端部3aに流れる電流を検出する第1検出部S1と、アンテナ3の接地側端部3bに流れる電流を検出する第2検出部S2と、第1検出部S1及び第2検出部S2により得られる検出値に基づいて可変コンデンサVCを制御する制御装置Xとをさらに具備してなる。
【0035】
第1検出部S1は、給電側端部3a又はその近傍に取り付けられた例えばカレントトランス等のカレントモニタであり、給電側端部3aに流れる電流の大きさに応じた第1検出信号を制御装置Xに出力するものである。
【0036】
第2検出部S2は、接地側端部3b又はその近傍に取り付けられた例えばカレントトランス等のカレントモニタであり、接地側端部3bに流れる電流の大きさに応じた第2検出信号を制御装置Xに出力するものである。
【0037】
制御装置Xは、物理的にはCPU、メモリ、A/Dコンバータ、入出力インターフェース等を備えたコンピュータであり、前記メモリに記憶されたプログラムが実行され、各機器が協業することで、図2に示すように、第1取得部X1、第2取得部X2、制御用データ格納部X3、及びコンデンサ制御部X4としての機能を発揮するように構成されている。
以下、各部について説明する。
【0038】
第1取得部X1は、第1検出部S1からの第1検出信号を有線又は無線により取得するとともに、その第1検出信号が示す値である第1検出値をコンデンサ制御部X4に送信するものである。
【0039】
第2取得部X2は、第2検出部S2からの第2検出信号を有線又は無線により取得するとともに、その第2検出信号が示す値である第2検出値をコンデンサ制御部X4に送信するものである。
【0040】
制御用データ格納部X3は、前記メモリの所定領域に設定されており、可変コンデンサVCの容量の制御に用いられる制御用データを格納している。この制御用データは、実験等により予め求められたものであり、ここでは図3に示すように、可変コンデンサVCのリアクタンスと、第1検出値及び第2検出値の差分との関係を示すデータである。
【0041】
制御用データの求め方について一例を説明すると、例えばネットワークアナライザ等によりリアクタンスを測定した負荷を複数準備する。これらの負荷は、リアクタンスが互いに異なるものであり、図4(a)に示すように、アンテナ3の接地側に順次接続される。そして、アンテナ3の給電側端部3aに流れる給電側電流I1(第1検出値)と、アンテナ3の接地側端部3bに流れる接地側電流I2(第2検出値)とを検出し、接地側電流I2から給電側電流I1を差し引いた電流差と、そのときにアンテナ3の接地側に接続されている負荷のリアクタンスとをプロットしたものが図3に示す制御用データである。
【0042】
また、制御用データの別の求め方としては、下記の方法を挙げることができる。例えば図4(b)に示すように、アンテナ3の給電側端部3aに流れる給電側電流I1(第1検出値)と、アンテナ3の接地側端部3bに流れる接地側電流I2(第2検出値)とを検出するとともに、アンテナ3の接地側に電圧モニタVを設け、この電圧モニタVにより検出された電圧値と接地側電流I2とからアンテナ3の接地側のリアクタンスを求める。そして、接地側電流I2から給電側電流I1を差し引いた電流差と、そのときのアンテナ3の接地側のリアクタンスとをプロットすることで、制御用データを得ることができる。
【0043】
コンデンサ制御部X4は、第1検出値及び第2検出値と、制御用データとに基づいて可変コンデンサVCの容量を制御するものであり、例えば第1検出値及び第2検出値の差分が所定の範囲内に収まるように、可変コンデンサVCの容量を変更する。
一例としては、第1検出値及び第2検出値の差分がゼロとなるとき、すなわち第1検出値と第2検出値とが等しくなるときのリアクタンスを制御用データから取得し、そのリアクタンスとなるように可変コンデンサVCの容量を制御する方法が挙げられる。ただし、必ずしも第1検出値と第2検出値とを等しくする必要はなく、アンテナ3の長手方向の全体に亘って電流の大きさが所定範囲に収まるのであれば、第1検出値と第2検出値とが互いに異なる値であっても良い。
なお、コンデンサ制御部4Xは、制御用データに基づいて可変コンデンサVCの容量を制御した後は、例えば第1検出値及び第2検出値の差分が予め設定した目標値に近づくように、可変コンデンサVCの容量をフィードバック制御するように構成されている。
だだし、コンデンサ制御部4Xとしては、制御用データを用いることなく、第1検出値及び第2検出値をパラメータとして、例えば第1検出値と第2検出値とが等しくなるように、可変コンデンサVCの容量をフィードバック制御するように構成されていても良い。
【0044】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態のプラズマ処理装置100によれば、アンテナ3の給電側端部3aにおいて検出される第1検出値と、アンテナ3の接地側端部3bにおいて検出される第2検出値との差分が例えばゼロとなるように可変コンデンサVCを制御しているので、アンテナ3に流れる電流を長手方向に沿って可及的に均一にすることができる。
その結果、長尺状のアンテナ3を用いて基板Wの大型化に対応できるようにしつつ、アンテナ3の長手方向に沿って均一なプラズマPを発生させることが可能となる。
【0045】
また、可変コンデンサVCを介してアンテナ3の接地側端部3bを接地しているので、可変コンデンサVCの容量を変更することにより、高周波電流IRに対するリアクタンスを簡単に変更することができる。
【0046】
さらに、第1検出部S1を真空容器2の外部に位置する給電側端部3aに設け、第2検出部S2を真空容器2の外部に位置する接地側端部3bに設けているので、第1検出部S1や第2検出部S2のメンテナンスや校正を簡単に行うことができる。
【0047】
加えて、アンテナ3を冷却液CLにより冷却することができるので、プラズマPを安定して発生させることができる。
【0048】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0049】
例えば、前記実施形態ではプラズマ処理装置100が、アンテナ3を1本備えた構ものであったが、複数本のアンテナ3を備えたものであっても良い。
具体的には、図5に示すように、複数本のアンテナ3を並列接続する構成や、図6に示すように、複数本のアンテナ3を直列接続する構成を挙げることができる。
【0050】
まず、図5に示す構成について説明すると、ここでは例えば3本のアンテナ3が、整合回路41を介して共通の高周波電源4に接続されており、各アンテナ3と整合回路41との間それぞれに、第1の可変コンデンサVC1が設けられている。また、各アンテナ3は、それぞれ第2の可変コンデンサVC2を介して接地されている。なお、アンテナ3の本数は適宜変更して構わない。
そして、各アンテナ3の給電側端部3aそれぞれに第1検出部S1が設けられており、各アンテナ3の接地側端部3bそれぞれに第2検出部S2が設けられている。
【0051】
このような構成であれば、それぞれの給電側端部3aに設けられた第1検出部S1の第1検出値に基づいて、各アンテナ3に対する高周波電流IRの分配比を把握することができ、第1検出値に基づき第1の可変コンデンサVC1の容量を変更することで、各アンテナ3に対して供給される高周波電流IRの分配比を調整することができる。
さらに、前記実施形態と同様に、各第2の可変コンデンサVC2の容量を変更することで、各アンテナ3に流れる高周波電流IRに対するリアクタンスを変更することができる。
これにより、高周波電流IRを各アンテナ3に均等に分配しつつ、各アンテナ3に流れる高周波電流IRを長手方向に沿って均一化することができ、空間的に均一なプラズマPを発生させることが可能となる。
【0052】
次に、図6に示す構成について説明すると、ここでは例えば2本のアンテナ3が直列接続されており、この直列接続された2本のアンテナ3が2組並列に設けられている。具体的には、一方のアンテナ3(以下、第1のアンテナ3Aという)の給電側端部3aが、整合回路41を介して高周波電源4に接続されており、他方のアンテナ3(以下、第2のアンテナ3Bという)の接地側端部3bが、接地されている。ここでは、第1のアンテナ3Aと整合回路41との間に第1の可変コンデンサVC1が設けられるとともに、第2のアンテナ3Bは第2の可変コンデンサVC2を介して接地されており、第1のアンテナ3A及び第2のアンテナ3Bの間には第3の可変コンデンサVC3が設けられている。なお、各アンテナ3は、共通の高周波電源4や整合回路41に接続されている。
そして、第1検出部S1及び第2検出部S2は、各アンテナ3それぞれに対して設けられている。つまり、第1のアンテナ3Aの給電側端部3aに第1検出部S1が設けられるとともに、第1のアンテナ3Aの接地側端部3bに第2検出部S2が設けられている。また、第2のアンテナ3Bの給電側端部3aに第1検出部S1が設けられるとともに、第2のアンテナ3Bの接地側端部3bに第2検出部S2が設けられている。
【0053】
このような構成であれば、第1のアンテナ3Aに設けられた第1検出部S1及び第2検出部S2の検出値に基づいて第3の可変コンデンサVC3の容量を制御することで、第1のアンテナ3Aの長手方向に沿って均一なプラズマPを発生させることができる。
また、第2のアンテナ3Bに設けられた第1検出部S1及び第2検出部S2の検出値に基づいて第2の可変コンデンサVC2の容量を制御すれば、第2のアンテナ3Bの長手方向に沿って均一なプラズマPを発生させることができる。
このように、複数のアンテナ3を直接に接続した場合であっても、互いに隣り合うアンテナ3の間に可変コンデンサを介在させておくことで、各アンテナ3それぞれにおいて長手方向に沿って均一なプラズマPを発生させることが可能となる。
【0054】
第1検出部S1や第2検出部S2としては、前記実施形態ではアンテナ3の給電側端部3aや接地側端部3bを流れる電流を検出するものであったが、アンテナ3の給電側端部3aや接地側端部3bに印加される電圧を検出するものであっても良い。
【0055】
この場合、例えば図7に示すように、複数のアンテナ3が、接続導体12によって接続されて1本のアンテナ構造となるように構成されており、この接続導体12に第1検出部S1及び第2検出部S2を設ける構成が挙げられる。
【0056】
接続導体12は、互いに隣接するアンテナ3において一方のアンテナ3の端部と他方のアンテナ3の端部とを電気的に接続するものである。具体的に接続導体12は、図8に示すように、内部に流路を有するものであり、その流路に冷却液CLが流れように構成されている。これにより、互いに隣接するアンテナ3において一方のアンテナ3を流れた冷却液CLが接続導体12の流路を介して他方のアンテナ3に流れる。
【0057】
具体的に接続導体12は、アンテナ3に電気的に接続される可変コンデンサ13と、当該可変コンデンサ13と一方のアンテナ3の端部とを接続する第1の接続部14と、可変コンデンサ13と他方のアンテナ3の端部とを接続する第2の接続部15とを有している。
【0058】
第1の接続部14は、一方のアンテナ3の端部を取り囲むことによって、該アンテナ3に電気的に接触するとともに、該アンテナ3の端部に形成された開口部3Hから冷却液CLを可変コンデンサ13に導くものである。
第2の接続部15は、他方のアンテナ3の端部を取り囲むことによって、該アンテナ3に電気的に接触するとともに、可変コンデンサ13を通過した冷却液CLを該アンテナ3の端部に形成された開口部3Hに導くものである。
これら接続部14、15の材質は、例えば、銅、アルミニウム、これらの合金、ステンレス等である。
【0059】
そして、図7及び図8に示す構成では、一方のアンテナ3に対応する第2検出部S2が第1の接続部14に取り付けられており、他方のアンテナ3に対応する第1検出部S1が第2の接続部15に取り付けられている。
【0060】
第1検出部S1は、アンテナ3(B)とほぼ同電位となる第2の接続部15やこの第2の接続部15と電気的に接続されている導電部材Z1との間でコンデンサを形成する金属板S11を利用して構成されたものであり、この金属板S11の電圧を、例えば所定の変換を行うことで、アンテナ3(B)の端部に印加されている電圧として検出する。
また、第2検出部S2は、アンテナ3(A)とほぼ同電位となる第1の接続部14やこの第1の接続部14と電気的に接続されている導電部材Z2との間でコンデンサを形成する金属板S21を利用して構成されたものであり、この金属板S21の電圧を、例えば所定の変換を行うことで、アンテナ3(A)の端部に印加されている電圧として検出する。
【0061】
より具体的に説明すると、第2の接続部15の壁面には、上述した導電部材Z1が取り付けられており、この導電部材Z1に金属板S11を支持する支持部S12が設けられている。また、第1の接続部14の壁面には、上述した導電部材Z2が取り付けられており、この導電部材Z2に金属板S21を支持する支持部S22が設けられている。
各支持部S12、S22は、各金属板S11、S12が差し込まれる差込口が形成された絶縁体(例えば、PPS等のエンジニアリングプラスチック)であり、差込口を各金属板S11、S12よりも僅かに小さくすることで、差込口に差し込まれた各金属板S11、S12が、導電部材Z1、Z2に対して位置決めされるように構成されている。なお、各検出部S1、S2をより確実に固定すべく、位置ずれ防止用の留め具等を用いても構わない。
【0062】
このような構成であれば、第1検出部S1や第2検出部S2が第1の接続部14や第2の接続部15に導電部材Z1、Z2を介して取り付けられているので、装置全体を大掛かりにすることなく、アンテナ3の端部に印加されている電圧を検出することができる。なお、第1検出器S1や第2検出記載S2は、導電部材Z1、Z2を介さずに、第2の接続部15や第1の接続部14の壁面に取り付けられていても良い。
また、一方のアンテナ3の端部を取り囲む第1の接続部14に第2検出部S2が取り付けられているので、この第2検出部S2は他方のアンテナ3からのノイズを拾いにくい。同様に、他方のアンテナ3の端部を取り囲む第2の接続部15に第1検出部S1が取り付けられているので、この第1検出部S1は一方のアンテナ3からのノイズを拾いにくい。これにより、第1検出部S1や第2検出部S2により、各アンテナ3の端部に印加される電圧を精度良く検出することができる。
さらに、第1の接続部14や第2の接続部15を流れる冷却液CLによって第1検出部S1や第2検出部S2を冷却することができ、例えば熱変形等による検出精度の悪化を抑制することができる。
【0063】
上述した接続導体12を用いた場合、第1検出部S1及び第2検出部S2の配置としては、図9に示すように、可変コンデンサ13に取り付けても良い。
【0064】
具体的に可変コンデンサ13は、図8に示すように、一方のアンテナ3に電気的に接続される第1の固定電極16と、他方のアンテナ3に電気的に接続される第2の固定電極17と、第1の固定電極16との間で第1のコンデンサを形成するとともに、第2の固定電極17との間で第2のコンデンサを形成する可動電極18とを有し、可動電極18が所定の回転軸C周りに回転することによって、その静電容量を変更できるように構成されている。
【0065】
この可変コンデンサ13は、第1の固定電極16、第2の固定電極17及び可動電極18を収容する絶縁性を有する収容容器19を備えており、収容容器19の内部を満たす冷却液CLが、可変コンデンサ13の誘電体となる。
【0066】
第1検出部S1は、図7における構成と同様、アンテナ3(B)とほぼ同電位となる第2の接続部15との間でコンデンサを形成する金属板(不図示)を利用して構成されたものであり、この金属板の電圧を、例えば所定の変換を行うことで、アンテナ3(B)の端部に印加されている電圧として検出する。
また、第2検出部S2は、アンテナ3(A)とほぼ同電位となる第1の接続部14との間でコンデンサを形成する金属板(不図示)を利用して構成されたものであり、この金属板の電圧を、例えば所定の変換を行うことで、アンテナ3(A)の端部に印加されている電圧として検出する。
そして、第1検出部S1の金属板及び第2検出部S2の金属板は、収容容器19に形成された一対の差込口に差し込まれて、これにより第2の接続部15や第1の接続部14に対して位置決めされている。
【0067】
このような構成であれば、第1検出部S1や第2検出部S2が可変コンデンサ13の収容容器19に埋め込まれているので、装置全体を大掛かりにすることなく、アンテナ3の端部に印加されている電圧を検出することができる。
また、図7に示す構成と同様に、冷却液CLによって第1検出部S1や第2検出部S2を冷却することができ、例えば熱変形等による検出精度の悪化を抑制することができる。
加えて、収容容器19が絶縁性を有していることから、図8で説明した絶縁体たる支持部S12、S22を不要にすることができる。
【0068】
さらに、第1検出部S1や第2検出部S2の配置としては、前記実施形態ではアンテナ3の給電側端部3aや接地側端部3bに設けられていたが、例えばアンテナ3の給電側端部3aに接続された導線や、接地側端部3bに接続された導線に設けられていても良い。
【0069】
また、アンテナに流れる電流とアンテナに印加される電圧の一方を検出するのではなく、電流と電圧との両方を検出しても良い。
つまり、本発明に係るプラズマ処理装置としては、アンテナの給電側端部に流れる電流を検出する第1電流検出部及び当該給電側端部に印加される電圧を検出する第1電圧検出部と、アンテナの接地側端部に流れる電流を検出する第2電流検出部及び当該接地側端部に印加される電圧を検出する第2電圧検出部とを具備するものであっても良い。なお、この場合、第1電流検出部及び第1電圧検出部が請求項でいう第1検出部であり、第2電流検出部及び第2電圧検出部が請求項でいう第2検出部である。
このような構成では、第1電流検出部により検出される第1電流値及び第2電流検出部により検出される第2電流値を比較するとともに、第1電圧検出部により検出される第1電圧値及び第2電圧検出部により検出される第2電圧値を比較しながら、高周波電流に対するリアクタンスを変更することができる。これにより、アンテナの長手方向に沿ったプラズマの密度分布をより細やかに制御することができる。
【0070】
その上、前記実施形態では、制御装置が、第1検出値及び第2検出値に基づいて可変コンデンサの容量を変更していたが、ユーザが、第1検出値及び第2検出値に基づいて手動で可変コンデンサの容量を変更しても良い。
【0071】
その上、前記実施形態では、アンテナは直線状をなすものであったが、湾曲又は屈曲した形状であっても良い。この場合、金属パイプが湾曲又は屈曲した形状であっても良いし、絶縁パイプが湾曲又は屈曲した形状であっても良い。
【0072】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0073】
100・・・プラズマ処理装置
W ・・・基板
P ・・・誘導結合プラズマ
IR ・・・高周波電流
2 ・・・真空容器
3 ・・・アンテナ
3a ・・・給電側端部
3b ・・・接地側端部
VC ・・・可変コンデンサ
CL ・・・冷却液(液体の誘電体)
S1 ・・・第1検出部
S2 ・・・第2検出部
X ・・・制御装置
X1 ・・・第1取得部
X2 ・・・第2取得部
X3 ・・・制御用データ格納部
X4 ・・・コンデンサ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9