(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】回路構成体
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2018055952
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】岡本 怜也
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/154696(WO,A1)
【文献】特開2002-093959(JP,A)
【文献】特開平07-086717(JP,A)
【文献】特開2003-115681(JP,A)
【文献】特開2006-294754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0061098(US,A1)
【文献】国際公開第2018/038030(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を有し、通電により発熱する発熱部品と、
前記発熱部品が装着され、貫通孔が形成されたベース部材と、
前記ベース部材における前記発熱部品が装着される側と反対側に重ねられる放熱部材と、
前記ベース部材に対して離間した位置で前記発熱部品の端子に接続されるバスバーと、
前記貫通孔内において当該貫通孔の軸方向に沿う方向に移動可能に挿通され、前記バスバーと前記放熱部材とに接触する伝熱部材と、を備え
、
前記ベース部材は、平板状の板状部を有し、
前記放熱部材は、前記ベース部材の前記板状部に対向する平板部を有し、
前記平板部は、前記伝熱部材に接触する接触部と、前記板状部に接触する接触部と、を有する、回路構成体。
【請求項2】
前記バスバーは、前記伝熱部材に押圧されて弾性変形している請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記ベース部材には前記伝熱部材の所定以上の移動を規制する留め部が固定されている請求項1又は請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記バスバーの面は、前記伝熱部材の面に対して面接触している請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記バスバーは、前記伝熱部材に埋設されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項6】
前記バスバーは、前記発熱部品の動作時に通電しない放熱用バスバーである請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項7】
前記伝熱部材は、前記貫通孔に挿通される本体と、前記本体の径方向に張り出し、前記貫通孔内に挿通されない張出部を有し、前記張出部は、前記バスバーと前記ベース部材との間に配されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の回路構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、電子部品の熱を放熱する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に実装された電子部品の熱を放熱する技術が知られている。特許文献1の電子ユニットは、リレーが装着されたパワー回路体を備え、このパワー回路体は、アルミニウム合金板からなる放熱板と、放熱板に重ねられ、リレー端子が半田付けされるバスバーと、放熱板とバスバーとの間に介在され、放熱板とバスバーとを一体化させる絶縁性を有する熱伝導シートとを備える。放熱板は、略直角に折り曲げられた一対の側壁部を有し、一対の側壁部がケースに固定される。リレーの発熱は、リレー端子からバスバーに伝わり、熱伝導シート及び放熱板を介して外界に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成では、パワー回路体のバスバーは、放熱部材に対して熱伝導シートを介在させて一体化されているため、バスバーの形状の変更に制約があり、バスバーの経路を変えて放熱性を向上させることが容易ではないという問題があった。
【0005】
本明細書に記載された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回路構成体の放熱性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載された回路構成体は、端子を有し、通電により発熱する発熱部品と、前記発熱部品が装着され、貫通孔が形成されたベース部材と、前記ベース部材における前記発熱部品が装着される側と反対側に重ねられる放熱部材と、前記ベース部材に対して離間した位置で前記発熱部品の端子に接続されるバスバーと、前記貫通孔内において当該貫通孔の軸方向に沿う方向に移動可能に挿通され、前記バスバーと前記放熱部材とに接触する伝熱部材と、を備える。
【0007】
本構成によれば、発熱部品の熱は、バスバー及び伝熱部材を介して放熱部材から外部に放熱することができる。また、発熱部品の放熱のためにベース部材に対して離間した位置で発熱部品の端子に接続されるバスバーを用いることで、バスバーの形状の変更が容易になり、伝熱部材への接触面積を大きくして放熱性を向上させることが容易になる。ここで、バスバーと放熱部材とに接触する伝熱部材がベース部材に対して固定されている場合には、バスバー、伝熱部材、ベース部材等の寸法精度の誤差に起因してバスバーと伝熱部材との間や、伝熱部材と放熱部材との間が十分に密着しなかったり、過度な圧力で接触することにより熱伝導性が低下し、放熱性が低下することが懸念される。上記構成によれば、伝熱部材は、ベース部材の貫通孔内において当該貫通孔の軸方向に沿う方向に移動可能に挿通されているため、バスバー、伝熱部材、ベース部材等に寸法精度の誤差が生じたとしても、伝熱部材が貫通孔内で貫通孔の軸方向に沿う方向に移動することにより寸法精度の誤差を吸収することができる。これにより、バスバーから伝熱部材を介して放熱部材に至る経路の熱伝導性の低下を抑制することができ、放熱性を向上させることが可能になる。
【0008】
本明細書に記載された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記バスバーは、前記伝熱部材に押圧されて弾性変形している。
このようにすれば、バスバーが弾性変形することにより、伝熱部材をバスバーに密着させることが容易になるため、バスバーと伝熱部材との間の熱伝導性を向上させることが可能になる。
【0009】
前記ベース部材には前記伝熱部材の所定以上の移動を規制する留め部が固定されている。
このようにすれば、ベース部材に対する伝熱部材の移動量が大きくなることによるバスバーの過度な変形を抑制することができる。
【0010】
前記バスバーの面は、前記伝熱部材の面に対して面接触している。
このようにすれば、バスバーと伝熱部材との間の接触面積を大きくすることができるため、放熱性を向上させることが可能になる。
【0011】
前記バスバーは、前記伝熱部材に埋設されている。
このようにすれば、バスバーと伝熱部材との間が密着することにより熱伝導性を向上させつつ、バスバーと伝熱部材との間の位置ずれを抑制することが可能になる。
【0012】
前記バスバーは、前記発熱部品の動作時に通電しない放熱用バスバーである。
このようにすれば、発熱部品の動作時に通電しない放熱用バスバーを用いることにより、通電経路にかかわらずにバスバーの形状を変更することが可能になる。
【0013】
前記伝熱部材は、前記貫通孔に挿通される本体と、前記本体の径方向に張り出し、前記貫通孔内に挿通されない張出部を有し、前記張出部は、前記バスバーと前記ベース部材との間に配されている。
このようにすれば、伝熱部材の張出部によりバスバーと伝熱部材との接触面積を大きくすることができるため、放熱性を向上させることが可能になる。また、張出部により、
バスバーとベース部材との間の間隔を保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に記載された技術によれば、回路構成体の放熱性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】
図4の状態から伝熱部材が放熱部材に接触する位置に移動した状態の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1について、
図1~
図5を参照しつつ説明する。
本実施形態の回路構成体10は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載され、バッテリ等の電源からモータ等の負荷への電力の供給、制御を可能とするものである。回路構成体10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、
図1のX方向を前方、Y方向を左方、Z方向を上方として説明する。
【0017】
回路構成体10は、
図1,
図2に示すように、複数の端子12を有するリレー11(「発熱部品」の一例)と、リレー11の各端子12に接続される複数のバスバー20,25と、リレー11が装着されるベース部材30と、ベース部材30の下に重ねられる放熱部材50と、を備える。
【0018】
リレー11は、箱形の樹脂ケース13の内部に図示しない接点部及びコイル部を有するメカニカルリレーとされている、リレー11の前面(一側面)には、端子12としてのネジ12A,19をネジ留め可能な一対のネジ孔14が形成されている。なお、本実施形態では、メカニカルリレーを発熱部品としたが、これに限られず、例えば、コイル、抵抗、コンデンサ等を発熱部品としてもよい。
【0019】
複数のバスバー20,25は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導性が高く、電気抵抗の低い金属板材からなり、前方側に延びて図示しない外部の端子に接続される第1バスバー20と、他の電子部品16に接続される第2バスバー25とを有し、共に、所定の幅寸法で複数回屈曲されて形成され、ベース部材30に対して間隔を空けた位置でリレー11の各端子12に接続されている。
【0020】
第1バスバー20は、一方の端子12に接続されて下方に延びる端子接続部21と、外部の端子に接続される外部接続部23と、端子接続部21と外部接続部23との間に配され、ベース部材30の上面に対向する対向部22とを有する。端子接続部21の上端部には、ネジ12Aの軸部が挿通されるネジ孔21Aが貫通形成されている。外部接続部23は、対向部22に対して前方側にクランク状に延びており、外部接続部23の先端部にはネジ穴23Aが形成されている。対向部22は、ベース部材30の上面に沿って延びており、外部接続部23側は、後述する伝熱部材40に接触する伝熱接触部22Aとされている。対向部22の下面とベース部材30の上面との間には、所定寸法の隙間が形成されている。
【0021】
第2バスバー25は、
図1に示すように、リレー11の側面に沿って電子部品16に接続されており、電子部品16等を介して外部の端子に接続可能な外部接続端子部29に電気的に接続される。電子部品16は、本実施形態では、ヒューズとされているが、これに限られず、例えば抵抗、コイル等としてもよい。電子部品16の一方の端子
部は、第2バスバー25にネジ19でネジ留めされて接続され、他方の端子
部は中継バスバー27の一方の端子部にネジ19でネジ留めされて接続されている。中継バスバー27の他方の端子部は、他の部品18を介してネジ穴29Aが形成された外部接続端子部29に接続されている。
【0022】
ベース部材30は、絶縁性の合成樹脂製であって、平板状の板状部31と、板状部31から起立する隔壁38とを有する。板状部31は、
図2に示すように、伝熱部材40が挿通される貫通孔32と、ネジ39の軸部が通されるネジ穴33とが貫通形成されている。貫通孔32は、長方形状とされている。なお、貫通孔32の形状は、伝熱部材40の形状に応じて任意の形状に変更することができ、例えば、円形状、長円形状、多角形状とすることができる。ネジ穴33は、板状部31における前後の端部側であって、隔壁38の外側に設けられている。
【0023】
板状部31における貫通孔32の孔縁部(貫通孔32の近傍)には、伝熱部材40に係止して伝熱部材40所定以上の移動を規制する留め部35が起立している。留め部35は、上方に帯状に延びる起立片36と、起立片36の先端部に設けられた爪状の係止部37とを有する。係止部37は、起立片36の上端部において貫通孔32側に向けて段差状に突出し、上端側(先端)に向けて傾斜状に突出寸法が小さくされている。
【0024】
伝熱部材40は、貫通孔32内に挿通される本体41と、本体41の上端部から径方向に張り出す張出部42と、本体41の上端部における左右の端部側から上方に突出する被係止部44(
図10参照)とを備える。被係止部44は、上方に帯状に延びる帯状部45と、帯状部45の上端部から外方側に突出する突部46とを備える。本体41は、貫通孔32の形状に応じた平断面長方形状とされ、
図3に示すように、本体41の外周面41Aと貫通孔32の孔壁との間には、わずかに隙間が形成されている。張出部42は、本体41に対して鍔状に設けられ、所定の厚み(上下方向の寸法)で形成されている。本体41の下面と張出部42の下面との間の寸法は、板状部31の板厚(貫通孔32の軸方向の寸法)よりも大きくされており、張出部42と板状部31とは、隙間Gを空けて対向している。伝熱部材40は、放熱樹脂等の熱伝導性が高い材料から形成することができ、例えば、PP(ポリプロピレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等を用いることができる。
【0025】
放熱部材50は、アルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導性が高い金属製であって、ベース部材30の板状部31に対向する平板状の平板部51を有する。平板部51は、
図2に示すように、板状部31の大きさに応じた長方形状であって、所定の厚みで形成されている。平板部51は、前後方向の端部側にネジ39をネジ留め可能なネジ穴52が形成されるとともに、上面に伝熱部材40に接触する接触部51Aを有する。
【0026】
回路構成体10の組み付けについて説明する。
リレー11に複数のバスバー20,25をネジ12Aでネジ留めして固定するとともに、ベース部材30の貫通孔32に伝熱部材40を装着する。そして、第2バスバー25をネジ19とナット(図示しない)等でベース部材30に締結して固定することにより、リレー11がベース部材30に対して固定される。また、他の電子部品16や他のバスバー27や部品18等をネジ19によりベース部材30にネジ留めして固定する。これにより、
図4に示すように、伝熱部材40の張出部42が貫通孔32の孔縁部に載置され、伝熱部材40と第1バスバー20の対向部22との間に隙間が形成された状態となる。
【0027】
次に、リレー11、伝熱部材40等が装着されたベース部材30を放熱部材50の上に配し、ベース部材30を放熱部材50にネジ39によりネジ留めしていくと、
図5に示すように、放熱部材50の接触部51Aが伝熱部材40に接触する。更に、ネジ39を所定のトルクとなるまで締結していくと、
図2に示すように、ベース部材30の板状部31と放熱部材50との間の隙間がなくなるとともに板状部31と張出部42との間に隙間が生じ、伝熱部材40の上面が第1バスバー20の伝熱接触部22Aを上方側に付勢することにより、第1バスバー20がわずかに弾性変形した状態となり、回路構成体10が形成される。
【0028】
本実施形態によれば以下の作用・効果を奏する。
回路構成体10は、端子12を有し、通電により発熱するリレー11(発熱部品)と、リレー11が装着され、貫通孔32が形成されたベース部材30と、ベース部材30の下(リレー11が装着される側と反対側)に重ねられる放熱部材50と、ベース部材30に対して離間した位置でリレー11の端子12に接続される第1バスバー20(バスバー)と、貫通孔32内において当該貫通孔32の軸方向に沿う方向に移動可能に挿通され、第1バスバー20と放熱部材50とに接触する伝熱部材40と、を備える。
【0029】
本実施形態によれば、リレー11の熱は、第1バスバー20及び伝熱部材40を介して放熱部材50から外部に放熱することができる。このようにリレー11の放熱のためにベース部材30に対して離間した位置でリレー11の端子12に接続される第1バスバー20を用いることで、第1バスバー20の形状の変更が容易になり、伝熱部材40への接触面積を大きくして放熱性を向上させることが容易になる。ここで、例えば第1バスバー20と放熱部材50とに接触する伝熱部材40がベース部材30に対して固定されている場合には、第1バスバー20、伝熱部材40、ベース部材30等の寸法精度の誤差に起因して、第1バスバー20と伝熱部材40との間や、伝熱部材40と放熱部材50との間が十分に密着しなかったり、過度な圧力で接触することにより、熱伝導性が低下し、放熱性が低下することが懸念される。本実施形態によれば、伝熱部材40は、ベース部材30の貫通孔32内において当該貫通孔32の軸方向に沿う方向に移動可能に挿通されているため、第1バスバー20、伝熱部材40、ベース部材30等に寸法精度の誤差が生じたとしても、伝熱部材40が貫通孔32内で貫通孔32の軸方向に沿う方向に移動することにより寸法精度の誤差を吸収することができる。これにより、第1バスバー20から伝熱部材40を介して放熱部材50に至る経路の熱伝導性の低下を抑制することができ、放熱性を向上させることが可能になる。
【0030】
また、第1バスバー20は、伝熱部材40に押圧されて弾性変形している。
このようにすれば、第1バスバー20が弾性変形することにより、伝熱部材40を第1バスバー20に密着させること容易になるため、第1バスバー20と伝熱部材40との間の熱伝導性を向上させることが可能になる。
【0031】
また、ベース部材30には伝熱部材40の所定以上の移動を規制する留め部35が固定されている。
このようにすれば、ベース部材30に対する伝熱部材40の移動量が大きくなることによる第1バスバー20の過度な変形を抑制することができる。
【0032】
また、第1バスバー20の下面は、伝熱部材40の上面に対して面接触している。
このようにすれば、第1バスバー20と伝熱部材40との間の接触面積を大きくすることができるため、放熱性を向上させることが可能になる。
【0033】
また、伝熱部材40は、貫通孔32に挿通される本体41と、本体41の径方向に張り出し、貫通孔32内に挿通されない張出部42を有し、張出部42は、第1バスバー20とベース部材30との間に配されている。
このようにすれば、伝熱部材40の張出部42により第1バスバー20と伝熱部材40との接触面積を大きくすることができるため、放熱性を向上させることが可能になる。また、張出部42により、第1バスバー20とベース部材30との間の間隔を保持することができる。
【0034】
<実施形態2>
次に、実施形態2について、
図6を参照しつつ説明する。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態2の回路構成体60は、一端側にネジ穴61Aが形成された第2バスバー61の他端側は、リレー11に対してネジ19でネジ留めされた端子12を備えている。回路構成体60は、実施形態1における他の電子部品16にはネジ留めされず、長方形の平板状の第2バスバー61がリレー11にネジ留めされている。第2バスバー61は、外方(側方)に延びて図示しない外部の端子と接続可能とされている。
【0035】
<実施形態3>
次に、実施形態3について、
図7~
図11を参照しつつ説明する。上記実施形態の第1バスバー20はリレー11の動作に応じて通電する構成としたが、実施形態3では、第1バスバー71として、リレー11の動作に応じて通電しない放熱用バスバー71とするものである。以下では、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
図7,
図9に示すように、回路構成体70におけるリレー11の一方の端子12は、第1バスバー71及び第3バスバー75の双方に対して1つのネジ12Aのネジ孔14へのネジ留めにより接続されている。第1バスバー71は、リレー11の放熱のために設けられた放熱用バスバー71とされ、実施形態1の第1バスバー20における外部接続部23を備えていない。
図10に示すように、放熱用バスバー71におけるベース部材30の板状部31に対向する対向部22には、伝熱部材40に接触する伝熱接触部73を有する。第3バスバー75は、ネジ穴75Aが形成されており、第1バスバー71に対して直交する方向に延びている。第3バスバー75は、外部の端子に接続可能とされている。
【0037】
回路構成体70の組み付けは、
図11に示すように、リレー11、伝熱部材40等が装着されたベース部材30を放熱部材50の上に配し、ベース部材30を放熱部材50にネジ39によりネジ留めしていく。
図10に示すように、ベース部材30に対して伝熱部材40が上方に移動し、伝熱部材40が第1バスバー71を上方側に付勢することにより、第1バスバー71がわずかに弾性変形した状態となり、回路構成体70が形成される。
【0038】
実施形態3によれば、第1バスバー71は、リレー11の動作時に通電しない放熱用バスバー71であるため、通電経路にかかわらずに第1バスバー71の形状を変更することが可能になる。
【0039】
<実施形態4>
次に、実施形態4について、
図12~
図14を参照しつつ説明する。実施形態4は、実施形態3の第1バスバー71の形状を変えて弾性変形を容易にした第1バスバー81としたものである。以下では、実施形態3と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図12,
図13に示すように、回路構成体80の第1バスバー81は、リレー11の端子12に接続されて下方側に延びる端子接続部82と、対向部22とを有する。端子接続部82は、ネジ12Aによりネジ留めされる部分よりも下方側がリレー11の前面に対して離間しており、弾性変形可能に曲げられた弾性部83を有する。弾性部83は、複数の折返し部84が上下方向に連続している。
【0041】
回路構成体80の組み付けは、
図14に示すように、リレー11、伝熱部材40等が装着されたベース部材30を放熱部材50の上に配し、ベース部材30を放熱部材50にネジ39によりネジ留めしていく。
図13に示すように、ベース部材30に対して伝熱部材40が上方に移動し、伝熱部材40が第1バスバー81に当接して第1バスバー81を上方側に付勢することにより、第1バスバー81がわずかに弾性変形した状態となり、回路構成体80が形成される。
【0042】
<実施形態5>
次に、実施形態5について、
図15~
図17を参照しつつ説明する。実施形態5は、実施形態4の第1バスバー81の形状を変え、通電可能とした第1バスバー91としたものである。以下では、実施形態4と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。回路構成体90の第1バスバー91は、リレー11の端子12に接続される端子接続部82と、対向部22と、外部接続部23とを有し、第3バスバー75は設けられていない。
【0043】
回路構成体90の組み付けは、
図17に示すように、リレー11、伝熱部材40等が装着されたベース部材30を放熱部材50の上に配し、ベース部材30を放熱部材50にネジ39によりネジ留めしていく。
図16に示すように、ベース部材30に対して伝熱部材40が上方側に移動し、伝熱部材40が第1バスバー91に当接して第1バスバー91を上方側に付勢することにより、第1バスバー91がわずかに弾性変形した状態となり、回路構成体90が形成される。
【0044】
<実施形態6>
次に、実施形態6について、
図18~
図20を参照しつつ説明する。実施形態6は、実施形態4の弾性部83の形状を変えた弾性部103を有する第1バスバー101としたものである。以下では、実施形態4と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図18に示すように、回路構成体100の第1バスバー101は、リレー11の端子12に接続される端子接続部102と、対向部22とを有する。端子接続部102は、ネジ12Aによりネジ留めされる部分よりも下方側がリレー11の前面に対して離間しており、弾性変形可能に曲げられた弾性部103を有する。弾性部103は、実施形態4の弾性部83よりも折り返し数及び曲率が小さく曲げられた曲げ部104を有する。
【0046】
回路構成体100の組み付けは、
図20に示すように、リレー11、伝熱部材40等が装着されたベース部材30を放熱部材50の上に配し、ベース部材30を放熱部材50にネジ39によりネジ留めしていく。
図19に示すように、ベース部材30に対して伝熱部材40が上方側に移動し、伝熱部材40が第1バスバー101に当接して第1バスバー101を上方側に付勢することにより、第1バスバー101がわずかに弾性変形した状態となり、回路構成体100が形成される。
【0047】
<実施形態7>
次に、実施形態7について、
図21~
図23を参照しつつ説明する。実施形態7は、実施形態6の第3バスバー75をなくすとともに、第1バスバー101に対して外部接続部23を設けた第1バスバー111とし、リレー11の動作により第1バスバー1
11を通電可能としたものである。以下では、実施形態6と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
回路構成体110の第1バスバー111は、リレー11の端子12に接続される端子接続部102と、対向部22と、外部接続部23を有する。回路構成体110の組み付けは、
図23に示すように、リレー11、伝熱部材40等が装着されたベース部材30を放熱部材50の上に配し、ベース部材30を放熱部材50にネジ39によりネジ留めしていく。
図22に示すように、ベース部材30に対して伝熱部材40が上方側に移動し、伝熱部材40が第1バスバー111に当接して第1バスバー111を上方側に付勢することにより、第1バスバー111がわずかに弾性変形した状態となり、回路構成体110が形成される。
【0049】
<実施形態8>
次に、実施形態8について、
図24,
図25を参照しつつ説明する。実施形態8は、第1バスバー121の先端部が伝熱部材125に埋設されて一体化されているものである。以下では、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図24に示すように、回路構成体120は、第1バスバー121と、第1バスバー121の先端部に一体的に取り付けられる伝熱部材125と、ベース部材30と、放熱部材50とを備える。第1バスバー121は、リレー11の端子12に接続される端子接続部21と、伝熱部材125に埋設された埋設部122と、端子接続部21と埋設部122とを連結する弾性変形可能な連結部123とを備える。連結部123は、L字状に屈曲されており、ネジ12Aによりネジ留めされる部分よりも下方側がリレー11の前面に対して離間している。板状部31における貫通孔32の孔縁部(貫通孔32の近傍)には、伝熱部材40に係止する前後一対の留め部127が板状部31に対して起立して設けられている。
【0051】
一対の留め部127は、撓み変形可能で帯状に延びる一対の起立片36と、一対の起立片36の先端部に設けられ、互いに対向する側に突出する爪状の係止部37とを有する。起立片36は一定の厚み寸法で形成されている。係止部37は、起立片36の上端部において貫通孔32側に向けて段差状に突出し、上端側(先端)に向けて傾斜状に突出寸法が小さくされている。
【0052】
伝熱部材125は、外周がテーパ状とされ、下方側の径が小さくなっており、上端部には、左右方向の端部が側方(外方)に突出し、係止部37に係止可能な被係止部126が形成されている。伝熱部材125は、第1バスバー121の埋設部122を前後方向に所定の長さで埋設している。伝熱部材125は、図示しない金型内に埋設部122を配し、金型内に樹脂を注入して固化するモールド成形により形成することができる。
【0053】
回路構成体120の組み付けは、
図25に示すように、リレー11、伝熱部材40等が装着されたベース部材30を放熱部材50の上に配し、ベース部材30を放熱部材50にネジ39によりネジ留めしていく。
図24に示すように、ベース部材30に対して伝熱部材40が上方側に移動し、伝熱部材40が第1バスバー121に当接して第1バスバー121を上方側に付勢することにより、第1バスバー121がわずかに弾性変形した状態となり、回路構成体120が形成される。
【0054】
実施形態8によれば、第1バスバー121の先端部は、伝熱部材125に埋設されているため、第1バスバー121と伝熱部材125との間が密着することにより熱伝導性を向上させつつ、第1バスバー121と伝熱部材125との間の位置ずれを抑制することが可能になる。
【0055】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)第2バスバー25をベース部材30にネジ留めすることにより、リレー11をベース部材30に固定する構成としたが、これに限られない。例えば、リレー11をブラケット等のネジ留め可能なリレー固定部材を用いてリレー11をベース部材30に直接的に固定する構成としてもよい。また、リレー11の固定手段はネジ等にかぎらず、例えば、接着剤等によりリレー11をベース部材30に固定するようにしてもよい。
【0056】
(2)ベース部材30の貫通孔32の孔壁と 伝熱部材40,125との間にガイド部材を挿入して伝熱部材40,125の組付け、移動、位置決め等を容易にするようにしてもよい。
(3)ベース部材30に留め部35,127を設ける構成としたが、これに限られない。例えば、ベース部材30に留め部35,127を設けず、第1バスバー20,71,81,91,101,111,121の弾性力で伝熱部材40,125の所定以上の移動を規制するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10,60,70,80,90,100,110,120: 回路構成体
11: リレー(発熱部品)
12: 端子
12A: ネジ
20,71,81,91,101,111,121: 第1バスバー(バスバー)
21,82,102: 端子接続部
21A: ネジ孔
22: 対向部
22A,73: 伝熱接触部
25,61: 第2バスバー
30: ベース部材
31: 板状部
32: 貫通孔
35,127: 留め部
40,125: 伝熱部材
41: 本体
42: 張出部
50: 放熱部材
51A: 接触部
83,103: 弾性部
122: 埋設部
126: 被係止部
127: 留め部