(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】手洗音判別装置、手洗音判別装置を用いた手洗水供給システム及び手洗音判別方法
(51)【国際特許分類】
G10L 25/51 20130101AFI20220113BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20220113BHJP
G10L 25/18 20130101ALI20220113BHJP
【FI】
G10L25/51
A47K1/00 Z
G10L25/18
(21)【出願番号】P 2017239837
(22)【出願日】2017-12-14
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】592250414
【氏名又は名称】株式会社テックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】中本 義範
【審査官】渡部 幸和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-079446(JP,A)
【文献】特開2016-059702(JP,A)
【文献】毎田 定弘 他,対話的な洗面台による生活習慣の改善,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2016 No.1 [CD-ROM],一般社団法人情報処理学会,2016年06月29日,pp.1438-1441
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 25/00-25/93
A47K 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を取得する集音マイクと、
手洗用水を供給している手洗時の音を解析することにより、実際に手洗が行われているか否かを判別する実際手洗判別処理を実行する音判別手段とを有
し、
前記音判別手段は、
手洗を行っていない状態において手洗用水を供給したときの非手洗時の音に基づいて、前記実際手洗判別処理を実行する
ことを特徴とする手洗音判別システム。
【請求項2】
複数の周波数帯域に分離すると共に、非手洗時の強度の大きい周波数帯域を特徴周波数帯域として選択し、手洗時の特徴周波数帯域の強度と非手洗時の特徴周波数帯域の強度とを比較することにより、非手洗時の音に基づいて、実際手洗判別処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の手洗音判別システム。
【請求項3】
実際に手洗が行われているか否かの判別結果を送信する送信手段
を有することを特徴とする請求項1に記載の手洗音判別システム。
【請求項4】
前記集音マイクによって取得された音を前記音判別手段に対して送信する送信手段
を有することを特徴とする請求項1に記載の手洗音判別システム。
【請求項5】
前記音判別手段は、
手洗行っている状態において特異的に発生する音を検出することにより、前記実際手洗判別処理を実行する
を有することを特徴とする請求項1に記載の手洗音判別システム。
【請求項6】
請求項1に記載の手洗音判別システムと、
手洗用水を供給する手洗水供給手段と、
前記実際手洗判別処理の結果に基づいて、前記
手洗用水の供給時間を制御する制御手段と
を有することを特徴とする手洗水供給システム。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記実際手洗判別処理によって実際に手洗が行われていると判別された時点から所定の供給時間に亘って前記
手洗用水を供給するよう前記手洗水供給手段を制御する
ことを特徴とする請求項
6に記載の手洗水供給システム。
【請求項8】
音声出力手段を有し、
前記制御手段は、
前記
手洗用水の供給を開始してから所定の猶予時間を超えても前記実際手洗判別処理において実際に手洗が行われていると判別されない場合には、前記音声出力手段から手洗を促すアナウンスを出力させる
ことを特徴とする請求項
6に記載の手洗水供給システム。
【請求項9】
作業者によって携帯され、近距離通信によって識別子を送信するID(Identification)手段と、
手洗用水を供給する手洗水供給装置の内部又は外部近傍に配置され、前記ID手段から送信されるID情報に基づく監視情報を送信する監視情報送信手段と、
前記監視情報送信手段から送信される前記監視情報を受信し、前記識別子ごとに集計する集計手段と
を有することを特徴とする請求項
6に記載の手洗水供給システム。
【請求項10】
手洗を行っていない状態において手洗用水を供給したときの非手洗時の音に基づいて、手洗用水を供給している手洗時の音を解析することにより、実際に手洗が行われているか否かを判別する
ことを特徴とする手洗音判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療品や衛生品、食品などを取り扱う現場に設置される手洗い用の電解水供給装置に使用される手洗監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設、食品を扱う現場などでは、衛生管理上、手洗いを徹底することが求められており、監視を行うなどして個人ごとに管理を行うことが望ましく、作業者の手洗状況を監視する手洗監視システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかる手洗監視システムでは、実際に作業者が手洗いを行っているかを検出することが望ましい。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、個人ごとに実際の手洗いの状況を監視できる手洗音判別装置、手洗音判別装置を用いた手洗水供給システム及び手洗音判別方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明の手洗音判別システムは、音を取得する集音マイクと、
手洗用水を供給している手洗時の音を解析することにより、実際に手洗が行われているか否かを判別する実際手洗判別処理を実行する音判別手段とを有し、
前記音判別手段は、
手洗を行っていない状態において手洗用水を供給したときの非手洗時の音に基づいて、前記実際手洗判別処理を実行することを特徴とする。
【0007】
また、手洗水供給システムでは、音を取得する集音マイクと、手洗用水を供給している手洗時の音を解析することにより、実際に手洗が行われているか否かを判別する際、手洗を行っていない状態において手洗用水を供給したときの非手洗時の音に基づいて実際手洗判別処理を実行する音判別手段とを有する手洗音判別システムと、
手洗用水を供給する手洗水供給手段と、
前記実際手洗判別処理の結果に基づいて、前記手洗水の供給時間を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の手洗音判別方法は、
手洗を行っていない状態において手洗用水を供給したときの非手洗時の音に基づいて、手洗用水を供給している手洗時の音を解析することにより、実際に手洗が行われているか否かを判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、個人ごとにユーザを監視することができ、実際の手洗いの状況を判別できる手洗音判別装置、手洗音判別装置を用いた手洗水供給システム及び手洗音判別方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】手洗監視システムの構成(1)を示す略線図である。
【
図2】手洗監視システムの構成(2)を示す略線図である。
【
図10】手洗監視システムの動作(1)の説明に供する略線図である。
【
図11】手洗監視システムの動作(2)の説明に供する略線図である。
【
図13】手洗監視システムの動作(3)の説明に供する略線図である。
【
図14】手洗監視処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】工程管理処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】落下検出処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<手洗監視システムの基本構成>
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示す1は、全体として手洗監視システムを示している。手洗監視システム1は、電解水供給装置2と、人物検出装置3と、ID(Identification)装置4と、集計装置5と、扉通信装置6と、受信アンテナ7と、集中スピーカ11とを有している。
【0013】
図2に示すように、手洗監視システム1は、例えば食品などを取り扱う工場内で使用されることが想定されている。
図2では、工場内の一つの作業室を表している。電解水供給装置2及び人物検出装置3は、工場内における手洗場9の近傍に配置され、手洗場に手洗用電解水を供給する。
【0014】
図3に示すように、電解水供給装置2は、図示しないMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部21が電解水供給装置2の全体を統括的に制御するようになされている。
【0015】
センサ22は、衛生上の理由により、例えば赤外線など非接触式のものであることが好ましい。例えばセンサ22は、ユーザがセンサ22の前に手をかざすことにより、ユーザの手洗要求を感知すると、手洗要求信号を制御部21に供給する。
【0016】
制御部21は、センサ22から手洗要求信号を受信すると、電解水貯留部25から手洗用電解水の排出を開始する。
【0017】
具体的に、制御部21は、電解水貯留部25に対して排出開始信号を供給することにより、排出部26から手洗用電解水を排出させる。また、制御部21は、予め設定された供給時間に亘って手洗用電解水の供給を行うと、電解水貯留部25に対して供給停止信号を供給する。これにより、電解水供給装置2は、予め設定された供給時間だけ手洗用電解水の供給を行う。
【0018】
また、制御部21は、電解水貯留部25における手洗用電解水の残量を監視し、例えば手洗用電解水が所定量以下になると、電解水を生成する生成要求信号を電解水生成部24に対して供給する。
【0019】
電解水生成部24には、原料液貯留部23が接続されている。原料液貯留部23は、電解水原料液を貯蔵すると共に、電解水生成部24に対して電解水原料液を供給する。電解水の原液として水道水ではなく調整された電解水原料液を用いることにより、フィルターを設置することなく電極や配管の石灰化を防止でき、電解水供給装置2の小型化が可能となる。
【0020】
この電解水原料液としては、次亜塩素酸を発生させるため、電解質の一部又は全部として塩素を含有するものが使用されることが好ましい。好ましくは、塩化ナトリウムと塩酸とを混合した水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩酸が使用される。次亜塩素酸の含有量が安定化するpHを保つためである。
【0021】
また、手洗用電解水としてアルカリ性電解水を用いることも可能である。この場合、電解水原料液としては、例えば炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどナトリウムを含有する水溶液が用いられることが好ましい。もちろん、酸性電解水及びアルカリ性電解水を混合して使用することも可能である。
【0022】
さらに、本実施の形態における電解水原料液は、次亜塩素酸の存在量を向上させる調整機能を有する調整ガスの微細気泡を含有しても良い。例えば、調整ガスとして酸素ガス(O2)若しくはオゾンガス(O3)を用いることにより、塩素の酸化を促進することができ、結果として電解水中の次亜塩素酸の存在量を向上させることができる。
【0023】
また、調整ガスとして塩素ガス(Cl2)を用いることにより、電解水原料液中の塩素含有量を増大させることができ、結果として電解水中の次亜塩素酸の存在量を向上させることができる。また、調整ガスとして水素ガス(H2)を使用することにより、電解水のpHを2.7~6.5の範囲にコントロールし易くできる。
【0024】
微細気泡は、10~900nmのいわゆる微細気泡であり、電解水原料液中において、数ヶ月以上に亘って安定的に存在することができる。また、手洗用電解水の代わりに、微細気泡を含有するナノバブル水や殺菌・芳香・保湿効果のある水などを手洗用水として使用することもできる。
【0025】
微細気泡に含まれるガス成分としては、空気の他に、殺菌効果のある塩素やオゾン、保湿効果のある炭酸や窒素、香りのある香り成分ガスや酸化防止効果のある水素、消臭効果のあるガスなど、特定の効果を有する特定効果ガスを使用することができる。また、生成されたナノバブル水に対して、香り成分や保湿成分などの仕上げ成分を混合することもできる。なお、本発明において、微細気泡は必ずしも必須ではない。
【0026】
電解水生成部24は、電解水原料液を電気分解して電解水を製造し、電解水貯留部25に供給する。電解水生成部24としては、公知のものを使用することができ、例えば無隔膜式の電解槽を用いることができる。また、2槽式、3槽式の電解槽で生成される酸性及びアルカリ性の電解水を混合しても良い。
【0027】
なお、例えば水道や純水など、電解水を希釈する希釈水の供給装置に接続された混合希釈部(図示しない)を設け、予め設定された混合比率で、電解水貯留部25から供給される電解水に希釈水を混合し、手洗用電解水として排出部26に供給するようにしても良い。
【0028】
このように、電解水供給装置2は、ユーザの手洗用電解水の供給要求に応じて、予め設定された時間に亘って手洗用電解水を供給するようになされている。
【0029】
図4に示すように、人物検出装置3は、図示しないMPU、ROM及びRAMから構成される制御部31が人物検出装置3の全体を統括的に制御するようになされている。
【0030】
人物検出装置3は、例えば音波やBluetooth(登録商標)といった数mを通信範囲とする、いわゆる近距離通信機能と、有線LAN(Local Area Network)や無線LANなどといった比較的長距離での通信が可能ないわゆるローカルネットワークとの2つの通信機能を有している。
【0031】
制御部31は、近距離通信及びローカルネットワークを使用し、外部インターフェース34を介して外部装置と通信を行う。
【0032】
図5に示すように、ID装置4(
図1参照)は、図示しないMPU、ROM及びRAMから構成される制御部41がID装置4の全体を統括的に制御するようになされている。制御部41は、近距離通信機能を使用し、外部インターフェース42を介して外部装置と通信を行う。また、ID装置4は、集音マイク44及びスピーカ45を有しており、外部装置との通信による会話を可能にしている。
【0033】
ID装置4は、例えば作業着の内部においてストラップなどで作業者の首に掛けたり、作業帽子や作業着にクリップで留めたり、作業着に縫い付けられたりなどして作業者に装着される。
【0034】
人物検出装置3は、近距離通信機能を使用し、検出範囲内におけるID装置4の有無を検出する。
【0035】
具体的に、人物検出装置3は、ID装置4に対する応答要求信号を送信する。ID装置4は、人物検出装置3の検出範囲内に入ったことにより、応答要求信号を受信すると、自己に登録されたユーザの識別子をID情報信号として人物検出装置3に送信する。この信号の送受信は、ID装置4が人物検出装置3の検出範囲内に存在する間に亘って行われる。
【0036】
制御部31は、ID情報信号を受信すると、ID検出部32によって当該ID情報信号からID装置4の識別子を判別する。また、制御部31は、計測部33によって、ID装置4が検出範囲内で検出された状況を表す手洗監視情報を生成し、ID装置4の識別子及び送信元識別子と共に手洗監視情報信号(送信情報)として集計装置5に送信する。
【0037】
なお、手洗監視情報は、ユーザが検出された情報でもよいが、ID装置4が検出され続けた時間、又はID装置4が検出され始めた検出開始時刻及び最後に検出された検出終了時刻など、ユーザの検出範囲内における滞在時間を表す情報であることが好ましい。
【0038】
また、人物検出装置3は、電解水供給装置2の制御部21と接続されている。制御部21は、電解水貯留部25に供給する排出開始信号を人物検出装置3にも供給する。
【0039】
人物検出装置3の制御部31は、排出開始信号を受信すると、受信時刻と排出開始信号とを関連付け、ローカルネットワークを介して集計装置5に送信する。
【0040】
また、集計部52は、手洗監視情報と排出開始信号の受信時刻とを照らし合わせ、ユーザが手洗いを実行したことを確認することもできる。例えば、排出開始信号がないのにユーザが検出された場合には、手洗いをすることなく近くを通り過ぎたと判別でき、排出開始信号があるのに短い時間だけユーザが検出された場合には、手洗いをしたかどうかを疑うことができる。
【0041】
そして電解水供給装置2の制御部21は、電解水貯留部25に供給する排出終了信号を人物検出装置3に供給する。人物検出装置3の制御部31は、排出終了信号を受信すると、受信時刻と排出終了信号とを関連付け、ローカルネットワークを介して集計装置5に送信する。
【0042】
図6に示すように、集計装置5は、コンピュータ構成でなり、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM及びRAMから構成される制御部51が集計装置5の全体を統括的に制御するようになされている。
【0043】
集計装置5の制御部51は、外部インターフェース53を介して手洗監視情報信号を受信すると、当該手洗監視情報信号(送信情報)から識別子及び手洗監視情報を生成し、集計処理を行う。
【0044】
具体的に、制御部51の集計部52は、識別子に対応付けられたユーザごとに、排出開始信号及び排出終了信号に基づいて手洗監視情報を集計する。この結果、集計部52は、各ユーザが手洗いに使っている時間を集計することができる。
【0045】
そして制御部51は、操作者が操作入力部54を介して集計結果の表示要求を行うと、集計結果をグラフや一覧表にまとめ、表示部55に表示させる。
【0046】
この結果、管理者は、ユーザごとの手洗いの回数及び手洗いに使っている時間を視認することができ、手洗いに関する管理を徹底することができる。
【0047】
次に、人物検出装置3が実行する手洗監視情報送信処理S100について、
図9のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
人物検出装置3は、手洗監視情報送信処理を開始すると、ステップS1へ移る。
【0049】
ステップS1において、人物検出装置3は、ID情報信号の受信を待ち受け、ID情報信号が検出されたか否かについて判別する。否定結果が得られると、人物検出装置3は、ステップS1においてID情報信号の受信を待ち受ける。
【0050】
ステップS1において肯定結果が得られた場合、このとき人物検出装置3は、このときの時刻を検出開始時刻と決定し、次のステップS2へ移る。
【0051】
ステップS2において、人物検出装置3は、ID情報信号の受信を継続し、次のステップS3へ移る。
【0052】
ステップS3において、人物検出装置3は、ID情報信号が検出されなくなったか否かについて判別する。ここで否定結果が得られると、人物検出装置3は、ステップS2へ戻り、ID情報信号の受信を継続する。
【0053】
ステップS3で肯定結果が得られると、人物検出装置3は、ID情報信号を最後に受信した時刻を検出終了時刻と決定し、次のステップS4へ移る。
【0054】
ステップS4において、人物検出装置3は、検出開始時刻及び検出終了時刻、並びにID情報信号から抽出した識別子を手洗監視情報として送信すると、終了ステップへ移って処理を終了する。
【0055】
<扉開閉及び作業場監視との連動>
さらに、手洗監視システム1では、ID装置4を活用し、出入口扉6Aにおける作業者の出入り及び作業者の各作業区域における配置の管理と、手洗監視とを連動させるようになされている。
【0056】
図2に示したように、出入口扉6Aの近傍には扉通信装置6が設置されている。
図7に示すように、扉通信装置6は、図示しないMPU、ROM及びRAMから構成される制御部61が扉通信装置6の全体を統括的に制御するようになされている。
【0057】
扉通信装置6は、近距離通信機能と、人物検出装置3と同様、ローカルネットワークとの2つの通信機能を有している。制御部61は、近距離通信を使用して人物を検出すると共に出入口扉6Aの開閉を制御し、ローカルネットワークを使用し、外部インターフェース34を介して外部装置と通信を行う。
【0058】
受信アンテナ7(7A~7C)は、作業区域8(8A~8C)にそれぞれ設置されており、3つの作業区域8A~8C内にどの人物が存在するかを監視する。また、受信アンテナ7Dは手洗場9に配置されている。
【0059】
受信アンテナ7も、人物検出装置3と同様、ローカルネットワークとの2つの通信機能を有している。制御部71は、近距離通信を使用して人物の配置を監視し、ローカルネットワークを使用し、外部インターフェース34を介して外部装置と通信を行う。
【0060】
そして手洗監視システム1では、出入口扉6Aから入室した人物が手洗を行ってから作業区域8に入ったかどうかを監視する。
【0061】
具体的に、扉通信装置6の制御部61は、ID装置4に対する応答要求信号を送信する。ID装置4は、扉通信装置6の検出範囲内に入ったことにより、応答要求信号を受信すると、自己に登録されたユーザの識別子をID情報信号として扉通信装置6に送信する。
【0062】
制御部61は、ID情報信号に含まれる識別子が予め登録された人物のものであった場合、扉開閉装置(図示しない)を制御して出入口扉6Aを開放する。さらに、制御部61は、例えば「特許太郎さん、入ります」のように、登録された識別子に対応付けられた人物の名前をスピーカ65から音声出力する。これにより、第3者が作業室内に入り込むことを心理的に困難にすることができる。
【0063】
そして制御部61は、受信したID情報信号と開閉信号と受信時刻と自己に登録された送信元識別子とを送信情報として集計装置5に送信する。
【0064】
集計装置5の集計部52には、ID情報信号が示す識別子と、携帯する作業者と、送信情報として供給された全情報とが対応付けられて手洗監視データベースとして記憶されている。すなわち、どの作業者が携帯するID装置4が現在どの作業区域8又は手洗場9に位置しているかを管理することができる。また、手洗監視データベースには、作業者ごとに手洗済フラグが設けられている。
【0065】
集計部52は、送信情報を受信すると、これらを記憶すると共に、送信情報におけるID情報信号に含まれる識別子に対応する人物(特許太郎)の手洗済フラグを寝かせる。また、集計部52は、人物検出装置3から手洗監視情報信号を受信すると、手洗済フラグを立てるようになされている。
【0066】
また、受信アンテナ7の制御部71は、ID装置4に対する応答要求信号を送信する。ID装置4は、受信アンテナ7の検出範囲内に入ったことにより、応答要求信号を受信すると、自己に登録されたユーザの識別子をID情報信号として受信アンテナ7に送信する。
【0067】
受信アンテナ7は、受信したID情報信号と受信時刻と自己に登録された送信元識別子とを送信情報として集計装置5に送信する。
【0068】
集計装置5の制御部51は、複数の受信アンテナ7からID情報信号が供給された場合には、最も信号強度の大きい位置の受信アンテナに対応する作業区域8(8A~8C)、手洗場9を人物が存在する作業区域8であると判断する。これにより、手洗監視システム1では、作業者がどの作業区域8(8A~8C)又は手洗場9に存在するかを監視することができる。
【0069】
例えば
図10に示すように、人物が手を洗わないまま作業区域8に進入した場合、手洗済フラグは寝たままである。このとき制御部51は、人物(特許太郎)が手洗をしないまま作業区域8へ入ったと判断し、警告処理を実行させる。例えば、制御部51は、ID装置4に対して警告要求信号を送信する。この結果、ID装置4のスピーカ45から、例えば「特許太郎さん、手を洗ってください。」というような音声出力が行われる。それでも手を洗わない場合には、作業室内に設置された大音量の集中スピーカ11から音声出力が実行される。
【0070】
また、
図11に示すように、人物が作業室内に入室後、手を洗った後に作業区域8内へ入ると、手洗済フラグが立っているため、警告処理は実行されない。
【0071】
このように、手洗監視システム1では、入室した人物が作業区域8に入る前に手を洗ったか否かを監視できるようになされている。
【0072】
さらに、手洗監視システム1では、作業工程と連動し、作業が切り替わるため手洗が必要なタイミングにおける手洗いを監視することができる。
【0073】
図12に示すように、集計装置5には、その日の作業予定を表す工程表が登録されている。上述したように、ID装置4には集音マイク44とスピーカ45(
図4参照)とが設けられている。集計装置5は、ID装置4に対して音声出力信号を供給することにより、制御部41の制御によりスピーカ45から音声を出力させる。また、ID装置4からの音声入力信号を受信する。これにより、集計装置5は、工程を管理する機能を有している。
【0074】
以下、
図12に添って説明を行うが、集計装置5は、A~C班それぞれに対して同様の管理を行う。また、別途作業室が存在する場合にはそちらも同様に実行する。工程表の内容は例示であり、本発明はこれに限定されない。
【0075】
集計装置5の工程管理部56は、作業開始時刻になると、対象者(C班に登録されている全員)のID装置4に対して音声出力信号を供給し、例えば「工程1、鮭カットを開始してください」のように、スピーカ45から音声アナウンスを出力させる。
【0076】
工程管理部56は、終了予定時刻の少し前になると、「工程1の終了予定時刻まで後10分です」のように、終了予定時刻が近いことを知らせる音声アナウンスを対象者に出力する。ここで、作業が早く又は遅くなりそうな場合には、リーダー役の作業者(特許太郎)が、例えば「報告」という予め登録されたワードを入力することにより、ID装置4における集音マイク44で集音された音声が集計装置5に送信される。
【0077】
なお、この登録ワードが入力されないときの音声は、集計装置5には送信されない。これにより、通信によって使用される電池の消耗を抑制することができると共に、不要なノイズ信号が集計装置5に送信されることを防止することができる。
【0078】
例えば、リーダー役の作業者が「作業遅延、15分遅れる見込み」と音声入力すると、入力された音声信号はID装置4に登録された作業者(持ち主)を表す識別子と共に集計装置5に送信される。集計装置5の工程管理部56は、音声入力信号を解析し、15分間の作業時間延長指示であると認識すると、終了予定時刻を10:30から10:45に変更する。また、移行の工程(工程2~3)の開始予定時刻及び終了予定時刻も併せて15分だけ遅らせるように変更する。
【0079】
リーダー役の作業者は、工程1における作業が終了すると、「報告」の後に例えば「工程1終了しました。」と音声入力を行う。集計装置5の工程管理部56は、音声入力信号を解析し、C班の工程1が終了したと認識すると、次の工程に移るに当り、手洗が必要かどうかを判別する。なお、この必要か否かの判断条件は、予め工程管理部56に登録されている。
【0080】
例えば、取り扱う材料が同じで作業内容が変更される場合(図示しない)であって、ひとつの工程における作業時間が短い場合、工程管理部56は、対象者(C班に登録されている全員)のID装置4に対して音声出力信号を供給し、例えば「C班工程チェンジです。工程2の鮭ゆでを行ってください」というような音声アナウンスを出力し、そのまま作業が継続される。手洗が必要か不必要かを管理者が予め手作業で入力しておいても良い。
【0081】
一方、一つの工程における作業時間が長い(例えば1.5時間以上)場合や、取り扱う材料の種類(魚、肉、野菜や、これらの種類など)が変更される場合には、手洗が必要と判断される。
【0082】
工程管理部56は、手洗が必要と判断した場合、対象者(C班に登録されている全員)のID装置4に対して音声出力信号を供給し、例えば「C班工程チェンジです。次の工程は肉カットです。手を洗ってください。」のように、スピーカ45から音声アナウンスを出力させると共に、対象者の手洗済フラグを寝かせ、工程1が終了した工程終了時刻を記録する。
【0083】
工程管理部56は、工程終了時刻から所定の第1待時間(例えば3分)が経過しても対象者が作業区域8Cから移動しない場合、及び待ち時間より長い所定の第2待時間(例えば7分)が経過しても対象者の手洗済フラグが立たない場合には、対象者のID装置4に対して音声出力信号を供給し、例えば「商標花子さん、手を洗ってください」のように、スピーカ45から音声アナウンスを出力させる。
【0084】
さらに、工程管理部56は、準備時間より長い所定の第3待時間(例えば15分)が経過しても対象者の手洗済フラグが立たない場合には、作業室内に設置された作業室内の全体に聞こえる集中スピーカ11から「商標花子さん、手を洗ってください」というアナウンスを音声出力する。
【0085】
このように、最初はID装置4を用いて対象者個人に対して手洗を要請すると共に、手洗がなされない場合に集中スピーカ11で音声出力をすることにより、全員に聞こえることにより対象者が恥ずかしい思いをしない配慮と、確実に手洗を要請する効果の両方を達成することができる。
【0086】
<ID装置におけるセンサ機能>
次に、ID装置4におけるセンサ機能について説明する。
【0087】
図4に示したように、ID装置4は、監視センサ43を有している。監視センサ43としては、加速度センサ、温度計及び湿度計を備えている。制御部41は、外部インターフェース42を介して加速度、温度、湿度及びID装置の識別子を含むセンサ情報を定期的(例えば0.5秒ごと)に集計装置5に送信する。
【0088】
集計装置5のセンサ監視部57は、送信されるセンサ情報を監視する。例えば、センサ情報が示す温度が所定の通知温度を超える対象者がいると、発熱している可能性があるため、集計装置5の表示画面に警告を表示したり、警告音を発したり、管理者が保持するID装置4に対して音声出力により通知を行ったり、管理者の携帯電話にメールしたりして管理者に通知を行う。この通知温度は、例えば個人ごとに得られた表体温の測定値の平均値に対し、所定の温度値(例えば0.5℃)だけ加算した温度や、固定値(例えば37.0℃)に設定される。
【0089】
湿度についても同様であり、所定の湿度値を超える場合には発熱・体調不良の可能性があるため、管理者に通知を行う。加速度については、所定の加速度計測時間(例えば5秒間)の平均値が所定の閾値を下回る場合、身につけていない可能性があるため、管理者に通知を行う。
【0090】
また、作業区域8ごとの温度の平均値と湿度の平均値を算出し、快適指数を算出することにより、作業環境が適切に保たれているかを監視することもできる。
【0091】
さらに、ID装置4では、ID装置4の落下を検出する機能を有している。
【0092】
ID装置4の制御部41は、監視センサ43を常に監視し、加速度センサが所定の検出閾値以上となると、ID装置4が落下した可能性があると認識する。このとき、制御部41は、異常加速度信号を受信アンテナ7を介して集計装置5に供給する。集計装置5のセンサ監視部57は、異常加速度信号が供給されると、例えば「意匠二郎、状況を報告せよ。」というように、スピーカ45から音声を出力する。
【0093】
異常が無いため、対象者が、「報告」の後に「意匠二郎、異常ありません。」と音声入力すると、制御部41は、音声入力信号を集計装置5に供給する。集計装置5のセンサ監視部57は、音声入力信号を解析し、異常なしと認識した場合には、処理を終了する。
【0094】
一方、例えば対象者が「報告」の後に「意匠二郎、倒れました。ヘルプ願います。」と音声入力すると、制御部41は、音声入力信号を集計装置5に供給する。集計装置5のセンサ監視部57は、音声入力信号を解析し、異常有りと認識した場合には、管理者へ通知する。
【0095】
さらに、所定の応答時間が経過してもID装置4から音声入力信号が供給されない場合、ID装置4が対象者から離れた可能性があるため、集計装置5のセンサ監視部57は、管理者に通知すると共に、ID装置4のスピーカ45から警告音を出力してID装置4を探しやすくする。
【0096】
さらに、センサ監視部57は、例えば「意匠二郎さんのID装置に異常が発生しました。」というように、集中スピーカ11で異常が発生したことを音声出力し、作業室内の全員に異常を知らせるようになされている。
【0097】
このように、加速度と対象者の応答とを組み合わせることにより、状況に応じた適切な対応が可能となる。
【0098】
<手洗音判別処理>
かかる構成に加えて、手洗監視システム1では、音を用いて手洗の有無を判別する。なお、以下、人物検出装置3が手洗音判別処理を実行する場合について説明するが、電解水供給装置2や音判別処理を行う専用の装置、若しくは集音した音を送信することにより受信アンテナ7や集計装置5によって手洗音判別処理が実行されてもよい。
【0099】
まず、人物検出装置3の音判別部37では、例えば手洗監視システム1の設定時又は定期的に、予め手洗をしなかった場合の音パターンの解析結果が登録される音登録処理が実行される。
【0100】
具体的に、音判別部37は、例えば登録ボタン35が押下されると、音登録処理を開始し、電解水供給装置2に対して電解水の排出を要求する排出開始信号を供給する。このとき、音判別部37は、集音マイク36から供給される音を記憶する。音判別部37は、所定の音測定時間が経過後、排出終了信号を供給すると共に、記憶された音の周波数を解析する。
【0101】
例えば、音判別部37は、所定の周波数帯域ごとに音の強度を分離し、強度の大きい一又は複数の周波数帯域(以下、これを特徴周波数帯域と呼ぶ)と、特徴周波数帯域における音の強度(以下、これを特徴強度と呼ぶ)を特定し、これを特徴周波数情報として記憶する。これにより、手洗を行わないときの音の特徴が音判別部37に登録される。
【0102】
人物検出装置3の音判別部37は、電解水供給装置2から排出開始信号が供給されると、集音マイク36から供給される音を解析し、実際に手洗が行われているか否かを判別し、手洗が行われた合計時間を集計装置5に送信する。
【0103】
具体的に、音判別部37は、電解水供給装置2から排出開始信号が供給されると、実際手洗判別処理を開始し、集音マイク36から供給される音を解析し、所定の解析時間(例えば0.1~2秒)ごとの特徴周波数情報と比較する。音判別部37は、特徴周波数帯域の強度が、特徴強度よりも小さい所定の強度閾値(例えば特徴強度の2/3~1/3)より大きい場合、手洗が行われていない非手洗状態と判別し、特徴強度よりも小さい所定の強度閾値未満の場合、実際に手洗が行われている実際手洗状態と判別する。
【0104】
制御部31は、実際手洗判別処理における判別結果を集計装置5へ供給する。この結果、集計装置5では、リアルタイムで手洗の状況を監視することができる。なお、判別結果の全てを集計装置5に送信しても良いが、必ずしも全てを送信する必要は無く、判別結果の最初及び最後、並びに変化が起きたときのみ判別結果を送信したり、実際手洗状態が判別されてから非手洗状態と判別されるまでの時刻と、解析時間より大きい所定の送信間隔(例えば0.5~3秒)ごとに判別結果が送信されたりしてもよい。
【0105】
音判別部37は、電解水供給装置2から排出終了信号が供給されると、実際手洗判別処理を終了する。
【0106】
このように、現場である手洗場9において取得される手洗していないときの音に基づいて、手洗が実際に行われているか否かを判別することにより、手洗場9の材質や大きさに影響されることなく、高い精度で手洗の有無を判別することができる。
【0107】
なお、音登録処理は必ずしも必須ではなく、予め排出部26の特徴から必ず発生する周波数帯域が特徴周波数帯域として登録されており、予め強度閾値が設定されているようにすることもできる。
【0108】
また、周囲の音の影響をできる限り小さくするため、水の音が小さくなる箇所に別途比較用マイク(図示しない)を設け、比較用マイクで集音された音を集音マイク36によって集音された音から差分することにより、周辺の雑音を相殺するようにしても良い。
【0109】
<手洗監視処理手順>
次に、手洗監視プログラムに従って実行される手洗監視処理S100について、
図14に示すフローチャートを用いて説明する。
【0110】
集計装置5の集計部52は、ステップS101において送信情報の供給を待ち受け、送信情報を受信すると、次のステップS102へ移る。ステップS102において、集計部52は、送信情報における送信元識別子を抽出すると共に、送信元識別子が扉通信装置6を表しているか否かを判別する。
【0111】
ここで肯定結果が得られた場合、集計部52は、ID装置4の保持者が出入口扉6Aを通過したため、次のステップS103へ移り、識別子に対応する作業者の手洗済フラグを寝かせると、次のステップS104へ移る。一方、ステップS102において否定結果が得られた場合、集計部52は、次のステップS104へ移る。
【0112】
ステップS105において、集計部52は、送信情報が排出終了信号を含むか否かを判別する。ここで肯定結果が得られた場合、作業者が手洗を完了したため、次のステップS106へ移り、識別子に対応する作業者の手洗済フラグを立て、次のステップS107へ移る。一方、ステップS105において否定結果が得られた場合、集計部52は、次のステップS107へ移る。
【0113】
ステップS107において、集計部52は、送信情報における送信元識別子を抽出すると共に、送信元識別子が作業区域8を表しているか否かを判別する。
【0114】
ここで肯定結果が得られた場合、集計部52は、手洗済フラグが寝ているか否かを判別する。ここで肯定結果が得られた場合、手洗が必要であるにも拘わらず作業者が手洗を完了せずに作業区域8に進入したため、次のステップS109へ移り、手洗警告処理が実行される。手洗警告処理としては、ID装置4による音声出力や集中スピーカ11による音声出力、管理者への通知などから選択される処理が適宜行われる。一方、ステップS108において否定結果が得られた場合、手洗が必要でないため、次のステップS109へ移る。また、ステップS107において否定結果が得られた場合、作業区域8に作業者が進入していないため、次のステップS109へ移る。
【0115】
ステップS109において、集計部52は、集計装置5を管理する管理者からリセット要求があったか否かについて判別する。このリセット要求は、なんらかのエラーが生じた場合や業務終了時などに管理者からなされるものであり、必ずしも必要ではない。
【0116】
ここで肯定結果が得られた場合、ステップS113へ移り、リセットすることに対する確認表示を行い、次のステップS114で管理者の了承の有無を判別する。ここで肯定結果が得られると、次のステップS115へ移り、全作業員の手洗済フラグをリセットし、終了ステップに移って処理を終了する。
【0117】
一方、ステップS112及びステップS114において否定結果が得られた場合、集計部52は、終了ステップに移って処理を終了する。
【0118】
<工程管理処理手順>
次に、工程管理プログラムに従って実行される工程管理処理S200について、
図15に示すフローチャートを用いて説明する。
【0119】
集計装置5の工程管理部56は、ステップS201において作業工程の終了又は休憩時間による作業の中断などにより、作業が終了すると、次のステップS202へ移る。
【0120】
ステップS202において、工程管理部56は、現時点において手洗が必要か否かを判別する。ここで否定結果が出た場合、手洗を行う必要がないため、工程管理部56は、次のステップS205へ移り、次工程の内容を指示すると、終了ステップへ鬱って処理を終了する。
【0121】
一方、ステップS202において肯定結果が出た場合、工程管理部56は、ステップS203へ移り、手洗監視データベースにおける手洗済フラグを寝かせ、次のステップS204へ移る。
【0122】
ステップS204において、工程管理部56は、対象者に対し、次工程の内容及び手洗を行う旨を指示し、次のステップS207へ移る。ステップS207において、工程管理部56は、第1待時間が経過したか否かを判別する。ここで否定結果が出た場合、工程管理部56は、ステップS221へ移り、手洗を行うべき対象者全員に対応する手洗監視情報が供給されたか否かを判別する。ここで否定結果が出た場合、工程管理部56は、ステップS207へ戻る一方、肯定結果が出た場合、ステップS209へ移る。
【0123】
一方、ステップS207で肯定結果が出た場合、工程管理部56は、次のステップS209へ移り、手を洗うべき対象者が作業区域を移動したか否かについて判別する。ここで肯定結果が出た場合、作業者が手洗場9にいる又は移動中である可能性があるため、次のステップS212へ移る。
【0124】
一方、ステップS209において否定結果が得られた場合、工程管理部56は次のステップS210へ移り、手を洗うべき対象者であって今だ手洗済フラグが寝ている(手洗監視情報が供給されていない)対象者に対し、手洗を行うように指示を行うと、次のステップS212へ移る。
【0125】
ステップS212において、工程管理部56は、第2待時間が経過したか否かを判別する。ここで否定結果が出た場合、工程管理部56は、ステップS222へ移り、手洗を行うべき対象者全員に対応する手洗監視情報が供給されたか否かを判別する。ここで否定結果が出た場合、工程管理部56は、ステップS212へ戻る一方、肯定結果が出た場合、ステップS214へ移る。
【0126】
一方、ステップS212において否定結果が得られた場合、工程管理部56は次のステップS214へ移り、手を洗うべき対象者であって今だ手洗済フラグが寝ている(手洗監視情報が供給されていない)対象者に対し、手洗を行うように指示を行うと、次のステップS216へ移る。
【0127】
ステップS216において、工程管理部56は、第3待時間が経過したか否かを判別する。ここで否定結果が出た場合、工程管理部56は、ステップS223へ移り、手洗を行うべき対象者全員に対応する手洗監視情報が供給されたか否かを判別する。ここで否定結果が出た場合、工程管理部56は、ステップS212へ戻る一方、肯定結果が出た場合、ステップS224へ移る。
【0128】
一方、ステップS212で肯定結果が出た場合、工程管理部56は、次のステップS214へ移り、手を洗うべき対象者が作業区域を移動したか否かについて判別する。ここで肯定結果が出た場合、作業者が手洗場9にいる又は移動中である可能性があるため、次のステップS212へ移る。
【0129】
一方、ステップS209において否定結果が得られた場合、工程管理部56は次のステップS210へ移り、手を洗うべき対象者であって今だ手洗済フラグが寝ている(手洗監視情報が供給されていない)対象者に対し、手洗を行うように警告を行うと、終了ステップへ移って処理を終了する。
【0130】
一方、ステップS221、S222、S223において肯定結果が得られた場合、このことは、対象者全員が手洗を完了したことを表しており、このとき工程管理部56は、終了ステップへ移って処理を終了する。
【0131】
<落下検出処理手順>
次に、落下検出プログラムに従って実行される落下検出処理S300について、
図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0132】
ステップS301において、集計装置5のセンサ監視部57は、受信アンテナ7を介してID装置4から供給される異常信号を受信すると、次のステップS301へ移る。
【0133】
ステップS302において、センサ監視部57は、受信アンテナ7を介してID装置4に対して音声出力信号を送信し、次のステップS303へ移る。ステップS303において、センサ監視部57は、ID装置4から音声入力信号が入力されたか否かについて判別する。ここで肯定結果が得られると、センサ監視部57は、次のステップS304へ移り音声解析を行い、次のステップS305へ移る。
【0134】
ステップS305において、センサ監視部57は、音声解析の結果が異常状態であるか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、センサ監視部57は、終了ステップへ移って処理を終了する。これに対して、ステップS305において肯定結果が得られた場合、センサ監視部57は、異常が生じたことを管理者に通知し、終了ステップへ移って処理を終了する。
【0135】
一方、ステップS303において否定結果が得られた場合、センサ監視部57は、次のステップS311へ移り、応答時間が経過したか否かについて判別する。ここで否定結果が得られると、センサ監視部57は、ステップS303へ戻り、音声入力信号の受信を待ち受ける。これに対してステップS311において肯定結果が得られた場合、ID装置4が所持者から離れた、若しくはID装置4自体が故障したなどの緊急事態の可能性があるため、次のステップS312へ移る。
【0136】
ステップS312において、センサ監視部57は、管理者及び作業者に対して緊急事態を通知し、終了ステップへ移って処理を終了する。
【0137】
このように、落下検出において大きな加速度値が検出された場合に、音声による状況確認ができる場合に通知を行わないことにより誤動作などによる正常時の異常信号を排除し、管理者の管理負担を軽減することができる。
【0138】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0139】
<特徴A>
本発明の手洗監視システムにおいて、
手洗用水を供給する手洗水供給手段(電解水供給装置2)と、
作業者によって携帯され、近距離通信によって識別子を送信するID(Identification)手段(ID装置4)と、
前記手洗水供給装置の内部又は外部近傍に配置され、前記ID手段から送信されるID情報に基づく監視情報を送信する監視情報送信手段(人物検出装置3)と、
前記監視情報送信手段から送信される前記監視情報を受信し、前記識別子ごとに集計する集計手段(集計装置5)と、
所定の手洗必要判別条件を満たすときに、前記作業者に対する手洗の必要性の有無を判別する手洗判別手段(集計部52,工程管理部56)と、
前記手洗判別手段によって手洗が必要と判別され、手洗が行われていないと推測される非手洗推測条件を満たした場合、管理者及び作業者のうち少なくとも一方に通知する通知手段(スピーカ45,集中スピーカ11,集計装置5)とを有することを特徴とする。
【0140】
これにより、手洗監視システムでは、作業者ごとに手洗いが必要と判別及び手洗の有無を管理できる。
【0141】
手洗監視システムでは、前記作業者が作業を行う作業区域(作業区域8)に進入したことを検出する進入検出手段(受信アンテナ7)を有し、
前記手洗必要判別条件は、
前記作業者が前記作業区域に進入したことであることを特徴とする。
【0142】
これにより、作業者が作業区域に進入したときに作業者に手洗を行うよう作業者を監視することができる。
【0143】
手洗監視システムでは、前記作業者が所定の通過領域(出入口扉6A)を通過したことを検出する通過検出手段を有し、
前記手洗必要判別条件は、
前記作業者が前記通過領域を通過した後、前記作業者が作業を行う作業区域に進入することであることを特徴とする。
【0144】
これにより、例えば出入口など、通過領域を通過して移動したときに作業者に手洗を行うよう作業者を監視することができる。なお、赤外線センサやレーザセンサなどを用いることにより、作業者が通過したことをより確実に検出することができる。
【0145】
手洗監視システムにおいて、前記作業者が行う予定の予定作業工程を表す作業情報が登録され、前記作業情報に基づき、前記手洗必要判別条件を満たすか否かを判別する工程管理部(工程管理部56)を有し、
前記手洗判別部は、
前記工程管理部によって手洗必要判別条件を満たすと判別されると、前記作業者に対する手洗の必要性の有無を判別することを特徴とする。
【0146】
これにより、例えば工程の移り変わり時や休憩などの作業中断時など、作業工程に応じて手洗の必要性の有無を判別できるため、作業工程に合わせて適切な手洗の管理を行うことができる。
【0147】
手洗監視システムにおいて、前記工程管理部は、
前記作業情報に基づいて実際の作業工程を確認し、実際の作業工程に応じて前記手洗必要判別条件を満たすか否かを判別することを特徴とする。
【0148】
これにより、実際の作業工程に応じた適切な手洗の管理を行うことができる。
【0149】
手洗監視システムにおいて、前記通知手段は、
前記ID手段に設けられた個人スピーカであり、
前記ID手段を携帯する作業者に聞こえるよう、手洗を促すアナウンスが通知されることを特徴とする。
【0150】
これにより、作業者ごとにアナウンスを通知することができるため、通知されるべき作業者に対してのみ手洗を促すことができ、他の作業者の気をそらせることがなく、また大勢の作業者に聞かれることがないため通知された作業者に羞恥心を抱かせることを防止できる。
【0151】
手洗監視システムにおいて、前記通知手段は、
前記作業区域の内部又は近傍に設置された集中スピーカであり、
前記作業区域の作業者全員に聞こえるよう、手洗を促すアナウンスが通知される
ことを特徴とする。
【0152】
これにより、手洗をしていない本人だけでなく、周囲の作業者にも知らせることができるため、確実に手洗を促すことができる。
【0153】
手洗監視システムにおいて、前記通知手段は、
前記集計手段に設置された外部出力部であり、
前記管理者に対して、通知が行われることを特徴とする。
【0154】
これにより、手洗をしていない作業者がいることを管理者に通知することができる。
【0155】
手洗監視システムにおいて、前記通知手段は、
前記ID手段に設けられた個人スピーカと、前記作業区域の内部又は近傍に設置された集中スピーカであり、
第1の通知条件を満たすとき、前記ID手段を携帯する作業者に聞こえるよう、手洗を促すアナウンスが通知され、
第2の通知条件をみたすとき、前記作業区域の作業者全員に聞こえるよう、手洗を促すアナウンスが通知されることを特徴とする。
【0156】
これにより、アナウンスが通知される作業者の羞恥心を最小限に抑えつつ、確実に手洗を促すことができる。
【0157】
手洗監視システムにおいて、前記ID手段には、
落下したことを検出する落下検出手段が設けられていることを特徴とする。
【0158】
これにより、作業者が携帯するID手段が落下したことを検出できるため、ID手段の紛失や製品への混入を防止することができる。
【0159】
手洗監視システムにおいて、前記落下検出手段は、
加速度値を監視し、加速度値が所定の異常閾値以上になると、管理者が管理するセンサ監視手段に対して異常信号を送信することを特徴とする。なお、落下検出手段としては、ID手段によって測定された加速度値を監視情報送信手段が常に監視し、監視情報送信装置が異常信号を送信しても良く、ID手段が比較的長距離の(集計手段と通信可能な)無線通信手段を備えており、ID手段が異常信号を集計手段へ直接送信するようにしてもよい。
【0160】
これにより、加速度値が異常に大きくなったときのみ、管理者に知らせることができ、常に加速度値を送信する場合と比較して、通信負荷を軽減できる。
【0161】
手洗監視システムにおいて、前記ID手段には、個人スピーカ及び集音マイクが設けられており、
前記センサ監視手段は、
異常信号が供給されると、音声認識により作業者に対して異常確認を行うことを特徴とする。
【0162】
これにより、管理者は、遠隔地にいながら作業者に対して異常確認を行うことができ、管理者の管理負担を軽減できる。
【0163】
手洗監視システムにおいて、前記ID手段には、
作業環境を表す環境情報を取得する作業環境測定手段が設けられていることを特徴とする。
【0164】
これにより、手洗監視システムでは、手洗監視に加えて作業環境をも管理することができる。
【0165】
手洗監視システムにおいて、前記工程管理部は、
音声認識により作業者に対して実際の作業工程を確認することを特徴とする。
【0166】
これにより、手洗監視システムでは、手を使用せずに作業者に対して確認作業を行うことができるため、作業者の手を煩わせることがない。また、手を用いなければならない場合と比較して、ID手段の携帯場所の制限が減るため、例えば作業着の内部にID手段を位置させることが可能となり、ID手段が製品に混入することを未然に防止できる。
【0167】
<特徴B>
本発明の落下検出システム(ID装置4,集計装置5)では、
予め登録された識別子を送信する送信手段(外部インターフェース42)と、加速度値を測定する加速度センサとを有するID装置(ID装置4)と、
前記加速度値を監視し、加速度値が所定の異常閾値以上になると、管理者及び作業者のうち少なくとも一方に通知する通知手段(スピーカ45,集中スピーカ11,集計装置5)とを有することを特徴とする。
【0168】
これにより、落下検出システムでは、自身の落下を管理者又は作業者に通知することができる。
【0169】
落下検出システムにおいて、
前記ID手段から近距離通信によって送信されるID情報に基づく監視情報を送信する監視情報送信手段(受信アンテナ7)と、
前記監視情報送信手段から送信される前記監視情報を受信し、前記識別子ごとに集計する集計手段とを有し、
前記監視情報送信手段は、
加速度値を前記監視情報送信手段に送信し、
前記監視情報送信手段又は前記集計手段は、
前記加速度値を監視し、加速度値が所定の異常閾値以上になると、前記通知手段に対して異常信号を送信する。
【0170】
これにより、落下に伴う水濡れなどの不意の故障によりID手段における機能が失われた場合であっても、最後に送信された加速度値に基づいて、落下の有無を判別することができる。
【0171】
落下検出システムにおいて、
前記ID手段から近距離通信によって送信されるID情報に基づく監視情報を送信する監視情報送信手段と、
前記監視情報送信手段から送信される前記監視情報を受信し、前記識別子ごとに集計する集計手段とを有し、
前記送信手段は、
前記加速度値を監視し、加速度値が所定の異常閾値以上になると、前記監視情報送信手段又は前記集計手段に対して異常信号を送信する。
【0172】
これにより、異常があるときのみ異常信号が送信されるため、通信負荷を軽減できる。
【0173】
<特徴C>
本発明の手洗音判別システムでは、音を取得する集音マイク(集音マイク44)と、
手洗用水を供給している手洗時の音を解析することにより、実際に手洗が行われているか否かを判別する実際手洗判別処理を実行する音判別手段(音判別部37)とを有することを特徴とする。
【0174】
これにより、実際に手洗を行っているか否かを判別することができる。
【0175】
手洗音判別システムにおいて、前記音判別手段は、
手洗を行っていない状態において手洗用水を供給したときの非手洗時の音に基づいて、前記実際手洗判別処理を実行することを特徴とする。
【0176】
これにより、簡易な処理で実際に手洗を行っているか否かを判別することができる。
【0177】
手洗音判別システムにおいて、複数の周波数帯域に分離すると共に、非手洗時の強度の大きい周波数帯域を特徴周波数帯域として選択し、手洗時の特徴周波数帯域の強度と非手洗時の特徴周波数帯域の強度とを比較することにより、非手洗時の音に基づいて、実際手洗判別処理を実行することを特徴とする。
【0178】
これにより、高い精度で実際に手洗を行っているか否かを判別することができる。
【0179】
手洗音判別システムにおいて、実際に手洗が行われているか否かの判別結果を送信する送信手段を有することを特徴とする。
【0180】
これにより、例えば手洗を監視する手洗監視システムなどに本発明を適用し、実際の手洗の状況を管理することができる。
【0181】
手洗音判別システムにおいて、前記集音マイクによって取得された音を前記音判別手段に対して送信する送信手段を有することを特徴とする。
【0182】
これにより、集音マイクの設置を自由に行うことができ、実際手洗判別処理の精度を向上させることができる。また、例えば遠隔に設置した高性能のコンピュータに実際手洗判別処理を実行させることができるため、高度な音解析が可能となる。
【0183】
手洗音判別システムにおいて、前記音判別手段は、
手洗行っている状態において特異的に発生する音を検出することにより、前記実際手洗判別処理を実行することを特徴とする。
【0184】
これにより、手洗時に手から発せられる特有の音(例えば手をもむ音や手に手洗用水が衝突する音など)を検出し、実際手洗状態であることを判別することができる。また、手をもむ際に発生する音から、手の動かし方を解析し、例えば「もっとゆっくり手をもみましょう。」のように、手洗の指導を行うこともできる。
【0185】
また、手洗水供給システムでは、音を取得する集音マイクと、
手洗用水を供給している手洗時の音を解析することにより、実際に手洗が行われているか否かを判別する実際手洗判別処理を実行する音判別手段と
手洗用水を供給する手洗水供給手段と、
前記実際手洗判別処理の結果に基づいて、前記手洗水の供給時間を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0186】
これにより、どれだけの時間に亘って実際に手洗を行っているかを管理できると共に、例えば所定の時間以上、非手洗状態が続いた場合に、手洗を促すアナウンスを出力したり、手洗水の供給を停止することができる。
【0187】
手洗水供給システムにおいて、前記実際手洗判別処理によって実際に手洗が行われていると判別された時点から所定の供給時間に亘って前記手洗水を供給するよう前記手洗水供給手段を制御することを特徴とする。
【0188】
これにより、本当に必要な時間だけ手洗水を供給でき、手洗水を余分に流さないで済むため、手洗水を節約できると共に手洗時間を短縮することができる。
【0189】
手洗水供給システムにおいては、音声出力部を有し、
前記制御部は、
前記手洗水の供給を開始してから所定の猶予時間を超えても前記実際手洗判別処理において実際に手洗が行われていると判別されない場合には、前記音声出力部から手洗を促すアナウンスを出力させることを特徴とする。
【0190】
これにより、手洗が管理されていることを作業者に知らせ、手洗を推進することができる。
【0191】
手洗水供給システムにおいて、作業者によって携帯され、近距離通信によって識別子を送信するID(Identification)手段と、
前記手洗水供給装置の内部又は外部近傍に配置され、前記ID手段から送信されるID情報に基づく監視情報を送信する監視情報送信手段と、
前記監視情報送信手段から送信される前記監視情報を受信し、前記識別子ごとに集計する集計手段とを有することを特徴とする。
【0192】
これにより、どれだけの時間に亘って実際に手洗を行っているか個人単位で管理することができる。
【0193】
<他の実施の形態>
なお、上述実施形態において電解水供給装置2の制御部21は、センサ22による手の検出後、所定の供給時間に亘って手洗用水を排出するようにしたが、本発明はこれに限らず、音判別部37によって実際手洗状態が検出されてから、所定の供給時間に亘って手洗用水を排出したり、実際手洗状態が所定の時間に亘って検出されると手洗用水の排出を停止するようにしても良い。これにより、実際手洗状態の時間に合わせて手洗用水の供給時間コントロールできるため、長めに手洗用水を供給する必要がなく時間及び手洗用水の節約ができると共に、全ての作業者に対してより適切な手洗時間を指導することができる。
【0194】
なお、上述実施形態においては、ID情報と供給開始時刻と供給停止時刻とが集計装置5に供給されるようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば電解水貯留部25にpH測定器、温度計、有効塩素濃度測定計が設置されている場合には、電解水が供給されているときの各測定値(pH、温度、有効塩素濃度)を一緒に集計装置5に供給するようにしても良い。これにより、手洗時における電解水の品質を証明することが可能となる。また、ID情報と供給開始時刻と供給停止時刻に基づき、記憶された集計装置5において、平均手洗時間や、一定期間(日、週、月、年など)当りの手洗回数及び時間などを集計することも可能である。
【0195】
また、上述実施形態においては、最初と最後に検出されたIDを集計装置5に供給するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば上記に加えて、ID情報の変化を監視し、変化した場合には、上記に加えて変化した時刻及びIDを集計装置5に送信しても良い。また、検出されたIDの全てを集計装置5に送信しても良い。
【0196】
さらに、上述実施形態においては、IDの識別として無線通信を利用して手洗者の存在を確認したが、本発明はこれに限らず、例えば画像識別子や体重計など別のセンサを用いて手洗者の存在を確認するようにしても良い。また、特段センサを設けなくても、人物の検出に応じて手洗用電解水を供給開始するようにしても良い。
【0197】
また、上述実施の形態においては、電解水供給装置2は、予め設定された量又は時間に亘って手洗用電解水を供給するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、センサ22は、人物の手を検出し、電解水供給装置2は、人物の手が検出されている間、手洗用電解水を供給するようにしてもよい。これにより、ユーザごとに必要な量だけ、無駄なく電解水を供給することが可能となる。
【0198】
さらに、上述実施形態においては、生成した電解水をそのまま手洗用電解水として使用したが、本発明はこれに限られない。例えば電解水貯留部25にpH測定器や有効塩素濃度測定器を設け、pHや有効塩素濃度測定器が所定の値の範囲内になるように希釈水(水道水やナノバブル水など)を加えたり、生成された電解水の量に応じた希釈水を加えたりして電解水貯留部25の内部で手洗用電解水を調製しても良い。
【0199】
さらに、上述実施の形態においては、人物検出装置3を外付けにしたようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、電解水供給装置2に内蔵してもよい。
【0200】
また、上述実施形態においては、ID装置4が受信アンテナ7を介して集計装置5と通信するようにしたが、本発明はこれに限らず、ID装置4が近距離通信だけでなくローカルネットワークによる無線通信機能を有し、ID装置4と集計装置5とが直接通信を行うことも可能である。また、受信アンテナ7だけでなく、扉通信装置6や人物検出装置3の通信機能を使用して集計装置5と通信することも可能である。
【0201】
さらに、ID装置4を防水仕様にすることにより、ID装置4が落下した地点に水があった場合であっても故障することなく音を出力したり、通信を行うことが可能となる。また、ID装置4にマイク機能は必須ではない。
【0202】
ID装置4の監視センサ43から送信される加速度、温度及び湿度などの監視データは、例えば人物検出装置3、ID装置4、集計装置5、扉通信装置6、受信アンテナ7の各装置のうち複数台にログ情報として記録されるようにしても良い。これにより、何らかの事故が発生した場合であっても、いずれかの装置からログ情報を確実に取得することができる。なお、これらのログ情報のうち、集計装置5以外に記録されたログ情報は、データ量の削減のため例えば1回/1~10秒程度に間引きされると共に、1週間~2週間程度経過後に削除されることが好ましい。
【0203】
上述実施形態では、加速度によってID装置4の落下を検出するようにしたが、本発明はこれに限らず、温度計を使用することにより、作業者から離れたかどうかを検出することもできる。例えば温度値が所定の表体温閾値を下回った場合、作業者から離れたと認識し、警告音を発生させることができる。もちろん、加速度センサと併用することも可能であるし、加速度センサを設けないで温度計による検出のみを行っても良い。
【0204】
上述実施形態では、特に述べていないが、人物検出装置3は、手洗用電解水の供給が終了する度に近距離通信圏内のスキャニングを行い、最も電波強度の大きいID装置4を選択してペアリング処理を実行する。このとき、例えば表示部(図示しない)に「●●さん、手を洗ってください」と表示したり、音声出力したりすることにより、ID装置4の検出ミス(人違い)を減少させることが可能である。
【0205】
電解水供給装置2を1台だけ設置するようにしたが、本発明はこれに限らず、1つの手洗場9に対して複数台の電解水供給装置2を設置することも可能である。この場合、集計装置5を介して又は人物検出装置3同士が直接通信することにより相互に通信を行い、現在手洗中の作業者をスキャニングの際に除外して検出しないようにすることができる。また、手洗音判別処理を行う際には、指向性のあるマイクを集音マイク36として使用することにより、各人物検出装置3ごとの手洗判別の精度を向上させることができる。また相互通信により、隣接する電解水供給装置2間における手洗用電解水の供給状況や手洗有無の状況を勘案して手洗判別の精度を向上させることもできる。
【0206】
また、上述実施の形態では、集計装置5に対して人物の検出開始時刻及び検出終了時刻、手洗用電解水の排出開始時刻及び排出終了時刻が供給されるようにしたが、本発明はこれに限らず、手洗音判別処理が実行される場合には、少なくとも実際手洗状態の検出時刻と、検出終了時刻又は手洗用電解水の排出終了時刻が集計装置5に供給されれば良い。これにより、集計装置5は、実際手洗状態の時間を集計することができる。
【0207】
さらに、上述実施の形態においては、手洗水供給手段としての電解水供給装置2と、ID手段としてのID装置4と、監視情報送信手段としての人物検出装置3と、集計手段としての集計装置5と、手洗判別手段としての集計部52又は工程管理部56と通知手段としてのスピーカ45、集中スピーカ11又は集計装置5とによって手洗監視システムとしての手洗監視システム1を構成するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成による電解水供給手段と、ID手段と、監視情報送信手段と、集計手段と、手洗判別手段と、通知手段とによって本発明の手洗監視システムを構成してもよい。
【0208】
さらに、上述実施形態においては、集音マイクとしての集音マイク36と手洗判別手段としての集計部52又は工程管理部56とによって手洗判別システムを構成するようにしたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成による集音マイクと手洗判別手段とによって本発明の手洗判別システムを構成しても良い。なお、手洗判別手段としては、集計部52又は工程管理部56のうち少なくとも一方があれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明は、例えば病院や介護施設などの手洗いスペースに設置される手洗水供給装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0210】
1:手洗監視システム,2:電解水供給装置,3:人物検出装置,4:ID装置,5:集計装置,6:扉通信装置,6A:出入口扉,7:受信アンテナ,8:作業区域,9:手洗場,11:集中スピーカ,21:制御部,22:センサ,23:原料液貯留部,24:電解水生成部,25:電解水貯留部,26:排出部,31:制御部,32:ID検出部,33:計測部,34:外部インターフェース,35:登録ボタン,36:集音マイク,37:音判別部,41:制御部,42:外部インターフェース,43:監視センサ,44:集音マイク,45:スピーカ,51:制御部,52:集計部,53:外部インターフェース,54:操作入力部,55:表示部,56:工程管理部,57:センサ監視部,61:制御部,65:スピーカ,71:制御部