(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】粉粒体の定量フィーダ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/48 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
B65G65/48 D
(21)【出願番号】P 2017035602
(22)【出願日】2017-02-28
【審査請求日】2020-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】508038806
【氏名又は名称】株式会社アイシンナノテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】月原 信夫
(72)【発明者】
【氏名】山根 穣
(72)【発明者】
【氏名】豊田 敦史
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-502603(JP,A)
【文献】特開平09-086670(JP,A)
【文献】特開昭59-097913(JP,A)
【文献】特開2012-072491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が投入される収容容器と、
収容容器から供給された粉粒体を回転搬送する円盤であり、回転中心側から周縁側になるにしたがって高さが低くなる斜面と、周縁に等間隔に形成された羽根とを有する供給盤と、
供給盤が収容される底を有する筒形状であり、
供給盤の周縁部に相当する底の一部であって平面視で
みたときに供給盤の斜面に重複する
位置に排出孔が形成された収容部とを備え、
羽根は、斜面の一部に周縁側から回転中心側に向かう凹みを等間隔に設けることで凹みと凹みとの間の斜面の残部により形成されている粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項2】
供給盤の斜面は、角度の異なる複数の斜面によって複数段に形成されている請求項1に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒や粉体よりも大きい粒体、若しくは、粉体と粒体が混ざり合ったもの(以下、これらを総称して粉粒体という)を定量供給するための定量フィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉粒体を定量供給することは、その粉粒体の物性、例えば、比重、粒子、粒度の相違、水分や静電気に起因する付着性や凝集性に影響を受け、非常に困難な作業となっている。
【0003】
このような課題に対し、出願人は、特許文献1に示すような粉粒体の定量フィーダ装置を開発した。この装置を
図9に示す。なお、特許文献1中の符号については、括弧を付して示す。
図9に示すように、特許文献1の定量フィーダ装置は、粉粒体の収容容器(2)を有し、その収容容器(2)の下方に設置された駆動部と、その駆動部と連動される回転軸(23)に取り付けられ、粉粒体を回転搬送する供給盤(20)と、その供給盤(20)の外方端下に形成された排出シュート(7)を有している。供給盤(20)は、回転中心側から周縁側になるにしたがって高さが低くなる斜面を有する円錐台形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、定量供給の対象となる粉粒体は様々であり、粉粒体の種類によっては、粉粒体が供給盤(20)の上に堆積して残留し、排出シュート(7)から排出されないものがある。例えば、粉粒体の形状が、角ばっている場合や粉粒体の表面摩擦が大きい場合には、粉粒体が供給盤(20)に張り付いたままとなり(ブロッキング)、粉粒体を順次排出シュート(7)へ搬送されない。また、粉粒体が棒状である場合には、粉粒体同士が供給盤の上に鳥の巣のように絡み合って、供給盤が空転しまうこともある(ブリッジ)。このような場合には、正確な定量供給ができない。
【0006】
本発明は、このような問題に対してなされたものであり、ブロッキングやブリッジを回避して、安定的に粉粒体を供給盤から排出シュートに搬送することにより、正確な定量供給を可能とする粉粒体の定量フィーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような目的を達成するために、以下のような特徴を有している。
【0008】
[1] 粉粒体が投入される収容容器と、
収容容器から供給された粉粒体を回転搬送する円盤であり、回転中心側から周縁側になるにしたがって高さが低くなる斜面と、周縁に等間隔に形成された羽根とを有する供給盤と、
供給盤が収容される底を有する筒形状であり、供給盤の周縁部に相当する底の一部に排出孔が形成された収容部とを備えた粉粒体の定量フィーダ装置。
【0009】
[2] 供給盤の羽根の形状は、先端になるに従い幅が狭くなる三角形であり、羽根の先端は、平面視において羽根の中心よりも回転方向前方にずれて配置されている[1]に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の全体構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の定量部を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の効果を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態3に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態4に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態5係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
【
図9】従来の粉粒体の定量フィーダ装置の定量部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照し、本発明の実施の形態に係る粒体の定量フィーダ装置について説明する。
【0012】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の全体構成を示す断面図である。この粉粒体の定量フィーダ装置は、粉粒体の投入口1が開口された粉粒体の収容容器(ホッパー)2、粉粒体の定量を行う定量部(後述する)が設置されたディスクフレーム10、および粉粒体の定量部を駆動するモータ8を有している。収容容器2、ディスクフレーム10およびモータ8は、架台9の上に設置されている。
【0013】
図1では、収容容器2は、ブリッジ防止を目的としてストレートな円筒形としているが、収容容器2は、下方になるに従って径が小さくなるようなコーン状としてもよい。
【0014】
収容容器2の内部には、攪拌軸11の一部として、略L字状の丸棒からなる攪拌棒3が取り付けられている。攪拌棒3は、攪拌軸11と同期回転することで、収容容器2内の粉粒体が、ブリッジや収容容器2の内側側面に付着しないように機能する。攪拌軸11の下端側には、後述する供給盤5に定量の粉粒体を送り、供給するための供給手段4が取り付けられている。
【0015】
攪拌棒3の下方には収容容器2の内壁面とやや隙間を設けて半月形の仕切板12が設けられている。仕切板12は、隔壁として収容容器(ホッパー)2内部と、その下方に設置された粉粒体の供給手段4とを分離している。仕切板12は、供給手段4に供給する粉圧を一定に保ち、収容容器2内部の材料の残量の変化に伴う供給量の変動を最小限に抑えより精度良く定量供給を可能にするように機能する。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態に係る粉粒体の定量フィーダ装置の定量部を示す平面図である。定量部は、供給手段4および供給盤5を有している。供給手段4および供給盤5は、モータ8により駆動されている。供給盤5は、底のある筒形状の収容部21に収容されている(
図1参照)。収容部21には、供給盤5の周縁部に相当する底の一部に排出孔21aが形成されている。排出孔21aは、供給手段4より粉粒体が供給される部分に対し、供給盤5が半回転した位置に設けられている。排出孔21aの下には、排出シュート7が連結されている。
【0017】
なお、上述において「周縁部に相当する底の一部」とは、供給盤の周縁(羽根5a)に重複する部分のみならず、供給盤5の周縁(羽根5aの先端)から定量対象とする粉粒体の直径分(平均粒径)だけ外側に離れた部分までを含むものとする。換言すれば、本発明は、羽根5aと排出孔21aとの距離が、平面視において重複するものから、羽根5aの先端から排出孔21aまでの距離が粉粒体の直径分離れているものまでを含む。
【0018】
供給手段4は、攪拌軸11の中心に対し、等間隔に設けられた複数の羽根4a、4a‥を有している。供給手段4は、平面視において収容部21と一部が重複するように配置されており、供給手段4の羽根4a、4a‥の先端が収容部21の上面と摺接するように配置されている。供給手段4は、回転することにより、供給手段4の上部に配置されている収容容器2から粉粒体の落下を促進させ、供給盤5が配置された収容部21へ粉粒体を送り込む。
【0019】
供給盤5は、収容容器2から供給された粉粒体を回転搬送する円盤であり、回転中心O(
図3(b)参照)側から周縁側になるにしたがって高さが低くなる斜面5bと、周縁に等間隔に形成された羽根5a、5a‥と、回転軸と係合する軸孔5cを有している。
【0020】
このように構成された定量部では、供給手段4の羽根4a、4a‥で送られた粉粒体が逐次供給盤5が収容された収容部21に送られる。粉粒体は、収容部21内において供給盤5の回転により、排出孔21aの位置まで回転搬送され、排出孔21aを介して排出シュート7から排出される。
【0021】
次に、実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤5の形状について詳細に説明する。
図3(a)は、本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す斜視図であり、(b)は平面図、(c)は側面図である。
前述のとおり、供給盤5は、斜面5bと、羽根5a‥と、軸孔5cを有している。
実施の形態1では、
図1に示すように斜面5bが、収容部21の上から下まで傾斜が一様(側面視において直線状)に形成されている。それぞれの羽根5aの形状は、先端になるに従って幅狭となる三角形である。実施の形態1では、
図3(b)に示すように、羽根の中心線を点線で示し、供給盤5の回転方向を点線矢印で示すと、供給盤5の羽根5aは、供給盤5の回転方向前方にずれて配置されている(実線矢印参照)。
【0022】
次に、このように構成された粉粒体の定量フィーダ装置の効果について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の効果を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。なお、
図4(a)および(b)においては、効果の説明を分かりやすくするために、説明に必要な部分の粉粒体のみを図示し、他の部分の粉粒体の図示を省略してある。
【0023】
本発明においては、供給盤5上に粉粒体が堆積することを防ぐために、供給盤5に、羽根5aと斜面5bとを組み合わせて形成することを1つの特徴としている。
【0024】
図4(a)に示すように、上方の収容容器2から落下した粉粒体は、供給盤5上に堆積し、供給盤5の斜面5bを滑り落ちながら、供給盤5の回転中心側から周縁側に、かつ、供給盤5の上方から下方へ移動する。供給盤5の周縁(下方)には、羽根5a‥が形成されているため、周縁側に移動した粉粒体が、羽根5aと羽根5aの間に挟まった状態で回転搬送され、排出孔21aの位置まで来る。
【0025】
図4(b)に示すように、羽根5aと羽根5aとの間が排出孔21aの位置までくると、粉粒体を支持する収容部21の底面が排出孔21a部分で欠損することで、堆積している粉粒体の下方から排出孔21aから排出される。次いで、排出孔21aへ排出された粉粒体が存在していた羽根5aと羽根5aの間の空間に、新たに斜面5bから滑り落ちた粉粒体が滑り落ち、さらに排出孔21aへ粉粒体を排出する。換言すれば、本発明では、羽根5a‥を設けることで、羽根5aと羽根5aの間が排出孔21aに移動したタイミングで、下方の支持を無くして落下の起点とし、さらに斜面5bから羽根5aと羽根5aとの間を介して排出孔21aへ粉粒体を排出することができる。
【0026】
次いで、供給盤5が回転され、前記の羽根5aと羽根5aとの間の空間が、排出孔21aの位置を通過すると、該空間に、新たに斜面5bから滑り落ちた粉粒体が滑り落ちて充填される。
【0027】
このように、斜面5bと羽根5a‥を組み合わせて形成することで、粉粒体が、羽根5aと羽根5aの間から排出孔21aへ排出される動作と、斜面5bを滑り落ちる動作とを作り出し、順次粉粒体を供給盤5から排出孔21aを介して排出シュート7へ排出することができる。
【0028】
このように、この粉粒体の定量フィーダ装置では、供給盤5に、羽根5aと斜面5bを組み合わせて形成することにより、ブロッキングやブリッジが生じやすい粉粒体であっても、排出孔21aから排出シュート7へ安定的に排出することができ、安定的に粉粒体を定量供給することができる。
【0029】
本発明の供給盤の形状は、上記のものに限られず、種々変更することができる。具体的に、以下の実施の形態2~5を用いて、本発明を実現することができる供給盤の形状について説明する。
【0030】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。なお、実施の形態2~5では、供給盤以外の構成は、実施の形態1と略同一であるため、供給盤以外の構成の説明については省略する。
【0031】
実施の形態2の供給盤51は、羽根51a‥、斜面51bおよび軸孔51cを有している。実施の形態2では、供給盤51の高さが、実施の形態1の供給盤5よりも低くなっている。実施の形態2の供給盤51を収容部21に設置することで、粉粒体が堆積しやすい収容部21の下部にのみに斜面52bを配置することができる。このように、供給盤51の高さは、どのように設計してもよい。
【0032】
また、供給盤51は、単体のまま収容部21に設置してもよいが、供給盤51の上部にさらに円錐形状の部品を取り付けて収容部21に設置してもよい。このように、供給盤51と円錐形状の部品をそれぞれ取り付けることで、円錐形状の斜面の傾きと、供給盤51の羽根51a‥の形状を様々に組み合わせることができる。
【0033】
実施の形態1では、供給盤5の羽根5aが回転方向前方に位置していたが、実施の形態2では、供給盤51の羽根51aが、回転方向の前後対称に形成されている。このように、供給盤の羽根の形状や数は、粉粒体の種類に応じて様々なものを選択すればよい。
【0034】
[実施の形態3]
図6は、本発明の実施の形態3に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。実施の形態3では、供給盤52は、羽根52a‥、斜面52b‥、軸孔52cおよび平面52dを有している。実施の形態3では、斜面52bが複数段(
図6では3段)形成されており、斜面52bと斜面52bの間には、側面図(c)において水平となる平面52dが形成されている。
【0035】
このように、斜面52bは、供給盤52の上から下まで一様に形成する必要はなく、実施の形態3のように、斜面52bと斜面52bの間に、斜面52bとは角度の異なる平面52dを配置してもよい。また、平面52dの傾斜を変更し、斜面52bよりも緩やかな斜面や斜面52bよりも急な斜面としてもよい。
【0036】
[実施の形態4]
図7は、本発明の実施の形態4に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。この供給盤53は、羽根53a‥、斜面53bおよび軸孔53cを有している。実施の形態1では、供給盤5の斜面5bの角度は、上から下まで一定であったが、実施の形態4では、斜面53bの角度が、下方になるにしたがって緩やかになるように変化している。このように、斜面の傾きは粉粒体の種類に応じて種々変更することができる。
【0037】
[実施の形態5]
図8は、本発明の実施の形態5係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。この供給盤54は、羽根54a‥、斜面54bおよび軸孔54cを有している。実施の形態5では、実施の形態4とは逆に、斜面54bの角度が、下方になるにしたがって急になるように変化している。
【0038】
このように、本発明の供給盤は、斜面と羽根を有していれば、種々設計変更可能であり、実施の形態1~5の要素を組み合わせて実施することもできる。また本発明の供給盤は、収容部21のみならず、供給手段4に替えて収容容器2の底部に設置することもできる。
【符号の説明】
【0039】
2 収容容器
4 供給手段
5、51、52、53、54 供給盤
7 排出シュート
8 モータ
9 架台
10 ディスクフレーム