IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンセイアールアンドディの特許一覧

<>
  • 特許-遊技機 図1
  • 特許-遊技機 図2
  • 特許-遊技機 図3
  • 特許-遊技機 図4
  • 特許-遊技機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017059392
(22)【出願日】2017-03-24
(65)【公開番号】P2018161227
(43)【公開日】2018-10-18
【審査請求日】2019-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
【審査官】中野 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-016220(JP,A)
【文献】特開2013-094570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件成立まで遊技球が入賞可能な領域が開放された状態とする単位遊技を複数回繰り返す当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、
遊技球が入球可能な領域であって、遊技球の入球が遊技者に有利な事象が発生する条件となっている特定領域と、
前記特定領域を遊技球が入球しやすい入球容易状態とするか、遊技球が入球困難な入球困難状態とするかを制御する入球制御手段と、
を備え、
前記入球制御手段は、遊技者に有利な事象が発生することが決定された場合に、前記当たり遊技におけるX回目の単位遊技において前記特定領域を前記入球困難状態とする一方、当該X回目の単位遊技よりも後のX+α回目(αは1以上の自然数)の単位遊技において前記特定領域を前記入球容易状態とする第一制御を実行することがあり、
前記第一制御が実行されたとき、
前記X回目の単位遊技において前記入球困難状態にある前記特定領域に遊技球が入球しなかった場合には、当該X回目の単位遊技が終了した後、前記X+α回目の単位遊技が終了するよりも前に通常演出が実行される一方、
前記X回目の単位遊技において前記入球困難状態にある前記特定領域に遊技球が入球した場合には、当該X回目の単位遊技が終了した後、前記X+α回目の単位遊技が終了するよりも前に前記通常演出とは態様が異なる特別演出が実行されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記入球制御手段は、遊技者に有利な事象が発生することが決定された場合に、前記X回目の単位遊技および前記X+α回目の単位遊技の両方において前記特定領域を前記入球容易状態とする第二制御を実行することがあることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特定領域に遊技球が入球することによって遊技者に有利な事象が発生するように設定された遊技機が知られている。下記特許文献1には、大当たり遊技中にアタッカー内部の特定領域に遊技球が入球することで、確率変動時短状態が生起される遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-245172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、特定領域に遊技球が進入することによって遊技者に有利な事象が発生するように設定された遊技機の趣向性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、遊技球が入球可能な領域であって、遊技球の入球が遊技者に有利な事象が発生する条件となっている特定領域と、前記特定領域を遊技球が入球しやすい入球容易状態とするか、遊技球が入球困難な入球困難状態とするかを制御する入球制御手段と、を備え、前記入球制御手段は、遊技者に有利な事象が発生することが決定された場合に、第一時期において前記特定領域を前記入球困難状態とする一方、当該第一時期よりも後の第二時期において前記特定領域を前記入球容易状態とする第一制御を実行することがあり、前記第一制御が実行されたとき、前記第一時期において前記入賞困難状態にある前記特定領域に遊技球が入球した場合に、特別演出が実行されることを特徴とする。
【0006】
第一時期において特定領域を入賞困難状態とし、その後の第二時期において特定領域を入賞容易状態とする場合、基本的には第二時期において特定領域に遊技球が入球することによって遊技者に有利な事象が発生することになるため、第一時期において特定領域に遊技球が入球するか否かは(従来であれば)大きな関心事項とはならない。これに対し上記本発明では、第一時期において特定領域に遊技球が入球するというまれなケースが発生した場合に、それに対応した特別演出が実行される。つまり、第一時期において特定領域に遊技球が入球するということに対する特典として特別演出が発生するものであるため、従来に比して遊技の趣向性を高めることが可能である。
【0007】
前記第一制御が実行されたとき、前記第一時期において前記入賞困難状態にある前記特定領域に遊技球が入球しなかった場合に通常演出が実行されるように構成されており、前記特別演出と前記通常演出の態様は異なるものであるとよい。
【0008】
このように、第一時期において特定領域遊技球が入球せず、第二時期において特定領域に遊技球が入球した場合、すなわち普通の入球態様となった場合に発生する演出(通常演出)を特別演出と異なる態様のものとすることで、特別演出の希少性を高めることが可能となる。
【0009】
前記入球制御手段は、遊技者に有利な事象が発生することが決定された場合に、前記第一時期および前記第二時期の両方において前記特定領域を前記入球容易状態とする第二制御を実行することがあるとよい。
【0010】
このように、第一時期および第二時期の両方において特定領域が入球容易状態となる第二制御が実行されることがあるようにすることで、特定領域の状態の変化態様がバリエーションに富んだものとなる。
【0011】
所定条件成立まで遊技球が入賞可能な領域が開放された状態とする単位遊技を複数回繰り返す当たり遊技が実行可能な遊技機であって、前記第一時期はX回目(Xは1以上の自然数)の単位遊技が実行される時期であり、前記第二時期はX+α回目(αは1以上の自然数)の単位遊技が実行される時期であるとよい。
【0012】
前記第一時期はX回目(Xは0を除く自然数)の単位遊技が実行される時期であり、前記第二時期はX+β回目(βは2以上の自然数)の単位遊技が実行される時期であるとよい。
【0013】
このように、単位遊技が繰り返される当たり遊技において、上記のような制御を実行することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特定領域に遊技球が進入することによって遊技者に有利な事象が発生するように設定された遊技機の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】(a)は大当たりを示す識別図柄の組み合わせが表示された状態(大当たりが報知された状態)を示す図であり、(b)は本実施形態にかかる遊技機の遊技状態の移行を説明するための図である。
図3】各大当たり遊技における各ラウンド(単位遊技)の大入賞口の開放態様を示した図である。
図4】各大当たり遊技における各ラウンド(単位遊技)で実行される演出を示した図である。
図5】第一特別大当たり遊技における各ラウンド(単位遊技)で実行される通常態様の演出と、特殊態様の演出を比較して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0017】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0018】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、図2図4図5においては、表示領域911を大まかに記載するが、その形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0019】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0020】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0021】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0022】
大当たりの抽選(当否判定)は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口が複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。大当たりに当選した場合には大当たり遊技(詳細は後述)が実行される。また、乱数源から取得された数値に基づき、当否判定結果を報知するための演出の具体的な内容が決定される。
【0023】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄50の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。識別図柄50は、当否判定結果の報知の開始とともに変動を開始する。大当たりに当選している場合には識別図柄50は最終的に所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄50の三つ揃い)で停止する(図2(a)参照)。はずれである場合には識別図柄50は最終的にそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせで停止する。
【0024】
図2(b)に示すように、本実施形態にかかる遊技機1は、遊技者が大当たり当選を目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態11と特別遊技状態12が設定されている。通常遊技状態11は、当否判定抽選に当選する確率が相対的に低い状態である。特別遊技状態12は当否判定抽選に当選する確率が相対的に高い状態である。つまり、特別遊技状態12の方が、通常遊技状態11よりも遊技者にとって有利な状態であるということができる。なお、特別遊技状態12は、始動入賞口904に遊技球が入賞しやすい状態(いわゆる時間短縮遊技状態)であってもよい。当該状態の例としては、始動入賞口の周囲に設けられた開閉部材904a(図1参照)が頻繁に開放状態(開放状態となることによって始動入賞口904に遊技球が入賞しやすくなる)となる状態が挙げられる。
【0025】
通常遊技状態11において当選する大当たりには、通常大当たり21と特別大当たり22が設定されている。通常大当たり21は、大当たり遊技終了後、通常遊技状態11に移行する(通常遊技状態11が維持される)ことが確実な大当たりである。特別大当たり22は、大当たり遊技終了後、特別遊技状態12に移行することが確実な大当たりである。特別遊技状態12への移行は、大当たり遊技中に特定領域30(詳細は後述)に遊技球が入球することが条件として設定されており、当該特定領域30への入球が困難である(ほぼ不可能である)大当たりが通常大当たり21であり、当該特定領域30への入球が容易である大当たりが特別大当たり22として設定されている。なお、特別遊技状態12の終了条件(通常遊技状態11への移行条件)はどのようなものであってもよい。本実施形態では、当否判定結果が所定回数連続してはずれとなるまで特別遊技状態12が継続する。つまり、途中で大当たり(特別遊技状態12中に当選する大当たりはどのようなものであってもよいため説明を省略する)に当選した場合には、当該大当たり遊技終了後再び特別遊技状態12に突入する。すなわち、本実施形態にかかる遊技機1はいわゆるST機である。
【0026】
大当たり遊技について説明する。大当たり遊技は、大入賞口が頻繁に開放状態となり、遊技者が多くの遊技球(いわゆる出玉)を獲得することができるものである。具体的には、大入賞口が所定条件の成立まで開放状態となる単位遊技を一または複数回繰り返すものである。所定条件としては、例えば、大入賞口に所定数の遊技球が入賞したこと、大入賞口が開放状態となってから所定時間経過したこと等が設定される。以下の説明においては、単位遊技を「ラウンド(遊技)」と称することもある。
【0027】
本実施形態では、大入賞口として第一大入賞口906aおよび第二大入賞口906bが設けられている。各単位遊技は、第一大入賞口906aと第二大入賞口906bのいずれか一方を開放状態とする。第一大入賞口906aの態様は、どのようなものであってもよい。具体的には、遊技球が進入可能な開放状態と遊技球が進入不可能な閉鎖状態とが切り替え可能なものであればよい。
【0028】
一方、第二大入賞口906bは、遊技球が進入可能な開放状態と遊技球が進入不可能な閉鎖状態とが切り替え可能なものである点において第一大入賞口906aと共通するものの、入賞した遊技球が入り込む内側の空間に特定領域30が設けられている(図1および図3参照)点で第一大入賞口906aと相違する。本実施形態では、第二大入賞口906bに入賞した遊技球は、必ず特定領域30を通過するように設定されている。なお、特定領域30の手前側に当該領域への遊技球の進入を阻止する阻止位置と、遊技球の進入を許容する許容位置との間を変位可能な可動部材を設け、特定領域30への遊技球の進入を阻止するか、許容するかを制御することが可能な構成としてもよい。
【0029】
特定領域30は遊技盤90の後方に設けられているところ、遊技盤90の少なくとも一部を光透過性とすることで、当該特定領域30の位置が遊技者に視認可能とされている。特定領域30には、図示されない検出手段(センサ)が設けられており、当該検出手段によって特定領域30への遊技球の進入が検出されることになる。
【0030】
大当たり遊技中に特定領域30に遊技球が進入することが、大当たり遊技終了後に遊技状態が特別遊技状態12に移行する条件として設定されている。つまり、特定遊技領域への遊技球の進入は、特別遊技状態12という遊技者に有利な事象が発生する条件として設定されている。
【0031】
本実施形態における上記通常大当たり21および特別大当たり22は、いずれも、単位遊技が16回繰り返される16ラウンド(R)大当たりである。1ラウンドから13ラウンドまで、および15ラウンドの遊技は、いずれの大当たり遊技においても共通する(一般的な大当たり遊技と同様である)ため、詳細な説明を省略する。図3に示すように、本実施形態における1ラウンドから13ラウンドまでの遊技、および15ラウンドの遊技は、第一大入賞口906aが所定条件成立まで開放状態となるものである。遊技者は、第一大入賞口906aへの遊技球の入賞によって、多くの遊技球(いわゆる出玉)を得ることができる。なお、第一大入賞口906aの内側の空間には特定領域30が設けられていないため、これらのラウンドの遊技によって特定領域30に遊技球が進入することはない。
【0032】
一方、14ラウンドと16ラウンドにおける大当たり遊技の態様は、通常大当たり21と特別大当たり22で異なる。また、本実施形態では、特別大当たり22として、第一特別大当たり221と第二特別大当たり222が設定されている。第一特別大当たり221と第二特別大当たり222は、14ラウンドと16ラウンドにおける大当たり遊技の態様が異なる。いずれの大当たり遊技においても、14ラウンド(当該14ラウンド遊技が実行されるタイミングが本発明における第一時期に相当する)と16ラウンド(当該16ラウンド遊技が実行されるタイミングが本発明における第二時期に相当する)においては、第二大入賞口906bを開放状態とするものであることで共通するが、以下の点において相違する。
【0033】
図3図3の左側)に示すように通常大当たり21遊技では、14ラウンドと16ラウンドの両方において、第二大入賞口906bを極めて短い時間開放状態とする(いわゆるショート開放とする。当該ショート開放状態が本発明における入賞困難状態に相当する)。したがって、14ラウンドおよび16ラウンドの両方とも、第二大入賞口906bに遊技球が入賞することは極めて困難である。ゆえに、第二大入賞口906b内に設けられた特定領域30に遊技球が進入することも極めて困難である。よって、大当たり遊技終了後の遊技状態は通常遊技状態11となる。なお、本実施形態では、通常大当たり21遊技において特定領域30への遊技球の進入が認められた場合には、大当たり遊技終了後の遊技状態を特別遊技状態12とする。ただし、不正行為が行われている可能性もあるとして、警告音を出力する等の異常報知を行う。これとは逆に、通常大当たり21遊技において特定領域30への遊技球の進入が認められた場合であっても、大当たり遊技終了後の遊技状態を強制的に通常遊技状態11とする構成としてもよい。
【0034】
図3図3の中央側)に示すように、第一特別大当たり221遊技では、14ラウンドにおいては第二大入賞口906bを短い時間開放状態とする(いわゆるショート開放とする)一方、16ラウンドにおいては第二大入賞口906bを長い時間開放状態とする(いわゆるロング開放とする。当該ロング開放状態が本発明における入賞容易状態に相当する)(このように14ラウンドおよび16ラウンドの開放状態を制御することが本発明における第一制御に相当する)。したがって、14ラウンドについては第二大入賞口906bへの遊技球の入賞は困難であるものの、16ラウンドについては、遊技者が第二大入賞口906bを狙って遊技を続けてさえいれば、第二大入賞口906bに遊技球が容易に入賞する。つまり、16ラウンドの遊技において、第二大入賞口906b内に設けられた特定領域30に遊技球が容易に進入する。特定領域30への遊技球の進入が認められれば、大当たり遊技終了後の遊技状態は特定遊技状態となる。
【0035】
図3図3の右側)に示すように、第二特別大当たり222遊技では、14ラウンドと16ラウンドの両方において、第二大入賞口906bを長い時間開放状態とする(いわゆるロング開放とする)(このように14ラウンドおよび16ラウンドの開放状態を制御することが本発明における第二制御に相当する)。したがって、14ラウンドおよび16ラウンドの両方とも、遊技者が第二大入賞口906bを狙って遊技を続けてさえいれば、第二大入賞口906bに遊技球が容易に入賞する。つまり、第二大入賞口906b内に設けられた特定領域30に遊技球が容易に進入する。特定領域30への遊技球の進入が認められれば、大当たり遊技終了後の遊技状態は特定遊技状態となる。
【0036】
このような各大当たり遊技において、遊技者に対し、大当たりが通常大当たり21であるのか特別大当たり22であるのかを示す演出(以下、大当たり演出と称することもある)が実行される。本実施形態における大当たり演出は、味方側キャラクタと敵側キャラクタの戦い(バトル)が表示領域911に表示されるものである。以下、大当たり演出の基本的な態様について説明する。なお、大当たり演出の具体的な態様は適宜変更可能である。以下で説明するようないわゆるバトル演出は一例に過ぎない。
【0037】
図4図4の左側)に示すように、通常大当たり21である場合には、14ラウンド遊技が始まる前までに、味方側キャラクタが敗北(敵側キャラクタが勝利)したことが示される。これにより、遊技者は、特別遊技状態12に移行する権利を獲得することができなかったことを把握することが可能である。その後、第二大入賞口906bのショート開放となる14ラウンド遊技、(15ラウンド遊技を間に挟んで)同じく第二大入賞口906bのショート開放となる16ラウンド遊技が実行される。14ラウンド遊技~16ラウンド遊技の間に実行される演出はどのようなものであってもよい。本実施形態では、14ラウンド遊技中も継続して味方側キャラクタが敗北したことが示され、その後所定の演出が実行される。
【0038】
図4図4の中央側)に示すように、第一特別大当たり221である場合には、14ラウンド遊技が始まる前までに、一旦、味方側キャラクタが敗北(敵側キャラクタが勝利)したことが示される。その後、第二大入賞口906bのショート開放となる14ラウンド遊技後の15ラウンド遊技が実行されている間に、敗北したと思われていた味方側キャラクタが復活する演出(復活演出や逆転演出等と称される。以下、通常演出40と称することもある)が実行される。これにより、遊技者は、特別遊技状態12に移行する権利を獲得することができたことを把握することが可能である。その後、第二大入賞口906bのロング開放となる16ラウンド遊技が実行される。16ラウンド遊技中は、第二大入賞口906b内に設けられた特定領域30を狙うよう、遊技者に指示する演出が実行されるとよい。
【0039】
図4図4の右側)に示すように、第二特別大当たり222である場合には、14ラウンド遊技が始まる前までに、味方側キャラクタが勝利(敵側キャラクタが敗北)したことが示される。これにより、遊技者は、特別遊技状態12に移行する権利を獲得することができたことを把握することが可能である。なお、このような大当たり演出が実行されない第二特別大当たり222が設定されていてもよい。例えば、大当たりを報知する識別図柄50が特定の態様(例えば「7」の三つ揃い)となった場合には、第二特別大当たり222となることが確定するように設定する。第二特別大当たり222となることが確定する場合、上記のような大当たり演出(通常大当たり21であるか特別大当たり22であるかを、遊技者を楽しませつつ報知する演出)を実行する必要性が無いとして、別の演出が実行されるようにしてもよい。
【0040】
その後、第二大入賞口906bのロング開放となる14ラウンド遊技、(15ラウンド遊技を間に挟んで)同じく第二大入賞口906bのロング開放となる16ラウンド遊技が実行される。少なくとも14ラウンド遊技中は、第二大入賞口906b内に設けられた特定領域30を狙うよう、遊技者に指示する演出が実行されるとよい。15ラウンド遊技中や16ラウンド遊技中に実行される演出の態様はどのようなものであってもよい。
【0041】
以上のような内容が大当たり演出の基本的態様(通常態様)である。特殊な事象が発生しなかった場合には、上記のような流れの演出が実行される。
【0042】
一方、本実施形態では、第一特別大当たり221である場合において、14ラウンド遊技で特定領域30への遊技球の進入が認められた場合、特定領域30への遊技球の進入が認められなかった場合に実行される通常態様の大当たり演出(図5の左側(図4の中央側に示した演出の流れと同じである)参照)とは異なる特殊態様の大当たり演出(図5の右側参照)が発生する。具体的には、通常演出40とは異なる特別演出40sを含む特殊態様の大当たり演出が発生する。第一特別大当たり221における14ラウンド遊技は、第二大入賞口906bがショート開放とされる遊技であるため、遊技球が特定領域30に進入することは極めてまれである。このように、14ラウンド遊技においてショート開放とされる第二大入賞口906bに遊技球が入賞し、特定領域30に進入するという極めてまれな特殊な事象が発生した場合に、特別演出40sが発生するように設定されている。
【0043】
上述したように、第一特別大当たり221である場合、14ラウンド遊技が始まる前までに、一旦、味方側キャラクタが敗北(敵側キャラクタが勝利)したことが示される。つまり、通常態様の大当たり演出と特殊態様の大当たり演出は、当該14ラウンド遊技が始まる前までの流れは同じである。その後、第二大入賞口906bのショート開放となる14ラウンド遊技中に特定領域30への遊技球の進入が検出された場合には、その後の15ラウンド遊技が実行されている間に実行される演出を、上述した通常演出40ではなく、それとは異なる特別演出40sを実行する(図5の右側参照)。特別演出40sの態様は通常演出40と異なるものであればどのようなものであってもよい。本実施形態では、あるキャラクタを用いた復活演出を通常演出40とする一方、あるキャラクタとは異なる別のキャラクタを用いた復活演出を特別演出40sとしている。
【0044】
このように、本実施形態では、第一特別大当たり221では、通常、14ラウンド遊技中に特定領域30に遊技球が進入することはないため、ほとんどの場合は15ラウンド遊技中に通常演出40が発生するところ、14ラウンド遊技中に特定領域30に遊技球が進入した場合には、発生することが極めてまれな事象が発生したことに対する特典として、普段は観ることができない特別演出40sを実行することで、遊技の趣向性を向上させている。なお、第一特別大当たり221において、14ラウンド遊技中に特定領域30に遊技球が進入してもしなくても、16ラウンド遊技中に特定領域30に遊技球が進入することはほぼ確定しているのであるから、14ラウンド遊技中における特定領域30への遊技球の進入の有無がいわゆる出玉に与える影響はほとんどない。従来であれば全く無意味であった14ラウンド遊技中に特定領域30に遊技球が進入するという事象が発生したことを、特別演出40sの発生という特典発生の契機とすることで、14ラウンド遊技を意味のあるものとしているともいえる。
【0045】
また、本実施形態では、第二大入賞口906bが開放されるラウンド(第一時期および第二時期)を14ラウンドおよび16ラウンドとしている。つまり、大当たりの種類に応じて第二大入賞口906bの開放態様が決まるラウンドを14ラウンドおよび16ラウンドに設定し、これらの間にどのような大当たりであっても変わりがない(第一大入賞口906aが比較的長い間開放状態となる)15ラウンド遊技が発生するようにしている。つまり、最初の第二大入賞口906bが開放するタイミングである第一時期をXラウンド(Xは0を除く自然数)とし、次の第二大入賞口906bが開放するタイミングである第二時期をX+βラウンド(βは2以上の自然数)としている。
【0046】
このように、第二大入賞口906bが開放(ショート開放またはロング解放)するラウンド間、すなわち第一時期と第二時期の間に、第一大入賞口906aが開放する一または複数の通常のラウンド遊技を設定することの利点は次のようなものである。通常のラウンド遊技間に復活演出(逆転演出)を実行することが可能であるため、当該演出のための時間を長くすることができる。また、復活演出を通常演出40とするか、特別演出40sとするかの制御が容易になる。つまり、通常演出40を実行するか特別演出40sを実行するかは、第一時期(本実施形態では14ラウンド)において遊技球が特定領域30に進入したことが検出されたか否かによる。したがって、第一時期として設定されるラウンドの次のラウンドが第二時期として設定されると、通常演出40や特別演出40sを実行する時間が短くなるし、特定領域30への遊技球の進入の検出の有無から、それに応じた演出(通常演出40または特別演出40s)の設定および実行までの時間が短く、制御が困難である。よって、第一時期と第二時期との間に通常のラウンド遊技が設定されていることが望ましい。
【0047】
だだし、第一時期と第二時期を連続するラウンドとして設定すること、すなわち最初の第二大入賞口906bが開放するタイミングである第一時期をXラウンド(Xは0を除く自然数)とし、次の第二大入賞口906bが開放するタイミングである第二時期をX+1とすることを否定するものではない。このような構成とする場合であっても、第一時期として設定されたラウンド遊技中に特定領域30への遊技球の進入が検出されたかどうかを判断し、その検出の有無に応じて通常演出40または特別演出40sを、第二時期(次のラウンド遊技)において復活演出として実行されるような構成としてもよい。つまり、第二時期として設定されるラウンド中に、第二大入賞口906bのロング解放と通常演出40または特別演出40sが併せて実行されるようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0049】
上記実施形態では、特定領域30への遊技球の進入が、大当たり遊技終了後の遊技状態を特別遊技状態12とする条件として設定されていることを説明したが、特定領域30への遊技球の進入によって得られる特典はどのようなものであってもよい。つまり、特定領域30への遊技球の進入が、遊技者に有利な事象が発生する条件として設定されていればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 遊技機
11 通常遊技状態
12 特別遊技状態
21 通常大当たり
22 特別大当たり
221 第一特別大当たり
222 第二特別大当たり
30 特定領域
40 通常演出
40s 特別演出
906a 第一大入賞口
906b 第二大入賞口
91 表示装置
911 表示領域
図1
図2
図3
図4
図5