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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】頭部装着体
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/011 20210101AFI20220113BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20220113BHJP
   A42B 3/10 20060101ALI20220113BHJP
   A41B 9/06 20060101ALI20220113BHJP
   A47G 9/02 20060101ALI20220113BHJP
   D06M 11/74 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A42B1/011
A61L9/01 B
A42B3/10
A41B9/06 C
A47G9/02 P
D06M11/74
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017197670
(22)【出願日】2017-10-11
(65)【公開番号】P2018062729
(43)【公開日】2018-04-19
【審査請求日】2019-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2016201544
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】397029873
【氏名又は名称】株式会社大木工藝
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100143926
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 公敏
(74)【代理人】
【識別番号】100149504
【弁理士】
【氏名又は名称】沖本 周子
(72)【発明者】
【氏名】大木 武彦
(72)【発明者】
【氏名】大木 達彦
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-130932(JP,A)
【文献】登録実用新案第3077115(JP,U)
【文献】特開平09-296376(JP,A)
【文献】特開平10-099175(JP,A)
【文献】特開2002-317301(JP,A)
【文献】登録実用新案第3040891(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0077223(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0073697(US,A1)
【文献】中国実用新案第202941790(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 1/019
A61L 9/16
A61L 9/01
A42B 3/10
A41B 9/06
A47G 9/02
D06M 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に対面する面に健康増進布状体を設けた頭部装着体であって、
前記健康増進布状体は、通気性のある外装体の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭を収蔵させてなり
前記健康増進布状体の表面には、炭素材で構成した突起が設けられており、
記外装体は、内袋を備えており、
前記球状微粒子活性炭は、前記内袋内に含ませた、加熱硬化時にひび割れを生じる樹脂層内に浸された状態で、前記内袋内において固着状態とされていることを特徴とする頭部装着体
【請求項2】
頭部に対面する面に健康増進布状体を設けた頭部装着体であって、
前記健康増進布状体は、通気性のある外装体の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭を収蔵させてなり
前記健康増進布状体の表面には、炭素材で構成した突起が設けられており、
記外装体は、一方側部材と他方側部材とによって構成され、
前記球状微粒子活性炭は、前記一方側部材の一方面に塗布された、加熱硬化時にひび割れを生じる樹脂層内に浸された状態で、該一方面上に被せた他方側部材との間でサンドイッチ状に固着状態とされていることを特徴とする頭部装着体
【請求項3】
頭部に対面する面に健康増進布状体を設けた頭部装着体であって、
前記健康増進布状体は、通気性のある外装体の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭を収蔵させてなり
前記健康増進布状体の表面には、炭素材で構成した突起が設けられており、
記外装体には多数の細孔を有したクッション材が内装されており、該細孔に前記球状微粒子活性炭が保持されていることを特徴とする頭部装着体
【請求項4】
頭部に対面する面に健康増進布状体を設けた頭部装着体であって、
前記健康増進布状体は、通気性のある外装体の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭を収蔵させてなり
前記健康増進布状体の表面には、炭素材で構成した突起が設けられており、
記外装体には熱接着性を有した接着芯地が内装されており、該接着芯地の接着面に前記球状微粒子活性炭が保持されていることを特徴とする頭部装着体
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記球状微粒子活性炭は、炭化させたフェノール樹脂で構成された比表面積が2,500m2/g以上のものであることを特徴とする頭部装着体
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
前記球状微粒子活性炭には、抗菌剤、消臭剤、芳香剤のうち少なくとも一つが収蔵されていることを特徴とする頭部装着体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕著な脱臭効果を有し、遠赤外線作用により健康の増進を図ることのできる健康増進布状体を備えた頭部装着体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体臭の除去を目的とした種々の商品が提案されている。例えば、下記特許文献1には、活性炭からなる脱臭材を含んで構成される健康シーツの開示があり、この活性炭の作用により、病人や寝たきり老人などの体臭を除去するものとされている。
【0003】
また、この健康シーツが含む活性炭は遠赤外線を放射するので、身体がシーツからの遠赤外線を吸収して暖められ、結果として血流が促進されて、ある程度健康が増進されるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3010559号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の健康シーツが含む活性炭は、粒状または粉状とされたありふれた構成のものであるので、加齢臭などの強い臭気に対する脱臭効果は十分とは言えない。また、多量の遠赤外線が放射されているとは言えないので、十分な健康増進効果を有するとは考えられず、更なる改善が求められる。
【0006】
本発明は、上記の点を鑑みて提案されたものであり、その目的は、顕著な脱臭効果を有し、遠赤外線作用により健康の増進を図り得る健康増進布状体を備えた頭部装着体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る頭部装着体は、頭部に対面する面に健康増進布状体を設けた頭部装着体であって、前記健康増進布状体は、通気性のある外装体の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭を収蔵させてなり、前記健康増進布状体の表面には、炭素材で構成した突起が設けられており、前記外装体は、内袋を備えており、前記球状微粒子活性炭は、前記内袋内に含ませた、加熱硬化時にひび割れを生じる樹脂層内に浸された状態で、前記内袋内において固着状態とされていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の頭部装着体は、頭部に対面する面に健康増進布状体を設けた頭部装着体であって、前記健康増進布状体は、通気性のある外装体の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭を収蔵させてなり、前記健康増進布状体の表面には、炭素材で構成した突起が設けられており、前記外装体は、一方側部材と他方側部材とによって構成され、前記球状微粒子活性炭は、前記一方側部材の一方面に塗布された、加熱硬化時にひび割れを生じる樹脂層内に浸された状態で、該一方面上に被せた他方側部材との間でサンドイッチ状に固着状態とされていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の頭部装着体は、頭部に対面する面に健康増進布状体を設けた頭部装着体であって、前記健康増進布状体は、通気性のある外装体の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭を収蔵させてなり、前記健康増進布状体の表面には、炭素材で構成した突起が設けられており、前記外装体には多数の細孔を有したクッション材が内装されており、該細孔に前記球状微粒子活性炭が保持されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の頭部装着体は、頭部に対面する面に健康増進布状体を設けた頭部装着体であって、前記健康増進布状体は、通気性のある外装体の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭を収蔵させてなり、前記健康増進布状体の表面には、炭素材で構成した突起が設けられており、前記外装体には熱接着性を有した接着芯地が内装されており、該接着芯地の接着面に前記球状微粒子活性炭が保持されていることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、前記球状微粒子活性炭を、炭化させたフェノール樹脂で構成し、比表面積が2,500m2/g以上のものとしてもよい。
【0012】
また、本発明においては、前記球状微粒子活性炭に、抗菌剤、消臭剤、芳香剤のうち少なくとも一つを収蔵するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る頭部装着体によれば、上述の構成となっているため、顕著な脱臭効果を有し、遠赤外線作用により健康の増進を図ることができる。


【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る健康増進布状体の斜視図、(b)は、A-A線における当該健康増進布状体の断面図、(c)は、球状微粒子活性炭の拡大断面図である。
図2】(a)は、本発明の第2実施形態に係る健康増進布状体の斜視図、(b)は、B-B線における当該健康増進布状体の断面図である。
図3】(a)は、本発明の第3実施形態に係る健康増進布状体の斜視図、(b)は、C-C線における当該健康増進布状体の断面図及び部分拡大断面図である。
図4】(a)~(c)は、第3実施形態における球状微粒子活性炭のクッション材への保持方法を示す図である。
図5】(a)は、本発明の第4実施形態に係る健康増進布状体の斜視図、(b)は、当該健康増進布状体の部分拡大断面図である。
図6】(a)は、本発明の第1実施形態に係る頭部装着体の斜視図、(b)は、D-D線における当該頭部装着体が備える健康増進布状体の断面図である。
図7】(a)は、本発明の第2実施形態に係る頭部装着体の斜視図、(b)は、E-E線における当該頭部装着体が備える健康増進布状体の断面図、(c)は、炭素成型体の斜視図である。
図8】本実施形態における活性炭繊維シートの一例を示す説明図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る頭部装着体の説明図である。(a)は頭部装着体(ヘルメット)の斜視図、(b)はヘルメットに内装する頭部装着体(インナーキャップ)の斜視図、(c)はヘルメット用ヘッドパッドの斜視図である。
図10】(a)は、本発明に係るシーツの斜視図、(b)は、本発明に係る下着の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する健康増進布状体10,10A,10B,10C,10Dはいずれも外装体100の内部に球状微粒子活性炭12を収蔵させたものである。球状微粒子活性炭12の収蔵させ方はそれぞれ異なるが、いずれも外装体100の内部に種々の内装体が収容され、その内装体に球状微粒子活性炭12が保持される構成とされている。
【0020】
内装体としては、健康増進布状体10、10Dでは樹脂層13、健康増進布状体10Aでは内袋14、健康増進布状体10Bではクッション材20、健康増進布状体10Cでは接着芯地21が用いられている。以下、個別に説明する。
【0021】
本発明の第1実施形態に係る健康増進布状体10は、図1(a)及び(b)に示すように、通気性のある外装体100の内部に多数の超多孔質の球状微粒子活性炭12を収蔵させた構成とされている。球状微粒子活性炭12は、粒径が150μm~600μmとされている。この健康増進布状体10は、皮膚に接触又は近接した状態で使用されるものである。
【0022】
当該健康増進布状体10の外装体100は、図1(a)及び(b)に示すように、2枚の布シート11,11(一方側部材11及び他方側部材11)で構成されており、これら布シート11,11の間に多数の球状微粒子活性炭12を挟み込んだ構成とされている。布シート11としては、内部の球状微粒子活性炭12が抜け出さないような肌理を有し、縫製可能なものが選択され、例えば、綿、絹などの天然繊維を原料としたものや、ナイロン、レーヨンなどの化学繊維を原料としたものを適用してもよい。
【0023】
球状微粒子活性炭12は、図1(c)に示すように、略真球形状をしている。これにより、仮に布シート11,11から球状微粒子活性炭12が漏れ出た場合であっても、その球状微粒子活性炭12によって皮膚などが傷付けられるおそれはほとんどない。
【0024】
球状微粒子活性炭12の内部には、球体表面に開口する複数の孔部12aが形成されている。これら孔部12aは、球内部に向かって形成される複数のマクロ孔12bを有しており、各マクロ孔12bには、そのマクロ孔12bを幹としてここから枝分かれするように複数のミクロ孔12cが形成されている。ミクロ孔12cの孔径寸法は、マクロ孔12bよりも小さい。このような構成の孔部12aが複数設けられていることにより、球状微粒子活性炭12は、超多孔質となっている。
【0025】
球状微粒子活性炭12は、炭素材であるので遠赤外線を放射する。球状微粒子活性炭12としては、炭素純度が90%以上のものを用いてもよく、望ましくは99.9%以上のものを用いる。また、球径が150μm~600μmのものを用いてもよく、望ましくは180μm~500μmのものを用いる。また、細孔容積が0.9cm3/g~2.0cm3/g、細孔ピーク直径が0.5nm~2.0nmのものを用いてもよい。ここで、細孔容積とは、球状微粒子活性炭12内に形成された全てのマクロ孔12b及びミクロ孔12cの孔内の容積の和であり、また、細孔ピーク直径とは、孔部12aにおける微粒子活性炭12表面の開口径のうち最大のものを指す。
【0026】
本実施形態では、球状微粒子活性炭12は、炭化させたフェノール樹脂から構成されており、比表面積が2,500m2/g以上とされている。ここで、比表面積とは、球状微粒子活性炭12の球表面の面積、及び全ての孔部12aのマクロ孔12b及びミクロ孔12cを構成する面の面積の合計である。
【0027】
球状微粒子活性炭12は、例えば以下のようにして製造すればよい。
まず、原料となるフェノール樹脂などを粉砕し、粉砕片を加工して複数の球体を得る。この球体を高温下(例えば700~800℃程度)で炭化させた後、その処理物を高温下(例えば900~1000℃程度)で水蒸気と反応させる(水蒸気賦活)。この水蒸気賦活により多孔質の構造が形成される。その後、精製し不純物を取り除き、ふるい分けを行い、所望の粒径、及び所望のマクロ孔12b及びミクロ孔12cの孔径を有した多数の孔部12aが形成された球状微粒子活性炭12が得られる。
【0028】
なお、賦活としては、水蒸気賦活に限られず、二酸化炭素や空気などを用いて行なってもよい。また、KOHなどを用いたアルカリ賦活を行なってもよい。また、球状微粒子活性炭12の原料としては、フェノール樹脂に限られず、ヤシ殻炭や石灰などとしてもよい。
【0029】
球状微粒子活性炭12としては、例えば、B’s Wiper(登録商標)や、特許第4266711号公報および特許第4308740号公報に開示された製法で製造されたものを好適に使用することができる。
【0030】
また、球状微粒子活性炭12としては、強い圧力や衝撃が加えられても割れて粉々にならず、色素などが皮膚などに付着するおそれがないものを利用するようにしてもよい。さらにpH値が7前後(中性)のものとすることが望ましい。このような球状微粒子活性炭12を用いれば、健康増進布状体10をより望ましく皮膚に接触又は近接した状態で安全に使用することができる。
【0031】
本実施形態の健康増進布状体10では、球状微粒子活性炭12は、図1(b)に示すように、外装体100の内部において樹脂層13を介して固着されている。
【0032】
球状微粒子活性炭12は、外装体100の一方側部材11の一方面に塗布された加熱硬化時にひび割れを生じる樹脂層13内に浸された状態で、該一方面上に被せた他方側部材11との間でサンドイッチ状に固着状態とされている。
【0033】
樹脂層13としては、アイオノマー樹脂溶液にて構成された樹脂性溶液層13としてもよく、アイオノマー樹脂溶液に浸した状態の球状微粒子活性炭12を、2枚の布シート11,11間に挟み込んで、健康増進布状体10に固着させるようにしてもよい。具体的には、球状微粒子活性炭12を浸した上記溶液を一方の布シート11の一方の面に塗り、その上に他方の布シート11を貼りつける。その後、40度で硬化させて、球状微粒子活性炭12を両布シート11,11間に挟んだ状態でこれら両布シート11,11間を固着して健康増進布状体10を形成するようにしてもよい。なお、球状微粒子活性炭12は、樹脂層13の溶液に対して5.0~10.0重量%程度含有させてもよい。
【0034】
このようにアイオノマー樹脂溶液を40度で加熱硬化させれば、球状微粒子活性炭12を内部に含んだ硬化物はひび割れ状態となるが、そのひび(裂け目)が気体の流通路となり、布シート11の繊維間空隙を通じて、球状微粒子活性炭12の表面が外気と接触することが可能となる。これにより、球状微粒子活性炭12の脱臭等の効果が発揮される。
【0035】
また、本実施形態では、図1(c)に示すように、球状微粒子活性炭12には、機能性物質12dである抗菌剤、消臭剤、芳香剤のうち少なくとも一つが収蔵されている。
【0036】
これら機能性物質12dは、図1(c)に示すように、球状微粒子活性炭12の孔部12a内に収蔵されている。図例では、機能性物質12dが孔部12aのマクロ孔12b内に収蔵されている例を示しているが、ミクロ孔12c内に収蔵してもよい。球状微粒子活性炭12は複数の孔部12aを有した超多孔質であるので、多数の機能性物質12dを孔部12a内に効率良く含ませることができる。
【0037】
抗菌剤12dとしては、無機系の抗菌剤12dとしてもよく、抗菌作用を有する金属や金属イオンを無機系担体に担持させて構成したものを用いてもよい。このような無機系の抗菌剤12dとしては、例えば、粉体である銀系の無機抗菌剤(例えば、ノバロン(登録商標))を用いてもよい。無機系の抗菌剤12dは、溶液に溶解又は分散させて、球状微粒子活性炭12の孔部12a内に含侵させるようにしてもよい。これにより、球状微粒子活性炭12を含む健康増進布状体10を、雑菌が繁殖し難いなどの抗菌効果を有するものにすることができ、健康増進布状体10の劣化を防ぐことができる。
【0038】
皮膚の汗や皮脂などが健康増進布状体10内に吸い取られると、健康増進布状体10に接触する皮膚表面に存在する雑菌によってこれらが分解され、いわゆる分解臭である悪臭が生じる。上記のような抗菌剤12dを、球状微粒子活性炭12内に含ませれば、雑菌がこれにより死ぬので、雑菌による汗や皮脂などの分解が抑えられ、悪臭の発生が抑制される。
【0039】
消臭剤12dとしては、臭い成分を活性酸素で酸化して別の物質に変化させて該臭い成分を分解する作用を有するものを用いてもよい。このような消臭剤12dとして、DEORASE(登録商標)がある。このDEORASE(登録商標)は、アルカリ条件での中心金属の脱離による消臭効果の低下が見られず、生体内の酵素に似たサイクル反応をもたらすため、他の化学反応を用いた消臭剤と比べて、格段に消臭効果が持続する。また、一般的に、上記サイクル反応の反応性は、吸湿による水分により低下することが知られているが、DEORASE(登録商標)では、逆に吸湿により反応性が向上することがわかっている。
【0040】
なお、消臭剤12dとしては、これ以外に、例えば、人工酵素である鉄系フタロシアニンなどを用いたものを採用してもよい。
【0041】
上述のように、健康増進布状体10内に吸い取られた皮膚の汗や皮脂などは、接触する皮膚に存在する雑菌によって分解されることにより、いわゆる分解臭である悪臭が生じる。上記のような消臭剤12dを健康増進布状体10内に含ませることによって、汗や皮脂などがこれにより分解されるので、雑菌が分解する対象物がなくなり、悪臭の発生が抑制される。
【0042】
芳香剤12dとしては、柑橘系などの種々の臭い成分を含む物質としてもよく、アロマオイルなどを用いてもよい。また、天然素材からなるものや人工的に合成したものとしてもよい。
【0043】
上記のような抗菌剤、消臭剤、芳香剤といった機能性物質12dを球状微粒子活性炭12内に含ませる場合、球状微粒子活性炭12を浸したアイオノマー樹脂溶液などの樹脂溶液層13中に機能性物質12dを溶解または分散させて、球状微粒子活性炭12に吸着させるようにすればよい。球状微粒子活性炭12は超多孔質であるため、この方法により球状微粒子活性炭12の孔部12a内にこれら機能性物質12を簡易に含ませることができる。なお、これら機能性物質は、健康増進布状体10のその他の部位、たとえば布シート11内に含ませるようにしてもよい。なお、後述する第2、第3、第4実施形態についても機能性物質12dを含んだ球状微粒子活性炭12を用いることができる。
【0044】
次に、炭素材である球状微粒子活性炭12が有する遠赤外線作用について説明する。
【0045】
人体は、身体組成の60%は水分、25%以上は炭素で構成されており、36.5℃の平均体温で常に10ミクロンの遠赤外線を放射しているので、球状微粒子活性炭12を含む健康増進布状体10が身体に近接又は接すると、身体が、球状微粒子活性炭12が放射する遠赤外線を吸収して加温される。すなわち、炭素材と頭部との間で同じ波長の遠赤外線を放射しあうことにより、炭素材は約36.5℃の温度を維持する一方で、身体の中では水分子が激しく衝突して、この振動が運動エネルギーとなって、熱に変換され身体が加温される。
【0046】
その結果、遠赤外線が皮下組織や血管などに作用して血流が改善されるが、本発明者によれば、末梢、中枢の血流に15%の上昇効果があることが確認されている。また、炭素材は、α波を発生して、身体を癒し健康増進に寄与することが分かっている。
【0047】
本実施形態に係る健康増進布状体10は、通気性のある外装体100の内部に、粒径が150μm~600μmの多数の超多孔質の球状微粒子活性炭12を収蔵させている。
【0048】
従って、当該健康増進布状体10によれば、顕著な脱臭効果を有し、遠赤外線作用により健康の増進を図ることができる。
【0049】
つまり、通気性のある外装体100の内部に球状微粒子活性炭12が収蔵されているため、外部の空気が外装体100内に入り球状微粒子活性炭12に到達するようになっている。また、球状微粒子活性炭12は、マクロ孔12b及びミクロ孔12cからなる複数の孔部12aを有した超多孔質である。これにより、外装体100の内に入った臭い分子や、皮膚の汗や皮脂などが孔部12a内に吸着され易く、顕著な汗や皮脂の吸い取り効果、体臭の脱臭効果が奏せられる。
【0050】
従って、汗や皮脂などは球状微粒子活性炭12に吸い取られるため、健康増進布状体10を構成する布シート11,11に付着しそこに残存する汚れ成分が少なくなるので、結果として健康増進布状体10の洗浄に必要な洗剤量を少なくすることができる。
【0051】
また、当該健康増進布状体10に含まれる球状微粒子活性炭12は炭素材であり遠赤外線を放射するので、その遠赤外線の作用により人体の血流が促進され、健康増進効果を奏する。
【0052】
また、球状微粒子活性炭12は、複数の孔部12aを有する超多孔質であるので、孔部12a内に、抗菌剤、消臭剤、芳香剤などの種々の機能性物質12dなどを収蔵することができる。
【0053】
また、本実施形態では、球状微粒子活性炭12は炭化したフェノール樹脂から構成されている。従って、フェノール樹脂以外を原料としたものと比べて、より顕著な遠赤外線の放射作用を有するとともに、上記した構造のマクロ孔12b及びミクロ孔12cからなる孔部12aが多数球状微粒子活性炭12内により形成され易くなっている。
【0054】
また、球状微粒子活性炭12の比表面積を2,500m2/g以上(最大3,300m2/g)としている。これは、畳約2200枚部以上に相当する非常に大きな面積であり、皮膚の汗や皮脂、臭い分子などが球状微粒子活性炭12の孔部12a内に吸着し易くなり、より一層顕著な汗や皮脂の吸い取り効果、体臭の脱臭効果が奏せられる。なお、球状微粒子活性炭12としては上記の比表面積のものに限らず、比表面積を1,200~2,500m2/gとしたものを用いることもできる。
【0055】
また、本実施形態においては、球状微粒子活性炭12の孔部12a内に、抗菌剤、消臭剤、芳香剤の機能性物質12dのうち少なくとも一つを収蔵するようにしている。従って、上記した脱臭効果などに加えて、収蔵する機能性物質12dに応じた種々の機能を球状微粒子活性炭12に付与することができる。
【0056】
さらに、本実施形態では、球状微粒子活性炭12を、加熱硬化時にひび割れを生じる樹脂層13内に浸して健康増進布状体10に固着させている。従って、球状微粒子活性炭12を、健康増進布状体10の両布シート11,11間に強固に固着させることができる。また、樹脂層13はひび割れを生じた状態となっているので、健康増進布状体10の外部の空気が樹脂層13のひび割れ箇所から内部に入り込み、内部の球状微粒子活性炭12に到達し易くなるので、脱臭効果を高めることができる。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態に係る健康増進布状体について説明する。
【0058】
本実施形態に係る健康増進布状体10Aは、図2(a)及び(b)に示すように、その外装体100は内部に内袋14を備えており、そこに球状微粒子活性炭12を収容させている。
【0059】
内袋14としては、内部に多数の球状微粒子活性炭12が収容されるスペースを有した袋状体であればよい。また、内部の球状微粒子活性炭12が漏れ出さないような肌理を有したものであればよく、例えば、綿、絹などの天然繊維を原料としたものや、ナイロン、レーヨンなどの化学繊維を原料とした布状のものからなるものとしてもよい。
【0060】
内袋14内部に球状微粒子活性炭12を収容した後、内袋14の縁部を接着剤などによって固着したり、糸などで縫合したりして、球状微粒子活性炭12が外部へ漏れ出ないようにしてもよい。また、内袋14自体を健康増進布状体10Aに固着させたり、縫い付けたりしてもよい。また、内袋14としては、既製品としての健康増進布状体10Aに予め設けられている袋状体を用いてもよいし、新規に形成してもよい。また、球状微粒子活性炭12を、上記したような樹脂層13を用いて内袋14内に固着させてもよい。
【0061】
本実施形態では、上記のように、球状微粒子活性炭12を健康増進布状体10A内に設けた内袋14内に収容している。
【0062】
従って、球状微粒子活性炭12を、樹脂層13を用いて固着させるような場合と比べて、簡易に安価に球状微粒子活性炭12を健康増進布状体10Aに固着させることができる。また、樹脂層13を用いた場合では、健康増進布状体10Aを洗濯することにより樹脂層13が剥がれるおそれがあるが、内袋14内に球状微粒子活性炭12を収容すればその心配はなくなる。
【0063】
また、内袋14を用いる構成であるため、多数の球状微粒子活性炭12を外装体100の特定の位置に配置することができ。例えば、脱臭などに使用したい部位に球状微粒子活性炭12を重点的に配置することができる。内袋14を特定の位置に配置するために、内袋14の外周を外装体100の表裏面より縫い付けるようにしてもよい。
【0064】
また、内袋14が、既製品としての健康増進布状体10Aに予め設けられている場合には、その中に球状微粒子活性炭12を収容させることができるので、新規に内袋14を形成したりする手間がなくなる。
【0065】
次に本発明の第3実施形態に係る健康増進布状体について説明する。
【0066】
本実施形態に係る健康増進布状体10Bは、図3(a)~(c)に示すように、その外装体100の内部に、多数の細孔20aを有したポリウレタン発泡体などよりなるクッション材20を有している。このクッション材20の細孔20aに球状微粒子活性炭12が保持されている。
【0067】
クッション材20が発泡体の場合、細孔20aは発泡体のセル構造の連続気泡によりなり、図3(c)の拡大図に示すように、その連続気泡に球状微粒子活性炭12を保持させるようにすればよい。なお、連続気泡は厚み方向に通気性を有しており、このような連続気泡を有したクッション材20を用いることが望ましい。
【0068】
本実施形態における球状微粒子活性炭12は、粒径が150μm~600μmのものを用いてもよく、望ましくは450μm~550μmのものを用いられる。球状微粒子活性炭12の粒径がたとえば200μm以下の場合、クッション材20の細孔20aの孔径が200μmよりもはるかに大きく形成されていると球状微粒子活性炭12はクッション材20の表面付近にとどまらず、奥方(クッション材20の厚み中心部)にまで入り込むおそれがあるばかりでなく、細孔20aに保持されずにクッション材20を通り抜けて脱落するおそれがある。球状微粒子活性炭12は、健康増進布状体10Bの使用時に人体の皮膚に近傍するほうが好ましいので、図3に示すようにクッション材20の表面付近に球状微粒子活性炭12が保持されるように、球状微粒子活性炭12の粒径が選択される。
【0069】
具体的な球状微粒子活性炭12の保持方法を、図4を参照して説明する。
シート状に形成したクッション材20の一方面を上方に向け(図4(a))、その上に球状微粒子活性炭12を載せ(図4(b))、ヘラ等の器具5で球状微粒子活性炭12をクッション材20の一方面の全面に均一にならせばよい(図4(c))。クッション材の他方面にも球状微粒子活性炭12を載せる場合には、クッション材20を裏返しにし、球状微粒子活性炭12を他方面に塗布して全面に均一にならせばよい。
【0070】
このように、球状微粒子活性炭12はクッション材20の個々の細孔20aに嵌ることでクッション材20に均一に保持され、クッション材20から容易に脱落しない。また、球状微粒子活性炭12がクッション材20に保持された状態においても、縫製等の二次加工が容易である。
【0071】
クッション材20としては、健康増進布状体10Bの用途に応じて種々のものが用いられればよく、よりクッション性のある物に利用する場合には上記のようなスポンジが用いられることが望ましい。クッション材20として羽毛、綿毛、不織布などを用いてもよい。また、用途に応じて、種々の厚みのクッション材20を用いればよい。
【0072】
また、図例のように、2枚の布シート11,11をキルティング状に縫い合わせ、クッション材20およびクッション材20に保持された球状微粒子活性炭12が外装体100の内部で移動しないようにすることが望ましい。また、キルティング加工により外装体100の表面に模様を施してもよい。
【0073】
本実施形態では上記のようにクッション材20により球状微粒子活性炭12を保持させているため、簡易にかつ安価に健康増進布状体10Bを形成することができる。スポンジなどはその全体にほぼ均一に細孔20aが配されているため、球状微粒子活性炭12を均一に分散配置でき、クッション材20を外装体100内に隙間なく内装することで、健康増進布状体10Bのどの部位においても脱臭効果を上げることができる。
【0074】
次に本発明の第4実施形態に係る健康増進布状体について説明する。
【0075】
本実施形態に係る健康増進布状体10Cは、図5に示すように、その外装体100に接着芯地21が内装されて構成されている。この接着芯地21の接着面に球状微粒子活性炭12が保持される構成とされている。
【0076】
接着芯地21は、複数の孔(不図示)が形成され通気性が保持されたシート体である。接着芯地21とは、主に布体同士を貼り合わせるのに用いられ、片面または両面に接着剤が塗布された接着面を有しており、接着面を保護する剥離紙をはがして接着するシール性のものや、アイロン等で加温しながらプレスすることで熱可塑性の接着剤により接着される熱接着性のものがある。本実施形態においては両面に熱接着性の接着面を有しかつ複数の孔が形成された蜘蛛の巣状の接着芯地21が用いられている。この複数の孔内には、接着剤により球状微粒子活性炭12が保持(接着)されている。
【0077】
なお、接着芯地21は蜘蛛の巣状のものに限定されることはなく、等間隔に接着剤が配されているドット状のものであってもよく、通気性を有し球状微粒子活性炭12を保持(接着)される孔を有するものであれば他の形状であってもよい。本実施形態では、接着芯地21の厚みは100μm程度のものを用いているが、これに限定されることはない。
【0078】
また、図例のように、2枚の布シート11,11をキルティング状に縫い合わせ、接着芯地21および接着芯地21に保持された球状微粒子活性炭12が外装体100の内部で移動しないようにすることが望ましい。さらに健康増進布状体10Cの周囲にテープ体101を配して縫製することにより接着芯地21や、接着芯地21に保持されている球状微粒子活性炭12が外部に漏れ出ないように封止されている。なお、前述の健康増進布状体10、10A、10Bについてもテープ体101を配するようにしてもよい。
【0079】
本実施形態では上記のように接着芯地21により球状微粒子活性炭12を保持させているため、簡易にかつ安価に健康増進布状体10Cを形成することができる。接着芯地21は薄いため薄めの健康増進布状体10Cを形成でき、寝具用のシーツなどに利用することができる。また、球状微粒子活性炭12は接着芯地21の接着面に保持された後は移動しにくく、接着面に均一に配されるようにすれば、全体として均一な脱臭効果を上げることができる。
【0080】
次に、本発明の第1実施形態に係る頭部装着体について説明する。
【0081】
本実施形態に係る頭部装着体1は、図6(a)に示すように、人の頭部に被せられる本体部1aを有し、該本体部1aには、その内側面(頭部に対面する側の面)に、前記した健康増進布状体10が設けられている。
【0082】
本実施形態では、頭部装着体1として帽子1を例示している。また、健康増進布状体10を、本体部1aの内側面における縁近傍部位に周方向の全体に亘って環状に設けた例を示している。
【0083】
また、本実施形態では、健康増進布状体10を、帽子1に着脱自在に取り付けられるものとしている。これにより、健康増進布状体10を、新しいものに取り替えることができるので、消耗品として取り扱うことができる。
【0084】
本実施形態に係る健康増進布状体10は、図6(b)に示すように、前述した図1(b)に示す健康増進布状体10と同一の構成であり、球状微粒子活性炭12が健康増進布状体10に対して樹脂層13によって固着されている。なお、健康増進布状体としては、図1の健康増進布状体10に代えて、前述した図2の健康増進布状体10A、図3の健康増進布状体10Bあるいは図5の健康増進布状体10Cを用いてもよい。
【0085】
本実施形態に係る頭部装着体1は、健康増進布状体10を、該頭部装着体1における頭部に対面する面に備えている。従って、球状微粒子活性炭12による遠赤外線効果や、頭部の汗や皮脂などの吸収効果、体臭などの脱臭効果がもたらされる。
【0086】
次に、第2実施形態に係る頭部装着体について説明する。
【0087】
本実施形態に係る頭部装着体1Aが備える健康増進布状体10Dは、図7(a)及び(b)に示すように、炭素を含む柔軟な炭素シート16と、頭部に接触するように配され、炭素シート16の頭部側の面に固着される活性炭繊維シート17と、により層構造を形成している。
【0088】
さらに、炭素シート16の反頭部側の面に、2枚の布シート11,11の間に球状微粒子活性炭12を挟み込んでなる外装体100が固着されており、さらに、この外装体100の反頭部側の面に補強シート15が固着されている。つまり、この健康増進布状体10Dは、頭部装着体1Aが頭部に装着された状態において、頭部に接する側から順に、活性炭繊維シート17、炭素シート16、外装体100、補強シート15が配された多層構造となっている。
【0089】
また、これら各層をそれぞれ単一層にて構成しており、健康増進布状体10Dは、全体で4層構造となっている。なお、各層のそれぞれを複数層としてもよい。また、上記各層の互いの固着は、接着剤などを用いて行なってもよい。
【0090】
図例では、外装体100として、図1(b)及び図6(b)と同様の構成とされたものを示している。つまり、球状微粒子活性炭12が布シート11,11に対して樹脂層13によって固着されている。なお、前述した図2のように、内袋14内に球状微粒子活性炭12を収容させるようにしてもよい。また、前述した図3図5のように、クッション材20や接着芯地21に球状微粒子活性炭12を保持させるようにしてもよい。
【0091】
炭素シート16は、炭素を含むシート体であり、破損し難い軟質な材料からなる。本実施形態では、炭素シート16を可撓性黒鉛シートとしている。可撓性黒鉛シートとしては、黒鉛を膨張させて膨張黒鉛の形態にしてから加圧してシート状に形成したものを用いてもよい。可撓性黒鉛シートの厚さ寸法は、0.05mm~3.00mmとしてもよい。望ましくは、厚さ寸法が0.13mmのものを用いる。
【0092】
炭素シート16は、遠赤外線を放射するので、頭部への遠赤外線作用により健康増進効果がもたらされる。また、多孔質で調湿性を有しているので、頭部が発する汗や皮脂の吸い取り効果や、体臭などの脱臭効果を有する。
【0093】
また、可撓性黒鉛シートを用いる場合、膨張黒鉛の比重は1.3と比較的低値であるので、健康増進布状体10Dの軽量化がなされる。さらに、膨張黒鉛の熱伝導率は300W/(m・k)と比較的高値であるので、優れた放熱効果を有し、頭部の熱を吸収してこれを放熱する作用により、頭部を冷やす効果がある。
【0094】
なお、炭素シート16としては、上記のものに限定されず、例えば、アクリル繊維やピッチなどを高温で炭化して製造した炭素繊維をシート状に形成した炭素織物材を用いてもよい。また、炭素シート16としては、炭素材料の構成比率が95%以上であるものが望ましいが、これに限定されることはない。
【0095】
補強シート15は、破損し難い軟質な材料からなるシート体であり、例えば、紙や、天然クロスなどに使用される布製織物材などとしてもよい。補強シート15は、健康増進布状体10Dの破損を抑制するのみならず、炭素シート16の色素が帽子1に付着するのを防止する。補強シート15の厚さ寸法は、例えば、0.5mm~2.0mm程度としてもよい。
【0096】
活性炭繊維シート17は、破損し難い軟質な材料からなるシート体であり、活性炭繊維を有してなる布製織物材によって構成される。
本実施形態では、図8に示すように、活性炭繊維シート17を、複数の帯状の活性炭繊維材17a,17aを縫い糸17b,17bで縫製して構成している。
【0097】
このような活性炭繊維シート17の製造は、以下に示す方法で行なってもよい。すなわち、まず、活性炭繊維にフェノール樹脂を加えて繊維化した後、炭化させて、複数の活性炭繊維の帯状体17a,17a(所謂縦糸)を形成する。次いで、これら複数の縦糸17a,17aを並列させて、これらに、絹などの縫い糸17b,17b(所謂横糸)を織り込んで、種々の柄や模様を作り出すようにして、活性炭繊維シート17を製造するようにしてもよい。例えば、縦糸17a,17aを30cm~60cmの長さに形成し、これら縦糸17a,17aに1m~20mの長さの横糸17b,17bを織り込んで活性炭繊維シート17を形成するようにしてもよい。
【0098】
また、活性炭繊維シート17は頭部に直接接触する層であるので、安全性を確保すべくpH値が7(中性)あるいはそれ以下になるように当該シートを構成するのが望ましい。なお、上記のような活性炭繊維シート17の製造には、所謂西陣織の技法を用いることができる。
【0099】
このように活性炭繊維シート17を、複数の帯状の活性炭繊維材17a,17aを縫い糸13b,13bで縫製して構成するようにすれば、活性炭繊維シート17の表面に種々の柄や模様などのデザインを施すことができる。活性炭繊維シート17は、頭部装着体1Aに健康増進布状体10Dが取り付けられた状態において外部に露出する部位であるので、表面に施されたデザインが露見し、頭部装着体1Aのファッション性を高めることができる。また、活性炭繊維シート17の製造を西陣織の技法を用いて行なうようにすれば、西陣織の柄や模様を露見させることができるので、頭部装着体1Aのファッション性をより一層高めることができる。
【0100】
活性炭繊維シート17に用いられる活性炭繊維は、遠赤外線を放射するので、炭素シート16の遠赤外線作用との相乗効果により、頭部に対してより強力な遠赤外線効果がもたらされる。
また、活性炭繊維は、多孔質であり、分子の吸い取り機能、及び脱臭機能を有するので、頭部の汗や皮脂の吸い取り効果や、体臭などの脱臭効果を有する。
【0101】
さらに、活性炭繊維は、粒状体の集合体であるので、皮膚に刺さるおそれがなく、皮膚への悪影響がない。また、活性炭繊維は、耐摩耗性に優れており、人体との親和性を有するので、頭部に直接接触する活性炭繊維シート17に用いるのに適している。また、活性炭繊維の比重は1.27と比較的低値であるので、活性炭繊維シート17に用いることで、健康増進布状体10Dの軽量化が図られる。また、炭素シート16の頭部側の面に活性炭繊維シート17を設けているので、炭素シート16の色素が頭部に付着する色移りが防止される。
【0102】
なお、活性炭繊維シート17に用いる活性炭繊維を有する布製織物材としては、炭素材料の構成比率が95%以上であるものを用いるのが望ましいが、これに限定されることはない。
【0103】
本実施形態に係る頭部装着体1Aが備える健康増進布状体10Dは、頭部に直接接触するように配される活性炭繊維シート17を有しているので、汗の吸い取り効果や、顕著な体臭などの脱臭効果を有する。
【0104】
また、炭素シート16及び活性炭繊維シート17は、いずれも遠赤外線を放射するので、多くの量の遠赤外線を放射することができ、健康増進布状体10Dが頭部に装着されることで、頭部の血流促進がより増進され、より大きな健康増進効果を得ることができる。
【0105】
また、健康増進布状体10Dは、2枚の布シート11,11の間に超多孔質の球状微粒子活性炭12を挟み込んでなる外装体100を含んでいるので、前述のような顕著な脱臭効果や遠赤外線効果を奏する。
【0106】
また、本実施形態では、図7(a)及び(b)に示すように、健康増進布状体10Dの表面に、炭素材で構成した突起18を設けている。この突起18は、健康増進布状体10Dの内部に、炭素成型品18を、その一部である先端側を外方側(頭部側)に向けて突出させた状態で埋設することにより構成されている。
【0107】
炭素成型品18は、図7(c)に示すように、基部から先端にかけて先細り状である円錐形の突起部18aと、この突起部18aの底部外周に設けられたつば部18bと、を有した粒状体とされている。この炭素成型品18の寸法は、直径8~9mm、高さ3~5mm程度としてもよい。
【0108】
本実施形態では、活性炭繊維シート17の厚さ方向に孔を開け、この孔から突起部18aの先端側を外方側に突出させ、つば部18bを活性炭繊維シート17と炭素シート16との間に介在させるように、炭素成型品18を活性炭繊維シート17内部に埋設させている。炭素成型品18は、前記孔よりも径寸法が大きいつば部18bの存在により健康増進布状体10Dから脱落し難くなっている。炭素成型品18は、接着剤などにより活性炭繊維シート17内に固着させてもよい。
【0109】
上記のように構成された頭部装着体1Aの健康増進布状体10Dは、炭素成型品18が遠赤外線の放射作用を有するのに加えて、突起部18aの先細り状の先端側が頭部を押圧してツボ刺激作用を有するので、より大きな血流促進効果を有する。そのため、この頭部装着体1Aは、炭素シート16や活性炭繊維シート17、炭素成型品18、球状微粒子活性炭12を含む外装体100が組み合わされることにより、強大な健康増進効果を有する。また、炭素成型品18の突起部18aの存在により、頭部装着体1Aと頭部との接触面積が小さくなり、健康増進布状体10Dと頭部との間の通気性がよくなるので、これらの間隙内の蒸れによる不快感を軽減することができる。
【0110】
なお、炭素成型品18の形状は図例のものに限定されることはなく、たとえば、突起部18aを角錐形や円柱形、半球形状としてもよく、また、つば部18bを矩形状としてもよい。また、炭素成型品18の寸法や、配する個数は、使用する頭部装着体1Aの種類や寸法などによって、適宜設定するようにしてもよい。
【0111】
炭素成型品18を構成する炭素材料としては、等方性高密度炭素材を用いるようにしてもよい。等方性高密度炭素材は、次のように生成される。まず、黒鉛、竹炭などの炭化物の粒子状の炭素材料にフェノール系接着剤、ピッチ又はタールなどのバインダを5重量%程度加えて、弾性を有する型(たとえば、ゴム製の型)に充填する。そして、その型をシールし、圧力容器内に水没させて圧力媒体である水で加圧する。こうすれば、炭素材料は全方向より等圧的に加圧されるので、ランダムに配向し等方性(異方比1.0~1.1)の塊が生成される。その後、型から取り出した炭素材料の塊を、酸素を欠乏させた状態で加熱し、最終的には2000~3000℃程度で焼成する。焼成の途中、フェノール成分、ピッチ又がタールは昇温途中の約1200℃程度で揮発するので、炭素材料は結晶化(黒鉛化)し、高密度で整った結晶構造となる。その後、加熱を止め、炭素材料の温度が下がった後、炭素成型品18の形状に加工する。
【0112】
このように形成した炭素成型品18は、そのまま健康増進布状体10D内に配してもよいが、炭素成型品18に傷や破損を防ぐための皮膜層を形成してもよい。皮膜層の材料は特に限定されないが、炭素を用いる場合は、炭素成型品18の表面にDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)処理による皮膜層を形成するのが望ましい。また、皮膜層に炭素材料を用いないのであれば、樹脂材料であるウレタンなどを用いて皮膜層を形成するのが望ましい。なお、炭素成型品18に用いる炭素材料としては、等方性高密度炭素材に限らず、種々の構成のものを用いてもよい。
【0113】
次に、本発明の第3実施形態に係る頭部装着体について説明する。
【0114】
図9(a)に示したヘルメット2は、工事現場や物流倉庫等の作業現場において作業者の頭部を保護するために用いられる。ヘルメット2は作業者の私物ではなく会社等の備品であることが多く、一つのヘルメット2を多数の作業者が使いまわすことになるため、作業者の頭部に直に接触して使用されると、不特定多数の作業者の汗や皮脂等が付着し不衛生である。そのため、作業者の頭部とヘルメット2との間にインナーキャップ(頭部装着体)1Cを装着したり、ヘルメット2の使用後に消毒用アルコールで消毒することがある。しかしながら、インナーキャップ1Cは使い捨ての薄手の紙製のものが多く、十分な吸湿性、消臭性を有しているとはいえない。そのため、作業中にヘルメット内部が蒸れて作業者が不快に感じたり、ヘルメット2に悪臭が発生するおそれがある。また、薄手の紙製であるので、汗や皮脂等がインナーキャップ1Cを通過してヘルメット2内部に付着してしまい、結局消毒用アルコールで消毒することになり手間がかかってしまう。
【0115】
図9(b)は、第4実施形態に係る健康増進布状体10Cを用いて製造されたインナーキャップ1Bの斜視図である。このインナーキャップ1Bは、頭部全体を覆うように立体的に縫製されている。インナーキャップ1Bの少なくとも頭部側の布体11Aは、通気性及び吸汗性を有するものが望ましい。これにより、頭部から発せられる汗が布体11Aを通過し、球状微粒子活性炭12に吸湿され、また、同時に頭部から発せられる臭い成分も球状微粒子活性炭12に吸収される。さらに、ヘルメット側の布体11Bは防水性素材であるものが好ましい。これにより、着用者が多量の汗をかいても、汗や皮脂などがインナーキャップ1Cを通過してヘルメット2に付着するのを防止することができる。そして、インナーキャップ1Bに用いられている健康増進布状体10Cは、発泡樹脂体のクッション材20によりクッション性を有しているので、ヘルメット2に加わった衝撃を和らげることが可能である。
【0116】
また、図9(c)は、第4実施形態に係る健康増進布状体10Cを用いて製造されたヘッドパッド(頭部装着体)1Cの斜視図である。このヘッドパッド1Cは作業者の額部分に接触するように、ヘルメット2の額に当たるベルト部2a(図9(a)参照)に着脱自在に装着される。ヘッドパッド1Cの少なくとも頭部側の布体11Aは、インナーキャップ1Bと同様に通気性及び吸汗性を有するものが望ましい。
【0117】
なお、本実施形態では作業用のヘルメット2のインナーキャップ1Bへの適用例について説明したが、自動二輪車や自転車の運転時に着用するヘルメットのインナーキャップ1Bとして使用してもよく、また、剣道の防具(面)やアメフトのヘルメット等のスポーツ用ヘルメットのインナーキャップ1Bとして使用してもよく、適用例は限定されない。特に激しい運動を伴うスポーツは発汗量が多く、ヘルメット2の内部が蒸れたり悪臭がついたりすることが多いので、本実施形態のような高い吸汗性や消臭性を有するインナーキャップ1Bを使用することで、ヘルメット2内部の蒸れや悪臭の付着を防止することができる。
【0118】
また、健康増進布状体10Cの布体11A,11Bの両方若しくは片方を破損し難い軟質な炭素材で形成してもよく、例えば可撓性黒鉛シートで構成してもよい。可撓性黒鉛シートとしては、黒鉛を膨張させて膨張黒鉛の形態にしてから加圧してシート状に形成したものを用いてもよい。可撓性黒鉛シートの厚さ寸法は、0.05mm~3.00mmとしてもよい。望ましくは、厚さ寸法が0.13mmのものを用いる。可撓性黒鉛シートは、遠赤外線を放射するので、頭部への遠赤外線効果により健康増進効果がもたらされる。また、多孔質で調湿性を有しているので、頭部が発する汗や皮脂を吸い取り効果や、体臭などの消臭効果がある。
【0119】
また、可撓性黒鉛シートをインナーキャップ1Bに用いる場合、膨張黒鉛の比重は1.3と比較的低値であるので、健康増進布状体10Cの軽量化がなされる。さらに、膨張黒鉛の熱伝導率は300W/(m・k)と比較的高値であるので、優れた放熱効果を有し、頭部の熱を吸収して放熱する作用により、頭部を冷やす効果がある。これによりインナーキャップ1Bは、遠赤外線効果により優れた健康増進効果を有しつつ、汗や皮脂などを吸い取る吸湿性、体臭などの消臭性、放熱効果による着用者の頭部を冷やす冷却性など、着用者に不快感を与えにくい様々な効果を有するものとなる。
【0120】
なお、炭素材からなる布体11A,11Bとしては、上記のものに限定されず、例えば、アクリル繊維やピッチなどを高温で炭化して製造した炭素繊維をシート状に形成した炭素織物材を用いてもよい。また、炭素材からなる布体11A,11Bとしては、炭素材料の構成比率が95%以上であるものが望ましいが、これに限定されることはない。
【0121】
以上には、第1実施形態の健康増進布状体10を頭部装着体1(図6参照)に適用した例、第4実施形態の健康増進布状体10Cを頭部装着体(インナーキャップ1B、ヘッドパッド1C)(図9参照)に適用した例を説明したが、第2、第3実施形態の健康増進布状体10A、Bをそれらの頭部装着体に適用してもよい。
【0122】
次に、本発明に係るシーツ又は下着について、図10にもとづいて説明する。
【0123】
本発明に係るシーツ3、下着4は、それぞれ図10(a)及び(b)に示すように、前記した健康増進布状体10で構成されている。シーツ3、下着4は、その一部のみ、またはその全体を健康増進布状体10で構成してもよい。
【0124】
図10(a)では、シーツ3の一部のみ、つまりシーツ3上で人が寝る際に人が長時間接する部位のみを健康増進布状体10で構成した例を示しており、図10(b)では、下着(肌着)の一部(両脇部位)のみを健康増進布状体10で構成した例を示している。
【0125】
シーツ3としては、綿や絹、麻などの生地からなるものを用いてもよく、下着4としては、肌着に限られず、靴下や足袋、サポーター、ブラジャー、腹巻、Tシャツ、ストッキング、パンツなどとしてもよい。
【0126】
球状微粒子活性炭12は、前記したような樹脂層13(図1参照)を用いたり、内袋14(図2参照)内に収容したりして健康増進布状体10内に含ませてもよい。下着4として靴下や足袋、ストッキングなどを用いる場合、内袋としては、これらのつま先やかかと部位に予め設けられている袋状体を用いてもよい。
【0127】
本実施形態に係るシーツ3又は下着4は、球状微粒子活性炭12を含む健康増進布状体10で構成されているので、前述のような顕著な脱臭効果や遠赤外線効果を奏する。
【0128】
なお、シーツ3や下着4の一部のみを健康増進布状体10で構成する場合、健康増進布状体10を、シーツ3や下着4に着脱自在に取り付けられるものとしてもよい。こうすれば、健康増進布状体10を、新しいものに取り替えることができるので、消耗品として取り扱うことができる。
【0129】
なお、上記した健康増進布状体10,10A,10B,10Cや頭部装着体1,1A、シーツ3、下着4などの構成は、各実施形態や図例に限定されることはなく、材質、寸法、形状なども限定されない。
【0130】
また、球状微粒子活性炭12は、健康増進布状体10,10A,10B,10C内に、密な状態に配してもよく、また、疎らな状態に配してもよい。
【0131】
また、各種機能性物質12d(図1(c)参照)は、球状微粒子活性炭12以外の部位に含有させてもよく、健康増進布状体10,10A,10B,10Cのいずれかの部位に含有させてもよい。
【0132】
また、上記では、頭部装着体として帽子1や、ヘルメット2に用いられるインナーキャップ1B、ヘッドパッド1Cを例示したが、これに限定されない。頭部装着体としては、頭部に装着されるものであればよく、剣道の防具(面)などとしてもよい。また、人の頭部に被せられるものに限られず、動物や、実習用人体機器などの頭部に装着するものとしてもよい。
【0133】
また、健康増進布状体10,10A,10B,10Cの本体部1aへの取り付け箇所は、本体部1aの内側面における縁近傍部位に限定されない。頭部に接触するように取り付ければよく、本体部1a内の種々の箇所に取り付けてもよい。また、健康増進布状体10,10A,10B,10Cを環状に本体部1aに設ける態様に限定されず、環を形成しないようにするか、あるいは複数の健康増進布状体10,10A,10B,10Cを、互いに間隔を空けて設けるようにしてもよい。
【0134】
また、第2実施形態に係る頭部装着体1Aが備える健康増進布状体10Cの層構造は、例示のものに限定されず、各層の配置を異ならせてもよい。また、少なくとも構造体100を備えたものであればよく、各層のいずれかを配さない態様としてもよい。
【0135】
また、健康増進布状体10,10A,10B,10Cの一方の布体11を通気性素材、他方の布体11を防水性素材にしてもよい。このような形態の健康増進布状体10,10A,10B,10Cであれば、敷布団やベッドの上に通気性素材である布体11を皮膚に接せる側にして装着することで、老人や乳幼児等の失禁に対して対応可能なオネショシーツとなる。失禁による排泄物や失禁による臭気を球状微粒子活性炭12により吸着され、防水性素材である布体11により、失禁が敷布団やベッドに到達しにくくなる。
【0136】
なお、防水性素材としては、ポリエチレンやポリウレタン等が好適に用いられるが、これらに限定されることはない。
【0137】
また、接着芯地21を用いた健康増進布状体10Cの場合、防水性素材は接着芯地21を接着する際に加温により軟化しないよう耐熱温度が加温装置の温度より高いものが望ましい。耐熱温度が低い防水性素材を用いる場合は、片面のみが接着面の接着芯地21を用いて布体11、球状微粒子活性炭12、接着芯地21の順に積層して加温装置で接着し、むき出しになっている接着芯地21の上から防水性素材の布体11を被せて縫製や接着等で固着して健康増進布状体10Cを製造してもよい。また、接着芯地21を用いて布体同士を固着した後に、片方の布体11の上から防水性素材の布体11を固着することによって、片面が防水性素材である健康増進布状体10Cを製造してもよく、その他の方法で製造されてもよい。
【0138】
また、以上の種々の健康増進布状体10,10A,10B,10C、10Dは上述したように体に身に着けるものに利用されるが、球状微粒子活性炭12が外装体100の内部の保持される構造であるため、外部に漏れ出るおそれはほとんどない。また、外装体100(布シート11)の一部に肌理の粗い部分があり球状微粒子活性炭12が抜け出たとしても、球状微粒子活性炭12は研磨剤ではないため衣服や体を黒く汚すおそれはない。
【符号の説明】
【0139】
10,10A,10B,10C、10D 健康増進布状体
100 外装体
11,11 一方側部材及び他方側部材(布シート)
12 球状微粒子活性炭
12d 機能性物質、抗菌剤、消臭剤、芳香剤
13 樹脂層(樹脂性溶液層)
14 内袋
18 突起
20 クッション材
21 接着芯地
1,1A 頭部装着体(帽子)
1B 頭部装着体(インナーキャップ)
1C 頭部装着体(ヘッドパッド)
1a 本体部
2 ヘルメット
3 シーツ
4 下着


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10