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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】カテーテル組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20220113BHJP
   A61M 25/02 20060101ALI20220113BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61M1/00 160
A61M25/02 504
A61M25/00 534
A61M25/00 530
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2017562264
(86)(22)【出願日】2016-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 US2016035211
(87)【国際公開番号】W WO2016196590
(87)【国際公開日】2016-12-08
【審査請求日】2019-05-31
(31)【優先権主張番号】62/169,186
(32)【優先日】2015-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507088266
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ マサチューセッツ
【住所又は居所原語表記】One Beacon Street,31st Floor,Boston,Massachusetts 02108
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】カタルテペ,オグズ
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0131576(US,A1)
【文献】特開2012-071135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル組立体であって、
脳の部分に永続的に取り付けられるように配列されるシース;
シース内に摺動可能に配備されるカテーテル;および
シースおよびカテーテルに接続されるコネクタであって、ここでコネクタは、流体が脳の中および外へ移送されることを可能にするように、1以上のポートを有する前記コネクタ、
を含み、
シースの長さが、50cm~100cmである、
前記カテーテル組立体。
【請求項2】
コネクタが、内部および外部の接続部分を包含し、内部の接続部分は、シースに接続され、および外部の接続部分は、カテーテルに接続され、
任意に、内部の接続部分が、患者の頭蓋骨に取り付けられるように配列される、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項3】
外部の接続部分が、脳の中および外へ流体を移送するための1以上のポートを含み、
任意に、カテーテルの近位端が、1以上のポートの1つに取り付けられている、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項4】
カテーテルの遠位端が、シースを介して脳の脳室の中へ挿入されるように配列される、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項5】
シースが、カテーテルの外径よりも大きな内径を有する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項6】
カテーテルが、シースの長さよりも長い長さを有する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項7】
カテーテルが、シース内にぴったりと合う、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項8】
カテーテルの外表面とシースの内表面との間の空間をさらに含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項9】
空間が、カテーテルの外径とシースの内径との間の差に等しく、
任意に、カテーテルの外径とシースの内径との間の差が、約0.25mm~約0.5mmの間である、請求項8に記載のカテーテル組立体。
【請求項10】
カテーテルの遠位端が、カテーテルの長さの残りに沿って延伸する単一の腔と連結している2以上の腔を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項11】
カテーテルの遠位端が、カテーテルの中へ流体を移送するための1以上の側開口を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項12】
1以上の側開口が、1以上の引き延ばされた開口、スリット、点眼形状の開口、円形穴または他の形状の開口を包含する、または、
1以上の側開口が、カテーテルの壁において配備される、または、
1以上の側開口が、カテーテルにおける少なくとも1つの腔と連結している、請求項11に記載のカテーテル組立体。
【請求項13】
カテーテルが、切断されていない遠位端を有する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項14】
シャントバルブおよび遠位カテーテル組立体と組み合わせられ、
任意に、遠位カテーテル組立体が、患者の皮膚の下に永続的に取り付けられている遠位シースにおいて少なくとも部分的に配備される遠位カテーテルを包含する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項15】
カテーテルが、カテーテルとシースとの間の空間を維持するために、カテーテルの外表面の外方に延伸する1以上の突起を包含している、請求項1~14のいずれか一項に記載のカテーテル組立体。
【請求項16】
シャントであって、
脳の部分に永続的に取り付けられるように配列されるシース、および、シースにおいて摺動可能に配備されるカテーテルを包含する、カテーテル組立体;
シャントバルブ;および
遠位カテーテル、
を含み、シースの長さが、50cm~100cmである、前記シャント。
【請求項17】
カテーテルが、シース内にぴったりと合う、請求項16に記載のシャント。
【請求項18】
シースの内表面とカテーテルの外表面との間の空間をさらに含む、請求項16に記載のシャント。
【請求項19】
シャントバルブにシースおよびカテーテルを接続するように配列されるコネクタをさらに含む、請求項16に記載のシャント。
【請求項20】
カテーテルが、カテーテルとシースとの間の空間を維持するために、カテーテルの外表面の外方に延伸する1以上の突起を包含している、請求項1619のいずれか一項に記載のシャント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年6月1日に出願された「VENTRICULAR SHUT CATHETER ASSEMBLY AND METHOD OF VENTRICULAR CATHETER REPLACEMENT」と題する米国仮出願シリアル番号62/169,186について、35 U.S.C.§119(e)の下で利益を主張し、それは言及により全体として本明細書に取り込まれる。
【0002】
分野
本発明は、一般的に医療用カテーテルに関し、特に水頭症の処置における使用のために好適なカテーテル組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
水頭症は、よく見られる疾患であり、脳における拡大した脳室が関連し、およびすべての年齢の個人が経験し得る。典型的には、水頭症の処置は、脳における脳室腹膜シャント(VPシャント)システムなどのシャントカテーテルを置くことを伴う。脳室心房および脳室胸膜シャント配置もまた、ある場合において行われてもよい。
【0004】
概要
1つの態様によると、カテーテル組立体は、脳の部分に永続的に取り付けられるように配列されたシース、シースにおいて摺動可能に配備されたカテーテル、ならびに、シースおよびカテーテルに接続されたコネクタを包含し、ここでコネクタは、1以上のポートを有し、流体が脳の中および外へ移送されることを可能にする。
【0005】
他の態様によると、患者の脳においてカテーテル組立体を据え付ける方法が、開示される。方法は、脳の表面と脳内の脳室との間の永続的な通路を作り出すために、患者の脳の中へシースを据え付けること、および、シースを介して脳室の中へカテーテルを着脱可能に挿入することを包含する。
【0006】
他の態様によると、シャントが、開示される。シャントは、患者の脳において据え付けられるように配列されるカテーテル組立体、シャントバルブ、および遠位カテーテル組立体を包含し、ここで遠位カテーテル組立体は、遠位カテーテルシース、および、遠位カテーテルシースにおいて摺動自在に配備される遠位カテーテルを包含する。遠位カテーテルシースは、患者の首、胸、および腹部の少なくとも1つに永続的に皮下に取り付けられるように配列される。
【0007】
さらに他の態様によると、シャントは、脳の部分に永続的に取り付けられるように配列されるシースと、ならびに、シース、シャントバルブ、および遠位カテーテルにおいて摺動可能に配備されるカテーテルとを包含する、カテーテル組立体を包含する。
【0008】
前述の概念、および以下で議論される追加の概念は、いずれの好適な組み合わせにおいて配列されてもよく、本開示は、この点において限定されないことが、よく理解されるべきである。
【0009】
本教示の前述および他の側面、態様、および特徴は、付随の図面と共に以下の記載からより十分に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な説明
本発明の目的および特徴は、以下に記載される図面、および請求項を参照して、よりよく理解され得る。図面は、必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに強調は、一般的に、本発明の原理を図示することに置かれている。
【0011】
図面において、様々な図において図示される各同一の、またはほぼ同一の構成要素は、同様の数字によって表される。明瞭さの目的のために、すべての構成要素が、すべての図面においてラベルを付されてもよいわけではない。図面において:
【0012】
図1図1は、水頭症を処置するために使用される既知のカテーテルの略図である;
図2図2は、水頭症を処置するために使用される既知のカテーテルの略図である;
図3図3は、1つの態様によるカテーテル組立体である;
図4図4は、他の態様によるカテーテル組立体である;
図5A図5Aは、他の態様によるカテーテル組立体である;
図5B図5Bは、図5Aのカテーテル組立体のカテーテルの斜視図である;
【0013】
図6図6は、1つの態様によるシースに取り付けられている、内部の接続部分の横断面図である;
図7図7は、外部の接続部分の斜視図である;
図8図8は、1つの態様によるシースの斜視図である;
図9図9は、1つの態様によるカテーテルの斜視図である;
図10図10は、1つの態様によるカテーテルの遠位端の斜視図である;
【0014】
図11A図11Aは、様々な態様によるカテーテルの遠位端の斜視図である;
図11B図11Bは、様々な態様によるカテーテルの遠位端の斜視図である;
図12図12は、カテーテル組立体の据え付けおよび/または除去の略図である;
図13図13は、1つの態様による、据え付けられたカテーテル組立体の略図である;
図14A図14Aは、他の態様による、据え付けられたカテーテル組立体および遠位カテーテル組立体の略図である;
図14B図14Bは、図14Aにおいて14Bとラベルを付されたボックスに示される、遠位カテーテル組立体の略図の拡大図である;
図15図15は、1つの態様による、カテーテル組立体を据え付ける順序のフロー図である;および
図16図16は、1つの態様による、カテーテル組立体の閉塞したカテーテルの除去および交換をする順序のフロー図である。
【0015】
詳細な記載
水頭症は、拡大した脳室に関連する疾患であり、脳室は、脳の中心にある流体チャンバである。既知のとおり、4つの脳室-右側脳室および左側脳室、第3脳室および第4脳室-があり、その中で脈絡叢は、脳脊髄液(CSF)を、1日あたり約300~500cc生成する。CSFは、脳における一連の開口または孔を通じて、くも膜下腔の中へ流れ、そこで静脈系によって再吸収される。CSF経路が発達上または後天的な異常によって閉塞し、または抹消された場合、CSFは、脳室系内の圧力下で蓄積する。かかる蓄積は、脳室が広がり始める原因となり、大脳皮質が薄くなり、および伸長することを引き起こす。
【0016】
よく理解されるであろうとおり、患者は、脳室が拡大し、包囲する脳組織において圧力の増加および/または線維の伸長を引き起こすとき、徴候を示すようになるかもしれない。脳は、著しい神経損傷なしで脳室拡張にある程度は対応し得るが、このプロセスが続くと、結局、不可逆的な脳の損傷が生じるかもしれない。
【0017】
水頭症の最も一般的な処置は、脳室腹膜シャント(VPシャント)システムの配置である。脳室心房および脳室胸膜シャント配置も、ある場合において行われてもよい。典型的には、VPシャントは、3つの主要な構成要素:脳室カテーテル、シャントバルブ、および遠位カテーテルを有する。脳室および遠位カテーテルは、典型的には薄い、単一の腔管であり、先端に複数の穴を伴う。
【0018】
VPシャントは、典型的には外科手術を介して据え付けられ、そこで頭皮に小さな切れ目を入れ、硬膜または外部の脳膜を開けるために、頭蓋骨に小さなドリルの穴を開ける。そして脳室カテーテルは、側脳室中へ挿入されてもよい。脳室が脳の中心にあるため、挿入される脳室カテーテルは、脳組織を通過し、脳室カテーテルの先端のみが脳室中へ置かれる。その後にシャントバルブは、拡大した脳室による圧力を制御するために、脳室カテーテルに取り付けられる。すなわち、シャントバルブは、脳室内の圧力レベルがシャントバルブ開口圧力を超過するとき、開かれてもよく、それによってCSFは、脳内の圧力が(例えば、閾値の圧力より上に)上昇したことが発見されたときに排出されてもよい。シャントバルブはまた、圧力が適切なときに、CSFの排出を防ぐために閉じられてもよい。遠位(例えば、腹膜、心房、または胸膜の)カテーテルは、CSFを腹部、心房、または胸膜の空洞に排出するために、シャントバルブに接続されてもよい。
【0019】
不運にも、VPシャントシステムに伴う故障またはその失敗によるシャント修正のために複数の手術を受けることは、VPシャントシステムを備える患者にとってとても一般的であり、これは、患者が再び、水頭症の徴候を示すようになることを引き起こす。例えば、シャント故障の頻度は、移植後の最初の5年内に40~60%の範囲において報告されてきた。脳室カテーテルの障害は、シャント修正手術の最も一般的な理由の1つであり、修正の全件のうち75%までを占める。例えば、脈絡叢、脳組織、凝固(clot)、デブリ、およびそのようなものを伴う、カテーテルの腔における貫通孔の1以上の障害が、生じるかもしれない。患者はまた、解剖学的変化の結果として修正を受けることを要するかもしれない。例えば、患者が成長するにつれ(例えば、新生児から青年期へ)、頭のサイズまたは患者の長さは、増加するかもしれず、据え付けられたカテーテルは、あまりにも小さくなり、したがって、脳室または腹部の外側に動くかもしれない。
【0020】
シャント修正は、神経外科において最も一般的に行われる手術の1つであるが、手術中に生じ得る多数の問題がある。出願人は、かかる問題が、脳室カテーテルに関する現在の設計および技術に帰すことができるかもしれないことに気付いた。これは、例えば、カテーテルの頻繁に繰り返される障害を包含してもよい。他の例として、繰り返しの修正は、新しい脳室カテーテルを置くために脳の再穿刺を要求するかもしれず、これは、脳組織を繰り返し傷つける危険にさらす。手術中に新しい脳室カテーテルを小さな脳室中へ置くことには、困難があるかもしれない。したがって、複数の経路がこれらのケースにおいて必要とされるかもしれず、それはまた、患者を潜在的な脳損傷にさらすかもしれない。さらに、カテーテルは、脳室が小さいとき、最適以下の(suboptimally)、または脳室の外側に、置かれるかもしれない。脈絡叢は高い血管分布を有するので、特に脈絡叢がカテーテル腔に吸い込まれる状況において、手術中の出血および脳損傷のリスクもある。
【0021】
小さな、スリット状の脳室を備える水頭症患者におけるこれらの課題のため、ニューロナビゲーション、内視鏡検査、または定位移植などの追加のツールおよび技術が、脳室カテーテル配置の正確さを強化するために、および、脳室カテーテルの再障害の割合を減少させるために必要とされるかもしれない。しかしながら、これらのツールおよび技術は、手術の存続期間を著しく引き延ばし、およびシャント感染のリスクを増加させ、さらに外科的介入のコストを増加させる。
【0022】
上記の点から見て、出願人は、初期のVPシャント手術中に、脳において少なくとも部分的に、永続的に移植されるカテーテルシステムを提供することによって、様々な利点が達成されるかもしれないことに気付いた。その目的のために、本明細書に開示される態様は、脳において永続的に据え付けられるシースを有し、脳室中への挿入のために外部のシースにおいて摺動可能に受け入れられるカテーテルを備えるカテーテル組立体を包含する。
【0023】
よく理解されるであろうとおり、永続的に据え付けられるシースを有することによって、脳は、各修正手術の間に穴を開けられる必要がないかもしれない。すなわち、シースが据え付けられた後、医師は、修正手技の間に閉塞したカテーテルを単に除去し、取り除けばよい。かかる態様において、新しいカテーテルは、シースを介して作り出される永続的な通路を通じて、同じ脳室における同じ位置中へ置かれる。これは、典型的には修正手術に伴う、繰り返される穿刺を介してなどの脳損傷のリスクを減少させてもよいだけでなく、出血のリスクを減少させてもよい。かかるシースはまた、脳室への通路が常に開いたままであることを確実にしてもよい。したがって、医師は、(例えば、脳室が小さな場合に)カテーテルを置くことが困難であろうこと、または、カテーテルの交換が最適以下の、または脳室の外側にあるであろうことを、心配する必要がない。加えて、修正手術の存続期間が、修正手術の標準的な時間よりも短くなるであろうことが期待される。なぜなら、脳室への既に据え付けられたチャネルがあるため、通路を位置づけることは、ずっと容易だからである。よく理解されるであろうとおり、より短い外科セッションは、患者にとって有利である。要するに、開示されるカテーテル組立体は、修正手術の複雑さおよび侵襲性を減少させてもよく、したがって、改善された患者の回復に役立ってもよい。
【0024】
かかる永続的な脳室への通路はまた、医師が、据え付けられたカテーテルを有することなく、流体を排出することを可能にしてもよい。例えば、医師は、修正手術の間、新しいカテーテルの配置の前に、脳室から流体を排出してもよい。通路はまた、膜を開窓する(fenestrate)ために、脈絡叢の位置を見るために、または新しいカテーテルの適切な長さを決定するために、医師が内視鏡で脳室の探査を行うことを可能にしてもよい。例えば、医師は、新しいカテーテルの配置の前に脳室を探すために、内視鏡を通路中へ挿入してもよい。よく理解されるであろうとおり、かかるステップは、脳へのさらなる外傷(例えば、穿刺)なしに行われてもよい。
【0025】
さらに、患者が成長すると小さくなりすぎて擦り抜け、修正手術を必要とするかもしれないカテーテルとは異なり、出願人は、開示されるシースは、新生児患者に据え付けられてもよく、成長し成年となってさえ脳室中へ永続的な通路を維持してもよいことに気付いた。言い換えれば、シースは、幼少から大人になるまで同じ患者に据え付けられたままでもよく、修正手術は、カテーテルを取り除く場合にのみ必要とされる。
【0026】
開示されるシステムは、修正手術の間、脳への外傷を著しく減少させるかもしれないが、出願人は、外科医には、既存のカテーテルシステムを使用することを好む者もいるかもしれないことに気付いた。例えば、シースは、脳において、既存のカテーテルと比較してわずかに大きな断面開口を作り出すかもしれず、それは、望ましくないかもしれない。カテーテル組立体は、シースの直径が既存のカテーテルの直径と同じになるように設計されてもよい一方で、出願人は、脳におけるより大きな断面開口を伴ってさえ、開示されるカテーテル組立体の改善された外科の経験が、外科医に組立体の使用を考慮させるだけでなく、開示されるカテーテル組立体を好ましい処置の選択肢として採用することを奨励すると信じる。
【0027】
他の側面によると、カテーテル組立体は、カテーテル障害の発生を減少させるように設計されてもよい。例えば、既存の脳室カテーテルが組立体において使用されてもよい一方で、組立体はまた、新しく設計されるカテーテルを包含してもよい。かかる新しく設計されるカテーテルは、脳室(例えば、遠位)端でのカテーテル壁において1以上の側開口を包含してもよく、それは、引き延ばされた開口、スリット開口、点眼(eye-drop)形状の開口、円形穴、もしくは他の好適な形状または形状の組み合わせなどのいずれの所望の形状を有する、スリットまたは開窓穴を包含してもよい。かかる新しく設計されるカテーテルはまた、遠位端に置かれる1以上の腔(例えば、3~4つの腔)を包含してもよく、1以上の腔が、カテーテルの長さの残りに沿って延伸する中心腔と連結している。よく理解されるであろうとおり、かかる態様において、腔の1つが凝固を介してなど閉塞になる場合、CSFは、中心カテーテル腔へ、カテーテルの遠位端で他の腔の1以上を通過してもよい。
【0028】
さらに他の側面によると、腹部、心房、または胸膜の空洞中へCSFを排出するために、シャントバルブに接続される遠位カテーテル組立体が、開示される。既知のとおり、CSFを排出するために使用される伝統的なカテーテルは、先端および/または側面に単一の腔および開口を備える管を包含する。かかるカテーテルは、典型的には、脳から腹部の空洞へ延伸し、首、胸および/または腹部の壁において皮下に位置付けられる。理論によって拘束されることを望まず、これらのカテーテルは、徐々に石灰化するかもしれず、皮下組織に付着するかもしれず、壊れ、閉塞し、および/または短くなったときに交換の必要があるかもしれない。伝統的には、古い遠位カテーテルを除去するための手術は、古いカテーテル片を(例えば、一片ずつ)除去するための、頭、首、胸および/または腹部上の複数の切れ目を包含する。代替的に、古く、壊れた遠位カテーテルは、置いたままにしてもよく、新しいカテーテルが、新しい第2の道を形成するために、皮下に挿入される。言い換えれば、患者は、彼または彼女の皮膚の下の古いカテーテルおよび新しいカテーテルとともに生活する。
【0029】
その目的のために、およびカテーテル組立体に類似して、出願人は、首、胸および/または腹部において少なくとも部分的に、永続的に移植される遠位カテーテル組立体を提供することによって、利点が実現されてもよいことに気付いた。したがって、本明細書に開示される態様は、脳に取り付けられているカテーテル組立体、シャントバルブ、およびシャントバルブを首、胸および/または腹部に接続する遠位カテーテル組立体を備えた、VPシャントを含む。ある態様において、遠位カテーテル組立体は、遠位シース、および、遠位シースにおいて摺動可能に受け入れられる遠位カテーテルを包含する。かかる遠位カテーテルは、シャントトンネルを介して、頭と腹部の切れ目との間に接触して皮膚の下に置かれてもよい。使用において、カテーテルを取り除くために、医師は、遠位カテーテルを除去する必要があるだけであり、一方で遠位シースは、体に取り付けられたままである。
【0030】
よく理解されるであろうとおり、頭に置かれたシャントバルブから腹部の空洞へのかかる永続的な皮下通路(例えば、遠位シース)を有することは、頭の小さな切れ目を通じて、腹部のカテーテルを除去する/を取り除く機会を与えてもよい。かかる態様において、新しい腹部のカテーテルは、腹部の切れ目を開けることを要せず、および腹部の空洞に再度入ることなく、この切れ目を通じて置かれてもよい。
【0031】
次に図を検討すると、図1および図2は、既存の先行技術の脳室カテーテルを図示する。既知のとおり、かかるカテーテルは、薄い、管状の、管(例えば、シリコーンエラストマー管)を包含し、遠位端で全体の長さに沿って延伸する単一の腔および様々な数の穿孔を備える。よく理解されるであろうとおり、穴の数は、16、20、または32の穴など、モデル次第で変わってもよい。一般的に、穴は、4行または6行の対向して置かれている穿孔において配列され、カテーテルの最も端で合計穿孔セグメントが10~15mmの長さを備える。
【0032】
図3は、本開示によるカテーテル組立体200の断面略図を包含する。よく理解されるであろうとおり、かかるカテーテル組立体は、脳室腹膜(VP)シャントにおける脳室カテーテル組立体として使用されてもよい。本明細書における目的のために、脳室カテーテル組立体は、脳の脳室内に置かれ、または連結しているカテーテル組立体を包含する。かかる脳室カテーテル組立体は、VPシャントの他の構成要素-シャントバルブおよび遠位カテーテルとともに使用されてもよい。さらによく理解されるであろうとおり、カテーテル組立体はまた、脳室心房および脳室胸膜シャント、または他のシャントとともに使用されてもよい。
【0033】
図3に示されるとおり、ある態様において、カテーテル組立体200は、カテーテルシース202、シース内に摺動可能に受け入れられるカテーテル204、シース202およびカテーテル204の近位端をシャントバルブ(図示されない)に接続するコネクタ205を包含する。よく理解されるであろうとおり、コネクタ205は、記載されるであろうとおり、CSFが脳における脳室から通り得るように配列されてもよい。
【0034】
本明細書における目的のために、シースは、カテーテルに渡って置かれる外部の被覆を包含する。ある態様において、シースは、形状において円筒形でもよいが、シースは他の形状を有してもよいことが、よく理解されるであろう。この図8に示されるとおり、シースは、上および下の両方で開口を包含し、カテーテルは、カテーテルの遠位端を脳の脳室中へ位置づけるために、開口の各々中へ滑らせることができる。
【0035】
図3に戻ると、ある態様において、カテーテル204は、シースの内径D2よりも短いかまたはほぼ等しくなるように配列され、カテーテル204は、シース中へ摺動可能に挿入されてもよい。例えば、カテーテル204の外径D1は、約2mm~約3mmの間でもよく、一方でシースの内径D2は、約2mm~約3.5mの間でもよい。かかる態様において、シースは、約2.5mm~約4mmの間の外径を有してもよく、シースの壁の厚さは、約0.3mm~約0.8mmの間でもよい。カテーテルは、約1.5mm~約2.5mmの間の内径を有してもよく、カテーテルの壁の厚さは、約0.3mm~約0.8mmの間である。1つの例示の態様において、シースの内径および外径は、約2.5mmおよび約3mmであり、それぞれ、約0.5mmの壁の厚さを備える。かかる例示の態様において、カテーテルは、約1.5mmおよび約2mmの内径および外径を有してもよく、それぞれ、約0.5mmの壁の厚さを備える。
【0036】
ある態様において、図3において図示されるとおり、組立体は、カテーテル204の外表面とシース202の内表面との間の空間207があるように配列される。よく理解されるであろうとおり、かかる態様において、カテーテル204の外径D1および/またはシースの内径D2は、カテーテルとシースとの間の空間がない態様において、より大きくてもよい(例えば、図4を参照)。ある態様において、空間は、カテーテル204の外径D1とシースの内径D2との間の差に等しく、それは、約0.25mmと約0.5mmとの間でもよいが、他の好適な距離が使用されてもよい。かかる態様において、CSFは、空間内をコネクタへ通ることができるようにしてもよく、したがって、CSFのための追加の排出チャネルを可能にする。記載されるであろうとおり、組立体200は、互いに、およびシャントバルブ(示されない)にカテーテル204およびシース202を接続するように配列されるコネクタ205を包含してもよい。
【0037】
ある態様において、図5Aおよび図5Bに示されるとおり、カテーテルは、カテーテル204とシース202との間の空間を維持するために、カテーテル204の外表面211の外方に延伸する1以上の突起209を包含してもよい。よく理解されるであろうとおり、突起209は、いずれの形状でもよく、カテーテル204上のいずれの好適な位置に位置付けられてもよい。さらによく理解されるであろうとおり、突起は、カテーテル上に示されるが、他の態様において、突起は、シースの内側表面上に置かれてもよい。
【0038】
ある態様において、図4に示されるとおり、カテーテル204は、シース内にぴったりと合い、カテーテルの外径は、シースの内径よりわずかに短いことを要するのみである。よく理解されるであろうとおり、直径における差は、カテーテルが修正手技の間、シースから除去可能でもよいように、十分大きいことを要するのみである。この点について、カテーテル204の外径D1は、シースの内径D2とほぼ同じでもよい。かかる態様において、カテーテルおよびシースは、シャントバルブ240に直接、接続されてもよい。よく理解されるであろうとおり、他の態様において、シースおよびカテーテルは、コネクタを介してシャントバルブに接続されてもよい。
【0039】
図3に戻ると、ある態様において、カテーテルの長さL1は、シースの長さL2よりも長い。かかる態様において、カテーテル204の遠位端213は、シース202の遠位端215から外方に延伸してもよく、カテーテル204は、CSFを抽出し、または取り出すために、脳室(示されない)中へ挿入されてもよい。かかる態様において、カテーテル204は、カテーテルシース202よりも長くてもよく、よりよい流体排出のために、脳室におけるカテーテル先端の最も遠位端など、遠位端で側開口へのより大きなCSF接触表面を提供する。ある態様において、カテーテルは、先端を越えて約0.5cm~約2cmの間の外方に延伸してもよい。
【0040】
ある態様において、シースの長さは、患者の頭のサイズおよび年齢に基づいて決定されてもよい。例えば、シースの長さは、約2cm~約10cmの間で据え付けられてもよい。よく理解されるであろうとおり、据え付けられていないシースは、約10~20cmの間でもよく、外科医は、シースを必要とされるサイズに切ってもよい。
【0041】
ある態様において、据え付けられたカテーテルの長さは、約4cm~約12cmの間である。シースと同様に、据え付けられる長さは、患者の年齢および頭のサイズ次第であり、約12~22cmの長さにおいて提供されてもよく、外科医は、カテーテルをある大きさに切ってもよい。
【0042】
図3および図6図7に示されるとおり、コネクタ205は、カテーテル204およびシース202をそれぞれ、バルブに接続するための、外部の接続部分206および内部の接続部分208を包含する。よく理解されるであろうとおり、コネクタは、2つの接続部分を有するように示されるが、他の態様において、コネクタは、単一の一片でもよい。さらに、コネクタは、カテーテルおよびシースに取り付けられて着脱可能であるように示されるが、他の態様において、1以上の接続部分は、それぞれの部分に永続的に取り付けられてもよい。使用において、外部の接続部分は、図3に示されるとおり、内部の接続部分に接合される。例えば、第1のコネクタ部分は、内部のコネクタ部分に圧入、スナップフィット、滑合、ねじ込み、または他の方法で適合的に接続されてもよい。
【0043】
図6は、内部の接続片208を図示し、それは、本開示によるシース202に取り付けられて配列される。この図に示されるとおり、シース202は、ポート216を介して内部の接続片208に取り付けられてもよい。この点について、シース202の壁は、内部の接続部分208の遠位端217に渡って滑合してもよい。ある態様において、シース202はまた、絹のひもまたは糸219で結ばれることによって、内部の接続部分208に固定される。
【0044】
1つの例示の態様において、ポート216の外径D3(例えば、内部の接続部分208の遠位端217の外径)は、約3mmでもよく、シース202の内径D2は、圧入が達成され得るように、約3mmでもよい。よく理解されるであろうとおり、他の好適な接続は、シースおよび内部の接続部分を接合するように使用されてもよい。他の態様において、シースおよび外部の接続部分はまた、統合的に形成されてもよい。1つの態様において、外部の接続部分の近位端に渡って置かれるシースの長さは、約5mmである。
【0045】
ある態様において、内部の接続部分208は、患者の頭蓋骨におけるドリル穴に合わせて、患者に取り付けられている。据え付けられるとすぐに、内部の部分208およびシース202は、永続的に据え付けられてもよく、したがって、例えば感染がある場合など通常でない状況下を除いて、除去されなくてもよい。
【0046】
図3および図7は、外部の接続部分206を図示し、それは、カテーテル204に接続されるように配列される。内部の接続部分と同様に、カテーテル204は、外部の接続部分206の遠位端221上へ滑合されてもよく、ポート223で外部の接続部分に接合されてもよい。絹のひもまたは糸219はまた、外部の接続部分206にカテーテルを固定するために、カテーテル204および外部の接続部分206の周りで結ばれてもよい。よく理解されるであろうとおり、カテーテル202および外部の接続部分206は、他の好適な方法において接合されてもよく、他の態様において統合的に形成されてもよい。
【0047】
ある態様において、ポート223の直径は、カテーテル204の内径より大きく、カテーテルは、使用の間、緩くなりにくい。1つの例示の態様において、カテーテル204の内径は、1.2mmであり、一方でポート223の直径は、1.4mmである。ある態様において、外部の接続部分の近位端に渡って置かれるカテーテルの長さは、約3mmである。ある態様において、カテーテルは、シース202を通じてカテーテルを通すことによって、脳室中へ挿入されてもよく、カテーテル204に取り付けられている外部の接続部分206を伴う。次に、外部のコネクタ部分206は、内部の接続部分208中へぴったりと挿入されてもよく、それによって、シャントの据え付けを完了する。
【0048】
図3および図7にも示されるとおり、外部の接続部分は、流体がコネクタ、したがって脳の中へ、またはその外へ通ることを可能にするための、1以上のポートを有してもよい。例えば、第1のポート212(図3を参照)は、外部の接続部分206の上に置かれてもよく、それは、自己密閉する(self-sealing)貫通可能なドームを有してもよく、例えば注射用薬のバイアルに見られる、自己密閉する膜のタイプなどである。ある態様において、ポート212は、CSFを除去するために(例えば、CSFの分析を行うために)、流体を注入するために(例えば、薬物を注入するために)、および/または、脳室カテーテル組立体内の流体の圧力(および、それによって脳室における圧力)を計測するために、使用されてもよい。外部の接続部分206はまた、ポート226を包含してもよく、それは、カテーテル組立体200をシャントバルブ(示されない)に接続し、CSFの適切な取り出しを可能にするために、使用されてもよい。
【0049】
外部の接続部分206はまた、シース202とカテーテル204との間の空間からの流体の取り出しを可能にする、複数の穴または他の開口210を包含してもよい。ある態様において、開口210を有する外部の接続部分206の部分は、直径約4mmでもよく、形状においてやや半球状でもよい。前に記載したとおり、外部の接続206はまた、カテーテル202からの流体の取り出しを可能にするために、遠位端221でポート223を包含してもよい。
【0050】
図8は、本開示によるシース202の斜視図における図示である。示される態様において、シース202は、薄い、中空の管である。シースは、シリコーンエラストマーで形成されてもよいが、他の好適な材料が使用されてもよい。シースはまた、抗凝固剤および/または抗生物質などの1以上のコーティングで被覆されてもよい。シースは、円筒形の形状にされたものとして示されるが、シースが他の好適な形状を有してもよいことは、よく理解されるだろう。ある態様において、シースは、そこに置かれる閉塞器(obturator)(図示されない)を包含する。カテーテルシース202および閉塞器は、標準的な脳室カテーテル配置技術を使用して、脳室中へ挿入されてもよく、その後に閉塞器は、除去されてもよい。脳において据え付けられるシース(および内部の接続部分)の図示は、図12において見られてもよい。よく理解されるであろうとおり、一度据え付けられると、中空のシース202は、脳の表面と脳室との間のアクセストンネルまたは通路を作り出し、それは、カテーテル配置のために使用されてもよい。
【0051】
図9は、本開示によるカテーテル204の斜視図である。示される態様において、カテーテルは、管状の管であり、シース中へ(および脳室中へ)挿入されてもよい。シースと同様に、カテーテルは、シリコーンエラストマーで形成されてもよいが、他の好適な材料が使用されてもよい。カテーテルはまた、抗凝固剤および/または抗生物質などの1以上のコーティングで被覆されてもよい。カテーテルは、カテーテルシースよりも長くてもよく、カテーテルの遠位端は、カテーテルシースの遠位端を越えて脳室中へ延伸する。
【0052】
図10に示されるとおり、ある態様において、カテーテル204は、単一の腔と相互接続され、連通する複数の内部のチャネルを包含する。例えば、カテーテルの遠位端213は、1以上の腔224を有してもよく、カテーテル204の長さの残りに沿って延伸する中心腔チャネル225を接合する。1つのかかる例において、カテーテルは、3~4の腔を包含してもよい。本明細書における目的のために、腔を有するカテーテルの遠位端は、カテーテルの最後の1cm~2cmを包含してもよい。
【0053】
図9および図11A図11Bに示されるとおり、カテーテル204の遠位端213はまた、縦スリット227のような、カテーテル壁における1以上の開口を包含してもよい。よく理解されるであろうとおり、スリット227は、図9および図11A図11Bに示されるが、開口は、いずれの好適なサイズまたは形状を有してもよい。例えば、開口は、引き延ばされた開口、点眼形状にされた開口、円形穴、もしくは他の好適な形状または形状の組み合わせでもよい。ある態様において、スリットは、約1cm~約3cmの間の長さL3を有してもよい。1つの例示の態様において、長さは、約2cmでもよい。ある態様において、スリットの幅は、約0.2mm~約0.8mmの間、または約0.5mmでもよい。腔と同様に、開口は、カテーテルの長さ(例えば、遠位端で)の最後の1cm~2cmに沿って置かれていてもよい。図11Aは、カテーテルの遠位端213が切断されていない態様の斜視図の図示である。よく理解されるであろうとおり、図11Aに示される破線は、図11Bに示されるセクションが除去されていることを示唆する。
【0054】
ある態様において、カテーテル204は、壁スリットおよび先端での1または複数の引き延ばされた、または楕円の開口を通じて、CSFの排出を可能にする。複数のチャネルは、広く多様な楕円の開口に接続され得る。よく理解されるであろうとおり、既知のカテーテルは、小さな穴を有する。楕円の開口およびスリット壁は、カテーテル腔中への組織の吸引を最小限にしてもよく、カテーテル障害のリスクを減少させてもよい。
【0055】
他の側面によると、図12および図13、および図15におけるフロー図において図示されるとおり、カテーテル組立体を据え付ける方法が、開示される。1つの態様によると、方法300は、患者の頭皮350上に小さな切れ目を入れること、および、患者の頭蓋骨中へドリルで小さな穴を開け、患者の硬膜352を開くことを包含する。次に、方法は、前記脳内の脳室との間の通路を提供するために、例えば、閉塞器を備えるシース354を脳の中へ据え付けることを包含する。使用される場合、閉塞器は、その後除去されてもよい。据え付けられたシースを備える患者の例が、図12において見られる。次に、シースの近位端は、内部の接続部分356に(例えば、ポートを介して)取り付けられ、および、シースおよび内部の接続部分は、頭蓋骨に永続的に取り付けられている。カテーテルは、遠位端が前記脳内の脳室中へ挿入されるまで、(遠位端を介して)シース358中へ着脱可能に挿入される。よく理解されるであろうとおり、カテーテルは、既存のカテーテルを包含してもよく、または、カテーテルは、1以上の腔および/または1以上の開口(例えば、スリット)を備えた遠位端を有するカテーテルを包含してもよい。さらによく理解されるであろうとおり、カテーテルの近位端は、外部の接続部分206に取り付けられていてもよく、それは、その後に内部の接続部分に取り付けられる。外部の接続部分206のポート226は、その後にVPシャント362のシャントバルブ240に接続されてもよい。よく理解されるであろうとおり、かかる据え付けとともに、シース202は、脳室中への永続的なアクセストンネルを作り出す。
【0056】
図4に示されるとおり、カテーテルがぴったりとシース内に合い、コネクタが使用されない態様において、カテーテル組立体を据え付ける方法は、コネクタを包含するステップを除いて、図15に示されるものに類似してもよい。言い換えれば、方法は、患者の頭皮350に切れ目を入れること、患者の頭蓋骨中へドリルで小さな穴を開け、患者の硬膜352を開くこと、シース354を据え付けること、カテーテル358を着脱可能に挿入すること、およびカテーテルおよびシースをシャントバルブ362に取り付けることを包含してもよい。
【0057】
他の態様によると、カテーテルの場合に、カテーテルを除去し、交換する方法が開示される。かかる方法400は、図16のフロー図に示される。かかる態様において、方法は、シャントバルブの周りの頭で開き、シャントバルブからシース-カテーテルをはずすことを包含してもよく、次に、方法は、シース370から閉塞したカテーテルを除去すること、およびその後に新しいカテーテルをシース372中へ摺動可能に挿入することを包含してもよい。新しいカテーテルは、遠位端に取り付けられている外部の接続部分を有してもよく、それは、その後に脳における内部の接続部分に取り付けられるだろう。よく理解されるであろうとおり、カテーテルは、カテーテルの遠位端が脳室中へ挿入されるまで挿入される。さらによく理解されるであろうとおり、この手技の間、カテーテル204のみが除去され、交換される必要があり、シース202は、修正手術の間、脳において据え付けられたままである。
【0058】
他の側面によると、遠位カテーテル組立体が開示される。図12および図13に示されるとおり、例えば、遠位カテーテル230は、流体を脳から腹部の空洞232へ移送するために、シャントバルブ240に接続されてもよい。ある態様において、図12に示されるとおり、遠位カテーテルは、単一の腔を有する既知のカテーテルを包含してもよく、CSFを排出するために、(例えば、首、胸および腹部を介して)脳から腹部の空洞へ延伸して、皮下に置かれている。よく理解されるであろうとおり、本明細書に開示される、新しく設計されるカテーテルの1つはまた、この構成において使用されてもよい。
【0059】
既知のとおり、カテーテルは、徐々に石灰化し、壊れ、閉塞し、分離し、または短くなるかもしれない。出願人は、脳において作り出される永続的な通路に類似した、永続的な皮下通路を作り出すことによって、利点が実現してもよいことに気付いた。その目的のために、図14Aおよび図14Bに示されるとおり、ある態様において、遠位カテーテル組立体は、脳から腹部の空洞232へ延伸する遠位シース234、および、遠位シース内に摺動可能に配備される遠位カテーテル230を包含してもよい。
【0060】
図14Aおよび図14Bに示されるとおり、1つの態様において、遠位カテーテル230は、遠位シース234内にぴったり合ってもよい。他の態様と同様に、この態様における遠位シースの直径は、カテーテルよりもわずかに大きいことを要するのみであり、遠位カテーテルは、遠位シースから除去されてもよい。図14Bに示されるとおり、遠位カテーテル230の部分は、遠位シース234を越えて外方に延伸してもよい。例えば、腹部の空洞における遠位カテーテルの長さは、約30cm~40cmの間でもよく、他方で、遠位シースの長さは、約10cm~15cmの長さの間のみでもよい。かかる態様において、遠位カテーテルは、遠位端で(例えば、カテーテルの最後の5cmに渡って)複数の側面の穴またはスリットを包含してもよい。この図にも示されるとおり、遠位カテーテル230および遠位シース234は、シャントバルブ240に接続されてもよい。
【0061】
他の態様によると、閉塞した遠位カテーテルを除去し、交換する方法が、開示される。かかる態様において、方法は、シャントバルブの周りの頭で開けること、シャントバルブからシースおよびカテーテルをはずすこと、遠位シースを除去することなく遠位カテーテルを引き出すこと、および、頭における同じ切れ目から遠位シースを通じて新しい腹部のカテーテルを摺動可能に挿入することを包含してもよい。よく理解されるであろうとおり、前に置かれた遠位シースを通じて頭から腹部の空洞への永続的な通路があるため、追加の切れ目が患者に入れられる必要はない。
【0062】
ある態様において、遠位カテーテルは、約2mm~約3mmの間または約2.5mmの外径を有してもよい。内径は、約1mm~約2mmの間または約1.5mmでもよい。よく理解されるであろうとおり、壁の厚さは、約0.3mm~約0.8mmの間または約0.5mmでもよい。据え付けられる長さはまた、患者の年齢および体のサイズ次第であろうし、約60cm~約90cmの間の範囲でもよく、および、長さにおいて約70~約100cmの間または長さにおいて約90cmのカテーテルからある大きさに切られてもよい。
【0063】
ある態様において、遠位シースは、約2.5mm~約3.6mmの間または約2.6mmの外径を有してもよい。内径は、約2.1mm~約3.1mmの間でもよい。壁の厚さは、約0.3mm~約0.6mmの間、または約0.5mmでもよい。シースの長さはまた、約50cm~約70cmの間で据え付けられてもよいが、この長さは、患者の年齢およびサイズに基づいて変わるだろう。シースは、長さにおいて約70cm~約100cmの間、または長さにおいて約90cmのシースから、ある大きさに切られてもよい。
【0064】
脳室カテーテル組立体は、脳室腹膜シャントの部分として使用される一方で、例えば、外部の脳室排出システムの部分として、流体を除去し、患者の腹部以外の位置へ運ぶためにも使用され得る。
【0065】
また、カテーテル組立体は、脳における流体を除去することにおける使用のために開示されたが、他の流体を除去するために、カテーテル組立体が体の他の位置に据え付けられてもよいことは、よく理解されるであろう。
【0066】
本明細書において与えられる理論的な記載は、正確であると考えられるが、本明細書において記載され、および主張されるデバイスの動作は、理論的な記載の正確さまたは妥当性に依拠しない。すなわち、本明細書における理論とは異なる基礎による、観察された結果を説明してもよい後の理論的な発展は、本明細書において記載される本発明を損なわないだろう。
【0067】
明細書において特定されるいずれの特許、特許出願、特許出願公報、ジャーナル記事、本、発行された紙面、または他の公衆に利用可能な材料は、本明細書において言及によって全体としてここに取り込まれる。本明細書において言及によって取り込まれると言われ、しかし本明細書において明示的に規定される既存の定義、声明、または他の開示材料と衝突するいずれの材料、またはその部分も、取り込まれる材料と本開示材料との間で衝突が生じない限りで取り込まれるのみである。衝突の場合において、衝突は、好ましい開示として本開示を支持するように解決される。
【0068】
本教示は、様々な態様および例と共に記載された一方で、本教示がかかる態様または例に限定されることは、意図されない。反対に、本教示は、当業者によってよく理解されるであろうとおり、様々な代替、修正、および均等を包含する。それに応じて、前述の記載および図面は、例としてのみである。
【0069】
本発明の様々な側面は、前記の態様において明確に議論されていない単独、組み合わせ、または様々な配列において、使用されてもよく、したがって、その出願において、前述の記載または図示される図面において規定される構成要素の詳細および配列に限定されない。例えば、1つの態様において記載される側面は、他の態様において記載される側面を備える方法において組み合わされてもよい。
【0070】
また、本発明は、方法として具現化されてもよく、その例は、提供されている。方法の部分として行われる行動は、いずれの好適な仕方において順序付けられてもよい。それに応じて、態様は、行動が図示される順序とは異なって行われるように構築されてもよく、それは、例示の態様において連続した行動として示されるとしても、ある行動を同時に行うことを包含してもよい。
【0071】
請求要素を修正するための請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」などの順序を示す用語の使用は、それ自体で、他のまたは一時的な順序に渡って、いずれの1つの請求要素の優先、順位、または順序も暗示せず、その行動において方法は行われるが、請求要素を区別するために、ある名前を有する1つの請求要素を、同じ名前を有する他の要素から区別するラベルとして(しかし、順序を示す用語の使用のために)使用されるのみである。
【0072】
また、本明細書において使用される語法および用語法は、記載の目的のためであり、限定するものとみなされるべきではない。「を包含すること」、「を含むこと」、または「を有すること」、「を含有すること」、「を伴うこと」および本明細書におけるそのバリエーションは、その後に列挙された項目および追加の項目と同様にその均等を網羅することを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16