(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】間隔検出装置
(51)【国際特許分類】
G01B 5/14 20060101AFI20220113BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
G01B5/14
H01L21/68 F
(21)【出願番号】P 2018086479
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000183738
【氏名又は名称】春日電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002446
【氏名又は名称】特許業務法人アイリンク国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076163
【氏名又は名称】嶋 宣之
(72)【発明者】
【氏名】東 明路
(72)【発明者】
【氏名】田中 文蔵
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-045243(JP,A)
【文献】特開平08-159706(JP,A)
【文献】特表2008-537780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/14
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノーマル状態で間隔が保たれて開状態を維持する一対の接点を有する間隔検出手段が備えられ、
この間隔検出手段は、
電極部材と保持手段に保持された処理対象物との間に挿入されるとともに、
その挿入状態で
上記一対の接点が閉じられたときの、電極部材と上記処理対象物との間に介在する当該間隔検出手段の構成要素の合計厚さを、上記電極部材と上記処理対象物との適正間隔と等しくし、
上記電極部材と処理対象物との間に当該間隔検出手段を介在させ、上記電極部材の押圧力で上記接点が閉じられたとき、上記間隔検出手段が適正間隔を示す電気信号を出力する間隔検出装置。
【請求項2】
上記間隔検出手段には、少なくとも一方の接点を挟んで対向間隔とは反対側に、その一方の接点と重なり合う非弾性のスペーサが設けられ、このスペーサが上記間隔検出手段の構成要素に含まれる請求項1に記載の間隔検出装置。
【請求項3】
上記間隔検出手段は、シート状のカバーで覆われるとともに、このカバーが上記間隔検出手段の構成要素に含まれる請求項1又は2に記載の間隔検出装置。
【請求項4】
上記間隔検出手段には、上記カバー内であって、上記一対の接点の対向間隔から外れた位置すなわち上記一対の接点が閉じたときその接点間に挟み込まれない位置に弾性体が設けられるとともに、
この弾性体は、上記カバーに押圧力が作用していないときに上記一対の接点を開いた状態に保ち、上記カバーに押圧力が作用したときに上記弾性体がたわんで上記一対の接点が閉じられる請求項3に記載の間隔検出装置。
【請求項5】
複数の間隔検出手段が設けられ、上記保持手段で保持する処理対象物の搬送方向に複数並べられた電極部材のそれぞれに、上記間隔検出手段が対応付けられるとともに、各間隔検出手段から検出信号が出力される構成にした請求項1~4のいずれか1に記載の間隔検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象物の表面を改質する表面改質装置において、処理対象物と放電電極との間隔を検出する間隔検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コロナ放電による表面改質装置では、放電電極と処理対象物の改質面との間の間隔を正確に定めないと、改質精度がばらついてしまう。そのために、放電電極と上記改質面との間の間隔を常に適正に保つ必要がある。そこで、
図5に示した従来の表面改質装置では、放電電極2の高さ位置を調節する調節機構Aを備えている。
【0003】
上記調節機構Aを備えた表面改質装置は、接地電位を保った処理ローラ1でフィルム等の処理対象物を搬送するとともに、この処理ローラ1に対向させて、高圧電源Sに接続した放電電極2を設けている。
そして、放電電極2に高電圧を印加して処理ローラ1との間でプラズマを生成し、このプラズマの作用で、処理ローラ1で搬送されるフィルム等の処理対象物の表面を改質するようにしている。
【0004】
上記のようにした表面改質装置では、放電電極2と上記処理対象物との間の間隔に応じて表面改質の精度が異なってしまう。
そのために、
図5に示した従来の装置では、放電電極2の位置を調整するための調節機構Aを設け、処理対象物に対する放電電極2の位置を適正に保つようにしている。
【0005】
そして、調節機構Aは、図示しないチャンバー等に固定された支持プレート3と、この支持プレート3を貫通するとともに軸方向に移動可能に設けたシャフト4と、上記放電電極2側におけるシャフト4の先端に固定されるとともに放電電極2を保持するホルダ5と、上記支持プレート3を挟んでホルダ5とは反対側におけるシャフト4に設けたダブルナット6,7とを備えている。
【0006】
そして、ダブルナット6,7を緩めてシャフト4及びホルダ5を上下させながら、放電電極2の高さを調整し、放電電極2と処理対象物とが適正間隔を保ったときダブルナット6,7を締め付けて、放電電極2の位置を固定化する。このような間隔設定作業は人が行うため、作業者の感覚に頼らざるを得ず、常に適正間隔が保たれるとは限らない。
【0007】
そこで、従来は、放電電極2と処理対象物との間隔が適正に保たれているかどうかを、プレート状の間隔検出ゲージ8を用いて測定していた。この間隔検出ゲージ8は上記適正間隔の寸法と同じ厚さを備えたもので次のように用いられる。
【0008】
放電電極2と処理対象物との適正間隔を決めるときには、間隔検出ゲージ8を放電電極2と処理対象物との対向間隔内にあらかじめ位置させておく。
この状態を保ちながら、放電電極2を処理ローラ1側に接近させて、放電電極2を間隔検出ゲージ8に接触させる。このように放電電極2を間隔検出ゲージ8に接触させたら、一方のナット6を締め付けて放電電極2を仮止めする。
【0009】
上記のように放電電極2を仮止めしたら、人が間隔検出ゲージ8を引き抜き、その引き抜くときの力加減で上記適正間隔が保たれているか判断していた。例えば、引き抜くときの力が強すぎると感じたら上記間隔が小さく、弱いと感じたら間隔が大きすぎると判断し、その間での最適な力加減のときに適正間隔が保たれていると判断していた。このようにして放電電極2と処理対象物との間が適正間隔に設定されたら、ダブルナット6,7を締め付けて放電電極2の位置を固定するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2013-253837号公報
【文献】特開2000-007802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のようにした間隔検出ゲージ8を用いたとしても、その引き抜くときの力加減で、放電電極2と処理対象物との適正間隔を判断しているので、結局は、人の勘に頼らざるを得ない。しかし、人の勘は一朝一夕に身につくものではないので、適正間隔を設定するためには測定作業者の熟練度に依存せざるを得ないという問題があった。
【0012】
この発明の目的は、人の勘に頼ることなく誰でも簡単に上記間隔設定ができるとともに、間隔設定時間を大幅に短縮できる間隔検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、間隔検出手段には一対の接点が設けられている。これら一対の接点は、通常は開いた状態を保ち、それらに押圧力が作用したとき閉じる構成にしている。
このようにした間隔検出手段は、電極部材と保持手段に保持された処理対象物との間に当該間隔検出手段を介在させ、上記電極部材の押圧力で上記接点が閉じられたときの、上記間隔検出手段の構成要素の合計厚さを、電極部材と処理対象物との間の適正間隔と等しくしている。そして、一対の接点が閉じられたとき、適正間隔が保たれていることを示す電気信号を出力する。
【0014】
なお、上記間隔検出手段の上記構成要素の弾性率を高く保てば、電極部材を間隔検出手段に多少強く押し付けても、上記構成要素の合計厚さがそれほど変化することはない。反対に、上記構成要素の弾性率を低くすると、電極部材を間隔検出手段に強く押し付けたとき、上記構成要素の合計厚さが変化してしまう。したがって、間隔検出手段の上記構成要素は弾性率が高いほど、上記間隔を正確に検出することができる。
【0015】
また、上記保持手段は処理対象物を保持する機能があればどのようなものでもよい。例えば、処理対象物がフィルムのように連続処理される場合には処理ローラが保持手段になるし、処理対象物が半導体の基板のようにバッチ処理されるものであれば、基板を搬送するテーブルあるいはロボットアーム等が保持手段になる。
【0016】
第2の発明における上記間隔検出手段には、少なくとも一方の接点を挟んで対向間隔とは反対側に、その一方の接点と重なり合う非弾性のスペーサが設けられている。そして、このスペーサが上記間隔検出手段の上記構成要素に含まれる。
なお、上記非弾性のスペーサとは、電極部材で押圧されてもその厚さが変わらない程度の高い弾性率を保ったものをいう。
【0017】
第3の発明における上記間隔検出手段は、シート状のカバーで覆われるとともに、このカバーが上記間隔検出手段の構成要素に含まれる。
【0018】
第4の発明における上記間隔検出手段には、上記カバー内であって、上記一対の接点の対向間隔から外れた位置に弾性体が設けられている。この弾性体は、少なくとも上記一対の接点に押圧力が作用していないときに上記一対の接点を開いた状態に保ち、上記カバーに押圧力が作用したときに上記弾性体がたわんで上記一対の接点が閉じられる構成にしている。
【0019】
第5の発明は、複数の間隔検出手段が設けられ、上記保持手段で保持する処理対象物の搬送方向に複数並べられた電極部材のそれぞれに、上記間隔検出手段が対応付けられるとともに、各間隔検出手段から検出信号が出力される構成にしている。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、電極部材と処理対象物との間隔が適正に保たれたとき、間隔検出手段が信号を出力するので、人の勘に頼ることなく誰でも簡単に間隔設定ができるとともに、間隔設定時間を大幅に短縮できる。
しかも、電極部材と処理対象物との間の適正間隔を、間隔検出手段の構成要素の合計厚さとして検出できるので、誰でも同じ条件で適正間隔を判定できる。したがって、熟練を要せずに、ユーザーや初心者でも適正間隔を検出ができる。
【0021】
第2の発明によれば、構成要素としての非弾性のスペーサを設けたので、一対の接点だけでは十分な厚さを確保できないような場合でも、電極部材と処理対象物との間の適正間隔相当の厚さを維持できる。しかも、このスペーサの厚さを自由に設定することによって、上記適正間隔も自由に設定できるようになる。
【0022】
第3の発明によれば、間隔検出手段がカバーで覆われているので、例えば、一対の接点間に異物が入ったりしないので、接点の接触不良などの問題が発生しない。
【0023】
第4の発明によれば、弾性体によって一対の接点の開状態を維持するので、電極部材による押圧力が作用しない限り、検出の誤作動を防止することができる。
また、通常は、この弾性体で両接点が開状態を維持するので、間隔検出手段を電極部材と保持手段との間に出し入れして、適正間隔の検出作業を連続的にできる。
【0024】
第5の発明によれば、複数の電極部材に対応して、上記間隔検出手段が複数設けられているので、複数の間隔を一度に検出することができる。一度に複数の間隔を検出できるので、間隔検出の作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態における処理ローラと放電電極との間に介在させた状態を示した間隔検出装置を側面からみた断面図である。
【
図2】第1実施形態における間隔検出装置を先端側から見た(a)押圧力が作用していない状態を示す、(b)押圧力が作用して接点が閉じた状態を示す断面図である。
【
図3】第2実施形態における処理ローラと放電電極との間に介在させた状態を示した間隔検出装置を側面から見た概略図である。
【
図4】第2実施形態における間隔検出装置を上から見た概略図である。
【
図5】従来の間隔検出においてフィルムの搬送方向の正面から表面改質装置を見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1,2に示した第1実施形態の間隔検出装置は、例えば、絶縁性のフィルムを表面改質する表面改質装置において、この発明における電極部材である放電電極2と、保持手段である処理ローラ1で搬送される処理対象物であるフィルムとの間の適正間隔を検出するために用いられる。
なお、第1実施形態における表面改質装置は、上記放電電極2と接地された処理ローラ1との間で電界を生成し、この電界でプラズマを生成するようにしたものである。
【0027】
図1に示すように、間隔検出装置は間隔検出手段Dを備えているが、その全体がシート状のカバーCで覆われている。このカバーC内には、第1,2接点11,12が組み込まれている。
そして、第1接点11は、処理ローラ1側に位置するカバーCの内面に直接固定し、この第1接点11と対向する第2接点12は、放電電極2側に位置するカバーCの内面に固定した非弾性の材質からなるスペーサ13に固定している。
【0028】
なお、上記第1,2接点11,12は、電源回路14に接続されているが、この電源回路14にはLED15を接続している。したがって、上記第1,2接点11,12が閉じたときは、LED15が点灯することになる。
【0029】
一方、
図2(a)に示すように、第1,2接点11,12の対向間隔から外れた位置に弾性体16を設けている。なお、対向間隔から外れた位置とは、第1,2接点11,12が閉じたとき、
図2(b)に示すように、弾性体16が第1,2接点11,12間に挟み込まれない位置ということである。
この弾性体16は、
図2(a)に示すように、通常は第1,2接点11,12を開状態に保つ機能を果たす。そして、放電電極2の押圧力が作用したときに弾性体16がたわんで、
図2(b)に示すように、第1,2接点11,12を閉じる。
【0030】
そして、第1,2接点11,12が閉じたとき、上記放電電極2と処理対象物との間に位置する間隔検出手段Dの構成要素の合計厚さL、すなわち
図2(b)に示すカバーC、スペーサ13及び第1,2接点11,12からなるの合計厚さLが、放電電極2と処理ローラ1に保持されたフィルムとの適正間隔に等しくなるようにしている。
【0031】
次に、上記のようにした間隔検出手段Dの使用方法について説明する。
図1に示すように、放電電極2の位置決めをする以前に、放電電極2と処理ローラ1で搬送されるフィルムとの間に間隔検出手段Dをあらかじめ挿入しておく。
そして、調節機構Aのダブルナット6,7を緩めてホルダ5とともに放電電極2を、LED15が点灯するまで処理ローラ1に近づける。LED15が点灯したら、その点灯位置が適正間隔保持位置ということになる。
この適正間隔保持位置において、一方のナット6を締め付けて位置決めをするとともに、他方のナット7も締め付けて、放電電極2の適正間隔位置を固定化する。
【0032】
上記のように第1実施形態によれば、調節機構Aを操作して放電電極2を処理対象物に近づけるとともに、弾性体16の弾性力に抗して放電電極2を間隔検出手段Dに押し付けるだけで、放電電極2の適正間隔位置を保つことができる。
なお、この第1実施形態では、上記放電電極2と処理対象物との間隔を検出しているが、上記放電電極2と処理ローラ1との間隔を検出するようにしてもよい。
【0033】
また、間隔検出手段Dの上記構成要素の弾性率を高く保てば、放電電極2を間隔検出手段Dに多少強く押し付けても、上記構成要素の合計厚さがそれほど変化することはない。反対に、上記構成要素の弾性率を低くすると、放電電極2を間隔検出手段Dに強く押し付けたとき、上記構成要素の合計厚さが変化してしまう。したがって、間隔検出手段Dの上記構成要素は弾性率が高いほど、上記間隔を正確に検出することができる。
【0034】
さらに、この第1実施形態では、上記保持手段として処理ローラ1を用いたが、この発明における処理手段は、処理対象物を保持する機能があればどのようなものでもよい。例えば、処理対象物が半導体の基板のようにバッチ処理されるものであれば、基板を搬送するテーブルあるいはロボットアームのハンドの部分が保持手段になる。
【0035】
また、上記非弾性のスペーサ13は、放電電極で押圧されてもその厚さが変わらない程度の高い弾性率を保っている。
そして、スペーサは、第1接点11とカバーCとの間に介在させてもよし、第1,2接点11,12のそれぞれと、カバーCとの間の両方に設けてもよい。
【0036】
要するに上記構成要素の合計厚さLが上記適正間隔に等しくなれば、スペーサの厚さや数は問題にならない。
さらに、間隔検出手段Dは全体をカバーCで覆ったので、例えば、第1,2接点11,12間に異物が介在して接触不良を起こすようなこともなくなる。
【0037】
次に、
図3,4を用いて、第2実施形態を説明する。
この第2実施形態では、上記間隔検出手段を複数の放電電極に対応させた点が第1実施形態と相違するもので、その他の構成は第1実施形態と同じである。そして、第1実施形態と同じ構成要素については、第1実施形態の説明をそのまま援用する。
【0038】
図3に示すように、第2実施形態の間隔検出装置は、3つの放電電極2x,2y,2zに対応して間隔検出手段D1,D2,D3をそれぞれ備えているが、その全体がシート状のカバーCで覆われている。
上記カバーCの内側には、放電電極2x,2y,2zに対応させて一対の接点が3組組み込まれており、少なくとも一方の接点を挟んで対向間隔とは反対側には、カバーCとの間にスペーサが固定されている。
【0039】
そして、カバーC、スペーサ及び一対の接点からなる合計厚さLが、放電電極2と処理ローラ1に保持されたフィルムとの適正間隔が等しくなるようにして、3組の間隔検出手段D1,D2,D3を構成している。
また、一対の接点の対向間隔から外れた位置には、弾性体が設けられている。
【0040】
図4に示すように、一つのカバーCに備えられた3組の間隔検出手段D1,D2,D3は、3つの放電電極2x,2y,2zの長手方向とこの長手方向に直交する方向とで、それぞれ重なり合わないように配置されている。
そして、それぞれの間隔検出手段D1,D2,D3に対して電源回路14がそれぞれ接続され、適正間隔の検出信号がそれぞれ出力されるようにしている。
なお、
図4では、カバーCには透明な部材が用いられており、間隔検出手段D1,D2,D3の位置が示されている。
【0041】
この第2実施形態の間隔検出装置は、
図3に示すように、上記処理ローラ1と3つの放電電極2x,2y,2zとの間に介在させた状態で、先端側から順に上記放電電極2x,2y,2zと処理ローラ1に保持されたフィルムとの間を検出するようにしている。そして、3組の間隔検出手段D1,D2,D3の検出信号を順に確認して、3箇所の適正間隔を判断している。
【0042】
第2実施形態では、3つの放電電極2x,2y,2zに対応して、3組の間隔検出手段D1,D2,D3が設けられているので、3箇所の適正間隔を一度に検出することができる。一度に複数の適正間隔を検出できるので、間隔検出の作業時間を短縮することができる。
【0043】
また、3つの放電電極2x,2y,2zの長手方向とこの長手方向に直交する方向とにそれぞれ重なり合わないように3組の間隔検出手段D1,D2,D3が設けられているので、いずれか一つの放電電極2x,2y,2zの押圧力がカバーCに加わったとしても、この押圧箇所のカバーCの歪みが他のカバーC部分に広がる影響が少ない。したがって、他の放電電極2x,2y,2zに対応する各間隔検出手段D1,D2,D3の間隔検出に影響を与えることなく、それぞれの適正間隔を検出できる。
【0044】
なお、第1または第2実施形態の表面改質装置に用いる放電電極2としては、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、セラミックに覆われた棒状電極や、板状電極、針状電極など、ある程度の硬さを備えたさまざまな形状の電極を使用できる。
また、第1または第2実施形態による間隔検出手段Dの構成は、一対の接点11,12を備えていればスペーサ13やカバーCは必須の構成要素ではない。さらに、間隔検出手段Dの構成の組み合わせは、適正間隔にあわせて自由に設定できる。
【0045】
そして、第1または第2実施形態では、検出信号にLED15が発光するようにしているが、信号はどのようなものでもかまわない。例えば、音や振動などでもよい。
また、第1または第2実施形態では、一対の接点11,12を用いているが、スイッチ機構を用いてもよい。
【0046】
さらに、第1または第2実施形態では、放電電極2と、接地された処理ローラ1との間でプラズマを生成する表面改質装置を前提にしているが、例えば、処理ローラ1とは別に対向電極を設け、この対向電極と放電電極とからなる一対の電極部材との間でプラズマを生成し、このプラズマを処理対象物に吹き付けるようにした表面改質装置にもこの発明を適用できる。つまり、上記電極部材と処理対象物との適正間隔が問題になる以上、どのような表面改質装置にもこの発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
上記電極部材と処理対象物との間の適正間隔を検出する場合に有用である。
【符号の説明】
【0048】
1…処理ローラ、2…放電電極、11…第1接点、12…第2接点、13…スペーサ、14…電源回路、15…LED、16…弾性体、C…カバー