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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】空気圧支持体
(51)【国際特許分類】
   E01D 15/12 20060101AFI20220113BHJP
   E01D 12/00 20060101ALI20220113BHJP
   E01D 15/20 20060101ALI20220113BHJP
   E04C 3/11 20060101ALI20220113BHJP
   E04C 3/46 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
E01D15/12
E01D12/00
E01D15/20
E04C3/11
E04C3/46
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018564744
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 CH2017000053
(87)【国際公開番号】W WO2017210803
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】00728/16
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】516351692
【氏名又は名称】ピブリッヂ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ペドレッティ,マウロ
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/176192(WO,A1)
【文献】特表2006-528288(JP,A)
【文献】特表2003-529006(JP,A)
【文献】特表2007-510076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0094937(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 15/12
E01D 12/00
E01D 15/20
E04C 3/11
E04C 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧支持体を有し、該空気圧支持体が加圧下で空気圧をかけて配置され得、作動圧力下で、実質的にその長さに亘って延びる圧縮部材と、同様に実質的にその長さに亘って延びる引張部材とを距離を開けた状態に機能的に維持し、圧縮部材及び引張部材の端部領域にある力導入点で、力を前記圧縮部材及び引張部材に導入し、圧縮部材と引張部材との間に連結要素を設け、力導入点で、同様に、圧縮部材及び引張部材に力を導入するように構成された空気圧支持体において、
空気圧本体が、隣接する力導入点間で延びる形成部を有し、前記形成部が、隣接する力導入点間の直線的連結部を超えて外側に突出する
ことを特徴とする空気圧支持体。
【請求項2】
前記形成部が引張部材側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項3】
空気圧本体において作動圧力が増加している間、形成部が設けられていない同様に設計された空気圧支持体の場合に比べて、支持体の湾曲が小さく、かつ、
曲率の結果の支持体の歪みが、好ましくは、形成体が設けられていない場合の歪みの30%より小さい、より好ましくは10%より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項4】
少なくとも一つの連結要素が設けられ、この連結要素が、空気圧本体の全長に亘ってジグザグに連続的に延びている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項5】
空気圧支持体が、可撓性スリーブを備え、前記可撓性スリーブのパターンが、予め決められた輪郭で形成部が形成されるように、作動圧力下で支持体の形状を画定する
請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項6】
形成部が、弓形であり、好ましくは、円弧形であり、一つの力導入点から隣接する力導入点まで延びる
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項7】
形成部が、力導入点間の連結線より高い高さを有し、これらの力導入点間の間隔の10~15%の高さを画定する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の空気圧支持体。
【請求項8】
支持体が無負荷作動圧力の時に、圧縮部材を有する側が、少なくとも部分的に弓形に湾曲され、その引張部材側が、その力導入点が実質的に直線上に載るように設計されている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項9】
引張部材が、力導入点の位置でのみ空気圧本体に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項10】
請求項1に記載の空気圧支持体の製造方法であって、
動作中の空気圧支持体の意図した形状と、力導入点の位置とを画定し、
次いで、作動圧力無負荷下での除去されるべき曲率を決定し、
次いで、空気圧支持体の曲率の内側に成形体を設け、
前記成形体が、力導入点から力導入点に、関連する力導入点間の連結線を介して、外方にのびるようにした
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
弓形成形体に、関連する力導入点の間隔の10~15%の高さを設ける
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
空気圧支持体の空気圧本体を作動圧力にし、
意図した形状に対する支持体の曲率の存在をチェックし、
肯定的な場合に、選択した形成体の高さを30%~50%増やす
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
形成体の高さを、さらなる増大が、無負荷の支持体の曲率をさらに改善することがなくなるまで、反復的に増加させる
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による空気圧支持体及び請求項10によるその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許公開WO01/73245号に開示された円筒形基本形状に基づく種類の空気圧支持体が公知である。この基本形状から、国際特許公開WO2005/007991号に開示されたスピンドル形状支持体が開発された。
【0003】
このような空気圧支持体の利点は、膨張式本体を折り畳むことができ、引張部材をケーブルの形態にすることができるので、重量が軽く、輸送容量が非常に小さいことにある。このような空気圧支持体の欠点は、これらの空気支持体は、高い分布荷重に耐えることができ、従って、多くの目的に適しているものの、これらは、実施可能な分布荷重に対して非対象荷重には限られた範囲にしか適用することができないことにあり、例えば、重量物運搬車両の橋全体を転動する車軸は、これに関して特に不利な状態を表すので、特に、橋としての使用が妨げられることにある。
【0004】
図1a~1dは、従来技術による空気圧支持体の一例を概略的に示しており、図面では、明瞭にするために、厚みが誇張して示されている。図1aは、国際特許公開WO2005/042880号による空気圧支持体1を示しており、該空気圧支持体1は、圧縮部材2と、引張部材3と、膨張可能な空気圧本体4とを有し、該空気圧本体4は、圧縮部材2と引張部材3との間に配置され、作動圧力まで膨張され、圧縮部材2と引張部材3とを離して保持する。
【0005】
空気圧本体4は、好ましくは、気密性、可撓性、実質的に非弾性の材料から成り、輸送のために折り畳まれ得るスリーブを形成し、作動圧力下で空気圧支持体に適した形状をとる。
【0006】
支持体1は、その端部6、7において載置台8、9を介して支持されており、圧縮部材2及び引張部材3は、節点10、11を介して相互に接続されている。概略的に示した厚板12は、この場合、支持体1が、橋として使用されることを可能にする。
【0007】
以下の概念モデルにより、支持体の動作原理が説明される。
【0008】
荷重13が厚板12に作用し、従って、圧縮部材2に作用する場合、圧縮部材2は、作動圧力下で膨張した本体4によって支持されるが、本体4の一部は引張部材3上に載っているため、実際には、引張部材3が荷重13を支持する。その結果、引張部材3は、下方に動こうとするが、圧縮部材2が、共通の端部節点10及び11を離した状態に保持し、引張部材3の端部も離した状態に保持されるので下方には動けない。端部節点10及び11は、圧縮部材2及び引張部材3が動作のために相互に接続される領域を意味する。端部節点10及び11によって、力が、圧縮部材2から引張部材3に伝達され、また、逆に、力は、引張部材3から圧縮部材2にも伝達される。
従って、端部節点10及び11は、圧縮部材2及び引張部材3の両方に対する力導入点である。
【0009】
結果として、引張部材3は、実質的に軸方向の張力のみを受け、圧縮部材2は、実質的に軸方向の圧縮力のみを受け、従って、引張部材3はケーブルの形態であり得、圧縮部材2は細いロッドの形態であり得る。しかしながら、圧縮状態下で細いロッドは、座屈を受け易いので、圧縮部材2の座屈限界が支持体1の荷重容量を決定することになる。
【0010】
例えば、屋根構造体のように、分布荷重が支持体の長さ方向に亘って対称的に分布されている場合、荷重を加える方向と反対方向への座屈は荷重自身によって防止され、かつ、荷重方向への座屈は、空気圧本体4上の載る圧縮部材によって防止されるので、座屈の危険が減少する。
【0011】
しかし、非対称荷重の場合、圧縮部材が、荷重12がかかった部分で、より本体4の中により沈み込むみ、異なる部分で突出し、本体4上の載置面を超えて突出して、前記本体から持ち上がる傾向にあり、その結果、座屈の危険が増大し、支持体1の耐荷重を著しく低減させる。
【0012】
従って、接続要素は、好ましくは、垂直に(即ち、荷重方向に、かつ、支持体1の長手方向軸線に直交する方向に)配置され、前記接続要素は、圧縮部材2を引張部材3に接続する単純な引張部材14の形態にされる。非対称負荷の場合、引張部材14は、無荷重位置で圧縮部材2が本体4から持ち上がるのをある程度防止し、従って、座屈をある程度防止するのに適している。引張部材14の水平方向間隔は、当業者によって特定の場合に最適化され得る。
【0013】
引張部材14と、圧縮部材2及び引張部材3との間の接続点もまた、これらの要素に対する力導入点になる。
【0014】
図1bは、国際特許公開WO2015/176192に開示された空気圧支持体15を示しており、この支持体15は、同様に、載置台16及び17に載置され、傾斜型敷居18及び19の形態の二つの端部節点と、三つの空気圧セグメント20~22とを有する。空気圧セグメントは、各々、例えば、圧縮ロッドの形態の圧縮部材23~25と、この例では、例えば、引張ロッド(引張ケーブルでも可能である)の形態の引張部材26~28と、空気圧本体29~31とを有する。各空気圧本体29~31は、関連する圧縮部材23~25と関連する引張部材26~28とを離して保持する。
【0015】
各セグメント20~22を通して隙間なく(かつ、図示した構成で形成される空気圧支持体15を通して隙間なく)、好ましくは45°の角度でジグザグに延びる二つの接続要素32及び33によって、構造体は形成される。この構造体は、特に、非対称荷重に適しており、かつ、剛性であり、即ち、図1aの支持体に比べて、作動荷重下で、(無荷重の)まっすぐな所望の位置から、ほんの僅かな程度しか下方に曲がらない。
【0016】
この場合も、節点18及び19の圧縮部材23,25及び引張部材26,28との接続点、並びに、圧縮部材23~25及び引張部材26~28の接続要素32及び33との接続点は、圧縮部材23~25及び引張部材26~28への力導入点を形成する。
【0017】
図1cは、図1bの支持体15と同様に構成された、国際特許公開WO2015/176192による支持体40を示しており、この例では、支持体40は、四つの空気圧セグメント40~44を有し、変形された長手方向断面、即ち、上面が僅かに凸状であり、下面が大きく凸状である断面を有する。
【0018】
図1dは、支持体45を示し、この支持体45は、複数の空気圧セグメント46~50を備え、アーチ形状で荷重を受けることができるように、さらに変形された長手方向断面を有する。
【0019】
支持体1、15、40及び45の共通する利点は、解体時に容易に輸送することができることにあり、かつ、節点、圧縮部材、引張部材及び接続要素を組み立てた後に、空気圧本体を膨張させて作動圧力下に置くことができるという点で、現場で組み立てることができることにある。欠点は、支持部材1、15、40及び45が、加圧中に、歪みが大きくなり、最終的に、作動圧力下ではあるが、荷重がかかっていない時に、アーチ形に変形した位置をとり、荷重がかかった時にだけ、図1a~図1dに示すように所望の位置をとり、最終的に、作動荷重の下で、図1aの支持体1の場合には、かなりの程度まで曲がり、図1b~図1dの支持体15,40及び45の場合にはある程度曲がる。
【0020】
歪み(即ち、空気圧本体4が荷重なしで膨張した時に生じる望ましくない変形)は、圧縮部材及び引張部材のより大きな曲率の方向に生じ、従って、荷重がない場合に、図1a、1b及び1dの支持体は上方に湾曲し、図1cの支持体は下方に歪む。結果として、端部節点は、無荷重の状態ではお互いに向かって動き、これは望ましくない。
【0021】
図1e~1hは、支持体1、15、40及び45の歪みを、それらの長手方向中心線を使用して概略的に示しており、点線の長手方向中心線55~58は、図1a~1dに示す望ましい位置に対応している。作動圧力で無荷重の状態の実際の位置に対応する(即ち、歪みに対応する)中心線59~62は、推定的に、かつ、単に定性的に示されている。一点鎖線長手方向中心線63~66は、作動圧力で荷重がかかった状態の実際の位置、即ち、荷重変形に対応しており、簡単化するために、荷重(図示せず)が支持体1,15,40及び45の中心に作用していると仮定している。
【0022】
図1eから分かるように、図1aに示した空気圧支持体1は、比較的大きな歪みを有し、荷重下で比較的大きな曲げも有する。この長手方向中心線の総変位は、多くの用途によって大きすぎる。
【0023】
図1fから分かるように、図1bに示す空気圧支持体15は、緩やかな歪みを有し、また、荷重下ではごく僅かに曲がるだけである。緩やかな湾曲は、中心セグメント21(図1b)がその長手方向中心線に対して対称的であり、従って、実質的に(例えば、製造誤差による非対称性を除いて)歪みがないことに起因する。
【0024】
図1gから分かるように、図1cに示された空気圧支持体40は、比較的大きな下方への歪みを有し、かつ、荷重下での比較的大きな曲げを有する。
【0025】
図1fから分かるように、図1dに示された空気圧支持体45は、比較的大きな歪みを有するが、荷重下での曲げは小さい。
【0026】
図1dに示した支持体の上述した状態は、図1hから分かる。
【0027】
意図された用途に依存して歪み及び曲げは役割を果たすか、又は果たさないかであり、例えば、橋の場合、歪みは好ましくなく、可能な限り曲げに対して耐性を持つべきである。図1bによる支持体から形成された橋は曲げに対する非常に強い耐性を有し、従って、使用に適しているが、その歪みのために、両端が急勾配で進み、その後、その望ましい位置まで緩やかな形態となる(図1fの線18)点で、特に不利である。曲げに対する耐性の利点は、僅かな程度しか適用されない。
【0028】
このことは、例えば、意図した使用に応じて、図1a~図1hの他の空気圧支持体にも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【文献】国際特許公開WO01/73245号
【文献】国際特許公開WO2005/007991号
【文献】国際特許公開WO2005/042880号
【文献】国際特許公開WO2015/176192号
【発明の概要】
【0030】
本発明の目的は、歪みの減少を低減させるか、又は、完全に回避した空気圧支持体を提供することにある。
【0031】
本発明の目的は、請求項1~10の特徴部分によって達成される。
【0032】
空気圧本体が、隣接する力導入点の間で延び、隣接する力導入点の間の直線的な接続を超えて外方に突出する構造を有することにより、反作用し、それにより歪みを低減又は回避する圧力分布が、その空気圧本体(又は、複数のセグメントを有する空気圧支持体のセグメントの複数の空気圧本体)に生じる。
【0033】
本発明は、以下の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1a】従来技術による空気圧支持体を概略的に示している。
図1b】従来技術による空気圧支持体を概略的に示している。
図1c】従来技術による空気圧支持体を概略的に示している。
図1d】従来技術による空気圧支持体を概略的に示している。
図1e】無荷重作動圧力下、作動圧力及び作動荷重下、及び歪みなしの望ましい位置にある空気圧支持体の歪みを概略的に示している。
図1f】無荷重作動圧力下、作動圧力及び作動荷重下、及び歪みなしの望ましい位置にある空気圧支持体の歪みを概略的に示している。
図1g】無荷重作動圧力下、作動圧力及び作動荷重下、及び歪みなしの望ましい位置にある空気圧支持体の歪みを概略的に示している。
図1h】無荷重作動圧力下、作動圧力及び作動荷重下、及び歪みなしの望ましい位置にある空気圧支持体の歪みを概略的に示している。
図2】本発明に係る空気圧支持体を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図2は、本発明による空気圧支持体70の一実施例を示しており、この支持体70は、図1bに示した三つのセグメント20~22を有する支持体15と同様に構成されている。セグメント71~73が示されており、セグメント71及び73は改良されており、セグメント72は、支持体15(図1b)のセグメント21の構造に対応している。
【0036】
原則として、歪み現象を示す任意のタイプの空気圧支持体が本発明に従って改良され得ることに留意されるべきである。
【0037】
圧縮ロッド74~76並びに、張力ケーブル77、79の形態及び張力ロッド78の形態のセグメント71~73の張力要素が示されている。また、図示された接続要素33及び34は、図1bの実施例と比較して変化してなく、作動荷重下で空気圧支持体70を補強する。同様に、空気圧本体81は、図1bの実施例と比較して変化していないが、空気圧支持体80及び82は、以下に説明するように本発明に従って改良されている。
【0038】
図2は、また、セグメント71及び73にある力導入点83,84及び85を示しており、力導入点83は、接続要素33、敷居18及び張力ケーブル77を相互に接続し、従って、対応する力を張力ケーブル77に導入する。力導入点85は、張力ロッド78、連結要素33又は34及び張力ケーブル77を接続し、結果として、対応する力が、張力ケーブル77に導入される。力導入点84は、張力ケーブル77を接続要素32及び33に接続し、対応する力を張力ケーブル77に導入する。隣接する力導入点83及び84、84及び84並びに84及び85間に形成部86~89が設けられ、図2の実施例では、これら形成部は、引張部材側に設けられている。
【0039】
これらの形成部86~89のおかげで、本発明によれば、作動圧力によって空気圧本体80及び82に力平衡が生じ、それにより、従来技術と対照的に、作動圧力による空気圧本体の力平衡変形が取り除かれる。形成部86~89は、有利には、そして好ましくは、図2に示すように、弓形であり、特に好ましくは円弧形であり、一つの力導入点83~85から隣接する力導入点84まで延びている。
【0040】
さらに好ましくは、形成部86~89は、力導入点83~85間の接続線より高い高さを有し、その高さは、力導入点83~85の間隔の10~15%に形成部を限定する。出願人は、このような高さが、望ましくない歪みを、効果的に防止することを見出した。
【0041】
最終的に、引張部材77及び79は、さらに好ましくは、力導入点83~85の位置でのみ空気圧本体80及び82に機能的に接続され、その結果、力導入点83~85間の引張部材が、直線的に延びることができ、空気圧本体80及び82の輪郭に追従する必要なくなり、また、形成部86~89の輪郭に追従する必要がなくなり、作動圧力下で力導入点83及び85の間隔が短くなり、その結果、圧縮ロッド74及び76、空気圧本体80及び82、張力ケーブル77及び79並びに形成部86~89の輪郭に関するセグメント71及び73全体のより複雑な設計をもたらし、それは計算が非常に複雑であり、従って、実験によって決定する必要もある。
【0042】
図面に示した好ましい実施例によれば、(一つ又はそれ以上の長手方向において非対称空気圧本体を有する)空気圧支持体が提供され、それは、作動圧力であるが無荷重の時に、その圧縮部材を有する側が、少なくとも部分的に弓形に湾曲され、その引張部材を有する側が、その力導入点が実質的に直線上に位置するように設計される。
【0043】
この時点で、図2による空気圧支持体の構造は、勿論、例えば、中心セグメントを省略して、圧縮部材を有する側が、連続的に弓形に湾曲するように改良され得ることに言及される。シミュレーションにおいて、出願人は、連続弓形圧縮部材及び直線引張部材を有する4.5tの作動荷重に対する長さ38mの空気圧支持体の歪みを測定した(このような構造は、引張部材、即ち、空気圧支持体の下面が地面に置かれるので現場での構造に特に好ましい)。しかし、この歪みは、約1メートルの高さの支持体に「こぶ」をもたらし、支持体の中心の引張部材が、地面からほぼ同じ高さまで持ち上がる。しかし、本発明による形成部を備え、その他の点では、従来技術の支持体と同じ構造を有する空気圧支持体は、実質的に歪みがなく、これは10cmの範囲にすぎなかった。
【0044】
要約すると、本発明に従って製造された空気圧支持体は、一つ(又は複数)の空気圧本体を有し、加圧下で空気圧をかけて配置することができ、作動圧力下で、実質的にその長さに亘って延びる圧縮部材と、同様に実質的にその長さに亘って延びる引張部材とを距離を開けて作動的に保持し、力が、圧縮部材と引張部材の端部領域における力導入点で、前記圧縮部材及び引張部材に導入され、圧縮部材と引張部材との間に連結要素が設けられ、前記連結要素が、同様に、力導入点で圧縮部材及び引張部材に力を導入し、空気圧本体が、隣接する力導入点間で延びる形成部を有し、前記形成部が、隣接する力導入点の間の直線連結を超えて外方に突出している。
【0045】
上述したように、空気圧支持体は、好ましくは、可撓性スリーブ(具体的には、空気圧本体、又は、複数のセグメントから成る場合には、複数の可撓性スリーブを備えた複数の空気圧本体)を有し、そのパターンが、作動圧力下で、支持体の形状を画定し、形成部が所定の外形で形成されるようにしている。
【0046】
好ましくは、空気圧支持体には少なくとも一つの連結要素があり、前記連結要素は、空気圧本体の全長に亘って連続的にジグザグに延び、特に好ましくは、上述したように、予定した荷重方向に対して45°の角度で(従って、橋の場合、水平方向に対して45°の角度で)延びる。従って、図2の実施例の場合のように、セグメント71及び73において、即ち、概して、その長さに亘って非対称に形成されている空気圧本体において、圧縮部材と引張部材との間隔が変化すると、隣接する力導入点の相互間隔は異なるものになる。それにより、形成部86~89は、異なる高さを有し、この高さは、好ましくは、関連する力導入点の間隔に関連して画定される。
【0047】
特に簡単な方法では、形成部の高さは、その計算が複雑であるため、反復的に定義される。第一のステップにおいて、高さは関連する(即ち、隣接する)力導入点の間隔の10~15%で定義される。次いで、空気圧支持体が、依然として好ましくない残留歪みを有する場合には、第二のステップにおいて、形成部の高さはさらに30~50%増やされる(最初の10%の増加によって、結果としての高さは、隣接する力導入点間の間隔の13~15%の間になる。)。
当業者によれば、特定の場合に対して定義される空気圧支持体の大部分の構成では、この反復的な方法は、非常に急速に収束するが、支持体の意図した使用に対して、歪みが実質的になくなるまで、又は、それ以上の改善がなくなるまで容易に続けることができる。
【0048】
具体的には、本発明によって提供される方法によって、弓形、好ましくは、円弧形の形成部が、空気圧支持体に設けられ、その高さは、関連する力導入点の間隔の10~15%になる。
【0049】
従って、本発明による空気圧支持体の構造は、好ましくは、一つ(又は複数)の形成部が、力導入点間の連結線より高く、力導入点の間隔の10~15%の範囲を画定する高さを有するように設計される。
【0050】
本発明により設計された空気圧支持体は、反復的な方法を適用して構成され、支持体の空気圧本体は作動圧力にされ、次いで、意図した形状に対する支持体の歪みの存在がチェックされ、肯定的な結果の場合、形成体の高さは30~50%増加される。通常、当業者は、全ての形成体を等しく増加させるが、例えば、影響する空気圧本体が特定の形状を有する場合は、例えば、実験によって、選択した形成体のみを変化させることができる。
【0051】
最後に、空気圧支持体の意図した用途に対して必要であれば、反復的な方法は、継続され得、即ち、形成体の高さは、さらなる増加が無荷重の支持体の曲率をさらに改善しなくなるまで、反復的に増加され得る。
【0052】
結果として、動作中の空気圧支持体の形状及び力導入点の位置が先に決められ、次いで、作動圧力下で無荷重の状態の時に除去されるべき歪みが決められ、次いで、空気圧支持体の曲率の範囲で形成体が設けられ、前記形成体が力導入点から力導入点まで、関連する力導入点間の連結線を介して、外方に向けて延びるように構成された空気圧支持体を製造する方法が本発明により提供される。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図2