IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピブリッヂ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】空気圧支持体
(51)【国際特許分類】
   E01D 15/12 20060101AFI20220113BHJP
   E01D 12/00 20060101ALI20220113BHJP
   E01D 15/20 20060101ALI20220113BHJP
   E04C 3/11 20060101ALI20220113BHJP
   E04C 3/46 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
E01D15/12
E01D12/00
E01D15/20
E04C3/11
E04C3/46
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019563458
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 CH2018050012
(87)【国際公開番号】W WO2018209453
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】00646/17
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】516351692
【氏名又は名称】ピブリッヂ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ペドレッティ,マウロ
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/176192(WO,A1)
【文献】特表2006-528288(JP,A)
【文献】特表2003-529006(JP,A)
【文献】特表2007-510076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0130409(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0094937(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 15/12
E01D 12/00
E01D 15/20
E04C 3/11
E04C 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(112)を備え、
該本体(112)が空気圧で加圧することができ、作動圧力下で、実質的に前記本体の長さにわたって延びる圧縮部材(96、128~131')と、同様に実質的に前記本体の長さ(l)にわたって延びる引張部材(98、138~141')とを相互に離間させて動作可能に保持し、
前記圧縮部材(96、128~131')及び引張部材(98、138~141')が接続ノード(91)において端部側で互いに接続されている
空気圧支持体において、
空気圧で加圧することができる本体が空気圧横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)を備えている
ことを特徴とする空気圧支持体。
【請求項2】
圧縮部材(96、128~131')と引張部材(98、138~141')との間に延在する少なくとも一つの引張接続要素(93、94、144~147)のための接続点が、圧縮部材(96、128~131')及び引張部材(98、138~141')に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項3】
前記引張接続要素(93、94、144~147')が、前記圧縮部材(96、128~131')と前記引張部材(98、138~141')との間に、前記圧縮部材(96、128~131')の領域及び前記引張部材(98、138~141')の領域のそれぞれにおける複数の接続点(160、161)にわたってジグザグ状に延在し、少なくとも一つの接続要素(93、94、144~147')が、好ましくは、前記空気圧支持体(90、110、150)の外側のそれぞれに設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の空気圧支持体。
【請求項4】
少なくとも一つの接続要素(93、94、144~147')が設けられ、空気圧本体(112)の全長にわたってジグザグ状に連続的に延在する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気圧支持体。
【請求項5】
圧縮部材(96、128~131')及び引張部材(98、138~141')が、その長さにわたって配置された接続点(160、161)を有し、そこに少なくとも一つの接続要素(93、94、144~147')を通して力が導入され、
空気圧本体が、隣接する接続点(160、161)間に延在し、隣接する接続点(160、161)間の真っ直ぐな接続を介して外側に突出するモールディング(99)を有し、
モールディング(99)が、好ましくは、引張部材(98、138~141')の側に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の空気圧支持体。
【請求項6】
モールディング(99)が、空気圧横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)によって形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の空気圧支持体。
【請求項7】
横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)を、モールディング(99)をそれらの横方向繊維を介して具体化するような方法で具現化する
ことを特徴とする請求項6に記載の空気圧支持体。
【請求項8】
空気圧で加圧することができる本体が、上下に重ねられた空気圧横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)を有し、
各層が、好ましくは、複数の繊維圧力パネル(100、165、113~116)から成り、
これらの繊維圧力パネルは相互に当接するように前後に配置され、
隣接する層に対してオフセットするように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項9】
空気圧横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)が、それらの最大横方向繊維厚さ以下に留まるように、少なくとも一つの接続要素(93、94、144~147')が具現化されている
ことを特徴とする請求項8に記載の空気圧支持体。
【請求項10】
前記少なくとも一つの接続要素と、前記空気圧支持体の高さを超えて到達する空気圧横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)のスタックとが、前記空気圧横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)の作動圧力下であるが、前記空気圧横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)のうちの一つにおける圧力損失と、他の空気圧横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)の関連する膨張とを伴って、前記膨張が、前記空気圧支持体(90、110、150)の高さを実質的に一定に保つように具現化される
ことを特徴とする請求項9に記載の空気圧保持体。
【請求項11】
空気圧横方向繊維パネル(100,165,113~116)が、好ましくは、テープとして具現化された可撓性支持部材(106)上に、モールディングと共に載り、
これらのテープが、接続点(160,161)の位置に設けられ横方向支持部材(97)と係合し、かつ、少なくとも一つの接続要素(93,94,144~147')と作動的に接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の空気圧支持体。
【請求項12】
前記モールディング(99)の側面に設けられた圧縮部材(96、128~131')又は引張部材(98、138~141')が、前記モールディング(99)に当接するが、隣接するモールディング(99)間の接続点(160、161)を越えて延びる
ことを特徴とする請求項5に記載の空気圧支持体。
【請求項13】
横方向繊維圧力パネル(100、165、133~116)が、圧縮部材(96、128~131')と引張部材(98、138~141')との間で、支持体(90、110、150)の少なくとも一部の高さ部分にわたって、好ましくは、その高さ全体にわたって延在する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気圧支持体。
【請求項14】
前記支持体の高さにわたって延在する横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)が、それぞれ、前記支持体(90、110、150)の全長(l)にわたって配置される
ことを特徴とする請求項13に記載の空気圧支持体。
【請求項15】
前記支持体の高さにわたって延在する横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)が、それぞれ、前記支持体(90、110、150)の幅全体にわたって配置される
ことを特徴とする請求項13に記載の空気圧支持体。
【請求項16】
前記支持体の高さにわたって延在する横方向繊維圧力パネル(100、165、113~116)が、それぞれ、前記支持体(90、110、150)の幅全体にわたって配置される
ことを特徴とする請求項13に記載の空気圧支持体。
【請求項17】
少なくとも一つの横方向繊維パネル(100、165、113~116)が、動作中に丸みを帯びた長手方向側面を有し、
前記丸みを帯びた長手方向側面が、好ましくは、膜(123~126)内で支持され、
前記膜が、直径方向に対向する窪みを形成し、引張手段(98、138~141')又は圧縮部材(96、128~131')によって延伸される
ことを特徴とする請求項13~16の何れか一項に記載の空気圧支持体。
【請求項18】
少なくとも一つの横方向繊維パネル(100、165、113~116)が動作中に平坦化された長手方向側部を有し、
パネル形状の圧縮部材(96、128~131')又は引張部材(98、138~141')が横方向繊維パネル(100、165、113~116)の上に載置される
ことを特徴とする請求項13又は16に記載の空気圧支持体。
【請求項19】
少なくとも一つの横方向繊維パネル(100、165、113~116)が動作中に平坦化された長手方向側部(133~136)を有し、
圧縮部材(96、128~131')又は引張部材(98、138~141')のためのパネル形状支持要素(127)が横方向繊維パネル(100、165、113~116)の上に載置され、
少なくとも一つの横方向繊維パネル(100、165、113~116)の少なくとも一つの側部に、支持パネルに接続された圧縮部材(96、128~131')又は引張部材(98、138~141')が延在する
ことを特徴とする請求項13又は16に記載の空気圧支持体。
【請求項20】
請求項1に記載の空気圧支持体のセグメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の空気圧支持体、及び請求項10に記載の空気圧支持体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のタイプの空気圧支持体は公知であり、国際公開WO01/73245号に開示された円筒形基本形状に基づいている。さらに、この基本形状は、とりわけ国際公開公報WO2005/007991に開示されたスピンドル形状支持体にさらに発展している。
【0003】
このような空気圧式支持体の利点は、膨張可能な本体が折り畳み可能で、かつ、引張部材をケーブルで構成できるため、輸送容量が非常に少ないだけでなく軽量であることにある。このような空気圧支持体の欠点は、広い面積で負荷を支持できるため、多くの目的に適しているが、可能な面積負荷と比較して非対称負荷に対して限られた範囲でしか適さないことにあり、例えば、橋の上を転動するトラックの車軸は、この点で特に好ましくないので、特に橋としての使用に適さないことにある。
【0004】
このような空気圧支持体のさらなる欠点は、膨張可能な本体が動作状態で損傷を受ける可能性があることである。
【0005】
図1aから図1dは、例示的かつ概略的な方法で、従来技術による空気圧支持体を示しており、これらの図面では、明確にする目的のために誇張された厚さで示されている図1aは、国際公開公報WO2005 / 042880号による空気圧支持体1を示しており、この空気圧支持体1は、圧縮部材2、引張部材3、及び膨張可能な空気圧本体4を備えている。空気圧本体4は、圧縮部材2と引張部材3との間に示された点線で示されており、動作圧力まで膨張され、圧縮部材2と引張部材3とを相互に所定の距離に保っている。
【0006】
空気圧本体4は、好ましくは、気密性、可撓性及び実質的に非伸長性の材料から成り、スリーブを形成し、輸送のために折り畳むことができ、動作圧力下で、それぞれの空気圧支持体に適合する形状をとる。
【0007】
支持体1は、その端部6、7において、支持部材8及び9を介して支持されており、圧縮部材2及び引張部材3もまた、節点10及び11を介して相互に接続されている。概略的に提案されたパネル12により、ここでは、サポート1を橋として使用することを可能にする。
【0008】
次の概念により、支持体の動作モードが説明され得る。荷重13がパネル11に、従って、圧縮部材2に作用する場合、圧縮部材2は、作動圧力下にある膨張可能本体4によって支持されるが、膨張可能本体4は、引張部材3上に載っているため、実際には、引張部材3が負荷13を支持している。従って、引張部材3は下方に逃げようとするが、圧縮部材2が共通の端部ノード10及び11を保持しており、従って、相互に所定の間隔で引張部材3の端部も保持しているので、引張部材3は下方に逃げることができない。圧縮部材2及び引張部材3が互いに動作可能に接続されているこれらの領域を、端部ノード10、11として参照する。端部ノード10及び11によって、圧縮部材2からの力は引張部材3に伝達され、逆に、引張部材3からの力も圧縮部材2に伝達される。従って、端部ノード10及び11は、圧縮部材2及び引張部材3の両方の力導入点を表す。
【0009】
このため、引張部材3は実質的に軸方向の張力のみを受け、かつ、圧縮部材2は実質的に軸方向の圧力のみを受けるため、引張部材3はケーブルとして、圧縮部材2は細いロッドとして具現化され得る。しかし、加圧される細いロッドは座屈のリスクがあり、その結果、圧縮部材2の座屈限界が支持体1の耐荷重能力を決定することになる。
【0010】
例えば、屋根構造体の場合のように、支持体の長さに亘って面荷重が対称的に分布する場合、荷重の作用に抗する方向の座屈が荷重自体によって軽減され、空気圧本体4における圧縮部材の支持部材によって生じる座屈が荷重方向で防止されるので、座屈の危険が軽減される。
【0011】
しかし、非対称荷重の場合、圧縮部材は荷重13の位置で、大きく本体4に沈み込み、代わりに異なる位置で上方に曲がり、本体4の支持面を超えて曲がって、そこから持ち上がる傾向があり、その結果、座屈リスクが増大し、支持体1の耐荷重能力が低下する。
【0012】
従って、圧縮部材2を引張部材3に接続する純粋な引張部材14として具体化される接続要素は、好ましくは垂直(即ち、荷重方向で、かつ、支持体1の長手方向軸線に直交する方向)に配置される。引張部材14は、非対称荷重の場合に、圧縮部材2が非荷重位置で本体4から持ち上げられて座屈するのをある程度防止するのに適している。引張部材14の水平距離は、具体的なケースに関して当業者によって最適化されるべきである。
【0013】
引張部材14と圧縮部材2及び引張部材3との間の接続点は、順に、これらの部材に対する力導入点又は接続要素をそれぞれ表す。
【0014】
図1bは、国際公開公報WO2015/176192号による空気圧支持体15を示しており、この空気圧支持体15は、支持部材16及び17上に載り、ランプ形障壁18及び19として具現化された二つの端部ノードと、三つの空気圧セグメント20~22とを有する。各空気圧セグメントは、例えば圧力ロッドとして具現化される圧縮部材23~25と、この図面では例えば引張ロッドとして具現化される引張部材26~28(引張ケーブルも可能である)と、空気圧本体29~31とを有し、各空気圧本体29~31は、それぞれの割り当てられた圧縮部材23~25及びそれぞれの割り当てられた引張部材26~28を、その動作圧力を用いて相互に離間した状態で動作可能に保持する。二つの接続要素32及び33が、各セグメント20~22を通して、隙間なく(従って、図示構造体によって形成された空気圧支持体15を通して隙間なく)、好ましくは45°の角度でジグザグに配置され、これら二つの接続要素32及び33によって構造体が形成されている。この構造体は、特に非対称荷重に適した剛性を有し、即ち、例えば、図1aの支持体に比べて、動作荷重の下で、まっすぐな(荷重がかかっていない)目標位置から僅かに下方に弛むだけである。
【0015】
また、ノード18及び19の接続点は、圧縮部材23及び25並びに引張部材26及び28によって、圧縮部材23~25及び引張部材26~28における力導入点を形成すると共に、接続要素32及び33による圧縮部材23~25及び引張部材26~28の接続点を形成する。
【0016】
図1cは、図1bによる支持体15と同様に構成された国際公開公報WO2015/176192によるキャリア40を示しており、この実施例では、四つの空気圧セグメント41~44を有し、長手方向断面が改良されており、即ち、上側が僅かに凸状に形成され、下側が大きく凸状に形成されている。
【0017】
図1dは、複数の空気圧セグメント46~50を含む支持体45を示し、アーチ型構造の方法で荷重をかけることができるようにさらに改良された長手方向断面を有する。
【0018】
支持体1、15、40、45は、分解されると、容易に輸送することができ、かつ、端部ノード、圧縮部材、引張部材、及び可能な接続要素を組み立て、次いで空気圧体を膨張し、作動圧力に加圧することで所定の場所で組み立てることができるという共通の利点を有する。支持体1、15、40、45は圧力を上昇させて仕上げている間にどんどん湾曲し、動作圧力下で、無負荷の場合、アーチ状に湾曲した位置をとり、荷重下でのみ図1a~1dに示されたそれらの伸張された目標位置をとり、最終的に、図1aに示された支持体15のような支持体の場合には動作荷重下で強く曲がり、図1b~1dに示された支持体15、40、45のような支持体の場合には曲がり程度が減少されるという欠点である。
【0019】
それによって、湾曲(即ち、空気圧支持体4及び29~31を荷重なしで膨張させるときに依然として生じる望ましくない変形)が、圧縮部材又は引張部材のより強い曲率の方向にそれぞれ生じ、その結果、図1a、1b、及び1dの支持体は無負荷の状態で上方に湾曲し、図1cによる支持体は下方に湾曲する。従って、無負荷状態では、端部ノードがそれに応じて互いに対してシフトし、これは望ましくない。
【0020】
支持体1、15、40、及び45の湾曲が、図1e~1hにその長手方向中心線を用いて概略的に示されており、破線で示されている長手方向中心線55~58は図1a~1dに示されているように、目標位置に対応している。実線中心線59~62は、動作圧力下ではあるが無負荷である(すなわち、前記湾曲に従った)実際の位置に応じて推定的に、かつ、定性的に示されている。一点鎖線の長手方向中心線58~61は、動作圧力及び作動負荷の下での実際の位置、即ち、負荷変形に対応しており、簡略化のために、図示していないが、各場合に支持体1、15、40、及び45の中心に荷重が適用されると仮定する。
【0021】
図1eから分かるように、図1aに示す空気圧支持体1は比較的大きな湾曲を示し、さらに比較的大きなたるみを示す。この長手方向中心線の全変位は、多くの用途にとって大きすぎる。
【0022】
図1fから分かるように、図1bに示す空気圧支持体15は中心湾曲を示し、さらに、荷重下で、ほんのわずかな重要でないたるみを示す。唯一の中心湾曲は中心のセグメント21(図1b)がその長手方向中心線に対して対称であり、従って、実質的に湾曲しない(例えば、製造公差から生じる非対称性を除いて)という事実によって生じる。
【0023】
図1gから分かるように、図1cに示す空気圧支持体40は比較的大きな下向きの湾曲を示し、さらに、荷重下で比較的大きなたるみを示すことが分かる。
【0024】
図1fから分かるように、図1dに示す空気圧支持体45は比較的大きな曲率を示すが、荷重下でのたるみは小さい。
【0025】
図1dによる支持体についての上記の比は、図1hから見ることができる。
【0026】
意図される用途に応じて、湾曲又はたるみは、それぞれ、役割を果たすか、又は果たさず、例えば、可能な限り曲げ剛性が高くあるべきであるブリッジの場合、湾曲は好ましくない。従って、図1bによる支持体で形成された橋の場合、非常に高い曲げ剛性を有しているため、特にその使用に適しているが、湾曲のために両端部が急速に動かされる必要があり、次いで、その目標位置(図1fの線18)まで弾性/可撓性の方法で作用する必要があるという欠点を有する。従って、曲げ剛性の利点は、その利点を低減された程度でしか示さない。
【0027】
意図される用途に応じて、これは、例えば図1a~1hによる他の空気圧支持体にも同様に当てはまる。
【発明の概要】
【0028】
従って、本発明の目的は、湾曲の現象を減少させた程度にしか示さないか、又はそれを回避する空気圧支持体を作り出すことにある。
【0029】
本発明の別の目的は、湾曲の現象が生じるにもかかわらず、関連する圧力損失による空気圧本体への損傷があった場合であっても、荷重支持能力を維持する空気圧支持体を作り出すことにある。
【0030】
維持されるべき耐荷重能力に関する目的は、請求項1の特徴により解決される。
【0031】
空気圧本体が空気圧横断繊維圧力パネルを有するという事実のために、一つ又は複数のセグメントの機能が失われた場合にでも、支持体が依然として耐荷重性を維持し、かつ、動作可能なままであるように、支持体は、多数のセグメントから容易に組み立てられ得る。
【0032】
以下、図面に基づいて本発明をより詳細に説明する
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1a】従来技術による空気圧支持体を概略的に示している。
図1b】従来技術による空気圧支持体を概略的に示している。
図1c】従来技術による空気圧支持体を概略的に示している。
図1d】従来技術による空気圧支持体を概略的に示している。
図1e】無負荷動作圧力下、動作圧力及び動作負荷下、並びに湾曲のない目標位置における空気圧支持体の湾曲を概略的に示している。
図1f】無負荷動作圧力下、動作圧力及び動作負荷下、並びに湾曲のない目標位置における空気圧支持体の湾曲を概略的に示している。
図1g】無負荷動作圧力下、動作圧力及び動作負荷下、並びに湾曲のない目標位置における空気圧支持体の湾曲を概略的に示している。
図1h】無負荷動作圧力下、動作圧力及び動作負荷下、並びに湾曲のない目標位置における空気圧支持体の湾曲を概略的に示している。
図2】本発明による空気圧支持体を概略的に示している。
図3a】空気圧支持体における圧力損失に抗して固定された本発明による空気圧支持体を概略的に示している。
図3b図3aの支持体の横断面図を示している。
図3c図3aの支持体の実施例の横断面図を示している。
図4】二つのモールディング間に位置する力導入点の位置での図3aの支持体の断面図を概略的に示している。
図5】本発明による支持体の別の実施例の横断面図を概略的に示している。
図6図5の支持体の側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図2は、本発明による空気圧支持体70の第一実施例を示しており、この支持体70は、三つのセグメント20~22を有する図1bの支持体15と同様の方法で構成されている。セグメント71~73から分かるように、セグメント71及び73は改良されており、セグメント72は、支持体15のセグメント21(図1b)に対応している。
【0035】
この時点で、湾曲の現象を有する場合、及びそのような現象を有する限り、任意のタイプの空気圧支持体が、概して、本発明に従って改変され得ることに留意されたい。
【0036】
図面には、セグメント71~73の圧縮ロッド74~76及び引張要素が示されており、引張要素は、引張ケーブル77及び79並びに引張ロッド78として具現化されている。同様に図示されている接続要素33及び34は、図1bの実施例と比較して変更されてなく、作動負荷下で空気圧支持体70を補強する。同様に、空気圧本体81は、図1bの実施例と比較して変更されていないが、空気圧本体80及び82は、本発明に従って以下に説明するように改良されている。
【0037】
図2には、力導入点83,84及び85が示されており、これらはセグメント71及び73にあり、力導入点83は、要素33、障壁18及び引張ケーブル77を相互に連結し、従って、対応する力を引張ケーブル77に導入する。力導入点85は、引張ロッド78、接続要素33又は34及び引張ケーブル77を接続し、それにより、対応する力を引張ケーブル77に導入する。力導入点84は、引張ケーブル77を接続要素32及び33に接続し、対応する力を引張ケーブル77に導入する。図2の実施例によれば、引張部材の側部にモールディング86~89が設けられており、これらモールディングは、空気圧本体80及び82における隣接する力導入点83及び84間、84及び84間、84及び85間に設けられている。
【0038】
これらモールディング86~89によって、従来技術とは対照的に、作動圧力による空気圧本体の変形が実質的に排除される場合の力の均衡が、作動圧力による本発明に係る空気圧体80及び82にもたらされる。従って、モールディング86~89は、有利に、かつ、好ましくは、図2に示すように弧状に、より好ましくは円弧状に具現化され、力導入点83~85から隣接する力導入点84まで延在する。
【0039】
モールディング86~89は、さらに好ましくは、力導入点83~85の間の接続線に亘って、これらの力導入点83~85の距離の10~15%の高さを有し、それらを制限する。出願人は、このような高さが望ましくない湾曲を効果的に減少させることを見出した。
【0040】
最終的に、引張部材77及び79は力導入点83~85の位置でのみ空気圧本体80及び82に動作可能に接続されることがさらに好ましく、その結果、引張部材は力導入点83~85間で真っ直ぐに延在することができ、空気圧本体80及び82の輪郭又はモールディング86~89の輪郭にそれぞれ従う必要がなくなる。前記輪郭に従うことは、動作圧力のもとで、力導入点83及び85の間隔の短縮をもたらし、次いで、圧縮ロッド74及び76、空気圧本体80及び82、引張ケーブル77及び79、並びにモールディング86~89の輪郭に関して、セグメント71及び73全体のより複雑な設計をもたらすことになり、これは非常に複雑な方法でのみ計算することができ、従って、試験によって決定する必要があるものである。
【0041】
従って、図に示される好ましい実施形態によれば、(長手方向に一つ又は複数の非対称空気圧本体を備える)空気圧支持体が、作動圧力下ではあるが無負荷であり、その側面は圧縮部材を有する場合、少なくとも部分的に弧状に湾曲し、その力導入点が実質的に直線上にあるように具現化されることになる。
【0042】
この時点で、図2による空気圧支持体の構成が、例えば、中央セグメントを省略して、圧縮部材を有する側部が連続的に弧状に湾曲するように、改良され得ることが明らかであることに留意されたい。シミュレーションにおいて、出願人は、連続的な弧状の圧縮部材及び直線状の引張部材を用いて、4.5tの作動荷重に対して38mの長さを有する空気圧支持体の湾曲を決定した(引張部材、又は空気圧本体の下側が地面に位置するので、現場でこのような構成を好適な方法で構築することが可能であるべきである)。しかしながら、湾曲は、約1mの高さの支持体の「こぶ」をもたらし、引張部材が、支持体の中心でほぼ同じ高さで地面から持ち上げられることになる。しかし、本発明によるモールディングが設けられ、他の点では、従来技術の支持体と同じ構成である空気圧支持体は、湾曲が約10cmの範囲でしかなく、実質的に湾曲はない。
【0043】
要約すると、本発明による空気圧支持体は、一つ(又は複数の)空気圧本体を有し、前記空気圧本体は、空気圧で加圧され得、動作圧力の下で、実質的に本体の長さに亘って延びる圧縮部材と、同様に実質的に空気圧本体の長さに亘って延びる引張部材とを、相互に離間した位置で動作可能に保持し、圧縮部材及び引張部材の端部領域において、力導入点からそれらに力が導入され、圧縮部材と引張部材との間に接続要素が設けられ、接続要素も力導入点から圧縮部材と引張部材とに力を導入し、空気圧本体がモールディングを有し、これらモールディングが隣接する力導入点間で延び、隣接する力導入点間で直線接続を介して外側に突出する。
【0044】
上述したように、空気圧支持体は、好ましくは、可撓性スリーブ(即ち、空気圧本体、セグメントが複数ある場合には複数の可撓性スリーブを有する空気圧本体)を有し、モールディングが所定の輪郭を形成するように、動作圧力下で支持体の形状を決める。
【0045】
好ましくは、少なくとも一つの接続要素が、空気圧支持体に設けられ、前記接続要素は、空気圧本体の全長に亘って連続的にジグザグに延び、上述したように、特に好ましくは、荷重方向に対して45°の角度(従って、橋の場合は、水平に対して45°の角度)で延びる。これが、図2による実施例のセグメント71、73の場合、即ち、圧縮部材が長さ方向に亘って、各々非対称に具現化される場合のように、圧縮部材及び引張部材の距離が変化するときに、隣接する力導入点が互いに異なる距離を有する理由である。従って、モールディング86~89は、その高さが好ましくは割り当てられた力導入点の距離に関連して決められるので、異なる高さを有する。
【0046】
モールディングの高さは、計算が複雑なので、好ましくは、単純な繰り返し方法で決定される。第1のステップでは、その高さは割り当てられた力導入点(即ち、隣接する力導入点)の距離の10%から15%の間に決められる。その後でも、空気圧支持体には望ましくない湾曲が依然として残り得、その結果、第2のステップにおいて、モールディングの高さは、さらに30~50%増加される(10%の初期増加の場合、結果として生じる高さは隣接する力導入点の距離の13~15%である)。この繰り返し方法は、空気圧支持体のほとんどの構成の場合に非常に迅速に収束する。この高さは、実際の場合は、当業者によって決定され、湾曲が実質的になくなるまで、又は、支持体の意図された用途についてそれ以上の改善が生じなくなるまで継続され得る。
【0047】
以下、弧状、好ましくは円弧状のモールディングが、好ましくは、空気圧支持体に設けられ、その高さが、割り当てられた力導入点の距離の10~15%である本発明による方法が詳細に説明される。
【0048】
従って、本発明による空気圧支持体の構造は、好ましくは1つ(又は複数)のモールディングが、それを制限する力導入点間の力導入点の距離の10~15%の間の接続線上の高さを有するように具現化される。
【0049】
繰り返し方法を使用する場合、本発明に従って設計される空気圧支持体は、支持体の空気圧本体が動作圧力にされ、与えられた形状に対して継続して支持体の湾曲があるか否かが確認され、肯定的な場合、選択されたモールディングの高さは30~50%増加されるように構成される。当業者は、通常、全てのモールディングを均等に増加するが、例えば、試験によって、関連する空気圧本体が特別な形状の場合には、選択されたモールディングのみが変更され得る。
【0050】
空気圧支持体の意図された目的のために必要な場合には、繰り返し方法が、最後まで継続され得、即ち、さらなる高さの増加が、無負荷支持体の湾曲にさらなる改良をもたらさなくなるまで、モールディングは繰り返し増加され得る。
【0051】
その結果、本発明によれば、空気圧支持体の製造方法が提供され、該方法では、空気圧支持体の形状及び力導入点の位置、次いで、作動圧力下ではあるが作動荷重なしで予想される湾曲が事前に決定され、かつ、空気圧支持体の内側湾曲側にモールディングが設けられ、これらモールディングが、力導入点から力導入点まで、割り当てられた力導入点間の接続線を越えて外側に延びる。
【0052】
図3aは、右端ノード91及び、右半分を制限する対称線92を含む支持体90の右半分を示している(左半分は、対称線に対応して右半分と対称的に具現化される)。
【0053】
支持体90の基本的な構成は、支持体70(図2)に類似しているが、図1a~1dによる支持体又は同様の空気圧支持体にも対応し得る。支持体70とは対照的に、支持体90には、二つの接続要素93及び94が設けられおり、いずれの場合も、一方の接続要素が支持体90の外側の一方に沿って延びている。接続要素93は、図3aに見る方向に見ることができ、従って、支持体90の他方側において、前記接続要素93の背後に配置された接続要素94を覆っている。接続要素は、支持体90に沿って、ジグザグに設けられ、接続点、即ち、力導入点95で、各々、圧縮部材96に作動的に接続され、かつ、接続点、即ち、力導入点97で、各々引張部材98に作動的に接続されている。モールディング99は、引張部材98の側に配置されている。
【0054】
本発明によれば、圧縮部材96及び引張部材98間に配置される本体は、これらの部材96及び98を相互にある距離で保持し、空気圧で加圧され得、空気圧繊維圧力パネル100を有する。このような繊維圧力パネルは、空気圧式、即ち、膨張可能な平坦な本体であり、空気マットレスと同様の外形を有する。ここでは、底部と頂部とを接続する繊維が、スリーブの底部とスリーブの頂部との間の内部に配置され、繊維圧力パネル100のパネル形状の輪郭が作動圧力下でも維持される。このような空気圧繊維圧力パネルは、当業者には「ドロップステッチ」本体として公知であり、ポリエステル/PVC膜から成り得、又は、例えば、ハイパロンのような他の可撓性材料からも成り得る。
【0055】
図面では、空気圧で加圧することができる支持体90の本体全体は、空気圧繊維圧力パネル100で形成されており、これらのパネルは上下に重ねて積層され、各層は、好ましくは、複数の繊維圧力パネル100からなり、これらのパネルは、互いに当接するように前後に配置され、かつ、隣接する層に対してオフセットされるように配置される。幾つかの繊維圧力パネル100は、積層状態を明確にするために、対称線92の位置で、左端部で省略されている(支持体100の動作実施形態では存在しなければならないことは明らかである)。支持体90によって橋を形成する場合、繊維圧力パネル100は、図示の実施形態では水平に整列される。
【0056】
このような繊維圧力パネル100を使用することによって、各圧力パネルが気密になるので、予備のファンを省略することができるとう利点が得られる。このような繊維圧力パネルが、例えば、外部からの破損のために故障した場合でも、支持体90の荷重容量は、最小限しか減少しない。故障した繊維圧力パネル100は、容易に交換することができる。繊維圧力パネル100は、任意の寸法にすることができ、即ち、具体的ケースに対して個別に具体化される支持体90に合わせることができる。しかしながら、レゴシステム(LEGO SYSTEM)に対応する繊維圧力パネルは、同時に標準化されたサイズのものであってもよく、多種多様な支持体に使用されてもよい。繊維圧力パネル100の特定の固有の剛性は、支持体100の固有の剛性を高める。大型の空気圧支持体の場合には非常に扱いにくい空気圧本体が、重量が数キログラムの個々に容易に取り扱うことができる多数の繊維圧力パネル100からなるので、支持体90の輸送及び取扱いはより簡単になる。繊維圧力パネル100が、ある幅を有するという事実のために、橋の場合、道路スラブを、空気圧支持体90の上側に簡単に配置することができる。モールディング99に対応する輪郭を有する下側成形繊維圧力パネル101も、同様に、それらの可撓性支持部材上に簡単に配置することができる(これに関する図3b及び3cの説明を参照)。最後に、空気圧支持体90の垂直外壁は、繊維圧力パネル100の積層により形成され、その結果、複数の支持体90が、例えば、橋の場合には簡単な方法で互いに隣接して配置され得る。また、支持体90全体(例えば、10m、20m、30m、又は40mの長さに達するか、又はそれを超えることができる)は、この場合、軽量で比較的小さい寸法を有する個々の構成要素のおかげで、いかなる装置(クレーン、フォークリフト)も使用せずに設置することができることも重要である。
【0057】
図示されていない実施形態では、空気圧で加圧することができる本体は、このような空気圧繊維圧力パネルによって完全に形成されるのではなく、部分的にのみ形成され得る。次いで、繊維圧力パネルは、例えば、空気圧支持体の損傷を受ける危険性のある領域、例えば、荷重が加わる場所、又は支持体の表面が他の方法で露出される場所に配置される。
【0058】
従って、本発明による空気圧支持体は、空気圧で加圧することができ、作動圧力下で、実質的に本体の長さにわたって延在する圧縮部材と、同様に本体の長さにわたって延在する引張部材とを相互に離間して動作可能に保持する本体を備え、圧縮部材及び引張部材は、接続ノードにおいて端部側で互いに接続され、空気圧で加圧することができ、空気圧で加圧され得る前記本体は、さらに、空気圧繊維圧力パネルを有する。圧縮部材と引張部材との間に延在する少なくとも一つの引張接続要素のための接続点は、好ましくは、圧縮部材及び引張部材に設けられる。
【0059】
図3aから分かるように、横断方向繊維圧力パネル165(ここでは最下層)は、好ましくは、モールディングがそれらの横方向繊維上に具現化されるように具現化され、それぞれの横方向繊維圧力パネル165のスリーブの型もまた、それに応じて具現化され得る。
【0060】
図3bは、力導入点97の位置における支持体90の断面を示す。互いの上に重ねられた空気圧繊維パネル100が図示されており、この実施例では、支持体90の湾曲を減少させるためのモールディングに対応するように成形された最下部の繊維パネル101を有する。道路スラブ(この図では断面で見ることができる)として具体化された圧縮部材96と、繊維圧力パネル101の底面に沿って延びる多数の引張部材97とが図面に示されており、繊維圧力パネル101は互いに平行に配置された(例えば、ワイヤケーブルから成る)引張部材97上にそれらのモールディングと共に載る。
【0061】
端部側において、横方向ロッド105は接続要素97が係合する力導入点97を形成し、同時に、可撓性支持部材106に当接する最下部の繊維圧力パネル105のための可撓性支持部材106も形成する。
【0062】
図3cは横断面において互いに並べて配置された二つの支持体90を示し、各支持体90は、例えば、車両の片側の道路として機能することができる。
【0063】
図4は、二つのモールディング99の間に位置する力導入点97の位置における図3aの支持体の断面を概略的に示している。可撓性支持部材106及び空気圧繊維圧力パネル101の輪郭の経路、並びに接続要素93及び94の経路を見ることができる。
【0064】
本発明による空気圧繊維圧力パネルを有する支持体、例えば、図3による支持体は、繊維圧力パネルの完全な膨張が、空気圧で加圧することができる本体の作動圧力のもとでの連結要素93、94(又は図1a~図2による連結要素)によっては不可能であり、繊維によって最大限の厚さを維持することを可能にするような方法でのみ具体化され得る。言い換えれば、(空気圧支持体の高さ方向に見て)スタック内の繊維圧力パネルの故障に応答して自動的に作動する予備膨張が存在し、故障した繊維圧力パネルが、その厚さを、即ち、高さを失うと、残りの繊維圧力パネルが自動的に膨張し続け、従って、それぞれ厚さ、即ち、高さの損失を自動的に補償する。この設計の場合、空気圧支持体は、空気圧で加圧され得るその本体が損傷され、そして部分的に作動不能になった場合でも、その完全な機能性を維持する。
【0065】
従って、好ましくは、空気圧横方向繊維圧力パネルが、それらの最大横方向繊維厚さ未満に留まるように少なくとも一つの接続要素を具現化している場合、空気圧支持体は維持される。
【0066】
さらに、少なくとも一つの接続要素と、空気圧本体の高さを超えて到達する空気圧横方向繊維圧力パネルの層とは、好ましくは、空気圧本体の高さの膨張が、横方向繊維パネルの作動圧力下では実質的に一定のままであるが、横方向繊維圧力パネルの一つにおける圧力損失で、それに関連する他の横方向維圧力パネルの膨張を伴うように具現化される。
【0067】
モールディングを含む空気圧式横方向繊維圧力パネルは、さらに好ましくは、テープとして具体化される可撓性支持部材上に載せられ、これらのテープは力導入点の位置に設けられ、次に、少なくとも一つの接続要素に動作可能に接続される横方向支持体と係合する。
【0068】
図5は、別の実施形態による、本発明による空気圧支持体110の断面を示す。この実施例では、支持体110は幅b、高さH、及び長さlを有し、座標系111を参照すると、水平に延び、ブリッジの例を用いて図示されている。支持体110の空気圧本体112は、横方向繊維圧力パネル113~116を有し、これらのパネルは互いに並べて配置され、本体の高さhにわたって延在し、支持体上に長手方向に配置される。従って、横方向繊維圧力パネルは垂直に配置される。
【0069】
横方向繊維圧力パネル113~116の一つ(ここでは下側)の長手方向側部は、好ましくは、丸みを帯びている。この丸み部分118~121は、横方向繊維パネル113~116のスリーブの型と、対応する長い横方向繊維との組合せによって具現化され得、又、単に、スリーブの対応する切断された長手方向側面を内圧によって外側に湾曲させることによって具現化され得る。
【0070】
膜123~126は、丸み118~121と正反対に形成された窪みを介して丸み118~121を受け、従って、頂部から作用する荷重127によって荷重がかけられ得る横方向繊維パネル113~116を支持する。この目的のために、膜123~126は、支持体110の引張部材128、128'~131、131'に固定され、それらによって各々伸張されて窪みを形成し、引張部材128、128'~131、131'が、横方向繊維パネル113~116を支持するようにする。引張部材は図では見えない支持体110のノード(例えば、図2のノード又はランプ18、19又は図3aの節91をそれぞれ参照)に固定されるか、又は、例えば、セグメント71~73のようなセグメントの場合には接続点83、85に接続される(図3を参照)。
【0071】
具体的には、当業者は、横方向繊維パネル113~116の長手方向上側にも丸み118~121を設けることができ、又は、上側だけに設けることもでき、次いで、それを膜123~126を介して圧縮部材138、138'~141、141'に作動的に接続することができる。
【0072】
その結果、少なくとも一つの(図示された実施形態においては全ての)横方向繊維パネルは動作中に丸みを帯びた長手方向側面を有し、好ましくはそれぞれ、可撓性膜に支持され、正反対の窪みを形成し、窪みは、引張部材又は圧縮部材によって伸ばされる。
【0073】
横方向繊維圧力パネル113~116の他方(この実施例では上側)の長手方向側部133~136は好ましくは平坦化され、(橋の場合には道路スラブとして具現化され得る)荷重127を吸収する支持パネル132が、平坦化された長手方向側部133~136上に載置される。上側長手方向側面133~136上を横方向に延びる圧縮部材138、138'~141、141'は、支持パネル132に接続され、好ましくは、ねじ止めされる。平坦化された長手方向側部133~136は、好ましくは、横方向繊維加圧パネル113~116の対応して切断されたスリーブによって形成され、支持パネル132によって伝達される荷重を受け、それを膜123~126を介して引張部材128、128'~131、131'に伝達するのに特に適している。
【0074】
具体的には、当業者は、横方向繊維パネル113~116の長手方向下側も平坦化することができ、又、下側だけを平坦化することができ、例えば、支持パネル132を介して引張部材128、128'~131、131'に動作可能に連結することができる。
【0075】
接続要素144、144'~147、147'は、好ましくは、横方向繊維パネル113~116の側部に配置され、対応する接続点は図面を簡略化するために省略されている。これらの接続要素は、図2の接続要素32、33又は図3の接続要素93、94にそれぞれ対応する。
【0076】
その結果、好ましくは、少なくとも一つ(この実施例では全て)の横方向繊維パネルは、動作中に平坦化された長手方向側部を有し、その上に圧縮部材又は引張部材のためのパネル形状の支持要素が載せられ、支持パネルに接続された圧縮部材又は引張部材は、少なくとも一つの横方向繊維パネルの少なくとも一方の側部に延在する。
【0077】
図示されていない実施形態の場合、好ましくは、パネル形状の圧縮又は引張部材が、平坦化された長手方向側部133~136上に直接載せられ得る。
【0078】
別の実施例では、具体的な場合に応じて、例えば、横方向繊維パネルの幾つかが、支持体110の高さの一部分のみにわたって配置され得、又は、例えば、横方向繊維圧力パネル114及び115が、膨張可能なスリーブを有する単一の空気圧本体に置き換えられ得る。
【0079】
従って、図5による空気圧支持体では、横方向繊維圧力パネルは、支持体の少なくとも一部の高さ部分にわたって、好ましくはその高さ全体にわたって、圧縮部材と引張部材との間に延在する。これにより、横方向繊維圧力パネルは、さらに好ましくは、各々が支持体の全長にわたって配置される。図5に示すように、好ましくは、支持体の高さにわたって延在する横方向繊維圧力パネルは、最終的に、それぞれ支持体の全幅にわたって配置される。
【0080】
横方向繊維圧力パネル113~116は、矩形、台形、又は具体的な場合には異なる適切な構成を有することができる。それらは、支持体の全長、又はセグメント(例えば、図2のセグメント71~73)の長さを有することができ、又は、それより短くすることができる。
【0081】
図6は、図5に示したセグメントのタイプの空気圧支持体のセグメント150を図5の側面図で示している。この実施例では、セグメント150は、図2の支持体70のセグメント72に対応している。他の横方向繊維圧力パネル114~116を覆う垂直に配置された横方向繊維圧力パネル113が図示されている。接続要素144も同様に図示されており、他の接続要素144'~147'は、横方向繊維圧力パネル113によって覆われている。同様に、圧縮部材138及び引張部材128が図示されている(圧縮部材138'~141'及び引張部材128'~131'は覆われている)。膜123が図示されており、膜124~126は覆われている。接続点160は、図2の接続点84又は図3aの接続点95にそれぞれ対応する。接続点161は、セグメント150が他のセグメントと接続されるので、図2の接続点85に対応する。
【0082】
図6は、図1図5のうちの一つによる空気圧支持体のセグメント150を例示的な様式で示す。図5及び図6によるセグメント化されていない支持体を具現化することができることは勿論である。詳細には、セグメント又は支持体には、図2のモールディング86~89を参照して、図2によるモールディングをさらに設けることもできる。このために、横方向繊維圧力パネル113~116は、例えば、横方向繊維圧力パネル113~116のスリーブの対応する型、及び膜123~126(同様に、例えば、対応する型によって)によって、弧状に延びる丸み部分118~121を伴って、具現化することができる。その結果、少なくとも一つの横方向繊維圧力パネルが得られ、これは、支持体の高さにわたって少なくとも部分的に延び、二つの接続点の間に膨らみを形成する。
【0083】
図5及び図6に示す実施形態は、比較的少数の横方向繊維圧力パネルしか必要とせず、接続要素の予荷重が容易であるという利点を有する。さらに、一般的に、輸送及び組み立てのためには、支持パネル(又は道路スラブ)、横方向繊維圧力パネル、並びに引張及び圧縮部材の三つの要素のみが接続要素とともに存在し、引張部材及び圧縮部材並びに接続要素は事前に組み立てることができることに留意されたい。
【0084】
支持パネルは接着された積層木材で製造することができるが、スチール格子として、又はサンドイッチ複合材料としても製造することができる。引張部材及び圧縮部材には、鋼材(矩形又はC形又はH形)又は押出アルミニウムが使用され得る。ガラス繊維又は複合材料も同様に使用可能である。
鋼ケーブル、ケブラーテープ、又は他のプラスチック引張部材が、接続要素として使用され得る。従って、接続要素はダイネマテープ(Dyneema tapes)、即ち、オランダのDSMによって製造された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、又はSpectraとして周知のHoneywellによって製造されたプラスチックから成るテープとしても具現化され得る。横方向繊維圧力パネルの丸み部分を受ける膜は、ポリエステル、PVC又は他の可撓性膜であり得る。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6