IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェーピージェネレーターズの特許一覧

<>
  • 特許-非常用電源供給システム 図1
  • 特許-非常用電源供給システム 図2
  • 特許-非常用電源供給システム 図3
  • 特許-非常用電源供給システム 図4
  • 特許-非常用電源供給システム 図5
  • 特許-非常用電源供給システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】非常用電源供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/18 20060101AFI20220113BHJP
   H02J 9/08 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H02K7/18 B
H02J9/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020189781
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2021083305
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2019206923
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519408939
【氏名又は名称】株式会社ジェーピージェネレーターズ
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100149342
【弁理士】
【氏名又は名称】小副川 義昭
(72)【発明者】
【氏名】小西 憲一
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-303433(JP,A)
【文献】特開平8-158878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/18
H02J 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬のエンジン発電機を備えているとともに、液体燃料を収納する可搬式のサブタンクで構成され、かつ、前記サブタンクから燃料供給を受けて前記エンジン発電機に供給することができる供給タンクとを備えた燃料供給システムとを備えた非常用電源供給システムであって、
前記供給タンクの残量を検出する残量検出手段を設けるとともに、前記サブタンクから前記供給タンクに供給するサブタンク用電動ポンプと、
前記残量検出手段が所定時間一定の検出値を維持している結果に基づいて、前記サブタンク用電動ポンプを停止する制御装置と
を備えている非常用電源供給システム。
【請求項2】
請求項1記載の非常用電源供給システムにおいて、前記供給タンク、及び前記サブタンク全体の容量は、前記液体燃料を法規制で貯蔵できる容量未満に抑えたものである、ことを特徴とする非常用電源供給システム。
【請求項3】
請求項2記載の非常用電源供給システムにおいて、前記供給タンクが1個であり、前記サブタンクが2個からなる、ことを特徴とする非常用電源供給システム。
【請求項4】
請求項3記載の非常用電源供給システムにおいて、前記液体燃料がガソリンであり、1個の前記サブタンクの容量は、20リットル未満であり、前記供給タンクの容量は、40リットルから2個の前記サブタンクの容量から引いた容量未満である、ことを特徴とする非常用電源供給システム。
【請求項5】
請求項1ないし4から選択される1項に記載の非常用電源供給システムにおいて、前記サブタンク及び又は前記供給タンクの夫々のタンクのキャップ体には、凹入部が形成してあり、前記凹入部内に、前記サブタンク用電動ポンプへの供給ホースと前記サブタンクの供給口との接続部位に着脱自在な配管継手が、前記凹入部が形成する空間から突出しない状態で設けてある、ことを特徴とする非常用電源供給システム。
【請求項6】
請求項1ないし4から選択される1項に記載の非常用電源供給システムにおいて、前記制御装置は、前記供給用タンクの残量が設定した第1所定量以下になれば、前記サブタンク用電動ポンプを起動し、前記供給用タンクの残量が前記第1所定量より大きな設定した第2所定量以上になれば、前記サブタンク用電動ポンプを停止するものである、ことを特徴とする非常用電源供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用電源供給システムに関する。更に詳しくは、災害時等に携帯電話の基地局、避難所等において、商用電源が停電で使用できないとき、非常用電源として長時間使用できる非常用電源供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時等において、商用電源が停電で使用できないとき、非常用電源として発電機が使用されている。この非常用電源供給システムとしては、従来は、レジャーキャンプ、小規模の工事現場等で使用されている小型で携行可能なエンジン発電機等が代用されることが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-173089号公報
【文献】特開2009-303433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、可搬式発電機が記載されているが、この発電機に供給する燃料の補給についての記載はない。この特許文献1に記載した発電機の場合、通常、これに搭載されている小型エンジン発電機が保有するタンクの燃料が尽きてしまえば、その時点で発電は一旦停止し非常用電源としての機能が無くなる。一方、携帯電話の基地局、住宅地等に供給する非常用発電機システム等の場合、このシステムが止まってしまっては、非常用電源としての機能が不十分である。限られた少量の燃料しか備えていない小型の発電機が故に、燃料が尽きたとき、発電を一時的に停止し燃料を備え付けのタンクに補給しなければならない。そこでこのような運転上の課題を解決するために、非常災害時等に運転時間の延長を容易に行える、非常災害用小型発電機の運転時間延長装置として、次のような装置が提案されている。
【0005】
特許文献2には小型ガソリンエンジン発電機が開示されており、このエンジンと接続可能なメイン外部燃料タンク及び複数個のサブ外部燃料タンクとを備えている。このメイン外部燃料タンクとサブ外部燃料タンクは、連結ホースで連結されており、このエンジン発電機の長時間の連続運転が可能なものである。この連結ホースによる連結方法は、メイン外部燃料タンク及び複数のサブ外部燃料タンクに、それぞれの燃料タンクの底面近傍位置に連結口が設けられ、連結口を連結ホースで連結したものである。しかし、この連結方法は、燃料を重力で供給するために、メイン外部燃料タンク及び複数のサブ外部燃料タンクに、それぞれの燃料タンクの底面近傍位置に、連結ホースを連結するための連結口が設けられなければならないという、構造上の制約がある。即ち、特許文献2に記載の運転時間延長装置は、燃料タンクの底面等を改造した特殊な燃料タンクが必要となる。又、重力を利用してサブ外部燃料タンクからメイン外部燃料タンクに燃料を供給するものであるので、サブ外部燃料タンクはメイン外部燃料タンクは高い位置に配置しなければならない。
【0006】
本発明の目的は、燃料供給のために運転を止めることなく、連続して、かつ、長期間に亘って安定した電気を供給できる非常用電源供給システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、燃料タンクの高さ位置を考慮することなく設置しても燃料の供給ができる、非常用電源供給システムを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、可搬式の汎用構造の燃料タンクを用いても燃料の供給ができる、非常用電源供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を解決するために以下の手段を採る。
本発明1の非常用電源供給システムは、
可搬のエンジン発電機を備えているとともに、液体燃料を収納する可搬式のサブタンクで構成され、かつ、前記サブタンクから燃料供給を受けて前記エンジン発電機に供給することができる供給タンクとを備えた燃料供給システムとを備えた非常用電源供給システムであって、
前記供給タンクの残量を検出する残量検出手段を設けるとともに、前記サブタンクから前記供給タンクに供給するサブタンク用電動ポンプと、
前記残量検出手段が所定時間一定の検出値を維持している結果に基づいて、前記サブタンク用電動ポンプを停止する制御装置とを備えている。
【0008】
本発明2の非常用電源供給システムは、本発明1において、前記供給タンク、及び前記サブタンク全体の容量は、前記液体燃料を法規制で貯蔵できる容量未満に抑えたものである、ことを特徴とする。
本発明3の非常用電源供給システムは、本発明2において、前記供給タンクが1個であり、前記サブタンクが2個からなる、ことを特徴とする。
【0009】
本発明4の非常用電源供給システムは、本発明3において、前記液体燃料がガソリンであり、1個の前記サブタンクの容量は、20リットル未満であり、前記供給タンクの容量は、40リットルから2個の前記サブタンクの容量から引いた容量未満である、ことを特徴とする。
本発明5の非常用電源供給システムは、本発明1ないし4において、前記サブタンク及び又は前記供給タンクの夫々のタンクのキャップ体には、凹入部が形成してあり、前記凹入部内に、前記サブタンク用電動ポンプへの供給ホースと前記サブタンクの供給口との接続部位に着脱自在な配管継手が、前記凹入部が形成する空間から突出しない状態で設けてある、ことを特徴とする。
【0010】
本発明6の非常用電源供給システムは、本発明1ないし4において、前記制御装置は、前記供給用タンクの残量が設定した第1所定量以下になれば、前記サブタンク用電動ポンプを起動し、前記供給用タンクの残量が設定した前記第1所定量より大きな第2所定量以上になれば、前記サブタンク用電動ポンプを停止するものである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の非常用電源供給システムは、燃料供給のために運転を止めることなく、連続して、かつ、長期間に亘って安定した電気を供給できる、燃料タンクの高さ位置を考慮することなく設置しても燃料の供給ができる、可搬式の汎用構造の燃料タンクを用いても燃料の供給ができる、利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態1の非常用電源供給システムを示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1の非常用電源供給システムを示すブロック図である。
図3図3は、雌側配管継手とホースニップルとを取り付けたキャップ体の内部斜視図である。
図4図4は、制御手装置の概要を示す機能ブロック図である。
図5図5は、制御手装置の制御例を示す制御フロー図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2の非常用電源供給システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施の形態1〕
図1は、本発明の実施の形態1である非常用電源供給システムの外観を示すものである。図2は、図1の非常用電源供給システムの機能を示す機能ブロック図である。非常用電源供給システムAは、可搬式のエンジン発電機1とそのエンジン発電機1に燃料としてのガソリンを供給する燃料供給システム2とを備えて構成してある。燃料供給システム2には、オプションとして、サブタンク2Dと分岐部とを備えた追加の燃料供給システム3が追加されている。また、この燃料供給システム2は、商用電源からの給電からエンジン発電機1に供給元を切り替える屋外型電源切替装置4を備えている。図2に示すように、可搬式のエンジン発電機1は、ガソリンエンジンを利用した発電機であり、キャブレター1Aを備えたガソリンエンジンと発電機本体1Bを備え、更に、燃料としてのガソリンを取り込む給油ポンプ1Cを備えている。又、図1に示すように、エンジン発電機1は、車輪1aを備えており、人力により移動可能なように可搬式に形成されている。
【0014】
図2に示すように、燃料供給システム2は、この燃料供給システム2からエンジン発電機1にガソリンを供給する際に作動する、CPU、メモリー等からなる制御装置(インテリジェントシステム)2Aと、エンジン発電機側の供給ポンプ1Cによって吸入駆動されるガソリンを貯留するメインタンク(本発明では、「供給タンク」という。)2Bと、このメインタンク2Bにガソリンを補給する1台以上(図示例は1台)のサブタンク2Dと、このサブタンク2Dからメインタンク2Bに、ガソリンを供給するサブタンク用電動ポンプ10を装備している。なお、ガソリン等の燃料は、各都道府県の条例により貯蔵量が規制されているので、規定以上(総量でガソリンの場合、40リットル以上)の量は保管して配置しておくことはできない。本実施の形態のサブタンク2Dの個数を調整することにより、この法規制されている貯蔵量より少なくできる利点がある。
【0015】
なお、内蔵バッテリー12は、この燃料供給システム2で使用するバッテリーであり、燃料供給システム2が立ち上がる際に使用されるものである。エンジン発電機1が立ちあがった後は、燃料供給システム2は優先的にそのエンジン発電機1からの電力で燃料供給システム2が作動される。この電力で内蔵バッテリー12も充電される。サブタンク2Dの容量について説明する。ガソリン等の燃料は、消防法等で規定する危険物に該当し、危険物について許可なく収納して運搬保持するには、政令第28条の技術上の基準、総務省令第42条の容量規制を受けることになっており、金属製容器に収納して携行する際に60リットル未満とされている。図4は、制御手装置2Aに接続されているセンサー、ポンプ、スイチット等の接続の概要を示すブロック図である。
【0016】
一般に販売されている携行缶は人手で持ち運びできるように、20リットル以下に設定してあるので、それに倣って、本例では可搬性を重視してサブタンク2Dの容量を19.5リットルとした。この燃料供給システム2は、サブタンク2Dとして、容量を19.5リットル収納のものを1又は2個用意した。サブタンク2Dよりガソリンの提供を受けるメインタンク2Bとしては20リットルのものである。メインタンク2B及びサブタンク2Dは、いずれも材質は本例では防錆を考慮してステンレスである。但し、容量が10リットル以下の少なくて良い場合には、非金属である合成樹脂でも使用可能である。但し、メインタンク2Bとサブタンク2Dの合計容量は、法規制されている40リットル未満で使用する。
【0017】
次に、メインタンク2B及びサブタンク2Dのガソリン取り入れ構造について説明する。図2及び図3に示すように、タンク本体2aの上面に開口(図示せず)を形成するとともに、その開口縁にボス部2bを立設し、ボス部2bにキャップ体5を、ネジ部2cを介して取り付けている。キャップ体5はステンレス鋼等の金属製であり、円筒形の外形を呈しており、下向き鍔部5bの内周面に内ネジ部5cが形成してあり、タンク本体2aのボス部2bにネジ込み構造である。図3に示すように、キャップ体5の上面には、凹入部5Aが形成してあり、上方と前方が開放されている。凹入部5Aは、上面と一側面が開口し、互いに直交する4面からなる窪みである。
【0018】
凹入部5Aを形成する中央壁面5dと、その中央壁面5dの後方側に、凹入部5A後方の天井面5hより下向きに円筒状の中間ボス部5fが下向き開口状態で設けてある。中間ボス部5fの円筒状内周面にはネジ部5eが形成してあり、タンク内部貯留空間向けてホースニップル6が取り付けてある。このホースニップル6には、タンク内のガソリンを吸い上げる導入ホース7が取り付けてある。窪みである凹入部5Aが形成されているので、何らかの原因で仮に凹入部5Aに重量物又はタンクを地表面、障害物等に落下させても、雌側配管継手8Bが破損することはないので、ガソリンの漏洩が防げる利点がある。
【0019】
一方、中央壁面5dには、中間ボス部5fのホースニップル6より上方の内部空間に通じる開口が形成されており、その開口縁にネジ部5gが形成されて雌側配管継手8Bが螺合してあり、図1に示すように、相手側としてのエンジン発電機1又はメインタンク2Bから延出された導入ホース9の先端の雄側配管継手8Aが接続されるように構成してある。図3に示す雌側配管継手8B及び雄側配管継手8Aとからなる配管継手8は、着脱自在であり、図示してはいないが、夫々、周知技術である逆止弁機構を内装している(例えば、特開2014-219010号参照)。また、このように配管継手8が凹入部5Aの空間内に存在するので、上述したように他物との接触が抑制され、配管継手8の保護になっている。
【0020】
このように、凹入部5Aによって配管継手8が保護されていることによって、各メインタンク2B、及び、サブタンク2DにUN規格認証、及び、KHK規格認証が与えられている。ここに、UN規格とは、危険物・劇毒物を船舶で輸送及び貯蔵する場合、「危険物船舶運送及び貯蔵規制」に従い、(財)日本舶用品検定協会による行われる検査を受け、これに合格すると『UN検査証』を付与する制度に使用される規格をいい、この『UN検査証』を付した容器による危険物等の輸送は、世界の船舶・航空・陸上の全ての輸送機関の輸送に適用される。KHK規格とは、危険物保安技術協会により、危険物等に係る災害発生の防止を目的とし、消防法に基づいた試験確認の結果所定の基準に適合している場合に、「基準適合性表示(KHKマーク)」が付与される規格である。
【0021】
図1及び図2に示すように、各サブタンク2Dのキャップ体5には夫々メインタンク2Bから延出された導入ホース9が前記した雄側配管継手8Aを介して接続してあり、導入ホース9にサブタンク2Dからガソリンを吸い上げメインタンク2Bに送るサブタンク用電動ポンプ10が装備してある。図1に示すように、メインタンク2Bのキャップ体5には、エンジン発電機1から延出された導入ホース9が前記した雄側配管継手8Aを介して接続してあり、導入ホース9にメインタンク2Bからガソリンを吸い上げエンジン発電機1に送る手動ポンプ18が装備してある。
【0022】
上述した導入ホース9には、中間位置に手もみ状の手動ポンプ18が取り付けられており、この手動ポンプ18を操作することにより、メインタンク2Bからエンジ ン発電機1側へ強制的に燃料(ガソリン)を送出するように構成されている。強制的に燃料を送り出すので、導入ホース等の空気を排出することができる。メインタンク2Bについて、エア抜き孔(図示せず)からタンク内部のエア抜きを行う。次いで、導入ホース9の雄側配管継手8Aをメインタンク2Bの雌側配管継手8Bに接続し(図3参照)、他端はエンジン発電機1側に接続する。その状態から、前記の手動ポンプ18を操作すると、燃料(ガソリン)は、エンジン発電機1側へ送られる。
【0023】
その状態でエンジン発電機1を始動すると、エンジン発電機1内には、例えば、シリンダー内の気圧振動によって起動する燃料ポンプ1Cが設けられており、一度エンジン発電機1内に燃料が送られれば、エンジンの作動中はこの燃料ポンプ1Cがメインタンク2Bから燃料を随時吸い上げる。以上のような構成になる機器については、図1に示すように、エンジン発電機1は単独で移動可能に構成してあり、燃料供給システム2は、エンジン発電機1に隣接して移動可能に車輪で支持された燃料供給フレーム11内に装備してある。
【0024】
図1に示すように、燃料供給フレーム11内の一方にサブタンク2Dが奥側に向けて2個収納され、それに隣接する区画にメインタンク2Bが収納してある。メインタンク2Bと同一区画内には、その上方に前記したサブタンク用電動ポンプ10とともに、制御装置2Aを構成するコントローラや内蔵バッテリー12が装備してある。以上に加えて次のような機器が制御の為に、装備してある。図4に示すように、内蔵バッテリー12とともに燃料供給システム2を起動するメインスイッチ13、メインタンク2Bの貯留量を検出する残量検出手段としてのメインタンクガソリン残量センサ14、燃料供給システム2を再起動するリセットスイッチ15等が入力側の機器であり、出力側では、メインタンク2Bの貯留量を表示するメインタンクガソリン残量表示器16と、前記したサブタンク用電動ポンプ10、そのLED式のポンプ作動ランプ17等が装備してある。
【0025】
なお、上記のメインタンク2Bは、燃料供給システム20に配置したものであるが、市販されている可搬式のエンジン発電機1が備えている燃料タンク(本発明では「供給タンク」という。)にメインタンクガソリン残量センサ14を取り付けて、これを本実施の形態1でいうメインタンク2Bの機能を果たすものとしても良い。また、本実施の形態のガソリン残量センサ14は、フロート式、静電容量、圧力式等が知られており、これらの何れも使用できる。また、エンジン発電機1としては、ディーゼルエンジンを使用してもよく、その場合は液体燃料は、ガソリンではなくディーゼルエンジン用の燃料が供給される。
【0026】
次に、図5を参照して、制御フローを説明する。
(1)図5で示すように、スタートとして、内蔵バッテリー12を使用して、メインスイッチ13を操作して燃料供給システム2を作動させる(#101、102)。
(2)メインタンクガソリン残量センサ14からの信号で、メインタンク2Bのガソリン残量が第1所定量としての20パーセント以下であれば、サブタンク用電動ポンプ10の運転を行う(#103,104)。
【0027】
(3)メインタンク2Bのガソリン残量が20パーセントを越えれば、メインタンク2Bのガソリン残量が60秒間で変化がなかったら(#105)、サブタンク用電動ポンプ10の運転を停止する(#106)。サブタンク用電動ポンプ10の停止したことを知らせるポンプ作動ランプ17を点滅させる(#107)。
【0028】
(4)メインタンク2Bのガソリン残量が60秒間で変化がなかったらということは、サブタンク2Dにガソリンが無いということであるので、補充用のサブタンク2Dと入れ替え、リセットスイッチ15を操作して、再度、サブタンク用電動ポンプ10を作動させ(#109)、ポンプ作動ランプを点燈させる(#110)。
【0029】
(5)メインタンク2Bのガソリン残量が第2所定量としての80パーセント以上になれば(#111)、サブタンク用電動ポンプ10の運転を停止し、ポンプ作動ランプ17を消燈させる(#112,113)。
(6)図示してはいないが、任意のタイミングでメインスイッチが切り操作された場合には、システムAが停止する。
【0030】
上記の制御によって、サブタンク用電動ポンプ10を駆動してメインタンク2Bに補給作業を行っているにも拘わらず、メインタンク2Bの残ガソリン量が一定の状態であれば、サブタンク2Dから燃料が送られてなく、かつ、サブタンク2Dに燃料がないと判断できる。そこで、発電システムの運転中であっても、サブタンク2Dを満タンのものと交換したり、隣接するサブタンク2Dから補給することができる。したがって、個々のサブタンク2Dに残量検出手段を設ける必要はなく、連続して、かつ、長期間に亘って安定した電気を供給できる非常用電源供給システムを、構成上の制約を少なくした状態で提供できるに至った。
【0031】
また、タンクのキャップ体5に供給ホースを接続する配管継手が設けてあり、この配管継手の装着状態が、キャップ体5の凹入部5A内から突出しない状態に設けてあるので、メインタンク2Bを移設する際や定置させる状態であっても、他物との接触を極力回避でき、長期に亘って安定して使用できる。上記した制御によれば、第1所定量を導入することによって、常に、メインタンク2Bの残量を確保し、サブタンク用電動ポンプ10を作動させることができながら、第1所定量より大きな第2所定量を導入することによって、メインタンク2Bから燃料が溢れる状態を回避でき、安定した燃料供給が可能である。
【0032】
〔実施の形態2〕
図6は、本発明の実施の形態2の非常用電源供給システムを示すブロック図である。この実施の形態2の非常用電源供給システム20は、基本的には2個のサブタンク2Dと、これより容量が小さい制御タンク(本発明では、「供給タンク」という。)2Bからなる。図6に示すように、燃料供給システム20は、この燃料供給システム20からエンジン発電機1にガソリンを供給する際に作動し制御するものであり、移動できるように台車(図示せず。)に搭載されている。燃料供給システム20は、実施の形態1と同様の制御装置2Aと、エンジン発電機(図示せず。)側の供給ポンプによって吸入駆動されるガソリンを貯留する制御タンク(本発明では、「供給タンク」という。)2Bと、この制御タンク2Bにガソリンを補給する2個のサブタンク2Dと、この2個のサブタンク2Dから制御タンク2Bに、ガソリンを供給する2個のサブタンク用電動ポンプ10等からなる。
【0033】
このサブタンク2Dの容量は、実施の形態1で使用したものと同一の19.5リットルであるが、制御タンク2Bの容量が異なる。本発明の実施の形態2の制御タンク2Bの容量は、本例では0.6リットルである。即ち、この燃料供給システム20の液体燃料の総量は、最大で39.6リットルとなる。従って、液体燃料がガソリンの場合、2個のサブタンク2D、制御タンク2Bの総容量は、日本国での一般的な法規制の範囲内である40リットル未満である。常時、制御タンク2Bとサブタンク2Dの総容量は、燃料がガソリンの場合、法規制されている貯蔵量より少なくできる利点がある。この非常用電源供給システム20の駆動は、全ての手動ポンプ18を駆動して、燃料供給管内の空気を排出する。制御装置2A等をリセットして、エンジン発電機1を駆動して、発電を開始し、制御装置2Aに電気を供給する電線でエンジン発電機1と燃料供給システム20と接続する。
【0034】
制御タンク2Bの燃料残量センサ(図示せず)の信号により、一方のサブタンク用電動ポンプ10を起動して、燃料を制御タンク2B内に供給する。この一方のサブタンク2Dが空になると、他方のサブタンク2Dのサブタンク用電動ポンプ10を起動して、燃料を供給する。従って、エンジン発電機1は、一方のサブタンク2Dが空になっても運転を停止することなく、継続できる。また、一方のサブタンク2Dが空になると、一方のサブタンク用電動ポンプ10のポンプ作動ランプが停止するので、オペレータはこれを認識し、新しく燃料を満タンにしたサブタンク用電動ポンプ10を補充することができる。前述した制御タンク2Bは、燃料供給システム20内に配置したものであるが、この制御タンク2Bは小型化したので、可搬式のエンジン発電機1内に設置しても良い。
【0035】
〔別の実施の形態]
(1)サブタンク2Dの数は前記した2個のものに限定されず、容量を小さくした状態で全体として規制容量を越えない範囲で数多く設置することができる。
(2)メインタンク2Bの残量検出手段としては、通常のレベルセンサや液面との間隔を測定して液面高さの変化を見るレーザー光線やマイクロ波利用のセンサが利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の非常用電源供給システムは、災害で電源喪失等の非常事態に陥っている地域において、緊急的に電力を供給する非常用電源供給システムとして使用でる。又、非常用でなくても商用電源が確保しにくい屋外でのイベント会場、キャンプ場等でも使用できる。
【符号の説明】
【0037】
1… 可搬式のエンジン発電機
1A… キャブレター
1B… 発電機本体
1C… 供給ポンプ
1a… 車輪
2、20…燃料供給システム
2A… 制御装置
2B… メインタンク
2C… サブタンク用電動ポンプ
2D… サブタンク
2a… タンク本体
2b… ボス部
2c… ネジ部
3… 追加の燃料供給システム
4… 屋外型電源切替装置
5… キャップ体
5A… 凹入部
5a… ネジ部
5b… 下向き鍔部
5c… 内ネジ部
5d… 中央壁面
5e… ネジ部
5f… 中間ボス部
5g… ネジ部
6… ホースニップル
7… 導入ホース(供給ホース)
8… 配管継手
8A… 雄側配管継手
8B… 雌側配管継手
9… 導入ホース(供給ホース)
10… サブタンク用電動ポンプ
11… 燃料供給移動フレーム車
12… 内蔵バッテリー
13… メインスイッチ
14… メインタンクガソリン残量センサ(残量検出手段)
15… リセットスイッチ
16… メインタンクガソリン残量表示器
17… ポンプ作動ランプ
18… 手動ポンプ
A… 非常用電源供給システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6