(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】食品用台紙、及び真空パック包装品
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
B65D85/50 100
(21)【出願番号】P 2021102354
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2021-06-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 <1> 販売 1.公開の事実 1.販売日 販売日は次の通り(いずれも令和3年) 2月26日、3月3日、3月5日、3月16日、3月25日、3月26日、4月4日、4月7日、4月8日、4月10日、4月12日、4月14日、4月22日、4月23日、4月25日、4月28日、4月30日、5月1日、5月8日、5月13日、5月21日、5月25日、5月27日、6月2日、6月3日、6月4日、6月9日、6月10日、6月15日、6月17日、6月21日 2.販売した場所 ゼンスイ野村フーズ株式会社(住所東京都中央区日本橋人形町3-5-4 ユニゾ人形町三丁目ビル 5階) 3.公開者 株式会社BGI JAPAN 4.販売した物の内容 株式会社BGI JAPANが、ゼンスイ野村フーズ株式会社に、藤原静宏、及び中村祐治が発明した板付き鰻蒲焼の真空パック包装品を卸した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 <2> 新聞 1.発行日 令和3年5月28日 2.刊行物 みなと新聞 令和3年5月28日付け第1版,第7面 3.公開者 株式会社みなと山口合同新聞社 4.公開された発明の内容 株式会社みなと山口合同新聞社が、みなと新聞の令和3年5月28日付け第1版第7面にて、藤原静宏、及び中村祐治が発明した板付き鰻蒲焼の真空パック包装品について、「POS首位のかば焼き、特許出願中」という記事により公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 <3> 新聞 1.発行日 令和3年6月2日 2.刊行物 みなと新聞 令和3年6月2日付け第1版,第4面 3.公開者 株式会社みなと山口合同新聞社 4.公開された発明の内容 株式会社みなと山口合同新聞社が、みなと新聞の令和3年6月2日付け第1版第4面にて、藤原静宏、及び中村祐治が発明した板付き鰻蒲焼の真空パック包装品について、「BGI JAPAN オンライン販売にも注力」という記事により公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 <4> 新聞 1.発行日 令和3年6月4日 2.刊行物 みなと新聞 令和3年6月4日付け第1版,第5面 3.公開者 株式会社みなと山口合同新聞社 4.公開された発明の内容 株式会社みなと山口合同新聞社が、みなと新聞の令和3年6月4日付け第1版第5面にて、藤原静宏、及び中村祐治が発明した板付き鰻蒲焼の真空パック包装品について、「紀文のはんぺん2品販売増」という記事により公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 <5> 新聞(電気通信回線を通じた掲載) 1.ウェブサイトの掲載日 令和3年5月27日 2.ウェブサイトのアドレス https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/111982 3.公開者 株式会社みなと山口合同新聞社 4.公開された発明の内容 株式会社みなと山口合同新聞社が、みなと新聞電子版の上記ウェブサイトにて、藤原静宏、及び中村祐治が発明した板付き鰻蒲焼の真空パック包装品について、「POS首位のかば焼き、特許出願中」という記事により公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 <6> 新聞(電気通信回線を通じた掲載) 1.ウェブサイトの掲載日 令和3年6月1日 2.ウェブサイトのアドレス https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/112095 3.公開者 株式会社みなと山口合同新聞社 4.公開された発明の内容 株式会社みなと山口合同新聞社が、みなと新聞電子版の上記ウェブサイトにて、藤原静宏、及び中村祐治が発明した板付き鰻蒲焼の真空パック包装品について、「BGI JAPANオンライン販売にも注力」という記事により公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 <7> 新聞(電気通信回線を通じた掲載) 1.ウェブサイトの掲載日 令和3年6月3日 2.ウェブサイトのアドレス https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/112181 3.公開者 株式会社みなと山口合同新聞社 4.公開された発明の内容 株式会社みなと山口合同新聞社が、みなと新聞電子版の上記ウェブサイトにて、藤原静宏、及び中村祐治が発明した板付き鰻蒲焼の真空パック包装品について、「紀文のはんぺん2品販売増」という記事により公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517147571
【氏名又は名称】株式会社BGI JAPAN
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】藤原 静宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐治
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3148947(JP,U)
【文献】特表2020-500789(JP,A)
【文献】特開2021-088398(JP,A)
【文献】特開2004-262527(JP,A)
【文献】特開2008-237156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
D21H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空パック内で加熱済み食品を支持する食品用台紙であって、
矩形状の板紙と、
撥水性層を有する上面部及び下面部とを備え、
前記板紙の秤量は、960~1440g/m
2である、食品用台紙。
【請求項2】
請求項1に記載の食品用台紙であって、
前記板紙の秤量は、1100~1300g/m
2である、食品用台紙。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の食品用台紙であって、
前記上面部及び/又は前記
下面部は、金属光沢調層を備える、食品用台紙。
【請求項4】
請求項3に記載の食品用台紙であって、
前記金属光沢調層と、前記板紙との間に白色層を備える、食品用台紙。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の食品用台紙であって、
前記金属光沢調層は、パール顔料を含む、食品用台紙。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の食品用台紙であって、
前記金属光沢調層は、金色、銅色、金属光沢を有する黄土色、又は金属光沢を有する山吹色を有する、食品用台紙。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の食品用台紙であって、
前記板紙の厚さは、0.9~2.1mmである、食品用台紙。
【請求項8】
請求項7に記載の食品用台紙であって、
前記板紙の厚さは、1.3~1.7mmである、食品用台紙。
【請求項9】
真空パック包装品であって、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の食品用台紙と、
前記食品用台紙上に支持された加熱済み食品と、
前記加熱済み食品が前記食品用台紙上に支持された状態で、前記加熱済み食品及び前記食品用台紙を収容して真空パックする透明樹脂製袋とから構成される、真空パック包装品。
【請求項10】
請求項9に記載の真空パック包装品であって、
前記食品が前記食品用台紙上に支持された状態で、前記食品は、前記台紙の外周縁からはみ出ないように真空パックされている、真空パック包装品。
【請求項11】
請求項9乃至10のいずれか一項に記載の真空パック包装品であって、
前記加熱済み食品は、焼魚、又は魚の照焼である、真空パック包装品。
【請求項12】
請求項11に記載の真空パック包装品であって、
前記加熱済み食品は、鰻蒲焼、鰻白焼、焼き穴子である、真空パック包装品。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれか一項に記載の真空パック包装品であって、
前記加熱済み食品の重量は、100~300gである、真空パック包装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空パック内で加熱済み食品を支持する食品用台紙、及び加熱済み食品及び食品用台紙を含む真空パック包装品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱済み食品(鰻蒲焼等の魚類)の真空パックは、加熱済み食品を真空パック用の袋に詰めて、袋から空気を抜いて密閉することにより製造されていた。このような加熱済み食品の真空パックを箱にいれて低温で輸送する際に、輸送の際の衝撃や振動等で、加熱済み食品が割れたり傷つくことによって、ロスが発生していた。
【0003】
食品の真空パック内に、食品を支持する敷板等の台紙を配置することは、特許文献1~2に記載されている。特許文献1に記載された生鮮物の包装台紙及び包装方法には、包装台紙に魚を載せて真空パックすることが提案されている。この包装台紙は、約0.5~0.6mm厚のボール紙の上下面に防水膜がコーティングされ、下面の防水膜にアルミ箔が貼着され、上面の防水膜に吸水紙が貼着されたものである。
【0004】
特許文献2に記載された食品吸水台紙は、基材となる板紙において、食品が接触する面に撥水性の印刷加工を施し、板紙の撥水性の印刷加工を施していない部分、側面、及び裏側から食品のドリップを吸収するようにしたものである。また、特許文献2の板紙の坪量は、150~850g/m2とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-256871号公報
【文献】実用新案登録第3204994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
真空パックされた未加熱の食品(生鮮魚類等)は、輸送の際の衝撃や振動等で、未加熱の食品が割れたり傷つく可能性が低いため、特許文献1や2に記載されるような比較的薄い又は比較的小さい坪量の台紙を用いてもロスが生じる可能性は低かった。
【0007】
これに対し、真空パックされた加熱済み食品(例えば、加熱済み魚類)は、輸送の際の衝撃や振動等で、加熱済み食品が破損する可能性があるため、特許文献1や2に記載されるような比較的薄い又は比較的小さい坪量の台紙を用いるとロスが生じる可能性が高くなるため、比較的薄い又は比較的小さい坪量の台紙を用いることが困難であった。
【0008】
一方、真空パック内で加熱済み食品を支持する台紙表面が、金属光沢を有することにより、加熱済み食品の購買意欲を高ることが要求されている。しかしながら、台紙表面に金属光沢を与えるために金属を用いると、真空パック内に金属破片等が混入したことを金属探知機を用いて検査できなくなるという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、加熱済み食品が衝撃や振動等で破損しにくい、食品用台紙、及び加熱済み食品の真空パック包装品の提供を目的とする。または、本発明は、金属光沢調を有しつつ、金属探知機を用いて検査可能な食品用台紙、及び加熱済み食品の真空パック包装品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様は次の通りである。
[態様1]
真空パック内で加熱済み食品を支持する食品用台紙であって、
矩形状の板紙と、
撥水性層を有する上面部及び下面部とを備え、
前記板紙の秤量は、960~1440g/m2である、食品用台紙。
[態様2]
態様1に記載の食品用台紙であって、
前記板紙の秤量は、1100~1300g/m2である、食品用台紙。
[態様3]
態様1又は2に記載の食品用台紙であって、
前記上面部及び/又は前記上面部は、金属光沢調層を備える、食品用台紙。
[態様4]
態様3に記載の食品用台紙であって、
前記金属光沢調層と、前記板紙との間に白色層を備える、食品用台紙。
【0011】
[態様5]
態様3又は4に記載の食品用台紙であって、
前記金属光沢調層は、パール顔料を含む、食品用台紙。
[態様6]
態様3乃至5のいずれか一項に記載の食品用台紙であって、
前記金属光沢調層は、金色、銅色、金属光沢を有する黄土色、又は金属光沢を有する山吹色を有する、食品用台紙。
[態様7]
態様1乃至6のいずれか一項に記載の食品用台紙であって、
前記板紙の厚さは、0.9~2.1mmである、食品用台紙。
[態様8]
態様7に記載の食品用台紙であって、
前記板紙の厚さは、1.3~1.7mmである、食品用台紙。
【0012】
[態様9]
真空パック包装品であって、
態様1乃至8のいずれか一項に記載の食品用台紙と、
前記食品用台紙上に支持された加熱済み食品と、
前記加熱済み食品が前記食品用台紙上に支持された状態で、前記加熱済み食品及び前記食品用台紙を収容して真空パックする透明樹脂製袋とから構成される、真空パック包装品。
[態様10]
態様9に記載の真空パック包装品であって、
前記食品が前記食品用台紙上に支持された状態で、前記食品は、前記台紙の外周縁からはみ出ないように真空パックされている、真空パック包装品。
【0013】
[態様11]
態様9乃至10のいずれか一項に記載の真空パック包装品であって、
前記加熱済み食品は、焼魚、又は魚の照焼である、真空パック包装品。
[態様12]
態様11に記載の真空パック包装品であって、
前記加熱済み食品は、鰻蒲焼、鰻白焼、焼き穴子である、真空パック包装品。
[態様13]
態様9乃至12のいずれか一項に記載の真空パック包装品であって、
前記加熱済み食品の重量は、100~300gである、真空パック包装品。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、加熱済み食品が衝撃や振動等で破損しにくい、食品用台紙、及び加熱済み食品の真空パック包装品を提供することができる。または、本発明は、金属光沢を有しつつ、金属探知機を用いて検査可能な食品用台紙、及び加熱済み食品の真空パック包装品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る食品用台紙を示す、(a)平面図、(b)長辺側の側面図、(c)短片側の側面図である。
【
図2】
図1の食品用台紙の積層構造を示す拡大側面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る真空パック包装品を示す上面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る台紙を示す平面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る真空パック包装品を示す上面図である。
【
図6】(a)
図5の真空パック包装品、及び(b)比較例の真空パック包装品を示す側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の食品用台紙、及び真空パック包装品に関する各実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において対応する部分は、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
【0017】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る食品用台紙10を
図1~2を用いて説明する。
図1に示すように、食品用台紙10は、平面視で矩形状(長方形状)の平坦な板である。この食品用台紙10は、好ましくは捌いた1匹の鰻蒲焼を支持する大きさ(例えば、長辺30cm、短辺11cm)に形成されている。
図2の側面拡大図に示すように、食品用台紙10の積層構造は、ボール紙から形成される板紙(基材)12と、板紙12の上面に形成される上面部14と、板紙12の下面に形成される下面部16とから構成される。
【0018】
板紙12は、好ましくは、加熱殺菌に耐えられる所定の耐熱性を有する素材から形成される。所定の耐熱性としては、例えば90℃で7分間の加熱で紙板12が変形しなければよい。板紙12は、加熱済み食品と共に真空パックされた状態で湾曲することなく、所定の重量の加熱済み食品を支持可能な程度の剛性を有するために、所定の坪量(1m2当たりの用紙1枚の重量)及び/又は所定の厚さを有する必要がある。
【0019】
板紙12の所定の坪量は、好ましくは960~1440g/m2、より好ましくは1100~1300g/m2、さらに好ましくは約1,200g/m2とすることができる。板紙12の所定の厚さは、好ましくは0.9~2.1mm、より好ましくは1.3~1.7mm、さらに好ましくは約1.5mmとすることができる。なお、板紙12は、坪量500~600g/m2及び0.8~1.0mm厚のボール紙を2枚張り合わせて構成することもできる。加熱済み食品の所定の重量は、好ましくは100~300g、より好ましくは250~400gとすることができる。なお、加熱済み食品は、好ましくは、焼き魚、または、魚の照焼とすることができ、より好ましくは、鰻蒲焼、鰻白焼、焼き穴子とすることができる。
【0020】
上面部14の積層構造は、
図2に示すように、板紙12の上面側に設けられ、所定の耐熱性を有する材料から形成される。上面部14は、板紙12の上面に配置された接着層14dと、接着層14dの外側面(上側面)に配置された白色層14cと、白色層14dの外側面(上側面)に配置された金属光沢調層14bと、金属光沢調層14bの外側面(上側面)に配置されたフィルム層(撥水性層)14aとから構成される。
【0021】
下面部16の積層構造は、
図2に示すように、板紙12の下面側に設けられ、所定の耐熱性を有する材料から形成される。下面部14は、板紙12の下面に配置された接着層16dと、接着層16dの外側面(下側面)に配置された白色層16cと、白色層16dの外側面(下側面)に配置された金属光沢調層16bと、金属光沢調層16bの外側面(下側面)に配置されたフィルム層16aとから構成される。
【0022】
白色層14c又は16cは、白色紙等から形成され、金属光沢調層14b又は16bの発色を高めるために設けられる。フィルム層14a又は16aは、透明なフィルムであり、撥水性を有するが、完全な防水性を備える必要はない。フィルム層14a又は16aは、好ましくは耐油性を備えることができる。
【0023】
金属光沢調層14b及び/又は16bは、金色、銅色、金属光沢を有する黄土色、又は金属光沢を有する山吹色を有する。金属光沢調層14b及び/又は16bは、例えば、非金属で金属光沢を有するパール顔料を用いることができる。パール顔料は、魚鱗薄、又は薄板状雲母粉若しくはガラス片を二酸化チタンで被覆した真珠光沢を有する粉末から構成される。なお、金属光沢調層14b及び/又は16bは、完全な金属光沢を有する必要はなく、くすんだ色調であっても金属光沢に類似する色に見えればよい。
【0024】
上述したように上面部14及び下面部16は同じ積層構造とすることができる。上面部14が、加工済み食品を支持する面を構成することができる。なお、下面部16の金属光沢調層16b及び白色層16dを省略することができる。
【0025】
第1実施形態に係る真空パック包装品100を
図3を用いて説明する。真空パック包装品100は、食品用台紙10と、食品用台紙10上に支持された加熱済み食品(例えば鰻蒲焼)20と、加熱済み食品20が食品用台紙10上に支持された状態で、加熱済み食品20及び食品用台紙10を収容して真空パックする透明樹脂製袋30と、食品用台紙10上で加熱済み食品20と共に真空パックされる、たれパック40とから構成される。
図3は、加熱済み食品20が食品用台紙10上に支持された状態で、加熱済み食品20は、台紙の外周縁からはみ出ないように真空パックされている。
【0026】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る食品用台紙10Aを
図4を用いて説明する。
図4に示すように、食品用台紙10Aは、平面視で矩形状(長方形状)に形成されている。この食品用台紙10Aは、鰻蒲焼の切り身を支持する大きさ(例えば、長辺10cm、短辺13.5cm)に形成されている。食品用台紙10の積層構造は、
図2に示した第1実施形態の積層構造と同じとすることができる。
【0027】
第2実施形態に係る真空パック包装品100Aを
図5を用いて説明する。真空パック包装品100Aは、
図5に示すように、食品用台紙10Aと、食品用台紙上10に支持された加熱済み食品(例えば鰻蒲焼の切り身)20Aと、加熱済み食品20Aが食品用台紙10上に支持された状態で、加熱済み食品20A及び食品用台紙10を収容して真空パックする透明樹脂製袋30と、食品用台紙10A上で加熱済み食品20Aと共に真空パックされるたれパック40とから構成される。
【0028】
第1又は第2実施形態において、鰻蒲焼の下に食品用台紙10又は10Aを置いた状態で、真空パック包装品100又は100Aを構成することにより、冷凍鰻蒲焼が輸送時に破損する可能性を低下させるだけでなく、冷凍鰻蒲焼が真空パック包装品100A内で食品用台紙10又は10Aに支えられることで、冷凍鰻蒲焼を透明樹脂製袋30に袋詰めする際に発生する鰻蒲焼の形崩れが無くなり、焼き上がり時のふっくらとした形が残った状態で真空パックすることができる。さらに、食品用台紙10又は10Aに、金属光沢調層を設けたことにより、商品としての見栄え(視認性)を向上し、購買意欲を高めることもできる。
【0029】
[本実施形態の特徴及び従来品との相違]
以下、本実施形態の食品用台紙及び真空パック包装品に関して、その特徴及び従来品との相違点を説明する。
【0030】
[1]食品用台紙
食品用台紙10の基材を紙製にすることにより、添加物が含まれる樹脂に比べて安全性を確保すると共に、上面部及び下面部に耐久性・耐水性のある素材を選択した。
【0031】
なお、国内で製造加工しているシメサバに関しては、シメサバを敷板で支持した状態で、真空パックされた商品が販売されている。しかし、この商品は、プラスチック製の敷板を使用しており、シメサバは重さ110g~140g程、敷板の長辺は25cm前後であるのに対して、第1実施形態が想定する、一匹の鰻蒲焼の重量は160g~330gとシメサバの1.5倍~3倍の重さがあるだけでなく、敷板の長辺も少なくとも30cmは必要となる。そこで、第1実施形態の食品用台紙10は、上述した所定の坪量及び所定の厚さを備えることにより、プラスチック製の敷板と比較して、台紙が変形することなく一匹の鰻蒲焼の重量を支持できるような剛性を提供することができる。
【0032】
[2]高熱殺菌に耐えられる紙製の台紙
従来はプラスチックの敷板を予定していたが、真空パック包装品を加熱殺菌すると敷板が湾曲するため、上述した所定の厚さ及び/又は所定の坪量の板紙を用いて高熱にも耐えられるようにした。また、製品殺菌の際に熱を加える際に、板の強度が低下しないように、上述した所定の厚さ及び所定の坪量を有する紙板を何回もテストして採用した。なお、板紙が厚い場合、強度は問題ないが、製品重量が重くなり過ぎるので、上述した所定の厚さの板紙が好ましい。更に、製品チェックで金属探知機を通すため、金属探知機に反応しない金属を含まない金属光沢調層を備えた台紙を開発した。
【0033】
[3]ふっくらした外観
第1及び第2実施形態の真空パック包装品においては、鰻蒲焼を袋に入れて真空パックされた状態で、焼き上がりのふっくらした外観を残せるようになった。敷板を下に置くことで、真空パック包装品の製造時に袋から脱気(或いは真空包装)した際に、鰻蒲焼の形が崩れたり偏ったりせず、焼き上がり時に見られる蒲焼表面のふっくら・ふんわりとした膨らみがそのまま残り、見た目にも美味しさ感が出るようになった。
【0034】
第2実施形態の真空パック包装品100A(
図6(a))は、本出願人による従来品である、台紙無しの鰻蒲焼真空パック100B(
図6(b))と比較して、同じサイズの鰻蒲焼で測定した。真空パック包装品100A内の鰻蒲焼20Aは、従来品の真空パック包装品100B内の蒲焼20Bと比較して、25%~35%の厚みが増した(膨らんだ)。これによって、真空パック包装品100A内の鰻蒲焼20Aは、従来品100B内の蒲焼20Bと比較してよりふっくらした状態で真空パックされていることが確認できた。なお、第1実施形態の真空パック包装品100も同様の事実が確認されている。
【0035】
従来品は、製造工程(脱気・真空時)に鰻蒲焼が脱気する方向に引き寄せられたりして、形が崩れたり、曲がったり、特定の部分が押しつぶされてしまうという不都合が生じていたが、第1及び第2実施形態の真空パック包装品100、100Aであれば、台紙10、10Aによってこのような不備を生じることなく真空パックが可能となった。
【0036】
[4]販売店での省力化が実現
日本の販売店において、第1及び第2実施形態の真空パック包装品100、100Aを販売する際には、冷蔵ケースに置いて販売されるが、鰻蒲焼が台紙10、10Aに支持されているため、冷蔵状態にしても鰻蒲焼の形が曲がったりせず、真空パック包装品そのままで、売り場に並べられるという販売店での省力化も実現することができる。これに対して、従来は、冷凍された鰻蒲焼を輸送用袋又は容器から取り出して、鰻蒲焼の形をととえて販売するために、販売店の調理場で改めてトレー等に乗せた状態で、ラップをかけて販売をしていた。このように、従来品は、販売の際には人手による再包装が必要となっていた。
【0037】
[5]消費者が家庭でまな板を使わずに鰻蒲焼を切ることが可能になった
更に、第1及び第2実施形態の真空パック包装品100、100Aにおいて、ある程度の剛性(上述した所定の厚さ及び/又は所定の坪量)のある紙製の台紙(敷板)10.10Aが同梱されることで、消費者にとっても購入後に、まな板を使わずに、この台紙の上で台紙を切断することなく、鰻蒲焼を切って食べられるという効果も生る。
【0038】
日本ではシメサバの真空パック商品のように、一見すると第1及び第2実施形態の真空パック包装品100、100Aと同様に台紙(敷板)を有する食品の真空パック商品が見られるが、日本のシメサバで使われているのはプラスチック製で、包丁で切るとプラスチックの板も切ってしまう事になってしまい、衛生面安全面から包丁で直接切ることは推奨できない。
【符号の説明】
【0039】
10 台紙
12 板紙
14 上面部
14a 透明フィルム層
14b 金属光沢調層
14c 白色層
14d 接着層
16 下面部
16a 透明フィルム層
16b 金属光沢調層
16c 白色層
16d 接着層
20 加熱済み食品
30 真空パック用袋
40 たれパック
100 真空パック包装品
30A 真空パック用袋
100A 真空パック包装品
【要約】
【課題】 熱済み食品が衝撃や振動等で破損することがない、食品用台紙、及び加熱済み食品の真空パック包装品を提供する。
【解決手段】 食品入り真空パック包装品100は、食品用台紙10と、食品用台紙上に支持された加熱済み食品20と、加熱済み食品20が食品用台紙10上に支持された状態で、加熱済み食品20及び食品用台紙10を収容して真空パックする透明樹脂製袋30とから構成される。台紙10は、矩形状の板紙と、光沢及び撥水性層を有する透明な上面及び下面と、上面及び下面に設けられた金属光沢調層を備え、食品用台紙10の板紙の秤量は、960~1440g/m
2である。
【選択図】
図3