(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】眼科撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61B3/10 300
(21)【出願番号】P 2016222092
(22)【出願日】2016-11-15
【審査請求日】2019-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 僚一
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-259675(JP,A)
【文献】特開平04-336028(JP,A)
【文献】特開2014-226156(JP,A)
【文献】特開2003-339643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/12
3/13-3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の眼底を光で走査して画像を形成する眼科撮影装置であって、
直交ニコル状態及び平行ニコル状態の双方でデータを収集することが可能な光学系と、
前記直交ニコル状態の前記光学系により収集された第1データに基づいて第1画像を形成し、前記平行ニコル状態の前記光学系により収集された第2データに基づいて第2画像を形成する画像形成部と、
前記第1画像における第1中央領域を特定し、
前記第1中央領域に対応する前記第2画像
の領域である第2中央領域を特定する部分領域特定部と、
前記第1画像において前記第1中央領域を除いた領域である第1周辺領域と、前記第2画像において前記第2中央領域を除いた領域である第2周辺領域とを加算平均合成する加算平均合成部と、
前記第1中央領域と、前記加算平均合成部により前記第1周辺領域と前記第2周辺領域とを加算平均合成して形成された加算平均合成画像との合成画像を形成する画像合成部と
を備える眼科撮影装置。
【請求項2】
前記光学系は、前記直交ニコル状態でのデータの収集と、前記平行ニコル状態でのデータの収集とを順次に行う
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科撮影装置。
【請求項3】
前記光学系は、前記直交ニコル状態でのデータの収集と、前記平行ニコル状態でのデータの収集とを並行して行う
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科撮影装置。
【請求項4】
前記光学系は、直線偏光の光で前記眼底を走査する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の眼科撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼科撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科分野において画像診断は重要な位置を占め、近年では走査型レーザー検眼鏡(SLO)の活用が進んでいる。SLOは、共焦点光学系を利用して微弱なレーザー光で眼底を高速でスキャンすることにより画像を形成する装置であり、眼疾患のスクリーニングや診断に利用されている。
【0003】
SLO画像には、各種のノイズ光に起因するゴースト(フレア)が混入する。ゴーストを生じるノイズ光としては、対物レンズ等の光学素子からの反射光や、角膜等の眼組織からの反射光がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、SLO画像からゴーストを除去するための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る眼科撮影装置の第1の態様は、被検眼の眼底を光で走査して画像を形成する眼科撮影装置であって、直交ニコル状態及び平行ニコル状態の双方でデータを収集することが可能な光学系と、前記直交ニコル状態の前記光学系により収集された第1データに基づいて第1画像を形成し、前記平行ニコル状態の前記光学系により収集された第2データに基づいて第2画像を形成する画像形成部と、前記第1画像における第1中央領域を特定し、前記第1中央領域に対応する前記第2画像の領域である第2中央領域を特定する部分領域特定部と、前記第1画像において前記第1中央領域を除いた領域である第1周辺領域と、前記第2画像において前記第2中央領域を除いた領域である第2周辺領域とを加算平均合成する加算平均合成部と、前記第1中央領域と、前記加算平均合成部により前記第1周辺領域と前記第2周辺領域とを加算平均合成して形成された加算平均合成画像との合成画像を形成する画像合成部とを備える。
実施形態に係る眼科撮影装置の第2の態様は、前記光学系が前記直交ニコル状態でのデータの収集と前記平行ニコル状態でのデータの収集とを順次に行うことを特徴とする。
実施形態に係る眼科撮影装置の第3の態様は、前記光学系が前記直交ニコル状態でのデータの収集と前記平行ニコル状態でのデータの収集とを並行して行うことを特徴とする。
実施形態に係る眼科撮影装置の第4の態様は、前記光学系が直線偏光の光で前記眼底を走査することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、ゴーストを除去するための新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図3】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図4A】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図4B】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図5】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図6】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図7】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図8】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図9】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図10】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図11】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する動作の一例の概略を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図13】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図14】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図15】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図16】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図17】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図18】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図19】実施形態に係る眼科撮影装置が実行する動作の一例の概略を示すフローチャートである。
【
図20】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図21】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
眼科撮影装置の例示的な実施形態を以下に説明する。引用文献の内容や公知技術を実施形態に援用することができる。
【0010】
実施形態に係る眼科撮影装置は、眼底を光ビームでスキャンして画像を形成するSLOである。実施形態に係る眼科撮影装置は、SLO機能のみを備えてもよいし、他の機能を更に備えてもよい。他の機能は、任意の撮影機能又は測定機能であってよい。典型的な実施形態において、眼科撮影装置は、SLO機能と光コヒーレンストモグラフィ(OCT)機能とを備えていてよい。
【0011】
以下、特に明記しない限り、対物レンズの光軸に沿う方向をZ方向とし、これに直交する所定方向をX方向とし、X方向及びZ方向の双方に直交する方向をY方向とする。典型的には、被検者を基準とした左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とすることができる。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元直交座標系を定義する。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る眼科撮影装置は、被検眼の眼底を光で走査し(走査系)、この光の被検眼からの戻り光のうち互いに異なる第1偏光成分と第2偏光成分とを順次に検出し(検出系)、第1偏光成分の検出結果に基づいて第1画像を形成し、第2偏光成分の検出結果に基づいて第2画像を形成し、第1画像と第2画像との合成画像を形成する。典型的な例においては第1偏光成分の偏光軸と第2偏光成分の偏光軸とが互いに直交するが、実施形態はこれに限定されない。
【0013】
第1実施形態では、偏光軸(偏光方向)が異なる直線偏光の光で眼底を順次に走査する。すなわち、走査系は、第1偏光軸の直線偏光の光である第1走査光で眼底を走査し、且つ、第1偏光軸と異なる第2偏光軸の直線偏光の光である第2走査光で眼底を走査する。検出系は、第1走査光の戻り光の所定の偏光成分を第1偏光成分として検出し、且つ、第2走査光の戻り光の所定の偏光成分を第2偏光成分として検出する。典型的な例においては第1偏光軸と第2偏光軸とは直交するが、実施形態はこれに限定されない。また、第1偏光成分として検出される所定の偏光成分の偏光軸と、第2偏光成分として検出される所定の偏光成分の偏光軸とは、任意であってよい。
【0014】
更に、第1実施形態では、直線偏光の光を出力する光源部の少なくとも一部を、走査系の光軸を中心に回転することにより、第1走査光と第2走査光とを切り替える。光源部は、光を発生する光源を少なくとも含む。光源から出力される光が直線偏光である場合、光源部は、例えば、この光源のみを含む。光源部が光源のみを含む場合、第1走査光と第2走査光とを切り替えるために光源部全体(つまり光源)が回転される。他方、光源から出力される光が直線偏光でない場合、この光を直線偏光に変換するための光学素子(偏光子)も光源部に含まれる。この場合、第1走査光と第2走査光とを切り替えるために少なくとも偏光子が回転される。
【0015】
第1実施形態において、合成画像を形成する処理は、第1画像の少なくとも一部である第1領域と、この第1領域に対応する第2画像の領域である第2領域とを加算平均合成する処理を含んでよい。また、合成画像を形成する処理は、第1画像(又は第2画像)の一部である第1部分領域と、この第1部分領域に対応する第2画像(又は第1画像)の一部である第2部分領域とを特定する処理を含んでよい。
【0016】
<構成>
第1実施形態に係る眼科撮影装置の構成の例を
図1~
図3に示す。
図1は、光学系の例を表す。
図2は、走査系の光路と検出系の光路とを合成する光学素子(光路合成部材)の例を表す。
図3は、処理系の例を示す。
【0017】
<光学系>
図1に示す光学系は、被検眼Eの眼底Efを光ビームでスキャンしてデータを収集する。そのために、光学系は、光ビームで眼底Efをスキャンする走査系と、被検眼Eからの光ビームの戻り光を検出する検出系とを含む。検出系からの出力(つまり、光学系により収集されたデータ)に基づいて眼底Efの画像が構築される。
【0018】
他の実施形態において、このようなSLO光学系に加えて、OCTスキャンを行うためのOCT光学系や、前眼部を観察・撮影するための前眼部撮影系や、眼底Efに固視標を投影する固視系や、アライメント指標やフォーカス指標を投影する指標投影系などが設けられていてもよい。X方向、Y方向及びZ方向に光学系を移動可能であってよい。それにより、光学系のアライメントやトラッキングを行うことができる。
【0019】
図1に概略を示す光学系において、走査系は、第1光源1Aと、第1コリメートレンズ2Aと、第1偏光子3Aと、第2光源1Bと、第2コリメートレンズ2Bと、第2偏光子3Bと、ダイクロイックミラー(又はハーフミラー等)4と、光路合成部材5と、レンズ6と、反射ミラー7と、レンズ8と、光スキャナ9と、リレーレンズ10と、対物レンズ11とを含む。
【0020】
第1光源1A及び/又は第2光源1Bは、走査系(眼科撮影装置)に含まれない外部光源であってもよい。この場合、例えば、第1光源1A(又は第2光源1B)により発生された光は、図示しない光ファイバを通じて走査系に導かれる。第1コリメートレンズ2A、第1偏光子3A、第2コリメートレンズ2B、第2偏光子3B等についても同様に、走査系の外部に設けられてもよい。
【0021】
光源の個数は2つに限定されず、1以上の任意の個数であってよい。また、光源から出力される光の波長も任意である。例えば、光源は、任意の波長帯の赤外光源、及び、任意の波長帯の可視光源の少なくとも一方を含んでよい。
【0022】
一例において、第1光源1Aは、波長532nmの光を出力する可視光源であり、第2光源1Bは、波長800nmの光を出力する近赤外光源である。第1光源1A及び第2光源1Bのそれぞれは、例えば、レーザーダイオード、スーパールミネッセントダイオード、レーザードリブンライトソース等を含む。アライメントが好適な状態において、第1光源1A及び第2光源1Bのそれぞれは、眼底Efに対して光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置される。
【0023】
第1コリメートレンズ2Aは、第1光源1Aから出力された光を平行光束にする。第1偏光子3Aは、第1コリメートレンズ2Aにより生成された平行光束から、所定の偏光軸の直線偏光の光を生成する。生成された直線偏光の光(走査光)は、ダイクロイックミラー4に導かれる。第1光源1Aからダイクロイックミラー4までの光路(第1走査光路)を符号OP1で示す。なお、第1光源1Aが直線偏光の光を出力する場合、第1偏光子3Aを設ける必要はない。
【0024】
同様に、第2コリメートレンズ2Bは、第2光源1Bから出力された光を平行光束にする。第2偏光子3Bは、第2コリメートレンズ2Bにより生成された平行光束から、所定の偏光軸の直線偏光の光を生成する。生成された直線偏光の光(走査光)は、ダイクロイックミラー4に導かれる。第2光源1Bからダイクロイックミラー4までの光路(第2走査光路)を符号OP2で示す。なお、第2光源1Bが直線偏光の光を出力する場合、第2偏光子3Bを設ける必要はない。
【0025】
ダイクロイックミラー4は、第1走査光路OP1と第2走査光路OP2とを合成する。換言すると、ダイクロイックミラー4は、第1走査光路OP1から入射する走査光を透過させ、第2走査光路OP2から入射する走査光を反射する。逆に、第1走査光路OP1から入射する走査光を反射し、第2走査光路OP2から入射する走査光を透過するようなダイクロイックミラー(又はハーフミラー等)を用いた構成を適用することもできる。ダイクロイックミラー4と光路合成部材5との間の光路(つまり、ダイクロイックミラー4により形成される第1走査光路OP1と第2走査光路OP2との合成光路)を走査光路OP3と呼ぶ。
【0026】
本例では、ダイクロイックミラー4は、第1走査光路OP1の光軸と第2走査光路OP2の光軸とを合成する。換言すると、ダイクロイックミラー4は、第1走査光路OP1と第2走査光路OP2とを同軸で合成する。第1偏光子3Aを通過した走査光は、第1走査光路OP1の光軸上及びその近傍を進行し、ダイクロイックミラー4を透過し、走査光路OP3の光軸上及びその近傍を進行して光路合成部材5に投射される。同様に、第2偏光子3Bを通過した走査光は、第2走査光路OP2の光軸上及びその近傍を進行し、ダイクロイックミラー4により反射され、走査光路OP3の光軸上及びその近傍を進行して光路合成部材5に投射される。
【0027】
光路合成部材5は、走査系の光路と検出系の光路とを合成する。本例では、光路合成部材5は、走査光路OP3と後述の検出光路OP5とを合成する。光路合成部材5は、走査光路OP3から入射する走査光を反射して、被検眼Eに向かう光路OP4に入射させる。更に、光路合成部材5は、光路OP4から入射する被検眼Eからの戻り光を透過させて、検出光路OP5に入射させる。このような光路合成部材5の例を
図2に示す。なお、他の実施形態において、光路合成部材は、走査光を透過させ、且つ、被検眼Eからの戻り光を反射するよう構成及び/又は配置されてもよい。
【0028】
図2に示す光路合成部材5は、遮蔽部5aと、透過部5bと、反射部5cとを備える。本例において、反射部5cは円板状に形成され、且つ、透過部5bは円環状に形成されているが、これらは他の形状であってもよい。
【0029】
反射部5cは、走査光路OP3から入射する走査光を被検眼Eに導くために反射する。反射部5cは、例えば、反射ミラーであり、又は、光反射作用を有する薄膜、コーティング等であってよい。円板状の反射部5cの中心は、実質的に、走査光路OP3の光軸上に配置される。反射部5cは、例えば、走査光のビーム断面の全体を反射できるようなサイズに設計される。走査光路OP3の光軸上及びその近傍を進行する走査光は、光路合成部材5により反射され、光路OP4の光軸上及びその近傍を進行する。
【0030】
透過部5bは、前述したように反射部5cの周囲に設けられており、光路OP4から入射する被検眼Eからの戻り光を、検出系の光検出器16A、16B(後述)に導くために透過させる。透過部5bは、例えば、透光性を有する材料で形成され、又は、円環状の開口として形成されてよい。透過部5bは、例えば、被検眼Eからの戻り光のビーム断面の所定領域を透過させるようなサイズに設計される。被検眼Eからの戻り光には、光学素子からの反射光や眼組織からの反射光等のノイズ光が混入しており、ノイズ光は光路OP4の光軸上及びその近傍を進行する。このノイズ光の少なくとも一部が十分に遮蔽されるように、透過部5bの内側の円のサイズを設計することができる。
【0031】
遮蔽部5aは、遮光性を有する材料で形成され、又は、遮光作用を有する薄膜、コーティング等であってよい。
【0032】
典型的には、光路合成部材5は、ガラスや合成樹脂等からなる透明な基板に、遮蔽部5aとして機能する薄膜等と、反射部5cとして機能する薄膜等とを形成することによって作成された部材であってよい。他の例において、光路合成部材5は、反射部5cとして機能する反射部材と、透過部5bとして機能する透光部材と、遮蔽部5aとして機能する遮光部材とを組み合わせることによって作成された部材であってよい。なお、これらは例示であり、光路合成部材5は、走査系の光路と検出系の光路とを合成可能な任意の構成を備えていてよい。
【0033】
前述したように、他の実施形態において、走査系の光路と検出系の光路とを合成する光路合成部材は、走査光を透過させ、且つ、被検眼Eからの戻り光を反射するよう構成されてよい。この場合、例えば、
図2において符号5bで示す領域が反射部として構成され、且つ、符号5aで示す領域が透光部として構成された光路合成部材を用いることが可能である。
【0034】
光路合成部材5を経由して光路OP4に入射した走査光(平行光束)は、レンズ6により収束光となり、反射ミラー7により反射され、レンズ8により屈折され、光スキャナ9に導かれる。
【0035】
光スキャナ9は、走査光を2次元的に偏向する。例えば、光スキャナ9は、X方向に光を偏向する第1光スキャナと、Y方向に光を偏向する第2光スキャナとを含む。典型的には、第1光スキャナ及び第2光スキャナの一方は低速スキャナ(ガルバノミラー等)であり、他方は高速スキャナ(レゾナントミラー、ポリゴンミラー、MEMSミラー等)である。アライメントが好適な状態において、光スキャナ9(例えば、第1光スキャナの反射面、第2光スキャナの反射面、又は、第1光スキャナと第2光スキャナとの間の所定位置)は、被検眼Eの瞳孔に対して光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置される。それにより、被検眼Eの瞳孔内の点(又はその近傍)を中心に走査光を振ることができ、眼底Efの広い範囲をスキャンすることが可能になる。
【0036】
光スキャナ9を経由した走査光は、リレーレンズ10により屈折され、対物レンズ11によって被検眼Eに結像される。アライメントが好適である場合、走査光は、例えば、眼底Efの表面に結像される。また、光路OP4の光軸に沿った方向に対物レンズ11を移動することにより、走査系及び検出系のフォーカス調整(及び視度補正)を行うことができる。なお、フォーカス調整を行うための専用のレンズを設けることもできる。
【0037】
走査光は、眼底Efにおいて反射、散乱される。被検眼Eから出射した光には、眼底Efの表面からの反射光だけでなく、眼底Efにおける散乱光、水晶体からの反射光、角膜表面からの反射光などが含まれる。被検眼Eから出射した光には、例えば、対物レンズ11の後面(リレーレンズ10側の面)で反射された走査光の一部が更に混入する。このような戻り光は、走査光とは逆向きに光路OP4を進行し、光路合成部材5に導かれる。
【0038】
光路合成部材5に投射された戻り光の一部は、円環状の透過部5bを通って検出光路OP5に入射する。このとき、光路OP4の光軸上及びその近傍領域に含まれるノイズ光(水晶体、角膜、対物レンズ11等からの反射光など)は、反射部5cの裏面(走査光を反射する面の反対側の面)に投射されるので、検出光路OP5に入射しない。つまり、被検眼Eからの戻り光に含まれるノイズ光(の少なくとも一部)が光路合成部材5によって除去される。
【0039】
検出光路OP5に入射した戻り光は、ダイクロイックミラー(又はハーフミラー等)12に投射される。ダイクロイックミラー12は、検出光路OP5を第1検出光路OP6と第2検出光路OP7とに分割する。第1走査光路OP1からの走査光で眼底Efを走査する場合、その戻り光はダイクロイックミラー12を透過して第1検出光路OP6に入射する。他方、第2走査光路OP2からの走査光で眼底Efを走査する場合、その戻り光はダイクロイックミラー12により反射されて第2検出光路OP7に入射する。
【0040】
第1検出光路OP6に入射した戻り光は、第1直線偏光子13Aに導かれる。第1直線偏光子13Aは、戻り光を直線偏光の光に変換する光学素子、つまり、戻り光に含まれる所定の偏光成分を抽出する光学素子である。第1直線偏光子13Aとしては、例えば、偏光ビームスプリッター又は偏光板が用いられる。
【0041】
第1直線偏光子13Aにより生成された直線偏光の光は、第1集光レンズ14Aにより屈折されて、第1共焦点絞り15Aに投射される。アライメントが好適な状態において、第1共焦点絞り15Aは、眼底Efに対して光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置される。第1共焦点絞り15Aは、直線偏光の光に含まれるノイズ光(眼底散乱光等)の少なくとも一部を遮断し、眼底Efの表面からの反射光を選択的に通過させるように作用する。
【0042】
第1共焦点絞り15Aを通過した直線偏光の光は、第1光検出器16Aによって検出される。第1光検出器16Aは、例えば、アバランシェフォトダイオード又は光電子増倍管を含む。
【0043】
一方、第2検出光路OP7に入射した戻り光は、第2直線偏光子13Bに導かれる。第2直線偏光子13Bは、戻り光を直線偏光の光に変換する光学素子であり、例えば偏光ビームスプリッター又は偏光板である。
【0044】
第2直線偏光子13Bにより生成された直線偏光の光は、第2集光レンズ14Bにより屈折されて、第2共焦点絞り15Bに投射される。アライメントが好適な状態において、第2共焦点絞り15Bは、眼底Efに対して光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置される。第2共焦点絞り15Bは、直線偏光の光に含まれるノイズ光(眼底散乱光等)の少なくとも一部を遮断し、眼底Efの表面からの反射光を選択的に通過させるように作用する。
【0045】
第2共焦点絞り15Bを通過した直線偏光の光は、第2光検出器16Bによって検出される。第2光検出器16Bは、例えば、アバランシェフォトダイオード又は光電子増倍管を含む。
【0046】
本例において、検出系は、対物レンズ11と、リレーレンズ10と、光スキャナ9と、レンズ8と、反射ミラー7と、レンズ6と、光路合成部材5と、ダイクロイックミラー12と、第1直線偏光子13Aと、第1集光レンズ14Aと、第1共焦点絞り15Aと、第1光検出器16Aと、第2直線偏光子13Bと、第2集光レンズ14Bと、第2共焦点絞り15Bと、第2光検出器16Bとを含む。
【0047】
<処理系>
第1実施形態に係る眼科撮影装置の処理系の構成例を
図3に示す。処理系は、各種のデータ処理(信号処理、画像処理、演算、制御、記憶等)を実行するための1以上のプロセッサを含む。
【0048】
なお、「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているコンピュータプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0049】
第1実施形態に係る眼科撮影装置の処理系は、第1光源1A、第2光源1B、光スキャナ9、第1光検出器16A、第2光検出器16Bなど、
図1に示す光学系に含まれる要素の一部を含む。更に、処理系は、走査光回転駆動部30と、制御部100と、画像形成部110と、データ処理部120と、ユーザインターフェイス部130とを含む。
【0050】
<走査光回転駆動部30>
前述したように、眼底Efを走査するための走査光は直線偏光である。走査光回転駆動部30は、走査光の偏光方向(偏光軸)を回転するために走査系の光学素子を駆動する。本例では、少なくとも第1偏光子3Aが回転される。その回転可能範囲は任意であってよく、例えば90度である。
【0051】
制御部100(主制御部101)の制御の下に、又は、手動での操作に応じて、走査光回転駆動部30は、第1偏光子3Aを第1回転状態と第2回転状態とに切り替えることができる。それにより、第1偏光軸の直線偏光の光である第1走査光と、第1偏光軸と異なる第2偏光軸の直線偏光の光である第2走査光とを、選択的に生成することができる。
【0052】
同様に、第2偏光子3Bも走査光回転駆動部30により回転される。第2偏光子3Bを第1回転状態と第2回転状態とに切り替えることにより、第1偏光軸の直線偏光の光である第1走査光と、第1偏光軸と異なる第2偏光軸の直線偏光の光である第2走査光とを、選択的に生成することができる。
【0053】
第1偏光子3Aが設けられない場合、つまり、第1光源1Aが直線偏光の光を発生する場合、走査光回転駆動部30は、第1光源1Aを回転させるように構成される。この場合、制御部100(主制御部101)の制御の下に、又は、手動での操作に応じて、走査光回転駆動部30は、第1光源1A(及び第1コリメートレンズ2A)を第1回転状態と第2回転状態とに切り替えることができる。それにより、第1偏光軸の直線偏光の光である第1走査光と、第1偏光軸と異なる第2偏光軸の直線偏光の光である第2走査光とを、選択的に生成することができる。第2偏光子3Bが設けられない場合についても同様である。
【0054】
走査光回転駆動部30は、回転対象(第1偏光子3A等の光学素子、第1光源1A等の光源など)を回転させるための任意の構成を有する。典型的な例において、走査光回転駆動部30は、制御部100(主制御部101)からの制御信号にしたがって駆動力を発生するアクチュエータと、このアクチュエータから発生された駆動力にしたがって回転対象を回転させる機構とを含む。アクチュエータは、例えば、パルスモータである。
【0055】
<制御部100>
制御部100は、眼科撮影装置の各部を制御するための構成を備える。制御部100は、主制御部101と、記憶部102とを含む。主制御部101の機能は、1以上のプロセッサ等によって実現される。記憶部102には、各種のデータ、各種の情報、各種のコンピュータプログラムなどが記憶される。記憶部102は、半導体メモリ、磁気記憶装置などを含む。
【0056】
眼科撮影装置が実行する処理は、ハードウェア資源(プロセッサ等)とソフトウェア(コンピュータプログラム等)との協働によって実現される。また、眼科撮影装置に設けられた各種の機構の少なくとも一部にはアクチュエータがそれぞれ設けられている。主制御部101は、それぞれのアクチュエータに向けて制御信号を送る。
【0057】
<主制御部101>
主制御部101は、プロセッサを含み、各種の制御信号の生成及び送信を行う。それにより、眼科撮影装置の各部が制御される。例えば、主制御部101は、第1光源1A、第2光源1B、光スキャナ9、第1光検出器16A、第2光検出器16B、走査光回転駆動部30等を制御する。
【0058】
第1光源1A及び第2光源1Bの制御には、点灯、消灯、光量調整などが含まれる。光スキャナ9の制御には、走査位置の制御、走査範囲の制御、走査パターンの制御、走査速度の制御などが含まれる。第1光検出器16A及び第2光検出器16Bの制御には、露光調整、ゲイン調整、検出レート(検出反復周波数)調整などが含まれる。
【0059】
図示は省略するが、眼科撮影装置は、X方向、Y方向及びZ方向に光学系を移動するための光学系移動機構を備えていてよい。光学系移動機構の制御は、アライメント等において実行される。
【0060】
SLO撮影を行うとき、主制御部101は、第1光源1A(又は第2光源1B)を所定のタイミングで点灯(点滅)させつつ、所定の走査パターン(例えばラスタースキャン)にしたがって光スキャナ9を制御する。
【0061】
<記憶部102>
記憶部102には、眼科撮影装置により利用される情報、データ、コンピュータプログラム等が記憶される。また、記憶部102には、眼科撮影装置により取得されたデータや、外部から取得したデータが格納される。
【0062】
<画像形成部110>
画像形成部110は、光学系により収集されたデータに基づいて眼底Efの画像を形成する。より具体的には、画像形成部110は、従来のSLOと同様に、第1光検出器16A(又は第2光検出器16B)から入力される検出信号と、制御部100から入力される画素位置信号とに基づいて、画像を形成する。
【0063】
前述したように、第1実施形態では、第1偏光子3A等を回転することにより、第1偏光軸の直線偏光の光である第1走査光でのスキャンと、第1偏光軸と異なる第2偏光軸の直線偏光の光である第2走査光でのスキャンとが切り替えられる。
【0064】
第1走査光で眼底Efをスキャンすることにより収集されたデータに基づいて、画像形成部110は第1画像を形成する。つまり、第1走査光の被検眼Eからの戻り光の所定の偏光成分である第1偏光成分の検出データに基づいて、画像形成部110は第1画像を形成する。
【0065】
更に、第2走査光で眼底Efをスキャンすることにより収集されたデータに基づいて、画像形成部110は第2画像を形成する。つまり、第2走査光の被検眼Eからの戻り光の所定の偏光成分である第2偏光成分の検出データに基づいて、画像形成部110は第2画像を形成する。
【0066】
本例では、第1直線偏光子13A(第2直線偏光子13B)が回転されないので、第1光検出器16A(第2光検出器16B)により検出される光の偏光軸は、第1走査光の場合と第2走査光の場合とで同じである。しかし、第1走査光の偏光軸(第1偏光軸)と第2走査光の偏光軸(第2偏光軸)とは互いに異なるので、第1走査光の場合における検出データ(第1偏光成分)と第2走査光の場合における検出データ(第2偏光成分)とは互いに異なる。なお、第1走査光の場合と第2走査光の場合とで、第1直線偏光子13A(第2直線偏光子13B)の回転状態を切り替えるようにしてもよい。つまり、第1走査光の場合と第2走査光の場合とで、偏光軸が互いに異なるような第1偏光成分と第2偏光成分とを検出するようにしてもよい。
【0067】
典型的な例において、走査光の偏光の向きと第1直線偏光子13A(第2直線偏光子13B)の偏光の向きとの関係を、直交ニコル状態と平行ニコル状態とに切り替えることができる。例えば、第1走査光の場合には、第1走査光の偏光軸(第1偏光軸)と、第1直線偏光子13A(第2直線偏光子13B)の偏光軸とが互いに直交するように、第1偏光子3A(第2偏光子3B)の回転状態と、第1直線偏光子13A(第2直線偏光子13B)の配置とが決定される(直交ニコル状態)。更に、第2走査光の場合には、第2走査光の偏光軸(第2偏光軸)と、第1直線偏光子13A(第2直線偏光子13B)の偏光軸とが互いに平行であるように、第1偏光子3A(第2偏光子3B)の回転状態と、第1直線偏光子13A(第2直線偏光子13B)の配置とが決定される。
【0068】
<データ処理部120>
データ処理部120は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部110又は他の装置により形成された画像データに対する処理がある。この処理の例として、各種の画像処理や、画像に対する解析処理や、画像データに基づく画像評価などの診断支援処理がある。
【0069】
第1実施形態において、データ処理部120は、画像形成部110により形成された第1画像と第2画像との合成画像を形成する。そのために、データ処理部120は、部分領域特定部121と、加算平均合成部122と、合成処理部123とを含む。
【0070】
以下、典型的な例として、第1走査光の場合には直交ニコル状態が適用され、且つ、第2走査光の場合には平行ニコル状態が適用される場合について説明する。しかし、第1実施形態におけるSLO撮影の態様は、これに限定されない。他の態様の場合においても以下と同様の処理を適用することが可能である。
【0071】
直交ニコル状態で得られた画像(第1画像)の例を
図4Aに示す。平行ニコル状態で得られた画像(第2画像)の例を
図4Bに示す。
図4Aに示すように、直交ニコル状態で得られた第1画像G1には、眼(主として角膜と網膜神経線維層)の偏光特性の影響により、画像の周辺部分に双曲線状の暗部領域(信号を取得できない部分)が生じる。
【0072】
一般に、この暗部領域に相当する部位からの戻り光の偏光軸は、対物レンズによる反射光の偏光軸と実質的に平行である。実際、
図4Bに示す第2画像G2には、対物レンズによる反射光(画像中央部の明るい領域)と、第1画像G1中の双曲線状の暗部領域に相当する部位の画像とが描出されている。なお、第1画像G1に描出されている眼底Efの部位は、第2画像G2には描出されていない(つまり、第2画像G2の暗部領域となっている)。
【0073】
したがって、直線偏光を用いる場合、対物レンズからの反射を防止しつつ眼底の走査領域全体からの信号を一度に取得することは困難である。そこで、詳細は後述するが、第1実施形態のように直線偏光を用いる実施形態では、対物レンズからの反射を含まない直交ニコル状態と、対物レンズからの反射を含む平行ニコル状態とでそれぞれ画像を取得し、これら画像を合成することによって、ゴーストが無く、且つ、眼底の走査領域全体が描出された画像を取得する。
【0074】
なお、第1画像G1と第2画像G2との合成画像を形成する前に、又は、合成画像を形成する処理において(つまり、合成画像を形成処理の一部として)、データ処理部120は、第1画像G1と第2画像G2との間の位置合わせ(レジストレーション)を行うことができる。
【0075】
レジストレーションは、例えば、次に示す処理を含む:(1)眼底Efの所定の特徴部位(視神経乳頭、黄斑、血管、疾患部、レーザー治療痕など)に相当する第1画像G1中の特徴領域を特定する処理;(2)同じ特徴部位に相当する第2画像G2中の特徴領域を特定する処理;(3)これら特徴領域を一致させるような第1画像G1と第2画像G2との間の変換パラメータ(例えば、アフィン変換行列)を求める処理。レジストレーションの手法はこれには限定されず、同じ対象を表現する複数の画像を位置合わせするための任意の公知の手法を適用することができる。
【0076】
第1画像G1を形成するための走査と、第2画像G2を形成するための走査との間の時間間隔が、被検眼Eの眼球運動に掛かる時間と比較して、十分に短い場合がある。例えば、後述の実施形態のように、偏光ビームスプリッターを用いて第1偏光成分と第2偏光成分とを同時に検出する場合がある。このような場合には、被検眼Eの眼球運動を実質的に無視できるので、第1画像G1の画素と第2画像G2の画素との間に自然な対応関係を設定することができる。
【0077】
<部分領域特定部121>
典型的な実施形態では、画像形成部110により形成された第1画像及び第2画像が、部分領域特定部121に入力される。部分領域特定部121は、第1画像及び第2画像のうちの一方の画像の一部である第1部分領域と、第1部分領域に対応する他方の画像の領域である第2部分領域とを特定する。
【0078】
図4Aに示す第1画像G1(直交ニコル状態で得られた画像)と、
図4Bに示す第2画像G2(平行ニコル状態で得られた画像)とが入力された場合について説明する。例えば、部分領域特定部121は、第2画像G2の中央部に描出されたゴースト(対物レンズ11からの反射等)を含むように部分領域(中央領域)H2を特定する。
【0079】
対物レンズ11からの反射に起因するゴーストが映り込む範囲(位置、大きさ等)は、眼科撮影装置の光学系の設計や実際の構造によって決定される。したがって、例えば、レイトレーシング等のシミュレーションや、実際の測定を行うことにより、中央領域H2の範囲を事前に設定することができる。部分領域特定部121は、第2画像G2における当該既定範囲を中央領域H2として特定することができる。なお、シミュレーションは、例えば、眼科撮影装置の設計時、製造時、出荷前、設置後などの任意のタイミングで行うことができる。また、実際の測定は、眼科撮影装置の製造時、出荷前、設置後などの任意のタイミングで行うことができる。
【0080】
部分領域特定部121は、更に、第2画像G2の中央領域H2に対応する第1画像G1の部分領域(中央領域)H1を特定する。1つの具体例において、部分領域特定部121は、前述の既定範囲に対応する第1画像G1の部分領域を中央領域H1として特定することができる。他の具体例において、部分領域特定部121は、特定された中央領域H2に対応する第1画像G1の部分領域をレジストレーションの結果に基づいて特定し、この部分領域を中央領域H1として設定することができる。
【0081】
<加算平均合成部122>
典型的な実施形態では、部分領域特定部121により実行された上記特定処理の結果が加算平均合成部122に入力される。部分領域特定部121が、第1画像及び第2画像のうちの一方の画像の一部である第1部分領域と、第1部分領域に対応する他方の画像の領域である第2部分領域とを特定した場合、加算平均合成部122は、第1部分領域と異なる第1画像の領域である第3部分領域と、第3部分領域に対応する第2画像の領域である第4部分領域とを加算平均合成する。
【0082】
図5に示す中央領域H2が第2画像G2から特定され、且つ、
図6に示す中央領域H1が第1画像G1から特定された場合について説明する。例えば、加算平均合成部122は、第1画像G1において中央領域H1を除いた部分領域(周辺領域)J1と(
図7を参照)、第2画像G2において中央領域H2を除いた部分領域(周辺領域)J2と(
図8を参照)を加算平均合成する。
【0083】
なお、上記の第3部分領域は、第1画像において第1部分領域と異なる領域であればよい。例えば、第3部分領域は、第1画像における第1部分領域の補集合でもよいし、この補集合の一部でもよいし、この補集合の少なくとも一部と第1部分領域の少なくとも一部との和集合でもよい。第4部分領域についても同様である。
【0084】
加算平均合成とは、対応する画素の値の平均値を求めて新たな画像(加算平均画像)の画素値に設定する処理である。
図7及び
図8に示す例では、周辺領域J1に含まれる画素群と、周辺領域J2に含まれる画素群との間には、レジストレーション等により、一対一の対応関係が与えられる。加算平均合成部122は、互いに対応付けられた周辺領域J1の画素(第1画素)及び周辺領域J2の画素(第2画素)の組み合わせのそれぞれについて、第1画素の値(輝度値等)と第2画素の値(輝度値等)とを加算し、それにより得られた和の値を2で除算する。それにより、当該第1画素及び当該第2画素に対応する加算平均画像の画素の値が得られる。
【0085】
このようにして得られる加算平均画像の例を
図9に示す。
図9に示す加算平均画像G3は、第1画像G1の周辺領域J1と第2画像G2の周辺領域J2とを加算平均合成して得られた画像である。前述したように、第1画像G1(周辺領域J1)中の暗部領域に対応する眼底Efの部位が第2画像G2(周辺領域J2)に描出されており、逆に、第2画像G2(周辺領域J2)中の暗部領域に対応する眼底Efの部位が第1画像G1(周辺領域J1)に描出されている。したがって、周辺領域J1と周辺領域J2とを加算平均合成することにより、周辺領域の全体にわたって眼底Efが好適に描出される。
【0086】
<合成処理部123>
典型的な実施形態では、部分領域特定部121により実行された上記特定処理の結果と、加算平均合成部122により得られた加算平均画像とが、合成処理部123に入力される。合成処理部123は、部分領域特定部121により特定された第1部分領域及び第2部分領域の一方と、加算平均合成部122により形成された加算平均画像とを合成することにより合成画像を形成する。
【0087】
図4A~
図9に示す例においては、合成処理部123は、第1画像G1中の中央領域H1と、第2画像G2中の中央領域H2のうち、対物レンズ11による反射が含まれない中央領域H1を選択する。選択される部分領域は予め設定されており、例えば直交ニコル状態で得られた画像中の部分領域のように、対物レンズ11による反射が(比較的)含まれない側の部分領域が選択される。
【0088】
或いは、第1画像及び第2画像の明るさ(輝度値等)を解析することにより、対物レンズ11による反射が(比較的)含まれない画像を選択し、この画像中の部分領域を選択することができる。
【0089】
合成処理部123は、例えば、加算平均合成部122により形成された加算平均画像において上記既定範囲(中央領域H1及び中央領域H2の範囲)に対応する部分領域(除外領域)を特定する。更に、合成処理部123は、加算平均画像から特定された除外領域を、第1部分領域及び第2部分領域のうちから選択された部分領域で置き換えることができる。或いは、合成処理部123は、加算平均画像から特定された除外領域上に、第1部分領域及び第2部分領域のうちから選択された部分領域を重ね合わせることができる。
【0090】
図4A~
図9に示す例では、合成処理部123は、
図9に示す加算平均画像G3の中心領域に、
図6に示す中央領域H1を合成する。それにより、
図10に示すような合成画像Gが形成される。
【0091】
なお、「合成画像を形成する」には、前述したように第1画像と第2画像とに基づいて単一の画像データ(合成画像)を形成することだけでなく、第1画像と第2画像とに基づいて画像合成表示することも含まれる。後者の例として、中央領域H1及び加算平均画像G3(更には、これらの間の位置関係)を取得しておき、レイヤー表示機能等を用いて加算平均画像G3上に中央領域H1をオーバーレイすることができる。
【0092】
合成処理部123は、合成画像に対して画像処理を施すことができる。例えば、中央領域H1と加算平均画像G3との境界を目立たなくするための処理を行うことができる。この処理は、例えば、第1部分領域H1の信号対ノイズ比(SNR)と、加算平均画像G3のSNRとを合わせるための画像処理を含んでよい。合成画像に対して施される処理はこれに限定されず、例えば、輝度やコントラスト等の任意の条件(特性)に関する補正や調整を行うことができる。
【0093】
<ユーザインターフェイス部130>
ユーザインターフェイス(UI)部130は、ユーザと眼科撮影装置との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。ユーザインターフェイス部130は、表示デバイスと操作デバイス(入力デバイス)とを含む。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD)を含む。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。制御部100は、操作デバイスに対する操作内容を受け、この操作内容に対応した制御信号を各部に出力する。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
【0094】
<動作>
第1実施形態に係る眼科撮影装置の動作について説明する。第1実施形態における動作の例を
図11に示す。本動作例では、
図4A~
図10に示す画像や処理を例示として説明する。
【0095】
(S1:前眼部観察を行う)
まず、検者が、被検眼Eの前眼部を観察する。前眼部の観察は、例えば、前述した前眼部撮影系(図示せず)を用いて行われる。
【0096】
(S2:アライメントを行う)
前眼部撮影系により得られる画像と、前述した指標投影系(図示せず)とを用いて、被検眼Eに対する光学系(走査系、検出系)のアライメントが行われる。このアライメントの手法は、例えば、従来と同様のオートアライメント又はマニュアルアライメントであってよい。
【0097】
(S3:予備的撮影を行う)
ステップS2のアライメントが完了したら、予備的撮影が行われる。予備的撮影は、例えば、近赤外光源(第2光源1B)を用いて行われる。予備的撮影では、例えば、近赤外光を用いたラスタースキャンが繰り返し行われる。それにより、眼底Efの近赤外動画像が得られる。
【0098】
(S4:フォーカス方向のアライメントを行う)
ステップS3で得られる近赤外動画像に基づいて、フォーカス方向(眼底Efの深さ方向、走査光の軸方向)のアライメントが行われる。例えば、予備的撮影と並行して、指標投影系によりフォーカス指標が眼底Efに投影され、近赤外動画像に描出されたフォーカス指標の像に基づいてオートフォーカシング又はマニュアルフォーカシングが行われる。或いは、予備的撮影により得られる近赤外動画像の画質を評価しつつ、好適な画質の近赤外動画像が得られるようにオートフォーカシング又はマニュアルフォーカシングが行われる。
【0099】
(S5:直交ニコル状態で撮影する)
ステップS4のアライメントが完了したら、必要に応じ、主制御部101が、走査光回転駆動部30を制御することで、光学系を直交ニコル状態に設定する。主制御部101は、第1光源1A(可視光源)、光スキャナ9、第1光検出器16A等を制御することで、直交ニコル状態での撮影(データ収集)を行う。画像形成部110は、収集されたデータに基づいて第1画像G1を形成する(
図4Aを参照)。
【0100】
(S6:走査光の偏光軸を回転する)
ステップS5の直交ニコル状態での撮影が完了したら、主制御部101は、走査光回転駆動部30を制御することで、光学系を平行ニコル状態に設定する。
【0101】
(S7:平行ニコル状態で撮影する)
主制御部101は、第1光源1A(可視光源)、光スキャナ9、第1光検出器16A等を制御することで、平行ニコル状態での撮影(データ収集)を行う。収集されたデータは画像形成部110に送られる。画像形成部110は、収集されたデータに基づいて第2画像G2を形成する(
図4Bを参照)。
【0102】
なお、本例では、直交ニコル状態での撮影の後に平行ニコル状態での撮影を行っているが、平行ニコル状態での撮影の後に直交ニコル状態での撮影を行うようにしてもよい。
【0103】
(S8:中央領域を特定する)
部分領域特定部121は、ステップS5で得られた第1画像G1の中央領域H1を特定する(
図6を参照)。また、部分領域特定部121は、ステップS7で得られた第2画像G2の中央領域H2を特定する(
図5を参照)。
【0104】
(S9:加算平均画像を形成する)
加算平均合成部122は、第1画像G1の周辺領域J1(
図7を参照)と、第2画像G2の周辺領域J2(
図8を参照)とを加算平均合成する。それにより、
図9に示す加算平均画像G3が形成される。
【0105】
(S10:中央領域と加算平均画像とを合成する)
合成処理部123は、ステップS8で第1画像G1から特定された中央領域H1と、ステップS9で形成された加算平均画像G3とを合成する。それにより、
図10に示す合成画像Gが形成される。
【0106】
主制御部101は、ユーザインターフェイス部130の表示デバイスに合成画像G等を表示することができる。また、主制御部101は、合成画像G等を記憶部102に格納することや、合成画像Gを記録媒体に記録することや、通信回線上のサーバ(画像アーカイビング装置等)に合成画像Gを送信することができる。
【0107】
<作用・効果>
第1実施形態に係る眼科撮影装置が奏する作用及び効果について、幾つかの例を説明する。
【0108】
第1実施形態に係る眼科撮影装置は、走査系と、検出系と、画像形成部(例えば画像形成部110)と、画像合成部(例えばデータ処理部120)とを含む。走査系は、被検眼の眼底を光で走査する。検出系は、走査光の被検眼からの戻り光のうち互いに異なる第1偏光成分と第2偏光成分とを検出する。画像形成部は、第1偏光成分の検出結果に基づいて第1画像を形成し、且つ、第2偏光成分の検出結果に基づいて第2画像を形成する。画像合成部は、第1画像と第2画像との合成画像を形成する。
【0109】
第1実施形態において、走査系は、直線偏光の光で眼底を走査することができる。また、第1実施形態では、直線偏光の光の偏光軸と第1偏光成分の偏光軸とが成す角度(例えば直交ニコル状態)と、直線偏光の光の偏光軸と第2偏光成分の偏光軸とが成す角度(例えば平行ニコル状態)とが異なっている。
【0110】
第1実施形態において、走査系は、第1偏光軸の直線偏光の光である第1走査光で眼底を走査し、且つ、第1偏光軸と異なる第2偏光軸の直線偏光の光である第2走査光で眼底を走査する。検出系は、第1走査光の被検眼からの戻り光の所定の偏光成分を第1偏光成分として検出し、且つ、第2走査光の被検眼からの戻り光の所定の偏光成分を第2偏光成分として検出することができる。ここで、第1走査光での走査及び第1偏光成分の検出は、例えば直交ニコル状態での撮影に相当し、第2走査光での走査及び第2偏光成分の検出は、例えば平行ニコル状態での撮影に相当する。
【0111】
第1実施形態において、走査系は、直線偏光の光を出力する光源部を含んでよい。光源部は、例えば、第1光源1A、第1コリメートレンズ2A、及び、第1偏光子3Aを含む。更に、第1実施形態に係る眼科撮影装置は、第1駆動部と、第1制御部とを含んでいてよい。第1駆動部は、走査系の光軸を中心に光源部の少なくとも一部を回転することができる。第1駆動部は、例えば、第1偏光子3Aを回転させる走査光回転駆動部30を含む。第1制御部は、第1駆動部を制御することにより、第1走査光での走査と第2走査光での走査とを切り替えることができる。第1制御部は、例えば、制御部100(主制御部101)を含む。
【0112】
第1実施形態に係る眼科撮影装置の画像合成部(例えばデータ処理部120)は、加算平均合成部(例えば加算平均合成部122)を含んでいてもよい。加算平均合成部は、第1画像の少なくとも一部である第1領域(例えば周辺領域J1)と、第1領域に対応する第2画像の領域である第2領域(例えば周辺領域J2)とを加算平均合成することができる。
【0113】
第1実施形態に係る眼科撮影装置の画像合成部(例えばデータ処理部120)は、部分領域特定部(例えば部分領域特定部121)を含んでいてもよい。部分領域特定部は、第1画像及び第2画像のうちの一方の画像の一部である第1部分領域(例えば中心領域H2)と、第1部分領域に対応する他方の画像の領域である第2部分領域(例えば中央領域H1)とを特定することができる。この場合、画像合成部は、第1部分領域及び第2部分領域の一方(例えば中央領域H1)のみを含む合成画像を形成することができる。
【0114】
第1実施形態では、部分領域特定部(121)及び加算平均合成部(122)に加えて合成処理部(123)が設けられている。部分領域特定部は、第1画像及び第2画像のうちの一方の画像の一部である第1部分領域(例えば中央領域H2)と、第1部分領域に対応する他方の画像の領域である第2部分領域(例えば中央領域H1)とを特定する。加算平均合成部は、第1部分領域と異なる第1画像の領域である第3部分領域(例えば周辺領域J2)と、第3部分領域に対応する第2画像の領域である第4部分領域(例えば周辺領域J1)とを加算平均合成する。合成処理部は、第1部分領域及び第2部分領域の一方(例えば中央領域H1)と、加算平均合成部により形成された加算平均画像(G3)とを合成して合成画像を形成する(
図10を参照)。
【0115】
このような第1実施形態によれば、互いに異なる第1偏光成分と第2偏光成分とを検出し、これらに基づく第1画像及び第2画像を形成し、これらの合成画像を形成することができる。例えば、第1実施形態によれば、直交ニコル状態及び平行ニコル状態でそれぞれ撮影を行い、直交ニコル状態での第1画像G1と平行ニコル状態での第2画像G2とを合成(部分領域の特定、加算平均合成等)することで、ゴーストが無い(ゴーストが低減された)画像を得ることができる。更に、走査領域全体が描出された画像を取得することもできる。
【0116】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る眼科撮影装置について説明する。第2実施形態に係る眼科撮影装置の構成の例を
図12及び
図13に示す。
図12は光学系の例を表す。
図13は処理系の例を示す。特に言及しない限り、本実施形態に係る眼科撮影装置の要素は、第1実施形態のそれと同様であってよい。
【0117】
第2実施形態に係る眼科撮影装置は、第1偏光子3Aとダイクロイックミラー(又はハーフミラー等)4との間に1/2波長板(λ/2板)21が設けられている点(
図12を参照)と、処理系に走査光回転駆動部31が設けられている点(
図13を参照)とにおいて、第1実施形態と異なる。なお、同様の構成を第2走査光路OP2側にも設けることが可能である。
【0118】
走査光回転駆動部31は、走査系の光軸(第1走査光路OP1の光軸)を中心に、1/2波長板21を回転させる。或いは、走査光回転駆動部31は、走査系の光路(第1走査光路OP1)に対して1/2波長板21を挿脱する。
【0119】
1/2波長板21を回転するための走査光回転駆動部31は、制御部100(主制御部101)の制御の下に、又は、手動での操作に応じて、1/2波長板21を第1回転状態と第2回転状態とに切り替えることができる。それにより、第1偏光子3Aにより生成された直線偏光の向きを、1/2波長板21の回転状態に応じて制御することができる。よって、第1実施形態と同様に、第1偏光軸の直線偏光の光である第1走査光と、第1偏光軸と異なる第2偏光軸の直線偏光の光である第2走査光とを、選択的に生成することができる。典型的な例において、走査光回転駆動部31は、制御部100(主制御部101)からの制御信号にしたがって駆動力を発生するアクチュエータと、このアクチュエータから発生された駆動力にしたがって1/2波長板21を回転させる機構とを含む。アクチュエータは、例えばパルスモータである。
【0120】
1/2波長板21を挿脱するための走査光回転駆動部31は、制御部100(主制御部101)の制御の下に、又は、手動での操作に応じて、第1走査光路OP1に対して1/2波長板21を挿脱することができる。それにより、第1偏光子3Aにより生成された直線偏光の向きを、1/2波長板21の配置状態(走査光路OP1に配置されている状態、又は、走査光路OP1から退避されている状態)に応じて制御することができる。よって、第1実施形態と同様に、第1偏光軸の直線偏光の光である第1走査光と、第1偏光軸と異なる第2偏光軸の直線偏光の光である第2走査光とを、選択的に生成することができる。典型的な例において、走査光回転駆動部31は、制御部100(主制御部101)からの制御信号にしたがって駆動力を発生するアクチュエータと、このアクチュエータから発生された駆動力にしたがって1/2波長板21を移動させる機構とを含む。アクチュエータは、例えばソレノイドコイルである。
【0121】
第2実施形態に係る眼科撮影装置の動作について説明する。第2実施形態における動作は、例えば
図11と同様の流れで実行される。ただし、第2実施形態では、ステップS6において、主制御部101が、走査光回転駆動部31を制御して1/2波長板21を回転又は挿脱することによって、光学系の状態を直交ニコル状態から平行ニコル状態に切り替える(又は、光学系の状態を平行ニコル状態から直交ニコル状態に切り替える)。
【0122】
このように、第2実施形態に係る眼科撮影装置の走査系は、1/2波長板(21)を含む。また、第2実施形態に係る眼科撮影装置は、第2駆動部(例えば走査光回転駆動部31)と、第2制御部(例えば制御部100)とを含む。第2駆動部は、走査系の光軸を中心に1/2波長板を回転させ、又は、走査系の光路に対して1/2波長板を挿脱することができる。第2制御部は、第2駆動部を制御することにより、第1走査光での走査と第2走査光での走査とを切り替えることができる。
【0123】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ゴーストが無い(ゴーストが低減された)画像を得ることができる。更に、走査領域全体が描出された画像を取得することもできる。
【0124】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る眼科撮影装置について説明する。第3実施形態に係る眼科撮影装置の構成の例を
図14及び
図15に示す。
図14は光学系の例を表す。
図15は処理系の例を示す。特に言及しない限り、本実施形態に係る眼科撮影装置の要素は、第1実施形態等のそれと同様であってよい。
【0125】
第3実施形態に係る眼科撮影装置は、第1偏光子3Aとダイクロイックミラー(又はハーフミラー等)4との間に偏光回転器22が設けられている点(
図14、
図15を参照)
において、第1実施形態と異なる。なお、同様の構成を第2走査光路OP2側にも設けることが可能である。
【0126】
偏光回転器22は、制御部100の制御の下に動作する。偏光回転器22は、直線偏光の光の偏光軸を回転する作用を奏するものであればよく、その具体的構成は限定されない。偏光回転器22の例として、液晶素子を用いたもの、音響光学技術を用いたものなどがある。
【0127】
第3実施形態に係る眼科撮影装置の動作について説明する。第3実施形態における動作は、例えば
図11と同様の流れで実行される。ただし、第3実施形態では、ステップS6において、主制御部101が、偏光回転器22を制御することによって、光学系の状態を直交ニコル状態から平行ニコル状態に切り替える(又は、光学系の状態を平行ニコル状態から直交ニコル状態に切り替える)。
【0128】
このように、第3実施形態に係る眼科撮影装置の走査系は、直線偏光の光の偏光軸を回転する偏光回転器(22)と、これを制御する第3制御部(例えば制御部100)とを含む。第3制御部は、偏光回転器を制御することによって、第1走査光での走査と第2走査光での走査とを切り替えることができる。
【0129】
このような第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ゴーストが無い(ゴーストが低減された)画像を得ることができる。更に、走査領域全体が描出された画像を取得することもできる。
【0130】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る眼科撮影装置について説明する。第4実施形態に係る眼科撮影装置は、第1実施形態と同様の光学系を備えていてよい(
図1を参照)。第4実施形態に係る眼科撮影装置の処理系の構成の例を
図16に示す。特に言及しない限り、本実施形態に係る眼科撮影装置の要素は、第1実施形態等のそれと同様であってよい。
【0131】
第4実施形態に係る眼科撮影装置の走査系は、第1偏光子3A等によって規定される所定方向の直線偏光の光で眼底Efを走査する。検出系は、直線偏光の走査光の被検眼Eからの戻り光の第1偏光成分と第2偏光成分とを検出する。第1偏光成分は、走査光の偏光軸(上記所定方向)に対して第1角度を成す偏光成分である。一方、第2偏光成分は、走査光の偏光軸に対して第2角度(第2角度は第1角度と異なる)を成す偏光成分である。
【0132】
図16に示す検出光回転駆動部32は、被検眼Eからの戻り光を直線偏光の光に変換する第1直線偏光子13Aを、検出系の光軸(第1検出光路OP6の光軸)を中心に回転させる。なお、同様の構成を第2走査光路OP2側にも設けることが可能である。
【0133】
検出光回転駆動部32は、制御部100(主制御部101)の制御の下に、又は、手動での操作に応じて、第1直線偏光子13Aを第1回転状態と第2回転状態とに切り替えることができる。それにより、第1光検出器16A検出する偏光成分の向き(偏光軸)を、第1直線偏光子13Aの回転状態に応じて制御することができる。よって、第1実施形態と同様に、互いに異なる第1偏光成分と第2偏光成分とを選択的に検出することができる。典型的な例において、検出光回転駆動部32は、制御部100(主制御部101)からの制御信号にしたがって駆動力を発生するアクチュエータと、このアクチュエータから発生された駆動力にしたがって第1直線偏光子13Aを回転させる機構とを含む。アクチュエータは、例えばパルスモータである。
【0134】
第4実施形態に係る眼科撮影装置の動作について説明する。第4実施形態における動作は、例えば
図11と同様の流れで実行される。ただし、第4実施形態では、ステップS6において、主制御部101が、検出光回転駆動部32を制御して第1直線偏光子13Aを回転することによって、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを切り替える。それにより、例えば、光学系の状態が、直交ニコル状態から平行ニコル状態に、又は、光学系の状態を平行ニコル状態から直交ニコル状態に切り替えられる。
【0135】
このように、第4実施形態に係る眼科撮影装置において、検出系は、直線偏光子(第1直線偏光子13A)と、光検出器(第1光検出器16A)とを含む。直線偏光子は、被検眼からの戻り光を直線偏光の光に変換する。光検出器は、直線偏光子により生成された直線偏光の光を検出する。更に、第4実施形態に係る眼科撮影装置は、第3駆動部(例えば検出光回転駆動部32)と、第4制御部(例えば制御部100)とを含む。第3駆動部は、検出系の光軸を中心に直線偏光子を回転することができる。第4制御部は、第3駆動部を制御することにより、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを切り替えることができる。
【0136】
このような第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ゴーストが無い(ゴーストが低減された)画像を得ることができる。更に、走査領域全体が描出された画像を取得することもできる。
【0137】
なお、検出光の偏光軸を変化するための手法は、第1直線偏光子13Aを回転させることに限定されない。例えば、第1検出光路OP6に1/2波長板を配置し、これを回転させる構成を適用することができる。或いは、第1検出光路OP6に対して1/2波長板を挿脱させる構成を適用することができる。他の例において、液晶素子、音響光学技術等を用いた偏光回転器を第1検出光路OP6に配置し、これを制御する構成を適用することが可能である。
【0138】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る眼科撮影装置について説明する。第5実施形態に係る眼科撮影装置の構成の例を
図17及び
図18に示す。
図17は光学系の例を表す。
図18は処理系の例を示す。特に言及しない限り、本実施形態に係る眼科撮影装置の要素は、第1実施形態等のそれと同様であってよい。
【0139】
第5実施形態に係る眼科撮影装置は、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを並行して(つまり同時に)行う。
図17に例示するように、第5実施形態に係る眼科撮影装置は、ダイクロイックミラー12により形成された第1検出光路OP6に設けられた構成において、第1実施形態と異なる。
【0140】
第1検出光路OP6には、まず、偏光ビームスプリッター17Aが設けられている。偏光ビームスプリッター17Aは、第1検出光路OP6に入射した被検眼Eからの戻り光を2つの偏光成分に分割する。
【0141】
偏光ビームスプリッター17Aを透過した偏光成分(例えばP偏光成分)は、検出光路OP61に入射する。他方、偏光ビームスプリッター17Aにより反射された偏光成分(例えばS偏光成分)は、検出光路OP62に入射する。
【0142】
検出光路OP61に入射したP偏光成分は、集光レンズ14Cにより屈折されて、共焦点絞り15Cに投射される。アライメントが好適な状態において、共焦点絞り15Cは、眼底Efに対して光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置される。共焦点絞り15Cは、P偏光成分に含まれるノイズ光(眼底散乱光等)の少なくとも一部を遮断し、眼底Efの表面からの反射光を選択的に通過させるように作用する。共焦点絞り15Cを通過したP偏光成分は、光検出器16Cによって検出される。
【0143】
同様に、検出光路OP62に入射したS偏光成分は、集光レンズ14Dにより屈折されて、共焦点絞り15Dに投射される。アライメントが好適な状態において、共焦点絞り15Dは、眼底Efに対して光学的に共役な位置(又はその近傍)に配置される。共焦点絞り15Dは、S偏光成分に含まれるノイズ光(眼底散乱光等)の少なくとも一部を遮断し、眼底Efの表面からの反射光を選択的に通過させるように作用する。共焦点絞り15Dを通過したS偏光成分は、光検出器16Dによって検出される。
【0144】
光検出器16Cにより収集されたデータと、光検出器16Dにより収集されたデータは、それぞれ、画像形成部110に入力される。画像形成部110は、光検出器16Cにより収集されたデータに基づいて画像(例えば
図4Aに示す第1画像G1)を形成する。また、画像形成部110は、光検出器16Dにより収集されたデータに基づいて画像(例えば
図4Bに示す第2画像G2)を形成する。
【0145】
光検出器16Cにより検出される偏光成分と、光検出器16Dにより検出される偏光成分とは、互いに直交している。したがって、第5実施形態によれば、被検眼Eからの戻り光のうち互いに異なる第1偏光成分と第2偏光成分とを同時に検出することができる。典型的には、光検出器16Cは、直交ニコル状態(又は平行ニコル状態)での撮影に用いられ、且つ、光検出器16Dは、平行ニコル状態(又は直交ニコル状態)での撮影に用いられる。
【0146】
第5実施形態に係る眼科撮影装置の動作について説明する。第5実施形態における動作の例を
図19に示す。ステップS1~S4は、第1実施形態と同様にして実行される(
図11を参照)。
【0147】
本動作例では、
図11のステップS5~S7の代わりに、ステップS21が実行される。つまり、第1~第4実施形態では、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出(例えば、直交ニコル状態での撮影と平行ニコル状態での撮影)を順次に実行するが、第5実施形態では、これらを並行して(つまり同時に)実行する。
【0148】
このような並行的撮影に基づいて第1画像及び第2画像が取得されると、第1実施形態と同様にしてステップS8~S10が実行される。
【0149】
このように、第5実施形態に係る眼科撮影装置において、検出系は、第1偏光ビームスプリッター(例えば偏光ビームスプリッター17A)と、第1光検出器(例えば光検出器16C)と、第2光検出器(例えば光検出器16D)とを含む。第1偏光ビームスプリッターは、被検眼からの戻り光を2つの偏光成分に分割することができる。第1光検出器は、第1偏光ビームスプリッターにより生成された2つの偏光成分の一方を、第1偏光成分として検出することができる。第2光検出器は、これら2つの偏光成分の他方を第2偏光成分として検出することができる。
【0150】
このような第5実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ゴーストが無い(ゴーストが低減された)画像を得ることができる。更に、走査領域全体が描出された画像を取得することもできる。
【0151】
また、第5実施形態によれば、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを並行して実行できるので、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを順次に実行する場合と比較して撮影時間の短縮を図ることが可能である。
【0152】
また、第5実施形態によれば、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを切り替えるための機構を設ける必要がないので、機構や制御の簡略化を図ることができる。
【0153】
<第6実施形態>
第6実施形態では、円偏光又は楕円偏光の光で眼底の走査を行う場合の例を説明する。第6実施形態に係る眼科撮影装置の光学系の構成の例を
図20に示す。処理系は、例えば、第4実施形態と同様であってよい(
図16を参照)。特に言及しない限り、本実施形態に係る眼科撮影装置の要素は、第1実施形態等のそれと同様であってよい。
【0154】
図20に示すように、第6実施形態に係る眼科撮影装置は、第1偏光子3Aとダイクロイックミラー(又はハーフミラー等)4との間に波長板(例えばλ/4板)23が設けられている点と、ダイクロイックミラー12と第1直線偏光子13Aとの間に波長板(例えばλ/4板)24が設けられている点とにおいて、第1実施形態等と異なる。更に、第6実施形態に係る処理系には、第4実施形態と同様の検出光回転駆動部32が設けられている。なお、第2走査光路OP2側及び第2検出光路OP2側にも同様の構成を設けることが可能である。
【0155】
第1走査光路OP1に配置される波長板23としてλ/4板が適用される場合、波長板23は、第1偏光子3Aにより形成された直線偏光の光を円偏光の光に変換する。この場合、波長板23(λ/4板)を通過した段階で円偏光となった光は、走査系に配置された光学素子の偏光特性や位相特性等により、被検眼Eに入射する段階では楕円偏光になる。このような場合、楕円偏光の走査光で眼底Efの走査が行われる。
【0156】
一方、被検眼Eに入射される段階で円偏光になるように、走査系を設計することが可能である。例えば、波長板23の位相差特性を、走査系を構成する光学素子により付与される位相差の総量をλ/4から減算した位相差に設定することができる。それにより、第1光源1Aから出力された走査光に対して、走査系の全体により位相差λ/4が付与され、それにより、(実質的に)円偏光の走査光で眼底Efを走査することが可能となる。
【0157】
第1検出光路OP6に配置される波長板24(例えばλ/4板)は、円偏光又は楕円偏光である戻り光を直線偏光の光に変換する。第6実施形態において、検出光回転駆動部32は、例えば、第1検出光路OP6の光軸を中心に波長板24を回転させることができる。或いは、検出光回転駆動部32は、第1検出光路OP6の光軸を中心に第1直線偏光子13Aを回転させることができる。そのような回転動作により、第1光検出器16Aに入射する光の偏光軸を回転することが可能である。
【0158】
それにより、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを選択的に行うことができる。典型的には、直交ニコル状態での撮影と平行ニコル状態での撮影とを切り替えることができる。更に、第6実施形態に係る眼科撮影装置のデータ処理部120は、このような2段階の撮影により取得された第1画像及び第2画像を合成することにより、第1実施形態等と同様の合成画像を形成することが可能である。
【0159】
このように、第6実施形態に係る眼科撮影装置において、走査系は、円偏光又は楕円偏光の光である第3走査光及び第4走査光のそれぞれで眼底を走査することができる。更に、検出系は、第3走査光の被検眼からの戻り光の所定の偏光成分を第1偏光成分として検出し、且つ、第4走査光の被検眼からの戻り光の所定の偏光成分を第2偏光成分として検出する。
【0160】
典型的には、走査系と検出系とが直交ニコル状態(又は平行ニコル状態)に設定されているときに、円偏光又は楕円偏光の第3走査光で眼底を走査し、その戻り光の所定の偏光成分を検出する。このようにして収集されたデータに基づいて第1画像が形成される。更に、走査系と検出系とが平行ニコル状態(又は直交ニコル状態)に設定されているときに、円偏光又は楕円偏光の第4走査光で眼底を走査し、その戻り光の所定の偏光成分を検出する。このようにして収集されたデータに基づいて第2画像が形成される。第6実施形態に係る眼科撮影装置は、このようにして得られた第1画像及び第2画像の合成画像を形成する。
【0161】
このような第6実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ゴーストが無い(ゴーストが低減された)画像を得ることができる。更に、走査領域全体が描出された画像を取得することもできる。
【0162】
<第7実施形態>
第7実施形態でも、円偏光又は楕円偏光の光で眼底の走査を行う場合の例を説明する。第7実施形態に係る眼科撮影装置の光学系の構成の例を
図21に示す。特に言及しない限り、本実施形態に係る眼科撮影装置の要素は、第1実施形態等のそれと同様であってよい。第7実施形態に係る眼科撮影装置は、円偏光又は楕円偏光の光で眼底の走査を行いつつ、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを並行して(つまり同時に)行うように構成されている。
【0163】
第6実施形態と同様に、第7実施形態に係る眼科撮影装置は、第1偏光子3Aとダイクロイックミラー(又はハーフミラー等)4との間に波長板(例えばλ/4板)23を備える。更に、第7実施形態に係る眼科撮影装置の第1検出光路OP6には、第5実施形態と同様の光学系が設けられている。
【0164】
第1検出光路OP6に設けられた偏光ビームスプリッター17Aは、第1検出光路OP6に入射した円偏光又は楕円偏光の戻り光を2つの偏光成分に分割する。偏光ビームスプリッター17Aを透過した偏光成分(例えばP偏光成分)は、検出光路OP61に入射する。他方、偏光ビームスプリッター17Aにより反射された偏光成分(例えばS偏光成分)は、検出光路OP62に入射する。
【0165】
検出光路OP61に入射したP偏光成分は、集光レンズ14Cにより屈折されて、共焦点絞り15Cに投射される。共焦点絞り15Cを通過したP偏光成分は、光検出器16Cによって検出される。
【0166】
同様に、検出光路OP62に入射したS偏光成分は、集光レンズ14Dにより屈折されて、共焦点絞り15Dに投射される。共焦点絞り15Dを通過したS偏光成分は、光検出器16Dによって検出される。
【0167】
光検出器16Cにより収集されたデータと、光検出器16Dにより収集されたデータは、それぞれ、画像形成部110に入力される。画像形成部110は、光検出器16Cにより収集されたデータに基づいて画像(例えば
図4Aに示す第1画像G1)を形成する。また、画像形成部110は、光検出器16Dにより収集されたデータに基づいて画像(例えば
図4Bに示す第2画像G2)を形成する。
【0168】
光検出器16Cにより検出される偏光成分と、光検出器16Dにより検出される偏光成分とは、互いに直交している。したがって、第7実施形態によれば、被検眼Eからの戻り光のうち互いに異なる第1偏光成分と第2偏光成分とを同時に検出することができる。典型的には、光検出器16Cは、直交ニコル状態(又は平行ニコル状態)での撮影に用いられ、且つ、光検出器16Dは、平行ニコル状態(又は直交ニコル状態)での撮影に用いられる。
【0169】
このように、第7実施形態に係る眼科撮影装置において、検出系は、第2偏光ビームスプリッター(例えば偏光ビームスプリッター17A)と、第3光検出器(例えば光検出器16C)と、第4光検出器(例えば光検出器16D)とを含む。第2偏光ビームスプリッターは、円偏光又は楕円偏光の走査光の被検眼からの戻り光を2つの偏光成分に分割することができる。第3光検出器は、第2偏光ビームスプリッターにより生成された2つの偏光成分の一方を、第1偏光成分として検出することができる。第4光検出器は、これら2つの偏光成分の他方を第2偏光成分として検出することができる。
【0170】
このような第7実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ゴーストが無い(ゴーストが低減された)画像を得ることができる。更に、走査領域全体が描出された画像を取得することもできる。
【0171】
また、第7実施形態によれば、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを並行して実行できるので、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを順次に実行する場合と比較して撮影時間の短縮を図ることが可能である。
【0172】
また、第7実施形態によれば、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出とを切り替えるための機構を設ける必要がないので、機構や制御の簡略化を図ることができる。
【0173】
<変形例>
以上に示された第1~第7実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
【0174】
第1~第7実施形態では、第1偏光成分の検出と第2偏光成分の検出の双方を、同じ偏光特性の走査光を用いて行っているが、実施形態はこれに限定されない。例えば、直線偏光の走査光を用いて第1偏光成分の検出を行い、且つ、円偏光(又は楕円偏光)の走査光を用いて第2偏光成分の検出を行うことができる。逆に、円偏光(又は楕円偏光)の走査光を用いて第1偏光成分の検出を行い、且つ、直線偏光の走査光を用いて第2偏光成分の検出を行うことができる。
【0175】
第1~第7実施形態では、互いに異なる2つの偏光成分を検出しているが、それぞれ異なる3つ以上の偏光成分を検出することも可能である。3つ以上の偏光成分を検出する場合、これら偏光成分の全てを順次に検出してもよいし、これら偏光成分の少なくとも一部を同時に検出してもよい。つまり、順次的な検出と並行的な検出との選択や組み合わせは、随意的であってよい。なお、言うまでもないが、それぞれ異なる3つ以上の偏光成分を検出する実施形態も、この発明の要旨の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0176】
1A 第1光源
3A 第1偏光子
5 光路合成部材
9 光スキャナ
11 対物レンズ
12 ダイクロイックミラー
13A 第1直線偏光子
16A 第1光検出器
16C 光検出器
16D 光検出器
17A 偏光ビームスプリッター
21 1/2波長板
22 偏光回転器
23 波長板
24 波長板
30 走査光回転駆動部
31 走査光回転駆動部
32 検出光回転駆動部
100 制御部
110 画像形成部
120 データ処理部
121 部分領域特定部
122 加算平均合成部
123 合成処理部