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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
E06B9/322
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2016238035
(22)【出願日】2016-12-07
(65)【公開番号】P2017210863
(43)【公開日】2017-11-30
【審査請求日】2019-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2016100937
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山岸 万人
(72)【発明者】
【氏名】植松 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-30084(JP,A)
【文献】特開2008-125574(JP,A)
【文献】特表昭56-500696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0078380(US,A1)
【文献】独国実用新案第20319638(DE,U1)
【文献】特開2002-78603(JP,A)
【文献】特開2008-150856(JP,A)
【文献】実開昭56-70094(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
9/02
9/06- 9/18
9/24- 9/388
9/40- 9/50
9/56- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引張コードを引くことにより遮蔽材を移動可能に構成される遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の移動に伴って従動する前記引張コードによって加えられる入力に抵抗を発生させ且つその反作用で前記引張コードに前記抵抗を加える制動装置を備え、
前記制動装置は、回転抵抗体と、ケースと、当該ケース内に前記回転抵抗体を着脱可能に保持する回転抵抗体ホルダとを備え、当該回転抵抗体ホルダの自転に伴って前記回転抵抗体が公転するよう構成されるとともに、前記回転抵抗体を回転させることによって抵抗力を発生させ、当該回転抵抗体の数又は種類を変更可能に構成され
前記ケースは、前記回転抵抗体と前記回転抵抗体ホルダとを収容する下ケースと、前記下ケースを遮蔽する上ケースとからなる、
遮蔽装置。
【請求項2】
前記制動装置がヘッドボックスに着脱可能に収容される、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
記上ケースは、前記下ケースから着脱可能に構成される、請求項1又は請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記上ケースは、ネジ止め又はスナップフィット機構により前記下ケースから着脱可能に構成される、請求項3に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
記下ケースを開閉可能に構成される、請求項1又は請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記回転抵抗体ホルダは、前記回転抵抗体が載置される載置部を備える、請求項1請求項5の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記回転抵抗体ホルダは、前記自転の際に前記回転抵抗体の側面と当接する当接部を更に備え、前記回転抵抗体は、前記回転抵抗体ホルダの自転により前記当接部に押圧されることによって公転し且つその遠心力によって前記公転の外周側に移動し、前記ケースの内壁との間の摩擦によって制動力を発生させ、これが前記回転抵抗体の個数又は種類に応じて調節可能に構成される、請求項6に記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記載置部は、複数であって、1つの載置部には1つの回転抵抗体が載置可能に構成される、請求項6又は請求項7に記載の遮蔽装置。
【請求項9】
前記載置部は、複数であって、前記回転抵抗体の公転に係る円周上に配置され、それぞれが周方向に等間隔且つ前記回転抵抗体ホルダの自転中心から等距離に配置される、請求項6請求項8の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【請求項10】
前記載置部の個数は、2~16個である、請求項6請求項9の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【請求項11】
前記載置部の個数は、4個である、請求項10に記載の遮蔽装置。
【請求項12】
前記載置部の個数は、8個である、請求項10に記載の遮蔽装置。
【請求項13】
前記載置部は、前記回転抵抗体の形状に略等しい、請求項6請求項12の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【請求項14】
前記載置部に載置される前記回転抵抗体の個数は、2~16個である、請求項6請求項13の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【請求項15】
前記回転抵抗体は、複数であって円周上に配置され、それぞれが周方向に等間隔且つ前記回転抵抗体ホルダの自転中心から等距離に配置される、請求項6請求項14の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【請求項16】
前記遮蔽装置は、ブラインド装置である、請求項1~請求項15の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【請求項17】
引張コードを引くことにより遮蔽材を移動可能に構成される遮蔽装置に対して、
前記遮蔽材の移動に伴って従動する前記引張コードによって加えられる入力に抵抗を発生させ且つその反作用で前記引張コードに前記抵抗を加える制動装置であって、回転抵抗体と、ケースと、当該ケース内に前記回転抵抗体を着脱可能に保持する回転抵抗体ホルダとを備え、前記ケースは、前記回転抵抗体と前記回転抵抗体ホルダとを収容する下ケースと、前記下ケースを遮蔽する上ケースとからなり、前記回転抵抗体ホルダの自転に伴って前記回転抵抗体が公転するよう構成されるとともに、前記回転抵抗体を回転させることによって抵抗力を発生させるよう構成される制動装置を設ける際に、
記回転抵抗体の個数又は種類を、当該回転抵抗体を前記回転抵抗体ホルダから着脱することで、遮蔽装置によって変えることを特徴とする、遮蔽装置の製造方法。
【請求項18】
前記遮蔽装置は、ブラインド装置である、請求項17に記載の遮蔽装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロールカーテン、ブラインド、アコーディオンカーテン、プリーツ網戸及び間仕切り等の遮蔽装置が実用されている。例えば、遮蔽装置が横型ブラインドであれば、これを開状態とする場合には、操作用コードを引くことで、遮蔽部材であるスラット及びボトムレールが引き上げられる。また、横型ブラインドを閉状態とする場合には、一般的に、スラット及びボトムレールの自重を用いて重力によりこれらのスラット及びボトムレールを下ろす。このとき、スラット及びボトムレールの移動(ここでは特に自重降下)に伴い移動する昇降コードに制動力を加えて、スラット及びボトムレールの下降する勢いを低減させる機構が知られている。もちろん、かかる移動は単に自重降下に限定されるものではなく、例えばロールカーテンであれば自動上昇が当てはまり、アコーディオンカーテンであれば自動横移動が当てはまる。
【0003】
特許文献1には、制動力を発生する遠心ガバナと、ブレーキ部に連結される軸(コードキャッチ)とからなるダンパであって、昇降コードが当該軸の外周面に接触し、昇降コードの移動によって当該軸が回転して当該ブレーキ部が作動することを特徴とするダンパを備えるブラインドの昇降装置が開示されている。このダンパを用いることで遮蔽材の移動に伴う昇降コードの移動に対して確実に抵抗を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-030084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遮蔽装置(以下製品と称する)の種類や大きさ等によって所望する制動力は異なる。そのため、異なる製品に対して同一のダンパを用いると、製品ごとに遮蔽材の移動速度が異なるものとなってしまう。一方で、製品ごとに異なる制動力を実現したい場合は異なるダンパが必要となり、その結果、部品点数の増加やコスト増が問題となる。また、同一の製品であっても制動力の微調整が必要な場合や、使用、経年によって所望する制動力が変化する場合も想定される。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、製品ごとに制動力が調節可能な制動装置を備える遮蔽装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点によれば、引張コードを引くことにより遮蔽材を移動可能に構成される遮蔽装置であって、前記遮蔽材の移動に伴って従動する前記引張コードによって加えられる入力に抵抗を発生させ且つその反作用で前記引張コードに前記抵抗を加える制動装置を備え、前記制動装置は、回転抵抗体を備え、これを回転させることによって抵抗力を発生させ、当該回転抵抗体の数又は種類を変更可能に構成される、遮蔽装置が提供される。
【0008】
本発明の第2の観点によれば、引張コードを引くことにより遮蔽材を移動可能に構成される遮蔽装置に対して、前記遮蔽材の移動に伴って従動する前記引張コードによって加えられる入力に抵抗を発生させ且つその反作用で前記引張コードに前記抵抗を加える制動装置を設ける際に、前記制動装置内に設けられた回転抵抗体であって回転することによって抵抗力を発生させる回転抵抗体の個数又は種類を遮蔽装置によって変えることを特徴とする、遮蔽装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
このような遮蔽装置によれば、回転抵抗体の個数又は種類を可変とすることで、製品や状態に合わせて制動力を調節することができる。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
好ましくは、前記制動装置がヘッドボックスに着脱可能に収容される。
【0012】
好ましくは、前記ケース内に前記回転抵抗体を着脱可能に保持する回転抵抗体ホルダを備え、当該回転抵抗体ホルダの自転に伴って前記回転抵抗体が公転する。
【0013】
好ましくは、前記ケースは、前記回転抵抗体と前記回転抵抗体ホルダとを収容する下ケースと、前記下ケースを遮蔽する上ケースとからなり、前記上ケースは、前記下ケースから着脱可能に構成される。
【0014】
好ましくは、前記上ケースは、ネジ止め又はスナップフィット機構により前記下ケースから着脱可能に構成される。
【0015】
好ましくは、前記ケースは、前記回転抵抗体と前記回転抵抗体ホルダとを収容する下ケースと、前記下ケースを遮蔽する上ケースとからなり、前記下ケースを開閉可能に構成される。
【0016】
好ましくは、前記回転抵抗体ホルダは、前記回転抵抗体が載置される載置部を備える。
【0017】
好ましくは、前記回転抵抗体ホルダは、前記自転の際に前記回転抵抗体の側面と当接する当接部を更に備え、前記回転抵抗体は、前記回転抵抗体ホルダの自転により前記当接部に押圧されることによって公転し且つその遠心力によって前記公転の外周側に移動し、前記ケースの内壁との間の摩擦によって前記制動力を発生させ、これが前記回転抵抗体の個数又は種類に応じて調節可能に構成される。
【0018】
好ましくは、前記載置部は、複数であって、1つの載置部には1つの回転抵抗体が載置可能に構成される。
【0019】
好ましくは、前記載置部は、複数であって、前記回転抵抗体の公転に係る円周上に配置され、それぞれが周方向に等間隔且つ前記回転抵抗体ホルダの自転中心から等距離に配置される。
【0020】
好ましくは、前記載置部の個数は、2~16個である。
【0021】
好ましくは、前記載置部の個数は、4個である。
【0022】
好ましくは、前記載置部の個数は、8個である。
【0023】
好ましくは、前記載置部は、前記回転抵抗体の形状に略等しい。
【0024】
好ましくは、前記載置部に載置される前記回転抵抗体の個数は、2~16個である。
【0025】
好ましくは、前記回転抵抗体は、複数であって円周上に配置され、それぞれが周方向に等間隔且つ前記回転抵抗体ホルダの自転中心から等距離に配置される。
【0026】
好ましくは、前記遮蔽装置は、ブラインド装置である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】本発明の実施形態に係る遮蔽装置100の一例を示す図である。
図1B】本発明の実施形態に係る遮蔽装置100の一例を示す図である。
図1C】本発明の実施形態に係る遮蔽装置100の一例を示す図である。
図2】本発明の本実施形態に係る制動装置1000の分解斜視図であり、(a)は前方上側から見た図、(b)は後方上側から見た図である。
図3】本発明の本実施形態に係る制動装置1000の分解斜視図であり、(a)は前方下側から見た図、(b)は後方下側から見た図である。
図4】ウェイト340に突起341を設ける代わりに、ベースに溝709を設けた例を表す図であり、(a)は平面図、(b)はS-S線切断部断面図である。
図5】本発明の本実施形態に係る制動装置1000の組立図であり、(a)は前方斜視図、(b)は後方斜視図、(c)は左側面図である。
図6】本発明の本実施形態に係る制動装置1000の組立図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
図7】本発明の本実施形態に係る制動装置1000からケース10Aを除いた組立図であり、(a)は前方斜視図、(b)は後方斜視図である。
図8図7から更にスライダー220を除いた組立図であり、(a)は前方斜視図、(b)は後方斜視図である。
図9図8から更に内歯付キャリア260を除いた組立図であり、(a)は前方斜視図、(b)は後方斜視図である。
図10】本発明の本実施形態に係るローレット240、スライダー220及びピニオンギア50の位置関係を示す断面図であり、制動装置1000の左側面から見て軸芯31の略中心を通る断面図の一部である。
図11】本発明の本実施形態に係る整列部材200を表す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
図12】本発明の本実施形態に係るケース10Aを表す図であり、(a)は前方斜視図、(b)は後方斜視図である。
図13】本発明の本実施形態に係るケース10Aを表す図であり、(a)は平面図、(b)は下側から見た斜視図である。
図14】本発明の本実施形態に係るスライダー220を表す図であり、(a)は前方斜視図、(b)は下側から見た後方斜視図、(c)は平面図である。
図15】本発明の本実施形態に係るケース10A及びスライダー220を表す図であり、(a)は下側から見た斜視図、(b)は上側から見た斜視図である。
図16】本発明の本実施形態に係るケース10A及びスライダー220以外の部材を表す分解斜視図である。
図17図5(c)のA-A線切断部断面図である。
図18図6(a)のB-B線切断部断面図である。
図19図17を用いて本発明の制動装置1000がコードCDを制動する様子を示す図であり、(a)はコードCDに何ら張力が与えられない状態(定常状態)、(b)はコードCDに張力が与えられ、ローレット240及びローラ部42でコードCDが挟着された状態(挟着状態)、(c)は(a)から(b)へ状態変化する際における各部材の回転方向をまとめた図である。
図20】本発明の実施形態に係る太陽歯車付ウェイトホルダ320において、保持させるウェイト340の個数を可変させた場合を示している。
図21】本発明の実施形態に係る制動装置の他の取付位置について説明するための図である。
図22】変形例に係る制動装置2000を示す概略図である。
図23】変形例に係る制動装置3000を示す概略図である。
図24】本発明の実施形態に係る太陽歯車付ウェイトホルダ320に代えて、変形例であって、風切り羽根340cを保持可能なホルダ320cを示す概略図である。
図25】本発明の実施形態に係るウェイト340について、サイズが2種類ある場合を示している。
図26】ウェイト340を1個しか保持できない従来技術に係るウェイトホルダ320aの一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る制動装置、及び、それを用いた遮蔽装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
1.本実施形態
1-1<全体構成>
図1A図1Cは、本実施形態の遮蔽装置100を示す図である。
図1Aに示される遮蔽装置100は、横型ブラインド(あくまでも一例)であり、中空のヘッドボックス130から複数本のラダーコード123を介して複数段の日射遮蔽部材(スラット)101が吊下支持され、同ラダーコード123の下端にはボトムレール122が吊下支持されている。ヘッドボックス130は、上面131、底面132、側面133により構成される。そして、その両端にボックスキャップ134が設けられる。また、ヘッドボックス130の内部には、操作棒108内にコードCDを挿通するためのコード出口135が設けられる。ラダーコード123は、「日射遮蔽部材支持コード」の一形態である。「日射遮蔽部材支持コード」は、日射遮蔽部材101を支持及び回動可能なものであればその構成は限定されず、例えば、互いに分離された2本の縦糸を備え、一方の縦糸がスラットの一方の縁に取着され、他方の縦糸がスラットの他方の縁に取着されるような構成であってもよい。
【0030】
ヘッドボックス130内には支持部材(図示せず)が複数個配設され、その支持部材にはチルトドラム(図示せず)が回転可能に支持される。ラダーコード123の上端部は、チルトドラムに取着され、そのチルトドラムの中心部にはシャフト124(軸部材)が全てのチルトドラムに嵌挿されている。従って、シャフト124が回転されると、全てのチルトドラムが回転され、そのチルトドラムの回転にともなって、ラダーコード123の縦糸の一方が引き上げられることにより、各日射遮蔽部材101及びボトムレール122が同位相で角度調節される。
【0031】
ヘッドボックス130の一端部には筒体からなる操作棒108が吊下支持されており、操作棒108の下端には操作部120が設けられている。操作部120を把持して操作棒108を回転操作すると、ヘッドボックス130内に配設されるギヤ機構を介して角度調節軸が回転される。従って、操作棒108の回転操作により、各日射遮蔽部材101を角度調節可能となっている。
【0032】
ヘッドボックス130からは複数本(本実施形態では3本)の昇降コード102l,102c,102r(区別が不要な場合は単に「昇降コード102」と称する。)が吊下されており、各昇降コード102の一端はボトムレール122に取着される。各支持部材には転向滑車(図示せず)が図面の表裏方向の軸心で軸支され、ヘッドボックス130に導入された昇降コード102がヘッドボックスの左右方向に転向案内可能となっている。また、各支持部材は他の昇降コードを左右方向に通過可能な空間を有している。従って、右端の昇降コード102rの他端は支持部材で転向案内され、非操作側の昇降コード(左端及び中央の昇降コード102l,102c)は各支持部材を経て、ヘッドボックス130内を操作棒108方向に案内される。そして、ヘッドボックス130内に設けられるロック部104及び制動装置1000を経て、筒状の操作棒108内に挿通され、その先端は操作部120の下方に設けられたコードイコライザ121に接続される。したがって、コードイコライザ121を下方へ引いて、ヘッドボックス130から昇降コード102を引き出すと、ボトムレール122が引き上げられることにより、日射遮蔽部材101が引き上げられる。
【0033】
制動装置1000は、ヘッドボックス130の底面132上に配置され、その両端が側面133によって位置決めされる。なお、制動装置1000を底面132に配置することに変えて、底面132上に設けた他の部材の上に配置することとしてもよい。このとき、図1Bに示されるように、制動装置1000の底面(ベース70の底面の外側)には、ヘッドボックス130内における配置を固定するための取付部(取付筒702)が設けられ、ヘッドボックス130の底面に設けられた取付け凹部136に取付筒702が取付けられる。これにより、制動装置1000をヘッドボックス130内にて安定して配置させることが可能となる。
【0034】
また、図1Bに示されるように、制動装置1000は、ヘッドボックス130内における載置面とシャフト124に挟まれるように配置される。つまり、ローラ(後述のローレット240)は、ヘッドボックス130内において水平方向に移動可能に構成され、ヘッドボックス130内に存在するコードCDの本数が多い側(図1Aにおける右側)からコードCDの本数が少ない側(図1Aにおける右側)に向かって前記第2位置から前記第1位置となるように、制動装置1000がヘッドボックス130内に配置される。また、遊星歯車280の回転軸がヘッドボックス130内において鉛直方向に向くように制動装置1000が配置される。また、ロック部104は、制動装置1000の前方に配置される。
【0035】
図1Bは、図1A(a)の領域Zにおける部分拡大図である。図1B及び図1Cに示されるように、コードCDは横向きに整列した状態でロック部104に案内され、その後捻れ、縦向きに整列した状態で制動装置1000に案内される。そして、制動装置1000から出力された後、斜めに整列してコード出口135に案内される。
【0036】
1-2<制動装置>
次に、図2図19を用いて、制動装置1000について説明する。本実施形態に係る制動装置1000は、コードの移動を制動する制動装置である。具体的には、本実施形態に係る制動装置1000では、運動変換部に係る機構と抵抗付与部に係る機構が略垂直に位置するように設けられる。ここで、本実施形態においては、図2に示されるように、スライダー220、コイルスプリングSP、軸芯41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ローレット240、ピニオンギア50、軸芯31、ワッシャー241、内歯付キャリア260及び遊星歯車280が、運動変換部を構成し、ウェイト340(特許請求の範囲における「回転抵抗体」の一例)、太陽歯車付ウェイトホルダ320(特許請求の範囲における「回転抵抗体ホルダ」の一例)及びケース10Aが、抵抗付与部を構成する。
【0037】
図2及び図3は、本実施形態に係る制動装置1000の分解斜視図である。制動装置1000は、整列部材200、ケース10A、スライダー220、コイルスプリングSP、軸芯41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ローレット240、ピニオンギア50、ローレット240及びピニオンギア50を挿通する軸芯31、ワッシャー241、内歯付キャリア260、遊星歯車280、プレート300、太陽歯車付ウェイトホルダ320、ウェイト340及びベース70により構成される。
【0038】
本実施形態において、アイドルローラ40及びローレット240は、コードを挟着する挟着体として機能する。また、アイドルローラ40が支柱に、ローレット240がコードの長手方向の移動により回転するローラとして機能する。また、スライダー220は、アイドルローラ40及びローレット240を保持する。
【0039】
図2及び図3に示されるように、本実施形態では、内歯付キャリア260に4つの遊星歯車280が設けられ、太陽歯車付ウェイトホルダ320に8つのウェイト340が保持される。以下、各部材について説明する。
【0040】
1-2-1<整列部材200>
図5(a),(b)に示されるように、整列部材200は、コードCDを挿通し、コードCDの向きを整えるものである。また、複数のコードCDを互いに同じ向きに整列させるものである。整列部材200は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成することができる。ここで、図5(a)に示されるように、矢印の向きをそれぞれ前後、左右、上下とする。すなわち、図6に示される第1天壁溝16と第2天壁溝17の距離が狭くなる向きを前方とし、左右方向(幅方向)、上下方向を定める。
【0041】
図11(a)に示されるように、整列部材200は、前方壁部205と、前方壁部205に連結される右側壁部207及び左側壁部208と、右側壁部207及び左側壁部208のそれぞれに連結される後方壁部206と、を有する。前方壁部205、右側壁部207、左側壁部208及び後方壁部206の形状は任意であるが、本実施形態では、それぞれ概ね矩形の形状とされる。また、本実施形態では、前方壁部205及び後方壁部206は、略対称形状である。
【0042】
前方壁部205には第1前方溝201、第1前方コード挿入部201A、第2前方溝202及び第2前方コード挿入部202Aが形成される。また、後方壁部206には、第1後方溝203、第1後方コード挿入部203A、第2後方溝204及び第2後方コード挿入部204Aが形成される。
【0043】
第1前方コード挿入部201A及び第2前方コード挿入部202Aは、制動装置1000の組立後にコードCDを整列部材200に挿通するためのものである。第1前方コード挿入部201Aは、第1前方溝201よりも幅広に形成される。また、第2前方コード挿入部202Aは、第2前方溝202よりも幅広に形成される。したがって、第1前方コード挿入部201A及び第2前方コード挿入部202AにコードCDを挿通し、そのまま第1前方溝201及び第2前方溝202の方へコードCDをスライドさせることで、コードCDをスムーズに挿通することが可能となる。
【0044】
また、第1後方コード挿入部203A及び第2後方コード挿入部204Aは、前方壁部205に挿通されたコードCDが後述するスライダー220の前後の貫通孔225(図14参照)を通過し、かかるコードCDを後方壁部206から外部に引き出すためのものである。第1後方コード挿入部203Aは、第1後方溝203よりも幅広に形成される。また、第2後方コード挿入部204Aは、第2後方溝204よりも幅広に形成される。したがって、第1後方コード挿入部203A及び第2後方コード挿入部204AにコードCDを挿通し、そのまま第1後方溝203及び第2後方溝204の方へコードCDをスライドさせることで、コードCDをスムーズに挿通することが可能となる。
【0045】
なお、第1前方コード挿入部201A、第2前方コード挿入部202A、第1後方コード挿入部203A及び第2後方コード挿入部204Aの形状は任意であり、図11に示した形状に限定されない。例えば、略円形でもよく、縦長形状から斜め形状を経て第1前方溝201(その他の溝でも同じ)に接続されてもよい。更に、本実施形態では、第1前方コード挿入部201Aと第1前方溝201の間に段差210が設けられているが、かかる段差210を設けず、前方壁部205(又は後方壁部206)を略矩形としてもよい。
【0046】
図11(b)に示されるように、本実施形態では、前方壁部205及び後方壁部206は正面視において略同一形状とされる。したがって、第1前方コード挿入部201Aから挿通されたコードCD(図11においては不図示)は第1後方コード挿入部203Aを通過し、第2前方コード挿入部202Aから挿通されたコードCDは第2後方コード挿入部204Aを通過する。換言すると、第1前方溝201及び第1前方コード挿入部201Aと第1後方溝203及び第1後方コード挿入部203Aがそれぞれ対応する一対の溝であり、第2前方溝202及び第2前方コード挿入部202Aと第2後方溝204及び第2後方コード挿入部204Aがそれぞれ対応する一対の溝である。
【0047】
ここで、図11(a)に示されるように、整列部材200の右側壁部207には、制動装置1000(図11においては不図示)の組立時においてケース10Aの上方から被せるようにして配置するときに、後述するケース10Aの係合孔19(図12参照)と係合し、整列部材200をケース10Aに固定するための爪部209が設けられる。なお、図11において図示はしないが、左側壁部208にも同様の爪部209が設けられる。これにより、整列部材200に設けられた2つの爪部209とケース10Aの左右に設けられた2つの係合孔19とが強固に係合することが可能となる(いわゆるスナップフィット)。なお、ネジ止めであってもよい。
【0048】
1-2-2<ケース10A>
次に、図12(a),(b)及び図13を用いてケース10Aについて説明する。なお、以下、図13において左向きを前方、右向きを後方、上向きを右側、下向きを左側として説明する。ケース10Aは、ベース70(図16等参照)とともに筐体を構成し、その内部に図2において示されたスライダー220、コイルスプリングSP、軸芯41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ローレット240、ピニオンギア50、軸芯31、ワッシャー241、内歯付キャリア260、遊星歯車280、プレート300、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340を保持する。
【0049】
また、ケース10Aは、例えば図16に示されるベース70とともに制動装置1000の筐体を構成するものである。また、例えば図16に示される太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340とともに、抵抗付与部を構成するものである。
【0050】
図12に示されるように、ケース10Aは、外形が概ね正方形の天壁部11と、前側壁部12fと、前側壁部12f及び天壁部11に連結される右側壁部12r及び左側壁部12lと、右側壁部12r及び左側壁部12lのそれぞれに連結される後側壁部12bと、天壁部11に対向し、前側壁部12f、後側壁部12b、右側壁部12r及び左側壁部12lから径方向側に向かって延在する鍔部13と、鍔部13に連結される円筒部13Cと、円筒部13Cに連結されるカバー部112とを主な構成として有する。
【0051】
前側壁部12f及び後側壁部12bには、ガイド溝113が形成されている。これら2つのガイド溝113は、互いに前後方向に対向している。これらのガイド溝113はコードCDが前後方向に挿通されるための溝である。ここで、ガイド溝113に挿通するコードCDの数は特に限定されないが、本実施形態では3本のコードCDが縦方向に挿通された例について示している(図5参照)。
【0052】
また、右側壁部12r及び左側壁部12lには、係合孔19が設けられる。係合孔19は、すでに述べた通り、整列部材200の爪部209と係合し、整列部材200をケース10Aに固定するものである。
【0053】
更に、左右の係合孔19の上方には支持溝114が設けられる。支持溝114は、図5に示されるように、ケース10Aがスライダー220を内部に保持するにあたり、スライダー220に設けられる突起230を支持するものである。これにより、スライダー220を浮き状態で支持することができる。なお、詳細は後述する。
【0054】
図12に示されるように、天壁部11には、第1天壁溝16と第2天壁溝17とが形成されている。図13(a)に示されるように、第1天壁溝16及び第2天壁溝17は、それぞれコードCDの長手方向すなわち前後方向に対して斜めに形成されており、コードCDの一方の長手方向である前方に向かうにつれて、第1天壁溝16と第2天壁溝17との距離が小さくされている。また、第1天壁溝16は円弧状に形成されており、第1天壁溝16の円弧は、図8に示される内歯付キャリア260の内周面と平面視において同心円上となるように形成される。一方、第2天壁溝17は緩やかなカーブを描いた形状に形成されている。具体的には、第2天壁溝17は、前方側が略直線状の形状とされ、後方に向かうにつれて、第1天壁溝16から離れる向きに湾曲している。これは、第2天壁溝17を略直線状とした場合、第1天壁溝16は後方から前方に向かってコードCDに近づくような円弧であるので、例えば軸芯31及び軸芯41がそれぞれ第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って移動するときに、コードCDに対する垂直方向の変位が、軸芯31と軸芯41とで異なってしまうことを防ぐためである。つまり、一方が円弧であるのに対し、他方が略直線状であると、前後方向においてコードCDへの垂直距離が異なるためである。このように、軸芯31及び軸芯41のコードCDの鉛直方向に対する変位を近接させることにより、ローレット240及びローラ部42が適切にコードCDを挟着することが可能となる。なお、第2天壁溝17はこれに限定されず、例えば、第1天壁溝16と略同一形状の溝を、コードCD側に向かって湾曲する配置としてもよい。これにより、CDに対する鉛直方向の変位を、軸芯31と軸芯41とで略同一にすることができ、コードCDの摩耗を低減することが可能となる。ここで、本実施形態では、CDに対する鉛直方向の変位を、軸芯31と軸芯41とでなるべく同じにすることに加え、他の部材の移動等による相互作用等を考慮し、図13(a)に示される形状を採用した。
【0055】
第1天壁溝16の縁には、図12(a),(b)、図13(a)に示されるように、ケース10Aの平面視において、第1天壁溝16におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置の少なくとも一部に、第1天壁溝16から上方に突出する第1ガイド壁16Aが設けられる。本実施形態では、第1ガイド壁16Aは、第1天壁溝16に対して略90度となるように設けられる。第1ガイド壁16Aは、第1天壁溝16に沿って移動する軸芯31の面圧を下げることを目的としている。つまり、第1ガイド壁16Aを設けることにより、軸芯31と接触する面積が増大することにより、軸芯31の面圧を低減するものである。これは、コードCDに張力が与えられ、制動装置1000が作用している間は軸芯31の面圧が第1天壁溝16の内面に加わっており、かかる面圧により第1天壁溝16の内面が削れると、ローレット240とローラ部42の間隔が変化して、ローレット240への回転伝達が不十分になる恐れがあるためである。第1ガイド壁16Aを設けることにより、軸芯31からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となる。なお、第1ガイド壁16Aの肉厚は任意であるが、ケース10Aの素材、軸芯31の移動速度等を考慮して適宜設計すればよい。
【0056】
また、ケース10Aの平面視において、第2天壁溝17におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置には、ケース10Aの中心から遠方に位置する縁に沿った位置の少なくとも一部に、第2天壁溝17から上方に突出する第2ガイド壁17Aが設けられる。本実施形態では、第2ガイド壁17Aは、第2天壁溝17に対して略90度となるように設けられる。第2ガイド壁17Aは、第2天壁溝17に沿って移動する軸芯41の面圧を下げることを目的としている。つまり、第2ガイド壁17Aを設けることにより、軸芯41と接触する面積が増大することにより、軸芯41の面圧を低減するものである。これは、コードCDに張力が与えられ、制動装置1000が作用している間は軸芯41の面圧が第2天壁溝17の内面に加わっており、かかる面圧により第2天壁溝17の内面が削れると、ローレット240とローラ部42の間隔が変化して、ローレット240への回転伝達が不十分になる恐れがあるためである。第2ガイド壁17Aを設けることにより、軸芯41からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となる。なお、第2ガイド壁17Aの肉厚は任意であるが、ケース10Aの素材、軸芯41の移動速度等を考慮して適宜設計すればよい。
【0057】
なお、ケース10Aを金属等の強固な材料で成形した場合には、第1ガイド壁16A及び第2ガイド壁17Aを設けなくてもよい。これは、ケース10Aが堅牢であるので、軸芯31及び軸芯41からの圧力によりケース10Aがほとんど削れることがないためである。
【0058】
鍔部13は、天壁部11に対向し、前側壁部12f、後側壁部12b、右側壁部12r及び左側壁部12lから径方向側に向かって延在する部位であり、本実施形態では略円形とされる。
【0059】
円筒部13Lは、鍔部13に連結され、内周ギア115の外側に位置する。本実施形態では、円筒部13Cは、略円筒状の形状とされる。
【0060】
カバー部112は、円筒部13Cに連結され、ベース70と嵌合する箇所である。本実施形態では、カバー部112の外縁は略正方形とされる。そして、カバー部112は、左右の側面の両端にそれぞれ2つの第1係合溝111Aが設けられる。そして、前端部の両端に2つの第2係合溝111Bが設けられ、後端部の略中央に1つの第2係合溝111Bが設けられる。第1係合溝111Aは、図7に示されるベース70の第1係合板部701Aと係合するものである。また、第2係合溝111Bは、ベース70の第2係合板部701Bと係合するものである。
【0061】
以上のような構成によれば、ケース10A(特許請求の範囲における「上ケース」の一例)とベース70(特許請求の範囲における「下ケース」の一例)が係合され、筐体を形成する。いわゆるスナップフィットであるが、これはネジ止めされてもよい。このような構成によって制動装置1000における所望の制動力を得るために又は当該制動力を調節するために、太陽歯車付ウェイトホルダ320に載置するウェイト340の個数を変更することができる。
【0062】
次に、図13(b)及び図15を用いて、ケース10Aの内部構造について説明する。ケース10Aの内部には、図17に示されるように、遊星歯車280と歯合するリング状の内周ギア115が形成される。そして、内周ギア115の上部には、平面視において略リング状の波形部116が形成される。波形部116は、内周ギア115の中心を通る円の中心からの水平距離が小さい部分及び大きい部分が交互に並んでおり、平面視においてジグザグ形状となる形状である。具体的には、多数の直線を結んでできる多角形状をなしている。更に、鍔部13の内面側の面には、段差117が設けられる。波形部116及び段差117を設けることにより、例えば内歯付キャリア260等の他の部材の位置決めを容易にし且つ摩擦抵抗を低減することができる。
【0063】
また、図15に示されるように、ケース10Aの左右の内側面には、4つの溝118が形成される。溝118は、制動装置1000を組み立てる又は分解する際に、後述するスライダー220の突起230を通すためのものである。本実施形態では、スライダー220の突起230が4つであるため、ケース10Aにも4つの溝118を設けている。
【0064】
1-2-3<スライダー220>
次に、図14を用いてスライダー220について説明する。スライダー220は、アイドルローラ40及びローレット240を内部に保持し且つアイドルローラ40及びローレット240と共に移動する移動部材に相当する。スライダー220は、天壁部221と、天壁部221に連結される後側壁部222及び前側壁部224と、後側壁部222及び前側壁部224のそれぞれに連結される底壁部223とを有する。
【0065】
天壁部221は概ね矩形の形状に一対の溝が形成された形状とされる。これら一対の溝はそれぞれ第1天壁溝226及び第2天壁溝227とされる。第1天壁溝226及び第2天壁溝227は、それぞれ左右方向に沿って延在する直線状の溝とされ、互いに直線上に並んでいる。
【0066】
底壁部223は天壁部221と対向する。本実施形態では、底壁部223は、概ね天壁部221と同じ形状とされる。しかし、天壁部221と底壁部223を異なる形状としてもよい。底壁部223にも左右方向に直線上に並んで形成される一対の溝が形成されており、これら一対の溝はそれぞれ第1底壁溝228及び第2底壁溝229とされる。第1底壁溝228が第1天壁溝226と上下方向に対向しており、第2底壁溝229が第2天壁溝227と上下方向に対向している。したがって、スライダー220を平面視すると、図14(c)に示されるように、上下の溝が重なって見える。
【0067】
ここで、第1天壁溝226及び第1底壁溝228の幅の大きさは、軸芯31の直径が収まる程度の大きさである。また、第2天壁溝227及び第2底壁溝229の幅の大きさは、軸芯41が収まる程度の大きさである。
【0068】
また、天壁部221には、その四隅に天壁部221の左右へ突出するように突起230が設けられる。図5に示されるように、突起230は、ケース10Aの支持溝114に収められ、ケース10Aの内部にスライダー220を浮き状態で支持するためのものである。すなわち、スライダー220が、下方に位置する内歯付キャリア260と非接触状態で保持される。
【0069】
前側壁部224及び後側壁部222には、貫通孔225が形成されている。貫通孔225は、前側壁部224及び後側壁部222の幅方向の略中央において前側壁部224及び後側壁部222を前後方向に貫通する。孔の形状は任意であるが、少なくともコードCD1本が挿通可能な程度である。好ましくは、複数本のコードCDが縦方向に整列した状態で挿通可能な形状である。なお、本実施形態では、上下方向に長い略長円形の形状とされる。
【0070】
また、図14(b)に示されるように、後側壁部222には、貫通孔225の両脇に、後側壁部222の外側面から形成される凹部231が形成されている。凹部231の形状は任意であり、図14(b)に示されるような貫通孔225から側面側にかけて切り欠かれた形状でもよく、略円形、略矩形の凹み等であってもよい。また、本実施形態では、左側の凹部231内にコイルスプリングSPが配置されており、コイルスプリングSPの一端は凹部231から突出している。そして、制動装置1000の組立時において、ケース10Aの内壁と当接し、スライダー220を前方に付勢する。なお、図14ではコイルスプリングSPの凹部231から突出している部分を省略している。また、右側の凹部231内にコイルスプリングSPを配置してもよい。更に、左右両方の凹部231内にコイルスプリングSPを配置してもよい。
【0071】
このような形状のスライダー220の左右方向の大きさは、ケース10Aの幅方向の内壁間の距離と概ね同じであり、スライダー220の前後方向の大きさは、ケース10Aの前後方向の内壁間の距離よりも小さくされる。したがって、スライダー220がケース10Aの空間内に配置されると、スライダー220の天壁部221及び底壁部223の側面がケース10Aの幅方向において内壁面に当接して、スライダー220はケース10Aに対して幅方向に動きが規制される。この状態において、ケース10Aのガイド溝113とスライダー220の貫通孔225とが互いに前後方向に並ぶ。つまり、貫通孔225は、コードCDをスライダー220内に挿通するための孔である。一方、スライダー220がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー220とケース10Aの内壁面との間には、前後方向に隙間が生じ、スライダー220はケース10Aに対して前後方向に動くことができる。また、スライダー220がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー220の後側壁部222の凹部231から突出するコイルスプリングSPがケース10Aの後方の内壁を押圧する。したがって、スライダー220がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー220は、前方側に位置し、ケース10A内において前方に押圧された状態となる。
【0072】
ここで、図15を用いて、スライダー220の突起230について詳細に説明する。図15に示されるように、制動装置1000を組み立てる際には、ケース10A内部の下方にスライダー220が位置するように配置し、両者が接近するように上下方向に相対移動させる。そして、ケース10Aの内部に設けられた溝118にスライダー220に設けられた突起230を通す。なお、図15(a)において、可視性を高めるために溝118を強調して表している。そして、図5に示すように、突起230が支持溝114まで到達するまでケース10Aとスライダー220を近づける。すると、スライダー220に設けられたコイルスプリングSPがケース10Aの後方の内壁と当接し、スライダー220を前方に付勢することにより、突起230が溝118よりも前方に位置することとなる。このため、ひとたびケース10Aにスライダー220を取り付けると、突起230が支持溝114から外れることを防止できる。なお、溝118は制動装置1000の組み立て時のみならず、分解時においても突起230を通す役割をする。この場合、コイルスプリングSPの付勢力に抗してスライダー220をケース10Aに対して相対的に後方に移動させ、突起230が溝118の位置まで到達したときに、スライダー220をケース10Aに対して相対的に下側に移動させればよい。
【0073】
このような構成とすることで、スライダー220をケース10A内部において浮き状態で支持することが可能となる。そのため、スライダー220と他の部品、例えば内歯付キャリア260等との接触を防止することができ、不要な抵抗力を低減又はゼロにすることができる。したがって、各部材の消耗を低減することが可能となる。
【0074】
1-2-4<アイドルローラ40、ローレット240及びピニオンギア50>
次に、図3及び図16を用いて、アイドルローラ40、ローレット240及びピニオンギア50について説明する。
【0075】
アイドルローラ40は、ローラ部42及び軸芯41で構成される。また、アイドルローラ40は、ローレット240の軸芯31と平行な軸芯41と、軸芯41の外周面を覆うローラ部42とを有する。したがって、ローレット240の回転軸とアイドルローラ40の回転軸とは互いに平行とされる。アイドルローラ40のローラ部42の外径は、ローレット240の外径よりも大きくされている。アイドルローラ40のローラ部42の外周面は、金属の平坦な面よりも摩擦係数が高い状態とされる。また、軸芯41の両端部は、ローラ部42から露出している。
【0076】
ローレット240の中心には軸芯31の一端が挿入されている。そして、軸芯31の他端には、ピニオンギア50が挿入されている。ローレット240は任意の材料で形成することができ、例えばステンレスを用いることが可能である。
【0077】
アイドルローラ40及びローレット240はスライダー220の内部に保持される。また、ピニオンギア50は、スライダー220の外部に保持される。ここで、図10を用いてローレット240、スライダー220及びピニオンギア50の位置関係について説明する。図10は、本実施形態に係る制動装置1000の左側面から見て軸芯31の略中心を通る断面図の一部である。図10に示されるように、制動装置1000の組み立て時において、ローレット240とピニオンギア50でスライダー220の底壁部223を挟み込むような構成となっている。また、本実施形態では、ピニオンギア50とスライダー220の接触面積を低減すべく、ピニオンギア50に段差51が設けられる。これにより、軸芯31を介してローレット240及びピニオンギア50が一体回転するときに、ピニオンギア50とスライダー220との間の摺動抵抗を低減することができる。これにより、回転動作を滑らかにすることが可能となる。なお、抵抗を低減するために、本実施形態では、ピニオンギア50の下側において、ワッシャー241(図2及び図3参照)を軸芯31にかましている。
【0078】
1-2-5<内歯付キャリア260及び遊星歯車280>
次に、図2及び図16を用いて内歯付キャリア260及び遊星歯車280について説明する。本実施形態では、内歯付キャリア260は、平面視において略ドーナツ形状である。内歯付キャリア260は、円柱部264から平面視において外側に突出するフランジ262を備える。
【0079】
円柱部264の内側の内周面には、ピニオンギア50と歯合する内歯車261が形成される。そして、フランジ262には、鉛直方向において下向きに突出する支持軸263が形成される。支持軸263の個数は特に限定されないが、特に等間隔であることが好ましい。なお、本実施形態では、一例として支持軸263が4つ設けられた構成としている。
【0080】
そして、支持軸263にはそれぞれ、遊星歯車280が回転可能に支持されている。遊星歯車280は、後述する太陽歯車323と、ケース10Aの内部に設けられた内周ギア115と互いに歯合する。そして、内歯車261の中心部を中心として公転することが可能である。したがって、ピニオンギア50の回転が内歯車261に伝達されることにより内歯付キャリア260が回転し、それにともない内歯付キャリア260のフランジ262に設けられた支持軸263に回転可能に支持された遊星歯車280が回転することで、ピニオンギア50に起因する回転を増速させることが可能となる。また、遊星歯車280には段差281が設けられている。かかる段差により、他の部材との接触を回避することが可能となる。
【0081】
1-2-6<太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340>
次に、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340について、図2及び図16を用いて説明する。太陽歯車付ウェイトホルダ320は、リング状のリング部324の外方に向かって、凸部321(特許請求の範囲における「当接部」の一例)及び凹部322(特許請求の範囲における「載置部」の一例)が交互に並んで形成される。図2に示されるように、リング部324の外側の外周面には、遊星歯車280と歯合する太陽歯車323が、回転軸が凸部321の延在方向と略垂直方向を向くように設けられる。そして、それぞれの凹部322には、ウェイト340が配置される。つまり、太陽歯車付ウェイトホルダ320は、制動装置1000の組み立て時において、凸部321を境としてそれぞれの凹部322内にウェイト340を保持する部材であるとも言える。なお、ウェイト340の数は複数であれば任意であるが、回転時におけるバランスの観点から等間隔であることが好ましい。なお、本実施形態では、一例として8つのウェイト340を用いている。したがって、凸部321及び凹部322もそれぞれ8つずつ設けられている。すなわち、凹部322は、それぞれが等間隔且つ太陽歯車付ウェイトホルダ320の自転中心から等距離に配置されることとなる。
【0082】
本実施形態では、各ウェイト340には、ベース70側に突起341が設けられる。かかる突起341により、ベース70と当接する際における抵抗を低減することが可能となる。突起341の数は任意であるが、本実施形態では、一例として4つの突起341を設けている。
【0083】
また、各ウェイト340に突起341を設ける代わりに、ベース70に溝を設けることにより、ウェイト340とベース70との抵抗を低減することが可能となる。例えば、図4に示されるように、ベース70の底部に、周囲より高さの低い溝709(図4のリング状のハッチング部分)を設ける。そして、その上にウェイト340を配置する。このとき、ウェイト340に突起341を設けなくとも、ベース70に溝709が設けられたことにより、ウェイト340とベース70との接触面積が低減することにより、ウェイト340とベース70との抵抗を低減することが可能となる。
【0084】
ウェイト340は、ピニオンギア50に起因する回転時において、遠心力により内歯車261の中心から遠ざかる方向に移動し、ケース10Aの内周壁と当接することにより、回転に対して遠心ブレーキとして抵抗力を付与するものである。したがって、ケース10Aの内周壁、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340により、抵抗付与部としての作用を奏することが可能となる。
【0085】
本実施形態に係るウェイト340は、太陽歯車付ウェイトホルダ320と別体に構成されることより、必ずしも太陽歯車付ウェイトホルダ320における凹部322とウェイト340の個数が一致する必要はない。つまり、太陽歯車付ウェイトホルダ320における凹部322は、本実施形態では8個としているが、8個全ての凹部322にウェイト340を載置する必要はなく、製品ごとや使用、経年に応じて変化する所望する制動力に合わせてウェイト340の個数を調節することができる。更に、着脱可能に構成されていることから、ウェイト340の種類(材料・材質、サイズや摩擦係数等を含む)を変化させることにより、制動力を調節することもできる。例えば、ウェイト340の材質に着目するならば、例えば、ウェイト340は、鉛製のものであってもよいし樹脂製のものを用いてもよい。これらを任意に選択し組み合わせることで、制動力を調節することができる。ただし、あくまでも例示でありこの限りではない。また、ウェイト340のサイズに着目するならば、図25(a)に示される通常サイズのウェイト340(比較のため便宜的にウェイト340aと表示)と、図25(b)に示される通常の半分サイズのウェイト340bとを用いてもよい。これらを任意に選択し組み合わせることで、制動力を調節することができる。本例においては、ウェイト340bは、ウェイト340aから径方向外側の領域半分を占めるように形成されており、使用する際に太陽歯車付ウェイトホルダ320における凹部322の領域内で無駄な動きがない構成となっている。もちろんこれに限定されるものではなく、不図示ではあるが径方向内側の領域半分を占めるように形成されてもよいし、3種類以上に係るサイズのウェイト340を用意してもよい。更に、1つの凹部322に1つのウェイト340が載置可能に構成されなくてもよく、1つの凹部322に複数のウェイト340が載置される構成であってもよい。
【0086】
図20(a)~(d)及び図26に一例を示す。図26は、ウェイトを1個しか保持することができないウェイトホルダ320aの例であり、ウェイト340がウェイトホルダ320aに載置されている。このようなウェイトホルダ320aを使用する場合には、ウェイト340の個数によって制動力を調節することができない。一方、図20(a)~(d)は、本実施形態に係る太陽歯車付ウェイトホルダ320と、その凹部322に載置するウェイト340の個数を変化させた場合、すなわち2個、3個、4個、8個とした場合を示している。何れの場合においても、凹部322は、それぞれが等間隔且つ太陽歯車付ウェイトホルダ320の自転中心から等距離に配置されているので、回転時におけるバランスの観点から太陽歯車付ウェイトホルダ320を等間隔に配置することが可能となっている。また図示の通り、凹部322は、ウェイト340の形状と略等しいことにも留意したい。本例では、ウェイト340に合わせて凹部322は、略台形状又は略部分円環形状を有している。
【0087】
つまり、遮蔽装置100を含む遮蔽装置に対して、制動装置1000を設ける際に、ウェイト340の個数又は種類を遮蔽装置によって変えることを特徴とする、遮蔽装置の製造方法が実現される。
【0088】
なお、制動装置1000の組み立て時においては、内歯付キャリア260と太陽歯車付ウェイトホルダ320が、プレート300を介して組み立てられる。具体的には、内歯付キャリア260の円柱部264を太陽歯車付ウェイトホルダ320のリング部324に挿入するように組み立てる。したがって、円柱部264の直径は、リング部324の直径よりもわずかに小さく設計される。
【0089】
ここで、プレート300は、遊星歯車280の傾きを防止するとともに、遊星歯車280とウェイト340の干渉を防ぐ機能を有する。プレート300は、リング形状を有し、太陽歯車付ウェイトホルダ320における凸部321に係る上面に載置される。また、プレート300の上面は、遊星歯車280の下面、特に本実施形態では段差281に囲まれて規定される面(特許請求の範囲における「当接面」の一例)と略当接(又は間隔が略0ミリメートル)している。なお、ウェイト340は、制動装置1000全体の厚さを薄くするために、なるべく薄く形成されることが好ましい。特に、プレートの厚さは、0.01~0.2ミリメートルであることが好ましく、0.05~0.15ミリメートルであることが更に好ましい。また0.01,0.02,0.03,0.04,0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.10,0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.20ミリメートルのうち何れか2つの数値の間であってもよい。更に、プレート300は、薄く形成するため金属製とするのが好ましいが、技術的に可能である場合には、プレート300を樹脂形成してもよい。この場合、太陽歯車323と一体形成としてもよい。つまり、プレート300は、運動変換部と抵抗付与部とを隔てるように設けられることとなる。
【0090】
1-2-7<ベース70>
次に、図2図3図6(b)及び図16を用いて、ベース70について説明する。図2及び図3に示されるように、ベース70の略中央には、周囲より嵩高くなっており、下側が凹んでいる円柱部708が設けられる。そして、図2及び図6(b)に示されるように、円柱部708の上面に第1ベース溝706、第1ガイド壁706A、第2ベース溝707、第2ガイド壁707Aが設けられる。
【0091】
第1ベース溝706及び第1ガイド壁706Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第1天壁溝16及び第1ガイド壁16Aに相当するものである。そして、軸芯31の下端が第1ベース溝706を挿通し、その縁に形成された第1ガイド壁706Aと当接する。同様に、第2ベース溝707及び第2ガイド壁707Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第2天壁溝17及び第2ガイド壁17Aに相当するものである。そして、軸芯41の下端が第2ベース溝707を挿通し、その縁に形成された第2ガイド壁707Aと当接する。
【0092】
なお、円柱部708は必須ではないが、円柱部708を設ける等して下側をへこませる
ことにより、軸芯31及び軸芯41の下端が、制動装置1000を載置する載置面と接触することを防ぎ、軸芯31及び軸芯41の下端を適切に挿通することが可能となる。
【0093】
また、ベース70は、左右の側面の両端にそれぞれ2つの第1係合板部701Aが設けられる。そして、前方の側面の両端に2つの第2係合板部701Bが設けられ、後方の側面の略中央に1つの第2係合板部701Bが設けられる。第1係合板部701Aは、ケース10Aに設けられた第1係合溝111Aと係合するものである。また、第2係合板部701Bは、ケース10Aに設けられた第2係合溝111Bと係合するものである。これにより、ケース10Aとベース70が係合され、筐体を形成する。
【0094】
更に、図3図6(b)及び図16等に示されるように、ベース70の底面の外側には、遮蔽装置のヘッドボックス内に制動装置1000を配置するときに利用する取付筒702が設けられる。例えば、ヘッドボックス内に設けられた軸等の部材に取付筒702をはめ込むことにより、制動装置1000をヘッドボックス内にて安定して配置させることが可能となる。
【0095】
1-3<組立構成>
次に、これら各部材を組み立てた状態について、図5図9を用いて説明する。図5は、これらの部材を組み合わせて構成された制動装置1000の組立図である。図5に示されるように、制動装置1000の外観は、ケース10A及びベース70が接続された筐体と、ケース10Aの上方から被せるようにして配置された整列部材200からなる。かかる組立は、図2及び図3に示されるように、各部材同士の中心軸を上下方向に重ねあわせた状態でなされる。具体的には、内歯付キャリア260と、ウェイト340を保持した太陽歯車付ウェイトホルダ320が、プレート300を介して組み立てられる。このとき、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280と、太陽歯車付ウェイトホルダ320に設けられた太陽歯車323とが互いに歯合するようにする。
【0096】
そして、スライダー220の第1天壁溝226及び第1底壁溝228に軸芯31を水平方向に移動させながらスライドさせる。このとき、ローレット240はスライダー220の内部に、ピニオンギア50はスライダー220の外部に位置するようにされる。また、第2天壁溝227及び第2底壁溝229に軸芯41水平方向に移動させながらスライドさせる。このとき、ローラ部42がスライダー220の内部に位置するようにされる。そして、内歯付キャリア260に設けられた内歯車261とピニオンギア50が互いに歯合するように、スライダー220と内歯付キャリア260が互いに近づくように相対移動させる。
【0097】
その後、これらの部材の下側にベース70を配置し、図15に示されるように、スライダー220の突起230がケース10Aの溝118を通るようにしてケース10Aを上方から被せる。このとき、スライダー220に設けられたコイルスプリングSPがケース10Aの内周壁と当接し、スライダー220が前方に付勢され、突起230が支持溝114から抜け落ちないことを確認する。そして、ケース10Aに設けられた第1側壁孔119A及び第2側壁孔119Bと、ベース70に設けられた第1係合板部701A及び第2係合板部701Bを互いに係合させ、ケース10Aとベース70を固定する。
【0098】
最後に、ケース10A及びベース70で構成される筐体の上方から、整列部材200を被せる。そして、整列部材200に設けられた爪部209を、ケース10Aに設けられた係合孔19と係合させ、整列部材200とケース10Aを固定する。
【0099】
このようにして組み立てられた制動装置1000が、図5に示されるものである。そして、制動装置1000の組立が完了すると、1本目のコードCDが整列部材200の前方壁部205の外側であり第1前方溝201の上方に位置するように配置される。そして、2本目のコードCDが整列部材200の第1前方コード挿入部201Aを介して第1前方溝201に挿通される。そして、3本目のコードCDが第2前方コード挿入部202Aを介して第2前方溝202に挿通される。
【0100】
そして、これらのコードCDがケース10Aの前後に設けられたガイド溝113及びスライダー220の前後に設けられた貫通孔225に通される。
【0101】
そして、かかるコードCDのうち、1本目のコードCDが、整列部材200の後方壁部206の外側であり第1後方溝203の上方に位置するように通される。そして、2本目のコードCDが、整列部材200の後方壁部206に設けられた第1後方コード挿入部203Aを介して第1後方溝203から外部に通される。そして、3本目のコードCDが、第2後方コード挿入部204Aを介して第2後方溝204から外部に通される。これにより、図5(a),(b)に示される状態となる。
【0102】
図5(c)は、制動装置1000の左側面図、つまり、図5(a)の矢印X方向から見た側面図である。図5(c)に示されるように、制動装置1000は、側面視において、上側からケース10A、整列部材200、ベース70が視認されることとなる。また、支持溝114により突起230が支持されていることが伺える。
【0103】
図6(a)に示されるように、制動装置1000は、その平面視において、中心から順にケース10A、整列部材200、ベース70の一部の順に視認できる。ここで、図5(a),(b)及び図6(a)に示されるように、軸芯31の上端が、スライダー220に設けられた第1天壁溝226からケース10Aに設けられた第1天壁溝16を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。同様に、軸芯41の上端が、スライダー220に設けられた第2天壁溝227からケース10Aに設けられた第2天壁溝17を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。
【0104】
そして、第1天壁溝16の縁に設けられた第1ガイド壁16Aが軸芯31と当接し、第2天壁溝17の縁に設けられた第2ガイド壁17Aが軸芯41と当接している。
【0105】
また、図6(b)に示されるように、ベース70は、その底面視において、第1ベース溝706に挿通された軸芯31の下端と、第2ベース溝707に挿通された軸芯41の下端を視認することができる。なお、取付筒702が設けられる面において、円柱部708の上を面で覆うことにより、軸芯31及び軸芯41の下端が外部から覆われる構成としてもよい。
【0106】
1-3-2<組立状態における内部構造>
次に、図7図9を用いて、組立状態における内部構造について説明する。図7は、図5の状態から整列部材200及びケース10Aを取り外した状態における斜視図である。図7に示されるように、スライダー220の上方に軸芯31及び軸芯41が突出している。また、軸芯31は、第1天壁溝226内においてスライダー220の幅方向に動きが規制される。同様に、軸芯41は、第2天壁溝227内においてスライダー220の幅方向に動きが規制される。なお、図示を省略しているコードCDは、スライダー220の貫通孔225に縦に整列された状態でスライダー220の前後方向に挿通される。
【0107】
図8は、図7の状態から更にスライダー220を取り外した状態における斜視図である。図示を省略したコードCDは、ローレット240及びローラ部42に挟着された状態で、制動装置1000の前後に挿通される。また、ピニオンギア50と内歯車261は互いに歯合している。したがって、コードCDに張力がかかったときに、コードCDとローレット240の間で摩擦力が発生し、それによりローレット240と一体となってピニオンギア50が回転すると、ピニオンギア50の回転が内歯車261に伝達される。その結果、内歯車261が自転することにより、内歯付キャリア260とともにそのフランジ262に設けられる支持軸263も公転する。それに伴い、支持軸263に回転可能に支持される遊星歯車280が自転しながら公転を開始する。
【0108】
図9は、図8の状態から更に内歯付キャリア260を取り外した状態における斜視図である。図9に示されるように、遊星歯車280と太陽歯車323は互いに歯合している。したがって、遊星歯車280の回転が太陽歯車323に伝達され、太陽歯車付ウェイトホルダ320が自転を開始する。その結果、図16に示されるように、太陽歯車付ウェイトホルダ320の凹部322に保持されたウェイト340が自転を開始する。そして、回転速度がある一定値を上回ると、遠心力によりウェイト340がケース10Aの内壁と当接する。これにより、ローレット240の回転に対して抵抗力が与えられる。
【0109】
次に、図17及び図18を用いて、組立状態における各部材間の相対位置について更に詳細に説明する。図17は、図5(c)のA-A線切断部断面図である。図17に示されるように、軸芯31を中心とするピニオンギア50と、内歯付キャリア260に設けられる内歯車261とが互いに歯合している。また、内歯車261の回転は、内歯付キャリア260の支持軸263を介して遊星歯車280に伝達されるように構成される。そして、遊星歯車280は、太陽歯車付ウェイトホルダ320に設けられた太陽歯車323及びケース10Aの内部に設けられた内周ギア115と互いに歯合する。したがって、ピニオンギア50に起因する回転が加えられることにより、遊星歯車280は太陽歯車323と内周ギア115の間に形成される空間内を、内歯車261の中心部を中心として公転することが可能となる。
【0110】
図18は、図6(a)のB-B線切断部断面図である。図18に示されるように、本実施形態では、B-B線切断部断面図は取付筒702を中心として略左右対称となっている。そして、軸芯31及び軸芯41がケース10Aの上端及びベース70の下端から突出している。なお、本実施形態では、第1ガイド壁16A及び第2ガイド壁17Aの上端が、それぞれ軸芯31及び軸芯41の上端と略同じ高さとなっている。
【0111】
そして、ローレット240及びローラ部42がスライダー220の内部に位置している。更に、ローレット240とともにスライダー220を挟んだ状態で、ピニオンギア50がスライダー220の外部に位置している。また、ピニオンギア50と内歯車261が互いに歯合している。
【0112】
そして、ケース10Aの上側から鍔部13にかけて、整列部材200で覆われている。また、ケース10Aはその下端においてベース70と係合している。そして、ベース70の上部には、ウェイト340が保持されている。ここで、本実施形態では、ウェイト340を着脱式としているので、必要な制動力をウェイト340の数又は種類により調整することが可能となる。つまり、大きな制動力が求められる場合にはウェイト340の数を増やしたり、他のより密度の高いウェイトを太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持すればよい。一方、小さな制動力で十分な場合には、ウェイト340の数を減らせばよい。なお、ウェイト340は、回転時における安定性の観点から、太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持される面上において対称配置することが好ましい。なお、本実施形態では、ウェイト340に設けられた突起341とベース70の底面が当接することにより、回転時におけるウェイト340とベース70との間の抵抗力を低減している。
【0113】
1-4<動作>
次に、図19を用いて本実施形態に係る制動装置1000の動作について説明する。図19(a)はコードCDに何ら張力が与えられない状態(定常状態)、図19(b)はコードCDに張力が与えられ、ローレット240及びローラ部42でコードCDが挟着された状態(挟着状態)、図19(c)は図19(a)から図19(b)へ状態変化する際における各部材の回転方向をまとめた図である。なお、図19(a),(b)はともに、図17と同様に、図5(c)のA-A線切断部断面図である。ここで、説明の都合上、かかる断面図には現れないローラ部42の外周を軸芯41の周囲に、ローレット240の外周を軸芯31の周囲に重ねて表示した。なお、ローレット240の外周は厳密には円形ではないが、説明の簡略化のため、円形に近似して図示している。
【0114】
図19(a)に示されるように、定常状態において、上記のように、コイルスプリングSPは、ケース10Aの後方の内壁と当接し、スライダー220を前方に押圧する。したがって、スライダー220はケース10Aの前方に位置する。このため、スライダー220の第1天壁溝226及び第1底壁溝228により位置が規制されている軸芯31と、第2天壁溝227及び第2底壁溝229により位置が規制されている軸芯41と、がスライダー220とともに前方に移動する。更に、スライダー220の上部に保持されるケース10Aに設けられた第1天壁溝16と第2天壁溝17は、前方に向かうにつれて互いに距離が小さくなっている。同様に、ベース70に設けられた第1ベース溝706及び第2ベース溝707は、前方に向かうにつれて距離が小さくなっている。したがって、軸芯41に回転可能に支持されるローラ部42と、軸芯31に回転可能に支持されるローレット240との距離も小さくなる。つまり、第1天壁溝16及び第1ベース溝706は、ローレット240の軸芯31が移動可能に嵌合し、ローレット240が溝に沿わない動きをすることを規制する規制溝として機能する。同様に、第2天壁溝17及び第2ベース溝707は、ローラ部42の軸芯41が移動可能に嵌合し、ローラ部42が溝に沿わない動きをすることを規制する規制溝として機能する。また、第1天壁溝16及び第1ベース溝706は、内歯付キャリア260の内周面の中心点と平面視において同心円上に形成されるため、軸芯31がそれぞれの溝内を移動しても、ピニオンギア50は内歯付キャリア260に設けられた内歯車261に歯合し続けることができる。
【0115】
このように、ローレット240とローラ部42との距離が小さくなると、ローレット240はローラ部42に押圧され、ローレット240とローラ部42でコードCDが狭持される。つまり、本実施形態では、コイルスプリングSPは、ローレット240がローラ部42に押圧されるように、ローレット240を常時付勢する付勢部材としても機能する。
【0116】
そして、定常状態の制動装置1000において、コードCDに矢印D1の向き(前方)に張力を与えたとする。すると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローレット240が反時計回りに、ローラ部42が時計回りに回転する。そして、ローレット240の回転により、同じ軸芯31を共有して固定されているピニオンギア50もローレット240と同じ向き(反時計周り)に回転(自転)する。この際、図19(b)に示されるように、軸芯31及び軸芯41は、平面視において前方に移動し、左右方向において互いに近接して、ローレット240とローラ部42によるコードCDの挟着力が強くなり、コードCDの移動に応じてローレット240が確実に回転するようになる。すると、ピニオンギア50は内歯車261と歯合しているので、ピニオンギア50の歯から与えられる力により、内歯車261が反時計周りに回転(自転)する。これにより、内歯車261とともに内歯付キャリア260も反時計周りに回転(自転)するので、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280も同様に反時計周りに回転(公転)する。ここで、遊星歯車280は太陽歯車323及びケース10Aにより固定された内周ギア115と互いに歯合しているので、公転方向とは逆向き(時計回り)に自転しつつ、反時計周りに公転することとなる。したがって、遊星歯車280の内側で遊星歯車280と歯合する太陽歯車323は、遊星歯車280の自転と逆向き(反時計周り)に回転(自転)する。このとき、遊星歯車280により、太陽歯車323の回転は増速される。これにより、太陽歯車323とともに回転する太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持されるウェイト340も回転を開始する。なお、すでに述べた通り、遊星歯車280の外側で遊星歯車280と歯合する内周ギア115は、ケース10Aとベース70が固定されているため、遊星歯車280の回転時においても回転しない。
【0117】
そして、図19(b)に示されるように、ローレット240とローラ部42が限界まで近づく(挟着状態)と、ローレット240の自転は続くもののローレット240の内歯車261に沿った移動が停止する。このとき、ローレット240の自転に起因した他の部材の回転は継続される。すると、遠心力によりウェイト340がケース10Aの内周壁に当接することにより、回転に対して抵抗力が生じる。つまり、コードCDの移動速度が上昇することで回転速度が上昇し、これにより遠心力が上昇する。そして、遠心力が上昇することによりウェイト340がケース10Aの内周壁により強く当接することになり、抵抗力が上昇する。これにより、コードCDの移動速度(日射遮蔽部材の落下速度)を抑えることができる。ここで、コードCDに加えられる張力が略一定の場合(例えば、制動装置1000の前方側のコードCDに昇降可能に吊持される日射遮蔽部材が自由落下する場合)には、コードCDに加えられる張力とウェイト340とケース10Aの内周壁による抵抗力が釣り合うところで、コードCDの移動速度が略一定となる。したがって、制動装置1000は、コードCDの移動に対する回転ダンパとして機能し、日射遮蔽部材をゆっくりと降下させることが可能となる。
【0118】
以上説明した、定常状態から挟着状態までの挟着状態の変化について、各部材の回転方向(ピニオンギア50については、更に平面視における前後方向及び締め付け方向も含む)をまとめたものが図19(c)である。
【0119】
一方、コードCDに矢印D1と逆向き(後方)に張力を与えた場合には、ローレット240及びローラ部42が上記と逆向きに回転する。その結果、軸芯31及び軸芯41が第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って互いに離間するように移動する。すると、コードCDに対するローレット240の挟着力が弱まり、弱い力でコードCDを引っ張ることが可能となる。したがって、ヘッドボックス内に制動装置1000を設ける場合には、図19において前方にコードCDに張力が加わる向きを日射遮蔽部材の下降する向きとし、後方にコードCDに張力が加わる向きを日射遮蔽部材の上昇する向きとすると好適である。
【0120】
以上説明したように、本実施形態に係る制動装置1000は、コードと挟着体が一方向に相対移動するときコードを挟着体が挟着し、他方向へ相対移動するときコードが非屈曲状態で解除されるよう挟着状態が変化するよう構成された制動装置と言うことができる。ここで、コードが解除されるとは、コードの移動を許容する状態のことであり、コードと挟着体の接触・非接触を問わない。
【0121】
<作用・効果>
本実施形態に係る制動装置1000により、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)コードCDの自由移動時において屈曲しない(非屈曲)ために、屈曲抵抗が小さくなり、よりスムーズにコードCDが移動することが可能になる。
(2)引き操作時において操作力を低減し、自動動作(自動降下)時に確実にコードCDを挟着し、意図しない落下を防止することができる。
(3)コードCDに前方へ張力が与えられる場合には、ローレット240及びローラ部42が互いに近接するように移動することにより、コードCDを強く挟着することができ、ローレット240を確実に回転させ、回転をピニオンギア50に伝えることができる。
(4)コードCDに後方へ張力が与え得られる場合には、ローレット240及びローラ部42が互いに離間するように移動することにより、コードCDへの挟着力を弱め、コードCDの自由移動を許可することができる。
(5)筐体(ケース10A及びベース70)に設けられた規制溝により、ローレット240及びローラ部42が意図しない向きに移動することを防止することができる。
(6)スライダー220を浮き状態で保持することにより、抵抗力を低減し、部材の消耗を抑えることができる。
(7)ケース10Aの内部に波形部116や段差117を設けたことにより、摩擦抵抗を低減することができる。
(8)ウェイト340に設けた突起341により、抵抗力を低減することができる。
(9)プレート300により遊星歯車280の傾きを防止するとともに、遊星歯車280とウェイト340の干渉を防ぐことができる。
(10)上記干渉を防止しつつもプレート300を薄型のものとすることで制動装置1000を小型化することができる。
(11)第1ガイド壁16A及び第2ガイド壁17Aにより、軸芯31及び軸芯41からの圧力でケース10Aが削れることを防止することが可能となる。
(12)ピニオンギア50に段差51を設けたことで、ピニオンギア50とスライダー220との間の摺動抵抗を低減することができる。
(13)ウェイト340を着脱式としているので、必要な制動力をウェイト340の数又は種類により調整することが可能となる。
(14)運動変換部に係る機構と抵抗付与部に係る機構が略垂直に位置するように配置されることにより、制動装置1000全体の平面視における面積を低減することが可能となる。
【0122】
2.変形例
本発明に係る遮蔽装置100は、以下の態様においても実施することができる。
【0123】
本発明の遮蔽装置100は、上記実施形態の遮蔽装置100と異なる構成であってもよい。例えば、図21に示されるように、ねじ111等を用いて窓枠110に制動装置1000を固定するようにしてもよい。また、グリップ109の内部に制動装置1000を設けてもよい。更に、昇降コード102の通過経路の任意の場所に制動装置1000を設けることとしてもよい。
【0124】
本実施形態に係る遮蔽装置100において、制動装置1000は、8個のウェイト340を保持可能な太陽歯車付ウェイトホルダ320を具備しているが、かかる数は8個に限定されるものではない。好ましくは、2~16個であり、更に好ましくは、4~18個である。また、偶数個であることが好ましい。
【0125】
上述の実施形態は、ケース10A(上ケース)とベース70(下ケース)が係合され、筐体を形成し、このような構成によって制動装置1000における所望の制動力を得るために又は当該制動力を調節するために、太陽歯車付ウェイトホルダ320に載置するウェイト340の個数を変更することができる。しかしながら当該構成には限られず、図21(a)及び(b)に示されるように、変形例に係る制動装置2000が、例えば両者の一部がヒンジ機構10Bcで固定されていて、ウェイト340等を収容する収容手段たる下ケース10Bbとそれを遮蔽する蓋手段たる上ケース10Baとから構成されてもよい。すなわち、図22に(a)及び(b)に示されるように、蓋手段たる上ケース10Baが収容手段たる下ケース10Bbから開閉可能に構成されることとなる。いずれにしても、制動装置2000における所望の制動力を得るために又は当該制動力を調節するために、太陽歯車付ウェイトホルダ320に載置するウェイト340の個数を変更することができる。
【0126】
上述の実施形態では、太陽歯車付ウェイトホルダ320は、ウェイト340を載置可能な凹部322(特許請求の範囲における「載置部」の一例)を8個有するものであったが、かかる個数は限定されない。例えば図23に示される変形例に係る制動装置3000において、ウェイトホルダ320bは、ウェイト340を載置できる載置部322bを4個備えている。すなわちウェイト340を最大で4個まで載置でき、かかる場合であってもウェイト340の個数を変更することができる。
【0127】
上述の実施形態では、太陽歯車付ウェイトホルダ320は、ウェイト340を載置可能に構成され、ウェイト340が摺動抵抗を発生させる回転抵抗体として機能するものであった。これに代えて、図24に示されるような、回転することによって空気抵抗を発生させる風切り羽根340cを回転抵抗体として採用してもよい。かかる場合、風切り羽根340cは、ホルダ320cに着脱可能に構成される。図24に示される例においては、風切り羽根340cは、ホルダ320cの回転に係る径方向外側に延在する風切り羽根支持部321cに保持される。具体的には、図24に示されるように、風切り羽根340cが係合溝340eを備え且つ風切り羽根支持部321cが係合溝321eを備えている。つまり、風切り羽根340cを風切り羽根支持部321cにスライドさせることで2つの係合溝321e、340eが係合する構成となっている。ただしあくまでも例示でありこの限りではない。風切り羽根340cは、風切り羽根支持部321cに比して高さ方向に広がりを有する抵抗発生面340dを備えているため、回転時に風切り羽根340cを保持させない場合に比して大きな空気抵抗を発生させることができる。なお、図24においては、抵抗発生面340dは長方形として図示されているが、これに限定されず例えば台形や正方形を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上説明したように、本発明によれば、コードに対して適切に制動力を加えることができる制動装置、運動変換部及び、それを用いた遮蔽装置が提供され、生活必需品等の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
10A :ケース
10Ba :上ケース
10Bb :下ケース
10Bc :ヒンジ機構
11 :天壁部
12b :後側壁部
12f :前側壁部
12l :左側壁部
12r :右側壁部
13 :鍔部
13C :円筒部
13L :円筒部
16 :第1天壁溝
16A :第1ガイド壁
17 :第2天壁溝
17A :第2ガイド壁
19 :係合孔
31 :軸芯
40 :アイドルローラ
41 :軸芯
42 :ローラ部
50 :ピニオンギア
51 :段差
70 :ベース
100 :遮蔽装置
101 :日射遮蔽部材
102 :昇降コード
102c :昇降コード
102l :昇降コード
102r :昇降コード
104 :ロック部
108 :操作棒
109 :グリップ
110 :窓枠
111 :ねじ
111A :第1係合溝
111B :第2係合溝
112 :カバー部
113 :ガイド溝
114 :支持溝
115 :内周ギア
116 :波形部
117 :段差
118 :溝
119A :第1側壁孔
119B :第2側壁孔
120 :操作部
121 :コードイコライザ
122 :ボトムレール
123 :ラダーコード
124 :シャフト
130 :ヘッドボックス
131 :上面
132 :底面
133 :側面
134 :ボックスキャップ
135 :コード出口
136 :取付け凹部
200 :整列部材
201 :第1前方溝
201A :第1前方コード挿入部
202 :第2前方溝
202A :第2前方コード挿入部
203 :第1後方溝
203A :第1後方コード挿入部
204 :第2後方溝
204A :第2後方コード挿入部
205 :前方壁部
206 :後方壁部
207 :右側壁部
208 :左側壁部
209 :爪部
210 :段差
220 :スライダー
221 :天壁部
222 :後側壁部
223 :底壁部
224 :前側壁部
225 :貫通孔
226 :第1天壁溝
227 :第2天壁溝
228 :第1底壁溝
229 :第2底壁溝
230 :突起
231 :凹部
240 :ローレット
241 :ワッシャー
260 :内歯付キャリア
261 :内歯車
262 :フランジ
263 :支持軸
264 :円柱部
280 :遊星歯車
281 :段差
300 :プレート
320 :太陽歯車付ウェイトホルダ
320a :ウェイトホルダ
320b :ウェイトホルダ
320c :ホルダ
321 :凸部
321c :風切り羽根支持部
321e :係合溝
322 :凹部
322b :載置部
323 :太陽歯車
324 :リング部
340 :ウェイト
340a :ウェイト
340c :風切り羽根
340d :抵抗発生面
340e :係合溝
341 :突起
701A :第1係合板部
701B :第2係合板部
702 :取付筒
706 :第1ベース溝
706A :第1ガイド壁
707 :第2ベース溝
707A :第2ガイド壁
708 :円柱部
709 :溝
1000 :制動装置
2000 :制動装置
3000 :制動装置
CD :コード
SP :コイルスプリング
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26