(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】噴霧装置
(51)【国際特許分類】
B05B 7/30 20060101AFI20220113BHJP
B05B 7/08 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B05B7/30
B05B7/08
(21)【出願番号】P 2017075002
(22)【出願日】2017-04-05
【審査請求日】2020-04-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-261657(JP,A)
【文献】特開2014-039916(JP,A)
【文献】特開2003-088781(JP,A)
【文献】特開2013-233330(JP,A)
【文献】特開2014-114891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/30
B05B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体とともに気体を噴霧させる噴霧器と、前記気体が充填されたボンベを収容するケース本体とがチューブで接続された噴霧装置であり、
前記噴霧器は、前記気体を噴出するガスノズルと、前記液体を噴出する液体ノズルと、前記ガスノズルと前記液体ノズルとを所定の位置関係で保持するノズル保持部と、前記チューブを介して前記ケース本体に接続されるとともに前記気体を噴出させる操作を行うハンドル部と、を備え、
前記ハンドル部が、前記ガスノズルに接続されて前記気体の通路の一部を構成する中継管を有し、前記ノズル保持部に対して着脱自在とされ、
前記ガスノズル及び前記中継管が、前記ハンドル部の取り付けによって接続され、取り外しによって離脱される接続構造を備え、
前記ハンドル部及び前記ノズル保持部が、前記ハンドル部の着脱方向に対して同じ向きに傾斜するハンドル側傾斜部及びノズル側傾斜部を有し、
前記ハンドル部が前記ノズル保持部に取り付けられている状態において、前記ハンドル側傾斜部と前記ノズル側傾斜部とが前記着脱方向に近接または当接して配される噴霧装置。
【請求項2】
前記中継管が、前記ガスノズルに接続されるノズル接続部を有し、
前記ノズル接続部の少なくとも一部が、前記ハンドル部のうち前記ノズル保持部に対する取り付け方向前側の縁部から突出している請求項1に記載の噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体とともに気体を噴霧させる噴霧装置が知られている。
例えば下記特許文献1に記載の噴霧装置(以後、第1噴霧装置と称する)は、液体が収容された液体容器と、気体が充填されたボンベを収容するケース本体とが一体的に取り扱われるものである。液体容器とケース本体とは、ケース本体の凹部(結合部)に液体容器の凸部(接続部)が隙間なく嵌合され、または、液体容器の凹部(接続孔)にケース本体の凸部(導管)が隙間なく嵌合されることで結合される。液体容器及びケース本体の凸部と凹部とが嵌合することにより、ケース本体の気体流路と液体容器のノズルとが連通される。ケース本体には、気体を噴出させる操作を行う操作部材が設けられている。ケース本体を把持して操作部材を押し下げることにより、ボンベ内の圧縮空気がノズルから噴出する。しかしながら、操作部材とケース本体とが一体化している構成では、操作時にケース本体を把持しなければならないため、取り扱いが容易ではないという問題がある。
【0003】
そこで、例えば下記特許文献2に記載の噴霧装置(以後、第2噴霧装置と称する)が知られている。この噴霧装置は、液体ノズルとガスノズルとを有して液体とともに気体を噴霧させる噴霧器と、気体が充填されたボンベを収容するケース本体とがチューブで接続されたものである。噴霧器は、液体を収容する液体容器と、気体を噴出させる操作を行うハンドル部とを有し、ハンドル部と液体容器とは着脱自在とされている。液体容器には、液体を噴出する液体ノズルが取り付けられ、ハンドル部には、気体を噴出するガスノズルが取り付けられている。ハンドル部を液体容器に取り付けると、液体ノズルとガスノズルとが所定の位置関係で配される。このような噴霧装置であれば、噴霧器がケース本体と別体に設けられていることにより、ケース本体を把持する必要がないため、取り扱いが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-249193号公報
【文献】特開2014-39916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第1噴霧装置のように、凸部と凹部との嵌合により液体容器とケース本体との結合が保持される構成では、液体容器とケース本体との結合力を高めると、取り付け作業が困難になるという問題がある。すなわち、凹部に対して凸部を圧入気味に嵌合する構成であれば、結合力を高めることができるけれども嵌合作業が困難になる。一方、凹部に対して凸部を容易に嵌合する構成であれば、嵌合作業は容易にできるけれども外れやすくなるという問題がある。
【0006】
また、第2噴霧装置のように、ハンドル部を液体容器に取り付けることによって、液体ノズルとガスノズルとが所定の位置関係で配される構成では、例えばユーザーの手加減によりハンドル部の取り付け位置がずれると、ガスノズルと液体ノズルとの相対的な位置がずれ、噴霧機能が低下する虞がある。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、品質の向上を図ることが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の噴霧装置は、液体とともに気体を噴霧させる噴霧器と、前記気体が充填されたボンベを収容するケース本体とがチューブで接続された噴霧装置であり、前記噴霧器は、前記気体を噴出するガスノズルと、前記液体を噴出する液体ノズルと、前記ガスノズルと前記液体ノズルとを所定の位置関係で保持するノズル保持部と、前記チューブを介して前記ケース本体に接続されるとともに前記気体を噴出させる操作を行うハンドル部と、を備え、前記ハンドル部が、前記ガスノズルに接続されて前記気体の通路の一部を構成する中継管を有し、前記ノズル保持部に対して着脱自在とされ、前記ガスノズル及び前記中継管が、前記ハンドル部の取り付けによって接続され、取り外しによって離脱される接続構造を備えているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガスノズル及び中継管が、ハンドル部の取り付けによって接続され、取り外しによって離脱される接続構造を備えているから、接続作業が容易で、かつ高い結合力を実現することができる。また、ガスノズルと液体ノズルとが所定の位置関係でノズル保持部に保持されているから、ハンドル部を共用しつつ液体の種類に応じて液体ノズル及びガスノズルを容易に交換することができ、またガスノズルと液体ノズルとの相対的な位置ずれに起因する噴霧機能の低下を防ぐことができる。すなわち、本発明によれば、品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】噴霧器を載置部に載置した状態の噴霧装置を示す側面図
【
図3】噴霧器を載置部に載置した状態の噴霧装置を示す平面図
【
図4】噴霧器を載置部に載置した状態の噴霧装置を示す断面図であって、
図3のA-A位置における断面に相当する断面図
【
図10】ボトルキャップの係止片と液体ボトルの係止リブとが係止した状態を示す断面斜視図
【
図12】液体容器にハンドル部を取り付けた状態の噴霧器を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
本発明の噴霧装置は、前記ハンドル部及び前記ノズル保持部が、前記ハンドル部の着脱方向に対して同じ向きに傾斜するハンドル側傾斜部及びノズル側傾斜部を有し、前記ハンドル部が前記ノズル保持部に取り付けられている状態において、前記ハンドル側傾斜部と前記ノズル側傾斜部とが前記着脱方向に近接または当接して配されるものとしてもよい。このような構成によれば、ハンドル側傾斜部とノズル側傾斜部とが沿う向きでのみ、ハンドル部をノズル保持部に取り付けることができるから、ハンドル部の取り付け向きを間違えることを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の噴霧装置は、前記中継管が、前記ガスノズルに接続されるノズル接続部を有し、前記ノズル接続部の少なくとも一部が、前記ハンドル部のうち前記ノズル保持部に対する取り付け方向前側の縁部から突出しているものとしてもよい。このような構成によれば、中継管のノズル接続部を視認しながらハンドル部をノズル保持部に取り付けることができるから、ハンドル部の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0013】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、
図1~
図14を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例における噴霧器10は、液体(例えば、ローション状またはジェル状の化粧料)とともに気体を噴霧させるものであり、気体を噴出するガスノズル12及び液体を噴出する液体ノズル11を所定の位置関係で保持するノズル保持部13と、気体を噴出させる操作を行うハンドル部60と、を備えている。ハンドル部60は、ノズル保持部13に対し着脱自在とされている。噴霧器10は、気体が充填されたボンベBを収容するケース本体80に、チューブTを介して接続されている。ボンベBには、炭酸ガスが液化状態で充填されている。チューブTは、ボンベBとガスノズル12とを繋ぐ気体通路の一部を構成している。
【0014】
液体は、噴霧時にはせん断力によってジェルが崩壊して霧状になり、その後、速やかにもとのジェル状に戻るチキソトロピー性に優れたジェル状組成物を使用することが望ましい。このようなジェル状組成物を使用することにより、吹き付け部(使用者の肌等)に吹き付けられた液体は、粘度が速やかに上昇するので液だれし難くすることができる。また、液体容器14に収容された状態では、液体容器14が転倒した衝撃によって瞬間的に粘度が低下したとしても、速やかに粘度が上昇するので液漏れを防ぐことができる。
【0015】
気体は、二酸化炭素を使用することが望ましい。二酸化炭素は血行促進作用を有するため、液体に溶解した二酸化炭素が皮膚に接触することにより、皮膚の血行促進効果が発揮され、美容や健康に好影響を及ぼす。また、二酸化炭素は水や油に溶けやすい性質を有することから、液体とともに皮膚に吹き付けられた二酸化炭素は皮膚から内部に浸透し、血管内に取り込まれる。血管内に二酸化炭素が取り込まれると、ヘモグロビンから酸素が遊離し、細胞内に酸素が供給されて代謝活性が発現される。そのため、二酸化炭素が溶け込んだ液体が肌に吹き付けられることで、より高い美容効果を得る事ができる。
【0016】
本実施例における噴霧装置Mは、噴霧器10を使用するときにはケース本体80から取り出し(
図1参照)、噴霧器10を使用しないときにはケース本体80に載置することができる(
図2参照)。以下、各構成部材において、
図1の上側を上方、下側を下方とし、また気体の噴出方向における前側(
図6の左側)を前方、後側を後方として説明する。
【0017】
噴霧器10は、化粧水等の液体を収容する液体容器14を有している。液体容器14は、上面が開口した有底筒状をなす液体ボトル15と、液体ボトル15の上面側に取り付けられたボトルキャップ16とを備えている。
【0018】
液体ボトル15の内周面には、後述するボトルキャップ16の係止片23が係止可能な係止リブ19が設けられている(
図10参照)。係止リブ19は、厚さ寸法(液体ボトル15の周方向の寸法)が小さく、上下方向に長い板状をなしている。係止リブ19の板面は、液体ボトル15の内周面に対し略垂直をなしている。
【0019】
ボトルキャップ16は、
図5に示すように、液体ボトル15の上面開口を塞ぐ蓋板部21と、蓋板部21の外周縁から下方に垂下している側板部22とを備えている。
【0020】
側板部22の外周面は、平面視、多角形状(10角形状)をなしている。ボトルキャップ16が液体ボトル15に対して正規の閉塞位置にあるときには、
図6に示すように、ボトルキャップ16の外周面の角(多角形状の頂点)の位置と、液体ボトル15の外周面の角の位置とが周方向において一致し、液体容器14全体において整合した多角形状をなす。これにより、ボトルキャップ16と液体ボトル15とで角の位置が周方向にずれている場合には、ボトルキャップ16が正規の閉塞位置からずれていることを知ることができる。
【0021】
ボトルキャップ16には、
図10に示すように、液体ボトル15の係止リブ19に係止可能な係止片23が設けられている。係止片23は、片持ち状をなして上下方向に弾性撓み可能とされている。係止片23の自由端(先端)には、下向き(内向き)に爪部24が突設されている。
【0022】
ボトルキャップ16を液体ボトル15の上端部に外嵌して閉塞方向に回転させると、係止片23の爪部24が、液体ボトル15の係止リブ19に当接した後、係止片23が上側に弾性撓みして爪部24が係止リブ19に乗り上がる。ボトルキャップ16が液体ボトル15に対して正規の閉塞位置に至ると、係止片23が下側に弾性復帰して爪部24が係止リブ19に係止する。これにより、ボトルキャップ16は、開放方向の回転が制限され、液体ボトル15に対して正規の閉塞位置にロックされる。また、使用者は、係止片23が係止リブ19を乗り越える動作により、ボトルキャップ16が正規の閉塞位置に至ったクリック感を得ることができる。
【0023】
ボトルキャップ16は、
図5に示すように、外装部25と、外装部25の内側に組み込まれるノズルストッパ部26及びノズル台座部27を有している。ノズルストッパ部26及びノズル台座部27は、ノズル保持部13の一部を構成する。
【0024】
外装部25は、蓋板部21の表側(上側)の部分を構成する蓋板表面部28と、側板部22とを有している。ノズルストッパ部26は、蓋板部21の裏側(下側)の部分を構成する蓋板裏面部29と、蓋板裏面部29の上面に立設されたストッパ本体部31とを有している。ノズル台座部27は、概ねL字型をなす部品であり、ノズルストッパ部26の上側に組み付けられている。
【0025】
係止片23は、
図9に示すように、ノズルストッパ部26の蓋板裏面部29に形成されている。係止片23は、蓋板裏面部29の裏面側に設けられ、蓋板裏面部29のうち係止片23の表側(上側)には、他の部分よりも一段下がった窪み部29Aが形成されている。これにより、蓋板裏面部29が蓋板表面部28の裏面に両面テープ90で取り付けられた状態において、係止片23の上側の蓋板表面部28との間に、係止片23が上方に弾性変位できる変位空間32が形成される。なお、蓋板表面部28側にも窪み部28Aが形成されている。
【0026】
ノズル保持部13は、
図9に示すように、ボトルキャップ16に設けられている。ノズル保持部13は、ガスノズル12及び液体ノズル11を、ガスノズル12の先端開口33の中心軸線と、液体ノズル11の先端開口34の中心軸線とが直交し、かつ近接する位置関係で保持している。液体ノズル11の先端開口34及びガスノズル12の先端開口33は、平面視、液体容器14の投影面内(ボトルキャップ16の略中心)に配されている。
【0027】
ガスノズル12は、気体を噴出するための先端開口33が設けられたガスノズル先端部35と、ガスノズル先端部35の後方に連なって設けられたガスノズル本体部36とを有している。ガスノズル先端部35の外周は、先端開口33に向かって次第に細くなる形状に形成されている。
【0028】
ガスノズル本体部36の前端部には、径方向の外側に一段突出した鍔部37が設けられている。ガスノズル12には、後述するハンドル部60の中継管61が直線状に接続される。なお、ガスノズル12と中継管61との接続構造については、後ほど詳しく説明する。
【0029】
液体ノズル11は、液体を噴出するための先端開口34が設けられた液体ノズル先端部42と、液体ノズル先端部42の下側に連なって設けられた液体ノズル本体部43とを有している。液体ノズル先端部42の外周は、先端開口34に向かって次第に細くなる形状に形成されている。
【0030】
液体ノズル本体部43の中間部には、後述する液体ノズル貫通孔53に嵌着される嵌着部44が設けられている。嵌着部44は、上下の部分に比して一段径方向の外側に突出している。嵌着部44には、液体ノズル貫通孔53に密着して液漏れを防ぐOリング91が嵌着されている。液体ノズル本体部43の下端部には、液体容器14の内部に垂下される吸い上げチューブ45が接続されている。吸い上げチューブ45は可撓性を有し、液体容器14の底まで垂下している。
【0031】
ノズル保持部13は、
図9に示すように、先端開口33の中心軸線が水平となる水平姿勢でガスノズル12を保持するガスノズル保持部46と、先端開口34の中心軸線が垂直となる垂直姿勢で液体ノズル11を保持する液体ノズル保持部52とを備えている。
【0032】
ガスノズル保持部46は、ガスノズル12の前端部を保持し、ガスノズル12の後側の部分は、ガスノズル保持部46から後方に突出して配される。
ガスノズル保持部46は、ガスノズル12が水平姿勢で貫通されるガスノズル貫通孔47を有している。ガスノズル貫通孔47は、中心軸線が水平に延びる円形状の穴である。ガスノズル貫通孔47は、ガスノズル先端部35が貫通するガスノズル貫通部48と、ガスノズル本体部36の前端部(鍔部37)が嵌め込まれるガスノズル嵌合部49とを有している。
【0033】
ガスノズル保持部46に保持された状態のガスノズル12は、ガスノズル先端部35がガスノズル貫通孔47から前方に突出し、ガスノズル本体部36のうち鍔部37よりも後側の部分(ガスノズル本体部36の半分以上)が後方に突出する。
【0034】
液体ノズル保持部52は、液体ノズル11が垂直姿勢で貫通される液体ノズル貫通孔53を有している。液体ノズル貫通孔53は、中心軸線が垂直に延びる円形状の穴である。液体ノズル貫通孔53は、液体ノズル先端部42が貫通する液体ノズル貫通部54と、液体ノズル本体部43の嵌着部44が嵌着される液体ノズル嵌着部55とを有している。
【0035】
液体ノズル保持部52に保持された状態の液体ノズル11は、液体ノズル先端部42が液体ノズル貫通孔53から上方に突出し、他の部分が液体ノズル嵌着部55に収まっている。
【0036】
ガスノズル貫通孔47のうちガスノズル嵌合部49は、ノズル台座部27に形成され、ガスノズル貫通部48は、外装部25に形成されている。また、液体ノズル貫通孔53のうち液体ノズル嵌着部55は、ノズル台座部27からノズルストッパ部26のストッパ本体部31にわたって形成され、液体ノズル貫通部54は、外装部25に形成されている。
【0037】
ノズル保持部13は、ガスノズル12及び液体ノズル11の先端開口33,34の両側に立つ一対の保護壁57を備えている。一対の保護壁57は、
図7に示すように、ガスノズル12及び液体ノズル11の先端部35,42を挟んで互いに対向している。保護壁57は、ボトルキャップ16の外装部25の蓋板表面部28に立設されている。なお、一対の保護壁57の間には、ノズル台座部27及びノズルストッパ部26の前面側を覆うカバー部58が設けられている。
【0038】
一対の保護壁57は、
図9に示すように、ガスノズル12及び液体ノズル11の先端部35,42の両側に立つ前壁部57Fと、ガスノズル本体部36の両側に立つ後壁部57Rとを備えている。前壁部57Fは、保護壁57のうち頂部57Tより前側の部分であり、後壁部57Rは、保護壁57のうち頂部57Tより後側の部分である。前壁部57Fにより、ガスノズル貫通孔47から前方に突出したガスノズル先端部35及び液体ノズル貫通孔53から上方に突出した液体ノズル先端部42の全体が、側方(気体の噴出方向を前方として左右両側)から視認できなくなっている。また、後壁部57Rにより、ガスノズル貫通孔47から後方に突出したガスノズル本体部36の略半分程度が、側方から視認できなくなっている。
【0039】
保護壁57の前縁は、頂部57Tから前方へ下がる傾斜をなし、保護壁57の後縁は、頂部57Tから後方へ下がる傾斜をなしている。保護壁57の後縁部は、
図6に示すように、ハンドル部60の着脱方向に対して傾斜したノズル側傾斜部59とされている。ノズル側傾斜部59については、後ほど詳しく説明する。
【0040】
ハンドル部60は、
図11に示すように、ガスノズル12に接続されて気体通路の一部を構成する中継管61と、中継管61とチューブTとの間に接続されて気体通路の一部を構成する中継部品62と、中継管61及び中継部品62を保持するハウジング63とを備えている。
【0041】
ハウジング63は、全体として、細長い棒状をなしている。ハウジング63の前縁部には、ハンドル部60の着脱方向に対してノズル側傾斜部59と同じ向きに傾斜するハンドル側傾斜部64が設けられている。ハンドル側傾斜部64については、後ほど詳しく説明する。
【0042】
ハウジング63は、
図5に示すように、上下に分割されており、互いに合体可能な上パーツ65及び下パーツ66を備えている。上パーツ65と下パーツ66とは、ネジ92で合体状態に固定される。ネジ92の頭部は、PETシート93で覆われる。
【0043】
上パーツ65には、後述するシャフト78の上端部が上下方向に貫通される上穴部67が形成されている。上穴部67から突出したシャフト78の上端に、操作ボタン68が取り付けられている。
【0044】
下パーツ66には、中継部品62の下端部を下方に突出させる下穴部69が設けられている。下穴部69から突出した中継部品62の下端部に、チューブTの一端が接続されている。
【0045】
中継管61は、円筒状をなし、ノズル保持部13に保持されているガスノズル12に直線状に接続される。中継管61とガスノズル12との接続構造については、後ほど詳しく説明する。
【0046】
中継管61の後端部は、中継部品62に螺合されて接続される(
図11参照)。中継部品62は、上下方向に貫通する管であり、中継管61は、中継部品62の中間部に接続されて中継部品62に連通する。中継管61の後端部と中継部品62との間には、これらに密着して気体の漏れ出しを防ぐOリング101が装着されている。
【0047】
中継部品62は、シャフト78が挿通される挿通管部76と、チューブTの一端が接続される接続管部77とを有している。挿通管部76と接続管部77とは、互いに螺合されて連結される。挿通管部76と接続管部77との間には、これらの間から気体が漏れ出すことを防ぐOリング96が備えられている。
【0048】
挿通管部76の内部に挿通されたシャフト78の上端は、ハウジング63から上方に突出し、操作ボタン68が取り付けられている。シャフト78には、挿通管部76の内周面に密着してシャフト78と挿通管部76との間からの気体の漏れを防ぐOリング97と、常には挿通管部76の内周面に密着してシャフト78と挿通管部76との間からの気体の漏れを防ぐとともに、操作ボタン68が操作されたときには、挿通管部76の内周面から離れて気体通路を開放するOリング98とが嵌着されている。Oリング97は、シャフト78の中間部に設けられ、Oリング98は、シャフト78の下端部に設けられている。Oリング98は、シャフト78の下端部において径方向の外側に突出して設けられたフランジ部78Fによって下方への離脱が規制されている。
【0049】
シャフト78の下側には、常にはシャフト78を上方に付勢してOリング98を中継部品62の内周面に密着させるスプリング79が備えられている。スプリング79は、フランジ部78Fの下側に配されて接続管部77の内部に収容されている。スプリング79の上端部はシャフト78の下端部に外嵌している。
【0050】
常には、スプリング79の付勢によりシャフト78が上方に付勢されて、Oリング98が中継部品62の内周面に密着し、気体通路が閉鎖されている。操作ボタン68を押し下げ操作すると、スプリング79の付勢力に抗してシャフト78が下方に変位し、Oリング98が中継部品62の内周面から離れて、気体通路が開放される。これにより、ボンベBに充填された気体が、チューブT、中継部品62、中継管61を介してガスノズル12に供給され、ガスノズル12の先端開口33から噴出される。ガスノズル12の先端開口33からの気体の噴出に伴う負圧によって、液体容器14内の液体が吸い上げられ、液体ノズル11の先端開口34から気体の噴流に乗って噴霧される。
【0051】
ケース本体80は、
図13に示すように、ボンベBを出し入れする開口部を有してボンベBを収容するケース下部81と、開口部を塞ぐケース上部82とを有している。噴霧器10は、ケース上部82に設けられた載置部89に載置される。載置部89は、内周面が液体容器14と整合した多角形状をなす有底の凹部であり、載置部89に載置された噴霧器10を回り止めする構造となっている。
【0052】
ケース上部82には、気体の圧力や量を調整するレギュレータ84が装着されている。レギュレータ84は、ネジ99及びナット100によりケース上部82に固定されている。レギュレータ84は、ボンベBの上端開口部85Hを封止する封止板に刺し通されるニードル部(図示せず)を備えている。レギュレータ84の側面には、チューブTが接続されるジョイント部85が設けられている。ジョイント部85は、ケース上部82の開口部85Hを介して外部に露出している。
【0053】
さて、ハンドル部60は、ノズル保持部13に対して、ガスノズル12と中継管61とが直線状に接続される方向で着脱自在とされている。ガスノズル12と中継管61とは、
図12に示すように、直接的に嵌合することで接続され、接続されたガスノズル12と中継管61とは、同一軸線上に連通する。ガスノズル12と中継管61とが直線状に接続されるから、中継管61からガスノズル12への気体の流れがスムーズなので、中継管61の接続箇所における気体の漏れ出しを防ぐことができる。
【0054】
ガスノズル12及び中継管61は、ガスノズル12及び中継管61の軸線と平行方向に押し込むことにより接続され、平行方向に引き抜くことにより離脱される接続構造を有している。接続構造は、互いに凹凸嵌合してハンドル部60の着脱方向と交差方向に係止する係止手段を有している。係止手段は、ハンドル部60を押し込む力によって係止し、引き抜く力によって係止解除される。本実施例では、係止手段の一例として、ガスノズル12側に連結凹部38が設けられ、中継管61側に連結凸部74が設けられている。
【0055】
連結凹部38は、ガスノズル12のうち中継管61に接続する部分(以後、中継接続部39と称する)に設けられている。中継接続部39は、中継管61の内側に嵌合するものとされ、連結凹部38は、中継管61の外周面に形成されている。連結凹部38は、前後の部分に比して外径寸法が小さくされた部分であり、周方向に連続した溝状をなしている。連結凹部38の後側には、ハンドル部60の着脱時に中継管61の連結凸部74が乗り越える乗り越え部41が設けられている。
【0056】
一方、連結凸部74は、中継管61のうちガスノズル12に接続する部分(以後、ノズル接続部71と称する)に設けられている。ノズル接続部71は、ガスノズル12の外側に嵌合するものとされている。連結凸部74は、
図12に示すように、ガスノズル12の連結凹部38に嵌合可能なボールであり、ノズル接続部71の外周面に、周方向の移動を規制されるとともに、板バネ75により径方向外側への移動を規制された状態で保持されている。連結凸部74は、ノズル接続部71の径方向の両側に一対が設けられている。板バネ75は、中継管61の軸線方向に長い形状をなし、長手方向の一端側がネジ95で固定され、他端側が連結凸部74を抑えている。板バネ75は、各連結凸部74に一ずつ設けられている。
【0057】
ノズル接続部71は、
図12に示すように、内部に嵌合されたガスノズル12の中継接続部39の後面と前後方向に対向する奥面72を有している。ノズル接続部71の奥端部には、Oリング94が嵌着されている。Oリング94は、ノズル接続部71に前方から組み込まれている。Oリング94は、ノズル接続部71の奥端に位置し、ガスノズル12の後面に押圧されてノズル接続部71の奥面72に密着し、ガスノズル12と中継管61との間の気体の漏れを防ぐ。なお、Oリング94の孔は、気体通路になる。
【0058】
中継管61には、Oリング94の前方への離脱を防ぐストッパ部品73が設けられている。ストッパ部品73は、ノズル接続部71にOリング94を収容した後に中継管61に組み付けられる。ストッパ部品73は、Oリング94の前方において内側に突出し、中継管61の内径を狭めることでOリング94の抜け出しを防ぐ。ストッパ部品73は、一対が、中継管61の径方向の両側に対向配置されている。
【0059】
中継管61の前端部(ノズル接続部71の一部)は、後述するハンドル側傾斜部64から前方に突出している(
図11参照)。
ハンドル部60及びノズル保持部13は、ハンドル部60の着脱方向に対して同じ向きに傾斜するハンドル側傾斜部64及びノズル側傾斜部59を有している。
【0060】
ノズル側傾斜部59は、
図5に示すように、保護壁57の後縁部に形成されている。ノズル側傾斜部59は、一対の保護壁57の両方に形成され、いずれも前端(保護壁57の頂部57T)から後方に向かって次第に下がるように傾斜している。ノズル側傾斜部59は、保護壁57の他の部分に比して幅広な面を有し、保護壁57において一段外側(ハンドル部60の取り付け方向に対して直交方向)に張り出している(
図7参照)。
【0061】
ノズル側傾斜部59の下端部には、
図9に示すように、ハンドル部60と接触する接触凸部59Aが設けられている。接触凸部59Aは、上面が略水平な面とされて先端が尖った形状をなしている。接触凸部59Aの下側には、ノズル側傾斜部59の一部であるノズル側受け部59Bが設けられている。接触凸部59A及びノズル側受け部59Bは、ボトルキャップ16の蓋板部21よりも径方向の外側に突出した位置に設けられている。
【0062】
一方、ハンドル側傾斜部64は、
図11に示すように、前端から後方に向かって次第に下がるように傾斜している。ハンドル側傾斜部64は、ハンドル部60の上下方向の全高にわたって形成されている。ハンドル側傾斜部64の下端部には、ノズル保持部13に設けられた接触凸部59A及びノズル側受け部59Bと接触する接触凹部64A及びハンドル側受け部64Bが設けられている。接触凹部64Aは、接触凸部59Aの形状に整合した形状をなしてハンドル側傾斜部64に凹み形成されており、接触凹部64Aの上面は、略水平な面とされている。ハンドル側受け部64Bは、ハンドル側傾斜部64の一部であり、接触凹部64Aの下側に設けられている。ハンドル側傾斜部64の大部分は上パーツ65に形成され、接触凹部64A及びハンドル側受け部64Bは下パーツ66に形成されている。
【0063】
ハンドル部60がノズル保持部13に取り付けられている状態では、
図12に示すように、ハンドル側傾斜部64とノズル側傾斜部59とが着脱方向に近接または当接して配される。これにより、ガスノズル12と中継管61との接続部分が、保護壁57とハウジング63とによって覆われる。また、接触凸部59Aが接触凹部64Aに嵌合し、ハンドル側受け部64Bとノズル側受け部59Bとが互いに接触する。これにより、ハンドル部60の前端下部が、ノズル保持部13に支持された状態になる。
【0064】
次に、本実施例における噴霧器10における液体容器14の交換作業の一例を説明する。なお、液体容器14の交換作業は、噴霧器10を載置部89から取り出して行う。
まず、液体容器14からハンドル部60を取り外す。ハンドル部60を離脱方向(
図12では右方向)に引っ張ると、板バネ75を弾性撓みさせて連結凸部74が乗り越え部41を乗り越え、連結凹部38から離脱して係止状態が解除される。そして、ハンドル部60が取り外される。
【0065】
次に、ハンドル部60が取り外された液体容器14を別の液体容器14に取り替えて、ハンドル部60を取り付ける。ハンドル側傾斜部64が、ノズル側傾斜部59の傾斜と同じ向きになるようにし、中継管61のノズル接続部71をガスノズル12の中継接続部39に位置合わせして押し込む。中継管61のノズル接続部71が、ガスノズル12の中継接続部39に外嵌し、連結凸部74が板バネ75を弾性撓みさせて乗り越え部41を乗り越え、連結凹部38に嵌合する。板バネ75は、弾性復帰して連結凸部74を押さえた状態になる。これにより、ガスノズル12と中継管61とが直線状をなして嵌合し、中継管61とガスノズル12とが接続状態にロックされる。こうして液体容器14の交換作業が完了する。
【0066】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例の噴霧器10は、液体とともに気体を噴霧させる噴霧器10と、気体が充填されたボンベBを収容するケース本体80とがチューブTで接続された噴霧装置Mであり、噴霧器10は、気体を噴出するガスノズル12と、液体を噴出する液体ノズル11と、ガスノズル12と液体ノズル11とを所定の位置関係で保持するノズル保持部13と、チューブTを介してケース本体80に接続されるとともに気体を噴出させる操作を行うハンドル部60と、を備え、ハンドル部60が、ガスノズル12に接続されて気体の通路の一部を構成する中継管61を有し、ノズル保持部13に対して着脱自在とされ、ガスノズル12及び中継管61が、ハンドル部60の取り付けによって接続され、取り外しによって離脱される接続構造を備えている。
【0067】
この構成によれば、ガスノズル12及び中継管61が、ハンドル部60の取り付けによって接続され、取り外しによって離脱される接続構造を備えているから、接続作業が容易で、かつ高い結合力を実現することができる。また、ガスノズル12と液体ノズル11とが所定の位置関係でノズル保持部13に保持されているから、ガスノズル12と液体ノズル11との相対的な位置ずれに起因する噴霧機能の低下を防ぐことができる。加えて、ハンドル部60を共用しつつ、液体の種類に応じて液体ノズル11及びガスノズル12を容易に交換することができるから、使用用途別に液体を選択することができ、かつ、種類の異なる液体が混ざって噴出されることを防ぐことができる。例えば使用者は、一つのハンドル部60を用いて、顔面皮膚ケアのために顔面皮膚用化粧料を使用し、身体皮膚ケアのために身体用化粧料を使用し、頭皮ケアのために毛髪用化粧料を使用したとしても、これらの液体が少しも混ざることなく、快適に使用することができる。すなわち、本実施例の噴霧器10によれば、品質の向上を図ることができる。
【0068】
また、ハンドル部60及びノズル保持部13が、ハンドル部60の着脱方向に対して同じ向きに傾斜するハンドル側傾斜部64及びノズル側傾斜部59を有し、ハンドル部60がノズル保持部13に取り付けられている状態において、ハンドル側傾斜部64とノズル側傾斜部59とが着脱方向に近接または当接して配される。この構成によれば、ハンドル側傾斜部64とノズル側傾斜部59とが沿う向きでのみ、ハンドル部60をノズル保持部13に取り付けることができるから、ハンドル部60の取り付け向きを間違えることを防ぐことができる。
【0069】
また中継管61が、ガスノズル12に接続されるノズル接続部71を有し、ノズル接続部71の少なくとも一部が、ハンドル部60のうちノズル保持部13に対する取り付け方向前側の縁部から突出している。この構成によれば、中継管61のノズル接続部71を視認しながらハンドル部60をノズル保持部13に取り付けることができるから、ハンドル部60の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0070】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、ノズル側傾斜部59が保護壁57の後縁部に設けられ、ハンドル側傾斜部64がハンドル部60の前縁部に設けられているが、これに限らず、ノズル側傾斜部またはハンドル側傾斜部を、別の部位に設けても良く、例えばノズル保持部またはハンドル部の前後方向中間部に、側方に突出する部位を設け、その突出部位に傾斜部を設ける等しても良い。
(2)上記実施例では、ノズル側傾斜部59及びハンドル側傾斜部64が、前端から後方に向かって次第に下がるように傾斜しているが、これに限らず、ノズル側傾斜部及びハンドル側傾斜部の傾斜は、逆向き(前端から後方に向かって次第に上る傾斜)にしてもよい。
(3)上記実施例では、ガスノズル12と中継管61との接続構造を具体的に例示したが、これに限らず、ガスノズルと中継管との接続構造は、他の接続構造に変更しても良い。
(4)上記実施例では、ガスノズル12側に連結凹部38が設けられ、中継管61側に連結凸部74が設けられているが、これに限らず、ガスノズル側に連結凸部、中継管側に連結凹部を設けてもよい。
(5)上記実施例では、連結凸部としてボールを例示したが、これに限らず、連結凸部として他の部材を使用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
B…ボンベ
M…噴霧装置
T…チューブ
10…噴霧器
11…液体ノズル
12…ガスノズル
13…ノズル保持部
59…ノズル側傾斜部
60…ハンドル部
61…中継管
64…ハンドル側傾斜部
71…ノズル接続部
80…ケース本体