(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】化粧キャップ
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20220113BHJP
E04F 19/02 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
E04F19/02 T
E04F19/02 N
(21)【出願番号】P 2017107598
(22)【出願日】2017-05-31
【審査請求日】2020-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新関孝信
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-204968(JP,A)
【文献】実開昭62-166947(JP,U)
【文献】特開平6-2423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04F 19/02
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭い幅で乾式壁材の断面形状に合致した化粧面部と、化粧面部の裏面中央に長手方向に突出した係合部とからなる化粧キャップにおいて、係合部は化粧面部の裏面中央に突出可能な位置を90°で屈曲した立ち上がり部と、立ち上がり部の先端近傍に外側方に突出して形成した係合片とからなり、化粧面部の上端に形成した上部は、化粧面部の上端をさらに上方に突出した突出片と、突出片の両端部を屋内側に窪ませて凸部と凸部の両端部の挿入片を形成することにより、凸部と挿入片により形成された空隙とからなり、化粧面部の下端に形成した下部は、化粧面部の最下端を屋内側に屈曲し、乾式壁材の下端部をカバーするカバー片より形成したことを特徴とする化粧キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物に用いる乾式壁材の長手方向の端部を付き合わせて出来る縦目地部の構造に関するものである。さらに詳しくは、連結部の防水性と施工性を向上した化粧キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に金属板を表面材とし、合成樹脂発泡体を芯材とし、シート状物を裏面材としたサンドイッチ構造の乾式壁材、あるいは無機系の材料からなる乾式壁材を用いて横張り状に壁体を形成した場合には、乾式壁材の長手方向の突き合わせにより縦目地が形成され、縦目地は単に突き合わせたり、コーキング材を植設したり、H型のジョイナを使用したり、敷目板と化粧キャップの2部材の嵌合により縦目地を形成する方法がある。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1は縦目地用ジョイナに係り、鎧張り形状の乾式壁材の縦目地部分に対応したものであるが、乾式壁材の連結部内へ上端を挿入する際の施工性、位置決め、などに問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような欠点を解決するために、狭い幅で乾式壁材の断面形状に合致した化粧面部と、化粧面部の裏面中央に長手方向に突出した係合部とからなる化粧キャップにおいて、係合部は化粧面部の裏面中央に突出可能な位置を90°で屈曲した立ち上がり部と、立ち上がり部の先端近傍に外側方に突出して形成した係合片とからなり、化粧面部の上端に形成した上部は、化粧面部の上端をさらに上方に突出した突出片と、突出片の両端部を屋内側に窪ませて凸部と凸部の両端部の挿入片を形成することにより、凸部と挿入片により形成された空隙とからなり、化粧面部の下端に形成した下部は、化粧面部の最下端を屋内側に屈曲し、乾式壁材の下端部をカバーするカバー片より形成した化粧キャップを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る化粧キャップによれば、化粧キャップの化粧面部の上端の突出片の左右端部に屋内側に窪んだ挿入片を形成したために、(1)突出片の凸部が目印となり、乾式壁材の係止溝内への突出片の挿入が容易である。(2)凸部が左右の乾式壁材間形成されるために、乾式壁材の係止溝内への突出片の挿入位置が明確である。(3)乾式壁材の係止溝の空隙が極小でも簡単に挿入できる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る化粧キャップに使用する敷目板と化粧キャップの一実施例を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る化粧キャップの施工状態を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る化粧キャップの施工状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る化粧キャップに使用する乾式壁材の一実施例を示す断面図である。
【
図5】本発明に係る化粧キャップに使用する乾式壁材の施工状態の一実施例を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る化粧キャップの上下の連結状態の一実施例を示す断面図である。
【
図7】本発明に係る化粧キャップの施工状態の一実施例を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る化粧キャップの一実施例を示す説明図である。
【
図9】本発明に係る化粧キャップの一実施例を示す説明図である。
【
図10】本発明に係る化粧キャップの一実施例を示す説明図である。
【
図11】本発明に係る化粧キャップのその他の実施例を示す断面図である。
【
図12】本発明に係る化粧キャップのその他の実施例を示す断面図である。
【
図13】本発明に係る化粧キャップのその他の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
以下に図面を用いて本発明に係る化粧キャップの代表的な実施例について詳細に説明する。
図1(a)、(b)は本発明に係る化粧キャップCと敷目板Bを示す断面図、
図2は敷目板Bと化粧キャップCからなる縦目地用ジョイナAの施工状態を示す断面図、
図3は敷目板Bと化粧キャップCからなる縦目地用ジョイナAの施工状態を示す斜視図、
図4は乾式壁材Dの一実施例を示す断面図であり、
図5は乾式壁材Dの施工状態を示す断面図であり、Mは目地部、Tは縦目地部、Yは横目地部、αは壁下地、βは固定具である。
【0009】
さらに詳説すると、敷目板Bと化粧キャップCからなる縦目地用ジョイナAは金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0010】
敷目板Bは長尺状板材であり、
図1(a)に示すように水平部1と嵌合部4とから形成したものである。さらに詳説すると、水平部1は水平面状の固定片2と、固定片2の先端をはぜ状に屈曲した舌片3とから形成したものである。また、嵌合部4は水平部1のほぼ中央部分を上方に屈曲して形成した2本のガイド片5と、両ガイド片5の先端を内側方に屈曲し先端を内方に屈曲して断面略U字状の嵌合溝6を形成し、嵌合溝6内に突出した嵌合爪7とから形成したものである。この嵌合部4は後記する化粧キャップCの係合部9を係合する部分である。
【0011】
化粧キャップCは乾式壁材Dの化粧面および断面形状によって定めるものであり、
図4に示すような乾式壁材Dを使用して壁体を形成する場合には、
図8~
図10に示すような化粧キャップCとなる。なお、
図6、
図7は化粧キャップCの連結方法を示す断面図である。
【0012】
さらに詳説すると、化粧キャップCは
図8~
図10に示すように、狭い幅で乾式壁材Dの断面形状に合致した化粧面部8と、化粧面部8の裏面中央に長手方向に突出した係合部9から形成したものであり、化粧面部8は
図2、
図3に示すように、乾式壁材Dの端部を被覆し意匠性、防水性を向上する部分である。
【0013】
係合部9は化粧面部8の裏面中央に突出可能な位置を90°で屈曲した立ち上がり部10と、立ち上がり部10の先端近傍に外側方に突出して形成した係合片11からなり、係合片11は敷目板Bの嵌合爪7に係合され、化粧キャップCを壁下地αに固定するためのものである。
【0014】
上部12は、化粧面部8の上端をさらに上方に突出した突出片12aと、突出片12aの両端部を屋内側に窪ませて凸部13と凸部13の両端部の挿入片14を形成することにより、凸部13と挿入片14により形成された空隙15を形成したものである。
【0015】
下部16は、化粧面部8の最下端を屋内側に屈曲し、乾式壁材Dの下端部をカバーするカバー片17より形成したものである。
【0016】
挿入片14は、
図6に示すように、乾式壁材Dの係止溝D4内に挿入されることにより、化粧キャップCの上端が固定され、かつ、空隙15が係止溝D4内に空間Kを形成することにより係止溝D4内における毛細管現象を防止して、防水性を強化するものである。
【0017】
凸部13は、縦目地部Tの幅Wと同等あるいは狭く形成し、縦目地部T部分における化粧キャップCの左右のズレを防止できるように形成したものである。
【0018】
乾式壁材Dは
図4に示すように、雄型連結部D1に係止片D3、雌型連結部D2に係止溝D4を形成した雄雌嵌合構造の乾式壁材Dであり、金属系サイディング材、窯業系サイディング材、セラミック、等より成形したものである。
【0019】
以上説明したのは、本発明に係る化粧キャップの一実施例に過ぎず、
図11(a)、(b)~
図13に示すように形成することが出来る。
【0020】
図11(a)、(b)は、出隅部、あるいは入隅部に使用できる化粧キャップCである。
【0021】
図12、
図13は、出隅部分に形成できる出隅用の化粧キャップCであり、敷目板Bを用いずに、下端部は乾式壁材Dの係止溝D4内に引っ掛け片18を挿入し、上端部は固定孔19から固定孔20に目掛けて釘などの固定具βにより壁下地αに固定するものである。
【符号の説明】
【0022】
A 縦目地用ジョイナ
B 敷目板
C 化粧キャップ
D 乾式壁材
D1 雌型連結部
D2 雄型連結部
D3 係止片
D4 係止溝
M 目地部
T 縦目地部
Y 横目地部
α 壁下地
β 固定具
1 水平部
2 固定片
3 舌片
4 嵌合部
5 ガイド片
6 嵌合溝
7 嵌合爪
8 化粧面部
9 係合部
10 立ち上がり部
11 係合片
12 上部
12a 突出片
13 凸部
14 挿入片
15 空隙
16 下部
17 カバー片
18 引っ掛け片
19 固定孔
20 固定孔