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特許7002236ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構
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  • 特許-ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構 図1
  • 特許-ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構 図2
  • 特許-ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構 図3
  • 特許-ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構 図4
  • 特許-ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構 図5
  • 特許-ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/40 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
B60S1/40 200E
B60S1/40 100F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017138757
(22)【出願日】2017-07-18
(65)【公開番号】P2019018700
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390005304
【氏名又は名称】PIAA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】門倉 彰
(72)【発明者】
【氏名】平田 衛
(72)【発明者】
【氏名】小林 正利
(72)【発明者】
【氏名】葛野 隆
(72)【発明者】
【氏名】寺口 将人
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0375865(US,A1)
【文献】特開2010-083183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を中心に回動可能なワイパアームと、
前記ワイパアームに着脱可能に連結されるワイパブレードと、
前記ワイパアームにスライド可能に配設され、前記ワイパアームの前記ワイパブレードへの連結状態を保持するスライダと、
前記スライダに着脱可能に取り付けられ、前記スライダの動作を規制する規制部材と、を備え
前記ワイパブレードは、前記ワイパブレードのベース部に揺動可能に装着される揺動部材と、前記揺動部材に形成される突状体と、を有し、
前記規制部材は、前記スライダに装着される本体部と、前記本体部に形成され、前記突状体と係合する係合部と、前記本体部に形成され、前記スライダの一部分と当接することにより前記スライダの動作を規制する規制部と、を有する
ことを特徴とするワイパ装置。
【請求項2】
ワイパアームに対してワイパブレードを着脱可能に連結する連結機構であって、
前記ワイパアームにスライド可能に配設されたスライダに着脱可能に取り付けられ、前記スライダの動作を規制する規制部材と、
前記ワイパブレードのベース部に揺動可能に装着される揺動部材と、を備え
前記揺動部材は、突状体を有し、
前記規制部材は、前記スライダに装着される本体部と、前記本体部に形成され、前記突状体と係合する係合部と、前記本体部に形成され、前記スライダの一部分と当接することにより前記スライダの動作を規制する規制部と、を有する
ことを特徴とする連結機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ装置、及びワイパアームとワイパブレードとの連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両において用いられるワイパ装置が公知である(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のワイパ装置は、回動軸を中心に回動可能なワイパアームと、ワイパアームに着脱可能に連結されるワイパブレードと、ワイパアームにスライド可能に配設され、ワイパアームのワイパブレードへの連結状態を保持するスライダと、を備える。
【0004】
特許文献1に記載のワイパ装置では、ワイパアームからのワイパブレードの脱落防止を目的として、ワイパブレードのベース部に「固定要素」を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2016-538197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のワイパ装置では、ワイパアームに対するワイパブレードの角度が所定角度以内である状態においては、スライダを動作させることができないようになっている。しかしながら、ワイパアームをロックバックさせた状態においては、スライダを動作させることができてしまい、ワイパブレードがワイパアームから意図せずに脱落する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、ワイパアームに対するワイパブレードの角度に関わらず、ワイパブレードがワイパアームから脱落することを抑制することができるワイパ装置、及び連結機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るワイパ装置は、回動軸を中心に回動可能なワイパアームと、ワイパアームに着脱可能に連結されるワイパブレードと、ワイパアームにスライド可能に配設され、ワイパアームのワイパブレードへの連結状態を保持するスライダと、を備える。このワイパ装置は、スライダに着脱可能に取り付けられ、スライダの動作を規制する規制部材をさらに備える。ワイパブレードは、ワイパブレードのベース部に揺動可能に装着される揺動部材と、揺動部材に形成される突状体と、を有する。規制部材は、スライダに装着される本体部と、本体部に形成され、突状体と係合する係合部と、本体部に形成され、スライダの一部分と当接することによりスライダの動作を規制する規制部と、を有する。
【0009】
本発明に係る連結機構は、ワイパアームにスライド可能に配設されたスライダに着脱可能に取り付けられ、スライダの動作を規制する規制部材を備える。揺動部材は、突状体を有し、規制部材は、スライダに装着される本体部と、本体部に形成され、突状体と係合する係合部と、本体部に形成され、スライダの一部分と当接することによりスライダの動作を規制する規制部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るワイパ装置、及び連結機構によれば、ワイパアームに対するワイパブレードの角度に関わらず、ワイパブレードがワイパアームから脱落することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るワイパ装置の要部を示す分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るワイパ装置の連結途中状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るワイパ装置の連結途中状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るワイパ装置の連結完了状態を示す斜視図である。
図5】ワイパアームの先端及びスライダを図1とは逆側から見た斜視図である。
図6】(a)から(c)は第1クリップと第2クリップとの連結状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0013】
なお、図1から図5において、ワイパアームの先端側を前側FRとし、ワイパアームの基端側を後側RRとして示す。また、図1から図6においては、ワイパアーム及びワイパブレードの要部のみを図示しており、要部以外の部分は図示を省略している。
【0014】
図1から図6に示すように、ワイパ装置1は、自動車等の車両の車体(図示せず)に回動可能に支持されたワイパアーム2と、ワイパアーム2の先端部2aに着脱可能に連結されたワイパブレード3と、を備えている。ワイパアーム2には、スライダ4がスライド可能に配設されており、スライダ4により、ワイパアーム2のワイパブレード3への連結状態が保持されるようになっている。そして、ワイパアーム2を、図示しない回動軸を中心に回動させることにより、ワイパブレード3が車両のフロントガラス等に付着した雨水やゴミを払拭するように構成されている。
【0015】
ワイパアーム2の先端部2aは、天壁部2bと、一対の側壁部2c,2cとから逆U字形状に形成されている。天壁部2bには、後述する突状体10が挿通される挿通孔5が形成されている。本実施形態では、挿通孔5は、天壁部2bを貫通する四角形状の開口として形成されている。また、各側壁部2cには、後述する突起部11が係合される切欠部6が形成されている。本実施形態では、切欠部6は、各側壁部2cにワイパアーム2の延在方向に間隔をあけて複数形成されており、各切欠部6が、下部分が開口する逆U字形状の切欠きとして形成されている。
【0016】
その一方で、ワイパブレード3のベース部7に、揺動部材支持部8が形成されており、揺動部材支持部8には、揺動部材(第1クリップ)9が揺動可能に装着されている。
【0017】
揺動部材(第1クリップ)9は、天壁部9aと、一対の側壁部9b,9bとから逆U字形状に形成されている。天壁部9aには、ワイパアーム2の挿通孔5に挿通される突状体10が形成されている。本実施形態では、突状体10は、突状体10基端側が断面四角形状に形成され、突状体10先端側が断面半円形状に形成されている。また、各側壁部9bには、側壁部9bから揺動部材9の幅方向外側に延びて、ワイパアーム2の切欠部6に係合する突起部11と、揺動部材9の揺動支点を構成するピン12が嵌合される嵌合孔13とが形成されている。本実施形態では、突起部11は、各側壁部9bにワイパブレード3の延在方向に間隔をあけて複数形成されており、各側壁部9bにおける複数の突起部11間の部分に嵌合孔13が貫通形成されている。
【0018】
スライダ4は、ワイパアーム2の先端部2aにワイパアーム2の延在方向にスライド可能に取り付けられている。スライダ4は、天壁部4aと、天壁部4aの両側部から下方に延びる一対の側壁部4b,4bと、これら天壁部4a及び一対の側壁部4b,4bの前端部を閉塞する前壁部4cとを有して構成されている。天壁部4aの後端部には、揺動部材9の突状体10を受容可能な大きさの切欠部14が形成されている。
【0019】
スライダ4の各側壁部4bには、側壁部4bの下部からスライダ4の幅方向内側に延びるリブ15が形成されている。リブ15の後端部に、スライド時のガイド16が形成されている。また、リブ15には、揺動部材9の突起部11を通過させることが可能な大きさの第1切欠部17が形成されている。本実施形態では、第1切欠部17は、各リブ15にワイパアーム2の延在方向に間隔をあけて複数形成されている。このようにリブ15を構成することにより、スライダ4をワイパアーム2の基端部側へスライドさせた際に、リブ15が揺動部材9の突起部11の抜け止めとして機能して、ワイパアーム2のワイパブレード3への連結状態が保持される。
【0020】
そして、リブ15の前端部に、後述する規制部材19の規制部22を受容可能な大きさの第2切欠部18が形成されている。本実施形態では、第2切欠部18は、各リブ15の前端部にそれぞれ形成されている。
【0021】
本実施形態に係るワイパ装置1は、スライダ4に着脱可能に取り付けられ、スライダ4の動作を規制する規制部材(第2クリップ)19を備えている。
【0022】
規制部材(第2クリップ)19は、スライダ4に装着される本体部20を有して構成される。本体部20は、天壁部20aと、一対の側壁部20b,20bとから逆U字形状に形成されている。
【0023】
規制部材19の本体部20には、揺動部材9の突状体10と係合可能な係合部21が形成されている。本実施形態では、係合部21は、本体部20(天壁部20a)の後端部から延びる弾性片部21aと、弾性片部21aの下面に形成された爪部21bとを有して構成される。
【0024】
また、規制部材19の本体部20には、スライダ4の第2切欠部18に受容可能な規制部22が形成されている。本実施形態では、規制部22は、本体部20(側壁部20b)の下端部から幅方向内方側へ延びるリブ22aと、リブ22aの前端部に形成された突起22bとを有して構成される。
【0025】
次に、ワイパブレード3をワイパアーム2の先端部2aに連結する手順を説明する。
【0026】
まず、図1に示されるように、揺動部材9をワイパブレード3のベース部7に取り付ける。
【0027】
次いで、図2に示されるように、ワイパアーム2を揺動部材9に取り付ける。この際には、揺動部材9の突状体10がワイパアーム2の挿通孔5に挿通され、揺動部材9の突起部11がワイパアーム2の切欠部6に係合された状態となる。
【0028】
次いで、図3に示されるように、ワイパアーム2に予め配設されているスライダ4を、ワイパアーム2の基端部側へスライドさせることにより、ワイパアーム2のワイパブレード3への連結状態を保持する。
【0029】
そして、図4に示されるように、規制部材19をスライダ4に取り付ける。この際には、規制部材19の係合部21が揺動部材9の突状体10と係合され、規制部材19の規制部22がスライダ4の第2切欠部18に受容された状態となる。規制部材19の係合部21が揺動部材9の突状体10と係合した状態では、規制部材19の規制部22がスライダ4の前端部(ワイパアーム2の先端部2a側)を保持することとなり、スライダ4の動作が規制部材19により規制される。
【0030】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0031】
(1)ワイパ装置1は、回動軸を中心に回動可能なワイパアーム2と、ワイパアーム2に着脱可能に連結されるワイパブレード3と、ワイパアーム2にスライド可能に配設され、ワイパアーム2のワイパブレード3への連結状態を保持するスライダ4と、を備える。ワイパ装置1は、スライダ4に着脱可能に取り付けられ、スライダ4の動作を規制する規制部材19をさらに備える。
【0032】
規制部材19がスライダ4の動作を規制することにより、ワイパアーム2に対するワイパブレード3の角度がどの角度であっても、ワイパアーム2に配設したスライダ4をワイパアーム2の先端部2a側にスライドさせることができなくなる。このため、ワイパアーム2をロックバックさせた状態においても、ワイパブレード3がワイパアーム2から意図せずに脱落することを抑制することが可能になる。
【0033】
以上要するに、本実施形態に係るワイパ装置1によれば、ワイパアーム2に対するワイパブレード3の角度に関わらず、ワイパブレード3がワイパアーム2から脱落することを抑制することができる。
【0034】
(2)ワイパブレード3は、ワイパブレード3のベース部7に揺動可能に装着される揺動部材9と、揺動部材9に形成される突状体10と、を有する。規制部材19は、スライダ4に装着される本体部20と、本体部20に形成され、突状体10と係合する係合部21と、本体部20に形成され、スライダ4の一部分と当接することによりスライダ4の動作を規制する規制部22と、を有する。
【0035】
前述したように、規制部材19の係合部21が揺動部材9の突状体10と係合した状態では、規制部材19の規制部22がスライダ4の前端部(ワイパアーム2の先端部2a側)を保持することとなり、スライダ4の動作が規制部材19により規制される。
【0036】
(3)本実施形態に係る連結機構は、ワイパアーム2にスライド可能に配設されたスライダ4に着脱可能に取り付けられ、スライダ4の動作を規制する規制部材19を備える。
【0037】
規制部材19がスライダ4の動作を規制することにより、ワイパアーム2に対するワイパブレード3の角度がどの角度であっても、ワイパアーム2に配設したスライダ4をワイパアーム2の先端部2a側にスライドさせることができなくなる。このため、ワイパアーム2をロックバックさせた状態においても、ワイパブレード3がワイパアーム2から意図せずに脱落することを抑制することが可能になる。
【0038】
本実施形態に係る連結機構によれば、ワイパアーム2に対するワイパブレード3の角度に関わらず、ワイパブレード3がワイパアーム2から脱落することを抑制することが可能である。
【0039】
(4)本実施形態に係る連結機構は、ワイパブレード3のベース部7に揺動可能に装着される揺動部材9をさらに備える。揺動部材9は、突状体10を有する。規制部材19は、スライダ4に装着される本体部20と、本体部20に形成され、突状体10と係合する係合部21と、本体部20に形成され、スライダ4の一部分と当接することによりスライダ4の動作を規制する規制部22と、を有する。
【0040】
前述したように、規制部材19の係合部21が揺動部材9の突状体10と係合した状態では、規制部材19の規制部22がスライダ4の前端部(ワイパアーム2の先端部2a側)を保持することとなり、スライダ4の動作が規制部材19により規制される。
【0041】
ところで、本発明のワイパ装置、及び連結機構は前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ワイパ装置
2 ワイパアーム
3 ワイパブレード
4 スライダ
7 ベース部
9 揺動部材(第1クリップ)
10 突状体
19 規制部材(第2クリップ)
20 本体部
21 係合部
22 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6