(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】効能成分保持シートの製造方法、効能成分保持シートの製造装置、および効能成分保持シート
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20220113BHJP
A61M 35/00 20060101ALI20220113BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220113BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61K8/02
A61M35/00 Z
A61Q19/00
A45D44/22 C
(21)【出願番号】P 2017148310
(22)【出願日】2017-07-31
【審査請求日】2020-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】前坂 敏秀
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-502908(JP,A)
【文献】国際公開第2017/053489(WO,A1)
【文献】特開2011-110152(JP,A)
【文献】特開2004-262901(JP,A)
【文献】特開2003-135146(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108918(WO,A1)
【文献】特開平11-269031(JP,A)
【文献】特開2004-238333(JP,A)
【文献】特開2015-000872(JP,A)
【文献】特開昭57-024305(JP,A)
【文献】国際公開第2007/123380(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/003183(WO,A1)
【文献】特開2011-068593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/02
A61M 35/00
A61Q 19/00
A45D 44/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造方法であって、
シート状の基材を形成する工程と、
前記基材に対し、生体情報に応じた効能成分液を含浸させる工程とを含み、
前記基材を形成する工程は、
基材ヘッドおよび効能成分ヘッドを有するプリントエンジン部の前記基材ヘッドにより基材の材料である液体を前記効能成分保持シートの形成面上へ吐出して基材を形成する工程であ
り、
前記効能成分液を含浸させる工程は、前記プリントエンジン部の前記効能成分ヘッドにより効能成分液を前記基材へ吐出して、前記基材に効能成分液を含浸させる工程であることを特徴とす
る効能成分保持シートの製造方法。
【請求項2】
前記基材ヘッドおよび前記効能成分ヘッドは、所定方向に沿って延びるガイド部に設置されており、
前記基材を形成する工程において、前記基材ヘッドは、前記ガイド部に沿って移動しつつ、基材の材料である液体を前記効能成分保持シートの形成面上へ吐出し、
前記効能成分液を含浸させる工程において、前記効能成分ヘッドは、前記ガイド部に沿って移動しつつ、効能成分液を前記基材へ吐出することを特徴とする請求項1に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項3】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面に、生体表面の凹凸形状に応じた凹凸形状を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項4】
生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造方法であって、
シート状の基材を形成する工程と、
前記基材に対し、生体情報に応じた効能成分液を含浸させる工程とを含み、
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面に、シワによる凹凸形状を含む生体表面の凹凸形状に応じた凹凸形状を形成することを特徴とする効能成分保持シートの製造方法。
【請求項5】
前記効能成分液を含浸させる工程は、液滴吐出ヘッドにより効能成分液を前記基材へ吐出して、前記基材に効能成分液を含浸させる工程であることを特徴とする請求項4に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項6】
前記基材を形成する工程は、
液滴吐出ヘッドにより基材の材料である液体を前記効能成分保持シートの形成面上へ吐出して基材を形成する工程であることを特徴とする請求項4または5に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項7】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材を生体表面に沿わせるための切り込み部を基材に形成することを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項8】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に対する被覆を回避する領域に開口部を形成することを特徴とする請求項
1乃至
7のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項9】
前記基材は、効能成分液が含浸される保持体と、前記保持体を支持する支持体とを有するものであり、
前記基材を形成する工程は、
シート状の前記支持体を形成する工程と、
前記支持体に積層して前記保持体を形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項
1乃至
8のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項10】
前記支持体を形成する工程は、前記支持体を液体不透過性のフィルムにより形成する工程であることを特徴とする請求項
9に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項11】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記支持体を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、他の部分より前記支持体を薄くした部分を設けることを特徴とする請求項
9または
10に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項12】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、前記基材に前記支持体または前記保持体を省略した部分を設けることを特徴とする請求項
9乃至
11のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項13】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布を示す情報を含み、
前記効能成分液を含浸させる工程において、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を前記基材に含浸させることを特徴とする請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項14】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分液を含浸させる工程において、生体表面の症状の度合いに応じて、各効能成分液の量を調整することを特徴とする請求項13に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項15】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記基材全体が、効能成分液を含浸可能な保持体からなるものであり、
前記効能成分液を含浸させる工程は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ基材に含浸させる工程であり、
前記基材を形成する工程において、各領域に含浸される効能成分液の量に応じて、各領域における基材の厚さを調整することを特徴とする請求項
1乃至
8のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項16】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分液を含浸させる工程は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ基材に含浸させる工程であり、
前記保持体を形成する工程において、各領域に含浸される効能成分液の量に応じて、各領域における保持体の厚さを調整することを特徴とする請求項
9乃至
12のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項17】
前記効能成分液を含浸させる工程において、同一領域に複数種類の効能成分液を含浸させる場合、優先度の高い効能成分液ほど、前記基材の厚さ方向において、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面の近くに配置されるように、各効能成分液を前記基材に含浸させることを特徴とする請求項
13乃至
16のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項18】
効能成分液が含浸された基材に対し、効能成分を含む粉末状の薬剤を塗布する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【請求項19】
生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造装置であって、
基材ヘッドおよび効能成分ヘッドを有するプリントエンジン部を備え、
前記基材ヘッドは、基材の材料である液体を前記効能成分保持シートの形成面上へ吐出してシート状の基材を形成
し、
前記効能成分ヘッドは、生体情報に応じた効能成分液を前記基材へ吐出して、前記基材に効能成分液を含浸させることを特徴とす
る効能成分保持シートの製造装置。
【請求項20】
前記基材ヘッドおよび前記効能成分ヘッドは、所定方向に沿って延びるガイド部に設置されており、
前記基材ヘッドは、前記ガイド部に沿って移動しつつ、基材の材料である液体を前記効能成分保持シートの形成面上へ吐出し、
前記効能成分ヘッドは、前記ガイド部に沿って移動しつつ、効能成分液を前記基材へ吐出することを特徴とする請求項19に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項21】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材
ヘッドは、前記3次元形状情報に基づき、前記基材を生体表面に沿わせるための切り込み部を前記基材に形成することを特徴とする請求項
19または
20に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項22】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材
ヘッドは、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に対する被覆を回避する領域に開口部を形成することを特徴とする請求項
19乃至
21のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項23】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材
ヘッドは、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面に、生体表面の凹凸形状に応じた凹凸形状を形成することを特徴とする請求項
19乃至
22のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項24】
前記基材は、効能成分液が含浸される保持体と、前記保持体を支持する支持体とを有するものであり、
前記基材
ヘッドは、
シート状の前記支持体を形成し、前記支持体に積層して前記保持体を形成することで、前記基材を形成することを特徴とする請求項
19乃至
23のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項25】
前記基材
ヘッドは、前記支持体を液体不透過性のフィルムにより形成することを特徴とする請求項
24に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項26】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材
ヘッドは、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、他の部分より前記支持体を薄くした部分を設けることを特徴とする請求項
24または
25に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項27】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材
ヘッドは、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、前記基材に前記支持体または前記保持体を省略した部分を設けることを特徴とする請求項
24乃至
26のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項28】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布を示す情報を含み、
前記効能成分
ヘッドは、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を前記基材に付与することを特徴とする請求項
19乃至
27のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項29】
前記生体情報は、効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分
ヘッドは、生体表面の症状の度合いに応じて、各効能成分液の量を調整することを特徴とする請求項
28に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項30】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記基材全体が、効能成分液が含浸可能な保持体からなるものであり、
前記効能成分
ヘッドは、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ前記基材に付与するものであり、
前記基材
ヘッドは、各領域に付与される効能成分液の量に応じて、各領域における前記基材の厚さを調整することを特徴とする請求項
19乃至
23のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項31】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分
ヘッドは、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ基材に付与するものであり、
前記基材
ヘッドは、各領域に含浸される効能成分液の量に応じて、各領域における前記保持体の厚さを調整することを特徴とする請求項
24乃至
27のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項32】
前記効能成分
ヘッドは、同一領域に複数種類の効能成分液を含浸させる場合、優先度の高い効能成分液ほど、前記基材の厚さ方向において、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面の近くに配置されるように、各効能成分液を前記基材に付与することを特徴とする請求項
28乃至
31のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項33】
生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造装置であって、
シート状の基材を形成する基材形成部と、
前記基材に対し、生体情報に応じた効能成分液を付与して含浸させる効能成分液付与部とを備え、
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面に、シワによる凹凸形状を含む生体表面の凹凸形状に応じた凹凸形状を形成することを特徴とする効能成分保持シートの製造装置。
【請求項34】
前記効能成分液付与部は、液滴吐出ヘッドにより効能成分液を前記基材へ吐出して付与するものであることを特徴とする請求項33に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項35】
前記基材形成部は、液滴吐出ヘッドにより前記基材の材料である液体を前記効能成分保持シートの形成面上へ吐出して基材を形成するものであることを特徴とする請求項33または34に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項36】
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材を生体表面に沿わせるための切り込み部を前記基材に形成することを特徴とする請求項33乃至35のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項37】
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に対する被覆を回避する領域に開口部を形成することを特徴とする請求項33乃至36のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項38】
前記基材は、効能成分液が含浸される保持体と、前記保持体を支持する支持体とを有するものであり、
前記基材形成部は、
シート状の前記支持体を形成し、前記支持体に積層して前記保持体を形成することで、前記基材を形成することを特徴とする請求項33乃至37のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項39】
前記基材形成部は、前記支持体を液体不透過性のフィルムにより形成することを特徴とする請求項38に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項40】
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、他の部分より前記支持体を薄くした部分を設けることを特徴とする請求項38または39に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項41】
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、前記基材に前記支持体または前記保持体を省略した部分を設けることを特徴とする請求項38乃至40のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項42】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布を示す情報を含み、
前記効能成分液付与部は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を前記基材に付与することを特徴とする請求項33乃至41のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項43】
前記生体情報は、効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分液付与部は、生体表面の症状の度合いに応じて、各効能成分液の量を調整することを特徴とする請求項42に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項44】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記基材全体が、効能成分液が含浸可能な保持体からなるものであり、
前記効能成分液付与部は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ前記基材に付与するものであり、
前記基材形成部は、各領域に付与される効能成分液の量に応じて、各領域における前記基材の厚さを調整することを特徴とする請求項33乃至37のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項45】
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分液付与部は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ基材に付与するものであり、
前記基材形成部は、各領域に含浸される効能成分液の量に応じて、各領域における前記保持体の厚さを調整することを特徴とする請求項38乃至41のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項46】
前記効能成分液付与部は、同一領域に複数種類の効能成分液を含浸させる場合、優先度の高い効能成分液ほど、前記基材の厚さ方向において、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面の近くに配置されるように、各効能成分液を前記基材に付与することを特徴とする請求項42乃至45のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項47】
効能成分液が含浸された基材に対し、効能成分を含む粉末状の薬剤を塗布する薬剤塗布部をさらに含むことを特徴とする請求項19乃至
46のいずれか1項に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【請求項48】
生体に貼り付けられる効能成分保持シートであって、
シート状の基材を備え、
生体情報に応じた効能成分液が前記基材に含浸されており、
前記基材の生体に貼り付けられる側の表面に、本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の
、シワによる凹凸形状を含む凹凸形状に応じた凹凸形状が形成されていることを特徴とす
る効能成分保持シート。
【請求項49】
前記基材は、本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状に応じて形成された、前記基材を生体表面に沿わせるための切り込み部を有することを特徴とする請求項48に記載の効能成分保持シート。
【請求項50】
前記基材は、本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における前記基材の被覆を回避する領域に形成された開口部を有することを特徴とする請求項48または49に記載の効能成分保持シート。
【請求項51】
前記基材は、
効能成分液が含浸される保持体と、
前記保持体を支持する支持体と
を有することを特徴とする請求項
48乃至
50のいずれか1項に記載の効能成分保持シート。
【請求項52】
前記支持体は、液体不透過性のフィルムにより形成されていることを特徴とする請求項
51に記載の効能成分保持シート。
【請求項53】
前記基材には、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、他の部分より前記支持体を薄くした部分が設けられていることを特徴とする請求項
51または
52に記載の効能成分保持シート。
【請求項54】
前記基材には、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、前記支持体または前記保持体を省略した部分が設けられていることを特徴とする請求項
51乃至
53のいずれか1項に記載の効能成分保持シート。
【請求項55】
本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液が基材に含浸されていることを特徴とする請求項
48乃至
54のいずれか1項に記載の効能成分保持シート。
【請求項56】
本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の症状の度合いに応じて、各効能成分液の量が調整されていることを特徴とする請求項
55に記載の効能成分保持シート。
【請求項57】
前記基材全体が、効能成分液が含浸可能な保持体からなるものであり、
本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液が症状の度合いに応じた量だけ前記基材に含浸され、
各領域における効能成分液の量に応じて、各領域における前記基材の厚さが調整されていることを特徴とする請求項
48乃至
50のいずれか1項に記載の効能成分保持シート。
【請求項58】
本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液が症状の度合いに応じた量だけ前記基材の前記保持体に含浸され、
各領域における効能成分液の量に応じて、各領域における前記保持体の厚さが調整されていることを特徴とする請求項
51乃至
54のいずれか1項に記載の効能成分保持シート。
【請求項59】
前記基材における複数種類の効能成分液が含浸されている領域において、優先度の高い効能成分液ほど、前記基材の厚さ方向における、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面の近くに配置されていることを特徴とする請求項
55乃至
58のいずれか1項に記載の効能成分保持シート。
【請求項60】
効能成分液が含浸された基材に対し、効能成分を含む粉末状の薬剤が塗布されていることを特徴とする請求項
48乃至
59のいずれか1項に記載の効能成分保持シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効能成分保持シートの製造方法、効能成分保持シートの製造装置、および効能成分保持シートに関する。
【背景技術】
【0002】
生体に対する効能成分を保持し、生体に貼り付けられて効能を発揮する効能成分保持シートが知られている。
【0003】
このような効能成分保持シートとして、例えば、特許文献1には、フェイスパックが開示されている。このフェイスパックは、効能成分を含むパック剤を布地に含浸させたものである。このフェイスパックをユーザの顔面に貼り付けることで、顔面の皮膚に対してパック剤の効能が発揮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようなフェイスパックでは、予め決められた効能成分が含浸されているため、ユーザの肌の状態等に応じた適切な効能が発揮されないことがあった。そこで、フェイスパックのような効能成分保持シートにおいて、生体に対する効能を高めることが要望されていた。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、生体に対する効能を高めることができる効能成分保持シートの製造方法、効能成分保持シートの製造装置、および効能成分保持シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造方法であって、シート状の基材に対し、生体情報に応じた効能成分液を含浸させる工程を含むことを特徴とする効能成分保持シートの製造方法が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造方法であって、シート状の基材に対し、複数種類の効能成分液を互いに異なる領域に含浸させる工程を含むことを特徴とする効能成分保持シートの製造方法が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造装置であって、シート状の基材に対し、生体情報に応じた効能成分液を付与して含浸させる効能成分液付与部を備えることを特徴とする効能成分保持シートの製造装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造装置であって、シート状の基材に対し、複数種類の効能成分液を互いに異なる領域に付与して含浸させる効能成分液付与部を備えることを特徴とする効能成分保持シートの製造装置が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、生体に貼り付けられる効能成分保持シートであって、シート状の基材を備え、生体情報に応じた効能成分液が前記基材に含浸されていることを特徴とする効能成分保持シートが提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、生体に貼り付けられる効能成分保持シートであって、シート状の基材を備え、前記基材には、互いに異なる種類の効能成分液が含浸された複数の領域が設けられていることを特徴とする効能成分保持シートが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、効能成分保持シートによる生体に対する効能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係るフェイスパック製造装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示すフェイスパック製造装置のプリントエンジン部の概略構成図である。
【
図3】
図1に示すフェイスパック製造装置の制御ブロック図である。
【
図5】フェイスパックの製造方法のフローチャートである。
【
図11】複数種類の効能成分液が保持体に含浸された領域におけるフェイスパックの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0016】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るフェイスパック製造装置(請求項の効能成分保持シートの製造装置に相当)の概略構成図である。
図2は、
図1に示すフェイスパック製造装置のプリントエンジン部の概略構成図である。
図3は、
図1に示すフェイスパック製造装置の制御ブロック図である。なお、以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0018】
図1、
図3に示すように、本実施の形態に係るフェイスパック製造装置1は、測定部2と、プリントエンジン部3と、プリントエンジン移動機構部4と、供給部5と、搬送部6と、受取部7と、制御部8とを備える。ここで、フェイスパック製造装置1は、人(請求項の生体に相当)の顔面(請求項の生体表面に相当)に貼り付けられて効能を発揮するフェイスパック(請求項の効能成分保持シートに相当)を製造する装置である。
【0019】
測定部2は、ユーザの顔面の測定を行う。この測定は、ユーザの顔面情報(請求項の生体情報に相当)を取得するためのものである。
【0020】
ここで、顔面情報は、
図4に示すように、顔形状情報(請求項の3次元形状情報に相当)、メラミン値、ヘモグロビン値、皮膚水分量を含む。
【0021】
顔形状情報は、ユーザの顔面の3次元形状を示す情報である。顔面の3次元形状には、顔面の輪郭や、目、鼻、口、頬等の各部の形状や配置等により形成される顔面全体の外形の3次元形状と、シワによる顔面の皮膚表面の凹凸形状とが含まれる。顔形状情報は、後述する3次元撮像部11で顔面を3次元撮像することにより3次元撮像データとして取得される。
【0022】
メラニン値は、そばかす、シミ、および隠れシミの症状の度合いを示す情報である。そばかすおよびシミを示すメラニン値は、後述する3次元撮像部11により顔面をカラー撮像して3次元撮像データを解析することにより取得される。また、隠れシミを示すメラニン値は、後述する3次元撮像部11により顔面をUV(紫外線)撮像して3次元撮像データを解析することにより取得される。
【0023】
ヘモグロビン値は、皮膚の赤みおよびニキビの症状の度合いを示す情報である。ヘモグロビン値は、後述する3次元撮像部11により顔面をカラー撮像して3次元撮像データを解析することで取得される。
【0024】
皮膚水分量は、皮膚のカサつき(ベタつき)の症状の度合いを示す情報である。皮膚水分量は、後述する皮膚水分量測定部12による皮膚に対する接触測定により取得される。
【0025】
測定部2は、
図3に示すように、3次元撮像部11と、皮膚水分量測定部12とを備える。
【0026】
3次元撮像部11は、ユーザの顔面を3次元撮像して3次元撮像データを生成する。3次元撮像部11は、3次元のカラー撮像およびUV撮像が可能な3次元撮像装置により構成される。
【0027】
皮膚水分量測定部12は、皮膚に対する接触測定により、皮膚水分量を測定するものである。皮膚水分量測定部12は、例えば、コルネオメーター(登録商標)により構成される。
【0028】
プリントエンジン部3は、インクジェット印刷方式により後述するフェイスパック61を形成するものである。
図2、
図3に示すように、プリントエンジン部3は、基材形成部16と、効能成分液付与部17とを備える。
【0029】
基材形成部16は、後述するフェイスパック61の基材62を形成する。基材形成部16は、基材ヘッド21と、UV照射部22A,22Bと、乾燥部23A,23Bとを備える。なお、UV照射部22A,22B、乾燥部23A,23B等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0030】
基材ヘッド21は、支持体形成液および保持体形成液を吐出する液滴吐出ヘッドである。基材ヘッド21として、インクジェット方式の印刷装置においてインクを吐出するインクジェットヘッドが用いられる。基材ヘッド21は、1画素に対して複数の液滴を吐出可能なマルチドロップ方式のインクジェットヘッドからなる。基材ヘッド21は、2列のノズル列(図示せず)を有する。基材ヘッド21は、一方のノズル列のノズルから支持体形成液を吐出し、他方のノズル列のノズルから保持体形成液を吐出する。
【0031】
ここで、支持体形成液は、後述する基材62の支持体63を形成するための材料である液体である。具体的には、支持体形成液は、液体不透過性のフィルムからなる支持体63を形成するためのUV硬化性樹脂の液体である。また、保持体形成液は、後述する基材62の保持体64を形成するための材料である液体である。具体的には、保持体形成液は、液体パルプである。
【0032】
UV照射部22は、基材ヘッド21から後述する搬送部6のベルト46へ吐出されたUV硬化性樹脂の液体である支持体形成液に紫外線を照射し、支持体形成液を硬化させる。
【0033】
UV照射部22A,22Bは、基材ヘッド21および後述する効能成分ヘッド26A~26Dを挟んで、前後方向に互いに離間して配置されている。具体的には、UV照射部22Aは基材ヘッド21より前側に配置され、UV照射部22Bは効能成分ヘッド26Dより後側に配置されている。
【0034】
乾燥部23は、基材ヘッド21から後述する搬送部6のベルト46へ吐出された液体パルプである保持体形成液を熱により乾燥させる。乾燥部23は、例えば、ヒータからなる。
【0035】
乾燥部23A,23Bは、基材ヘッド21および後述する効能成分ヘッド26A~26Dを挟んで、前後方向に互いに離間して配置されている。具体的には、乾燥部23AはUV照射部22Aより前側に配置され、乾燥部23BはUV照射部22Bより後側に配置されている。なお、乾燥部23AとUV照射部22Aとの位置関係を逆にしてもよい。また、乾燥部23BとUV照射部22Bとの位置関係を逆にしてもよい。
【0036】
効能成分液付与部17は、効能成分液を基材62に付与して含浸させる。効能成分液付与部17は、効能成分ヘッド26A~26Dを備える。
【0037】
効能成分ヘッド26は、効能成分液を基材62へ吐出して付与する液滴吐出ヘッドである。効能成分ヘッド26A~26Dは、基材ヘッド21の後側において、前側から効能成分ヘッド26A~26Dの順で、前後方向に並列して設置されている。効能成分ヘッド26A~26Dは、基材ヘッド21と同様に、それぞれ2列のノズル列(図示せず)を有する。そして、効能成分ヘッド26A~26Dは、各ノズル列からそれぞれ異なる種類の効能成分液を吐出する。すなわち、効能成分液付与部17は、効能成分ヘッド26A~26Dにより、合計8種類の効能成分液を吐出する。効能成分ヘッド26A~26Dは、基材ヘッド21と同様に、マルチドロップ方式のインクジェットヘッドからなる。
【0038】
効能成分液は、顔面の皮膚に対する効能を有する効能成分を、水、油等の液体に含ませた液体である。また、効能成分液は、防腐剤、着色剤、界面活性剤、香料等の任意の添加剤を含んでいてもよい。効能成分ヘッド26A~26Dから吐出される8種類の効能成分液を、第1~第8効能成分液とする。
【0039】
第1効能成分液は、効能成分として、保湿成分を含むものである。保湿成分は、皮膚のカサつきに対する効能成分として用いられるものである。保湿成分としては、ヘキサンジオール、アルファヒドロキシ酸、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン等が用いられる。
【0040】
第2効能成分液は、効能成分として、乾燥防止成分を含むものである。乾燥防止成分は、皮膚のカサつきに対する効能成分として用いられるものである。乾燥防止成分としては、セタノール、エチルヘキサン酸セチル、リノール酸、ポリクオタニウム類等が用いられる。
【0041】
第3効能成分液は、効能成分として、細胞活性化成分を含むものである。細胞活性化成分は、そばかす、シミに対する効能成分として用いられるものである。細胞活性化成分としては、ヒトオリゴペプチド、アスパラギン酸、マリンパージ、加水分解コンキオリン、ナイアシンアミド等が用いられる。
【0042】
第4効能成分液は、効能成分として、美白成分を含むものである。美白成分は、シミに対する効能成分として用いられるものである。美白成分としては、パルミチン酸アスコルビルリン酸、ニコチン酸アミド、トラネキサム酸、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、アルブチン、プラセンタ等が用いられる。
【0043】
第5効能成分液は、効能成分として、ピーリング成分を含むものである。ピーリング成分は、そばかす、シミに対する効能成分として用いられるものである。ピーリング成分としては、アルファヒドロキシ酸、サリチル酸等が用いられる。
【0044】
第6効能成分液は、効能成分として、抗シワ成分を含むものである。抗シワ成分は、皮膚表面のシワに対する効能成分として用いられるものである。抗シワ成分としては、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、アスタキサンチン、アセチルヒドロキシプロリン、アセチルヘキサペプチド等が用いられる。
【0045】
第7効能成分液は、効能成分として、紫外線防止成分を含むものである。紫外線防止成分は、隠れシミに対する効能成分として用いられるものである。紫外線防止成分としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オキシベンゾ、t‐ブチルメトキシジベンゾイルメタン等が用いられる。
【0046】
第8効能成分液は、効能成分として、抗炎症成分を含むものである。抗炎症成分は、皮膚の赤みおよびニキビに対する効能成分として用いられるものである。抗炎症成分としては、トラネキサム酸、グリチルレチン酸ステアリル、ニコチン酸アミド等が用いられる。
【0047】
第1~第8効能成分液は、効能成分ヘッド26から吐出可能となるように、粘度等の特性が調整されている。また、第1~第8効能成分液のそれぞれの粘度等に応じて、効能成分ヘッド26A~26Dとして用いるインクジェットヘッドの種類を選定するようにしてもよい。
【0048】
プリントエンジン移動機構部4は、プリントエンジン部3を前後方向に移動させる。プリントエンジン移動機構部4は、ガイド部31と、プリントエンジン移動モータ32とを備える。
【0049】
ガイド部31は、プリントエンジン部3が前後方向に沿って移動するようガイドする部材である。プリントエンジン移動モータ32は、プリントエンジン部3を前後方向に移動させる。
【0050】
供給部5は、支持体形成液、保持体形成液、および第1~第8効能成分液を保持し、これらをプリントエンジン部3へ供給する。
図1、
図3に示すように、供給部5は、支持体形成液タンク36と、支持体形成液供給路37と、保持体形成液タンク38と、保持体形成液供給路39と、効能成分液タンク40A~40Hと、効能成分液供給路41A~41Hとを備える。
【0051】
支持体形成液タンク36は、支持体形成液を貯留する。支持体形成液供給路37は、支持体形成液タンク36から基材ヘッド21へ支持体形成液を送液する経路である。
【0052】
保持体形成液タンク38は、保持体形成液を貯留する。保持体形成液供給路39は、保持体形成液タンク38から基材ヘッド21へ保持体形成液を送液する経路である。
【0053】
効能成分液タンク40A~40Hは、それぞれ第1~第8効能成分液を貯留する。効能成分液供給路41A~41Hは、それぞれ効能成分液タンク40A~40Hから効能成分ヘッド26A~26Dへ第1~第8効能成分液を送液する経路である。
【0054】
搬送部6は、後述するフェイスパック61を形成するための形成面として機能するとともに、形成されたフェイスパック61を受取部7へ搬送するものである。搬送部6は、プリントエンジン部3の下方に配置されている。
【0055】
搬送部6は、ベルト46と、駆動ローラ47と、従動ローラ48~50と、ベルト駆動モータ51とを備える。
【0056】
ベルト46は、フェイスパック61を形成するための形成面46aを構成するとともに、形成されたフェイスパック61を受取部7へ搬送する。
【0057】
ベルト46は、駆動ローラ47および従動ローラ48~50に掛け渡される環状のベルトである。ベルト46は、ゴム等の弾性部材からなる。ベルト46の駆動ローラ47と従動ローラ48との間で水平となる部分の上面が、フェイスパック61の形成面46aとなる。
【0058】
駆動ローラ47は、ベルト46を
図1における時計回り方向に回転させる。
【0059】
従動ローラ48~50は、駆動ローラ47とともにベルト46を支持する。従動ローラ48~50は、ベルト46に従動回転する。従動ローラ48は、駆動ローラ47と同じ高さで、駆動ローラ47の左方に配置されている。従動ローラ49,50は、駆動ローラ47および従動ローラ48より低い位置において、互いに左右方向に離間して、同じ高さに配置されている。
【0060】
ベルト駆動モータ51は、駆動ローラ47を回転駆動させる。
【0061】
受取部7は、搬送部6により搬送されてくる完成されたフェイスパック61を受け取る。受取部7は、受取台56と、昇降モータ57とを備える。
【0062】
受取台56は、完成されたフェイスパック61を受け取る台である。受取台56は、搬送部6の下流側近傍に配置されている。受取台56は、昇降可能に構成されている。
【0063】
昇降モータ57は、受取台56を昇降させる。
【0064】
制御部8は、フェイスパック製造装置1全体の動作を制御する。制御部8は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0065】
次に、フェイスパック製造装置1によるフェイスパック61を製造方法について説明する。
【0066】
図5は、フェイスパック製造装置1によるフェイスパック61の製造方法のフローチャートである。
【0067】
まず、
図5のステップS1において、制御部8は、顔面測定工程を実行する。顔面測定工程は、フェイスパック61のユーザの顔面を測定して顔面情報を取得する工程である。
【0068】
具体的には、制御部8は、3次元撮像部11によりユーザの顔面を3次元撮像させる。この際、制御部8は、3次元撮像部11にカラー撮像およびUV撮像を実行させる。3次元撮像部11は、カラー撮像による3次元撮像データおよびUV撮像による3次元撮像データを生成し、これらを制御部8へ出力する。
【0069】
また、制御部8は、フェイスパック製造装置1の操作者が、皮膚水分量測定部12をユーザの顔面上の各箇所に接触させつつ、各箇所における水分量を測定する操作を行うのに応じて、皮膚水分量測定部12から測定された皮膚水分量を取得する。ここで、皮膚水分量測定部12で測定される皮膚水分量は、3次元撮像部11による3次元撮像データにおける顔面上の各箇所の皮膚水分量のデータとして取得されるようになっている。顔面上の各箇所における皮膚水分量のデータは、顔面におけるカサつき(ベタつき)の領域の分布、およびその症状の度合いを示すものである。
【0070】
次いで、ステップS2において、制御部8は、吐出データ生成工程を実行する。吐出データ生成工程は、支持体形成液、保持体形成液、および各効能成分液の吐出データを生成する工程である。吐出データは、基材ヘッド21および効能成分ヘッド26A~26Dのそれぞれにおいて各画素に対して吐出する液滴の数(ドロップ数)を示すデータである。
【0071】
具体的には、まず、制御部8は、カラー撮像による3次元撮像データに基づき、フェイスパック形状データを生成する。
【0072】
フェイスパック形状データは、フェイスパック61の2次元形状と、フェイスパック61の顔面に貼り付けられる側の表面の凹凸形状とを含むデータである。フェイスパック形状データは、カラー撮像による3次元撮像データを2次元展開して顔面の2次元データを生成するとともに、カラー撮像による3次元撮像データにおける皮膚表面のシワによる凹凸形状を示すデータを2次元データと組み合わせて生成される。ここで、カラー撮像による3次元撮像データにおける皮膚表面のシワによる凹凸形状を示すデータは、シワの症状の分布およびその度合い(シワの深さ)を示すものである。
【0073】
フェイスパック61の2次元形状には、基材62の平面視における外形形状と、後述する切り込み部71A~71E(
図9参照)の位置および形状とが含まれる。切り込み部71A~71Eは、基材62を顔面の曲面に沿わせるために形成されるものである。
【0074】
また、フェイスパック61の2次元形状には、後述する開口部72A~72C(
図9参照)の位置および形状が含まれる。開口部72A~72Cは、顔面におけるフェイスパック61の被覆を回避する領域に形成されるものである。具体的には、開口部72A~72Cは、目、口に対応する領域に形成されるものである。
【0075】
次いで、制御部8は、カラー撮像による3次元撮像データを解析して、顔面の各箇所におけるメラニン値を算出する。このカラー撮像により得られる顔面の各箇所のメラニン値は、顔面におけるそばかす、シミの分布、およびそれらの症状の度合いを示すものである。
【0076】
また、制御部8は、UV撮像による3次元撮像データを解析して、顔面の各箇所におけるメラニン値を算出する。このUV撮像により得られる顔面の各箇所のメラニン値は、顔面における隠れシミの分布、およびその症状の度合いを示すものである。
【0077】
また、制御部8は、カラー撮像による3次元撮像データを解析して、顔面の各箇所におけるヘモグロビン値を算出する。このカラー撮像による3次元撮像データから算出される顔面の各箇所のヘモグロビン値は、顔面における赤み、ニキビの分布、およびそれらの症状の度合いを示すものである。
【0078】
次いで、制御部8は、顔面の各箇所における、カラー撮像により得られたメラニン値、UV撮像により得られたメラニン値、ヘモグロビン値、皮膚水分量を、フェイスパック形状データにおける平面座標にマッピングする。
【0079】
次いで、制御部8は、メラニン値等がマッピングされたフェイスパック形状データに基づき、支持体形成液、保持体形成液、および各効能成分液の吐出データを生成する。
【0080】
具体的には、制御部8は、フェイスパック61の2次元形状を形成する各座標に、所定の厚さのフィルムからなる支持体63を形成するためのドロップ数を設定したデータを、支持体形成液の吐出データとして生成する。支持体形成液の吐出データにおいて、切り込み部71および開口部72に対応する各座標のドロップ数は0に設定される。
【0081】
また、制御部8は、基材62が顎等の曲率が大きい部分で顔面に沿って曲がるようにするため、他の部分より支持体63を薄くするか、保持体64は形成するが支持体63を省略する部分が設けられるように、支持体形成液の吐出データを生成する。具体的には、制御部8は、支持体63を薄くする部分では、支持体形成液のドロップ数として、所定の厚さの支持体63を形成するためのドロップ数よりも小さいドロップ数を設定する。また、制御部8は、保持体64は形成するが支持体63を省略する部分では、支持体形成液のドロップ数を0に設定する。
【0082】
また、制御部8は、フェイスパック61の2次元形状を形成する各座標に、保持体64を形成するためのドロップ数を設定したデータを、保持体形成液の吐出データとして生成する。
【0083】
ここで、フェイスパック61では、各効能成分液のドロップ数の合計(各効能成分液の量の合計)に応じて、効能成分液を含浸するために必要な保持体64の厚さが設定されている。各効能成分液のドロップ数の合計が多いほど、必要な保持体64の厚さが厚くなる。そこで、制御部8は、各効能成分液のドロップ数の合計に応じて、保持体64の厚さが調整されるように、各座標における保持体形成液のドロップ数を設定する。
【0084】
また、制御部8は、保持体64の顔面に貼り付けられる側の表面の凹凸形状が、皮膚表面のシワによる凹凸形状に応じた形状になるように、各座標におけるドロップ数を設定する。例えば、制御部8は、シワにより皮膚が凹んだ部分に対応して、その深さに応じた凸部が保持体64形成されるように、当該部分の各座標のドロップ数を設定する。
【0085】
また、保持体形成液の吐出データにおいても、支持体形成液の吐出データと同様に、切り込み部71および開口部72に対応する各座標のドロップ数は0に設定される。
【0086】
また、制御部8は、基材62が顔面の曲面に沿って曲がるようにするため、支持体63は形成するが保持体64を省略する部分が設けられるように、保持体形成液の吐出データを生成する。具体的には、制御部8は、支持体63は形成するが保持体64を省略する部分では、保持体形成液のドロップ数を0に設定する。
【0087】
また、制御部8は、各座標におけるメラニン値等の値に基づき、各効能成分液のドロップ数を設定して、各効能成分液の吐出データを生成する。
【0088】
具体的には、制御部8は、カラー撮像により得られたメラニン値が閾値以上である領域が、そばかす、シミの症状がある領域であると判断する。そして、制御部8は、カラー撮像により得られたメラニン値が閾値以上である領域の各座標に対して、第3~第5効能成分液のうちの少なくともいずれかのドロップ数を設定する。このドロップ数は、各座標のカラー撮像により得られたメラニン値の大きさに応じた値とする。
【0089】
また、制御部8は、UV撮像により得られたメラニン値が閾値以上である領域が、隠れシミの症状がある領域であると判断する。そして、制御部8は、UV撮像により得られたメラニン値が閾値以上である領域の各座標に対して、UV撮像により得られたメラニン値の大きさに応じた第7効能成分液のドロップ数を設定する。
【0090】
また、制御部8は、ヘモグロビン値が閾値以上である領域が、赤み、ニキビの症状がある領域であると判断する。そして、制御部8は、ヘモグロビン値が閾値以上である領域の各座標に対して、ヘモグロビン値の大きさに応じた第8効能成分液のドロップ数を設定する。
【0091】
また、制御部8は、皮膚水分量が閾値未満である領域が、カサつきの症状がある領域であると判断する。そして、制御部8は、皮膚水分量が閾値未満である領域の各座標に対して、第1および第2効能成分液のうちの少なくともいずれかのドロップ数を設定する。このドロップ数は、皮膚水分量に応じた値とする。
【0092】
また、制御部8は、皮膚表面のシワによる凹凸形状が形成されている領域の各座標に対して、シワの深さに応じた第6効能成分液のドロップ数を設定する。
【0093】
上記のようにして、
図6に示すような、支持体形成液、保持体形成液、および各効能成分液の吐出データの吐出データが生成される。ここで、吐出データにおける各座標は、基材ヘッド21および効能成分ヘッド26A~26Dによる印刷時の画素に対応する。
【0094】
ところで、顔面に複数の症状が重複して生じている領域があることで、各効能成分液の吐出データにおいて、同一座標(同一領域)に対して、複数種類の効能成分液を吐出するようにドロップ数が設定される場合がある。この場合、制御部8は、同一座標に対する複数種類の効能成分液の吐出順番を設定する。
【0095】
具体的には、制御部8は、優先度の高い効能成分液ほど後から吐出されるように、吐出順番を設定する。効能成分液の優先度は、対応する症状の度合いが大きいものほど高い。症状の度合いが同程度の場合は、制御部8は、予め症状ごとに設定された優先度、またはユーザに指定された優先度に基づき、吐出順番を設定する。なお、効能成分の皮膚への浸透性の観点から、効能成分液の優先度を設定してもよい。同一座標に対して複数種類の効能成分液が吐出される場合、後から吐出された効能成分液ほど、保持体64(基材62)の厚さ方向において、保持体64の顔面に貼り付けられる側の表面近くに配置される。
【0096】
次いで、
図5のステップS3において、制御部8は、支持体形成工程を実行する。
【0097】
具体的には、制御部8は、プリントエンジン移動モータ32を制御してプリントエンジン部3を前後方向に移動させつつ、支持体形成液の吐出データに基づき基材ヘッド21から搬送部6の形成面46aへ支持体形成液を吐出させることで、1パス分の印刷を行う。この際、制御部8は、形成面46a上に吐出された支持体形成液に対し、UV照射部22により紫外線を照射させることで、支持体形成液を硬化させる。次いで、制御部8は、ベルト駆動モータ51を制御してベルト46を1パスの印刷幅分だけ右方向に送る。
【0098】
制御部8は、上記の1パス分の印刷および支持体形成液の硬化と、ベルト46の送り動作とを交互に繰り返すことにより、
図7に示すように、支持体63を形成する。
【0099】
ここで、プリントエンジン部3を前側から後側へ移動させつつ基材ヘッド21から支持体形成液を吐出させる際は、制御部8は、形成面46a上に吐出された直後の支持体形成液にUV照射部22Aから紫外線を照射して支持体形成液を硬化させる。また、プリントエンジン部3を後側から前側へ移動させつつ基材ヘッド21から支持体形成液を吐出させる際は、制御部8は、形成面46a上に吐出された直後の支持体形成液にUV照射部22Bにより紫外線を照射して支持体形成液を硬化させる。
【0100】
次いで、
図5のステップS4において、制御部8は、保持体形成工程を実行する。
【0101】
具体的には、まず、制御部8は、ベルト駆動モータ51を制御してベルト46を左方向へ送って、支持体63を所定位置まで戻す。
【0102】
この後、制御部8は、プリントエンジン移動モータ32を制御してプリントエンジン部3を前後方向に移動させつつ、保持体形成液の吐出データに基づき基材ヘッド21から支持体63へ保持体形成液を吐出させることで、1パス分の印刷を行う。この際、制御部8は、支持体63上に吐出された保持体形成液を、乾燥部23により乾燥させる。次いで、制御部8は、ベルト駆動モータ51を制御してベルト46を1パスの印刷幅分だけ右方向に送る。
【0103】
制御部8は、上記の1パス分の印刷および保持体形成液の乾燥と、ベルト46の送り動作とを交互に繰り返すことにより、支持体63に積層して保持体64を形成する。これにより、支持体63と保持体64とを有する基材62が形成面46a上に形成される。保持体64は、液体パルプが乾燥されて形成されたパルプからなり、繊維の隙間に効能成分液が浸透することで、効能成分液を含浸可能な構造を有する。
【0104】
次いで、ステップS5において、制御部8は、効能成分液付与工程を実行する。
【0105】
具体的には、まず、制御部8は、ベルト駆動モータ51を制御してベルト46を左方向へ送って、基材62を所定位置まで戻す。
【0106】
この後、制御部8は、プリントエンジン移動モータ32を制御してプリントエンジン部3を前後方向に移動させつつ、各効能成分液の吐出データに基づき各効能成分ヘッド26から基材62の保持体64へ各効能成分液を吐出させる。保持体64へ吐出された効能成分液は、保持体64に浸透して含浸される。
【0107】
ここで、同一画素(同一座標)に対して複数種類の効能成分液を吐出する領域がある場合、前述のように、各効能成分液の吐出順番が設定されている。これに対し、各効能成分液を吐出する各効能成分ヘッド26の前後方向における位置関係が固定であるため、1回のみの1パス分の印刷動作では、設定された吐出順番が実現できない場合がある。そこで、制御部8は、同一画素に対して複数種類の効能成分液を吐出する領域がある場合、プリントエンジン部3の前側から後側への移動による印刷動作と後側から前側への移動による印刷動作とを組み合わせて、設定された各効能成分液の吐出順番を実現する。
【0108】
1パスの印刷幅分の領域に対する各効能成分液の吐出データに基づく吐出が終了すると、制御部8は、ベルト駆動モータ51を制御してベルト46を1パスの印刷幅分だけ右方向に送る。
【0109】
制御部8は、上記の1パスの印刷幅分の領域に対する各効能成分液の吐出と、ベルト46の送り動作とを交互に繰り返すことにより、
図8に示すように、基材62に対する各効能成分液の吐出を行う。基材62全体の吐出対象領域に対する各効能成分液の吐出が終了すると、フェイスパック61の製造が終了となる。
【0110】
フェイスパック61の製造が終了すると、制御部8は、完成されたフェイスパック61を受取台56へ向けて送るよう搬送部6を制御する。そして、制御部8は、受取台56を下降させつつ、搬送部6からフェイスパック61を受け取るよう受取部7を制御する。
【0111】
次に、上述したフェイスパック製造装置1で製造されるフェイスパック61について説明する。
【0112】
図9は、フェイスパック61の平面図である。
図10は、フェイスパック61の部分断面図である。
【0113】
図9、
図10に示すように、フェイスパック61は、シート状の基材62を備える。基材62は、支持体63と、保持体64とを有する。
【0114】
支持体63は、保持体64を支持する。支持体63は、シート状の液体不透過性のフィルムにより形成されている。
【0115】
保持体64は、ユーザの顔面情報に応じた効能成分液を保持する。前述のように、保持体64は、液体パルプが乾燥されて形成されたパルプからなり、繊維の隙間に効能成分液が浸透することで、液体を含浸可能な構造を有する。保持体64は、支持体63に積層して形成されている。
【0116】
フェイスパック61の基材62の平面視における外形形状は、ユーザの顔面の3次元撮像データを2次元展開して得られた形状に形成されている。また、
図9に示すように、フェイスパック61の基材62には、切り込み部71A~71Eと、開口部72A~72Cとが形成されている。
【0117】
切り込み部71A~71Dは、フェイスパック61(基材62)を顔面輪郭に沿わせるための切り込みである。切り込み部71Eは、フェイスパック61(基材62)を鼻に沿わせるための切り込みである。切り込み部71A~71Eは、ユーザの顔形状情報(3次元撮像データ)に基づき、配置および形状が決定されて形成されたものである。
【0118】
開口部72A~72Cは、それぞれ左目、右目、口に対するフェイスパック61(基材62)の被覆を回避するためのものである。開口部72A~72Cは、ユーザの顔形状情報(3次元撮像データ)に基づき、配置および形状が決定されて形成されたものである。
【0119】
また、フェイスパック61の基材62の保持体64には、顔面情報に応じた種類の効能成分液が含浸されている。
【0120】
例えば、
図9に示す領域73A~73Lにおいて、それぞれに対応するユーザの顔面上の領域における症状に応じた効能成分液が含浸されている。ここで、領域73Aと、領域73B~73Eと、領域73F,73Gと、領域73H~73Jと、領域73K,73Lとは、それぞれ異なる症状に対応する領域である。ただし、それぞれの領域73に対応する顔面上の領域の少なくとも一部において、複数の症状が重複している場合がある。このため、それぞれの領域73において、当該領域73の少なくとも一部が、同一領域に複数種類の効能成分液が含浸された領域である場合がある。
【0121】
上述のように、領域73A~73Lには、互いに異なる症状に応じた効能成分液が含浸された複数の領域が含まれるため、基材62には、互いに異なる種類の効能成分液が含浸された複数の領域がある。例えば、
図10に示すように、保持体64には、効能成分液76Aが含浸された領域と、効能成分液76Aとは異なる種類の効能成分液76Bが含浸された領域とがある。ここで、効能成分液76A,76Bはそれぞれ、第1~第8効能成分液のいずれかである。
【0122】
また、上述のように、顔面に複数の症状が重複して生じている領域があることで、保持体64に、平面視における同一領域に複数種類の効能成分液が含浸された領域がある場合がある。例えば、
図11に示すように、保持体64に、同一領域に互いに異なる種類の効能成分液76C,76Dが含浸された領域がある場合がある。
図11の例では、効能成分液76C,76Dのうち、保持体64の顔面に貼り付けられる側の表面近くに配置されている効能成分液76Cの方が、この領域において優先度が高いものである。ここで、効能成分液76C,76Dはそれぞれ、第1~第8効能成分液のいずれかである。
【0123】
なお、保持体64における効能成分液が含浸される各領域73のすべてが、当該領域73の全域に複数種類の効能成分液が含浸されるものであってもよい。
【0124】
また、フェイスパック61保持体64において含浸されている各効能成分液の量は、それぞれに対応する症状の度合いに応じて調整されている。
【0125】
また、フェイスパック61において、効能成分液を含浸する各領域における保持体64の厚さは、含浸する効能成分液の量(複数種類の効能成分液を含浸する場合はそれらの量の合計)に応じて、効能成分液を含浸するために必要な厚さ以上に調整されている。
【0126】
また、フェイスパック61では、保持体64の顔面に貼り付けられる側の表面に、ユーザの皮膚表面のシワによる凹凸形状に応じた凹凸形状が形成されている。例えば、
図12に示すように、保持体64において、ユーザの皮膚表面のシワによる凹部に対応する凸部64aが形成されている。なお、
図12では、第1~第8効能成分液のいずれかである効能成分液76が保持体64に含浸されているものとしている。後述の
図13~
図15についても同様である。
【0127】
また、フェイスパック61では、基材62が顔面の曲率が大きい部分で顔面に沿って曲がるようにするために形成された、
図13に示すような支持体削減部63aが設けられている。支持体削減部63aは、他の部分より支持体63を薄くした部分である。
【0128】
また、フェイスパック61では、基材62が顔面の曲率が大きい部分で顔面に沿って曲がるようにするために形成された、
図14に示すような支持体省略部63b、および、
図15に示すような保持体省略部64bが設けられている。支持体省略部63bは、保持体64はあるが支持体63が省略された部分である。保持体省略部64bは、支持体63はあるが保持体64が省略された部分である。
【0129】
支持体削減部63a、支持体省略部63b、および保持体省略部64bは、ユーザの顔面の3次元形状に応じた適宜の位置に形成されている。
【0130】
上記のように構成されたフェイスパック61は、保持体64がユーザの顔面に接触するように、ユーザの顔面に貼り付けられる。これにより、保持体64に含浸された各効能成分液がユーザの顔面の皮膚に接触し、効能を発揮する。
【0131】
以上説明したように、本実施の形態のフェイスパック製造装置1では、効能成分液付与部17が、ユーザの顔面情報に応じた効能成分液を基材62の保持体64に付与して含浸させる。これにより、ユーザの顔面における肌の症状に応じた効能成分液を保持したフェイスパック61を提供できるので、ユーザの顔面に対する効能を高めることができる。
【0132】
具体的には、フェイスパック製造装置1では、顔面の症状に応じた領域ごとに、各領域の症状に応じた種類の効能成分液を基材62に含浸させる。これにより、顔面の領域ごとに症状に適した効能成分液を供給できるので、ユーザの顔面に対する効能を高めることができる。
【0133】
また、フェイスパック製造装置1では、顔面の症状の度合いに応じて効能成分液の量を調整するので、ユーザの顔面に対する効能をより高めることができる。
【0134】
また、フェイスパック製造装置1では、同一領域に複数種類の効能成分液を含浸させる場合、優先度の高い効能成分液ほど、基材62の顔面に貼り付けられる側の表面の近くに配置されるように、各効能成分液を基材62の保持体64に含浸させる。具体的には、フェイスパック製造装置1では、同一領域に複数種類の効能成分液を含浸させる場合、優先度の高い効能成分液ほど後から保持体64に吐出する。これにより、同一領域に複数種類の効能成分液が含浸された領域において、優先度に応じて効率的に各効能成分液の効能を発揮させることができる。
【0135】
また、フェイスパック製造装置1では、効能成分液を含浸する各領域における効能成分液の量に応じて、各領域における保持体64の厚さを調整している。これにより、フェイスパック61における効能成分液の保持状態を良好に保つことができる。
【0136】
また、フェイスパック製造装置1では、基材形成部16により基材62を形成する。このため、基材62を別途用意することなく、フェイスパック61を製造できる。
【0137】
また、フェイスパック製造装置1では、ユーザの顔形状情報に基づき、切り込み部71および開口部72を形成している。これにより、ユーザの顔の曲率や、目、鼻等の位置に応じて、切り込み部71および開口部72を、適切な位置に適切な形状で形成できる。この結果、フェイスパック61をユーザの実際の顔面形状に高精度で対応した形状とすることができる。
【0138】
また、フェイスパック製造装置1では、ユーザの顔形状情報に基づき、保持体64の顔面に貼り付けられる側の表面に、ユーザの皮膚表面の凹凸形状に応じた凹凸形状を形成している。これにより、ユーザの顔面のシワの部分にも効能成分液を接触させることが可能になるので、ユーザの顔面に対する効能をより高めることができる。
【0139】
また、フェイスパック製造装置1では、シート状の支持体63を形成し、支持体63に保持体64を積層して形成することで、基材62を形成する。これにより、支持体63が保持体64を支持するので、フェイスパック61の型崩れを抑えることができる。
【0140】
また、フェイスパック製造装置1では、支持体63を液体不透過性のフィルムにより形成するので、保持体64が保持する効能成分液の蒸発、流出を抑制でき、保持体64が効能成分液を長期保持できる。
【0141】
また、フェイスパック製造装置1では、基材62が顔面に沿って曲がるように、他の部分より支持体63を薄くした部分(支持体削減部63a)を形成している。これにより、フェイスパック61をより顔面に密着させることができる。
【0142】
また、フェイスパック製造装置1では、基材62が顔面に沿って曲がるように、基材62に支持体63または保持体64を省略した部分(支持体省略部63b、保持体省略部64b)を形成している。これにより、フェイスパック61をより顔面に密着させることができる。
【0143】
また、フェイスパック製造装置1では、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)である基材ヘッド21により支持体形成液および保持体形成液を吐出して基材62を形成している。これにより、容易に基材62を形成できる。また、カット工程を行うことなく、基材62に切り込み部71および開口部72を形成することができる。さらに、支持体63を薄くした部分(支持体削減部63a)、および、支持体63または保持体64を省略した部分(支持体省略部63b、保持体省略部64b)も容易に形成できる。
【0144】
また、フェイスパック製造装置1では、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)である効能成分ヘッド26により効能成分液を吐出して基材62に含浸させている。これにより、容易に効能成分液を基材62に付与できる。また、効能成分液の基材62への付与量および付与位置を微細に調整できる。
【0145】
[その他の実施の形態]
上記のように実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0146】
上述した実施の形態では、フェイスパック製造装置1において基材62を形成し、その形成した基材62に効能成分液を付与してフェイスパック61を製造した。しかし、別途用意した基材に対し、フェイスパック製造装置1で顔面情報に応じた効能成分液を付与して含浸させることで、フェイスパックを製造するようにしてもよい。
【0147】
上述した実施の形態では、顔面情報に含まれる顔面における症状を示す情報として、メラミン値、ヘモグロビン値、皮膚水分量、および皮膚表面のシワによる凹凸形状を用いたが、これらの一部を省略してもよいし、他の症状に対応する測定値等を採用してもよい。
【0148】
上述した実施の形態では、フェイスパック61の基材62に複数種類の効能成分液を含浸させたが、ユーザの顔面の症状によっては、基材62に含浸される効能成分液が1種類の場合がある。
【0149】
上述した実施の形態では、フェイスパック製造装置1の測定部2でユーザの顔面を測定して得られた顔面情報を用いてフェイスパック61を製造した。しかし、顔面情報を外部の装置から取得してもよい。また、フェイスパック製造装置1の操作者が操作入力部(図示せず)を操作して顔面情報を入力してもよい。また、ユーザの過去の顔面情報を制御部8が記憶しておき、その顔面情報を用いてフェイスパック61を製造してもよい。
【0150】
上述した実施の形態では、インクジェットヘッドである基材ヘッド21により支持体形成液および保持体形成液を吐出して基材62を形成した。また、インクジェットヘッドである効能成分ヘッド26により効能成分液を基材62に吐出した。しかし、インクジェットヘッドに限らず、例えば、支持体形成液、保持体形成液、および効能成分液の少なくともいずれかをディスペンサにより吐出するようにしてもよい。また、それ以外でも、液体を吐出または射出できる手段であれば、スプレーやシリンジや匙を用いてもよいし、ポンプやモータを利用したものであってもよい。また、例えば、液体の粘度が高い場合等において、液体を吐出口または射出口から切り離すために、接触式の切り離し手段を設けてもよい。
【0151】
上述した実施の形態では、インクジェットヘッドを用いて基材21を形成したが、3Dプリンタに用いられるような熱溶融、光硬化現象、接着剤、レーザ照射、カッティングプロッタ等の手段を利用して、基材を形成するようにしてもよい。
【0152】
上述した実施の形態では、マルチドロップ方式のインクジェットヘッドを用いたが、2値方式のインクジェットヘッドを用いてもよい。
【0153】
上述した実施の形態では、マルチパス方式(シリアル方式)により基材の形成および効能成分液の付与を行ったが、シングルパス方式(ライン方式)であってもよい。
【0154】
上述した実施の形態では、生体情報(顔面情報)の取得のためにUV撮像を行ったが、赤外線、マイクロ波、2光子励起蛍光、不可視光を用いた撮像を行ってもよい。
【0155】
上述した実施の形態では、支持体63をUV硬化性樹脂からなるフィルムにより構成したが、他の素材により構成してもよい。また、上述した実施の形態では、液体パルプを乾燥させて保持体64を形成したが、液体を含浸可能な多孔質の素材等の他の素材により保持体64を形成してもよい。
【0156】
上述した実施の形態では、基材62は支持体63と保持体64とを有するものとしたが、基材全体が液体を含浸可能な保持体からなるものであってもよい。
【0157】
上述した実施の形態では、基材62に支持体63を薄くした部分(支持体削減部63a)、および、支持体63または保持体64を省略した部分(支持体省略部63b、保持体省略部64b)を形成した。しかし、ユーザの顔面の形状に応じて、これらのいずれかを省略してもよい。
【0158】
上述した実施の形態では、支持体63の形成を完了した後、保持体64を形成して基材62が完成した後、基材62への効能成分液の付与を行った。しかし、プリントエンジン部3による1パスの印刷幅分ずつ、支持体63の形成、保持体64の形成、基材62への効能成分液の付与を行って、フェイスパック61を製造するようにしてもよい。
【0159】
基材62を、その一部が他の部分と重複するように形成してもよい。例えば、基材62のなかで鼻を覆う部分の一部が、その周縁部分と重複するものであってもよい。
【0160】
上述した実施の形態では、ユーザの顔面情報に基づき、基材ヘッド21により支持体63および保持体64を形成して基材62を形成し、効能成分ヘッド26により効能成分液を基材62に吐出してフェイスパック61を製造した。しかし、ユーザの顔面情報を用いることなく、基材ヘッド21および効能成分ヘッド26を用いてフェイスパックを製造するようにしてもよい。この場合、例えば、基材ヘッド21を用いて、予め決められた標準的な形状の基材を形成する。そして、予め指定された少なくとも1種類の効能成分液を効能成分ヘッド26A~26Dの少なくともいずれかから基材へ吐出して、フェイスパックを製造する。また、予め用意された基材に対して、予め指定された少なくとも1種類の効能成分液を効能成分ヘッド26A~26Dの少なくともいずれかから基材へ吐出して、フェイスパックを製造してもよい。
【0161】
この場合において、互いに異なる種類の効能成分液が含浸された複数の領域が基材に形成されるように、予め指定された複数種類の効能成分液を、それぞれに指定された領域に吐出して基材に含浸させるようにしてもよい。これにより、顔面の領域ごとに異なる効能成分液を設定することができるので、領域ごとに適していると想定される効能成分液を提供してユーザの顔面に対する効能を高めることが可能になる。
【0162】
上述した実施の形態では、フェイスパックが顔面全体を覆うものである場合について説明したが、顔面の一部を覆うものであってもよい。
【0163】
上述した実施の形態では、効能成分保持シートがフェイスパックである場合について説明したが、効能成分保持シートはフェイスパックに限らない。例えば、効能成分保持シートは、患者に貼り付けられる医療用シートでもよい。
【0164】
医療用シートは、上述した実施の形態における基材62と同様のシート状の基材に対し、医療用の効能成分を含む効能成分液を含浸させたものである。
【0165】
医療用の効能成分としては、例えば、捻挫、筋肉痛等の症状に対する効能成分として、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン等のNSAID(非ステロイド系消炎鎮痛剤)等がある。また、咳、喘息等の症状に対する効能成分として、気管支拡張剤、消炎鎮痛剤等がある。また、蕁麻疹、かゆみ、皮膚炎等の症状に対する効能成分として、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤等の抗アレルギー剤等がある。また、外傷、白癬(水虫)、とびひ等の症状に対する効能成分として、抗菌剤、抗生物質等がある。また、ヘルペスウイルス等に対する効能成分として、抗ウイルス剤等がある。
【0166】
医療用シートの製造装置は、上述した実施の形態のフェイスパック製造装置1と同様の構成である。ただし、測定部2の皮膚水分量測定部12は、患者の症状を測定するための測定器に置き換えられる。また、効能成分ヘッド26が吐出する効能成分液としては、上述のような医療用の効能成分を含むものが用いられる。医療用シートは、このような製造装置において、上述した実施の形態のフェイスパック61と同様の工程で製造される。
【0167】
ここで、上述した実施の形態のフェイスパック61の貼付対象領域がユーザの顔面であるのに対し、医療用シートの貼付対象領域は患者の症状に対応する領域である。医療用シートの貼付対象領域の3次元形状によっては、基材の切り込み部および開口部の少なくともいずれかが不要の場合がある。このため、基材の切り込み部および開口部の少なくともいずれかが省略されることがある。同様に、支持体を薄くした部分(支持体削減部)、および、支持体または保持体を省略した部分(支持体省略部、保持体省略部)の少なくともいずれかが省略されることがある。
【0168】
また、医療用シートの貼付対象領域の表面形状や患者の症状によっては、皮膚のシワによる凹凸形状に応じた基材表面の凹凸形状が不要の場合がある。このため、基材の患者に貼り付けられる側の表面に凹凸形状を形成することが省略されることがある。
【0169】
また、医療用シートを製造する際、患者の症状は、医療用シートの製造装置の操作者が、医師等の診断に基づいて製造装置に入力するようにしてもよい。この場合、医療用シートの製造装置において、患者の症状を測定するための測定器を省略してもよい。
【0170】
上述した実施の形態における効能成分保持シートであるフェイスパックは、人に貼り付けられるものであるが、効能成分保持シートは、人以外の動物、植物等の生体に貼り付けられるものであってもよい。例えば、上述した医療用シートが動物用のものであってもよい。
【0171】
また、効能成分保持シートは、植物に貼り付けられる植物用シートであってもよい。植物用シートは、上述した実施の形態における基材62と同様のシート状の基材に対し、植物用の効能成分を含む効能成分液を含浸させたものである。
【0172】
植物用の効能成分の1種として、チオファネートメチル等のベンゾイミダゾール系の殺菌剤がある。この効能成分は、植物の切り口や傷口の癒合促進のためのものである。すなわち、この効能成分は、植物の剪定、整枝時の切り口や、病患部を削り取った後の傷口に対し、病原菌の侵入を防ぎ、枯れ込みを防止し、切り口や傷口の治りを早めるものである。
【0173】
植物用シートの製造装置は、上述した実施の形態のフェイスパック製造装置1と同様の構成である。ただし、測定部2の皮膚水分量測定部12は、植物の症状を測定するための測定器に置き換えられる。また、効能成分ヘッド26が吐出する効能成分液としては、上述のような植物用の効能成分を含むものが用いられる。植物用シートは、このような製造装置において、上述した実施の形態のフェイスパック61と同様の工程で製造される。
【0174】
ここで、上述した実施の形態のフェイスパック61の貼付対象領域がユーザの顔面であるのに対し、植物用シートの貼付対象領域は植物の症状に対応する領域である。植物用シートの貼付対象領域の3次元形状によっては、基材の切り込み部および開口部の少なくともいずれかが不要の場合がある。このため、基材の切り込み部および開口部の少なくともいずれかが省略されることがある。同様に、支持体を薄くした部分(支持体削減部)、および、支持体または保持体を省略した部分(支持体省略部、保持体省略部)の少なくともいずれかが省略されることがある。
【0175】
また、植物用シートの貼付対象領域の表面形状や植物の症状によっては、植物表面の凹凸形状に応じた基材表面の凹凸形状が不要の場合がある。このため、基材の植物に貼り付けられる側の表面に凹凸形状を形成することが省略されることがある。
【0176】
また、植物用シートを製造する際、植物の症状は、植物用シートの製造装置の操作者が製造装置に入力するようにしてもよい。この場合、植物用シートの製造装置において、植物の症状を測定するための測定器を省略してもよい。
【0177】
また、効能成分液が含浸されたフェイスパック等の効能成分保持シートの基材に対し、効能成分を含む粉末状の薬剤を塗布するようにしてもよい。この場合において、効能成分保持シートの製造装置が、効能成分を含む粉末状の薬剤を基材に塗布するための薬剤塗布部を備え、この薬剤塗布部により基材に粉末状の薬剤を基材に塗布するようにしてもよい。これにより、粉末状の薬剤を使用して効能成分保持シートを製造することが可能となる。なお、基材に塗布する粉末状の薬剤は、効能成分液の基材への定着性を向上させる成分を含むものであってもよい。
【0178】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0179】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0180】
(付記1)
生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造方法であって、
シート状の基材に対し、生体情報に応じた効能成分液を含浸させる工程を含むことを特徴とする効能成分保持シートの製造方法。
【0181】
(付記2)
前記効能成分液を含浸させる工程は、液滴吐出ヘッドにより効能成分液を前記基材へ吐出して、前記基材に効能成分液を含浸させる工程であることを特徴とする付記1に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0182】
(付記3)
前記基材を形成する工程をさらに含むことを特徴とする付記1または2に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0183】
(付記4)
前記基材を形成する工程は、
液滴吐出ヘッドにより基材の材料である液体を前記効能成分保持シートの形成面上へ吐出して基材を形成する工程であることを特徴とする付記3に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0184】
(付記5)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材を生体表面に沿わせるための切り込み部を基材に形成することを特徴とする付記3または4に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0185】
(付記6)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に対する被覆を回避する領域に開口部を形成することを特徴とする付記3乃至5のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0186】
(付記7)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面に、生体表面の凹凸形状に応じた凹凸形状を形成することを特徴とする付記3乃至6のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0187】
(付記8)
前記基材は、効能成分液が含浸される保持体と、前記保持体を支持する支持体とを有するものであり、
前記基材を形成する工程は、
シート状の前記支持体を形成する工程と、
前記支持体に積層して前記保持体を形成する工程と
を含むことを特徴とする付記3乃至7のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0188】
(付記9)
前記支持体を形成する工程は、前記支持体を液体不透過性のフィルムにより形成する工程であることを特徴とする付記8に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0189】
(付記10)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記支持体を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、他の部分より前記支持体を薄くした部分を設けることを特徴とする付記8または9に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0190】
(付記11)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材を形成する工程において、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、前記基材に前記支持体または前記保持体を省略した部分を設けることを特徴とする付記8乃至10のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0191】
(付記12)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布を示す情報を含み、
前記効能成分液を含浸させる工程において、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を前記基材に含浸させることを特徴とする付記1乃至11のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0192】
(付記13)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分液を含浸させる工程において、生体表面の症状の度合いに応じて、各効能成分液の量を調整することを特徴とする付記12に記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0193】
(付記14)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記基材全体が、効能成分液を含浸可能な保持体からなるものであり、
前記効能成分液を含浸させる工程は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ基材に含浸させる工程であり、
前記基材を形成する工程において、各領域に含浸される効能成分液の量に応じて、各領域における基材の厚さを調整することを特徴とする付記3乃至7のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0194】
(付記15)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分液を含浸させる工程は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ基材に含浸させる工程であり、
前記保持体を形成する工程において、各領域に含浸される効能成分液の量に応じて、各領域における保持体の厚さを調整することを特徴とする付記8乃至11のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0195】
(付記16)
前記効能成分液を含浸させる工程において、同一領域に複数種類の効能成分液を含浸させる場合、優先度の高い効能成分液ほど、前記基材の厚さ方向において、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面の近くに配置されるように、各効能成分液を前記基材に含浸させることを特徴とする付記12乃至15のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0196】
(付記17)
生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造方法であって、
シート状の基材に対し、複数種類の効能成分液を互いに異なる領域に含浸させる工程を含むことを特徴とする効能成分保持シートの製造方法。
【0197】
(付記18)
効能成分液が含浸された基材に対し、効能成分を含む粉末状の薬剤を塗布する工程をさらに含むことを特徴とする付記1乃至17のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造方法。
【0198】
(付記19)
生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造装置であって、
シート状の基材に対し、生体情報に応じた効能成分液を付与して含浸させる効能成分液付与部を備えることを特徴とする効能成分保持シートの製造装置。
【0199】
(付記20)
前記効能成分液付与部は、液滴吐出ヘッドにより効能成分液を前記基材へ吐出して付与するものであることを特徴とする付記19に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0200】
(付記21)
前記基材を形成する基材形成部をさらに備えることを特徴とする付記19または20に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0201】
(付記22)
前記基材形成部は、液滴吐出ヘッドにより前記基材の材料である液体を前記効能成分保持シートの形成面上へ吐出して基材を形成するものであることを特徴とする付記21に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0202】
(付記23)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材を生体表面に沿わせるための切り込み部を前記基材に形成することを特徴とする付記21または22に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0203】
(付記24)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に対する被覆を回避する領域に開口部を形成することを特徴とする付記21乃至23のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0204】
(付記25)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面に、生体表面の凹凸形状に応じた凹凸形状を形成することを特徴とする付記21乃至24のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0205】
(付記26)
前記基材は、効能成分液が含浸される保持体と、前記保持体を支持する支持体とを有するものであり、
前記基材形成部は、
シート状の前記支持体を形成し、前記支持体に積層して前記保持体を形成することで、前記基材を形成することを特徴とする付記21乃至25のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0206】
(付記27)
前記基材形成部は、前記支持体を液体不透過性のフィルムにより形成することを特徴とする付記26に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0207】
(付記28)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、他の部分より前記支持体を薄くした部分を設けることを特徴とする付記26または27に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0208】
(付記29)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状情報を含み、
前記基材形成部は、前記3次元形状情報に基づき、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、前記基材に前記支持体または前記保持体を省略した部分を設けることを特徴とする付記26乃至28のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0209】
(付記30)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布を示す情報を含み、
前記効能成分液付与部は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を前記基材に付与することを特徴とする付記19乃至29のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0210】
(付記31)
前記生体情報は、効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分液付与部は、生体表面の症状の度合いに応じて、各効能成分液の量を調整することを特徴とする付記30に記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0211】
(付記32)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記基材全体が、効能成分液が含浸可能な保持体からなるものであり、
前記効能成分液付与部は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ前記基材に付与するものであり、
前記基材形成部は、各領域に付与される効能成分液の量に応じて、各領域における前記基材の厚さを調整することを特徴とする付記21乃至25のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0212】
(付記33)
前記生体情報は、前記効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における症状ごとの分布、および各症状の度合いを示す情報を含み、
前記効能成分液付与部は、前記生体情報に基づき、生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液を症状の度合いに応じた量だけ基材に付与するものであり、
前記基材形成部は、各領域に含浸される効能成分液の量に応じて、各領域における前記保持体の厚さを調整することを特徴とする付記26乃至29のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0213】
(付記34)
前記効能成分液付与部は、同一領域に複数種類の効能成分液を含浸させる場合、優先度の高い効能成分液ほど、前記基材の厚さ方向において、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面の近くに配置されるように、各効能成分液を前記基材に付与することを特徴とする付記30乃至33のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0214】
(付記35)
生体に貼り付けられる効能成分保持シートの製造装置であって、
シート状の基材に対し、複数種類の効能成分液を互いに異なる領域に付与して含浸させる効能成分液付与部を備えることを特徴とする効能成分保持シートの製造装置。
【0215】
(付記36)
効能成分液が含浸された基材に対し、効能成分を含む粉末状の薬剤を塗布する薬剤塗布部をさらに含むことを特徴とする付記19乃至35のいずれかに記載の効能成分保持シートの製造装置。
【0216】
(付記37)
生体に貼り付けられる効能成分保持シートであって、
シート状の基材を備え、
生体情報に応じた効能成分液が前記基材に含浸されていることを特徴とする効能成分保持シート。
【0217】
(付記38)
前記基材は、本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の3次元形状に応じて形成された、前記基材を生体表面に沿わせるための切り込み部を有することを特徴とする付記37に記載の効能成分保持シート。
【0218】
(付記39)
前記基材は、本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面における前記基材の被覆を回避する領域に形成された開口部を有することを特徴とする付記37または38に記載の効能成分保持シート。
【0219】
(付記40)
前記基材の生体に貼り付けられる側の表面に、本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の凹凸形状に応じた凹凸形状が形成されていることを特徴とする付記37乃至39のいずれかに記載の効能成分保持シート。
【0220】
(付記41)
前記基材は、
効能成分液が含浸される保持体と、
前記保持体を支持する支持体と
を有することを特徴とする付記37乃至40のいずれかに記載の効能成分保持シート。
【0221】
(付記42)
前記支持体は、液体不透過性のフィルムにより形成されていることを特徴とする付記41に記載の効能成分保持シート。
【0222】
(付記43)
前記基材には、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、他の部分より前記支持体を薄くした部分が設けられていることを特徴とする付記41または42に記載の効能成分保持シート。
【0223】
(付記44)
前記基材には、前記基材が生体表面に沿って曲がるように、前記支持体または前記保持体を省略した部分が設けられていることを特徴とする付記41乃至43のいずれかに記載の効能成分保持シート。
【0224】
(付記45)
本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液が基材に含浸されていることを特徴とする付記37乃至44のいずれかに記載の効能成分保持シート。
【0225】
(付記46)
本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の症状の度合いに応じて、各効能成分液の量が調整されていることを特徴とする付記45に記載の効能成分保持シート。
【0226】
(付記47)
前記基材全体が、効能成分液が含浸可能な保持体からなるものであり、
本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液が症状の度合いに応じた量だけ前記基材に含浸され、
各領域における効能成分液の量に応じて、各領域における前記基材の厚さが調整されていることを特徴とする付記37乃至40のいずれかに記載の効能成分保持シート。
【0227】
(付記48)
本効能成分保持シートの貼付対象の生体表面の症状に応じた領域ごとに、症状に応じた種類の効能成分液が症状の度合いに応じた量だけ前記基材の前記保持体に含浸され、
各領域における効能成分液の量に応じて、各領域における前記保持体の厚さが調整されていることを特徴とする付記41乃至44のいずれかに記載の効能成分保持シート。
【0228】
(付記49)
前記基材における複数種類の効能成分液が含浸されている領域において、優先度の高い効能成分液ほど、前記基材の厚さ方向における、前記基材の生体に貼り付けられる側の表面の近くに配置されていることを特徴とする付記45乃至48のいずれかに記載の効能成分保持シート。
【0229】
(付記50)
生体に貼り付けられる効能成分保持シートであって、
シート状の基材を備え、
前記基材には、互いに異なる種類の効能成分液が含浸された複数の領域が設けられていることを特徴とする効能成分保持シート。
【0230】
(付記51)
効能成分液が含浸された基材に対し、効能成分を含む粉末状の薬剤が塗布されていることを特徴とする付記37乃至50のいずれかに記載の効能成分保持シート。
【符号の説明】
【0231】
1 フェイスパック製造装置
2 測定部
3 プリントエンジン部
4 プリントエンジン移動機構部
5 供給部
6 搬送部
7 受取部
8 制御部
11 3次元撮像部
12 皮膚水分量測定部
16 基材形成部
17 効能成分液付与部
21 基材ヘッド
22,22A,22B UV照射部
23,23A,23B 乾燥部
26,26A~26D 効能成分ヘッド
46 ベルト
46a 形成面
61 フェイスパック
62 基材
63 支持体
63a 支持体削減部
63b 支持体省略部
64 保持体
64a 凸部
64b 保持体省略部
71,71A~71E 切り込み部
72,72A~72C 開口部
76,76A~76D 効能成分液