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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】懸架装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/44 20060101AFI20220128BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20220128BHJP
   B60G 15/06 20060101ALI20220128BHJP
   F16F 1/12 20060101ALI20220128BHJP
   B62K 25/10 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
F16F9/44
F16F9/32 B
B60G15/06
F16F1/12 B
B62K25/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017184626
(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公開番号】P2019060386
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】514241869
【氏名又は名称】KYBモーターサイクルサスペンション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】秋本 政信
(72)【発明者】
【氏名】高橋 啓介
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-329406(JP,A)
【文献】実開昭60-108503(JP,U)
【文献】実開昭62-076798(JP,U)
【文献】特開2002-056477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/44
F16F 9/32
B60G 15/06
F16F 1/12
B62K 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターチューブと、
前記アウターチューブ内に軸方向移動可能に挿入されるロッドと、
前記アウターチューブの外周に設けられ前記ロッドを伸長方向に附勢する懸架ばねと、
前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周に周方向に回転可能に装着され前記懸架ばねの一端を支持する環状のばね受と、
前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周の前記ばね受の反懸架ばね側に装着され前記ばね受の反懸架ばね側への移動を規制する環状の規制部材と、
前記ばね受又は前記規制部材のいずれか一方の前記ばね受又は前記規制部材のいずれか他方側に設けられ、軸方向高さのそれぞれ異なる複数の当接面を有する複数のカム部と、
前記ばね受又は前記規制部材のいずれか他方に設けられ、前記各カム部と対応する位置にそれぞれ配置されるとともに、前記カム部と互いに符合する形状とされて前記当接面に当接する複数の突起部とを備える
ことを特徴とする懸架装置。
【請求項2】
アウターチューブと、
前記アウターチューブ内に軸方向移動可能に挿入されるロッドと、
前記アウターチューブの外周に設けられ前記ロッドを伸長方向に附勢する懸架ばねと、
前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周に周方向に回転可能に装着され前記懸架ばねの一端を支持する環状のばね受と、
前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周の前記ばね受の反懸架ばね側に装着され前記ばね受の反懸架ばね側への移動を規制する環状の規制部材と、
前記ばね受又は前記規制部材のいずれか一方の前記ばね受又は前記規制部材のいずれか他方側に設けられ、軸方向高さが段々と高くなるように配置される複数の当接面を有する複数のカム部と、
前記ばね受又は前記規制部材のいずれか他方に設けられ、前記各カム部と対応する位置にそれぞれ配置されるとともに、前記当接面に当接する複数の突起部と、
前記複数の当接面のうち軸方向高さの最も低い当接面側を始端とし、軸方向高さの最も高い当接面側を終端とした場合に、前記各突起部が終端から反始端側へ移動して前記各突起部に対応する前記各カム部と対向しない位置に移動することを防止するストッパとを備える
ことを特徴とする懸架装置。
【請求項3】
アウターチューブと、
前記アウターチューブ内に軸方向移動可能に挿入されるロッドと、
前記アウターチューブの外周に設けられ前記ロッドを伸長方向に附勢する懸架ばねと、
前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周に周方向に回転可能に装着され前記懸架ばねの一端を支持する環状のばね受と、
前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周の前記ばね受の反懸架ばね側に装着され前記ばね受の反懸架ばね側への移動を規制する環状の規制部材と、
前記ばね受の前記規制部材側に設けられ、軸方向高さのそれぞれ異なる複数の当接面を有する複数のカム部と、
前記規制部材に設けられ、前記各カム部と対応する位置にそれぞれ配置されるとともに、前記当接面に当接する複数の突起部とを備え、
前記カム部が、軸心側から外周側に向けて反規制部材側に傾斜する
ことを特徴とする懸架装置。
【請求項4】
前記ばね受又は前記規制部材のいずれか一方に設けられ、前記突起部と前記カム部を内包するカバーを有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の懸架装置。
【請求項5】
前記ばね受と前記規制部材が合成樹脂により形成される
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の懸架装置は、二輪車の車体と車輪の間に介装されるものであって、アウターチューブと、前記アウターチューブ内に軸方向移動可能に挿入されるロッドと、前記アウターチューブの外周に配置され前記ロッドを伸長方向に附勢する懸架ばねを備えてなる。
【0003】
さらに、特許文献1には、ロッドの外周に配置された筒状のカバー体の外周に周方向に回転可能に装着され懸架ばねの一端を支持するとともに反懸架ばね側に高さの異なる複数のカム面を有するカム部を設けたばね受と、前記ばね受側に向けて突出する突起を有する規制部材からなるイニシャル荷重調整装置を備える懸架装置が開示されている。
【0004】
この構成によると、ばね受を回転させて突起を任意の高さのカム面に当接させれば、懸架ばねに作用するイニシャル荷重を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-085378号公報
【文献】特開2013-036520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、従来の懸架装置では、突起とカム面が一点で当接するため、カム面の当接部位に懸架ばねのばね力が集中して作用する。それ故、カム部と突起の強度を確保するために、ばね受と規制部材を鉄などの強度に優れる金属により形成するとともに、規制部材をカバー体に溶接固定している。
【0007】
ところが、従来のように、ばね受と規制部材を鉄などで形成すると、ばね受と規制部材の重量が嵩んでしまう。
【0008】
また、前記イニシャル荷重調整装置は、アウターチューブの外周に設けられる場合もある。ところが、従来のように規制部材を溶接固定する場合には、アウターチューブに溶接歪みを起こさせないために、特許文献2のように、アウターチューブとの間にプロテクターを介在させるなどの対策を行う必要があり、非常に手間がかかる。
【0009】
そこで、本発明は、ばね受と規制部材を、従来よりも強度が低く軽量な材料で形成可能であって、規制部材を溶接しなくてもよい懸架装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段は、アウターチューブ内に軸方向移動可能に挿入されるロッドと、前記アウターチューブの外周に設けられ前記ロッドを伸長方向に附勢する懸架ばねと、前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周に周方向に回転可能に装着され前記懸架ばねの一端を支持する環状のばね受と、前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周の前記ばね受の反懸架ばね側に装着され前記ばね受の反懸架ばね側への移動を規制する環状の規制部材と、前記ばね受又は前記規制部材のいずれか一方の前記ばね受又は前記規制部材のいずれか他方側に設けられ、軸方向高さのそれぞれ異なる複数の当接面を有する複数のカム部と、前記ばね受又は前記規制部材のいずれか他方に設けられ、前記各カム部と対応する位置にそれぞれ配置されるとともに、前記カム部と互いに符合する形状とされて前記当接面に当接する複数の突起部とを備えることを特徴とする。この構成によると、突起部とカム部の接触面がより多くなるため、ばね受及び規制部材に作用する圧力をより低減できる。
【0013】
また、他の手段としては、アウターチューブと、前記アウターチューブ内に軸方向移動可能に挿入されるロッドと、前記アウターチューブの外周に設けられ前記ロッドを伸長方向に附勢する懸架ばねと、前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周に周方向に回転可能に装着され前記懸架ばねの一端を支持する環状のばね受と、前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周の前記ばね受の反懸架ばね側に装着され前記ばね受の反懸架ばね側への移動を規制する環状の規制部材と、前記ばね受又は前記規制部材のいずれか一方の前記ばね受又は前記規制部材のいずれか他方側に設けられ軸方向高さが段々と高くなるように配置される複数の当接面を有する複数のカム部と、前記ばね受又は前記規制部材のいずれか他方に設けられ前記各カム部と対応する位置にそれぞれ配置されるとともに前記当接面に当接する複数の突起部と、前記複数の当接面のうち軸方向高さの最も低い当接面側を始端とし軸方向高さの最も高い当接面側を終端とした場合に、前記各突起部が終端から反始端側へ移動して前記各突起部に対応する前記各カム部と対向しない位置に移動することを防止するストッパとを備えることを特徴とする。この構成によると、突起部が当接する当接面の軸方向高さが急激に変わってカム部と突起部との間に大きな衝撃が生じることを防止できる。
【0014】
また、別の他の手段としては、アウターチューブと、前記アウターチューブ内に軸方向移動可能に挿入されるロッドと、前記アウターチューブの外周に設けられ前記ロッドを伸長方向に附勢する懸架ばねと、前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周に周方向に回転可能に装着され前記懸架ばねの一端を支持する環状のばね受と、前記アウターチューブ又は前記ロッドのいずれか一方の外周の前記ばね受の反懸架ばね側に装着され前記ばね受の反懸架ばね側への移動を規制する環状の規制部材と、前記ばね受の前記規制部材側に設けられ軸方向高さのそれぞれ異なる複数の当接面を有する複数のカム部と、前記規制部材に設けられ前記各カム部と対応する位置にそれぞれ配置されるとともに前記当接面に当接する複数の突起部とを備え、前記カム部が軸心側から外周側に向けて反規制部材側に傾斜することを特徴とする。この構成によると、カム部と突起部との間に異物が挟み込まれても、異物を外部に排出できる。
【0015】
また、前記ばね受又は前記規制部材のいずれか一方に設けられ、前記突起部と前記カム部を内包するカバーを有する懸架装置としてもよい。この構成によると、カム部と突起部がカバーに覆われて保護されるため、カム部と突起部の間への異物の挟み込みが防止される。また、前記ばね受と前記規制部材が合成樹脂により形成される懸架装置としてもよい。この構成によると、ばね受と規制部材の軽量化ができるとともに、ばね受と規制部材の成形が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の懸架装置によれば、ばね受と規制部材が常に複数個所で当接するため、従来よりもばね受と規制部材の接触面積を大きくでき、ばね受及び規制部材に作用する圧力を低減できる。これにより、ばね受及び規制部材を従来よりも強度が低く軽量な材料でも形成できるため、材料の選択性が向上する。さらに、ばね受及び規制部材をアウターチューブ又はロッドに溶接固定する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態係る懸架装置を適用した自動二輪車を示す側面図である。
図2】本実施の形態に係る懸架装置全体を示す正面断面図である。
図3】本実施の形態に係るイニシャル荷重調整装置の縦断面図である。
図4】本実施の形態に係る突起部とカム部の展開図であって、(A)は一段階目の状態を示し、(B)は二段階目の状態を示し、(C)は三段階目の状態を示す。
図5図2のX-X断面図である。
図6】本実施の形態に係るイニシャル荷重調整装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0019】
懸架装置Sは、図1に示すように、自動二輪車100に取り付けられている。自動二輪車100は、車体フレーム101と、車体フレーム101の進行方向前方にフロントフォーク102を介して連結される前輪103と、車体フレーム101の進行方向後方に懸架装置Sを介して連結される後輪104を備える。
【0020】
詳細には、車体フレーム101は、車幅方向における車両中央に位置するヘッドパイプ110と、ヘッドパイプ110に接続され図中下方に向かって延びるダウンフレーム111と、ダウンフレーム111の下端部に接続され進行方向後方に向けて延びるアンダーフレーム112と、アンダーフレーム112の後端部に接続されるリアフレーム113を備えて構成されている。そして、リアフレーム113は、運転手が着座するシート105支持ている。
【0021】
フロントフォーク102は、下端が前輪103の車軸に連結されるフォーク本体120と、フォーク本体120の上端に連結されてヘッドパイプ110内に挿入されるステアリングシャフト121を備えて構成されている。そして、ステアリングシャフト121の上端には、ハンドル106が支持されている。
【0022】
また、車体フレーム101の下方にはシート105に着座した運転手が走行中に両足を乗せるためのフートボート107が設けられている。さらに、フートボート107の車幅方向におけるセンター位置には、ダウンフレーム111とアンダーフレーム112とリアフレーム113を取り囲むセンターカバー108が配置されている。また、ハンドル106の下方には、ヘッドパイプ110とステアリングシャフト121を取り囲むフロントカバー109が配置されている。
【0023】
また、自動二輪車Bは、駆動力を発生する内燃機関であるエンジン130と、後輪104の車軸に連結されてエンジン130で発生した駆動力を後輪104に伝達する動力伝達装置131を備える。
【0024】
そして、懸架装置Sは、後輪104の車軸に連結される動力伝達装置131とリアフレーム113との間に介装されている。
【0025】
戻って、懸架装置Sは、図2に示すように、アウターチューブ1と、アウターチューブ1内に軸方向移動可能に挿入されるロッド2とを有する緩衝器本体Dと、アウターチューブ1の外周に設けられロッド2を伸長方向に附勢する懸架ばね3と、懸架ばね3のイニシャル荷重を調整可能なイニシャル荷重調整装置4とを備える。
【0026】
詳細には、緩衝器本体Dは、図2に示すように、有底筒状のアウターチューブ1内に軸方向移動可能に挿入されるロッド2と、アウターチューブ1の開口端部に装着されロッド2を軸支するロッドガイド5と、アウターチューブ1の内周に摺動自在に挿入されアウターチューブ1内を作動流体が充填される液室Rと気体が封入される気室Gに区画するフリーピストン6と、ロッド2の先端に設けられ液室R内を伸側室R1と圧側室R2の二室に区画するピストン7を備えて構成される。
【0027】
また、ピストン7には、伸側室R1と圧側室R2を連通する伸側通路7a,圧側通路7bが形成されている。また、ピストン7には、ピストン7の圧側室側に積層され伸側通路7aを通過する作動流体の流れに対して抵抗を与える伸側バルブ9と、ピストン7の伸側室側に積層され圧側通路7bを通過する作動流体の流れに対して抵抗を与える圧側バルブ8が設けられている。これにより、緩衝器本体Dが伸縮すると、アウターチューブ1内の圧縮される側の部屋から、拡大する側の部屋へ伸側通路7a又は圧側通路7bを介して作動流体が移動する際に、作動流体の流れに対して伸側バルブ9又は圧側バルブ8による抵抗が作用して、減衰力が発生する。
【0028】
また、気室Gは、フリーピストン6の軸方向移動により膨縮し、緩衝器本体Dの伸縮作動に伴うロッド出没体積分のシリンダ内容積変化や、温度変化による作動流体の体積変化を補償できるようになっている。
【0029】
なお、本実施の形態では、緩衝器本体Dは、単筒型であるが、アウターチューブ1内にシリンダを設け、このシリンダ内にピストン7やベースバルブが挿入される複筒型に設定されてもよい。複筒型とする場合には、アウターチューブ1とシリンダの間に形成されるリザーバによって、緩衝器本体Dの伸縮作動に伴うロッド出没体積分のシリンダ内容積変化が補償される。
【0030】
また、図2に示すように、アウターチューブ1の反ロッド側端には、二輪車の車体側に連結可能な車体側ブラケット35が設けられ、ロッド2の反ピストン側端である基端には、二輪車の車輪側に連結可能な車輪側ブラケット36がそれぞれ設けられている。これにより、緩衝器本体Dは、車体側ブラケット35を介してアウターチューブ1を車体に連結でき、車輪側ブラケット36を介してロッド2を車輪に連結でき、車体と車輪の間に倒立状態で介装される。ただし、緩衝器本体Dのアウターチューブ1側を車輪に、ロッド2側を車体にそれぞれ連結して緩衝器本体Dを車体と車輪との間に正立に介装してもよい。
【0031】
また、アウターチューブ1の反ロッド側端には、車体側ブラケット35との間に介装される介装部材38が設けられている。そして、図2に示すように、この介装部材38のアウターチューブ1に連結される部分は、アウターチューブ1の外径よりも外径の大きい環状の鍔部38aとなっており、鍔部38aが軸方向視で外側に突出している。
【0032】
さらに、図2に示すように、アウターチューブ1の反ロッド側端外周には、環状の規制部材10と環状の上側ばね受11が順に鍔部38aに積層されて装着されている。そして、ロッド2の外周に設けられた環状の下側ばね受37と上側ばね受11の間には、ロッド2を伸長方向に附勢し車体を弾性支持する懸架ばね3が介装されている。これにより、懸架装置Sは、車両の走行時に路面から入力される衝撃を懸架ばね3が吸収し、懸架ばね3の上下振動を緩衝器本体Dの伸縮時に発生する減衰力によって抑制して車両の乗り心地を良好にできる。
【0033】
続いて、イニシャル荷重調整装置4について説明する。イニシャル荷重調整装置4は、前述した上側ばね受11と規制部材10を備えて構成されている。
【0034】
上側ばね受11は、図2図3に示すように、アウターチューブ1の外周に周方向に回転自在であって軸方向移動自在に装着される筒部20と、筒部20の外周に周方向に設けられ懸架ばね3の一端を支持する支持部21とを備える。
【0035】
また、図3に示すように、筒部20の内周には、筒部20の軸方向に沿って延びるリブ41が周方向に複数設けられており、これらのリブ41により上側ばね受11の軸方向移動がガイドされる。
【0036】
また、支持部21は、図6に示すように、筒部20の外周に周方向に設けられ筒部20の外周から外側に向けて突出する複数の突部21aで構成されている。また、図3に示すように、突部21aは内側が肉抜きされており、上側ばね受11の材料を削減できる。
【0037】
なお、支持部21は、筒部20の周方向に設けられた複数の突部21aとされているが、例えば、筒部20の外周にフランジを設け、このフランジで懸架ばね3の一端を支持するようにしてもよい。
【0038】
また、筒部20の反懸架ばね側である規制部材側端には、軸方向高さのそれぞれ異なる複数の当接面23,24,25を有する複数のカム部22A,22Bが設けられている。
【0039】
具体的には、上側ばね受11には、筒部20の図中上端に周方向に二つのカム部22A,22Bが設けられている。また、図3に示すように、筒部20の径方向の肉厚と筒部20の上端に設けられるカム部22A,22Bの径方向の肉厚は、等しく設定されるとともに、比較的厚肉に形成されている。さらに、各カム部22A,22Bは、反時計回り(図中左方向)で第一カム山26、第一カム山26よりも軸方向高さが高い第二カム山27、第二カム山27よりも軸方向高さが高い第三カム山28の順に等間隔に並べて設けたカム山26,27,28を備える。そして、図4(A)から(C)に示すように、第一カム山26は、隣り合う第三カム山28に連なる傾斜面である第一当接面23と、隣り合う第二カム山27に連なる傾斜面である第一係止面29を備えてなる。また、第二カム山27は、隣り合う第一カム山26に連なる傾斜面であって第一当接面23よりも軸方向高さが高い第二当接面24と、隣り合う第三カム山28に連なる傾斜面である第二係止面30を備えてなる。また、第三カム山28は、隣り合う第二カム山27に連なる傾斜面であって第二当接面24よりも軸方向高さが高い第三当接面25と、隣り合う第一カム山26に連なる傾斜面である第三係止面31を備えてなる。
【0040】
また、図4(A)から(C)に示すように、各カム山26,27,28の各当接面23,24,25の傾斜角度は、全て等しくなるように設定されている。
【0041】
他方、規制部材10は、図2図3に示すように、アウターチューブ1の外周に周方向に回転自在に装着される環状基部12と、環状基部12の図中下端に周方向に等間隔に設けられ各カム部22A,22Bと対応する位置にそれぞれ配置されるとともに、当接面23,24,25に当接する複数の突起部17A,17Bを備える。
【0042】
具体的には、規制部材10には、環状基部12の図中下端に周方向に二つの突起部17A,17Bが設けられている。また、突起部17A,17Bの径方向の肉厚は、カム部22A,22Bの径方向の肉厚より大きくなるように設定されている。さらに、各突起部17A、17Bには、反時計回り(図中左方向)で第一突起13,第二突起14,第三突起15が設けられている。そして、第一突起13における隣り合う第三突起15側の傾斜角度は第三係止面31の傾斜角度と同じに設定され、第一突起13における隣り合う第二突起14側の傾斜角度は第一当接面23の傾斜角度と同じに設定されている。また、第二突起14における隣り合う第一突起13側の傾斜角度は第一係止面29の傾斜角度と同じに設定され、第二突起14における隣り合う第三突起15側の傾斜角度は第二当接面24の傾斜角度と同じに設定されている。また、第三突起15における隣り合う第二突起14側の傾斜角度は第二係止面30の傾斜角度と同じに設定され、第三突起15における隣り合う第一突起13側の傾斜角度は第三当接面25と同じに設定されている。
【0043】
このように、規制部材10に設けられた各突起部17A、17Bは、図4(A)に示すように、各カム部22A,22Bと互いに符合する形状とされている。
【0044】
また、規制部材10は、図3に示すように、環状基部12の外周から上側ばね受側に向けて延びる筒状のカバー16を備える。さらに、カバー16の外周には、図5に示すように、カバー16の軸方向に沿って延びる突状部40が、筒部20の外周に設けられた複数の突部21aと同一間隔で周方向に複数設けられている。
【0045】
続いて、本実施の形態のイニシャル荷重調整装置4の作動について説明する。イニシャル荷重調整装置4では、懸架ばね3のイニシャル荷重を三段階に調整できるようになっている。懸架ばね3のイニシャル荷重を最も小さくする一段階目では、図4(A)に示すように、各第一突起13,13を各第一当接面23,23に、各第二突起14,14を各第二当接面24,24に、各第三突起15,15を各第三当接面25,25にそれぞれ当接させる。
【0046】
この際、カム部22A,22Bを有する上側ばね受11は、懸架ばね3によって規制部材10側に附勢されており、各当接面23,24,25と各突起13,14,15が傾斜面で当接しているため、上側ばね受11と規制部材10とを相対回転させる力が作用している。しかしながら、上側ばね受11と規制部材10が相対回転しようとしても、各突起13,14,15は各係止面29,30,31に当接しているので、上側ばね受11と規制部材10の相対回転が阻止される。
【0047】
一段階目よりも懸架ばね3のイニシャル荷重を一段階大きくする二段階目では、各突起13,14,15が当接する当接面23,24,25を反時計回り(図中左方向)に一つずつずらすように上側ばね受11を回転させる。すると、図4(B)に示すように、各第一突起13,13が各第二当接面24,24に、各第二突起14,14が各第三当接面25,25にそれぞれ当接する。このようにすると、第一当接面23と第二当接面24の軸方向高さの差分だけ、上側ばね受11が図2中下方に移動するため、上側ばね受11と下側ばね受37との間に介装される懸架ばね3のイニシャル荷重が一段階目よりも大きくなる。
【0048】
この際にも、各突起13,14と各係止面29,30とが当接するので上側ばね受11と規制部材10の相対回転が阻止される。
【0049】
二段階目よりも懸架ばね3のイニシャル荷重を一段階大きくする三段階目では、二段階目の状態からさらに各突起13,14が当接する各当接面24,25を反時計回りに(図中左方向)に一つずつずらすように上側ばね受11を回転させる。すると、図4(C)に示すように、各第一突起13,13が各第三当接面25,25にそれぞれ当接する。このようにすると、第二当接面24と第三当接面25の軸方向高さの差分だけ、上側ばね受11がさらに図2中下方に移動するため、二段階目よりも懸架ばね3のイニシャル荷重が大きくなる。
【0050】
この際にも、各第一突起13,13と各第二係止面30,30とが当接するので上側ばね受11と規制部材10の相対回転が阻止される。
【0051】
なお、懸架ばね3のイニシャル荷重を小さくする場合には、上側ばね受11を、懸架ばね3のイニシャル荷重を大きくする場合と反対の方向に向けて回転させればよい。
【0052】
このように、イニシャル荷重調整装置4では、上側ばね受11を回転させて、各突起13,14,15を任意の当接面23,24,25に当接させれば、懸架ばね3のイニシャル荷重の大小を調整できる。
【0053】
また、前述したように、イニシャル荷重調整装置4の一段階目では、各第一突起13,13、各第二突起14,14、各第三突起15,15が、各第一当接面23,23、各第二当接面24,24、各第三当接面25,25にそれぞれ当接する。そのため、イニシャル荷重調整装置4の一段階目では規制部材10と上側ばね受11は、図4(A)で示すように、全周にわたって全面で接触する。
【0054】
そして、イニシャル荷重調整装置4の二段階目では、各第一突起13,13、各第二突起14,14が、各第一当接面23,23、各第二当接面24,24に当接するため、規制部材10と上側ばね受11は、図4(B)で示すように、4箇所で接触する。
【0055】
さらに、イニシャル荷重調整装置4の三段階目では、各第一突起13,13が、各第一当接面23,23に当接するため、規制部材10と上側ばね受11は、図4(C)で示すように、2箇所で接触する。
【0056】
したがって、イニシャル荷重調整装置4においては、規制部材10と上側ばね受11は、常に2箇所以上で接触するようになっている。
【0057】
このように、イニシャル荷重調整装置4においては、規制部材10と上側ばね受11が常に2箇所以上で接触するようになっているため、従来のように1点で接触させる場合に比べて、規制部材10と上側ばね受11の接触面積を常に大きくできる。また、規制部材10と上側ばね受11が常に2箇所以上で接触するため、上側ばね受11が懸架ばね3によって押されても従来に比べて傾きづらく安定する。
【0058】
また、本実施の形態においては、カム部22A,22Bと突起部17A,17Bの径方向の肉厚が比較的厚肉に形成されているため、規制部材10と上側ばね受11の接触面積をより大きく確保でき、規制部材10及び上側ばね受11に作用する圧力をより低減できる。
【0059】
さらに、本実施の形態においては、各当接面23,24,25の傾斜角度と、各突起13,14,15の各当接面23,24,25と当接する側の傾斜角度が等しいため、各当接面23,24,25と各突起13,14,15が点ではなく面で接触し、より規制部材10と上側ばね受11の接触面積を大きく確保できる。
【0060】
また、各当接面23,24,25の傾斜角度は互いに等しいため、上側ばね受11を回転させて各突起13,14,15が当接する当接面23,24,25が変わっても各突起13,14,15と各当接面23,24,25が面で接触する。
【0061】
したがって、本実施の形態においては、懸架ばね3のばね力によって上側ばね受11及び規制部材10に作用する圧力を従来よりも低減できる。これにより、上側ばね受11及び規制部材10を従来よりも強度が低くて軽量な材料でも形成できるため、材料の選択性が向上する。なお、上側ばね受11及び規制部材10を形成する材料の強度は、少なくとも、最も接触面積が小さくなる場合、つまり、本実施の形態においては、イニシャル荷重調整装置4が三段階目に設定される場合に作用する最大圧力に耐えられる強度が確保されていればよい。
【0062】
また、本実施の形態においては、上側ばね受11及び規制部材10をアウターチューブ1の外周に溶接固定をする必要がないため、溶接作業の工程を省略できる上、アウターチューブ1の溶接歪みを防止するプロテクターなどを省略でき、部品点数を削減できる。
【0063】
なお、各カム部22A,22Bには、カム山26,27,28が三つずつ設けられているが、カム山の数は三つには限定されず、懸架ばね3のイニシャル荷重を調整したい段数に応じて任意の数設ければよい。
【0064】
また、各カム部22A,22Bにそれぞれ設けられた第一カム山26,26、第二カム山27,27、第三カム山28,28同士の軸方向高さは互いに異なっていてもよい。その場合には、各突起部17A,17Bの各突起13,14,15の軸方向高さは、カム部22Aと突起部17Aの嵌合高さとカム部22Bと突起部17Bの嵌合高さが等しくなる高さに設定されればよい。
【0065】
また、本実施の形態においては、上側ばね受11に二つのカム部22A,22Bが設けられているが、カム部の数は二つに限定されず、三つ以上設けてもよい。
【0066】
また、複数のカム部を筒部20の周方向で任意の位置に設けるようにしてもよい。また、複数のカム部を間隔を空けて設けるようにしてもよい。
【0067】
ただし、カム部の数を増やしたり、カム部のない部分を設けたりすると、各カム部の周長が短くなるため、各カム山26,27,28の傾斜角度が急になる。すると、上側ばね受11を回転させる際に突起13,14,15との間に生じる抵抗が大きくなるため、イニシャル荷重調整装置4の操作性が低下する。したがって、本実施の形態のようにカム部22A,22Bの数を二つにして、カム部22A,22Bを切れ目なく連続するように設けた方が、各カム山26,27,28の傾斜角度を緩やかにできるため、イニシャル荷重調整装置4の操作性に優れる。
【0068】
また、本実施の形態においては、各突起部17A,17Bは、各カム部22A,22Bと互いに符合する形状とされているが、各カム部22A,22Bに対応する位置に配置されていれば、突起部17A,17Bに設けられる突起の数や形状は特に限定されず、突起は対応するカム部毎に少なくとも一つずつあれば良い。
【0069】
なお、本実施の形態においては、それぞれ規制部材10に突起部17A,17Bが設けられ、上側ばね受11にカム部22A,22Bが設けられているが、上側ばね受11に突起部17A,17Bを設け、規制部材10にカム部22A,22Bを設けるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施の形態においては、上側ばね受11と規制部材10が合成樹脂により形成されている。このように、上側ばね受11と規制部材10が合成樹脂により形成されると、鉄などの金属により形成される場合に比べて、上側ばね受11と規制部材10を軽量化できるとともに、上側ばね受11と規制部材10の成形が容易となる。
【0071】
また、上側ばね受11の筒部20に同じ数のカム山26,27,28を設ける場合においては、筒部20の周長が長い方が各カム山26,27,28における各当接面23,24,25の傾斜角度を小さくできる。ここで、上側ばね受11は、軽量で成形が容易な合成樹脂で形成されているため、筒部20の周長を長くするために筒部20の径方向の肉厚を厚くして外径を大きくしても金属で形成される場合に比べて重くならない。
【0072】
したがって、上側ばね受11を合成樹脂によって形成する場合には、筒部20の径方向の肉厚を厚くして外径を大きく形成すれば、イニシャル荷重調整装置4の操作性を高められる。
【0073】
なお、合成樹脂の種類は特に限定されないが、懸架ばね3のばね力を非常に大きく設定する場合など、上側ばね受11及び規制部材10に作用する圧力が非常に大きくなる場合には、ガラス繊維などを補強材として加えた強化樹脂を選択してもよい。
【0074】
また、図3に示すように、規制部材10の環状基部12の外周には、突起部17A,17Bとカム部22A,22Bを内包するカバー16が設けられている。これにより、カム部22A,22Bと突起部17A,17Bの間に異物が挟み込まれないようになっている。なお、カバー16の軸方向長さは、少なくともイニシャル荷重調整装置4を懸架ばね3のイニシャル荷重が最も高くなる三段階目に設定した場合に、カム部22A,22Bを覆う程度の長さがあればよい。
【0075】
また、図3に示すように、カム部22A,22Bの各カム山26,27,28及び各当接面23,24,25は、軸心側から外周側に向けて反規制部材側に傾斜している。これにより、万一、カバー16によって防ぎきれずにカム部22A,22Bと突起部17A,17Bの間に異物が挟み込まれたとしても、前記傾斜によって自然に外部に排出されやすくなっている。
【0076】
また、イニシャル荷重調整装置4には、突起13,14,15が、軸方向高さの最も高い当接面である第三当接面25から、第三当接面25よりも軸方向高さが一段低い第二当接面24側と反対の方向への移動を規制するストッパが設けられている。
【0077】
また、イニシャル荷重調整装置4には、複数の当接面23,24,25のうち軸方向高さの最も低い第一当接面23側を始端とし、軸方向高さの最も高い第三当接面25側を終端とした場合に、各突起部17A,17Bが終端から反始端側へ移動して各突起部17A,17Bに対応する各カム部22A,22Bと対向しない位置に移動することを防止するストッパが設けられている。
【0078】
具体的には、前記ストッパは、図5に示すように、規制部材10のカバー16の内周に互いに対向する位置にそれぞれ設けられる一対の内周突部50,50と、上側ばね受11の外周に180度反対側の位置にそれぞれ設けられる一対の外周突部51,51とで構成される。そして、各内周突部50,50は、それぞれ各第一突起13,13に対応する位置に、各外周突部51、51はそれぞれ各第三カム山28,28に対応する位置にそれぞれ設けられている。これにより、図4(C)に示す第三段階目の状態から突起部17A,17Bを図中左方向に移動させようとしても、各内周突部50,50と各外周突部51,51がそれぞれ当接して回り止めがされる。したがって、このようなストッパを設けると、第一突起13が、軸方向高さの最も高い第三当接面25から、いきなり軸方向高さの最も低い第一当接面23へは移動できないため、上側ばね受11が懸架ばね3に押されてカム部22A,22Bと突起部17A,17Bが勢いよく衝突するのを防止できる。
【0079】
なお、ストッパの構造は本実施の形態の構成には限定されず、各突起部17A,17Bが終端から反始端側へ移動して各突起部17A,17Bに対応する各カム部22A,22Bと対向しない位置に移動することを防止する機構であればよい。
【0080】
また、図6に示すように、カバー16の外周に周方向に等間隔で複数設けられた突状部40と、筒部20の外周に複数設けられた突部21aが、人の手で把持可能なグリップとして機能する。これにより、上側ばね受11と規制部材10が、グリップを掴んで手で回せるようになっている。なお、前記グリップは、人の手で把持可能になっていればよく、本実施の形態の形状には限定されない。
【0081】
また、図6に示すように、本実施の形態の上側ばね受11の外周には、1から3の番号が半周毎に等間隔で記載されている。また、カバー16の各突状部40のうち互いに対向する一対の突状部40,40には、それぞれ目印60が記載されている。
【0082】
そして、前記番号と目印60は、目印60を対向させた番号に応じてイニシャル荷重調整装置4が一段階目から三段階目の間で切り換えされる位置に記載されている。これにより、本実施の形態のイニシャル荷重調整装置4では、イニシャル荷重の調整作業を容易に行える。
【0083】
また、本実施の形態の懸架装置Sでは、イニシャル荷重調整装置4は、アウターチューブ1の外周に設けられているが、ロッド2の外周に設けられてもよい。
【0084】
なお、図1では、懸架装置Sは、自動二輪車100の後輪104と車体フレーム101との間に介装されるリアサスペンションに利用されているが、前輪103と車体フレーム101との間に介装されるフロントフォーク102に利用されてもよい。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0086】
1・・・アウターチューブ、2・・・ロッド、3・・・懸架ばね、10・・・規制部材、11・・・上側ばね受(ばね受)、17A,17B・・・突起部、16・・・カバー、22A,22B・・・カム部、23,24,25・・・当接面、50・・・内周突部(ストッパ)、51・・・外周突部(ストッパ)、S・・・懸架装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6