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  • 特許-ガスケット 図1
  • 特許-ガスケット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ガスケット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/12 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
F16J15/12 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017217285
(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公開番号】P2019086141
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】戸矢▲崎▼ 清志
(72)【発明者】
【氏名】柳武 雄二
(72)【発明者】
【氏名】澤本 直雪
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-126858(JP,U)
【文献】特開2014-114853(JP,A)
【文献】特開平11-166627(JP,A)
【文献】実開昭59-123781(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J15/00-15/14
G01M3/00-3/40
13/00-13/04
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の両端面がシール面とされ、外周面が相手材の対向面との間に所定の隙間をあけて配置される環状のガスケットであって、
前記外周面における少なくとも前記対向面に対向する部分が、前記相手材の地色と異なる色のインクにより着色されており、
前記ガスケットが、帯状の金属材からなるフープ材、及び帯状の膨張黒鉛材からなるフィラー材を重ね合わせて渦巻状に巻回してなる渦巻形ガスケットであり、
前記ガスケットの外周面が、前記フープ材で形成されている、ガスケット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、気体や液体などの流体の流路を構成する配管の接続箇所には、互いに対向する一対のフランジ(相手材)の被シール面同士の間に、流体の漏洩を防止するためのガスケットが配設されている。このガスケットは、対向する被シール面同士を互いに近づけるように締め付け、ガスケットに、その軸方向の両端面であるシール面から所定の締め付け圧を作用させることで、両フランジの被シール面間のシール性を確保するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-257494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ガスケットは、その装着時に対向する被シール面により締め付けられて軸方向に圧縮されるため、径方向外側に膨らむように弾性変形する。このため、ガスケットの外周面と、当該外周面に対向する各フランジの対向面(ガスケット配置溝の周壁面等)との間に、前記弾性変形を許容するための隙間が形成されている。
【0005】
ところが、ガスケットがその製造欠陥等により過度に弾性変形したり、フランジに寸法誤差が生じたりすると、ガスケットの外周面がフランジの前記対向面に当接して押圧する場合がある。この場合、両フランジの被シール面同士を十分に締め付けることができず、シール性能が低下するという不具合が発生する。しかし、渦巻形ガスケットは、一対のフランジにより軸方向両側から覆い隠されるため、渦巻形ガスケットの装着時に、その外周面がフランジの前記対向面に当接しているか否かを確認することが困難であった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ガスケットの外周面が相手材に当接しているか否かを容易に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のガスケットは、軸方向の両端面がシール面とされ、外周面が相手材の対向面との間に所定の隙間をあけて配置される環状のガスケットであって、前記外周面における少なくとも前記対向面に対向する部分が、前記相手材の地色と異なる色のインクにより着色されている。
【0008】
本発明によれば、ガスケットの外周面における相手材の対向面と対向する部分が、相手材の地色と異なる色のインクにより着色されているため、ガスケットを相手材に組み付ける際に、ガスケットの外周面が前記対向面に当接して押圧すると、前記外周面に着色したインクが前記対向面に転写される。これにより、例えば、製造ロット毎にサンプルを抽出して不具合を点検するときに、相手材からガスケットを取り外し、前記対向面にインクが転写しているか否かを視認することによって、ガスケットの外周面が相手材に当接しているか否かを容易に確認することができる。
【0009】
また、例えば、一対の相手材のうちの一方の相手材にガスケットを装着した状態で、他方の相手材を組み付けるときに、前記一方の相手材にガスケットが装着されていることを、ガスケットの外周面に着色されたインクの色を視認することによって、容易に確認することができる。これにより、前記一方の相手材に前記他方の相手材を組み付けるときに、ガスケットの組み付け忘れを効果的に防止することができる。
【0010】
(2)前記ガスケットが、帯状の金属材からなるフープ材、及び帯状の膨張黒鉛材からなるフィラー材を重ね合わせて渦巻状に巻回してなる渦巻形ガスケットであり、前記ガスケットの外周面が、前記フープ材で形成されているのが好ましい。
【0011】
この場合、渦巻形ガスケットのシール面は、膨張黒鉛材からなるフィラー材の占める面積が大きいため、全体的に黒色に見える。このため、仮に、シール面にインクを着色しても、シール面の色合いは変化しにくいため、前記一方の相手材に対するガスケットの視認性を向上させることができない。しかし、上記(2)では、渦巻形ガスケットの外周面、つまり金属材からなるフープ材にインクが着色されるため、シール面にインクを着色する場合に比べて、前記一方の相手材に対するガスケットの視認性を効果的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガスケットの外周面が相手材に当接しているか否かを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るガスケットの使用状態を示す断面図である。
図2図1の要部拡大断面図である。
図3】ガスケットの組み付け途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガスケットの使用状態を示す断面図である。本実施形態のガスケット1は、例えば、自動車の2本の排気管2,3同士を接続する管継手4に組み付けられて使用されるものである。
【0015】
排気管3の外径は、排気管2の内径よりも小さく設定されており、排気管3の端部は、排気管2の端部に挿入されている。管継手4は、各排気管2,3の外周に溶接により取り付けられた一対の金属製のフランジ5,6を備えている。
【0016】
両フランジ5,6の互いに対向する端面5a,6aの内周側には、環状のガスケット1を配置するための環状溝7,8が形成されている。環状溝7,8は、ガスケット1によりシールされる被シール面7a,8aと、ガスケット1の外周面1cに対向する環状の段差面(環状溝7,8の周壁面)7b,8bとを有している。以下では、段差面7b,8bを対向面7b,8bともいう。
【0017】
両フランジ5,6の外周側には、軸方向に貫通するボルト孔5b,6bがそれぞれ形成されている。各ボルト孔5b,6bは、各フランジ5,6において周方向に等間隔(180度)をあけて2箇所に形成されている(図3も参照)。図1では図示を省略するが、各ボルト孔5b,6bには、ボルトが挿通されてナットに螺合される。
【0018】
したがって、ボルトを締め付けて、被シール面7a,8a同士を互いに近づけるように締め付けることで、ガスケット1のシール面1a,1b(後述)に所定の締め付け圧が作用する。これにより、両フランジ5,6の被シール面7a,8a間のシール性を確保することができる。
【0019】
図2は、図1の要部拡大断面図である。本実施形態のガスケット1は、帯状のフープ材11と、緩衝材としての帯状のフィラー材12とを重ね合わせて渦巻状に巻回してなる渦巻形ガスケットである。本実施形態では、フープ材11はステンレス材からなり、フィラー材12は膨張黒鉛材からなる。また、フープ材11及びフィラー材12は、断面W字形状に形成されている。フープ材11は、他の金属材料でもよく、例えばニッケル合金でもよい。フィラー材12は、他の無機材料や有機材料でもよく、例えばマイカやセラミックペーパーでもよい。
【0020】
ガスケット1の最外周側および最内周側には、フープ材11Aが巻回されている。これにより、ガスケット1の外周面1cおよび内周面1dは、ステンレス材からなるフープ材11Aにより形成されている。ガスケットの内周面1dは、排気管3の外周面に嵌合された環状の位置決め部材9に当接しており、排気管3に対して位置決めされている。
【0021】
ガスケット1の軸方向(図2の上下方向)の両端面は、両フランジ5,6の被シール面7a,8aに接触するシール面1a,1bとされている。ガスケット1の外周面1cにおける軸方向の両端部は、相手材である各フランジ5,6の対向面7b,8bとの間に、所定の隙間S1,S2をあけて配置されている。図2では、分かり易くするために、隙間S1,S2を誇張して描いている。
【0022】
ガスケット1の外周面1c全体は、インクにより着色されている。これにより、ガスケット1の外周面1c全体には、着色層15が形成されている。着色層15は、例えば、汎用のインクジェットプリンタを用いて、外周面1cにインクを吹き付けて形成された塗膜からなる。図2では、分かり易くするために、着色層15の厚みを誇張して描いている。なお、着色層15は、外周面1cにおける少なくともフランジ5,6の対向面7b,8bに対向する部分に形成されていればよい。
【0023】
外周面1cに吹き付けるインクの色は、フランジ5,6の地色とは異なる色とされている。これにより、図3に示すように、例えば、排気管3側となる一方のフランジ6の環状溝8にガスケット1を載置した状態で、他方のフランジ5を排気管2と共に組み付けて図1の状態とするときに、フランジ6の環状溝8にガスケット1が載置されていることを、ガスケット1の外周面1cに形成された着色層15(図3のクロスハッチング部分)の色を視認することによって、容易に確認することができる。これにより、一方のフランジ6に他方のフランジ5を組み付けるときに、ガスケット1の組み付け忘れを効果的に防止することができる。
【0024】
また、図3に示す状態において、ガスケット1のシール面1bは、膨張黒鉛材からなるフィラー材12の占める面積が大きいため(図2参照)、全体的に黒色に見える。このため、仮にシール面1bにインクを着色しても、シール面1bの色合いは変化しにくいため、フランジ6に対するガスケット1の視認性を向上させることができない。これに対して、本実施形態では、ガスケット1の外周面1c、つまりステンレス材からなるフープ材11Aにインクが着色されるため、シール面1bにインクを着色する場合に比べて、フランジ6に対するガスケット1の視認性を効果的に向上させることができる。
【0025】
図2に戻り、ガスケット1がその製造欠陥等により過度に径方向外側へ弾性変形したり、フランジ5,6の環状溝7,8等に寸法誤差が生じたりすると、ガスケット1の外周面1cがフランジ5,6の対向面7b,8bに当接して押圧する場合がある。この場合、両フランジ5,6の被シール面7a,8a同士を十分に締め付けることができず、シール性能が低下するという不具合が発生する。
【0026】
そこで、本実施形態では、ガスケット1の外周面1cに吹き付けるインクの顔料は、外周面1cがフランジ5,6の対向面7b,8bに当接して押圧したときに、外周面1cから対向面7b,8bにインクを転写し易いものが使用されている。
【0027】
したがって、ガスケット1をフランジ5,6に組み付ける際に、ガスケット1の外周面1cがフランジ5、6の対向面7b,8bに当接して押圧すると、外周面1cに着色したインクが対向面7b,8bに転写される。これにより、例えば、製造ロット毎にサンプルを抽出して不具合を点検するときや、不具合が発生した管継手4を回収して原因を検証するときに、両フランジ5,6からガスケット1を取り外し、フランジ5,6の対向面7b,8bにインクが転写しているか否かを視認することによって、ガスケット1の外周面1cが対向面7b,8bに当接しているか否かを容易に確認することができる。
【0028】
上記実施形態におけるガスケット1は、自動車の排気管2,3同士を接続する管継手4に組み付けられているが、他の配管同士を接続する管継手に組み付けられていてもよいし、管継手以外の他の部材に組み付けられていてもよい。また、ガスケット1は、渦巻形ガスケットに限定されず、他のガスケットにも適用することができる。
【0029】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0030】
1 ガスケット
1a シール面
1b シール面
1c 外周面
5 フランジ(相手材)
6 フランジ(相手材)
7b 段差面(対向面)
8b 段差面(対向面)
11 フープ材
12 フィラー材
S1 隙間
S2 隙間
図1
図2
図3