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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】電波時計
(51)【国際特許分類】
   G04R 20/02 20130101AFI20220113BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20220113BHJP
【FI】
G04R20/02
G04G5/00 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017250610
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019117092
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-132624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04R 20/00 - 60/14
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閏秒に関する情報を含む信号を受信する受信回路と、
制御回路と、
を有する電波時計であって、
前記制御回路は、
前記受信回路が受信した前記閏秒に関する情報を保持する保持部と、
前記閏秒に関する情報に基づいて、閏秒更新予定時に前記電波時計の内部時刻を更新する閏秒更新部と、
前記保持部が前記閏秒に関する情報を保持した状態において、所定の禁止条件を満たす場合、前記閏秒更新部による前記内部時刻の更新を禁止する禁止部と、
所定の解除条件を満たす場合、前記禁止部による前記内部時刻の更新の禁止を解除する解除部と、
を含み、
ユーザの手動による前記内部時刻の調整操作を受け付ける操作部を有し、
前記保持部は前記調整操作を受け付けたことに関する受付情報を保持し、
前記禁止条件は、前記保持部による前記受付情報の保持を含む、
電波時計。
【請求項2】
閏秒に関する情報を含む信号を受信する受信回路と、
制御回路と、
を有する電波時計であって、
前記制御回路は、
前記受信回路が受信した前記閏秒に関する情報を保持する保持部と、
前記閏秒に関する情報に基づいて、閏秒更新予定時に前記電波時計の内部時刻を更新する閏秒更新部と、
前記保持部が前記閏秒に関する情報を保持した状態において、所定の禁止条件を満たす場合、前記閏秒更新部による前記内部時刻の更新を禁止する禁止部と、
所定の解除条件を満たす場合、前記禁止部による前記内部時刻の更新の禁止を解除する解除部と、
を含み、
前記受信回路は、時刻に関する情報を受信し、
前記制御回路は、前記時刻に関する情報に基づいて前記内部時刻を修正する内部時刻修正部を含み、
前記解除条件は、前記内部時刻修正部による前記時刻に関する情報に基づく前記内部時刻の修正を含む、
電波時計。
【請求項3】
前記禁止条件は、前記時刻に関する情報を前回取得してから所定期間が経過していることを含む、
請求項に記載の電波時計。
【請求項4】
閏秒に関する情報を含む信号を受信する受信回路と、
制御回路と、
を有する電波時計であって、
前記制御回路は、
前記受信回路が受信した前記閏秒に関する情報を保持する保持部と、
前記閏秒に関する情報に基づいて、閏秒更新予定時に前記電波時計の内部時刻を更新する閏秒更新部と、
前記保持部が前記閏秒に関する情報を保持した状態において、所定の禁止条件を満たす場合、前記閏秒更新部による前記内部時刻の更新を禁止する禁止部と、
所定の解除条件を満たす場合、前記禁止部による前記内部時刻の更新の禁止を解除する解除部と、
を含み、
電池と、
電池電圧を検出する電圧検出部と、
を有し、
前記禁止条件は、前記電池電圧が所定の電圧閾値以下であることを含み、
前記解除条件は、前記電池電圧が前記電圧閾値より大きいことを含む、
電波時計。
【請求項5】
閏秒に関する情報を含む信号を受信する受信回路と、
制御回路と、
を有する電波時計であって、
前記制御回路は、
前記受信回路が受信した前記閏秒に関する情報を保持する保持部と、
前記閏秒に関する情報に基づいて、閏秒更新予定時に前記電波時計の内部時刻を更新する閏秒更新部と、
前記保持部が前記閏秒に関する情報を保持した状態において、所定の禁止条件を満たす場合、前記閏秒更新部による前記内部時刻の更新を禁止する禁止部と、
所定の解除条件を満たす場合、前記禁止部による前記内部時刻の更新の禁止を解除する解除部と、
を含み、
内部温度を検出する温度検出部を有し、
前記禁止条件は、前記内部温度が所定の範囲外であることを含み、
前記解除条件は、前記内部温度が前記所定の範囲内であることを含む、
電波時計。
【請求項6】
閏秒に関する情報を含む信号を受信する受信回路と、
制御回路と、
を有する電波時計であって、
前記制御回路は、
前記受信回路が受信した前記閏秒に関する情報を保持する保持部と、
前記閏秒に関する情報に基づいて、閏秒更新予定時に前記電波時計の内部時刻を更新する閏秒更新部と、
前記保持部が前記閏秒に関する情報を保持した状態において、所定の禁止条件を満たす場合、前記閏秒更新部による前記内部時刻の更新を禁止する禁止部と、
所定の解除条件を満たす場合、前記禁止部による前記内部時刻の更新の禁止を解除する解除部と、
を含み、
外光を検出する光検出部を有し、
前記電波時計は、前記光検出部が検出した光量が所定の光閾値以下であった期間が所定期間より長い場合、節電モードとなり、
前記禁止条件は、前記電波時計が前記節電モードであることを含み、
前記解除条件は、前記光検出部が検出した光量が前記光閾値より大きくなることにより、前記節電モードから通常モードになったことを含む、
電波時計。
【請求項7】
前記制御回路は、前記時刻に関する情報に基づいて前記内部時刻を修正する内部時刻修正部を含み、
前記禁止条件を満たす状態である期間に関するカウント値をカウントするカウンタを含み、
前記カウント値が所定カウント値より大きい場合、前記解除条件を、前記内部時刻修正部による時刻に関する情報に基づいた前記内部時刻の修正とする、
請求項4~6のいずれか1項記載の電波時計。
【請求項8】
前記閏秒更新部は、前記解除部が前記内部時刻の更新の禁止を解除した際に、前記内部時刻が閏秒更新予定時を経過している場合、前記内部時刻が次の00秒になった時に、前記閏秒に関する情報に基づいて前記内部時刻を更新する、
請求項1~のいずれか1項に記載の電波時計。
【請求項9】
前記禁止条件を満たす状態であることをユーザに示す警告部を有する、
請求項1~のいずれか1項に記載の電波時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される衛星信号に含まれる週内時刻TOW(Time Of Week)に基づいて内部時刻を修正する電波時計が開示されている。週内時刻TOWは、直近の日曜日の0時からの経過秒を示す情報である。また、衛星信号には、閏秒(LS: Leap Second)に関する情報が含まれており、その情報は不定期に更新されるものである。閏秒に関する情報は、閏秒更新予定時や閏秒更新値に関する情報を含むものである。閏秒は、GPS衛星の原子時計の出力する時刻(以下、GPS時刻ともいう)と、協定世界時(UTC:Universal Time, Coordinated)(以下、基準時刻ともいう)とのずれを調整するために追加又は削除される。上記のような電波時計は、受信回路により受信した閏秒に関する情報に基づいて、その内部時刻に閏秒更新値の追加又は削除が行われる構成となっている。以下、電波時計において、閏秒に関する情報に基づいて内部時刻に閏秒更新値が追加又は削除されることを閏秒更新という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-33381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、閏秒更新は、基準時刻に対するGPS時刻のずれを調整するために行われるものである。また、電波時計の内部時刻は、衛星信号に含まれる週内時刻TOWに基づいて修正されるものである。すなわち、閏秒更新は、内部時刻が週内時刻TOWに基づいて正確な時刻を示している状態で行われることで、内部時刻の基準時刻に対するずれを調整するという意味をなすこととなる。一方、内部時刻が週内時刻TOWに基づいた時刻でない場合に閏秒更新が行われると、閏秒更新された後の内部時刻は何ら意味をなさない時刻を示すこととなってしまう。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電波時計が閏秒更新を行うのに適切な状態にある場合に閏秒更新を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)閏秒に関する情報を含む信号を受信する受信回路と、制御回路と、を有する電波時計であって、前記制御回路は、前記受信回路が受信した前記閏秒に関する情報を保持する保持部と、前記閏秒に関する情報に基づいて、閏秒更新予定時に前記電波時計の内部時刻を更新する閏秒更新部と、前記保持部が前記閏秒に関する情報を保持した状態において、所定の禁止条件を満たす場合、前記閏秒更新部による前記内部時刻の更新を禁止する禁止部と、所定の解除条件を満たす場合、前記禁止部による前記内部時刻の更新の禁止を解除する解除部と、を含む電波時計。
【0008】
(2)(1)において、ユーザの手動による前記内部時刻の調整操作を受け付ける操作部を有し、前記保持部は前記調整操作を受け付けたことに関する受付情報を保持し、前記禁止条件は、前記保持部による前記受付情報の保持を含む、電波時計。
【0009】
(3)(1)又は(2)において、前記受信回路は、時刻に関する情報を受信し、前記制御回路は、前記時刻に関する情報に基づいて前記内部時刻を修正する内部時刻修正部を含み、前記解除条件は、前記内部時刻修正部による前記時刻情報に関する情報に基づく前記内部時刻の修正を含む、電波時計。
【0010】
(4)(3)において、前記禁止条件は、前記時刻に関する情報を前回取得してから所定期間が経過していることを含む、電波時計。
【0011】
(5)(1)~(4)のいずれかにおいて、電池と、電池電圧を検出する電圧検出部と、を有し、前記禁止条件は、前記電池電圧が所定の電圧閾値以下であることを含み、前記解除条件は、前記電池電圧が前記電圧閾値より大きいことを含む、電波時計。
【0012】
(6)(1)~(5)のいずれかにおいて、内部温度を検出する温度検出部を有し、前記禁止条件は、前記内部温度が所定の範囲外であることを含み、前記解除条件は、前記内部温度が前記所定の範囲内であることを含む、電波時計。
【0013】
(7)(1)~(6)のいずれかにおいて、外光を検出する光検出部を有し、前記電波時計は、前記光検出部が検出した光量が所定の光閾値以下であった期間が所定期間より長い場合、節電モードとなり、前記禁止条件は、前記電波時計が前記節電モードであることを含み、前記解除条件は、前記光検出部が検出した光量が前記光閾値より大きくなることにより、前記節電モードから通常モードになったことを含む、電波時計。
【0014】
(8)(5)~(7)のいずれかにおいて、前記禁止条件を満たす状態である期間に関するカウント値をカウントするカウンタを含み、前記カウント値が所定カウント値より大きい場合、前記解除条件を、前記内部時刻修正部による前記時刻情報に関する情報に基づいた前記内部時刻の修正とする、電波時計。
【0015】
(9)(1)~(8)のいずれかにおいて、前記閏秒更新部は、前記解除部が前記内部時刻の更新の禁止を解除した際に、前記内部時刻が閏秒更新予定時刻を経過している場合、前記内部時刻が次の00秒になった時に、前記閏秒に関する情報に基づいて前記内部時刻を更新する、電波時計。
【0016】
(10)(1)~(9)のいずれかにおいて、前記禁止条件を満たす状態であることをユーザに示す警告部を有する、電波時計。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る電波時計を示す平面図である。
図2図1のA-A線による断面図である。
図3】本実施形態に係る電波時計の回路構成及びシステム構成を示す図である。
図4】GPS衛星が送信する衛星信号における1のサブフレームを模式的に示す図である。
図5】本実施形態における閏秒更新の禁止及びその解除の一例を示すタイムチャートである。
図6】本実施形態における閏秒更新処理を説明するフローチャートである。
図7】本実施形態における禁止フラグ管理処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る電波時計を示す平面図である。図1には、電波時計100の外装(時計ケース)である胴1、胴1内に配置された文字板2と時刻を示す指針である時針3、分針4、秒針5が示されている。また、胴1の3時側の側面にはユーザが種々の操作を行うための操作部としての竜頭61、ボタン62が配置されている。また、文字板2には日付を表示する日窓15が設けられる。日窓15に表示される日付は、00時00分になった時に更新される。なお、図1には図示しないが、文字板2には曜日を表示する曜日窓が設けられてもよい。胴1の12時側及び6時側の側面からは、バンドを固定するためのバンド固定部8が伸びている。
【0020】
なお、図1に示した電波時計100のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴1を丸型でなく角型にしてもよいし、竜頭61やボタン62の数、配置は任意である。また、本実施形態では、指針を時針3、分針4、秒針5の3本としているが、これに限定されず、秒針5を省略しても、あるいは、タイムゾーンやサマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針等を追加したりしてもよい。
【0021】
本実施形態では、電波時計100として、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される衛星信号を受信し、その衛星信号に含まれる日付や時刻に関する情報に基づいて内部時刻を修正する機能を有する腕時計を用いて説明をする。ただし、腕時計に限られるものではなく、時計機能を有する他のウェアラブル端末であってもよい。なお、内部時刻とは、電波時計100内部の制御回路47が保持する時刻情報(時刻及び日付を含む)である。本実施形態の電波時計100においては、指針により内部時刻を示し、ユーザが内部時刻を視認できる構成となっている。
【0022】
図2は、図1のA-A線による断面図である。電波時計100の文字板2を覆うように風防9が胴1に取り付けられ、また、風防9の反対側では、裏蓋10が胴1に取り付けられる。風防9の材質は、ガラス等の透明な材料であり、非磁性かつ非導電性である。また、胴1及び裏蓋10の材質は、特に限定はされないが、本実施形態では金属である。本実施形態では、以降、電波時計100の風防9が配置される方向(図2における上方向)を風防側、裏蓋10が配置される方向(図2における下方向)を裏蓋側と呼ぶ。
【0023】
文字板2の裏蓋側には、太陽電池(光起電パネル)11が配置され、風防側から入光した光により発電がなされる。そのため、文字板2はある程度光線を透過する材質で形成されるとよい。本実施形態では、文字板2は、太陽電池11を挟むようにして、ベース部材12に固定される。
【0024】
ベース部材12は、合成樹脂等の非磁性かつ非導電性の材質からなり、パッチアンテナ14や指針を駆動するための歯車機構25等、各種部材を支持する。パッチアンテナ14には、その厚み方向を貫くように給電ピン14bが設けられ、風防側の面が衛星からの電波を受信する受信面14aとなっている。
【0025】
ベース部材12の裏蓋側には、回路基板24が配置され、さらにその裏蓋側には電池26が配置される。本実施形態では、電池26は充電可能な二次電池であり、ボタン型のリチウムイオン二次電池を用いている。そして、太陽電池11により発電された電力が蓄積されるようになっている。また、回路基板24には歯車機構25の駆動源であるモータ23も取り付けられている。なお、電池26の形状はボタン型に限定されず、任意である。さらに、二次電池としてリチウムイオン二次電池以外のもの、例えば、リチウムイオンキャパシタやニッケル水素畜電池を用いてもよい。
【0026】
ここで、図2に示されるようにパッチアンテナ14の受信面14aは太陽電池11の受光面と平行に設けられており、いずれも風防側を向いている。また、図1に示されるように太陽電池11は概略円形をなし、その外周の一部が矩形状に切りかかれている。そして、この部分にパッチアンテナ14が配置されている。このため、パッチアンテナ14の受信面14aと太陽電池11の受光面は、いずれも文字板2の裏面に直接対向している。本実施形態では、太陽電池11の発電量を電波時計100の受光量としている。強い光が文字板2にあたっている状況は、日中の屋外や窓際など、パッチアンテナ14が衛星に向いており、衛星信号の受信に適した環境にある可能性が高い。
【0027】
図3は、本実施形態に係る電波時計の回路構成及びシステム構成を示す図である。図3に示す回路要素は、主に回路基板24上に配置される。受信回路31は、制御回路47からの指令を受けて、時刻に関する情報等を受信するための受信動作を行う回路である。受信回路31は、高周波回路46及びデコーダ回路53を含む。パッチアンテナ14により受信された衛星信号は、高周波回路46によりベースバンド信号に変換され、デコーダ回路53により時刻に関する情報、具体的には時刻や日付を示す情報が抽出され、制御回路47へと受け渡される。
【0028】
制御回路47は、少なくとも、RAM(保持部)47a、ROM47b、内部時刻修正部47c、閏秒更新部47d、禁止部47e、及び解除部47fを含んで、一つの集積回路により構成される。制御回路47は、ROM47bに格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。RAM47aは、制御回路47のワークメモリとして機能し、制御回路47の処理対象となるデータが書き込まれる。例えば、受信回路31によって受信された衛星信号の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM47a内のバッファ領域に順次書き込まれるほか、制御用の各種変数の値が保持される。
【0029】
また、太陽電池11はスイッチ29を介して電池26に接続されており、制御回路47からの指示によりスイッチ29が太陽電池11と電池26とを導通させている状態では、太陽電池11により発電された電力は、電池26に蓄積される。そして、電池26からは、受信回路31及び制御回路47に電力が供給される。
【0030】
また、太陽電池11はスイッチ29を介して光検出部30にも接続されており、制御回路47からの指示によりスイッチ29が太陽電池11と光検出部30を導通させている状態では、太陽電池11により生じる電流は光検出部30に流れる。光検出部30はこの電流を電圧に変換するとともに、この電圧をさらにデジタル値に変換し、検出値として制御回路47に供給する。
【0031】
スイッチ56は、受信回路31、すなわち高周波回路46及びデコーダ回路53への電力供給のオン/オフを切り替えるスイッチであり、制御回路47により制御される。高周波数で動作する高周波回路46とデコーダ回路53はその消費電力が大きいため、制御回路47は、衛星信号を受信する時のみスイッチ56をオンとして受信回路31、すなわち高周波回路46及びデコーダ回路53を動作させ、それ以外の時はスイッチ56をオフとして、消費電力を低減するとよい。
【0032】
受信回路31による受信動作は、電波時計100が受信環境に適した環境にある場合に実行されるとよい。具体的には、制御回路47が、光検出部30が検出した検出値(光量)が所定の光閾値より大きいか否かを判定し、所定の光閾値より大きい検出値が検出された場合、受信動作を受信回路31に実行させる指令を出すとよい。一方、電波時計100が屋内にある等、衛星信号の受信に適さない環境にある場合、すなわち、光検出部30が検出した検出値が所定の光閾値以下である場合、受信動作を実行しないこととするとよい。そのような環境下で受信動作を実行しても受信に失敗する可能性が高く、不要に電力を消費してしまうおそれがあるためである。
【0033】
ここで、電波時計100の日時修正に用いられるGPS衛星が送信する衛星信号(航法データ)について説明する。図4は、GPS衛星が送信する衛星信号における1のサブフレームを模式的に示す図である。
【0034】
GPS衛星は、計25フレーム(ページ)を1セットとする衛星信号を繰り返し時間順に送信している。各フレームは30秒分の信号を含んでおり、GPS衛星は、全25フレームの信号を12.5分周期で送信する。さらに、各フレームは、5個のサブフレームSF1~5から構成される。1のフレームが30秒なので、1のサブフレームSFは6秒分の信号に相当する。1のサブフレームSFは全体で300ビット分の情報を含んでいる。さらに、1のサブフレームSFは10ワードから構成され、1のサブフレームは6秒なので、1のワードは0.6秒分の信号に相当する。
【0035】
各サブフレームSFの先頭ワードは、TLM(TeLeMetry word)と呼ばれ、TLMは、各サブフレームSFの先頭を示すコードと、地上管制局の情報を含んでいる。TLMの先頭部分(すなわち、サブフレームSF全体の先頭部分)には、当該サブフレームSFの開始位置を示すプリアンブルが含まれる。
【0036】
各サブフレームSFの2番目のワードは、HOW(HandOver Word)と呼ばれ、HOWの先頭部分には、週の始まり(日曜日の午前0:00)を起点としたGPS時刻、すなわち現在の時刻に関する情報である週内時刻TOW(Time Of Week)が含まれている。HOWに続く情報は、サブフレームSF毎に異なっており、サブフレームSF1には、HOWに続いて週番号WN(Week Number)が含まれている。週番号WNは、週内時刻TOWにより表される時刻が属する週の番号を示す情報であって、週に1度、日曜日の午前0:00になる度にカウントアップされる。
【0037】
なお、サブフレームSF2及びサブフレームSF3には、HOWに続いてエフェメリスと呼ばれる各GPS衛星の軌道情報が含まれ、サブフレームSF4及びSF5には、HOWに続いてアルマナックと呼ばれる全GPS衛星の概略軌道情報が含まれているが、その詳細な説明については省略する。
【0038】
さらに、図3に戻って説明を続ける。電波時計100は、1又は複数のGPS衛星から衛星信号を受信する。そして、制御回路47が、受信した衛星信号から抽出した週内時刻TOWを、内蔵されるRAM47aに保持し、保持された週内時刻TOWに基づいて、内部時刻修正部47cにより内部時刻を修正し、修正された内部時刻に基づいてモータ23を駆動する。モータ23により発生した回転動力は、輪列を経て指針(時針3、分針4及び秒針5)へと伝達され、時刻表示がなされる。
【0039】
また、GPS衛星から送信される衛星信号に含まれる情報として閏秒に関する情報(以下、LS(Leap Second)情報ともいう)がある。閏秒は、GPS衛星の原子時計の出力するGPS時刻と、協定世界時(UTC:Universal Time, Coordinated)(以下、基準時刻ともいう)とのずれを調整するために追加又は削除される。以下、LS情報に基づいて電波時計100の内部時刻を更新することを閏秒更新ともいう。LS情報は、次回の閏秒更新が行われる閏秒更新予定時の情報や、次回の閏秒更新における閏秒更新値に関する情報等を含む情報である。制御回路47は、衛星信号から抽出したLS情報を、内蔵されるRAM47aに保持し、保持されたLS情報に基づいて、閏秒更新部47dにより閏秒更新予定時に内部時刻を更新する。なお、LS情報は、衛星信号のサブフレーム4が25回(ページ1~25)送信されるうち1回のみに含まれている。具体的には、LS情報は、ページ18のサブフレーム4のみに含まれている。
【0040】
なお、本明細書においては、週内時刻TOWに基づいて内部時刻を変更することを内部時刻の「修正」といい、LS情報に基づいて内部時刻を変更することを内部時刻の「更新」ということとする。
【0041】
閏秒更新予定時は、例えば、6月末日や12月末日の23時59分の最後の秒である。すなわち、閏秒は、例えば、12月31日59分59秒と1月1日00分00秒の間に追加される。また、LS情報は不定期に更新されるものであるが、例えば、閏秒更新予定時前の1ヶ月間、GPS衛星から送信される衛星信号に含まれる。ただし、これに限られるものではなく、LS情報がGPS衛星から送信される衛星信号に含まれる期間は1ヶ月よりも長い場合もあれば、短い場合もある。また、LS情報は、閏秒更新予定時を経過した後にもGPS衛星から送信される衛星信号に含まれてもよい。なお、LS情報を受信した場合であっても、閏秒更新を行う予定がない場合もある。すなわち、LS情報に含まれる閏秒更新値が0の場合もある。
【0042】
上述のように、電波時計100の内部時刻は、GPS衛星からの衛星信号に含まれる週内時刻TOWに基づいて修正されることにより、正確な時刻を示すこととなる。そして、内部時刻が正確な時刻を示す状態で閏秒更新がなされることにより、基準時刻に対するずれが調整されることとなる。一方、内部時刻が週内時刻TOWに基づいて修正された時刻でない状態、すなわち内部時刻が正確な時刻を示さない状態で閏秒更新がなされた場合、閏秒更新がなされた後の内部時刻は、何ら意味をなさない時刻を示すこととなってしまう。
【0043】
そこで、本実施形態においては、電波時計100の内部時刻が、週内時刻TOWに基づいて修正された時刻からずれている場合、又はずれている可能性がある場合に、閏秒更新を行うことを禁止することとした。以下、内部時刻が、週内時刻TOWに基づいて修正された時刻からずれている、又はずれている可能性がある条件を、禁止条件という。禁止条件を満たす場合において、禁止フラグをRAM47aに保持させておくとよい。そして、電波時計100の内部時刻が、週内時刻TOWに基づいて修正された時刻を示す場合に、閏秒更新の禁止を解除するとよい。以下、内部時刻が、週内時刻TOWに基づいて修正された時刻からずれていない、又はずれていない可能性がある条件を、解除条件という。解除条件を満たす場合において、RAM47aに保持される禁止フラグを解除し、禁止フラグが解除された状態で閏秒更新が行われるとよい。以下、本実施形態における、閏秒更新の禁止と、その解除について具体的に説明する。
【0044】
本実施形態の一例においては、ユーザの手動による内部時刻の調整操作を操作部60が受け付けたことを禁止条件とするとよい。ユーザが手動で操作部60を操作した場合、電波時計100の内部時刻は、週内時刻TOWに基づいて修正された時刻からずれた時刻を示すこととなり、その状態で閏秒更新が行われると、閏秒更新がなされた後の内部時刻は、何ら意味をなさない時刻を示すこととなってしまうためである。禁止部47eは、ユーザの手動による内部時刻の調整操作を操作部60が受け付けたことを示す受付情報をRAM47aに書き込み、禁止フラグとして保持させる。禁止フラグがRAM47aに保持される状態において、閏秒更新部47dによる閏秒更新は禁止される。
【0045】
そして、受信回路31が受信動作を行うことにより週内時刻TOWを受信し、週内時刻TOWに基づいて内部時刻修正部47cによる内部時刻の修正が行われたことを解除条件とするとよい。この場合、制御回路47は、解除部47fによりRAM47aに保持される禁止フラグを解除し、閏秒更新部47dにより閏秒更新を行うことをできる状態にするとよい。週内時刻TOWに基づいて内部時刻が修正された場合、内部時刻は正確な時刻を示す状態となっており、そのような状態で閏秒更新が行われると、閏秒更新がなされた後の内部時刻は、基準時刻に対するずれが調整された時刻を示すこととなるためである。すなわち、閏秒更新を行うことについての本来の意味をなすこととなるためである。
【0046】
なお、受信回路31による週内時刻TOWを取得するための受信動作は、内部時刻が所定の時刻となった時に自動で行われてもよいし、前回受信動作より所定の期間経過したことを判別してから受信が行われてもよいし、ユーザが操作部60を操作することにより行われてもよい。また、受信動作の開始に先立って、電波時計100が衛星信号の受信に適した環境にあるか否かを確認する受信環境チェックを行ってもよい。受信環境チェックは、例えば、光検出部30が検出した光量に基づいて行うとよい。光検出部30が検出した光量が高ければ、電波時計100は野外等の受信に適した環境にあると判定し、受信動作を実行させるとよい。一方、光検出部30が検出した光量が低ければ、電波時計100が屋内等の受信に適さない環境にあると判定し、受信動作を実行しないこととするとよい。
【0047】
閏秒更新部47dは、禁止条件が解除された状態において、内部時刻が閏秒更新予定時になったタイミングで閏秒更新を行うとよい。また、禁止条件が解除された際に、内部時刻が閏秒更新予定時を既に経過している場合、閏秒更新部47dは、禁止条件が解除された後、遅滞なく閏秒更新を行うとよい。
【0048】
ここで、内部時刻修正部47cにより内部時刻を修正し、修正後の内部時刻を示すように指針を駆動する際、日付窓15の日付送り等の駆動が合わせて行われる場合がある。日付送りと、閏秒更新に基づく指針の駆動とが同時に行われるとモータ駆動処理が煩雑になるため、これら処理を分散させてもよい。そのため、例えば、内部時刻が閏秒更新予定時を既に経過している場合においては、禁止条件が解除された後であって、内部時刻が次の00秒を示す時に、閏秒更新部47dにより閏秒更新を行うとよい。具体的には、例えば、内部時刻修正部47cにより修正された時刻が3時10分45秒の場合、3時11分00秒となった時に、閏秒更新部47dにより閏秒更新を行うとよい。
【0049】
なお、RAM47aに保持される禁止フラグが解除された際、内部時刻が閏秒更新予定時前の場合、閏秒更新予定時を待って、閏秒更新部47dにより閏秒更新を行うとよい。なお、一度禁止フラグが解除されて、閏秒更新予定時前に再び禁止フラグが立てられた後、内部時刻が閏秒更新予定時となった場合、閏秒更新部47dによる閏秒更新は禁止されるとよい。
【0050】
なお、電波時計100においては、ユーザの手動により内部時刻を調整できる構成に限られるものではなく、ユーザの手動によりRAM47aに保持される閏秒を調整できる構成としてもよい。この場合、ユーザの手動による閏秒の調整操作を操作部60が受け付けたことを禁止条件としてもよい。
【0051】
図5を用いて、さらに具体的に、本実施形態における閏秒更新の禁止及びその解除の一例について説明する。図5は、本実施形態における閏秒更新の禁止及びその解除の一例を示すタイムチャートである。図5においては、上段に基準時刻のタイムチャートを示し、下段に電波時計の内部時刻のタイムチャートを示している。
【0052】
図5に示す例においては、12月1日の時点で、電波時計100の内部時刻は週内時刻TOWに基づいて修正された時刻を示している。そのため、この時点で、内部時刻は、基準時刻とほぼ一致している。そして、12月1日以降であって閏秒更新予定時(12月31日23時59分の最後の秒)前に、受信回路31が受信動作を行うことにより、LS情報の受信に成功したことを示している。受信されたLS情報は、RAM47aに保持される。なお、図5に示す例においては、LS情報は、現在の閏秒値が18秒であること、閏秒更新予定時が12月31日23時59分の最後の秒であること、及び閏秒更新値は19秒であることについての情報を含むものとする。
【0053】
その後、ユーザの手動による内部時刻の調整操作を操作部60が受け付け、内部時刻は12月31日の23:00から、12月31日の22:00に調整されたことを示している。すなわち、内部時刻が基準時刻から1時間遅れるように調整されたことを示している。この時、禁止部47eは、操作部60が調整操作を受け付けたことに関する受付情報をRAM47aに書き込み、禁止フラグとして保持させる。図5中の時間軸方向に延びる矢印は、禁止フラグが立っている期間を示している。
【0054】
図5に示す例においては、内部時刻が閏秒更新予定時である12月31日の23:59の最後の秒を経過する際に、閏秒更新部47dによる閏秒更新が行われないことを示している。すなわち、閏秒更新がなされることなく、内部時刻は、12月31日の23:59:59の1秒後に1月1日の00:00:00を計時したことを示している。
【0055】
その後、受信回路31が受信動作を行うことにより、衛星信号に含まれる週内時刻TOWの受信に成功したことを示している。これにより、解除部47fが、RAM47aに保持される禁止フラグを解除する。そして、内部時刻修正部47cが内部時刻を、週内時刻TOWに基づいて修正し、内部時刻が1月1日の03:00となったことを示している。ここで、1月1日の03:00は、閏秒更新予定時である12月31日23時59分の最後の秒を経過している。そのため、閏秒更新部47dが、内部時刻修正部47cにより内部時刻の修正が行われた後、遅滞なく閏秒更新を行うとよい。
【0056】
なお、禁止条件は、上述のように、ユーザの手動による内部時刻の調整操作を操作部60が受け付けたことに限られるものではない。また、解除条件も、週内時刻TOWに基づいて内部時刻が修正されたことに限られるものではない。図5で説明した例以外の禁止条件及び解除条件の例について以下説明する。
【0057】
禁止条件を、電圧検出部50が検出した電池26の電池電圧Vが所定の電圧閾値Vth以下であることとするとよい。電池電圧Vが降下した状態においては、受信回路31や制御回路47に十分な電力を供給できず、制御回路47において計時される内部時刻の精度が低下するおそれがあるためである。すなわち、内部時刻が週内時刻TOWに基づいて修正された時刻からずれているおそれがあるためである。なお、所定の電圧閾値Vthは、例えば、2.4Vとするとよい。
【0058】
そして、電池電圧Vが電圧閾値Vth以下であることを禁止条件とした場合、解除条件を、電池電圧Vが電圧閾値Vthより大きいこととするとよい。太陽電池11が発電する等、電池26が充電されることにより電池電圧Vが降下した状態から回復した場合、受信回路31や制御回路47に十分な電力を供給でき、制御回路47において計時される内部時刻は正確な時刻を刻んでいる可能性が高いためである。
【0059】
なお、電池電圧Vが電圧閾値Vth以下であった期間が所定期間内であれば、上述のように、電池電圧Vが電圧閾値Vthより大きくなったことを解除条件とするとよいが、電池電圧Vが電圧閾値Vth以下であった期間が所定期間より長い場合、電池電圧Vが電圧閾値Vthより大きくなり、かつ週内時刻TOWに基づいて内部時刻が修正されたことを解除条件とするとよい。電池電圧Vが回復した場合であっても、電池電圧Vが長期間低い状態であった場合、基準時刻に対する内部時刻のずれ量は大きくなっている可能性が高いためである。なお、いずれの解除条件を用いるかを決定するための上記所定期間は、電池電圧Vの大きさに応じて異なってもよい。例えば、電池電圧Vが2.3Vの場合よりも2.1Vの場合の方が、所定期間を短くするとよい。
【0060】
なお、制御回路47は、禁止条件を満たす状態である期間に関するカウント値をカウントするカウンタを含むとよい。そして、カウント値が所定カウント値よりも大きい場合、すなわち、禁止条件を満たす状態である期間が所定期間より長い場合、制御回路47は、解除条件を、電池電圧Vが電圧閾値Vthより大きくなり、かつ内部時刻修正部47cにより週内時刻TOWに基づいて内部時刻が修正されたこととするとよい。
【0061】
また、禁止条件を、温度検出部40が検出した電波時計100の内部温度Tが所定の範囲外であることとするとよい。ここで、電波時計100の内部時刻の計時に用いられる水晶子は温度特性を有するものであり、その温度特性に応じて歩度ずれが生じることとなる。水晶子の温度特性に基づく歩度ずれは、常温(約25℃)で最も小さく、常温よりも温度が高い場合も低い場合も歩度ずれが大きくなる傾向にある。そのため、内部温度Tが過度に高い場合や過度に低い場合等の異常温度であると、内部時刻は週内時刻TOWに基づいて修正された時刻からずれやすくなる。なお、所定の範囲内は、例えば、内部温度Tが-5℃~40℃であるとするとよい。
【0062】
そして、内部温度Tが所定の範囲外であることを禁止条件とした場合、解除条件を、内部温度が所定の範囲内であることとするとよい。内部温度Tが異常温度から通常の温度になった場合、制御回路47において計時される内部時刻は正確な時刻を刻んでいる可能性が高いためである。
【0063】
なお、内部温度Tが所定の範囲外であった期間が所定期間内であれば、上述のように、内部温度Tが所定の範囲内となったことを解除条件とするとよいが、内部温度Tが所定の範囲外であった期間が所定期間より長い場合、内部温度Tが所定の範囲内となり、かつ週内時刻TOWに基づいて内部時刻が修正されたことを解除条件とするとよい。内部温度Tが所定の範囲内になった場合であっても、内部温度Tが長期間異常温度であった場合、基準時刻に対する内部時刻のずれ量が大きくなっている可能性が高いためである。なお、いずれの解除条件を用いるかを決定するための上記所定期間は、内部温度の大きさに応じて異なってもよい。例えば、内部温度Tが-5℃の場合よりも-15℃の場合の方が、所定期間を短く設定するとよい。
【0064】
また、禁止条件を、電波時計100が節電モードであることとするとよい。ここで、電波時計100において、光検出部30が検出した光量L(検出値)が所定の光閾値Lth以下であった期間が所定期間より長い場合に、節電モードに設定される構成とするとよい。制御回路47は、節電モードに設定したことに関する情報をRAM47aに保持させるとよい。なお、節電モードは、電波時計100が長期間、机の中等の暗所に置かれている場合に、不要に電力を消耗しないよう設定されるモードであり、節電モード中は、例えば、指針の運針を停止するとよい。
【0065】
そして、節電モードであることを禁止条件とした場合、解除条件を、光検出部30が検出した光量Lが所定の光閾値Lthより大きくなったことにより、節電モードから通常モードになったこととするとよい。通常モードとは、指針の運針が内部時刻を示すように駆動する状態のモードである。なお、節電モード中は、電波時計100の内部で内部時刻を計時し、節電モードから通常モードに切り替わった際に、指針が内部時刻を示すようにモータ23を駆動するとよい。
【0066】
また、禁止条件を、前回週内時刻TOWの受信に成功してから所定期間が経過していることとするとよい。前回週内時刻TOWの受信に成功してから長時間が経過している場合、内部時刻が基準時刻からずれている可能性が高いためである。そして、解除条件を、週内時刻TOWに基づいて内部時刻が修正されたこととするとよい。
【0067】
なお、本実施形態においては、上述した禁止条件のうち1以上を用いた処理を行うとよい。また、解除条件も同様に上述したもののうち1以上を用いた処理を行うとよい。
【0068】
また、上述のように禁止条件として、基準時刻に対する内部時刻の精度に関する条件を用いるとよいが、それに限られるものではない。例えば、アラーム機能を有する電波時計100において、アラーム出力中でることを禁止条件とし、アラーム出力が停止したことを解除条件とするとよい。制御回路47における処理の分散化のため、アラーム出力中等、他の付加的機能が実行されている最中においては閏秒更新を行わないことが好ましいためである。また、指針が所定の基準位置からずれていることを検知する機能を有する電波時計100において、指針位置の検知動作中を禁止条件とし、検知動作終了を解除条件としてもよい。なお、ここで、基準位置とは、指針の先端が文字板2上の時字を正確に指し示す位置である。指針が基準位置からずれているか否かの検知は、例えば、位置センサを用いて行うとよい。また、指針位置の検知動作は、ユーザが操作部60を操作することに開始されるとよい。また、受信動作中を禁止条件としてもよい。
【0069】
なお、電波時計100は、禁止条件を満たす状態であることをユーザに示す警告部を有してもよい。警告部は、例えば、アラーム音を出力することや、指針が所定の文字を示すことや、指針の動作等により、閏秒更新が禁止されている状態であることをユーザに知らせるとよい。また、禁止条件が解除されたことをユーザに知らせる構成としてもよい。さらに、閏秒更新が禁止されている状態とLS情報の受信が成功していない場合を兼用して、警告表示をしてもよい。このとき同じ警告部は同じ挙動を示してもよいし、指針の挙動が異なるように制御して区別できるようにしてもよい。
【0070】
以上説明したように、本実施形態においては、電波時計100が閏秒更新を行うのに適切な状態にある場合に閏秒更新を行うことができる。また、例えば、ユーザが、自らの便宜上手動で内部時刻を調整している状態において、その調整された内部時刻に閏秒分の秒が自動で追加又は削除されることは、ユーザの意に反するおそれがあるところ、本実施形態においては、ユーザの意に反した閏秒更新を抑制することができる。
【0071】
図6図7を参照して、本実施形態における制御回路47の動作について説明する。制御回路47は、以下で説明するように、閏秒更新処理と、禁止フラグ管理処理を行うとよい。
【0072】
図6は、本実施形態における閏秒更新処理を説明するフローチャートである。図6に示すように、制御回路47は、内部時刻が閏秒更新予定時以降である場合(ステップS1のYES)、禁止フラグが立っているか否かの判定を行う(ステップS2)。制御回路47は、禁止フラグが立っていない場合(ステップS2のNO)、閏秒更新部47dによりLS情報に基づいて内部時刻の更新処理を行う(ステップS3)。なお、ステップS1の判定は常時行う必要はなく、所定時間毎に定期的に行うものであってもよい。例えば、内部時刻が閏秒更新予定時以降でないと判定された場合(ステップS1のNO)、待機時間(例えば、1分間)を経過した後、さらにステップS1の判定を行うこととしてもよい。または、内部時刻が閏秒更新予定時以降でないと判定された場合(ステップS1のNO)、図5に示すフローを終了させる処理を行い、待機時間を経過した後、改めてステップS1から図5に示すフローを開始することとしても構わない。
【0073】
図7は、本実施形態における禁止フラグ管理処理を説明するフローチャートである。図7に示すように、制御回路47は、LS情報を受信済みの場合であって(ステップS11のYES)、閏秒更新を行う予定がある場合(ステップS12のYES)、LS情報に基づいて閏秒更新予定時及び閏秒更新値を設定し(ステップS13)、それら情報をRAM47aに保持させる。一方、LS情報を受信した場合であっても、そのLS情報に基づいて閏秒更新を行う予定がない場合(ステップS12のNO)、禁止フラグ管理処理を終了する。なお、ステップS11の判定は常時行う必要はなく、所定時間毎に定期的に行うものであってもよい。例えば、LS情報を受信済みでないと判定された場合(ステップS11のNO)、待機時間を経過した後、さらにステップS11の判定を行うこととしてもよい。または、LS情報を受信済みでないと判定された場合(ステップS11のNO)、図6に示すフローを終了させる処理を行い、待機時間を経過した後、改めてステップS11から図6に示すフローを開始することとしても構わない。
【0074】
制御回路47は、ステップS13の後、禁止条件を満たすか否かの判定を行う(ステップS14)。禁止条件を満たさない場合であって(ステップS14のNO)、図6で示した閏秒更新処理において閏秒更新が行われた場合(ステップS15のYES)、禁止フラグ管理処理を終了する。一方、未だ閏秒更新が行われていない場合(ステップS15のNO)、引き続き禁止条件を満たすか否かの判定を行う(ステップS14)。禁止条件を満たす場合(ステップS14のYES)、禁止フラグを立てて(ステップS16)、RAM47aに保持させる。
【0075】
制御回路47は、禁止フラグが立った状態で、解除条件を満たすか否かを判定する(ステップS17)。解除条件を満たす場合(ステップS17のYES)、禁止フラグを解除し(ステップS18)、さらに禁止条件を満たすか否かの判定を行う(ステップS14)。そして、閏秒更新が行われた場合(ステップS15のYES)、禁止フラグ管理処理を終了する。
【0076】
なお、図7において、禁止条件及び解除条件は、上述したもののうち少なくとも1以上を含むものであればよい。そして、禁止条件を満たすか否かの判定においては、複数の禁止条件のうちいずれか1以上の禁止条件を満たす場合、禁止フラグを立てるとよい。
【0077】
なお、電波時計100が受信する信号はGPS衛星から送信されるものに限られず、例えば、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System、準天頂衛星システム:みちびき)やGLONASS(Global Navigation Satellite System)が送信する信号であってもよく、これら複数の衛星に対応した受信を可能な構成としてもよい。また、これら衛星のうち軌道上に配置される数が多い衛星を選択し、選択した衛星から送信される信号を受信する構成とすることで、受信の成功率の向上が期待できる。なお、LS情報の更新タイミングはGPS衛星からの衛星信号が最も早いことより、複数の衛星に対応した構成とする場合においては、GPS衛星を優先的に選択することが好ましい。また、電波時計100が受信する信号は衛星信号に限られるものではなく、LS情報を含むものでればよく、例えば、電波送信所から送信される信号であってもよい。
【0078】
なお、本実施形態においては、RAM47aに保持される禁止フラグで閏秒更新の禁止を管理しているが、これに限られるものではない。例えば、閏秒の更新日自体を、暦上存在しない日付(例えば、2月30日など)に設定することにより、再度閏秒受信に成功するまで、閏秒更新を禁止するようにしてもよい。
【0079】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0080】
1 胴、2 文字板、3 時針、4 分針、5 秒針、8 バンド固定部、9 風防、10 裏蓋、11 太陽電池、12 ベース部材、14 パッチアンテナ、14a 受信面、14b 給電ピン、15 日窓、23 モータ、24 回路基板、25 歯車機構、26 電池、29 スイッチ、30 光検出部、31 受信回路、46 高周波回路、47 制御回路、47a RAM、47b ROM、47c 内部時刻修正部、47d 閏秒更新部、47e 禁止部、47f 解除部、53 デコーダ回路、56 スイッチ、60 操作部、61 竜頭、62 ボタン、100 電波時計。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7