(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】照明器具コントローラのための自律的復元ポイント作成及び復元のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/00 20200101AFI20220113BHJP
【FI】
H05B47/00
(21)【出願番号】P 2017516898
(86)(22)【出願日】2015-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2015072285
(87)【国際公開番号】W WO2016050707
(87)【国際公開日】2016-04-07
【審査請求日】2018-09-27
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】4854/CHE/2014
(32)【優先日】2014-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2014-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2015-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】バンゲール ユルゲン マリオ
(72)【発明者】
【氏名】リートマン ワイナンド ヨハネス
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】出口 昌哉
【審判官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-93249(JP,A)
【文献】特開2005-235110(JP,A)
【文献】特開2003-316595(JP,A)
【文献】特表2014-505896(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265919(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00 - 39/10
H05B 47/00
G06F 8/00 - 8/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具のための照明器具コントローラを、第1ソフトウェアイメージを有する第1オペレーティングソフトウェアを実行することにより動作させるステップと、
前記照明器具コントローラにおいて、該照明器具コントローラのための第2オペレーティングソフトウェアの第2ソフトウェアイメージを受信するステップと、
前記第1オペレーティングソフトウェアの第1ソフトウェアイメージを、前記照明器具コントローラに通信ネットワークを介して接続された第1装置に伝送するステップと、
前記照明器具コントローラにおいて前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールするステップと、
前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールした後、
前記照明器具コントローラは動作を開始し、前記照明器具コントローラにおいて
、前記照明器具コントローラが適切に又は期待されたように機能しているか否かを判定する自己テストを実行するステップと、
を有する方法であって、
前記照明器具コントローラは、前記自己テストの結果に基づいて、
前記第1装置が前記第1ソフトウェアイメージを当該照明器具コントローラに前記通信ネットワークを介して伝送することを要求し、
前記第1オペレーティングソフトウェアをインストールし、
前記第1オペレーティングソフトウェアによる動作に戻る、
方法。
【請求項2】
前記照明器具コントローラのための第1構成データセットを該照明器具コントローラから、前記通信ネットワークを介して該照明器具コントローラに接続された第2装置に伝送するステップと、
前記照明器具コントローラにおいて、該照明器具コントローラのための第2構成データセットを受信するステップと、
を更に有し、
前記自己テストが失敗したら、前記照明器具コントローラは、前記通信ネットワークを介して、前記第2装置が前記通信ネットワークを介して前記第1構成データセットを該照明器具コントローラに伝送することを要求する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2構成データセットが前記第1構成データセットとは異なるフォーマットを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記照明器具コントローラが、前記第1ソフトウェアイメージを前記第1装置に伝送する前に前記第2ソフトウェアイメージを受信する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記照明器具コントローラは、該照明器具コントローラが前記第1ソフトウェアイメージを前記第1装置に伝送する前に自己テストを実行して、正しい動作を検証する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記照明器具コントローラは、該照明器具コントローラのための前記第2オペレーティングソフトウェアの第2ソフトウェアイメージを受信する前に、前記第1オペレーティングソフトウェアの第1ソフトウェアイメージを前記第1装置に伝送する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1照明器具と、
前記第1照明器具の動作を制御する第1照明器具コントローラと、
前記第1照明器具コントローラにより以前使用されていた第1オペレーティングソフトウェアのための第1ソフトウェアイメージを少なくとも記憶すると共に前記第1照明器具コントローラが以前に構成されていた第1構成データセットを更に記憶する少なくとも1つのメモリを含む少なくとも1つの装置と、
前記第1照明器具コントローラ及び前記少なくとも1つの装置を通信的に接続する通信ネットワークと、
を有する照明システムであって、
前記第1照明器具コントローラが、前記第1オペレーティングソフトウェアとは異なると共に前記第1照明器具コントローラにより使用される第2オペレーティングソフトウェア、及び前記第1構成データセットとは異なると共に前記第1照明器具コントローラが構成される第2構成データセットを記憶する少なくとも1つのメモリを含む、
照明システムであり、
前記第1照明器具コントローラは、
前記第1オペレーティングソフトウェアの第1ソフトウェアイメージを、前記通信ネットワークを介して前記少なくとも1つの装置に伝送する、
前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールする、
前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールした後、
前記照明器具コントローラは動作を開始し、前記照明器具コントローラにおいて、前記照明器具コントローラが適切に又は期待されたように機能しているか否かを判定する自己テストを実行する、及び
前記自己テストの結果に基づいて、
前記少なくとも1つの装置が前記第1ソフトウェアイメージを当該照明器具コントローラに前記通信ネットワークを介して伝送することを要求し、
前記第1オペレーティングソフトウェアをインストールし、
前記第1オペレーティングソフトウェアによる動作に戻る、
照明システム。
【請求項8】
第2照明器具、及び前記通信ネットワークに接続されると共に前記第2照明器具の動作を制御する第2照明器具コントローラを更に有し、
前記第2照明器具コントローラは、前記第1オペレーティングソフトウェア、及び前記第2照明器具コントローラが構成される追加の構成データセットを記憶するメモリを含み、
前記少なくとも1つの装置のメモリは、前記第2照明器具コントローラが以前に構成されていた他の構成データセットを更に記憶し、該他の構成データセットが前記第1構成データセット、前記第2構成データセット及び前記追加の構成データセットとは異なる、
請求項7に記載の照明システム。
【請求項9】
第2照明器具、及び前記通信ネットワークに接続されると共に前記第2照明器具の動作を制御する第2照明器具コントローラを更に有し、
前記第2照明器具コントローラは、前記第2オペレーティングソフトウェア、及び前記第2照明器具コントローラが構成される追加の構成データセットを記憶するメモリを含み、
前記少なくとも1つの装置のメモリは、前記第2照明器具コントローラが以前に構成されていた他の構成データセットを更に記憶し、該他の構成データセットが前記第1構成データセット、前記第2構成データセット及び前記追加の構成データセットとは異なる、
請求項7に記載の照明システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの装置の前記少なくとも1つのメモリが、前記第2オペレーティングソフトウェアのための第2ソフトウェアイメージを更に記憶する、請求項9に記載の照明システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの装置の前記少なくとも1つのメモリが、前記記憶された構成データセットのうちの何れが前記第1照明器具コントローラに当てはまるか、及び前記記憶された構成データセットのうちの何れが前記第2照明器具コントローラに当てはまるかを示すインデックスを更に記憶する、請求項9に記載の照明システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのメモリを含む前記少なくとも1つの装置が、前記第1照明器具により以前使用されていた第1オペレーティングソフトウェアのための第1ソフトウェアイメージを少なくとも記憶する第1メモリを有する第1装置、及び前記第1照明器具コントローラが以前に構成されていた第1構成データセットを記憶する第2メモリを有する第2装置を含む、請求項7に記載の照明システム。
【請求項13】
照明器具コントローラを含む照明器具であって、前記照明器具コントローラが、
第1ソフトウェアイメージを有する第1オペレーティングソフトウェアを実行することにより当該照明器具の動作を制御する、
前記照明器具コントローラのための第2オペレーティングソフトウェアの第2ソフトウェアイメージを受信する、
前記第1オペレーティングソフトウェアの第1ソフトウェアイメージを、前記照明器具コントローラに通信ネットワークを介して接続された第1装置に伝送する、
前記照明器具コントローラにおいて前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールする、
前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールした後、
前記照明器具コントローラは動作を開始し、前記照明器具コントローラにおいて
、前記照明器具コントローラが適切に又は期待されたように機能しているか否かを判定する自己テストを実行する、及び
前記自己テストの結果に基づいて、
前記第1装置が前記第1ソフトウェアイメージを当該照明器具コントローラに前記通信ネットワークを介して伝送することを要求し、
前記第1オペレーティングソフトウェアをインストールし、
前記第1オペレーティングソフトウェアによる動作に戻る、
照明器具。
【請求項14】
照明器具のための照明器具コントローラであって、
第1ソフトウェアイメージを有する第1オペレーティングソフトウェアを実行することにより当該照明器具の動作を制御する、
前記照明器具コントローラのための第2オペレーティングソフトウェアの第2ソフトウェアイメージを受信する、
前記第1オペレーティングソフトウェアの第1ソフトウェアイメージを、前記照明器具コントローラに通信ネットワークを介して接続された第1装置に伝送する、
前記照明器具コントローラにおいて前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールする、
前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールした後、
前記照明器具コントローラは動作を開始し、前記照明器具コントローラにおいて
、前記照明器具コントローラが適切に又は期待されたように機能しているか否かを判定する自己テストを実行する、及び
前記自己テストの結果に基づいて、
前記第1装置が前記第1ソフトウェアイメージを当該照明器具コントローラに前記通信ネットワークを介して伝送することを要求し、
前記第1オペレーティングソフトウェアをインストールし、
前記第1オペレーティングソフトウェアによる動作に戻る、
照明器具コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001] 本出願は、2014年9月29日に出願されたインド国特許出願第4854/CHE/2014号及び2014年11月28日に出願されたヨーロッパ特許出願第14195337.2号の優先権を主張するもので、これにより、これら出願の全体は、参照により、ここに完全に記載されたかのように組み込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
[0002] 本発明は、広くは物理的構造内の環境条件の管理に関する。更に詳細には、ここに開示される本発明の種々のシステム及び方法は、照明条件、温度及び湿度等の環境条件を自動的及び手動的に発生されるリクエストに基づいて調整することに関する。ここに開示される本発明の幾つかのシステム及び方法は、物理的構造内のエネルギ消費及び資源の利用を監視すると共に、それに応じてシステムの挙動を調整することにも関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] デジタル照明技術、即ち発光ダイオード(LED)等の半導体光源に基づく照明は、伝統的な蛍光灯、HID及び白熱電球に対する発展性のある代替品を提供している。LEDは、可制御性、高いエネルギ変換及び光学効率、耐久性及び低運転コストを含む多くの利点を提供する。可制御LED技術における近年の進歩は、多くの用途において種々の照明効果を可能にするような効率的且つ丈夫な全スペクトル光源を提供している。
【0004】
[0004] 可制御LEDの発展と同時に、センサ技術の分野でも急速な発展がなされている。センサは、今日、自然照明及び占有(在室)を有効に測定することができるのみならず、著しく小型になっており、従って可制御LED及びカメラを収容する装置を含む小さな装置内に容易に収まることができる。例えば、既存の自然照明に基づく照明制御システムは、調光バラスト及び自然に照明された空間内の平均作業平面照明を測定するための1以上の自然照明フォトセンサを備えた個別に制御可能な照明器具を採用することができる。このようなシステムにおいて、1以上のコントローラは、日光の出入に応答して最小限の作業平面照明を維持するために、上記1以上のフォトセンサの出力を監視すると共に当該照明器具により供給される照明を制御することができる。
【0005】
[0005] もっと最近では、無線通信及び知的モバイル装置の分野における技術革新が、並ぶもののない移動性及び計算能力を備えたスマートフォン及びタブレットコンピュータの世代を出現させている。例えば、クラウドサーバ上のアプリケーションにアクセスするモバイルスマートフォンは、その場の環境からデータをリアルタイムに収集及び処理することができる。加えて、位置に基づくサービスは、モバイル装置に供給される情報のカスタマイズを可能にする。従って、可制御LED及び適切なセンサと一緒に使用される知的モバイル装置は、物理的空間における照明をリアルタイムにカスタマイズするために用いることができる。
【0006】
[0006] 今日では、他の2つの著しい技術的発展が、環境管理及び制御の分野における技術革新のための更に一層大きな機会を提供している。即ち、パワー・オーバー・イーサネット(登録商標)(PoE)及び符号化光(CL)である。PoEは、照明装置、IPカメラ又は無線アクセスポイント等の装置に対し単一のケーブルを介して電力及びデータの供給を可能にする。PoE技術の出現は、電気技師が導管、電気配線及びコンセントを設置する必要性を大幅に減らすことにより、建物構造内の遠隔位置における装置に給電することを可能にさせる。他の装置とは異なり、PoE装置の可能性のある位置は、構造内のACコンセントの配置に基づいて制限されることがない。例えば、PoEは無線LANアクセスポイントが一層適したRF受信のために天井に配置されることを可能にする。
【0007】
[0007] CL技術は、異なる光源からの光出力に固有の識別子又はコードを埋め込むために使用することができる。これらの識別子を用いて、特定の光源から発する光は、複数の他の光源からの照明寄与分が存在しても、区別することができる。従って、CLは個々の光源及び装置を他の斯様な光源及び装置に対して識別及び位置特定するために使用することができる。装置識別、位置特定及び通信のための手段としての光の使用は、個別に制御可能なLED、センサ及びスマートフォンのような制御装置等の装置間の、以前には可能でなかった、きめの細かい相互作用を可能にすることにより環境条件を管理する革新的システム及び方法への扉を開くものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008] 物理的構造内の環境条件を管理する既存のシステム及び方法は、上述した技術の利点を同時に活用するものではない。幾つかの既存のシステムは、可制御LED及びセンサを、オフィス及び居間等の領域の照明を該領域における例えば占有(使用)及び自然照明の変化に応答して自動的に制御するためにのみ使用している。他の既存のシステムは、ユーザが斯様な空間内の照明装置の動作を遠隔的に制御することを可能にするようなモバイル的応用を提供する。しかしながら、何れの既存のシステムも、オフィスビル等の大きな施設における多数のPoE及びCL対応装置(例えば、照明装置及びHVAC機器等)、知的モバイルコントローラ、壁掛けコントローラ、並びに活動及び環境条件を監視するセンサの複雑な相互作用(対話)を効果的に制御するために要するハードウェア及びソフトウェアのインフラ設備を提供していない。このような空間内の環境条件の効果的管理は、以下に説明する幾つかの固有の技術的難題を課すものである。ここに開示される実施態様は、これらの及び他の難題に対する解決策を提供する。
【0009】
[0009] 大型オフィスビル又は他の大型商業ビルは、通常、種々の目的のために使用される領域を有している。オフィスビルは、会議又は打ち合わせ室、多数の個室オフィスを備える大型の自由間取り空間、廊下、食堂及び講堂を有し得る。これら領域の幾つかは一般的にグループ会議又は大きな発表に使用され得る(例えば、会議室及び講堂)一方、他のものは個々の作業のために使用され得る(例えば、個室オフィス)。従って、それらの異なる目的が付与された場合、環境条件を制御する幾つかのモード(例えば、個別化された制御)は、他の領域(講堂及び食堂)よりも幾つかの領域(例えば、個室オフィス)に一層良く適したものになり得る。単一家族の家庭又はアパートとは異なり、大型オフィスビルは相当の数の個人を、時には狭い場所に、収容することもある。これらの個人は、居る空間において形成したい環境条件に関して、異なり、且つ、時には対立する関心を有し得る。従って、同一の空間が異なる個人により使用されている場合、環境条件を任意のやり方というよりは有意義なやり方で調整するために対立するリクエストを解決することが重要である。更に、任意の空間においてユーザが行使することを許され得る制御の量は、組織内のユーザの役割に依存し得る。例えば、大きな講堂における発表に出席している従業員が、該講堂全体の照明条件を如何なる時点でも変更するよう自身のスマートフォン上のアプリケーションを使用することができると、問題であり得る。
【0010】
[0010] 従って、大型構造内の環境条件を管理することは、種々のユーザの代わりとなる多数の静止及び移動コントローラから生じる潜在的な多数の同時的制御リクエストを効果的に優先付けし及び協調させることを必要とするものである。これらのリクエストは、リクエストされた変更をユーザの期待を妥当に満たす時間枠内に生じさせるために成功裏に適切な照明装置及びHVAC機器に伝送される必要があるであろう。
【0011】
[0011] 典型的に大型ビルで動作する上記種々の照明及びHVAC装置/機器は、環境条件を制御するための如何なるシステムに対しても他の根本的な難題をもたらす。即ち、これらの装置は、全てがデータを同一のフォーマットで生成するというものではなく、全てが同一のプロトコルで通信をサポートするものでもない。それにも拘わらず、多くの状況下では、これらの装置が互いに直接的に又は中間モジュールを介して通信することが必要であり得る。装置が必要に応じて互いに、直接的に又は間接的に、通信することができることを保証するために、環境条件を管理するシステムは斯様な通信を行うために要する手段を提供する必要がある。
【0012】
[0012] 環境条件を管理するシステムが直面する更に他の難題は、多数のセンサ、制御及び他の装置並びにシステム部品が、大型構造物内に設置され、稼働状態になった場合、該システムによりサポートされないフォーマットでデータを生成又は受信するように設計された新たな装置が利用可能になってしまうことである。大型構造物内の環境条件を管理するシステムの場合、この問題は更に一層深刻である。何故なら、これらのシステムは、家庭用住居等の一層小さな空間における環境条件を管理するための一層簡単なシステムと比較して、更に一層多くの装置を利用しそうであるからである。このような大規模システムは、技術の改善を利用することができるように、斯様な新たな装置の使用を許容するほど十分に適応的であることを要する。結果として、これらのシステムは新たな装置及び技術を許容するために容易に拡張可能であるように設計され、かくして、これら新たな装置及び技術を当該システムに最小限の努力で、且つ、当該システムの動作に対する過度の混乱無しで統合することができるようにすることが非常に重要である。
【0013】
[0013] アパート又は家庭等の相対的に小さな空間内の環境条件を管理するための既存のシステムは、種々の理由により装置の利用を監視することができるが、このようなシステムにより発生される斯かる利用データの量は相対的に小さい。対照的に、大型のビル又は構造物は、これらの構造物における多数の装置(照明及びHVAC装置並びにセンサ)により大量の利用データを発生しそうである。このようなデータは、当該システムが例えば既存のエネルギ節約戦略を微調整するために使用するための何らかの有用な洞察を得るために、収集され、分類され且つ分析されることを要する。当該システムの全体としての性能を駄目に又は低下させることなしに上記データをうまく利用するために、大型構造物内の環境条件を管理するシステムは、潜在的に大きな利用データの流入を許容するように設計されることを必要とする。幾つかの斯様なシステムは、利用データの管理が大幅に分散されるように設計することができる。例えば、建物の異なるフロアから収集された装置利用データは、別個のモジュールにより別個のデータ記憶設備を用いて管理することができる。
【0014】
[0014] 最後に、より小さな周囲環境における利用データの管理を取り巻くプライバシ問題は存在するが、斯かる問題は一層大きな周囲環境において扱わなければならないプライバシとは規模的に同等のものではない。例えば、アパート等の住居環境のために設計された環境管理システムは、個人情報が意図せぬ相手に開示される危険性を生じないような態様で扱われなければならない僅かな数の個人ユーザしか有さない。対照的に、大きなオフィス空間を占有する大きな団体は、該空間に頻繁に到来し、パーソナルモバイル装置を含む種々の装置上の多数のユーザインターフェースを介して種々のシステム要素にアクセスする数百ものユーザを有し得る。例えば、CL対応照明及び他の装置ためのコントローラとしてのパーソナルモバイル計算装置の使用の結果、ユーザの素生と特に頻繁に到来する空間との間の有用ではあるが敏感な関連性が生じ得る。従って、大型構造物内に配備するための環境管理システムの設計は、当該システム自体内からの(例えば、或るシステムユーザが他のユーザの居場所についての情報にアクセスする)及び該システムの外部からの(例えば、サイバー・セキュリティ侵害が斯様な敏感な情報を外部に暴露する)両方からの斯様な敏感な情報への無許可のアクセスを防止するための戦略を実施化する必要がある。
【0015】
[0015] 更に、大規模で複雑な照明及び環境管理システムにおいては、多数の照明器具及び他の装置が配備され得る。時間にわたり、当該システムには新たな照明器具及び他の装置が追加され得、既存の照明器具又は他の装置は、交換され又は新たな能力、機能若しくは構成によりアップグレードされ得る。その場合、システムには、新たな能力、機能若しくは構成をサポートするためにアップグレードしようと試みる場合に適切に動作することができないか、又は完全に動作を停止し得る幾つかの“古い(レガシな)”装置が存在し得ることがあり得る。特に、システムが大規模で複雑な場合、当該システムの所有者又は操作者にとり、このようなことが起きており、不良な又は動作していない照明器具及び他の装置に対して補修対策がとられねばならないことが即座に明らかにならないかも知れない。更に、このような場合における人の介入は、大幅な費用及び/又は不便さを招き得、従って、これは常に最適な解決策とは限らない。
【0016】
[0016] 環境条件を管理する既存のシステムは、少なくとも上述した難問に対する解決策を提供していない。以下に提示されるシステム及び方法は、上記及び他の難問に対処するように設計された解決策を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[0017] 前項目において述べた課題に対処するため、種々の実施態様は、ここでは、物理的構造内の環境条件を管理するシステム及び方法に向けられたものである。本項目は、これら方法及びシステムの幾つかの概要を提示して、種々のシステム構成要素、斯様な構成要素間の相互作用及び種々の実施態様に含まれるステップの基本的理解を提供するものである。この概要は、本発明の全ての実施態様の網羅的な概要を意図するものではない。この項目に記載されるシステム構成要素及び方法のステップは、必ずしも重要な構成要素又はステップであるとは限らない。この概要の項目の目的は、種々の概念の概要を一層簡略化された形で、後述する詳細な説明の序論として提示することである。
【0018】
[0018] 種々の実施態様は、物理的構造内の環境条件を管理するシステムを開示する。該システムは、1以上の識別コードを含む符号化光信号を送信するように構成された少なくとも1つのコミッション済(コミッショニングされた)ユニットと、少なくとも1つのIP照明器具から前記符号化光信号を受信し、1以上の好ましい環境条件を示すユーザ入力を検出し、且つ、該1以上の好ましい環境条件を含む環境制御リクエストを送信するように構成された環境制御装置とを有する。種々の実施態様において、上記システムは、環境制御リクエストを受信し、該制御リクエストを用いて環境制御コマンドを発生し、且つ、該環境制御コマンドをコミッション済ユニットに送信するように構成された環境マネージャモジュールを実行する1以上のプロセッサも有する。
【0019】
[0019] 種々の態様において、上記環境マネージャモジュールは、少なくとも1つのコミッション済ユニットの使用を監視し、該コミッション済ユニットに関連する使用データを視覚化するための1以上のユーザインターフェースを提供するように構成される。幾つかの態様において、上記少なくも1つのコミッション済ユニットは、PoEスイッチから電力を受けるように構成される一方、各IP照明器具が1以上のセンサ、1以上の制御可能な光源及び照明器具制御モジュールに通信的に接続された複数のIP照明器具を有する。上記1以上のセンサは、動き、占有、音及び1以上のガスの存在のうちの少なくとも1つを検出するように構成されるか、又は照明、湿度及び温度のうちの少なくとも1つを測定するように構成される。
【0020】
[0020] 幾つかの他の態様において、前記環境マネージャモジュールは、受信された環境制御リクエストに関連するタイプの制御(該タイプの制御はパーソナル制御を含む)が可能化されているか;及び受信された環境制御リクエストが当該コミッション済ユニットに関連する他の高い優先度の制御リクエストと競合するか、のうちの少なくとも一方を判定するように構成される。
【0021】
[0021] 多くの実施態様において、上記システムは、1以上の装置を、当該環境条件を管理するシステムに関連付けるためのコミッショニングモジュールを実行する1以上のプロセッサを更に有する。該関連付けは、1以上の装置の位置特定を含む。該位置特定は、各装置を当該物理的構造内の少なくとも1つの物理的位置にマッピングすることを含む。該関連付けは、メモリにおいて上記1以上の装置のうちの少なくとも1つを第1のコミッション済ユニットに関連付けると共に該第1のコミッション済ユニットを第2のコミッション済ユニットにリンクすることを含み、該リンクはメモリにおいて第1及び第2のコミッション済ユニットを関連付けることを含む。上記システムの幾つかの態様において、第1のメモリは第1のコミッション済ユニットに関連する上記少なくとも1以上の装置によりアクセス可能であり、第2のメモリは第1及び第2のコミッション済ユニットに関連する少なくとも1以上の装置によりアクセス可能である。
【0022】
[0022] 幾つかの態様において、前記コミッショニングモジュールは、環境マネージャモジュールによりアクセス可能な少なくとも1つのメモリを、前記1以上の装置、第1のコミッション済ユニット又は第2のコミッション済ユニットのうちの少なくとも1つに関連するパラメータを表す少なくとも1つの値を用いて更新するよう構成される。幾つかの他の態様において、上記システムにおける環境制御コマンドを受信するように構成されたコミッション済ユニットは、更に、該ユニットにリンクされた如何なるコミッション済ユニットにも、自身の動作状態の変化及び該ユニットに関連する区域の状態の変化について警告するように構成される。該警報は、当該コミッション済ユニットが当該変化を示す信号をリンクされたコミッション済ユニットの各々に送信する場合に、直接又は同期モードの通信を伴うことができる。該警報は、もっと間接的な又は非同期の通信モードを伴うこともできる。例えば、当該コミッション済ユニットは実行モジュールに自身の動作状態の変化を通知することができ、該実行モジュールは当該コミッション済ユニットに何の他のコミッション済ユニットがリンクされているかを判断するためにメモリにアクセスすることができ、該実行モジュールは、その後、該リンクされたコミッション済ユニットの各々に当該状態変化を通知することができる。
【0023】
[0023] 種々の態様において、上記システムは、コミッショニングモジュール及び環境マネージャモジュールに通信的に接続されたゲートウェイモジュールを実行する1以上のプロセッサも有することができる。該ゲートウェイモジュールは、環境マネージャモジュール、コミッショニングモジュール、装置及びコミッション済ユニットのうちの1つから環境制御コマンドを受信するように構成される。そして、該ゲートウェイモジュールは、上記環境制御コマンドを、宛先の装置及び宛先のコミッション済ユニットのうちの少なくとも1つに適したフォーマットに変換するようにも構成される。
【0024】
[0024] 幾つかの態様において、上記ゲートウェイモジュールは、更に、1以上のコミッション済ユニット又は装置から動作状態及びエネルギ消費データを含む監視データを受信すると共に、該受信された監視データを環境マネージャモジュールに適したフォーマットに変換するように構成される。
【0025】
[0025] 種々の実施態様は、物理的構造内の環境条件を管理する他のシステムも開示する。該システムは、動き、占有状態、音、1以上のガスの存在、照明、湿度及び温度のうちの少なくとも1つを示すデータを生成するように構成された、当該物理的構造内の指定された区域におけるセンサを有する。該システムは、少なくとも上記センサ及び環境マネージャモジュールに通信的に接続されたゲートウェイモジュールを備えたコミッション済ユニットも有する。該コミッション済ユニットは、前記センサにより生成されるデータを受信し、該センサデータが前記指定された区域に関連する状態変化を表すことを判定し、環境マネージャモジュールによりアクセス可能な1以上のメモリを、上記状態変化を表すデータに従って更新するように構成される。
【0026】
[0026] 幾つかの実施態様は、物理的構造内の環境条件を管理するシステムを開示する。該システムは、1以上の識別コードを含む第1信号を送信するように構成された少なくとも1つのコミッション済ユニットを有する。該システムは、上記少なくとも1つのコミッション済ユニットから第1信号を受信し、1以上の好ましい環境条件を示すユーザ入力を検出し、該1以上の好ましい環境条件を含む環境制御リクエストを送信するように構成された環境制御装置も有する。更に、該システムは、上記環境制御リクエストを受信し、該制御リクエストを用いて環境制御コマンドを発生し、該環境制御コマンドを前記コミッション済ユニットに送信するように構成された環境マネージャモジュールを実行する1以上のプロセッサを有する。
【0027】
[0027] 幾つかの実施態様は、環境条件を管理するシステム内で単一のコミッション済ユニットとして関連付けるための装置を識別するための方法を開示する。該方法は、第1の複数の装置が、各々、固有の識別コードを含む符号化光信号を送信する第1ステップを有する。第2ステップにおいて、モバイル装置は第1の複数の装置から前記符号化光信号を受信すると共に、当該モバイル装置の近傍の領域に位置する第2の複数の装置の固有の識別コードを含むコミッショニングリクエストを送信し、該第2の複数の装置は前記第1の複数の装置からの1以上の装置を含む。第3ステップにおいて、コミッショニングモジュールは、上記コミッショニングリクエストを受信すると共に、メモリ内で上記第2の複数の装置を第1のコミッション済ユニットに関連付ける。
【0028】
[0028] 種々の実施態様は、複数のリンクされたコミッション済ユニットを有する物理的構造内の環境条件を管理する方法を開示する。該方法は、1以上の占有センサが、指定された区域が非占有状態から占有状態に移行したことを示すセデータを生成する第1ステップ(910B)を有する。該方法は、前記複数のリンクされたコミッション済ユニットのうちの第1のユニットに関連する第1の1以上の照明器具が、前記センサデータの生成に続く所定の反応期間内に背景レベルの照明を生成する第2ステップも有する。第3ステップは、前記複数のリンクされたコミッション済ユニットのうちの前記第1のユニットが、前記指定された区域の状態変化を示すデータを送信するステップ(930B)を含む。そして、第4ステップは、前記複数のリンクされたコミッション済ユニットのうちの少なくとも第2のユニットが、前記状態変化を示すデータを受信すると共に、少なくとも第2の1以上の照明器具に照明を変化させるステップを含む。幾つかの態様において、前記複数のリンクされたコミッション済ユニットのうちの前記第2のユニット又は前記少なくとも第2の1以上の照明器具は、前記少なくとも第2の1以上の照明器具が照明を変化させる前に、照明シーン情報を記憶したメモリにアクセスする。
【0029】
[0029] 多くの実施態様は、複数のリンクされたコミッション済ユニット及び1以上の占有センサを有する物理的構造内の環境条件を管理する更に他の方法を開示する。該方法は、前記1以上の占有センサにより生成される占有データに基づいて、指定された区域が占有状態から非占有状態に移行したとの第1判定を行う第1ステップを有する。該方法は、保持期間の少なくとも一部にわたり前記占有センサにより生成される更なる占有データを監視すると共に、前記指定された区域が前記保持期間の全体にわたり非占有状態に留まったか否かについての第2判定を行う第2ステップも有する。該方法は、前記複数のリンクされたコミッション済ユニットのうちの前記指定された区域に関連する少なくとも1つのユニットを識別するためにメモリにアクセスする第3ステップ、及び前記第2判定の結果に基づいて、前記複数のリンクされたコミッション済ユニットのうちの前記少なくとも1つのユニットの1以上の照明器具が、前記保持期間の経過に続いて開始する第1猶予期間にわたり第1の一層低いレベルの照明にフェードする第4ステップを含む。
【0030】
[0030] 幾つかの態様において、上記方法は以下のステップを更に有する。即ち、前記第1猶予期間の少なくとも一部にわたり前記占有センサにより生成される更なる占有データを監視すると共に、前記指定された区域が前記第1猶予期間の全体にわたり非占有状態に留まったか否かについての第3判定を行うステップ。そして、前記第3判定の結果に基づいて、前記1以上の照明器具が、(a)前記第1猶予期間の開始前に生成された以前の一層高いレベルの照明に戻るようにフェードするか、又は(b)前記一層低いレベルの照明への移行を完了するステップ。種々の他の態様において、上記方法は以下のステップを更に有する。即ち、延長期間の少なくとも一部にわたり前記占有センサにより生成される更なる占有データを監視すると共に、前記指定された区域が前記延長期間の全体にわたり非占有状態に留まったか否かについての第4判定を行うステップ。そして、前記第4判定の結果に基づいて、前記1以上の照明器具が、(a)前記延長期間の開始前に生成された以前の一層高いレベルの照明に戻るようにフェードするか、又は(b)前記延長期間に続いて開始する第2猶予期間にわたりオフ状態に関連するレベルの照明にフェードするステップ。
【0031】
[0031] 幾つかの実施態様は、複数のリンクされたコミッション済ユニット及び1以上の照明センサを有する物理的構造内の環境条件を管理する方法を開示する。該方法は、前記1以上の照明センサが作業区域における照明の変化を示す第1ステップを有する。第2のステップは、前記作業区域に関連されると共に前記1以上の照明センサに通信的に接続された前記複数のコミッション済ユニットのうちの少なくとも1つのユニットが、前記照明の変化の指示情報を受信すると共に、該照明の変化の指示情報に関連する変化の量が事前設定(プリセット)量より多いか否かについての第1判定を行うステップを含む。更なる第3ステップにおいては、前記第1判定に基づいて、前記複数のコミッション済ユニットのうちの前記少なくとも1つのユニットが、前記1以上の照明センサの出力にアクセスすると共に、前記作業区域における照明のレベルが事前設定された(プリセット)照明レベル以上であるか否かについての第2判定を行う。第4ステップにおいて、前記作業区域内の少なくとも1つの照明器具は、(a)前記第2判定が前記作業区域における照明レベルが前記事前設定された照明レベル以上であることを示す場合は第1フェード期間にわたり所定の最小レベルの照明を供給する状態に移行する一方、(b)前記第2判定が前記作業区域における照明レベルが前記事前設定された照明レベルより低いことを示す場合は第2フェード期間にわたり所定の最大レベルの照明を供給する状態に移行する。
【0032】
[0032] 他の実施態様は、ここに記載した方法の1以上等の方法を実行するためにプロセッサにより実行可能な命令を記憶した非一時的コンピュータ読取可能な記憶媒体を含む。更に他の実施態様は、メモリ及び本明細書に記載される方法の1以上等の方法を実行するために前記メモリに記憶された命令を実行するように動作する1以上のプロセッサを含むシステムを含むことができる。
【0033】
[0033] 一態様において、方法は、照明器具のための照明器具コントローラを、第1ソフトウェアイメージを有する第1オペレーティングソフトウェアを実行することにより動作させるステップと;前記照明器具コントローラにおいて、該照明器具コントローラのための第2オペレーティングソフトウェアの第2ソフトウェアイメージを受信するステップと;前記照明器具コントローラが前記第1オペレーティングソフトウェアの第1ソフトウェアイメージを、該照明器具コントローラに通信ネットワークを介して接続された第1装置に伝送するステップと;前記照明器具コントローラにおいて前記第2オペレーティングソフトウェアをインストールするステップと;前記照明器具コントローラの自己テストを実行するステップと;を有する。前記照明器具コントローラが前記自己テストを失敗すると、該照明器具コントローラは前記ネットワークを介して、前記第1装置が前記第1ソフトウェアイメージを当該照明器具コントローラに伝送することを要求し、該照明器具コントローラは該第1ソフトウェアイメージを受信し、該照明器具コントローラは前記第1オペレーティングソフトウェアをインストールして、該第1オペレーティングソフトウェアによる動作に戻る。
【0034】
[0034] 他の態様において、照明システムは、第1照明器具と;前記第1照明器具の動作を制御するように構成された第1照明器具コントローラと;前記第1照明器具コントローラにより以前に使用されていた第1オペレーティングソフトウェアのための第1ソフトウェアイメージを少なくとも記憶すると共に前記第1照明器具コントローラが以前に構成されていた第1構成データセットを更に記憶する少なくとも1つのメモリを含む少なくとも1つの装置と;前記第1照明器具コントローラ及び前記少なくとも1つの装置を互いに通信するように接続する通信ネットワークと;を有し、前記第1照明器具コントローラは、前記第1オペレーティングソフトウェアとは異なると共に前記第1照明器具コントローラにより使用される第2オペレーティングソフトウェア、及び前記第1構成データセットとは異なると共に前記第1照明器具コントローラが構成される第2構成データセットを記憶する少なくとも1つのメモリを含む。
【0035】
[0035] 更に他の態様において、装置は、プロセッサと;照明ネットワークにつながるように構成されると共に、該照明ネットワークを介して複数の照明器具コントローラと通信するように構成され、これら照明器具コントローラが複数の照明器具の動作を制御するように構成された通信インターフェースと;メモリと;を有し、前記メモリは、前記複数の照明器具コントローラのうちの種々のものが以前に構成されていた複数組の構成データセット、及び前記複数の照明器具コントローラのうちの種々のものが以前に動作されていたオペレーティングソフトウェアのための複数のソフトウェアイメージのうちの少なくとも1つを記憶するように構成される。
【0036】
[0036] 本開示の目的のために本明細書で使用される場合、“LED”なる用語は、如何なる発光(エレクトロルミネッセント)ダイオード、又は電気信号に応答して放射を発生する及び/又は光ダイオードとして動作することが可能な他のタイプの電荷注入/接合型システムをも含むものと理解されるべきである。従って、LEDなる用語は、これらに限定されるものではないが、電流に応答して光を放出する種々の半導体型構造体、発光ポリマ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセント・ストリップ等を含む。特に、LEDなる用語は、赤外スペクトル、紫外スペクトル及び可視スペクトルの種々の部分(通常、約400ナノメートルから約700ナノメートルまでの放射波長を含む)の1以上において放射を発生するように構成することができる全てのタイプの発光ダイオード(半導体及び有機発光ダイオードを含む)を指す。LEDの幾つかの例は、これらに限定されるものではないが、種々のタイプの赤外LED、紫外LED、赤色LED、青色LED、緑色LED、黄色LED、琥珀色LED、橙色LED及び白色LEDを含む(後に更に説明する)。また、LEDは所与のスペクトルに対して種々の(例えば、狭い帯域幅、広い帯域幅)帯域幅(例えば、半値全幅又はFWHM)及び所与の一般色分類内で種々の優勢波長を持つ放射を発生するよう構成及び/又は制御することができると理解されるべきである。
【0037】
[0037] 例えば、実質的に白色光を発生するように構成されたLEDの一構成例(例えば、白色LED)は、組み合わせで実質的に白色光を形成するように混ざり合うような、異なるスペクトルのエレクトロルミネッセンスを各々放出する複数のダイを含むことができる。他の構成例では、白色LEDは、第1スペクトルを持つエレクトロルミネッセンスを別の第2のスペクトルに変換する蛍光体材料に関連され得る。この構成の一例において、相対的に短い波長及び狭い帯域幅のスペクトルを持つエレクトロルミネッセンスは上記蛍光体材料を“ポンピング”し、該蛍光体材料は幾らか広いスペクトルを持つ一層長い波長の放射を放出する。
【0038】
[0038] また、LEDなる用語はLEDの物理的及び/又は電気的パッケージのタイプを限定するものではないと理解されるべきである。例えば、LEDは、前述したように異なるスペクトルの放射を各々放出するように構成された複数のダイ(例えば、個別に制御することが可能であるか又は可能でない)を有する単一の発光デバイスを指し得る。また、LEDは、当該LEDの一体部分と見なされる蛍光体と関連され得る(例えば、幾つかのタイプの白色LED)。一般的に、LEDなる用語は、パッケージ化LED、非パッケージ化LED、表面実装LED、チップオンボードLED、Tパッケージ実装LED、ラジアルパッケージLED、電力パッケージLED、何らかのタイプのケース及び/又は光学素子(例えば、拡散レンズ)を含むLED等を指すことができる。
【0039】
[0039] “光源”なる用語は、これらに限定されるものではないが、LED型光源(先に定義したような1以上のLEDを含む)を含む種々の放射光源の何れか1以上を指すと理解されたい。所与の光源は、可視スペクトル内、可視スペクトル外、又はこれら両方の組み合わせで電磁放射を発生するように構成することができる。従って、“光”及び“放射”なる用語は、ここでは入れ替え可能に使用される。更に、光源は、一体部品として、1以上のフィルタ(例えば、カラーフィルタ)、レンズ又は他の光学部品を含むことができる。また、光源は、これらに限定されるものではないが、指示、表示及び/又は照明を含む種々の用途(アプリケーション)のために構成することができると理解されるべきである。“照明光源”は、内部又は外部空間を効果的に照明するために十分な輝度を持つ放射を発生するように特別に構成された光源である。この点において、“十分な輝度”とは、周囲照明(即ち、間接的に知覚され得ると共に、例えば全体的に又は部分的に知覚される前に1以上の種々の介在表面から反射され得る光)を供給するために当該空間又は環境において発生される可視スペクトルにおける十分な放射パワーを指す(放射パワー又は“光束”に関しては、しばしば、“ルーメン”なる単位が光源から全方向への全光出力を表すために使用される)。
【0040】
[0040] “スペクトル”なる用語は、1以上の光源により生成された放射の何れか1以上の周波数(又は波長)を指すものと理解されたい。従って、“スペクトル”なる用語は、可視範囲における周波数(又は波長)のみならず、赤外、紫外及び全体の電磁スペクトルの他の領域における周波数(又は波長)をも指す。また、或るスペクトルは、相対的に狭い帯域幅(例えば、実質的に僅かな周波数又は波長成分しか有さないFWHM)又は相対的に広い帯域幅(種々の相対強度を持つ幾つかの周波数又は波長成分)を有することができる。また、或るスペクトルは2以上の他のスペクトルの混合(例えば、複数の光源から各々放出された放射の混合)の結果であり得ると理解されたい。
【0041】
[0041] 本開示の目的のため、“カラー(色)”なる用語は、“スペクトル”なる用語と互換可能に使用されている。しかしながら、“カラー(色)”なる用語は、一般的に、観察者により知覚可能である放射の特性を主に指すように使用される(もっとも、この用い方は、この用語の範囲を限定する意図でない)。従って、“異なるカラー”なる用語は、異なる波長成分及び/又は帯域幅を持つ複数のスペクトルを黙示的に示す。また、“カラー(色)”なる用語は、白色及び非白色光の両方との関連で使用することもできると理解されたい。
【0042】
[0042] “照明固定具(lighting fixture)”及び“照明器具(luminaire)”なる用語は、ここでは、特定のフォームファクタ、アセンブリ若しくはパッケージでの1以上の照明ユニットの構成又は配置を指すために入れ替え可能に使用されている。“照明ユニット”なる用語は、ここでは、同一又は異なるタイプの1以上の光源を含む装置を指すために使用されている。所与の照明ユニットは、光源(又は複数の光源)のための種々の取付配置、エンクロージャ/ハウジング配置及び形状、並びに/又は電気的及び機械的接続構造の何れかを有することができる。更に、所与の照明ユニットは、オプションとして、当該光源(又は複数の光源)の動作に関係する種々の他の部品(例えば、制御回路)に関連され得る(例えば、含む、結合される及び/又は一緒にパッケージ化される)。“LED照明ユニット”とは、前述したような1以上のLED型光源を単独で又は他の非LED型光源との組み合わせで含む照明ユニットを指す。“多チャンネル”照明ユニットとは、異なるスペクトルの放射を各々発生するように構成された少なくとも2つの光源を含むLEDの又は非LEDの照明ユニットを指し、上記異なる光源スペクトルの各々を当該多チャンネル照明ユニットの“チャンネル”と称することができる。
【0043】
[0043] “コントローラ”なる用語は、ここでは、1以上の光源の動作に関係する種々の装置を広く記述するために使用されている。コントローラは、ここで述べる種々の機能を果たすために、多数の形態で(例えば、専用のハードウェアによる等)実施化することができる。“プロセッサ”は、ここで述べる種々の機能を実行するために、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を用いてプログラムすることができる1以上のマイクロプロセッサを使用するコントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを使用するか又は使用しないで実施化することができ、幾つかの機能を実行するための専用のハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組み合わせとして実施化することもできる。本開示の種々の実施態様で使用することが可能なコントローラ部品の例は、これらに限定されるものではないが、通常のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を含む。
【0044】
[0044] 種々の構成において、プロセッサ又はコントローラは1以上の記憶媒体(例えばRAM、PROM、EPROM及びEEPROM(登録商標)等の揮発性及び不揮発性コンピュータメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ等であり、ここでは広く"メモリ"と称する)に関連され得る。幾つかの構成例において、上記記憶媒体は、1以上のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行された場合に本明細書で述べる機能の少なくとも幾つかを実行する1以上のプログラムによりコード化することができる。種々の記憶媒体は、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定され、又は当該記憶媒体上に記憶された1以上のプログラムをプロセッサ又はコントローラにロードして、ここで述べる本発明の種々の態様を実施することができるように、移送可能なものとすることができる。"プログラム"又は"コンピュータプログラム"なる用語は、ここでは、1以上のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために使用することが可能な如何なるタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)をも示すように汎用的な意味で使用されている。
【0045】
[0045] 一ネットワーク構成例において、ネットワークに結合された1以上の装置は、該ネットワークに結合された1以上の他の装置に対するコントローラとして働くことができる(例えば、マスタ/スレーブ関係で)。他の構成例において、ネットワーク環境は、当該ネットワークに結合された装置の1以上を制御するように構成された1以上の専用のコントローラを含むことができる。一般的に、当該ネットワークに結合された複数の装置は、各々、当該通信媒体上に存在するデータにアクセスすることができる。しかしながら、所与の装置は、当該ネットワークに対し、例えば自身に割り当てられた1以上の特定の識別子(例えば、“アドレス”)に基づいてデータを選択的に交換する(即ち、データを受信し及び/又はデータを送信する)ように構成されるという点で“アドレス指定可能”であり得る。
【0046】
[0046] ここで使用される“ネットワーク”なる用語は、2以上の装置(コントローラ又はプロセッサを含む)間の相互接続であって、当該ネットワークに結合された何れかの2以上の装置の間の、及び/又は複数の装置の間での情報(例えば、装置制御、データ記憶、データ交換等のための)の伝送を容易にする如何なる相互接続をも指すものである。容易に理解されるように、複数の装置を相互接続するのに適したネットワークの種々の構成は、種々のネットワークトポロジの何れかを含むと共に、種々の通信プロトコルの何れかを使用することができる。更に、本開示による種々のネットワークにおいて、2つの装置の間の何れか1つの接続は、斯かる2つの装置の間の専用の接続を表すことができ、又は代わりに非専用接続を表すこともできる。当該2つの装置のための情報を伝送することに加えて、このような非専用接続は、必ずしも上記2つの装置のいずれのためのものでもない情報を伝送することができる(例えば、開放型ネットワーク接続)。更に、ここで述べる装置の種々のネットワークが、当該ネットワークを介しての情報伝送を容易化するために1以上の無線、有線/ケーブル及び/又は光ファイバリンクを使用することができることは容易に理解されよう。
【0047】
[0047] ここで使用される“ユーザ”なる用語は、ここに記載されるシステム及び方法と作用し合う如何なる主体、人又は人工のものをも指す。例えば、該用語は、限定無しで、オフィス作業者又は訪問者等の空間の占有者、空間の遠隔使用者、施設管理者又はコミッショニング(試運転又は検収)技術者、ビルIT管理者、保守技術者及び設置者を含む。
【0048】
[0048] 上述した概念及び後に詳述する追加の概念の全ての組み合わせ(斯かる概念が互いに矛楯しない限り)は、ここに開示される本発明の主題の一部であると意図されることが理解されるべきである。特に、この開示の最後に現れる請求項に記載の主題の全ての組み合わせは、ここに開示される本発明の主題の一部であると意図される。また、参照により本明細書に組み込まれる何れかの文献にも現れる、ここで明示的に使用される用語は、ここに開示される特定の概念と最も一貫性のある意味が付与されるべきであると理解されるべきである。
【0049】
[0049] 尚、図面において同様の符号は、異なる図を通して、同様の部分を概して示している。また、各図は必ずしも寸法通りではなく、代わりに本発明の原理を解説するに当たり概して誇張されている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1A】
図1Aは、物理的構造内の環境条件を管理するシステムの一実施態様のブロック図を示し、該実施態様は幾つかのモジュール、2つのIP照明器具及び環境制御装置を有している。
【
図1B】
図1Bは、物理的構造内の環境条件を管理するシステムの一実施態様のブロック図を示し、該実施態様は幾つかのモジュール、2つのIP照明器具、環境制御装置及びIR遠隔制御装置(リモコン)を有している。
【
図1C】
図1Cは、幾つかの実施態様によるIP照明器具の構成部品及び該構成部品を接続するインターフェースを示す。
【
図1D】
図1Dは、物理的構造内の環境条件を管理するシステムの一実施態様のブロック図を示し、該実施態様は環境管理モジュール、センサ、メモリ及びコミッショニング済ユニットを有する。
【
図2A】
図2Aは、幾つかの実施態様による照明ネットワークの構成要素アーキテクチャを示す。
【
図2B】
図2Bは、物理的構造内の環境条件を管理するシステムの一実施態様、及び該システムの種々の構成要素に関連する異なるネットワーク環境のブロック図を示す。
【
図3A】
図3Aは、環境条件を管理するシステムの独立接続型構成の一実施態様を示す。
【
図3B】
図3Bは、環境条件を管理するシステムの端末間統合型構成の一実施態様を示す。
【
図4A】
図4Aは、環境マネージャモジュールの一実施態様の構成要素のブロック図を、該環境マネージャモジュールが通信的に接続される他の装置と共に示す。
【
図4B】
図4Bは、物理的構造内の環境条件を管理するシステムのISPF結合配備型実施態様の種々の選択された構成要素のブロック図を示す。
【
図5】
図5は、幾つかの実施態様による環境条件を管理するシステムの構成要素により使用されるコミッショニング及び構成処理のフローチャートを示す。
【
図6】
図6は、一実施態様による複数の装置群を有する自由間取り部屋等のコミッショニング済ユニットを示す。
【
図7】
図7は、自由間取り部屋等のコミッショニング済ユニット、該自由間取り部屋内のシステムユーザ、該ユーザの周りの幾つかの区域、並びにこれら区域の内部及び外部に位置する装置を示す。
【
図8】
図8は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていなかった空間内での占有の検出に応答するための占有に基づく(占有ベースの)制御方法を示す。
【
図9A】
図9Aは、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていた空間内での占有の欠如の検出に応答するための占有ベースの制御方法を示す。
【
図9B】
図9Bは、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていなかった空間内での占有の検出に応答するための占有ベースの制御方法を示す。
【
図10】
図10は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていた空間内での占有の欠如の検出に応答するための占有ベースの制御方法を示す。
【
図11】
図11は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていた空間内での占有の欠如の検出に応答するための占有ベースの制御方法を示し、該方法は占有状態を確認するための保持期間、猶予期間及び延長期間の使用を組み込んでいる。
【
図12】
図12は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていなかったセル区域内での占有の検出に応答するための占有ベースの制御方法を示す。
【
図13】
図13は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、廊下区域内での占有の変化の検出に応答するための占有ベースの制御方法を示す。
【
図14】
図14は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、会議区域内での占有の変化の検出に応答するための占有ベースの制御方法を示す。
【
図15】
図15は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、会議区域内の異なる環境シーンのリクエストに応答するための制御方法を示す。
【
図16】
図16は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、作業区域内での検出された照明の変化に応答するための昼光ベースの制御方法を示す。
【
図17】
図17は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、空間内での検出された自然照明の変化に応答するための昼光ベースの制御方法を示す。
【
図18】
図18は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様による、コミッショニング済ユニットの位置を図示した対話型デジタル間取図を示す。
【
図19】
図19は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、コミッショニング済又は未コミッショニングユニットの電源投入挙動を決定する方法を示す。
【
図20】
図20は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、制御リクエストを処理するための方法を示す。
【
図21】
図21は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、手動で起動された個人的(パーソナル)制御リクエストを処理するための方法を示す。
【
図22】
図22は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様による、PoEスイッチ故障の視覚的影響を低減するためのコミッショニング済ユニット及び関連するPoEスイッチの配置を示す。
【
図23】
図23は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様におけるコミッショニング済ユニットにより実行される、自己診断及び復旧のための方法を示す。
【
図24】
図24は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様による、環境マネージャモジュールのフロントエンドとして表示された対話型グラフィックユーザインターフェースの一実施態様を示す。
【
図25】
図25は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様による、コミッショニングモジュールのフロントエンドとして表示された対話型グラフィックユーザインターフェースの一実施態様を示す。
【
図26】
図26は、コミッショニングモジュールのフロントエンドの一部として使用する対話型領域ウィザードの一実施態様を示し、該領域ウィザードはユーザが物理的構造内の領域の機能を一緒に定義する種々のパラメータを指定することを可能にする。
【
図27】
図27は、環境条件を管理するシステムで使用するための新たな装置をコミッショニングする際に使用する対話型グラフィックユーザインターフェースの一実施態様を示す。
【
図28】
図28は、復元ポイントのためのソフトウェアイメージ及び構成データセットを記憶するように構成された装置にネットワーク上で接続された照明器具コントローラを含む照明システムの例示的実施態様を示す。
【
図29】
図29は、復元ポイントのためのソフトウェアイメージ及び構成データセットを記憶するように構成された装置にネットワーク上で各々接続された2つの照明器具コントローラを含む照明システムの他の例示的実施態様を示す。
【
図30】
図30は、復元ポイントのためのソフトウェアイメージ及び構成データセットを記憶するように構成された装置にネットワーク上で各々接続された3つの照明器具コントローラを含む照明システムの他の例示的実施態様を示す。
【
図31】
図31は、通常の動作モードの間の照明システムの例示的実施態様を示す。
【
図32】
図32は、照明器具コントローラが新たなソフトウェアイメージを受信しているオペレーティングソフトウェアのアップグレードの間の照明システムの例示的実施態様を示す。
【
図33】
図33は、照明システムの例示的実施態様を示し、ここで、新たなソフトウェアイメージを受信した照明器具コントローラは自身の現在のソフトウェアイメージ及び構成データセットをゲートウェイコントローラに記憶する。
【
図34】
図34は、照明システムの例示的実施態様を示し、ここで、新たなソフトウェアイメージを受信した照明器具コントローラは、オペレーティングソフトウェア更新をインストールした後に自己テストに失敗している。
【
図35】
図35は、照明システムの例示的実施態様を示し、ここで、照明器具コントローラは、オペレーティングソフトウェアの更新に失敗した後、自身の以前のソフトウェアイメージ及び構成データセットに戻っている。
【
図36】
図36は、照明器具のための復元ポイントを自律的に作成すると共に、オペレーティングソフトウェアの更新後に動作不良となった場合に該照明器具を自律的に動作状態に復元する方法の例示的実施態様のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
[0093] 以下、添付図面に例が図示された本発明の例示的実施態様を詳細に参照する。
【0052】
[0094] 以下の詳細な説明においては、限定ではなく説明の目的で、固有の細部を開示する代表的実施態様が、本教示の十分な理解を提供するために記載される。しかしながら、本開示の利益を受けた当業者にとっては、ここに開示される固有の細部から逸脱した本発明による他の実施態様も添付請求項の範囲に入ることは明らかであろう。更に、良く知られたシステム、装置及び方法の説明は、代表的実施態様の説明を不明瞭にさせないように省略され得るものである。このようなシステム、方法及び装置は明らかに本教示の範囲内である。
【0053】
[0095]
図1Aは、物理的構造内の環境条件を管理するシステム100Aを示す。該システムは、環境マネージャモジュール110、コミッショニングモジュール120、ゲートウェイモジュール130、IP照明器具140及び150、並びに環境制御装置160を含む。システム100Aの他の実施態様は、追加の又は一層少数の環境マネージャモジュール、IP照明器具、コミッショニングモジュール、ゲートウェイモジュール及び/又は環境制御装置を含むことができる。システム100Aの構成要素は、
図1に示されるリンクL1~L9を用いて通信的に結合される。ここで使用される“物理的構造”なる用語は、自立型の、常設の、囲まれた又は覆われたものに限らず、如何なる建物構造をも指すものである。この用語は、例えば、オフィス用、住居用、レクリエーション用、教育用、行政用、及び商業用の建物及び複合構造物、並びに駐車場及び車庫を含む。ここで使用される“リンク”なる用語は、少なくとも2つのシステム構成要素の間での情報の通信を可能にする如何なる接続又は要素をも指すものである。例えば、リンクは、有線又は無線の通信接続、電波周波数通信接続及び光通信接続を含む。リンクは、共有通信プロトコル、ソフトウェア若しくはハードウェアインターフェース、又は遠隔メソッド呼出若しくは手続き呼出を示すこともできる。
【0054】
[0096] 環境マネージャモジュール110は、ハードウェアで、ハードウェア及びコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)の何らかの組み合わせで、又は完全にコンピュータコードで実施化することができる。このモジュールは、1つの又は複数のプロセッサ上で実行することができる。
【0055】
[0097] 幾つかの実施態様において、マネージャモジュール110は対話式システム生産性向上機能(ISPF)ベースの中央監視及び管理ダッシュボードを提供することができる。また、マネージャモジュール110は、システム100Aにおける現在の照明又は他の環境状態の視覚化、種々のレベルの細分度における占有情報の視覚化、種々のレベルの細分度でのエネルギ消費情報の視覚化及び警報の視覚化等の種々のフィーチャのためのユーザインターフェースも提供することができる。更に、マネージャモジュール110は、スマートフォンアプリケーションから個人的(パーソナル)制御コマンド(例えば、光のレベル及び温度に関する)を受信すると共に、斯かるコマンドを照明制御又はHVAC制御コマンドに翻訳し、システム全体の照明制御を管理し、タスクのスケジューリングを管理することができる。該環境マネージャモジュール110は、ソフトウェアのアップグレード(更新とも称される)に参加し、エネルギ消費及び占有に関するデータ等の監視データを管理し、警報及び他のシステム健康診断データを管理することもできる。
図4Aは環境マネージャモジュールの一実施態様の種々の構成要素を図示し、
図4Aの説明は該モジュールにていての更なる詳細を提供する。環境マネージャモジュール110等の環境マネージャモジュールの機能的及び他の側面についての更なる詳細は、本明細書全体を通して分かるであろう。
【0056】
[0098]
図1Aに示されたように、環境マネージャモジュール110はリンクL2を介して環境制御装置160から情報を受けることもできる。L2は、スマートフォン用のパーソナル制御インターフェースであり得る。マネージャモジュール110はリンクL1を介してコミッショニングモジュール120と通信することもできる。L1は、コミッショニングモジュールの計画(プロジェクト)ファイルの通信を容易化することができる。幾つかの実施態様において、L1はxCLIP互換照明器具のための拡張を伴うXMLデータベースを表すこともできる。最後に、マネージャモジュール110はリンクL3を介してゲートウェイモジュール130と通信することもできる。L3は、幾つかの実施態様によれば、EnvisonIPインターフェースを表す。
【0057】
[0099] コミッショニングモジュール120は、ハードウェアで、ハードウェア及びコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)の何らかの組み合わせで、又は完全にコンピュータコードで実施化することができる。このモジュールは、1つの又は複数のプロセッサ上で実行することができる。システム100Aの多くの実施態様において、コミッショニングモジュール120は、IP照明器具、スイッチ及びセンサ等の装置をコミッショニング(設置検証)するために使用される。また、コミッショニングモジュール120は、空間のための間取りを準備し、装置を発見してシステム100Aと関連付け、例えば符号化光検出技術により装置を位置特定するために使用することもできる。該コミッショニングモジュールは、システム100A及び該システムに関連する装置を事前コミッショニングするために使用することもできる。例えば、コミッショニングモジュール120は、装置のグループを形成し、構造物内の空間を特定の目的のために割り当てるために使用することができる。システム100Aの多くの実施態様において、コミッショニングモジュール120は、IP照明器具等の装置をコミッショニングすると共に、例えば準備された間取りに従って装置を位置特定し、照明シーンをプログラムし、装置及び制御パラメータを設定し、及びセンサを校正することにより、装置を制御するために使用することができる。コミッショニングモジュール120は、ソフトウェアのアップグレードを実行するために使用することもできる。コミッショニングモジュール120に関連する他の機能は、当該明細書全体を通して、特に
図5に関連する説明において明らかになるであろう。
【0058】
[0100]
図1Aに示されたように、コミッショニングモジュール120は、リンクL1を介して環境マネージャモジュール110と、リンクL4を介してゲートウェイモジュール130と、リンクL6を介してIP照明器具150と通信することができる。L1は、環境マネージャモジュール110の記載に関連して先に説明された。多くの実施態様において、L4はEnvisionIP又はxCLIPインターフェースを表すことができ、L6はEnvisionIPインターフェースを表すことができる。
【0059】
[0101] ゲートウェイモジュール130は、ハードウェアで、ハードウェア及びコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)の何らかの組み合わせで、又は完全にコンピュータコードで実施化することができる。このモジュールは、1つの又は複数のプロセッサ上で実行することができる。幾つかの実施態様において、ゲートウェイモジュール130のハードウェア構成は、STM32チップを含むことができる。ゲートウェイモジュール130は、物理的構造の特定のフロアに関連付けることができると共に、該フロア上に位置するIP照明器具等の複数の装置に対しデータを送信及び/又は受信することができる。幾つかの実施態様において、ゲートウェイモジュール130は、IP照明器具、センサ及びHVAC装置等の1000を超える装置に対してデータを送信及び/又は受信することができる。
【0060】
[0102] ゲートウェイモジュール130は、種々の機能を提供するように構成される。例えば、該ゲートウェイモジュールは照明器具をコミッショニングするために使用されるEnvisionIPインターフェースとRS-485規格との間のゲートウェイを提供すると共に、種々のアプリケーション及びネットワークプロトコルを翻訳するためのサービスを提供することができる。多くの実施態様において、該ゲートウェイモジュールは、システム100A内の複数のゲートウェイモジュールの間のデータの伝送を容易化すると共に、システム診断及び/又はゲートウェイモジュール130が自身の制御下にある装置が依然としてオンライン状態であるか否かを決定することができるハードウェア点呼(ロールコール)に参加することもできる。ゲートウェイモジュール130は、キャッシングし及び/又は環境マネージャモジュール110に対してオフライン装置をレポートする責務を負うこともできる。ゲートウェイモジュール130は、ローカルにタスクをスケジュールすること並びに監視及び診断データを管理する責務を負うこともできる。例えば、ゲートウェイモジュール130は、物理的構造内の1以上の領域をエネルギ消費及び占有度に関して監視すると共に、領域レベルでシステム健康度を診断し、システム健康度情報をレポートすることができる。該ゲートウェイモジュールは、領域監視データを記憶することもできる。幾つかの実施態様において、ゲートウェイモジュール130は、当該システムの一部において全てのDyNet及びEnvisonIPトラフィックを監視する。該ゲートウェイモジュールは、この情報を記憶及び/又はキャッシュすると共に、該情報を環境マネージャモジュール110に転送し、該環境マネージャモジュールが如何なる所与の時点においても全てのコミッショニングされた装置の状態についての正確な全体像を有するようにする。スケジューリングに関しては、時間の厳しいイベントはゲートウェイモジュール130により環境マネージャモジュール110に即座に転送することができる一方、時間が厳しくないイベントはローカルにキャッシュされ、マネージャモジュール110にバッチ的にアップロードすることができる。マネージャモジュール110に到達することができない場合、全てのイベントはローカルにキャッシュし、再び到達可能になった場合に、該マネージャモジュール110にアップロードすることができる。ゲートウェイモジュール130は、システム100Aに関連付けられたHVACシステムとインターフェースで接続すると共に、新たな装置を発見することもできる。多くの実施態様においては、ゲートウェイモジュール130のような複数のゲートウェイモジュールを単一の環境マネージャモジュール110に通信的に接続することができ、その場合、各ゲートウェイモジュール130は建物の特定のフロアのためのフロアコントローラとして動作する。多くの実施態様において、ゲートウェイモジュール130は、受信された環境制御コマンドの全て又は一部(部分集合)を記録(ログ)及び記憶し;当該システム内の全てのイベント及び状態変化を記録及び環境マネージャモジュール110にレポートすると共に、本ゲートウェイモジュール130が制御及び/又は監視するコミッション済ユニットから到来するコマンドを当該システムの他の部分を制御及び/又は監視する他のゲートウェイモジュールに送信し(共通領域送信責任);当該システムの他の部分を制御及び/又は監視する他のゲートウェイモジュールから到来するコマンドを本ゲートウェイモジュール130が制御及び/又は監視するコミッション済ユニットに送信し(共通領域受信責任);EnvisonIPネットワークとDyNet RS-485ネットワークとの間を(透明に)ブリッジして、当該システムが例えば全ての既存のDyNet(RS-485)製品に対して拡張され得るようにし;全てのコミッション済のユニット及び装置の利用可能性を記録及び記憶すると共に、これらの利用可能性の如何なる変化も環境マネージャモジュール110にレポートすることができる。
【0061】
[0103]
図1Aに示されるように、ゲートウェイモジュール130は、リンクL5を介してIP照明器具140及び150と、リンクL3を介して環境マネージャモジュール110と、リンクL4を介してコミッショニングモジュール120と情報を交換することができる。L3及びL4は、マネージャモジュール110及びコミッショニングモジュール120との関連で、各々、先に説明した。多くの実施態様において、L5はEnvisonIP又はxCLIPインターフェースを表すことができる。
【0062】
[0104] IP照明器具140は、センサ140-1、光源140-2及び制御モジュール140-3と関連される。幾つかの実施態様において、センサ140-1及び光源140-2は、同一の装置又はハウジング内に配置される。幾つかの実施態様において、制御モジュール140-3は、センサ140-1及び/又は光源140-2と同一の装置又はハウジング内に収容された1以上のプロセッサ上で実行するコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)を有する。光源140-2は、オン/オフ、調光及び調整可能な白色光又は有色光の生成等の1以上の光駆動機能を実行することができる。センサ140-1は、例えば、昼光、占有度、IR、二酸化炭素、湿度及び温度の1以上を感知することができるセンサである。制御モジュール140-3は、光源140-2、センサ140-1、コミッショニングモジュール120、環境マネージャモジュール110、ゲートウェイモジュール130及びIP照明器具150等の他のモジュール及び装置の挙動を制御するための1以上の制御機能を提供する。
【0063】
[0105] IP照明器具140は、当該システム100Aの他のモジュールとの通信のための1以上の外部インターフェースを提供することができる。例えば、IP照明器具140は、光源140-2をコミッショニングする際に使用するための、及び/又は自身に通信的に接続された他の領域の照明器具及びセンサ(例えば、光源150-2及びセンサ150-1)、光源140-2又はセンサ140-1の挙動に影響を与えるために制御モジュール140-3により使用するためのEnvisonIPインターフェース(例えば、リンクL5及びL7)を提供することができる。IP照明器具140は、光源140-2又は当該IP照明器具140に通信的に接続された他の光源にアクセスすると共に斯かる光源の基本的能力を制御するために制御モジュール140-3により使用するためのxCLIPインターフェースを提供することもできる。該xCLIPインターフェースは、他のシステムモジュール(例えば、ゲートウェイモジュール130)により、IP照明器具140にアクセスすることが可能なセンサ(例えば、センサ140-1及び150-1)により発生されたセンサデータ並びに光源140-2及び/又はIP照明器具140に対し利用可能なエネルギ消費及び診断データにアクセスするために使用することもできる。
図1C及び該図に関連する説明は、IP照明器具の構成要素及びこれら構成要素により使用される種々のインターフェースに関する更なる詳細を提供する。
【0064】
[0106] 環境制御装置160は、空間内の環境条件を制御するための任意の装置とすることができる。このような装置は、制限無しで、iPhone(登録商標)等のスマートフォン、iPad(登録商標)等のタブレット若しくは手持ちコンピュータ、ラップトップコンピュータ、1以上のプロセッサに通信的に接続された接触関知性及び/又は音声駆動入力及び/又は表示装置、並びにデスクトップ計算装置を含む。
【0065】
[0107] 幾つかの実施態様において、
図1Aに示されたシステム100Aの構成要素は以下のように作用し合うことができる。環境制御装置160は、ユーザの自身の近傍における環境条件を変更する要望を示す入力を受ける。例えば、制御装置160はスマートフォンであり得、ユーザは、該スマートフォン上に表示されるグラフィックユーザインターフェースを用いて、該ユーザが物理的に居る部屋内のテーブル面等の作業区域における光のレベル又は輝度を上昇させたいという自身の要望を示すことができる。上記グラフィックユーザインターフェースは、カラー、色温度及び方向等の他の照明パラメータを制御するために使用することもできる。一方、上記作業区域における照明を制御するIP照明器具140及び150は、各々、例えば自身及び/又は光源140-2及び150-2を各々識別するコードを含む符号化光信号を発生する。IP照明器具150は自身及び/又は光源150-2を識別するコードを含む符号化光信号を、リンクL8を介して環境制御装置160に送信する一方、IP照明器具140は自身及び/又は光源140-2を識別するコードを含む符号化光信号を、リンクL9を介して環境制御装置160に送信する。環境制御装置160は、リンクL2を介して、環境制御リクエストを含む1以上の信号を送信する。該環境制御リクエストは、環境制御装置160のユーザが自身の環境において行いたい変更に関する情報、及び該ユーザの要求を実行するために使用され得るIP照明器具等の装置に関する情報を含む。例えば、上記環境制御リクエストは、テーブル面等の作業区域における光のレベルを上昇させたいというユーザの要望及び環境制御装置160により受信された符号化光信号からの識別情報をエンコードすることができる。1以上のプロセッサ上で実行する環境マネージャモジュール110は、環境制御装置160からの上記環境制御リクエストを含む1以上の信号を受信し、環境制御コマンドを発生する。多くの実施態様において、斯かる環境制御コマンドは、前記環境制御リクエストに、前記コミッショニングモジュール又は該コマンドが送信されるコミッション済ユニット(例えば、IP照明器具)により理解可能なフォーマットでエンコードされた情報を含む。更に、上記環境制御リクエストは特定の部屋又は作業区域における所望の環境変化に関するもっと一般的な情報を含み得るが、上記環境制御コマンドは該環境制御リクエストにエンコードされたリクエストされた変更の実施に関する一層特定的なものである。例えば、該環境制御コマンドは、一群のIP照明器具により処理された場合に、これらIP照明器具が特定の照明の変化を生じさせるような固有の命令を含み得る。環境マネージャモジュール110は、その後、リンクL3を介して該環境制御コマンドをゲートウェイモジュール130に送信することができる。ゲートウェイモジュール130は、前記ユーザの所望の照明レベルの変更に応答するIP照明器具(又は複数の照明器具)に関連付けられた識別情報等の、該環境制御コマンドに関連するデータを記憶することができる。ゲートウェイモジュール130は、次いで、リンクL5を介して通信し、IP照明器具150及び/又はIP照明器具140に自身の照明を調整してユーザによりリクエストされた光レベルを生成するよう命令する。
【0066】
[0108]
図1Bは、物理的構造内の環境条件を管理するシステム100Bを示す。該システムは、環境マネージャモジュール110、コミッショニングモジュール120、IR遠隔制御部(IRリモコン)130、IP照明器具140及び150、並びに環境制御装置160を含む。IP照明器具140はセンサ140-1、光源140-2及び制御モジュール140-3に関連され、IP照明器具150はセンサ150-1、光源150-2及び制御モジュール150-3に関連される。システム100Bの幾つかの他の実施態様は、更なる又は一層少ない環境マネージャモジュール、IP照明器具、コミッショニングモジュール、環境制御装置及び/又はIRリモコンを含むことができる。システム100Bの構成要素は、
図1Bに示されたように、リンクL1~L7を用いて通信的に結合される。システム100A及び100Bの同一の名称の構成要素は、構成及び挙動が同一であり得る。しかしながら、環境マネージャモジュール110並びにIP照明器具140及び150は、システム100Bの変更された構成において異なるように動作することができる。更に、システム100BのリンクL1及びL2は、システム100AのリンクL1及びL2と同一であり;システム100BのリンクL5、L6及びL7は、システム100AのリンクL8、L7及びL9と、各々、同一である。
【0067】
[0109] IRリモコン130は、受信器装置にコマンドを送出するために赤外光を使用する何らかの装置である。IRリモコン130は、IP照明器具140、又はセンサ140-1及び光源140-2等の該照明器具の構成部品に制御コマンドを送出するためにリンクL8を使用することができる。システム100Bの多くの実施態様において、リンクL8はRC-5プロトコルを表すことができる。
【0068】
[0110] 幾つかの実施態様において、
図1Bに示された構成要素は以下のように作用し合うことができる。環境制御装置160は、ユーザの自身の近傍における環境条件を変更する要望を示す入力を受ける。例えば、制御装置160はスマートフォンであり得、ユーザは、該スマートフォン上に表示されるグラフィックユーザインターフェースを用いて、該ユーザが物理的に居ない部屋内のテーブル面等の作業区域における光のレベルを上昇させたいという自身の要望を示すことができる。一方、上記作業区域における照明を制御するIP照明器具140及び150は、各々、光源140-2及び150-2を各々識別するコードを含む符号化光信号を発生する。IP照明器具140は光源140-2を識別するコードを含む符号化光信号を、リンクL7を介して環境制御装置160に送信する一方、IP照明器具150は光源150-2を識別するコードを含む符号化光信号を、リンクL5を介して環境制御装置160に送信する。環境制御装置160は、リンクL2を介して、環境制御リクエストを含む1以上の信号を送信する。1以上のプロセッサ上で実行する環境マネージャモジュール110は、環境制御装置160からの上記環境制御リクエストを含む1以上の信号を受信し、環境制御コマンドを発生する。上記環境制御リクエスト及び環境制御コマンドについての詳細は、
図1Aの前後関係で先に説明した通りである。環境マネージャモジュール110は、その後、リンクL3を介して上記環境制御コマンドをIP照明器具140及び/又はIP照明器具150に送信することにより、光源140-2及び/又は光源150-2により発生される照明を調整し、これにより環境制御装置160のユーザによりリクエストされた照明レベルを達成する。同じ又は別のユーザは、IP照明器具140の近くに位置する間にIRリモコン130を使用することにより、該IP照明器具140にコマンドを直接送出し、これにより、光源140-2により発生される照明を調整することができる。
【0069】
[0111]
図1Cは、幾つかの実施態様によるIP照明器具110C及び120Cの構成要素並びに該構成要素を接続するインターフェースを示す。IP照明器具110Cは、構成部品制御モジュール110C-1、DC-DC LEDドライバ110C-2、ILBセンサ110C-3及び1以上のLED110C-4を有している。同様に、IP照明器具120Cは、構成部品制御モジュール120C-1、DC-DC LEDドライバ120C-2、ILBセンサ120C-3及び1以上のLED120C-4を有している。制御モジュール110C-1及び120C-1は、
図1Aの関連で説明した任意のタイプの制御モジュールとすることができる。幾つかの実施態様において、制御モジュール110C-1及び/又は120C-1は、STM32ベースのPoE装置とすることができる。制御モジュール110C-1及び120C-1は、DC-DC LEDドライバ110C-2及び120C-2に各々送信するためのデータを、パルス幅変調(PWM)を用いてエンコードするように図示されている。
【0070】
[0112] LEDにおいては、電圧が上昇するにつれて、電流は急速に増加する傾向にある。従って、電圧の小さな変動でさえも電流の大きな変動を生じさせる傾向にあり、このことはLEDに対する損傷の原因となる。このような電圧の変動によるLEDの損傷の危険性故に、LEDドライバが、LEDを主電源(mains power)又は電池等の電圧源に接続するために使用される。LEDドライバはLEDに対する入力電力を、これらLEDが安全に動作され得るように制御する。LEDドライバ110C-2及び120C-2は、入力電力を、電圧の変動に拘わらず電流が一定となる電流源に変換する電子回路である。制御モジュール110C-1及び120C-1は、xCLIPインターフェースを介して他のシステムモジュールと通信することができると共に、EnvisonIPインターフェースを介して互いに通信することができる。ILBセンサ110C-3及び120C-3は、RC5インターフェースを介してIRリモコン140C-1及び140C-2から、各々、制御信号を受信する。PoEスイッチ130Cは、イーサネット(登録商標)/IPインターフェースを介してデータを受信すると共に、受信されたデータ及び電力をPoE及びイーサネット(登録商標)/IPインターフェースを介してIP照明器具110Cに供給する。
【0071】
[0113]
図1Dは、物理的構造内の環境条件を管理するシステム100Dを示す。該システムは、環境マネージャモジュール110、少なくとも1つのコミッション済ユニット120D、少なくとも1つのメモリ130D及び少なくとも1つのセンサ140Dを有する。環境マネージャモジュール110は、リンクL3を介してコミッション済ユニット120Dに、及びリンクLKを介してメモリ130Dに通信的に接続される。コミッション済ユニット120DはリンクLKを介してセンサ140D及びメモリ130Dに通信的に接続される。LKは、少なくとも2つのシステム構成要素の間での情報の通信を可能にする何らかの接続又は構成部品である。例えば、LKは有線又は無線通信接続、電波周波数通信接続及び光通信接続を含む。LKは、共有通信プロトコル、ソフトウェア若しくはハードウェアインターフェース、又は遠隔メソッド呼出若しくは手続き呼出を示すこともできる。
【0072】
[0114] コミッション済ユニット120Dは、システム100A又は100D等のシステム内で互いに関連されると共に、内部トリガ(当該コミッション済ユニット内から生じるトリガ)及び外部トリガ(当該コミッション済ユニット外で生じるトリガ)の特定の構成に従って動作する1以上の装置を有することができる。トリガは、例えば、センサデータ又は手動若しくは中央制御を含むことができる。単一の装置が、複数のコミッション済ユニットの一部であり得る。コミッション済ユニット120D等のコミッション済ユニットは、階層的に編成されることもあり得る。例えば、コミッション済ユニットは、他のコミッション済ユニットを有し、これらのコミッション済ユニットの動作に影響を与えることもできる。幾つかの実施態様において、センサ140Dは当該物理的構造内の指定された区域におけるセンサである。センサ140Dは、例えば動き、占有度、音、1以上のガスの存在、照明、湿度及び温度を示すデータを発生するように構成される。このような実施態様において、リンクLKを介してセンサ140Dに通信的に接続されると共にリンクL3を介して環境マネージャモジュール110に通信的に接続されたコミッション済ユニット120Dは、センサ140Dにより発生されたデータを受信するように構成される。コミッション済ユニット120Dは、該センサデータが当該指定された区域に関連する状態変化を表すか否かを判定するように構成することもできる。多くの実施態様において、コミッション済ユニット120Dは、斯かる状態変化を表すセンサデータに従い、リンクLKを介して少なくともメモリ130Dを更新するように構成される。
【0073】
[0115]
図2Aは、幾つかの実施態様による照明ネットワークの構成要素アーキテクチャ200Aを示す。図示されたアーキテクチャには、3つの主たる構成要素レイヤ、即ち、各々が点線で囲まれたコアレイヤ、分配レイヤ及びエッジレイヤが存在する。コアレイヤは、左翼ルータ及び右翼ルータに通信的に接続された環境マネージャモジュール210Aを有する。これらルータは、フラッシュカードのバックアップ能力を有し、各々がポート当たり1つのIPサブネットに対するアクセスを有するように構成することができる。環境マネージャモジュール210Aは、環境条件を管理するシステムの当該照明ネットワークにおける種々の構成要素(例えば、左翼ルータ、右翼ルータ及び分配ルータにおけるフロアスイッチ)に;及び該環境マネージャモジュール210Aが環境を管理している構造物のITネットワークに直接的に又は間接的に通信可能に接続される。多くの実施態様において、環境マネージャモジュール210Aは、当該構造物のITネットワークを介してHVAC関連データに対するアクセスを得ることができる。
【0074】
[0116] 分配レイヤは、当該構造物のフロア当たり、及びコアレイヤルータ当たり1つのIPスイッチからなることができる(スイッチフロア1(左)、スイッチフロア1(右)、スイッチフロア2(左)、スイッチフロア2(右)、…スイッチフロアN(左)、スイッチフロアN(右)と図示されている)。多くの実施態様において、これらのIPスイッチはスパニングツリープロトコルをサポートする。エッジレイヤは、分配レイヤスイッチ当たり複数のリング(側部エッジレイヤを経る単一の湾曲した矢印として示されている)及びフロアレベルの照明制御を提供するためのフロア当たりのゲートウェイモジュールからなる。各リングは、デイジーチェーン接続され、リング内の対応する分配レイヤスイッチの2つのポートに接続された複数のPoEスイッチからなる。このような配置は、PoEスイッチのリングが当該リング構造における何れかの点で中断された場合でも、斯かるPoEスイッチの全てにネットワークを介して到達することができるという利点を提供する。
【0075】
[0117]
図2Bは、物理的構造内の環境条件を管理するシステム及び該システムの種々の構成要素に関連する異なるネットワーク環境の一実施態様200Bのブロック図を示す。実施態様200Bは、環境マネージャモジュール、コミッショニングモジュール、並びに
図1Aに関連して各々説明した任意のタイプの環境マネージャモジュール、コミッショニングモジュール及びゲートウェイモジュールとすることができる複数のゲートウェイモジュールを有している。上記複数のゲートウェイモジュールは、複数のコミッション済ユニット(例えば、照明器具及びセンサ)に通信的に結合されているように図示されている。この実施態様において、施設利用者は環境変更のリクエストを図示された通信リンクを介して環境マネージャモジュールに送信するためのパーソナル制御アプリケーション(アプリ)を実行するスマートフォン等の手持ち装置を使用することができる。上記パーソナル制御アプリを実行するスマートフォンは、ITネットワーク又は当該環境条件を管理するシステムに関連する照明ネットワーク内ではなく、インターネット内で動作するように示されている。更に、施設管理者はインターネットを介して同様の環境変更のリクエストを環境マネージャモジュールに送信するために中央ダッシュボード等のブラウザベースのアプリケーション(これも、インターネットに接続される)又は他の環境管理アプリケーションを利用することができる。上記パーソナル制御アプリ及びブラウザベースのアプリケーションは、環境マネージャモジュールからユーザインターフェース上に表示するための情報(例えば、当該照明ネットワーク内の照明器具により消費されるエネルギに関するデータ)も受信することができる。図示された実施態様において、環境マネージャモジュール、コミッショニングモジュール及びこれらの1以上の共有データベースは、当該物理的構造物の専用ITネットワーク内にある。しかしながら、前記複数のゲートウェイモジュール及びコミッション済ユニットは、当該構造物の専用照明ネットワーク内にある。当該環境マネージャモジュールを介して上記専用ネットワークに出入するデータは、ファイアウォールを通過することが必要とされ得る。
【0076】
[0118]
図3Aは、環境条件を管理するシステムの独立接続構成の一実施態様300Aを示す。該実施態様300Aは、ルータ310、領域コントローラ320、PoE電源330及び340、並びに2つのクラスタの照明器具350-1~350-4及び360-1~360-4を含んでいる。該構成の実施態様300Aにおいて、当該IP設備はインターネットに接続する必要はない。
【0077】
[0119] ルータ310は、コンピュータネットワーク内でデータパケットを転送する何らかのネットワーク化装置である。該ルータは、リンクL1を介してPoE電源330及び340並びに領域コントローラ320に接続され、該リンクは図示されたクラスタの照明器具及びセンサからのデータ並びに照明器具から利用可能なエネルギ消費及び診断データにアクセスするためのxCLIPインターフェースを提供する。パワー・オーバー・イーサネット(登録商標)、即ちPoEは、イーサネット(登録商標)配線上で電力及びデータを供給するための何らかのシステム(規格化された又はアドホックの)を指す。PoEは、単一のケーブルが、無線アクセスポイント、IP電話、IP照明器具又はIPカメラ等の装置に対してデータ接続及び電力の両方を提供することを可能にする。USB等の他の規格もデータケーブルを介して装置に電力を供給することができるが、PoEは一層長いケーブル長を許容する。PoEシステムにおいて、データ及び電力は単一のケーブル上の同一の導体上で又は専用の導体上で伝送することができる。従って、PoEはイーサネット(登録商標)/IP装置における電源の必要性を除去する。
【0078】
[0120] 領域コントローラ320は、ハードウェアで、ハードウェア及びコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)の何らかの組み合わせで、又は完全に1以上のプロセッサ上で実行するコンピュータコードで実施化することができる。領域コントローラ320は、定義された領域(例えば、建物のフロア)に対し種々の領域制御機能を実行するために使用することができる。多くの実施態様において、領域コントローラ320は、システムユーザが斯かる制御機能を管理するための対話式グラフィックユーザインターフェースを提供する。他の斯様な制御機能は、加えて又は代わりに、領域コントローラ320が作用し合う照明器具又はIP照明器具等の装置により実行することができる。幾つかの実施態様によれば、領域コントローラ320は、例えば、(a)建物内の複数のコミッション済ユニット又は区域を制御し;(b)コミッショニング処理の間において装置及び/又はコミッション済ユニットをグループ化するために使用され;(c)領域占有状態を決定すると共に、それに応じて、領域のための照明を調整し;(d)一群のコミッション済ユニットに関し、利用可能な自然光の変化に基づいて背景光レベルを調整し又は照明レベルを調節し;(e)1以上の照明器具及びセンサからのセンサ及び/又はエネルギ消費データを収集及び分析し;(f)領域内の照明レベルの変更等の環境の変更のスケジューリングに参加することができる。該領域コントローラを介しては、ソフトウェアのダウンロードも行われ得る。多くの実施態様において、該領域コントローラは、該コントローラが中央サーバからソフトウェアダウンロードを取り込むと共に該アップグレードを各照明器具及び他の装置に適切に分配するというような、中間的役割も果たすことができる。領域コントローラ320は、私有照明ネットワーク内で動作する照明器具クラスタと、ビル管理システム(BMS)を有するネットワーク等の第三者私有ネットワークとの間のセキュリティブリッジとして機能することもできる。幾つかの実施態様において、領域コントローラ320は私有IPネットワーク内で動作する一方、認可されたシステムユーザの手持ち装置上で実行される保守ツール等のソフトウェアツールは該IPネットワークに一時的に接続することにより該領域コントローラ320とデータを交換することができる。
【0079】
[0121] 照明器具350-1~350-4及び360-1~360-4は、
図1の前後関係で説明した照明器具140又は光源140-2等の光源を有する照明器具等のIP照明器具とすることができる。実施態様300Aにおける照明器具ネットワークは、IP規格に準拠することができ、IPネットワークにおいて動作することができる。これら照明器具は、各々、リンクL2又はL3を介してPoE電源330に接続される。リンクL2は、当該PoE電源330と照明器具との間の通信のためのPoEインターフェース、xCLIPインターフェース又はIPインターフェースを提供することができる。
【0080】
[0122]
図3Bは、環境条件を管理するシステムの端末間統合構成の実施態様300Bを示す。実施態様300Bは、ルータ310、領域コントローラ320、PoE電源330及び340、2つのクラスタの照明器具350-1~350-4及び360-1~360-4、照明コントローラダッシュボード370、ビルコントローラダッシュボード380、フロアコントローラ390、HVACコントローラ395、HVACアクティブ空気流コントローラ395-1並びに温度コントローラ395-2を含む。実施態様300Bの構成要素の多くは、実施態様300Aの同一の構成要素又は同一の名称の構成要素と同様のものであり得る。例えば、ルータ310、領域コントローラ320、PoE電源330及び340並びに照明器具350-1~350-4及び360-1~360-4は、各々、
図3Aの実施態様300Aに関して説明した何らかのタイプのルータ、領域コントローラ、PoE電源及び照明器具とすることができる。
【0081】
[0123] 照明コントローラダッシュボード370は、例えば、
図1の環境マネージャモジュール110等のシステムモジュールの一部である、又は斯かるシステムモジュールに通信的に接続された1以上のプロセッサ上で実行するユーザインターフェースを表示するコンピュータコードとすることができる。該照明コントローラダッシュボードのユーザインターフェースは、環境制御装置160等の
図1の前後関係で説明した何らかの環境制御装置上に表示することができる。例えば、照明コントローラダッシュボード370は、iPhone(登録商標)又はiPad(登録商標)等の手持ち装置上で実行するアプリケーションとすることができる。ダッシュボード370は、領域コントローラ320、ルータ310並びにPoE電源330及び340にリンクL1及びL5を介して通信的に接続され、これらリンクはデータの交換のためのxCLIP又はIPインターフェースを提供することができる。照明コントローラダッシュボード370は、監視目的で(例えば、エネルギ消費及びシステム健康度を監視する)及び照明スケジュールの展開のために使用することもできる。ダッシュボード370は、エネルギ消費、システム健康度及び占有情報を複数の領域コントローラから収集又は寄せ集め、ユーザに稼働システムの完全な現在の状況を提供することができる。
【0082】
[0124] ビルコントローラダッシュボード380、フロアコントローラ390及びHVACコントローラ395は、ハードウェアで、ハードウェア及びコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)の何らかの組み合わせで、又は完全に1以上のプロセッサ上で実行するコンピュータコードで実施化することができる。これらの実施態様300Bの構成要素は、建物の温度及び空気の流れの監視及び制御等の、建物のHVACシステムの管理に関係する種々の機能を実行するために使用することができる。多くの実施態様において、ビルコントローラダッシュボード380は、
図1の環境マネージャモジュール110等のシステムモジュールの一部である、又は斯かるシステムモジュールに通信的に接続された1以上のプロセッサ上で実行するユーザインターフェースを表示することができる。該ビルコントローラダッシュボード380のユーザインターフェースは、環境制御装置160等の
図1の前後関係で説明した何らかの環境制御装置上に表示することができる。例えば、ビルコントローラダッシュボード380は、iPhone(登録商標)又はiPad(登録商標)等の手持ち装置上で実行するアプリケーションとすることができる。建物の異なるフロア上の環境条件に関する情報をダッシュボード380に供給する複数のフロアコントローラが存在し得、該ダッシュボードは上記情報を自身のユーザインターフェース上に表示することができる。
【0083】
[0125] 実施態様300Bの該構成において、照明サブシステム(例えば、照明器具のクラスタ、PoE電源、領域コントローラ及びルータ)は第三者のIPネットワーク設備に通信的に接続することができ、該IPネットワーク設備はインターネットに接続することもできる。これらの実施態様において、ビルコントローラダッシュボード380、フロアコントローラ390、HVACコントローラ395、HVACアクティブ空気流コントローラ395-1及び温度コントローラ395-2は、上記第三者IPネットワーク設備内で動作する第三者ビル管理システムの一体的構成要素であり得る。上記第三者IPネットワークは、HVAC情報等のビル情報を、必要なら、上記照明サブシステム及び照明コントローラダッシュボード370と共有することができる。例えば、照明コントローラダッシュボード370は、多数の照明器具を備えたコミッション済ユニットに近い特定の領域の温度等のHVAC情報を表示することができる。この温度情報は、該照明コントローラダッシュボード370により上記第三者IPネットワーク設備との接続を介して取得することができる。
【0084】
[0126]
図4Aは、環境マネージャモジュールの一実施態様の構成要素のブロック図を、該環境マネージャモジュールが通信的に接続された他の装置及び要素と一緒に示す。該環境マネージャモジュールのアーキテクチャは、アプリケーション処理、アプリケーションデータ管理及びプレゼンテーションが物理的及び/又は論理的に分離されたn層エンタープライズ(企業)サーバ/クライアントアーキテクチャモデルに基づくものであり得る。
【0085】
[0127] 該環境マネージャモジュールのフロントエンドは、屋内サービスプレゼンテーションフレームワーク(ISPF)上で実行するウェブベースのアプリケーションであり得る。
図4Aにおいて、該環境マネージャモジュールのフロントエンドは、施設管理者を示すアイコンの隣に位置するモニタのアイコンにより示された装置(例えば、ラップトップ計算装置)上に表示することができる。ISPFは、HVAC及び照明管理システムに対する照明制御、状態監視及びエネルギ管理のためのウェブベースのアプリケーションの作成を可能にするソフトウェアフレームワークである。これは、
図1のシステム100のような、環境条件を管理するシステムにおけるコントローラとインターフェース接続することが可能なクラウドベースの企業全体のソフトウェア解決策である。エンドユーザ(例えば、施設管理者)と対話する環境マネージャモジュールのウェブベースのアプリケーションは、多くの実施態様では、アプリケーション枠組み、ポータルアプリケーション、ログインモジュール及びヘルプ機能を提供する。当該環境マネージャモジュールが動作するISPFフレームワークは、該環境マネージャモジュールに、更に詳細に後述するようにアプリケーション枠組み及びポータルアプリケーションを提供するために必要な情報を供給する。
【0086】
[0128]
図4Aに示された環境マネージャモジュールのプレゼンテーションレイヤは、モデル・ビュー・コントローラ(MVC)設計原理に基づいている。レイヤは、ソフトウェア解決策を構成する種々の要素に対する共通の論理構成メカニズムである。該プレゼンテーションレイヤは、主に、制御ポートレット、スケジューラポートレット、マクロポートレット、ユーザ設定ポートレット及び通知ポートレット等の標準ポートレットからなる。ポートレットとは、ウェブポータルで表示可能なプラグ着脱可能なソフトウェアユーザインターフェース(UI)成分である。ポートレットは、典型的に、一群のジャバスクリプトオブジェクトも有する。これらはマークアップコード(例えば、HTML、XHTML、WML)の断片を生成し、これら断片は、次いで、ウェブポータル用の完全なUIに集められる。多くの実施態様において、ウェブポータルは複数の重なり合わないポートレットウインドウを有する。このような実施態様において、各ポートレットウインドウは特定のポートレットのUI要素(又は複数の要素)を表示することができる。該プレゼンテーションレイヤは、例えば、Liferay(登録商標)ポータルサーバ、DOJO(登録商標)、MxGraph(登録商標)、JqChart(登録商標)及びJavaScript(登録商標)を用いて実施化することができる。
【0087】
[0129] 多くの実施態様において、当該プレゼンテーションレイヤは、前記ISPFは利用可能なサービスをREST及びSOAPインターフェースとして公開するので、REST/SOAPインターフェースを用いてサービスを呼び出す。これらのサービスは、典型的に、機能を実現するためにビジネスレイヤで定義されたビジネスオブジェクトを利用する。サービスレイヤは、入力及び出力として、REST APIをXML及びJSONフォーマットで公開することもできる。クライアントのウェブアプリケーションは、サービスとして実行する環境マネージャアプリケーションと、XML/JSONを用いてHTTP/HTTPSを介してREST/SOAPインターフェースを呼び出すことにより対話することができる。
【0088】
[0130] ビジネスレイヤは、関連する環境条件を管理するシステムにおいて、データアクセスレイヤ及び通信ゲートウェイを介し、1以上のデータベースサービス及びコントローラと作用し合うビジネスオブジェクトを管理する。多くの実施態様において、ビジネスオブジェクトは、公開された機能を実現するために当該サービスレイヤに関連する複数のサービスが同じビジネスオブジェクトを呼び出すことができるように、モジュール化される。多くの実施態様において、1つのサービスは自身の機能を実現するために複数のビジネスレイヤオブジェクトを使用することができる。ビジネスレイヤは、自身の関連する環境条件を管理するシステムにおいてコントローラと通信するためのメッセージバスを呼び出すこともできる。
【0089】
[0131] データアクセスレイヤは、ビジネスロジックと永続化(persistence)ロジックとの間の結合の程度を減少させる態様を提供する。アプリケーションビジネスロジックは、しばしば、データベースに持続されるドメインオブジェクトを必要とする。データアクセスレイヤは、アプリケーションレイヤの残部(例えば、プレゼンテーションレイヤ)に影響を与えることなく、持続データに対して作成、読取、更新及び削除(CRUD)処理を実行するためのコードのカプセル化を可能にする。このことは、永続化ロジックにおける如何なる変更も、当該環境マネージャモジュールの如何なる他のレイヤに悪影響を与えることもないことを意味する。従って、データアクセスレイヤは、環境マネージャモジュールのウェブベースアプリケーション等のアプリケーションが新たなデータベースプロバイダと継ぎ目なく結合することを可能にする。
【0090】
[0132] メディエーションエンジンは、当該環境マネージャモジュール内でのデータの規則ベースの経路決めを提供する。幾つかの実施態様において、該メディエーションエンジンは、経路決め及びメディエーション規則を構成するためにAPIを使用するエンタープライズ統合パターンのJava(登録商標)オブジェクトベースの構成を有することができる。例えば、該メディエーションエンジンの規則ベースの経路決めは、当該環境マネージャモジュールにより遭遇された全ての警報イベントは永続化のためにデータベースに送られ、全てのネットワークイベントは他のデータベースに持続される。
【0091】
[0133] メッセージバスは、行列機能を提供し、当該環境マネージャモジュールにより受信される、コントローラからの全ての通信を処理するために使用される。特に、該メッセージバスは、ビジネスレイヤから及び通信ゲートウェイから受信される情報の優先付けのための行列機能を提供する。例えば、通信ゲートウェイにより(例えば、コミッション済ユニットから)受信される全ての情報(例えば、リクエスト)は当該メディエーションエンジンを用いることによりメッセージバスを介して伝送される。通信ゲートウェイからの斯様なリクエストに対する如何なる応答も、メッセージバスを介して伝送される。多くの実施態様において、メッセージバスは、例えば、(a)ビジネスレイヤから受信される通信ゲートウェイリクエスト、通知Eメール及びSMSメッセージを優先付けすると共に転送し;(b)UI上に表示するために状態及び警報メッセージをプレゼンテーションレイヤにプッシュし;(c)非同期処理を実行し;(d)同期的及び非同期的メッセージ通知を行い;(e)複数のモジュールにメッセージを直列に又は並列に発送するために使用することができる。
【0092】
[0134] 多くの実施態様において、当該メッセージバスは、コントローラ及びコミッション済装置からフロントエンドアプリケーションにリアルタイム更新を公開するために使用される同期マネージャ要素を有する。アプリケーション(例えば、中央ダッシュボードが当該環境マネージャモジュールにより処理された情報を提示する)は、コントローラからのリアルタイム更新(例えば、警報、照明イベント、エネルギ更新等)を予約することができる。リアルタイム更新が例えば通信ゲートウェイにより受信される場合、上記同期マネージャは全ての予約者に通知することができる。
【0093】
[0135] NoSQLデータベース(インメモリ(in-memory)データベース)は、最近の24時間のトレンドデータを記憶するために使用される。多くの実施態様において、インメモリデータベースの全てのデータは、キャッシュで記憶され、持続されるべきでない。多くの実施態様において、このデータベースは、当該環境マネージャモジュール自身と比較して別個の処理で実行され、該データベースはSQLを用いてアクセスすることができる。
【0094】
[0136] データベースサーバは、制御、管理及び監視データを記憶するために使用される。該データベースサーバは、当該環境マネージャモジュールに対してローカルなもの又は遠隔なものとすることができる。ローカルなら、該データベースサーバは製品設置の間に作成することができる。遠隔データベースは、顧客により管理され得る新たな又は既存のデータベースとすることができる。該データベースサーバは、記憶する種々の情報を管理するために複数のスキーマにアクセスすることができる。例えば、OpenFire(登録商標)スキーマはXMPPサーバ関係テーブルを含むことができる。これらのテーブルは、ユーザ、部屋及び許可に関係する情報を含み得る。Liferay(登録商標)スキーマは、ポータル、ポートレット、ユーザ及びUI個人化データを管理するためのテーブルを含むことができる。警報スキーマは、スケジュール及び警報管理のためのテーブルを有することができる。
【0095】
[0137] 通信ゲートウェイは、当該環境マネージャモジュールが装置及びコミッション済ユニットと通信するための手段を提供する。種々の実施態様において、通信ゲートウェイは、装置及びコミッション済ユニットにアクセス可能なフィールドサービスレイヤ(FSL)と通信するために使用するCOM Java(登録商標)ラッパクラスを用いて装置イベントを予約する(
図4Aには、FSLは図示されていない)。照明イベント等のイベントがコミッション済ユニットにより登録された場合、通信ゲートウェイはFSLによる該イベントを知らされる。該通信ゲートウェイは、その後、上記イベント情報を適切に上位レイヤ(例えば、メッセージバス、ビジネスレイヤ、サービスレイヤ、プレゼンテーションレイヤ)に送信する。通信ゲートウェイは当該環境マネージャモジュールの上位のレイヤと2つの方法で通信する。即ち、(1)ビジネスレイヤ要素によってのみアクセス可能なRESTサービスを介して;及び(2)メッセージバスを用いて(例えば、全てのリクエスト及び応答に関しXMPPプロトコルを用いて)である。これらの両メカニズムは構成可能である。当該環境マネージャモジュールが、通信ゲートウェイが私的ネットワーク上でホストされるようにクラウド上に配備された場合、メッセージバスの通信オプションが可能化され得る。
【0096】
[0138] 多くの実施態様において、FSLから上位のレイヤにデータを送信するために、通信ゲートウェイはFSLレイヤから受信されたFSLオブジェクトをISPF共通オブジェクトモデルに変換する。データを当該環境マネージャモジュールの上位レイヤからFSLに送信するために(これは、通信ゲートウェイがコミッション済ユニットと如何にインターフェース接続するかである)、通信ゲートウェイはISPF共通オブジェクトモデルのオブジェクトをFSLオブジェクトに変換する。幾つかの実施態様において、通信ゲートウェイはFSLと通信するためにComfyJライブラリを使用する。ComfyJライブラリは、FSL COMオブジェクトに対してJNIラッパクラスを提供する。このような実施態様において、通信ゲートウェイは別のJVM処理において実行することができ、そのために最小で2GBのヒープ空間を割り当てることができる。
【0097】
[0139] 多くの実施態様において、通信ゲートウェイは、通信ゲートウェイAPI、ドメイン固有のオブジェクトをISP共通オブジェクトモデルに変換するためのコード、及びComfyJで発生されたラッパクラス(例えば、制御及び監視目的のためのFSLのComfyJで発生されたラッパクラス)を有する。通信ゲートウェイAPIは、典型的に、メッセージバスにメッセージを送信し及びメッセージバスからメッセージを受信するために使用される。
【0098】
[0140] ISPL ETL(抽出、変換及びロード)は、NoSQL監査スキーマからデータを抽出し、該データをデータベースサーバのトレンドスキーマにロードするためのスターデータモデルに変換するために使用される。多くの実施態様において、ETLはISPEにおける別の実行前後関係で動作する別の処理である。また、ETL処理は構成可能なスケジュールに基づいて動作する。デフォルトのスケジュールは、12時間毎にETL処理を実行するというものであり得る。
【0099】
[0141] 分析レイヤは、コミッション済ユニットにより生成されたデータを分析し、フロントエンドアプリケーション上で表示するための文章及びグラフィックのレポートを生成する。該分析レイヤは、発生されるレポートの外見及び特色を制御するためにレポート設計及び公開ツールセットを利用することができると共に、データ分析のために分析ツールセット(例えば、ペンタホ・モンドリアン)を使用することもできる。該分析レイヤは、照明ネットワークログデータ等のデータが中央集積部に収集され、複数のエンドユーザアプリケーションにより使用するために分析されるオンライン分析処理(OLAP)解決策を提供することもできる。
【0100】
[0142]
図4Bは、物理的構造内の環境条件を管理するシステムのISPFクラウド構成実施態様の種々の選択された構成要件のブロック図を示す。該クラウド構成は、環境総権限サーバ410C及び関連するモジュール(メッセージバス430C、メディエーションエンジン435C、分析エンジン415C、キャッシュサーバ420C及びデータベースサーバ425C)を実行するクラウドマシン405Cを有している。これらの関連するモジュールは
図4Aにおける同様の名称のモジュールと同様のものであり得る。しかしながら、
図4Bのクラウド構成においては、複数の環境マネージャモジュール(例えば、410-1C及び410-2C)が別個の私的ネットワーク(例えば、405-1C及び405-2C)内に配置される。これら複数の環境マネージャモジュールは、図示されたように、自身の各メッセージバスを介してクラウドマシン405Cとデータを交換することができる。総権限サーバ410Cと環境マネージャモジュール410-1C及び410-2Cとの間の接続は、TLSプロトコルにより安全化することができる。
【0101】
[0143]
図4Bに示された実施態様において、環境総権限サーバ410C、分析エンジン415C、キャッシュサーバ420C、データベース425C、メッセージバス430C及びメディエーションエンジン435Cは、全て、ハードウェア装置であるクラウドマシン上で実行する実行環境である。分析エンジン415Cは、Pentaho Mondrian(登録商標)エンジンを有することができ、キャッシュサーバ420CはEhCache(登録商標)サーバとすることができ、データベース425CはMS.SQL(登録商標)データベースサーバとすることができ、メディエーションエンジン435CはApache Camel(登録商標)エンジンとすることができる。ゲートウェイモジュール445-1C及び445-2Cは、
図1Aの前後関係で説明した如何なるタイプのゲートウェイモジュールとすることもできる。総権限サーバ410Cは、Liferay(登録商標)v6.1、JRE 1.6、Apache CXF、DOJO v1.8、MXGraph、Spring 3、Strophe、JQChart、JasperReports、True License、InstallAnyWhere及び/又はJPivot等の技術を利用し又は組み込むことができる。
【0102】
[0144] [コミッショニング]
[0145]
図1Aに関連して最初に説明したように、コミッショニングモジュール120は、例えば物理的構造内の環境条件を管理するシステム100Aにより実行されるコミッショニング処理に関わる。幾つかの実施態様によれば、該コミッショニング処理は
図5に示されたステップを有する。種々の他の実施態様において、当該処理におけるステップは、図示された順序で実行される必要はなく、1以上のステップは省略することができ、図示されていない1以上のステップを
図5に示した処理に追加することができる。これらステップは、1以上の装置が位置特定されるステップ500;コミッション済ユニットが生成されるステップ510;コミッション済ユニットが装置(例えば、センサ)又は他のコミッション済ユニットに結合されるステップ520;コミッション済ユニットがリンクされるステップ530;コミッション済ユニットがシステム100A等のシステム内で使用するために構成(設定)されるステップ540;及びコミッション済ユニットが必要に応じてプログラムされるステップ550を含む。
【0103】
[0146]
図5のステップ500において、システム100A等のシステムに関連付けられるべき装置が位置特定される。位置特定は、照明器具、センサ及びコントローラ等の装置のビル等の物理的構造物内の物理的位置へのマッピングである。ビル等の物理的構造物は、一般的に、階層構造に関連付けられる。例えば、構内は複数のビルを有し得、1つのビルは複数のフロアを有し得、1つのフロアは複数の部屋を有し得る。ステップ500の間において、センサ等の装置はビル内の特定の角又は部屋に関連付けられることにより位置特定される。更に、構造物内の装置及び空間は、該位置特定処理の間に機能と関連付けることができる。例えば、部屋には、小部屋(個室)オフィス、廊下、休憩室(トイレ)、会議室又は自由間取りオフィス等の機能を割り付けることができる。装置には、例えば、占有感知、光感知、光生成又は制御等の機能を割り付けることができる。コミッショニング処理の間において、ビル等の構造物のデジタル間取図を作成することもできる。幾つかの実施態様によれば、間取図は構造物の階層構造(例えば、フロア、フロア内の機能空間、機能空間内の装置及び装置の位置等)に関する全ての詳細を有することができる。間取図は、制御装置とコミッション済ユニットとの間の機能的リンクについての情報を含むこともできる。間取図は、コミッショニングモジュール120に関連する1以上のプロセッサにより実行されるコミッショニングツールにアクセスする権限のあるユーザにより対話的に作成することができ、その場合、該コミッショニングツールは当該構造物に関連する階層構造の種々のレベルを視覚的に示す。例示的なデジタル間取図が
図18に示されている。間取図は、全ての位置特定された装置及び斯かる装置の特性を視覚的に識別することもできる。
【0104】
[0147] 位置特定は、照明器具又は照明器具を有するコミッション済ユニット等の装置が点滅して自身の位置を識別するように駆動されることにも関係し得る。位置特定は、符号化光技術を用いて達成することもできる。一般的に、符号化光技術は、固有の識別子及び位置情報等の当該光源に関する情報を含むような光の非可視的変調を伴う。符号化光技術を用いて位置特定され得る装置の例は、限定無しで、領域コントローラ、ゲートウェイモジュール、照明器具、ILBセンサ、PoEセンサ、PoE手動制御ユーザインターフェース及びPoEスイッチを含む。位置特定処理の間に及び/又は後に、装置は自身の特性を、例えば
図1Aのコミッショニングモジュール120に関連するコミッショニングツールに報告することができる。照明器具は、例えば、自身のタイプを示す情報(例えばBBL、CCT、最大出力)、利用可能なセンサ、ハードウェアのバージョン、ソフトウェアのバージョン及び固有のIDを報告することができる。位置特定ステップ500の結果として、デジタル間取図は、種々の位置特定された装置を適切な位置に、これら装置の特性(例えば、タイプ、固有のID等)と一緒にグラフィック的に反映することができる。
【0105】
[0148] ステップ510においては、コミッション済ユニットが生成される。コミッション済ユニットは、システム100A等のシステム内において互いに関連付けられると共に、内部トリガ(当該コミッション済ユニット内から生じるトリガ)及び外部トリガ(当該コミッション済ユニットの外部で生じるトリガ)の特定の構成に従って挙動する1以上の装置を有する。トリガは、例えば、センサデータ、又は手動の若しくは中央の制御を含むことができる。1つの装置は、複数のコミッション済ユニットの一部であり得る。そして、コミッション済ユニットは、ビル等の物理的構造物内の階層構造を定義するために使用することができる。例えば、コミッション済ユニットは、(1)照明器具及びセンサ等の一群の装置、(2)1以上の個別の装置、又は(3)1以上のコミッション済ユニット及び個別の装置の組み合わせであり得る。コミッション済ユニットは、照明器具、センサ及びコントローラ等の1以上のグループの装置を有する領域(例えば、作業空間、部屋、廊下等)でもあり得る。
【0106】
[0149] 多くの実施態様において、コミッション済ユニットには1以上のテンプレートを割り当てることができる。テンプレートは、一組の環境条件を生成するために1以上の装置の動作を調整するように設計された予め定められたシステム設定又は装置パラメータ構成の集合である。大きな空間内で動作するシステム100A等の環境条件を管理するシステムは、異なる周囲状況(例えば、多い歩行者量、低占有度等)に対面する当該空間の異なる部分においては異なる照明及び他の環境条件を生成する必要があり得る。テンプレートは、普通に発生する周囲状況の下での斯かる異なる空間において装置の好ましい動作を捕らえるための効率的なメカニズムを提供する。テンプレートは、例えば、勤務時間の間のオフィスビルの廊下における最小の光レベルを指定することができる。
【0107】
[0150] 幾つかの実施態様において、ステップ510におけるユニットのコミッショニングは規則ベースのものであり得る。規則ベースのコミッショニングにおいては、複数の装置を、所定の規則に基づいて単一のコミッション済ユニットとしてコミッショニングすることができる。幾つかの斯様な実施態様において、当該規則は、コミッション済ユニットの大きさを、該ユニットの一部として含むことができる装置の数に関して示すことができる。更に、領域におけるシステムユーザの位置、及び該ユーザ、一時的又は永久的コミッション済ユニットの周辺の装置の寸法及び取付位置等の他の動的パラメータを形成することもできる。
図7は、規則ベースのコミッショニングの一実施態様を示し、ここで、中央の暗い点はシステムユーザを示す。この実施態様において、当該ユーザを囲む第1円形領域(作業領域710)内に少なくとも部分的に位置する装置は、1つのコミッション済ユニットを形成することができ、該ユーザを囲む上記第1円形領域の外側に位置する外側円形領域(隣接包囲領域720)内に主に位置する装置は他のコミッション済ユニットを形成することができる。各コミッション済ユニットは別個に制御することができ、同一の装置に対し、何の被コミッショニングユニットが関連するかに依存して、照明規則を異なって適用することができる。
【0108】
[0151] 他の実施態様において、ステップ510におけるユニットのコミッショニングは固定のものとすることができる。固定のコミッショニングにおいては、例えば自由間取りオフィス等の区域を専用の区域(例えば、作業区域、廊下、装飾区域等)に論理的に分割すると共に、これら専用区域に位置特定された装置を有する1以上のコミッション済ユニットを生成することにより、事前にコミッショニングされたユニット又はグループが形成される。
図6は、自由間取り部屋の専用区域(3つの作業区域、装飾区域及び廊下区域)への論理分割並びに各専用区域内の照明器具の位置及び空間構造に基づいて形成された幾つかのコミッション済ユニット(例えば、作業グループA、B及びC;装飾グループA;並びに廊下グループA)を示す。ステップ510のコミッション済ユニットの形成は、以前にコミッショニングされたユニットへの装置(例えば、照明器具、制御部及びセンサ等)の追加及び新たにコミッショニングされたユニットの既存のコミッション済ユニットへのリンクも含む。リンクは、ステップ530に関して後述する。
【0109】
[0152] 複数の装置を単一のコミッション済ユニットにグループ化することは、環境条件の効率的な管理を可能にする。例えば、複数のIP照明器具及び該照明器具に関連するセンサが、テーブル面等の特定の作業区域を照明する責任を負う場合があり得る。当該コミッション済ユニットにおける各IP照明器具に個別にコマンドを発する又は異なるセンサの各々に関してセンサデータを個別に監視する代わりに、システム100A等のシステムは、照明等の環境条件を調整するために必要とされる場合に各コミッション済ユニットに対する1つのコマンドを送出することができ、これは、何らかの必要な処理の後に、当該コミッション済ユニット内の全ての照明ユニットに供給することができる。同様に、当該コミッション済ユニット内の複数のセンサからのセンサデータは、個々のセンサからのセンサデータを繰り返しレポートする代わりに、環境マネージャモジュール110等のシステム100Aのモジュールに集計でレポートすることができる。
【0110】
[0153] ステップ520において、照明又はHVAC装置を有するコミッション済ユニットは、制御及びセンサ装置又は斯様な装置を有するコミッション済ユニットに結合(バインド)される。先に説明したコミッショニングツールは、多くの実施態様において、権限のあるユーザ(例えば、コミッショニング技術者)がコミッション済ユニットに関連付けるためのセンサ(例えば、占有センサ、光センサ等)を選択することを可能にする。コミッション済ユニットを特定のセンサ又はセンサのタイプに結合することは、占有ベースの又は昼光ベースの環境制御に加わるのに適したコミッション済ユニットを形成することを可能にする。これらの制御メカニズムは、後に
図8~
図17に関連して説明される。
【0111】
[0154]
図5に示された処理の多くの実施態様において、権限のあるユーザ(例えば、コミッショニング技術者)は複数の占有センサを同一のコミッション済ユニットに結合することができる。このような構成において、当該コミッション済ユニットは、占有ベースの制御下にある場合、結合されたセンサのうちの1つだけが占有を感知した場合にも占有された挙動を示すように指示され得る一方、結合されたセンサの全てが占有を感知しない場合にのみ占有されていない挙動を示すよう指示され得る。ユーザは複数の昼光センサを同一のコミッション済ユニットに結合することもできる。このような構成において、前述したコミッショニングツールは、権限を有するユーザが、斯かる複数の昼光センサから生じる複数の光関連イベントがどの様に統合及び/又は処理されるかを構成(設定)することを可能にすることもできる。該コミッショニングツールは、種々の実施態様において、権限のあるユーザが手動及びパーソナルコントローラ(固定及びモバイルの両方)をコミッション済ユニットに結合することを可能にする。このことは、手動で制御可能なコミッション済ユニットの形成を可能にすると共に、各コントローラ装置に対する制御範囲の割り当てを可能にする。この結果、建物内の種々のコントローラから受信される制御リクエストの効率的な管理、及び該建物内の環境条件の効率的な管理の全体的な向上が得られる。
【0112】
[0155] ステップ530において、コミッション済ユニットはリンクされる。コミッション済ユニットをリンクすることは、通常、メモリ内でコミッション済ユニットを関連付けることを要する。一旦リンクされると、或るコミッション済ユニットは、該コミッション済ユニットがリンクされた他のコミッション済ユニットの挙動に影響を及ぼすことができる。例えば、第1のコミッション済ユニットが当該領域の唯一の残存占有者が離れた際に自身の電灯をオフするか否かは、隣接する領域に照明を供給する他のリンクされたコミッション済ユニットがオフされているか否かに依存し得る。多くの実施態様において、照明器具を有する第1コミッション済ユニットが照明器具を有する第2コミッション済ユニットにリンクされ、第1ユニットが占有を検出した場合、第2ユニットにより生成される光は、該検出された占有に応答して予め設定された連動される光レベルに移行し得る。従って、コミッション済ユニットをリンクすることは、これら空間内の種々の領域に広がる複数のコミッション済ユニットの応答を1つのみの領域において変化(例えば、占有度の変化)が検出された場合に協調させることにより、より大きな空間(例えば、大きな間仕切りのないオフィス空間)における環境条件を当該システムが適切に制御することを可能にする。
【0113】
[0156] 幾つかの状況下において、複数のコミッション済ユニットの振る舞いを協調させることは、建物内の大きな無仕切り空間の占有者に対して快適な環境を提供するために必要となり得る。例えば、自由間取りオフィス空間内の小部屋オフィス内に少数の占有者しか残存していない場合、該オフィス空間の占有されていない領域における照明をオフすることはエネルギ効率的であろう。同時に、当該占有された小部屋オフィスに隣接する領域及び幾つかの共通廊下領域における照明が、該自由間取りオフィス空間の残存する占有者にとっての孤立感を避けるために維持されることを保証することは有益であり得る。
【0114】
[0157] ステップ530においては、コミッショニングツールも、権限のあるユーザがコミッション済ユニットを1以上のHVACグリッド又は領域にリンクすることを可能にし得る。多くの実施態様において、単一のHVAC領域又はグリッドは複数の照明グループを有し得る。このような実施態様において、斯かる複数の照明グループに関連するセンサは、上記単一のHVAC領域又はグリッドのHVAC領域識別子と関連付けることができる。このような構成が動作状態の場合、上記複数の照明グループ内のコミッション済ユニットからのセンサ情報は、上記単一のHVAC領域又はグリッドに関連するHVAC領域コントローラに転送することができる。
【0115】
[0158] ステップ540は、コミッショニングされるユニットの種々の構成(設定)可能なパラメータが、例えば、前記コミッショニングツールを用いて指定される構成ステップである。このようなパラメータは、コミッション済ユニットのデフォルトの挙動を種々の条件下で制御することができる。該構成ステップの間において、テンプレートをコミッショニングされるユニットに割り当て又は該ユニットから関連を解くことができ;コミッショニングされるユニットの起動動作を指定することができ;制御オプションを可能化又は不能化することができ;タイミングパラメータ(例えば、フェード時間、滞留時間、保持時間、猶予フェード時間、スマート時間)を指定することができ;占有関係パラメータ(例えば、占有された場合の最大光レベル、占有された場合の最小光レベル等)を指定することができ;一般照明パラメータ(例えば、背景光レベル、作業光レベル等)を指定することができ;ユーザ制御パラメータ(例えば、調光ステップ、調光速度、保持時間等)を指定することができ;異なる制御オプション(例えば、占有ベースの制御、昼光ベースの制御、手動制御、パーソナル制御及び中央制御等)に関連する優先レベルを設定することができる。このステップの間において、システム100Aの例えばコミッショニングモジュール120に関連付けられたコミッショニングツール、又はシステム100Aの例えば環境マネージャモジュール110に関連付けられた中央ダッシュボードは、ユーザ(例えば、施設管理者)がコミッショニングされる装置又はユニットに関する該ユーザの資格レベル外でありそうな特定のパラメータを指定及び/又は調整することを選択的に不能にすることができる。このステップの間において、権限のあるユーザは、アプリケーション動作テンプレートを何れのコミッショニングされるユニットに関連付けることもできる。アプリケーション動作テンプレートは、特定のアプリケーションに適したパラメータ又は他の構成値の集合である。
【0116】
[0159] コミッショニング処理を一層効率的にするために、前記コミッショニングツール及び/又は中央ダッシュボードは、複数のコミッショニングされるユニットの同時構成も可能にする。例えば、ユーザは2以上のコミッショニングされるユニットに他のコミッション済ユニットに対して以前に選択されたものと同一の構成設定を受信させることを選択することができる。ユーザは、或る装置又はコミッション済ユニットからの構成設定をコピーし、他のものに貼り付けるためにコミッショニングツールを使用することもできる。種々の実施態様において、コミッショニングツール又は中央ダッシュボードは、何れかの装置又はコミッション済ユニットの構成されたパラメータを工場のデフォルト設定等の以前の設定に戻すために使用することもできる。更に、コミッショニングツールは、センサ及び制御部に対するリンクを削除するために使用することができる。コミッショニングツールは、権限のあるユーザがセンサ(例えば、昼光センサ)を手動で又は自動で校正することを可能にすることもできる。センサが校正している間、当該システムの残部とは通信することができないであろう。校正されるセンサは、一旦成功裏に校正されたなら、視覚的又は他のフィードバックを供給することができる。
【0117】
[0160] ステップ550は、ユーザが1以上のコミッショニングされるユニットに、該コミッショニングされたユニットが必要ならテンプレートに従って動作することができるように、テンプレートを作成し、割り当てることができるプログラミングステップである。例えば、ユーザはコミッショニングツールを使用して、コミッショニングされるユニットのための特定の照明シーンのテンプレートを、該コミッショニングされるユニット内に含まれる種々の照明器具のための照明パラメータを指定することにより作成することができる。このような照明シーンは、その後、会議区域が非占有状態から占有状態に移行した場合に当該コミッション済ユニットに関連する会議区域におけるデフォルトのシーンとして使用することができる。幾つかの実施態様において、コミッショニングツールは、ユーザがコミッション済ユニットの現在の照明設定を新たなシーンとして保存することを可能にすることができる。コミッション済ユニットは、特定の占有条件、昼光条件の下等の異なる状況の下で、及び/又は一日の特定の時間において適用するための複数の関連するシーンを有することができる。
【0118】
[0161] [遠隔再コミッショニング]
[0162] 幾つかの実施態様において、前記中央ダッシュボードは、権限のあるユーザが以前にコミッショニングされたユニットを遠隔的に再コミッショニングすることを可能にすることができる。再コミッショニングを実行するために、中央ダッシュボードは、当該装置が収容されている物理的構造物の表示されたデジタル間取図上で該再コミッショニングされるべきユニットを検索及び位置特定するためのユーザインターフェース手段を提供することができる。ユーザは、コミッション済ユニットをユニットのタイプ、当該構造物内の位置、識別番号又は他の情報を用いて検索することができる。ユーザの検索規準に合致するコミッション済ユニットは、その後、表示され、ユーザにより選択することができる。コミッション済ユニット又は装置が、遠隔的再コミッショニングのために選択され又はそれ以外で識別されたなら、ユーザは、該ユニット又は装置に関連付けられた種々のパラメータを見ると共に編集することが可能にされ得る。当該中央ダッシュボードは、ユーザが、当該ユニット又は装置を或るコミッション済ユニットに対して関連付けを解くと共に該装置又はユニットを別の装置又はユニットに再関連付けることも可能にし得る。
【0119】
[0163] [環境条件の管理-自動的制御]
多くの実施態様によれば、ビル等の構造物内の環境条件は占有者に最適な条件(例えば、照明、温度、空気の流れ等)を提供すると同時にエネルギを節約するように監視及び管理される。本項目は、環境条件の占有及び昼光に基づく(占有ベース及び昼光ベースの)制御に焦点を合わせる。以下に説明する実施態様の多くは事前にプログラムされた論理及びシステムパラメータに依存するが、他の実施態様は、光レベル及び温度等の条件をリアルタイムに監視し、当該空間の占有者若しくは遠隔ユーザからフィードバック及び/又は命令を受信し、それに応じて環境条件を調整することにより動作する。
【0120】
[0164] [占有ベースの制御]
[0165] 環境条件の占有に基づく制御は、空間内の占有度の変化に反応して自動的に行われる。しかしながら、占有ベースの制御メカニズムは、多くの実施態様では、手動、中央又はパーソナル(個人的)制御メカニズムと共に適用することができる。以下の項目では、各図の説明において参照される構成(設定)可能なパラメータに関する詳細が、図の説明自体の前に示される。
【0121】
[0166] [構成可能なパラメータ:占有時最大値及び占有時最小値]
[0167] 前記コミッショニングツールを用いて、コミッショニング技術者等の権限のあるユーザは、占有された空間に関連付けられたコミッション済ユニットによる出力される最大及び最小の光を示すパラメータを構成(設定)することができる。幾つかの実施態様において、関連する領域が占有された場合に出力されるべき最大光を示すパラメータ(MaxWhenOccupied)及び該関連する領域が占有された場合に出力されるべき最小光を示すパラメータ(MinWhenOccupied)は、各々、出力能力の0%と100%との間のパーセント値に設定することができる。しかしながら、パラメータ占有時最大値(MaxWhenOccupied)は、符号化光技術を用いる幾つかの実施態様においては、90%を超える値に設定することはできない。同様に、パラメータ占有時最小値(MinWhenOccupied)は、符号化光技術を用いる幾つかの実施態様においては、25%より低い値に設定することはできない。これらの制限は、幾つかの実施態様において、符号化光技術の要件及び/又は照明器具の物理的制限を考慮するために必要とされ得る。
【0122】
[0168] [構成可能なパラメータ:光レベル1及び光レベル2]
[0169] 光レベル1(LightLevel1)及び光レベル2(LightLevel2)は、環境条件の占有ベースの制御に関連する構成可能なパラメータである。多くの実施態様において、光レベル1(LightLevel1)は低い背景レベルの照明を供給するための光レベルを示す一方、光レベル2(LightLevel2)は一層高い作業レベルの照明を供給するための光レベルを示す。LightLevel1パラメータに対するデフォルト値は300luxとすることができる一方、LightLevel2パラメータに対するデフォルト値は500luxとすることができる。権限を有するユーザは、これらパラメータを設定及び/又は変更するために、前記コミッショニングツール、中央ダッシュボード又は他の手動若しくはパーソナルコントローラを使用することができ得る。種々の実施態様において、これらパラメータは、MinWhenOccupied及びMaxWhenOccupiedに関連する値に追随することができる。
【0123】
[0170]
図8は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていなかった空間における占有の検出に応答するための占有ベースの制御方法800を示す。該方法は、ステップ810~840を有する。方法800は、例えば、
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A及び100Bの構成要素により実行することができる。ステップ810において、センサ入力が受信される。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は動きセンサ等の任意のタイプの占有センサとすることができる。該センサ入力は、当該センサ自体により又は
図1A又は
図1Bに図示された1以上のモジュール(例えば、環境マネージャモジュール110、ゲートウェイモジュール130又はIP照明器具150)により処理するために受信することができる。ステップ820においては、上記センサ入力が処理され、指定された区域が非占有状態(例えば、如何なる占有者も居ない)から占有状態(例えば、少なくとも1人の占有者が居る)へ移行したかの判定がなされる。ステップ830において、ステップ820でなされた判定に応答して、少なくとも1つの照明器具が予め設定された反応期間内に照明を供給しない状態から予め設定された背景レベルの照明(例えば、LightLevel1)を供給する状態に移行する。幾つかの実施態様においては、占有状態の変化を感知したセンサに一層密に関連する照明器具(例えば、当該センサを収容する又は該センサに物理的に近い照明器具)が、先ず背景レベルの照明に移行する。上記少なくとも1つの照明器具は、単一のコミッション済ユニット、又は指定された区域の範囲内の若しくは該区域にそれ以外で関連する複数のコミッション済ユニットの一部とすることができる。
【0124】
[0171] ステップ840において、指定された区域に関連する複数の照明器具は群状照明効果を発生する。群状照明効果は、複数の照明器具が、各々、一層高いレベルの光に切り換わるが、各照明器具が斯かる移行を行う時点が該移行を行う第1照明器具からの距離に従って生じる場合に生成される。第1照明器具に一層近い照明器具が、該第1照明器具から一層遠く離れた照明器具よりも一層早く高い光レベルへの移行を実行する。このことは、特定の原点から空間にわたって光が“広がる”効果を生成する。幾つかの実施態様において、斯かる群状効果は、一旦開始すると、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールからの更なる調整なしで生じ得る。例えば、IP照明器具140は自身の光源(例えば、光源140-2)を一層高いレベルの光を生じるように切り換えさせることができるのみならず、近くに位置するが第1照明器具から更に離れた他のIP照明器具(例えば、IP照明器具150)と例えば自身の制御モジュール(例えば、制御モジュール140-3)及びリンクL7を介して通信し、IP照明器具150が次いで自身の光源(例えば、光源150-2)を切り換えて一層高いレベルの光を生成するようにさせることもできる。他の実施態様においては、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等の他のシステムモジュールが、例えば各照明器具にオンするように又は一層高いレベルの光を生成するように選択的に命令することにより、上記群状効果を協調させることができる。
【0125】
[0172] [構成可能なパラメータ:連結光レベル]
[0173] 連結光レベル(InterlinkedLightLevel)は、環境条件の占有ベースの制御に関連する構成可能なパラメータである。多くの実施態様において、該パラメータは、コミッション済ユニットにより、該コミッション済ユニット自体によってではなく1以上のリンクされたコミッション済ユニットにより占有が検出された場合に生成される光のレベルを表す。多くの実施態様において、InterlinkedLightLevelパラメータは、照明器具の出力の0%~100%の範囲であり、1%の細分度で構成(設定)することができる。如何なるコミッション済ユニットに対しても前記コミッショニングツールを、該InterlinkedLightLevelを構成するために使用することができ、前記中央ダッシュボード又は手動若しくはパーソナルコントローラを、1以上のコミッション済ユニットに対して該パラメータを再設定(reset)するために使用することができる。
【0126】
[0174]
図9Aは、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていた空間における占有の欠如の検出に応答するための占有ベースの制御方法900Aを示す。該方法は、ステップ910A~940Aを有する。方法900Aは、例えば、
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素により実行することができる。
図9Aの方法は、リンク(連結)されたコミッション済ユニットの間で占有情報を通知するために使用することができ、該情報はエネルギ節約を達成するために使用することができる。
【0127】
[0175] ステップ910Aにおいて、センサ入力が受信される。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は動きセンサ等の任意のタイプの占有センサとすることができる。該センサ入力は、当該センサ自体により又は
図1A又は
図1Bに図示された1以上のモジュール(例えば、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130)により処理するために受信することができる。ステップ920Aにおいては、上記センサ入力が処理され、指定された区域が占有状態(例えば、少なくとも1人の占有者が居る)から非占有状態(例えば、占有者が居ない)へ移行したかの判定がなされる。ステップ930Aにおいては、少なくとも指定された区域における照明器具コントローラに又は照明器具コントローラに関連するコミッション済ユニットによりアクセス可能な1以上のメモリが、該指定された区域が非占有状態に移行したことを反映するように更新される。多くの実施態様において、該1以上のメモリは、環境マネージャモジュール110及びゲートウェイモジュール130等の他のシステムモジュールにもアクセス可能とすることができる。
【0128】
[0176] ステップ940Aにおいて、指定された区域に関連付けられた複数の照明器具又は照明ユニットは、InterlinkedLightLevelで照明を供給するように移行される。当該指定された区域との関連付けは、上記複数の照明器具又は照明ユニットが、該指定された区域の範囲内のコミッション済ユニットに連結された1以上のコミッション済ユニットに属することにより生じ得る。多くの実施態様において、上記複数の照明器具又は照明ユニットは、当該指定された区域における少なくとも1つのIP照明器具又は少なくとも1つのコミッション済ユニットにアクセス可能である。該複数の照明器具又は照明ユニットは、同一のコミッション済ユニット又はコミッショニング処理の間にリンクされた異なるコミッション済ユニットの一部であり得る。幾つかの実施態様において、InterlinkedLightLevelへ移行させるためのコマンド又は命令は、或るIP照明器具(例えば、システム100AのIP照明器具140)から他の通信的にリンクされたIP照明器具(例えば、システム100AのIP照明器具150)に、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等の1以上の中央システムモジュールからの調整無しに伝達され得る。幾つかの他の実施態様において、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130は、指定された区域内のコミッション済ユニットに連結された各コミッション済ユニットに、InterlinkedLightLevelを発生するように命令することができ、該コミッション済ユニットの一部である各IP照明器具は、その後、自身の照明器具をInterlinkedLightLevelに移行させることができる。幾つかの実施態様において、指定された区域の範囲内の第1コミッション済ユニットにリンクされた第2コミッション済ユニットは、該第2コミッション済ユニットが占有されている他の区域の範囲内でない場合にのみ、自身の照明器具又は照明ユニットをInterlinkedLightLevelに切り換えることができる。
【0129】
[0177]
図9Bは、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていなかった空間における占有の検出に応答するための占有ベースの制御方法900Bを示す。該方法は、ステップ910B~940Bを有する。方法900Bは、例えば、
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素により実行することができる。
【0130】
[0178] ステップ910Bにおいて、占有センサは指定された区域が非占有状態から占有状態へ移行したことを示すデータを生成する。ステップ920Bにおいて、第1のリンクされたコミッション済ユニットに関連する少なくとも第1照明器具は、上記センサデータの生成に続く所定の反応期間内に背景レベルの照明を発生する。該第1のリンクされたコミッション済ユニットは、複数のコミッション済ユニットにリンクすることができ、本明細書で説明する環境条件を管理するシステムの構成要素であり得る。ステップ930Bにおいて、該第1のリンクされたコミッション済ユニットは、指定された区域の状態変化を示すデータを送信する。幾つかの実施態様において、該状態変化を示すデータは、上記第1のリンクされたコミッション済ユニットから、該ユニットがリンクされた他のコミッション済ユニットへ、又は環境マネージャモジュール110若しくはゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールへ直接送信することができる。該第1のリンクされたコミッション済ユニットは、他のシステムモジュール又はコミッション済ユニットによりアクセス可能なメモリを、該状態変化を示すデータにより更新することによって上記データを送信することもできる。ステップ940Bにおいて、上記第1のコミッション済ユニットにリンクされた第2のコミッション済ユニットは上記状態変化を示すデータを受信し、第2の照明器具又は照明ユニットに自身の照明を変化させる。幾つかの実施態様においては、第2のコミッション済ユニット自身が、当該状態変化を示すデータを、例えば、第1のコミッション済ユニットが該状態変化を示すデータにより更新したメモリ又はシステムモジュールから取り出す。第2照明器具又は照明ユニットは自身の照明を、例えば、自身が発生する光レベル又は光の輝度を増加若しくは減少させて、自身が発生する光のカラー若しくは色温度を変更して、又は自身が発生する光の方向を変更して変化させることができる。自身の照明の所望の変更は、第2のコミッション済ユニット自体に記憶することができ、又は環境マネージャモジュール110若しくはゲートウェイモジュール130等の他のシステムモジュールから受信することができる。
【0131】
[0179] [構成可能なパラメータ:猶予フェーディング及びフェード時間]
[0180] 猶予フェーディング(GraceFading)パラメータは、或る環境条件(例えば、光レベル)から他のものへの移行の際に、フェード時間(FadeTime)内に行うフェード効果がコミッション済ユニットにより実行されるか否かを示す。該パラメータは、フェード効果を実行することができる何れかのコミッション済ユニットに対して可能化又は不能化することができる。何れかのコミッション済ユニットに対して猶予フェーディング及びフェード時間を設定するために前記コミッショニングツール又は中央ダッシュボードを使用することができ、コミッション済ユニットに対する該パラメータを再設定するために中央ダッシュボード又は他の手動若しくはパーソナルコントローラを使用することができる。
【0132】
[0181]
図10は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていた空間における占有の欠如の検出に応答するための他の占有ベースの制御方法1000を示す。該方法は、ステップ1010~1040を有する。方法1000は、
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素により実行することができる。
図10の方法は、リンクされたコミッション済ユニットの間でエネルギ節約を達成することができるように占有情報を通知するために使用することができる。
【0133】
[0182] ステップ1010において、センサ入力が受信される。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は動きセンサ等の任意のタイプの占有センサとすることができる。該センサ入力は、当該センサ自体により又は
図1A又は
図1Bに図示された1以上のモジュール(例えば、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130)により処理するために受信することができる。ステップ1020においては、上記センサ入力が処理され、指定された区域が占有状態(例えば、少なくとも1人の占有者が居る)から非占有状態(例えば、占有者が居ない)へ移行したかの判定がなされる。ステップ1030においては、少なくとも指定された区域におけるIP照明器具又はコミッション済ユニットによりアクセス可能な1以上のメモリが、該指定された区域が非占有状態に移行したことを反映するように更新される。多くの実施態様において、該1以上のメモリは、環境マネージャモジュール110及びゲートウェイモジュール130等の他のシステムモジュールにもアクセス可能とすることができる。
【0134】
[0183] ステップ1040において、指定された区域に関連する複数の照明器具又はコミッション済ユニットは、フェード効果に従ってオフされる。斯かる複数の照明器具又はコミッション済ユニットは、指定された区域に含まれる1以上のコミッション済ユニットにリンクされることにより該指定された区域に直接的に又は間接的に含まれ得る。該複数の照明器具は、同一のコミッション済ユニット又はコミッショニング処理の間にリンクされた異なるコミッション済ユニットの一部であり得る。
【0135】
[0184] フェード効果は、1以上の照明器具又は照明ユニットが、該照明器具又は照明ユニットが実効的に照明を発生しなくなるまで、より低いレベルの光を生じるように徐々に移行させることを伴い得る。幾つかの実施態様において、コミッション済ユニットは、特定のパラメータ(例えば、猶予フェーディング)が該ユニットに対して可能化された場合にのみフェード効果に従うことができる。フェード効果に関する他の詳細(例えば、現在の光レベルを供給している状態からオフ状態に関連する光レベルまで移行させるのに要する時間量等)は、コミッション済ユニット毎に設定することができる。従って、複数の照明器具又は照明ユニットをオフ状態に移行させるためにステップ1040に加わる各コミッション済ユニットは、自身のバージョンのフェード効果を実行することができる。幾つかの実施態様において、オフ状態に移行させるためのコマンド又は命令は、指定された区域の範囲内の各コミッション済ユニットにより環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等の中央システムモジュールから受信することができる。斯かるコマンドは、その後、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールからの更なる調整なしで、処理されると共に各コミッション済ユニットの或るIP照明器具(例えば、システム100AのIP照明器具140)から他の通信的にリンクされたIP照明器具(例えば、システム100AのIP照明器具150)に伝送することができる。
【0136】
[0185] [構成可能なパラメータ:保持期間]
[0186] 保持期間(HoldPeriod)は、環境条件の占有ベースの制御に関連する構成可能なパラメータである。多くの実施態様において、保持期間(HoldPeriod)は、当該システムが、判定された条件が正しい又は依然として適用可能であることを保証するために必要とされる期間である。該パラメータは、一時的な占有度の変化が環境条件に対する頻繁な及び不必要な調整につながることを回避する助けとなる。例えば、区域が空きになったことをセンサが最初に示した後であって、これらセンサが、該保持期間が経過した後に依然として空きを示す場合、このことは、監視された該区域が本当に空き状態であり、該空き状態は占有者が該監視された区域の外側に一時的に出た結果ではないことを大きな尤度で意味する。多くの実施態様において、該保持期間は1~35分の範囲であり、15分のデフォルト値とすることができる。手動コントローラは、ユーザが該保持期間を1分の細分度で変化させることを可能にする。何れかのコミッション済ユニットに対して該保持期間を設定するために前記コミッショニングツールを使用することができ、1以上のコミッション済ユニットに対する該保持期間を再設定するために前記中央ダッシュボード又は他の手動若しくはパーソナルコントローラを使用することができる。
【0137】
[0187] [構成可能なパラメータ:猶予期間]
[0188] 猶予期間(GracePeriod)は、環境条件の占有ベースの制御に関連する設定可能なパラメータである。多くの実施態様において、該パラメータは、判定された検出された環境条件が特定の期間の経過後も依然として存続することを当該システムが保証するために必要とされる時間を示す。幾つかの実施態様において、猶予期間(GracePeriod)は、前記保持期間(HoldPeriod)が経過した後に開始されて、検出された占有度の変化が一層長い期間にわたり持続しているかを判定するためにセンサ出力が監視される追加の継続時間を提供するための追加の期間である。多くの実施態様において、該猶予期間は0~25秒の範囲とすることができ、5秒のデフォルト値とすることができる。手動コントローラはユーザが該猶予期間を1秒の細分度で変化させることを可能にすることができる。何れかのコミッション済ユニットに対して該猶予期間を設定するために前記コミッショニングツールを使用することができ、1以上のコミッション済ユニットに対する該猶予期間を再設定するために前記中央ダッシュボード又は他の手動若しくはパーソナルコントローラを使用することができる。
【0138】
[0189] [構成可能なパラメータ:延長期間]
延長期間(ProlongPeriod)は、環境条件の占有ベースの制御に関連する設定可能なパラメータである。多くの実施態様において、該パラメータは、判定された検出された環境条件が特定の期間の経過後も依然として存続することを当該システムが保証するために必要とされる時間を示す。幾つかの実施態様において、延長期間(ProlongPeriod)は、第1猶予期間(GracePeriod)が経過した後に開始されて、検出された占有度の変化が一層長い期間にわたり持続しているかを判定するためにセンサ出力が監視される追加の継続時間を提供するための追加の期間である。多くの実施態様において、該延長期間は、或る領域の照明器具又は照明ユニットをオフする直前に該領域の非占有状態を確かめるための追加の予防手段として使用される。手動コントローラは、ユーザが該延長期間を特定の細分度で手動により変化させることを可能にすることができる。何れかのコミッション済ユニットに対して該延長期間を設定するために前記コミッショニングツールを使用することができ、1以上のコミッション済ユニットに対する該延長期間を再設定するために前記中央ダッシュボード又は他の手動若しくはパーソナルコントローラを使用することができる。
【0139】
[0190]
図11は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていた空間における占有の欠如の検出に応答するための占有ベースの制御方法1100を示す。該方法は、占有状態を確認するために保持期間、猶予期間及び延長期間の使用を含む。該方法は、ステップ1110~1160を有する。方法1100は、
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素により実行することができる。ステップ1110においては、センサ入力が処理されて、指定された区域が占有状態(例えば、少なくとも一人の占有者が居る)から非占有状態(占有者が居ない)へ移行したかを判定する。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は動きセンサ等の任意のタイプの占有センサとすることができる。該センサ入力は、当該センサ自体により又は
図1A又は
図1Bに図示された1以上のシステムモジュール(例えば、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130)により処理することができる。上記判定の結果が否定的である(例えば、占有状態から非占有状態への移行はない)場合、何の行動もとられない。上記判定の結果が肯定的である(例えば、指定された区域が占有状態から非占有状態へ移行した)場合、該指定された区域に関連するセンサ入力が監視される保持期間が開始されるが、ステップ1110における該判定による環境条件の変更はなされない。該保持期間の終了時に、ステップ1115において、該保持期間の全体にわたり当該指定された区域が占有されないままであったことを当該センサ入力が示したかの判定がなされる。ステップ1115における該判定が否定的である(例えば、指定された区域が保持期間内の或る時点で占有された)場合、該指定された区域の非占有状態は確認されない。多くの実施態様において、当該保持期間における如何なる時点の間でも、指定された区域での占有を示すセンサ入力の結果、該指定された区域の非占有状態は確認されないこととなるであろう(即ち、これらの実施態様において、当該保持期間の終了時におけるステップ1115の判定は必要ないであろう)。これらの状況下では、ステップ1110又は1115での判定による環境条件の変更はなされない。
【0140】
[0191] ステップ1115における上記判定が肯定的である(例えば、指定された区域が保持期間を通して占有されなかった)場合、当該制御はステップ1125に移る。ステップ1125においては、当該指定された区域に関連する複数の照明器具、照明ユニット又は光源が、各々、フェード効果に従って一層低い光レベルへの移行を開始する一方、該指定された区域に関連するセンサ入力が監視される猶予期間が開始される。多くの実施態様において、上記複数の光源は、各々、当該指定された区域における少なくとも1つのIP照明器具にアクセス可能である。これら複数の照明器具、照明ユニット又は光源は、同一のコミッション済ユニット又は異なるがリンクされたコミッション済ユニットの一部とすることもできる。該猶予期間の終了時においては、ステップ1135において、該猶予期間の全体にわたって当該指定された区域が非占有状態に留まったことを前記センサ入力が示したかについての判定がなされる。該判定の結果が否定的である(例えば、指定された区域が猶予期間の間に占有状態になった)場合、当該制御はステップ1130に移り、ステップ1125において一層低い光レベルへの移行を開始した複数の照明器具、照明ユニット又は光源は、フェード効果に従って、以前の(一層高い)光レベルに戻る移行を開始する。多くの実施態様において、当該猶予期間における如何なる時点の間でも、指定された区域での占有を示すセンサ入力の結果、該指定された区域の非占有状態は確認されないこととなるであろう(即ち、これらの実施態様において、当該猶予期間の終了時におけるステップ1135の判定は必要ないであろう)。これらの状況は、指定された区域の非占有状態が確認されないことを示す。
【0141】
[0192] ステップ1135における上記判定の結果が肯定的である(例えば、指定された区域が猶予期間の間に非占有状態のままであった)場合、ステップ1140において、当該複数の照明器具は、一層低い光レベルへの移行を、該移行が未だ完了されていない場合、完了することを許可される。該複数の照明器具、照明ユニット又は光源が上記一層低い光レベルへ移行されたなら、延長期間が開始される。
【0142】
[0193] 該延長期間の終了時においては、ステップ1145において、該延長期間の全体にわたって当該指定された区域が非占有状態に留まったことを前記センサ入力が示したかについての判定がなされる。該判定の結果が否定的である(例えば、指定された区域が延長期間の間に占有状態になった)場合、当該制御はステップステップ1130に移り、ステップ1125において一層低い光レベルへの移行を開始した複数の照明器具、照明ユニット又は光源は、フェード効果に従って、以前の(一層高い)光レベルに戻る移行を開始する。多くの実施態様において、当該延長期間における如何なる時点の間でも、指定された区域での占有を示すセンサ入力の結果、該指定された区域の非占有状態は確認されないこととなるであろう(即ち、これらの実施態様において、当該延長期間の終了時におけるステップ1145の判定は必要ないであろう)。ステップ1145における上記判定の結果が肯定的である(例えば、指定された区域が延長期間の間に非占有状態に留まった)場合、ステップ1150において、当該複数の照明器具、照明ユニット又は光源はフェード効果に従ってオフ状態に関連する光レベルへの移行を開始する一方、第2猶予期間が開始される。多くの実施態様において、当該フェード効果に関連する時間量(例えば、照明器具が、制御するフェード効果に従って別の光レベルに移行するのに掛かる時間)は、コミッション済ユニットの照明器具、照明ユニット又は光源がステップ1150において開始される第2猶予期間の完了前にオフ状態に関連する光レベルに移行しないように自動的にリセットすることができる。他の例として、コミッション済ユニットの照明器具、照明ユニット又は光源が当該フェード効果の完了に近いが、当該猶予期間が未だ経過していない場合、該照明器具、照明ユニット又は光源は当該移行を、ステップ1150で開始された猶予期間が経過するまで完了することを待つこともできる。
【0143】
[0194] ステップ1150で開始された第2猶予期間の終了時においては、ステップ1155において、該第2猶予期間の全体にわたって当該指定された区域が非占有状態に留まったことを前記センサ入力が示したかについての判定がなされる。該判定の結果が否定的である(例えば、指定された区域が該猶予期間の間に占有状態になった)場合、当該制御はステップ1130に移り、ステップ1150においてオフ状態に合致する光レベルへの移行を開始した複数の照明器具、照明ユニット又は光源は、フェード効果に従って、元の(一層高い)光レベルに戻る移行を開始する。多くの実施態様において、当該第2猶予期間における如何なる時点の間でも、指定された区域での占有を示すセンサ入力の結果、該指定された区域の非占有状態は確認されないこととなるであろう(即ち、これらの実施態様において、当該第2猶予期間の終了時におけるステップ1155の判定は必要ないであろう)。ステップ1155における上記判定の結果が肯定的である(例えば、指定された区域が第2猶予期間の間に非占有状態に留まった)場合、ステップ1160において、当該複数の照明器具、照明ユニット又は光源は、オフ状態に合致する光レベルへの移行を完了するように進む。
【0144】
[0195] [構成可能なパラメータ:滞留期間]
滞留期間(DwellPeriod)は、環境条件の占有ベースの制御に関連する構成可能なパラメータである。多くの実施態様において、該パラメータは、ユーザが空間を単に通過するというより該空間に居ることを当該システムが保証するために要する時間を示す。当該空間が該滞留期間にわたって占有された場合、このことは、当該領域におけるコミッション済ユニット(又は複数のユニット)が該空間内での一層長い占有の尤度を推定することができると共に一層高い照明レベルを供給するように移行することができることを示す。多くの実施態様において、該滞留期間は、0~30秒の範囲とし、10秒のデフォルト値とすることができる。手動コントローラは、ユーザが該滞留期間を1秒の細分度で変化させることを可能にし得る。何れかのコミッション済ユニットに対して該滞留期間を構成するために前記コミッショニングツールを使用することができる一方、1以上のコミッション済ユニットに対して該滞留期間を再設定するために前記中央ダッシュボード又は他の手動若しくはパーソナルコントローラを使用することができる。
【0145】
[0196] 幾つかの実施態様において、第1の占有イベントの検出に続く、該滞留期間の間の占有イベントは無視される。このような実施態様において、占有イベントは滞留期間が経過した後にのみ監視される。このような実施態様において、滞留期間が経過した時点と、該滞留期間の後に保持期間が経過した時点との間で占有が検出された場合にのみ、当該領域は占有状態に移行する。それ以外の場合、該領域は保持期間が経過する際に非占有状態に戻る。
【0146】
[0197] [構成可能なパラメータ:スマート期間]
[0198] スマート期間(SmartTime)は、環境条件の占有ベースの制御に関連する構成可能なパラメータである。多くの実施態様において、空きの検出に続いて、保持期間の後の猶予期間の間に動きが検出された場合、当該システムは、保持期間は不十分に短く設定された(即ち、空き状態が最後の動き検出の後に過度に早く結論された)と推定し、該保持期間は該スマート期間パラメータにより示される期間により一度延長される。多くの実施態様において、延長された保持期間の後に動きが検出された場合、該保持期間は更に延長されることはない。幾つかの実施態様において、該スマート期間は、0~15分の範囲として、10分のデフォルト値とすることができる。何れかのコミッション済ユニットに対して該スマート期間を構成するために前記コミッショニングツールを使用することができる一方、1以上のコミッション済ユニットに対して該パラメータを再設定するために前記中央ダッシュボード又は他の手動若しくはパーソナルコントローラを使用することができる。多くの実施態様において、スマート期間は積算することはできない。
【0147】
[0199]
図12は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、以前に占有されていなかった小部屋区域における占有の検出に応答するための占有ベースの制御方法1200を示す。該方法は、ステップ1210~1250を有する。方法1200は、
図1A又は
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素により実行することができる。ステップ1210においては、センサ入力が処理されて、小部屋区域が非占有状態(例えば、占有者が居ない)から占有状態(例えば、少なくとも1人の占有者が居る)へ移行したかを判定する。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は動きセンサ等の任意のタイプの占有センサとすることができる。該センサ入力は、当該センサ自体により又は例えば
図1A又は
図1Bに図示された1以上のシステムモジュール(例えば、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130)により処理することができる。上記判定が否定的である(例えば、非占有状態から占有状態への移行はない)場合、当該制御は、センサ入力(又は複数の入力)の後の処理が斯様な移行を示すまで、ステップ1210に留まる。上記判定が肯定的である(例えば、センサ入力が小部屋区域の非占有状態から占有状態への移行を示す)場合、ステップ1220において、ステップ1210でなされた判定に応答して少なくとも1つの照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)が予め設定された反応期間内に照明を供給しない状態から予め設定された背景レベルの光(例えば、光レベル1)を供給する状態に移行する。幾つかの実施態様においては、占有状態の変化を感知したセンサに一層密に関連する照明器具(例えば、当該センサを収容する又は該センサに物理的に最も近い照明器具)が、先ず背景レベルの照明に移行する。上記少なくとも1つの照明器具は、単一のコミッション済ユニット、又は当該小部屋区域の範囲内の若しくは該区域にそれ以外で関連する複数のコミッション済ユニットの一部とすることができる。
【0148】
[0200] ステップ1230においては、小部屋区域内からのセンサ入力が処理されて、該小部屋区域内の作業区域が非占有状態から占有状態へ移行したかを判定する。該判定が否定的である(例えば、作業区域の非占有状態から占有状態への移行はない)場合、当該制御は、センサ入力の後の処理が斯様な移行を示すまで、ステップ1230に留まる。ステップ1230における判定が肯定のものである(例えば、センサ入力が作業区域の非占有状態から占有状態への移行を示す)場合、滞留期間が開始され、作業区域の占有が監視され、制御はステップ1240に移行する。ステップ1240は、当該作業区域における占有度を監視すること、及び当該滞留期間の何れかの時点で作業区域が占有されなくなったことをセンサ入力が示すか判定することを含む。当該滞留期間の何れかの時点で作業区域が占有されなくなったことが分かった場合、該作業区域では何の環境的変更もなされず、滞留期間は終了され、制御はステップ1230に戻る。滞留期間全体を通して当該作業区域が全く非占有状態にならなかった場合、制御はステップ1250に移行し、該作業区域内の少なくとも1つの照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)は予め設定された反応期間内に作業レベルの照明(例えば、光レベル2)に移行する。
【0149】
[0201]
図13は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、廊下区域における占有度の変化の検出に応答するための占有ベースの制御方法1300を示す。該方法は、ステップ1310~1360を有する。方法1300は、
図1A又は
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素により実行することができる。ステップ1310においては、センサ入力が処理されて、廊下区域の占有状態に変化があるかを判定する。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は動きセンサ等の任意のタイプの占有センサとすることができる。占有状態に変化がない場合、制御はステップ1310に留まり、センサ入力は後の時点で再び処理され得る。ステップ1310における判定が、廊下区域が非占有状態となるような該廊下区域の占有状態の変化があることを示す場合、制御はステップ1320に移行する。ステップ1310における判定が、廊下区域が占有状態となるような該廊下区域の占有状態の変化があることを示す場合、制御はステップ1330に移行する。
【0150】
[0202] ステップ1320においては、当該廊下区域に隣接する少なくとも1つの区域が占有されているかについて判定がなされる。この判定は、当該廊下区域内の又は該廊下区域にそれ以外で関連する1以上のコミッション済ユニットにより実行され得る。例えば、幾つかの実施態様において、当該廊下区域内のコミッション済ユニットは、隣接する区域内のコミッション済ユニットを、自身の位置情報及び他のコミッション済ユニットの位置情報を用いて識別することができる。各隣接区域における少なくとも1つのコミッション済ユニットが識別されたなら、該コミッション済ユニットの占有状態を、幾つかの実施態様では該コミッション済ユニットに問合せ又は該コミッション済ユニットから情報を取り出すことにより得ることができる。他の実施態様において、当該廊下区域におけるコミッション済ユニットは、隣接するコミッション済ユニットの占有状態に、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等の他のシステムモジュールに関連する1以上の遠隔メモリにおいてアクセスすることができる。コミッション済ユニットの位置情報は、当該廊下区域におけるコミッション済ユニットの1以上のメモリ上にローカルに記憶する(例えば、キャッシュする)ことができるか、又は当該廊下区域におけるコミッション済ユニットにより遠隔的にアクセス可能な1以上のメモリ上に(例えば、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130に関連する1以上のメモリに)遠隔的に記憶することができる。ステップ1320における判定の結果が肯定的である(例えば、当該廊下区域に隣接する少なくとも1つの区域が占有されている)場合、ステップ1340において、該廊下区域における照明に変更はなされない。ステップ1320における判定が否定的である(例えば、当該廊下区域に隣接する区域が占有されていない)場合、ステップ1360において、当該廊下区域における照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)を、照明を発生しない状態に移行させるためにオフシーケンスが開始される。
【0151】
[0203] ステップ1330においては、当該廊下区域における照明レベルが所定の最小レベルにあるか否かについての判定がなされる。幾つかの実施態様において、この判定は廊下区域全体に関して行われる一方、他の実施態様において、この判定はステップ1310において当該廊下区域の占有状態に変化が生じたことを示したセンサ入力を発生したセンサ(又は複数のセンサ)の近傍の領域に関してなされる。幾つかの実施態様において、この判定は、当該廊下区域における1以上のコミッション済ユニットに関連するハードウェア、ファームウエア若しくはコンピュータコードにより、システム100Aの1以上のモジュールに関連するハードウェア、ファームウエア若しくはコンピュータコードにより、又はこれらの何らかの組み合わせにより実行することができる。ステップ1330における判定の結果が肯定的である(即ち、廊下区域の照明レベルが所定の最小レベル以上である)場合、ステップ1340において当該廊下区域における照明に対し何の変更も行われない。ステップ1330における判定の結果が否定的である(即ち、廊下区域の照明レベルが所定の最小レベルより低い)場合、ステップ1350において、当該廊下区域における1以上のコミッション済ユニットは、1以上の関連する照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)により供給される照明レベルを、該廊下区域内の照明レベルが所定の反応期間内に所定の最小レベルまで増加されるように、増加させる。
【0152】
[0204]
図14は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、会議区域における占有度の変化の検出に応答するための占有ベースの制御方法1400を示す。該方法は、ステップ1410~1430を有する。方法1400は、
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素の任意の組み合わせにより実行することができる。ステップ1410においては、センサ入力が処理されて、会議区域の占有状態に変化があるかを判定する。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は動きセンサ等の任意のタイプの占有センサとすることができる。占有状態に変化がない場合、制御はステップ1410に留まり、センサ入力は後の時点で再び処理され得る。ステップ1410における判定が、会議区域が非占有状態となるような該会議区域の占有状態の変化があることを示す場合、制御はステップ1420に移行する。ステップ1410における判定が、会議区域が占有状態となるような該会議区域の占有状態の変化があることを示す場合、制御はステップ1430に移行する。ステップ1420においては、当該会議区域を、照明を生成しない状態に移行させるために、オフシーケンスが開始される。ステップ1430においては、1以上のコミッション済ユニットが歓迎シーンを提供する。該歓迎シーンは、例えば、1以上の作業電灯が一層高い光レベルを生成する一方、周囲光が調光されることを必要とし得る。加えて、装飾的照明が当該部屋の配色を賛美するカラーを生成することもできる。
【0153】
[0205] [昼光ベースの制御]
[0206] [構成可能なパラメータ:最大規則光レベル及び最小規則光レベル]
[0207] 前記コミッショニングツールを用いて、コミッショニング技術者等の権限のあるユーザは、昼光ベースの制御の下で或る領域において達成することができる最大及び最小光レベルを示すパラメータを構成(設定)することができる。幾つかの実施態様において、パラメータ最大規則光レベル(MaxRegulationLightLevel)及び最小規則光レベルMinRegulationLightLevel)は、各々、占有ベースの制御パラメータ占有時最大値(MaxWhenOccupied)及び占有時最小値(MinWhenOccupied)に等しくなるように設定することができる。
【0154】
[0208] [構成可能なパラメータ:昼光収穫]
[0209] 昼光収穫(DaylightHarvesting)は、環境条件の昼光ベースの制御に関連する構成可能なパラメータである。多くの実施態様において、1以上のコミッション済ユニットに対して可能化された場合、該パラメータは、これらコミッション済ユニットの範囲内の領域における光レベルの昼光ベースの調整を可能にする。多くの実施態様において、昼光収穫(DaylightHarvesting)は、可能化された場合、空間内の光レベルを特定の範囲内(例えば、最小規則光レベル~最大規則光レベル)に維持するように働く。
【0155】
[0210] [照明セットポイントの調整-校正最大値パラメータ]
[0211] ユーザがコミッション済ユニットの照明セットポイントを手動で構成(設定)又は調整する場合、構成されるユニットのパラメータ(例えば、校正最大値:CaribratedMaximun)が新たなセットポイント値に設定される。当該コミッション済ユニットは、依然として昼光ベースの制御に基づいて調整され得るが、該コミッション済ユニットに関連する環境条件を調整するために上記新たなセットポイント値が使用される。
【0156】
[0212]
図15は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、会議区域における異なる環境シーンのリクエストに応答するための方法1500を示す。該方法は、ステップ1510~1530を有する。方法1500は、
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素の任意の組み合わせにより実行することができる。ステップ1510において、会議室において異なるシーンを提供するためのリクエストが受信される。幾つかの実施態様において、該リクエストは、スマートフォン等のシステム100Aにおける環境制御装置160上に表示されたグラフィックユーザインターフェースからユーザがシーンを選択する又はリクエストする結果として生成され得る。該リクエストは、その後、
図1Aに示されるようにリンクL2を介してモジュール110等の環境マネージャモジュールに送信され得る。幾つかの他の実施態様において、該リクエストは、1以上のセンサが以前に占有されていなかった会議区域における占有を感知し、デフォルトの歓迎シーンをリクエストすることにより自動的に発生され得る。
【0157】
[0213] ステップ1520において、リクエストされたシーンがアクセスされる。シーンは、特定の区域における環境条件を規定されたやり方で変換する予め定められた環境パラメータの集合であり得る。影響を受ける環境条件は、例えば、照明条件、温度、湿度及び空気の流れであり得る。シーン内に規定される各環境条件は、特定の1以上のコミッション済ユニットに又は特定のタイプのコミッション済ユニットに結びつけることができる。更に、シーンは非常に固有な環境条件(例えば、特定のカラーの光を特定の輝度で生成するためには特定のコミッション済ユニット又はタイプのコミッション済ユニットを必要とする)を有し得るか、又はシーンはもっと一般的に指定することができ、当該シーンを生成することに関わるコミッション済ユニットが特定の値を選択する幾らかの裁量を可能にする(例えば、会議室内の特定の領域における一連のカラー又は一連の光レベルを指定すると共に、導入中のコミッショニングするユニットが上記規定の範囲内の値を選択することを可能にする)。予め構成された環境シーンの集合は、例えばシステム100Aの環境マネージャモジュール110若しくはゲートウェイモジュール130、又はステップ1510において参照された会議区域に関連する何れかのコミッション済ユニットによりアクセス可能な1以上のメモリ上に記憶することができる。例えば、領域コントローラ320等の領域コントローラが、リクエストされたシーンにアクセスすることができる斯様なコミッション済ユニットであり得る。多くの実施態様において、このようなコミッション済ユニットは、当該会議室の種々の部分における照明条件を制御する1以上のIP照明器具に通信的に結合することができる。
【0158】
[0214] 幾つかの実施態様においては、ステップ1520において、当該システムの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130は1以上のメモリにアクセスして、リクエストされたシーンに関連する詳細(例えば、空間の特定の領域において再現されるべき指定された環境条件の集合)を取り出すことができる。各々が固有の識別子に関連付けられた予め定められた異なるシーンは、データベースに記憶することができ、ステップ1520におけるリクエストされたシーンへのアクセスは、ステップ1520においてリクエストされたシーンの固有の識別子を、上述した1以上のメモリに記憶されたシーンの固有の識別子と照合することを含み得る。
【0159】
[0215] ステップ1530において、リクエストされたシーンが適用される。幾つかの実施態様において、リクエストされたシーンの各詳細は、適用のためにシステムモジュール(例えば、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130)から各コミッション済ユニット(例えば、システム100AのIP照明器具140及び150)に送信される。例えば、或るシーンは、部屋内の全ての壁が特定の薄暗さ(調光度)の赤色光でウォッシュされる一方、該部屋内の全ての作業電灯が特定のレベルまで調光されることを必要とし得る。幾つかの実施態様において、これらの詳細は環境制御コマンドに符号化し、環境マネージャモジュール110により当該部屋を制御する領域コントローラ(例えば、領域コントローラ320)に送信することができる。その後、該領域コントローラは当該ウォールウォッシュのカラーを変更するためのコマンドを、当該部屋における装飾的ウォールウォッシュを提供する1以上のIP照明器具に送信する一方、作業照明を変更するためのコマンドを、当該部屋において作業照明を制御する1以上のIP照明器具に送信することができる。該領域コントローラは、幾つかの実施態様においては、環境マネージャモジュール110等の他のモジュールから受信されたコマンドを、これらコマンドを適切なIP照明器具(又は他のコミッション済ユニット)に通知する前に処理し、かくして、該コマンドが特定のIP照明器具(又はコミッション済ユニット)により理解されるフォーマット又は通信プロトコルと互換性のあるものとなるようにすることができる。
【0160】
[0216]
図16は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、作業区域における照明の検出された変化に応答するための昼光ベースの制御方法1600を示す。該方法は、ステップ1610~1650を有する。方法1600の多くのステップは、例えば
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素により実行することができる。ステップ1610においては、センサ入力が処理されて、作業区域の照明(例えば、自然又は人工光)に変化があるかを判定する。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は昼光(日照)センサ等の任意のタイプの光センサとすることができる。当該1つ又は複数のセンサは、自然源(例えば、日光)又は人工源(例えば、照明器具)からの光の減少又は増加を検出することができる。当該センサ入力は、システム100Aのモジュール110等の環境制御モジュール、システム100Aのモジュール130等のゲートウェイモジュール、又はシステム300Aのコントローラ320等の領域コントローラを実行する1以上のプロセッサに通知されると共に、斯かるプロセッサにより処理することができる。照明に変化がない場合、制御はステップ1610に留まり、当該センサ(又は複数のセンサ)からの入力はステップ1610において後の時点で再び処理され得る。ステップ1610における判定が、作業区域における照明に変化があることを示す場合、制御はステップ1620に移行する。
【0161】
[0217] ステップ1620においては、上記照明の変化が予め設定された量よりも大きいかについての判定がなされる。幾つかの実施態様において、この判定は、当該センサ入力を発生したセンサ(又は複数のセンサ)の近くに位置するコミッション済ユニット(例えば、領域コントローラ、IP照明器具等)により、及び/又はコミッショニング処理の間に当該作業区域に結合されたコミッション済ユニットにより実行することができる。他の実施態様において、この判定は、システム100Aのモジュール110等の環境マネージャモジュール又はシステム100Aのモジュール130等のゲートウェイモジュールに関連する1以上のプロセッサにより、もっと集中的に実行される。ステップ1620における判定の結果が否定的なものである(例えば、照明の変化は予め設定された量よりも大きくない)場合、当該作業区域における照明の調整はなされない。しかしながら、幾つかの実施態様において、ステップ1620に従って対処されなかった照明の各変化は、集計され、ステップ1610及び1620における判定を実行するモジュール又は複数のモジュールによりアクセス可能なメモリに一時的に記憶される。このような実施態様において、ステップ1620は、ステップ1620における現在の判定を実行するために、ステップ1620において否定的判定となった該ステップ1620における複数の以前の判定にわたる照明の変化の累積値(running aggregate)を用いるステップを含むことができる。
【0162】
[0218] ステップ1620における判定の結果が肯定的なものである(例えば、照明の変化が予め設定された量よりも大きい)場合、制御はステップ1630に移行し、当該作業区域における照明のレベルが予め設定されたレベル以上であるかについての判定がなされる。幾つかの実施態様において、ステップ1630における該判定は、当該センサ入力を発生したセンサ(又は複数のセンサ)の近くに位置するコミッション済ユニット(例えば、領域コントローラ、IP照明器具等)により、及び/又はコミッショニング処理の間に当該作業区域に結合されたコミッション済ユニットにより実行することができる。他の実施態様において、この判定は、システム100Aのモジュール110等の環境制御モジュール又はシステム100Aのモジュール130等のゲートウェイモジュールに関連する1以上のプロセッサにより、もっと集中的に実行される。ステップ1630における判定が肯定的なものである(例えば、当該作業区域における照明のレベルが上記の予め設定されたレベル以上である)場合、該作業区域における少なくとも1つの照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)からの照明は、ステップ1640において、予め設定された最小レベルの照明を供給するように調整される。一方、ステップ1630における判定が否定的なものである(例えば、当該作業区域における照明のレベルが上記の予め設定されたレベルより低い)場合、該作業区域における少なくとも1つの照明器具からの照明は、予め設定された最大レベルの照明を供給するように調整される。ステップ1640及び1650において照明を調整する場合、多くの実施態様は、当該作業区域における少なくとも1つの照明器具がステップ1640又は1650において調整される1以上のコミッション済ユニットに対してフェードのフィーチャが可能化されている場合、設定されたフェード時間及び/又はフェード速度に従うフェーディングを採用することができる。
【0163】
[0219]
図17は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、或る空間における自然照明の検出された変化に応答するための昼光ベースの制御方法1700を示す。該方法は、ステップ1710~1740を有する。方法1700の多くのステップは、例えば
図1A及び
図1Bに各々図示されたシステム100A又は100Bの構成要素により実行することができる。ステップ1710においては、センサ入力が処理されて、指定された区域における自然照明の変化があるかを判定する。該センサ入力は、1つ又は複数のセンサからのものであり得、該センサ(又は複数のセンサ)は昼光センサ等の任意のタイプの光センサとすることができる。当該センサ入力は、システム100Aのモジュール110等の環境マネージャモジュール、システム100Aのモジュール130等のゲートウェイモジュール、又はシステム300Aのコントローラ320等の領域コントローラを実行する1以上のプロセッサに通知されると共に、斯かるプロセッサにより処理することができる。自然照明に変化がない場合、制御はステップ1710に留まり、当該センサ(又は複数のセンサ)からの入力はステップ1710において後の時点で再び処理され得る。ステップ1710における判定が、指定された区域における自然照明に変化があることを示す場合、制御はステップ1720に移行する。
【0164】
[0220] ステップ1720においては、当該自然照明の変化が増加又は減少傾向の一部であるかについての判定がなされる。増加する傾向は、自然照明の複数の連続した増加がステップ1710において当該区域に関して検出された後に識別することができる。同様に、減少する傾向は、自然照明の複数の連続した減少がステップ1710において当該区域に関して検出された後に識別することができる。自然照明の一連の変化を傾向として認定するために要する連続した増加又は減少の数は、多くの実施態様において設定可能なパラメータとすることができ、該パラメータは例えばシステム100Aの環境マネージャモジュール110の中央ダッシュボードを用いて設定及び/又は再設定(reset)することができる。
【0165】
[0221] 多くの実施態様において、ステップ1720における該判定は、当該センサ入力を発生したセンサ(又は複数のセンサ)の近くに位置するコミッション済ユニット(例えば、領域コントローラ、IP照明器具等)により、及び/又はコミッショニング処理の間に当該区域に結合されたコミッション済ユニットにより実行することができる。他の実施態様において、この判定は、システム100Aのモジュール110等の環境マネージャモジュール又はシステム100Aのモジュール130等のゲートウェイモジュールに関連する1以上のプロセッサにより、もっと集中的に実行される。何の傾向も識別されない場合、制御はステップ1710に戻り、当該センサ(又は複数のセンサ)からの入力を続いて再び処理することができる。増加傾向が見付かった場合、当該指定された区域における少なくとも1つの照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)からの照明は、第1期間内に一層低いレベルの照明を供給するように調整される(ステップ1740)。一方、減少傾向が見付かった場合、当該指定された区域における少なくとも1つの照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)からの照明は、ステップ1730において、ステップ1740の第1期間より短い第2期間内に該照明器具により現在供給されているものより一層高いレベルの照明を供給するように調整される。ステップ1730及び1740において照明を調整する場合、多くの実施態様は、ステップ1730又は1740において参照された少なくとも1つの照明器具に関連する1以上のコミッション済ユニットに対してフェードのフィーチャが可能化されている場合、設定されたフェード時間及び/又はフェード速度に従うフェーディングを採用することができる。
【0166】
[0222] [環境条件の管理-ユーザ起動制御]
[0223] 占有ベース及び昼光ベースの制御について先の項目で説明した実施態様の多くは、占有及び照明条件の変化を監視すると共に該変化に関するパターンを識別するための方法に焦点を合わせたが、本項目はユーザにとり環境条件を変化させるために利用可能な制御に焦点を合わせる。多くの実施態様において、ユーザは、先の項目において占有及び/又は昼光ベースの照明管理について説明した自動的動作に優先する(斯かる自動動作をオーバーライドする)ことができる。
【0167】
[0224] [制御の可能化、不能化及び優先付け]
[0225] 如何なる所与の区域においても、全ての利用可能な制御タイプ(例えば、自動的に起動される及びユーザにより起動される)は可能化又は不能化することができる。コミッション済ユニットは、1以上の制御タイプが可能化又は不能化されるように構成(設定)することができる。更に、各区域及び/又はコミッション済ユニットに対して、各タイプの制御に優先度を関連付けることができる。或る領域において又は或るコミッション済ユニットに対して或る制御タイプが可能化された場合、該可能化されたタイプの制御(例えば、手動の個人的(パーソナル)制御、中央制御、占有ベースの制御)を、該可能化された領域に対して又はコミッション済ユニットに対して制御リクエストを送出するために使用することができる。同一の領域において又は同一のコミッション済ユニットに対して、異なる制御タイプを可能化し、動作可能にすることができる。全ての受信された制御入力が与えられたとして如何なる競合又は曖昧さも解決するために、及び如何なる空間の如何なる所与の時点における環境条件も決定するために優先度が用いられる。
【0168】
[0226] [モバイルコントローラ]
多くの実施態様において、モバイルコントローラ(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ及び手持ち計算装置等)は、ユーザにより環境条件の変更をリクエストするために使用することができる。モバイルコントローラは、環境管理システムに接続する場合にユーザに対して視覚的、聴覚的及び/又は触覚的フィードバックを、及び/又はユーザが環境条件の変更をリクエストした時点から或る期間(例えば、0.3秒)内に該ユーザに対して視覚的、聴覚的及び/又は触覚的フィードバックを供給するよう構成することができる。モバイルコントローラは、コミッション済ユニットの物理的構造内の位置に基づく個人的(パーソナル)、手動及び中央制御のために使用することができる。例えば、スマートフォンは、自由間取りオフィス空間等の自由間取り区域において動作される場合に、該スマートフォンのユーザの個人的区域又は作業区域のみにおける環境条件の制御を可能にするパーソナルコントローラとして動作することができる。しかしながら、該スマートフォンが会議室等の会議区域で動作される場合、該スマートフォンはユーザが当該会議区域全体における環境条件を制御することを可能にする手動コントローラとして動作することができる。
【0169】
[0227] [電源投入動作]
[0228]
図19は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、コミッション済又は未コミッション済ユニットの電源投入動作を決定する方法1900を示す。該方法は、例えば、一群の照明器具、
図1AのIP照明器具150等のIP照明器具、センサ若しくはセンサのグループ、カメラ若しくはカメラのグループ、又は何らかの制御可能な装置により実行することができる。該方法は、電源投入動作が決定されるべき1以上の装置から遠くに配置された1以上のプロセッサ上で実行するコンピュータコードにより実行することもできる。
【0170】
[0229] 方法1900は、ステップ1910~1970を有する。ステップ1910は、当該装置又はユニットがコミッション済であるか否かを判定するステップを含む。コミッショニングの処理は、例えば、
図5に関連して前述した。幾つかの実施態様において、コミッショニング処理の間に、当該装置又はユニットのコミッショニング状態を反映するために1以上のメモリは更新されている。従って、当該装置又はユニットがコミッション済であるか否かの判定は、斯かる1以上のメモリにアクセスするステップを含み得る。幾つかの実施態様においては、装置又はユニット自体が、自身のコミッショニング状態に関する情報を記憶することができる。このような実施態様において、装置又はユニットがコミッション済であるか否かの判定は、当該装置自体又は該装置の外部で実行するコンピュータコードが、該装置のコミッショニング状態を反映する該装置に記憶されたコミッショニング状態又は情報にアクセスするステップを含み得る。
【0171】
[0230] 当該装置がコミッション済であると判定された場合、制御はステップ1920に移行する。そうでない場合、制御はステップ1930に移行する。両ステップは、当該装置又はユニットがネットワーク接続性を有するか否かを判定するステップを含む。幾つかの実施態様において、このステップは、装置又はユニットが、接続性が存在するかを判定するテストを実行することにより実行することができる。他の実施態様において、このステップは、例えば、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールに関連するコンピュータコードが必要なテスト(又は複数のテスト)を実行することにより実行することができる。
【0172】
[0231] ステップ1920において当該コミッション済ユニットがネットワーク接続性を有すると判定された場合、制御はステップ1940に移る。ステップ1940は、当該コミッション済ユニットに対するシステム電源投入構成パラメータを取り出して適用するステップを含む。これらパラメータは、ステップ1940を実行する装置若しくはシステムモジュールによりアクセス可能なサーバ若しくは他の装置上に集中的に記憶することができるか、又は当該コミッション済ユニット自体に記憶することができる。電源投入構成パラメータが複数の場所に記憶される場合、ステップ1940は何の組のパラメータが優先するかを判断するステップを含むこともできる。幾つかの実施態様において、当該コミッション済ユニットが照明器具である場合、電源投入時におけるデフォルト動作を発生することができる。例えば、0.3秒内に、当該照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)は、該照明器具が電源遮断の少し前に生成するように構成された光レベルに等しい光レベルを生成することができる。
【0173】
[0232] ステップ1920において当該コミッション済ユニットがネットワーク接続性を有さないと判定された場合、制御はステップ1950に移る。ステップ1950において、当該コミッション済ユニットに対しローカルに利用可能なシステム電源投入構成パラメータが適用される。例えば、当該コミッション済ユニットには、該コミッション済ユニットによりネットワーク接続性を要せずにアクセス可能な一群の記憶された電源投入構成情報が存在し得る。
【0174】
[0233] ステップ1930において当該未コミッション済ユニットがネットワーク接続性を有すると判定された場合、制御はステップ1960に移る。ステップ1960において、優先する電源投入構成情報がネットワークを介して利用可能でない場合、デフォルトの電源投入構成パラメータが適用される。デフォルトの電源投入構成パラメータは、当該未コミッション済ユニットの外部のネットワーク上に、又は該ユニット自体上に存在し得る。例えば、当該未コミッション済ユニットが照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)である場合、デフォルトの電源投入構成は該照明器具の能力の100%での光レベルが電源投入の0.3秒内に生成されることを必要とし得る。
【0175】
[0234] ステップ1930において当該未コミッション済ユニットがネットワーク接続性を有さないと判定された場合、制御はステップ1970に移る。ステップ1970において、当該未コミッション済ユニット上にローカルに記憶された、又はそれ以外で該未コミッション済ユニットによりネットワーク接続性を要せずに利用可能なデフォルトの電源投入構成パラメータを、該未コミッション済ユニットに適用することができる。
【0176】
[0235] 設置され給電されるがIPネットワークには接続されない未コミッション済照明器具を含む幾つかの実施態様によれば、以下の動作を実現することができる。各照明器具(又は、照明ユニット若しくは光源)は、電源投入の時点から0.3秒内に自身の能力の100%で光を発生するようになることができ、斯様な各照明器具は、それ以外で命令する制御装置からの如何なる制御コマンドも無視することができる。幾つかの実施態様において、未コミッション済ユニットが設置され、給電され、且つ、IPネットワークの通信/制御ラインに接続された場合、当該IPサブネットワークの全ての照明器具は該サブシステムの給電の時点から0.3秒内に斯かる照明装置の能力の100%で光を発生するようになることができる。これらの照明器具は、センサ情報(例えば、占有及び昼光センサ情報)は無視し得るが、手動制御(例えば、領域IRコントローラからの)及び中央制御コマンド(例えば、
図1Aの環境マネージャモジュール110、コミッショニングモジュール120又はゲートウェイモジュール130からの)には反応することができる。
【0177】
[0236] コミッション済照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)を含む幾つかの実施態様によれば、電源投入時に以下の動作を発生させることができる。機能性を示すために、斯様なユニットは、当該システムが電源投入された後に、幾らかの期間(例えば、2秒)内に設定された最大光レベルを生成するようになることができる。このような実施態様において、電源投入に続いて当該コミッション済照明器具の領域において存在が検出されない場合、該コミッション済照明器具は、存在が検出されなかったとの判定に続く更なる期間(例えば、1秒)内にオフされるであろう。コミッション済照明器具を伴う幾つかの他の実施態様において、斯様な照明器具は、電源投入後に該照明器具の領域における占有が何らかの設定された期間の間に検出されるまで、如何なる光も発生することはできない。
【0178】
[0237] [反応時間]
[0238] 照明条件の変更等の環境の変更をリクエストする場合、異なる反応時間がユーザの期待に関係するものとなる。コミッション済ユニット又はユーザ自身(例えば、ユーザがフェード効果を好むか否かを示すユーザ嗜好パラメータ)に関連するフェードパラメータが不能化されている場合、リクエストされた環境条件の変更(例えば、光レベルの調整)は即時的でなければならない。フェードが可能化されている場合、リクエストされた環境条件の変更は、該変更リクエストの時点から或る期間(例えば、0.3秒)内に開始し得る。
【0179】
[0239] 反応時間に関係する他の設定は、フェード時間、又は第1環境条件(例えば、現在の光レベル)が第2環境条件(例えば、新たなリクエストされた光レベル)にフェードする期間である。多くの実施態様において、フェード時間は0.5秒と90秒との間に設定される値である。ユーザがフェード時間を制御することを可能にする手動コントローラは、ユーザがフェード時間を特定の細分度で増加又は減少させることを可能にすることができる(例えば、1秒の細分度で許されるフェード時間の増加又は減少)。フェード及びフェード時間のフィーチャは、環境条件の滑らかで、余り障りのない、従って余り目立たなく、気を逸らすことのない変更を生じさせるように設計された快適さのフィーチャである。
【0180】
[0240] [制御の優先設定(オーバーライド)]
[0241]
図20は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、制御リクエストを処理する方法2000を示す。方法2000はステップ2010~2050を有する。本方法を実行する際に、1以上のステップを省略することができ、図示されていない他のステップを追加することもできる。幾つかの実施態様において、該方法は、コミッション済ユニット自体により、コミッション済ユニットに通信的に接続された1以上のプロセッサ上で(例えば、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130に関連するプロセッサにおいて)実行するコンピュータコードにより、又はこれらの何れかの組み合わせにより実行することができる。ステップ2010において、制御リクエストが受信される。該制御リクエストは、環境条件(例えば、光レベル、温度又は湿度)を変更するリクエストであり得、種々の状況により生じ得る。例えば、ユーザは変更を、システム100Aの装置160等の環境制御装置、壁掛けユーザインターフェース装置又は例えばシステム100Aの環境マネージャモジュール110若しくはゲートウェイモジュール130により提供されるユーザインターフェース(例えば、中央ダッシュボード)を用いてリクエストすることができる。制御リクエストは、或る領域における占有度又は昼光の変化の結果としても発生され得る。解説目的だけのために、ユーザが部屋内の壁掛け手動コントローラを用いて一層高いレベルの照明をリクエストし、該手動コントローラが該部屋内の特定のコミッション済ユニットにリンクされていると仮定しよう。
【0181】
[0242] ステップ2020は、該リクエストされた制御オプションが可能化されているかを判定するステップを含む。多くの実施態様において、全ての利用可能な制御オプション(例えば、占有ベースの制御、昼光ベースの制御、手動制御、個人的(パーソナル)制御及び中央制御等)は、コミッション済ユニット毎に不能化し、可能化し及び/又は優先付けすることができる。解説目的で用いられている該例において、ステップ2020は、手動制御が、照明条件の変更をリクエストするために使用されている当該手動コントローラにリンクされたコミッション済ユニットに対して可能化されているかを判定するステップを含む。
【0182】
[0243] ステップ2020が否定的な判定となる(即ち、当該制御オプションは関連するコミッション済ユニットに対して可能化されていない)場合、制御はステップ2030に移行し、受信された制御リクエストは無視される。ステップ2020が肯定的な判定となる(即ち、当該制御オプションは関連するコミッション済ユニットに対して可能化されている)場合、制御はステップ2040に移行する。
【0183】
[0244] ステップ2040は、受信された制御リクエストより優先すべき一層高い優先度の競合する制御リクエストが存在するか否かを判定するステップを含む。ステップ2040が否定的な判定となる(即ち、より高い優先度の競合する制御リクエストは見付からない)場合、制御はステップ2050に移り、当該リクエストされた制御が実行される。それ以外で、ステップ2040が肯定的な判定となる(即ち、より高い優先度の競合する制御リクエストが見付かった)場合、制御はステップ2030に移り、当該リクエストされた制御は無視される。例えば、当該コミッション済ユニットを囲む空間の昼光ベースの監視から生じた自動リクエストは、該コミッション済ユニットに関連する照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)を、ユーザによる手動壁掛けコントローラの使用から生じた該ユーザのリクエストにより要求されるものより低い光レベルを供給するように調整するリクエストを示し得る。このような場合、当該コミッション済ユニットが手動制御に対し昼光ベースの制御と比較して高い優先度を有する場合、該コミッション済ユニットに関連する照明器具は、供給する照明を、手動でリクエストされた照明レベルを生じるように調整する。
【0184】
[0245] [手動制御]
[0246] 手動制御とは、ユーザが環境条件を手動で変化させるために利用可能な手段を指す。
図5に示したコミッショニング処理の間において、ユニットは手動で制御されるようにコミッショニングされ(託され)得る。該コミッショニング及び構成(設定)は、手動制御のためのユーザインターフェースをコミッション済ユニットにリンクするステップ、及びユーザインターフェースの要素(例えば、ボタン、スライディングバー等)をプリセット値(例えば、シーン、光レベル等)にリンクするステップを含み得る。コミッショニング処理の間において、コミッショニングされているユニットに対して手動制御を可能化若しくは不能化することができ、及び/又は手動制御に他のタイプの制御と比較して優先レベルを割り当てることができる。手動制御が可能化されたコミッション済ユニットは、他の形態の制御(例えば、昼光ベースの及び占有ベースの制御等)を可能化させることもできる。
【0185】
[0247] 手動制御は、ユーザがコミッション済ユニットを手動でオン又はオフすることを可能にする。例えば、エンドユーザは部屋等の屋内空間に入り、壁掛けディスプレイ若しくはスイッチ又は手持ち装置上のユーザインターフェースを用いて、該部屋内の1以上のコミッション済ユニットに関連する照明器具をオンすることができる。このような手動リクエストの結果、該照明器具は予め設定されたレベルの光を発生することになる(例えば、スイッチオンレベルの光となる)。或る空間内の照明のレベル等の行き渡っている環境条件が、ユーザが望むものでない場合、該ユーザは手動制御部を用いて、該空間内の照明は増加調光又は減少調光されるべきことを示すことにより手動で調整することができる。このような手動リクエストの結果、当該空間内の照明器具は自身の光出力を予め設定されたパーセンテージで調整することとなり得る。多くの実施態様は、固定式手動コントローラが、制御を行う空間内の見える位置に配置されることを必要とし得ると共に、該手動コントローラが、手動の変更をリクエストするユーザが該コントローラを用いてリクエストされた変更を身体的に知覚する(例えば、見る、感じる又は聞く等)ことができない空間内の環境条件を制御することができてはならないことを必要とし得る。
【0186】
[0248] 幾つかの実施態様において、モバイルコントローラ(例えば、スマートフォン)からリクエストされる手動変更は、固定型コントローラ(例えば、壁掛けコントローラ)からリクエストされる手動変更と比較して、一層長い期間内に起動されることを要する(例えば、iPhone(登録商標)からリクエストされる会議室内のシーン変更は、該リクエストの3秒以内に起動されることを要する)。例えば、壁掛け制御装置からリクエストされる会議室内のシーン変更は、当該リクエストに対する瞬時の応答の感覚を生じさせるために、該リクエストの0.3秒以内に起動されることを必要とし得る。この差は、システム100A又は100B等のシステムにおいて、手動壁掛けコントローラを用いて空間内で開始される環境変更は瞬時的であるべきとのユーザの期待を満足させるために定められる。
【0187】
[0249] 多くの実施態様において、コミッション済ユニットは手動でリクエストすることができる複数のプリセット値を記憶することができる。他の実施態様において、これらのプリセット値は、付加的に又は代替的に、1以上の遠方に配置されたメモリに記憶することもできる。例えば、1つのプリセット値は、複数のコミッション済ユニットに、各々、プリセット値レベルの光を生じさせる照明シーンであり得る。このようなプリセット値の結果、当該部屋の種々の部分における薄暗い光及び他の部分における明るい光等の、空間内の照明“効果”が生じ得る。幾つかの実施態様において、プリセット値の光レベルは、絶対光レベル若しくは相対光レベル(例えば、スイッチオン時の光レベルより5%暗い)を指定することにより、又は利用可能な自然光の量等の変化するパラメータを考慮に入れたアルゴリズムにより設定することができる。
【0188】
[0250] [デフォルトへの戻り]
[0251] 種々の実施態様において、ユーザは、手動で選択された環境条件を取り消し、当該条件を前の又はデフォルトの設定に戻させることができる。例えば、ユーザは手動コントローラを用いて、前にリクエストされた光レベル又は照明シーンを選択解除又は取り消すことができる。このフィーチャは、ユーザが、個人的照明又は他の環境条件を何時でも“オフする”ことを可能にする。この場合、リクエストされた光レベル又はシーンを提供することに関わった1以上のコミッション済ユニットは、前の構成又はデフォルト状態に戻ることができる。
【0189】
[0252] [構成パラメータ-手動維持時間]
[0253] 多くの実施態様において、手動維持時間(ManualRetentionTime)パラメータの設定は、当該条件を前に適用していたコミッション済ユニットが該手動でリクエストされた条件に従うことを停止した後でさえも、環境条件を該手動でリクエストされた条件に従うようにリセットすることを可能にする。このパラメータの必要性は、種々の状況で生じ得る。例えば、幾つかの状況において、ユーザは、照明条件が自然光の存在に基づいて自動的に調整されていた非占有状態の部屋に入ることがあり得る。該ユーザは、その後、手動コントローラを用いて当該空間内のコミッション済ユニットが、存在する自然光の量に無関係に、該空間内で特定のレベルの光を発生するようリクエストすることができ、これにより、実効的に当該空間の自動的な昼光ベースの制御を置き換える(オーバーライドする)。このような状況下では、ユーザが当該部屋を離れた場合、該部屋の自動的昼光ベース制御が回復し得るか、又は該部屋内の照明が適切な量の時間が経過した後にオフ状態に移行し得る。手動維持時間が適用されている実施態様では、該部屋内のコミッション済ユニットは、ユーザが該手動維持時間の期間内に同じ空間に再度入ったことが検出された場合、該ユーザにより手動でリクエストされた光レベルを供給する状態に戻り得る。多くの実施態様において、該手動維持時間は、当該コミッション済ユニットがユーザの手動でリクエストした条件とは異なる環境条件を提供するように移行した時点の直後から経過し始める。多くの実施態様において、該手動維持時間は自動的に15分に設定することができる。
【0190】
[0254] [構成パラメータ-調光ステップ]
[0255] 調光ステップは、ユーザベースの照明制御に関連する構成可能なパラメータである。各コミッション済ユニットは関連する調光ステップパラメータを有することができ、手動及びパーソナルコントローラも関連する調光ステップパラメータを有することができる。多くの実施態様において、このパラメータはパーセンテージとして表され、5%~30%の範囲であり得る。
【0191】
[0256] ユーザは調光ステップをコミッション済ユニットに対して10%に設定するよう選択することができる。このような場合、当該コミッション済ユニットが一度(例えば、1つのステップで)調光された場合、該コミッション済ユニットの光出力は前の出力の10%だけ減少される。幾つかの実施態様において、調光ステップはデフォルトにより5%に設定される。多くの実施態様は、ユーザが調光ステップを、特定のレベルの細分度(例えば、5%)によるのみであるが、変化させることを可能にすることもできる。このパラメータは、ユーザが空間内の照明を手動で調光することができる速度を制御するためのメカニズムとして使用することができる。
【0192】
[0257] [パーソナル制御]
[0258] パーソナル制御とは、ユーザが自身の個人的空間又は作業区域内の環境条件を制御するために利用可能な手段を指す。パーソナル制御を提供する装置は、
図5のコミッショニング処理の間に1以上のコミッション済ユニットにリンクすることができる。パーソナル制御装置は、静止型(例えば、壁掛け装置)又はモバイル型(例えば、スマートフォン又は他の手持ち装置等)とすることができる。多くの実施態様において、静止型であるパーソナル制御装置は、当該パーソナル制御装置から限られた範囲内に位置するコミッション済ユニットにのみリンクすることができる。モバイル型パーソナル制御装置は、空間にわたり地理的に一層分散された複数のコミッション済ユニットにリンクすることができる。幾つかの実施態様において、ユーザがパーソナル制御装置を用いて自身の作業区域内の照明等の環境条件を制御する場合、当該パーソナル制御リクエストは、該パーソナル制御装置にリンクされていると共に該ユーザの現在の位置に関連する作業区域内に存在するコミッション済ユニットのみの動作に影響を及ぼすことができる。ユーザの作業区域内の環境条件を変化させるためのパーソナル制御リクエストは、自動的に(例えば、占有ベースの制御方法から)又は手動で(例えば、ユーザが手動又はパーソナル制御装置を使用して環境条件の変更をリクエストすることから)発生し得る。環境条件の昼光ベースの及び占有ベースの制御は、環境の変更のためのパーソナル制御リクエストに応答するようにも設定されたコミッション済ユニットのパーソナル制御に影響を与え及び/又は斯かるパーソナル制御により影響を受け得る。
【0193】
[0259] 例えば、ユーザは作業区域内の光レベルを特定のレベルまで上昇させたいと欲するが、該作業区域における照明の進行中の昼光ベースの制御が該作業区域内の光レベルを上記特定のレベルまで上昇させることを許可しない場合、該作業区域における光レベルは一層低い別のレベルまで増加することしか許可されない。多くの実施態様において、ユーザがパーソナルコントローラを用いて自身の作業区域における照明を制御することができるか否かは、該ユーザが該作業区域における環境条件に影響を及ぼすための許可を有しているか否かに依存する。ユーザが自身の作業区域における条件を制御することを承認する許可は、コミッション済ユニットに、及び/又は、もっと集中的に、例えばシステム100Aの環境マネージャモジュール110若しくはゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールによりアクセス可能な1以上のメモリに記憶することができる。
【0194】
[0260] コミッション済ユニットは、パーソナル制御リクエストに応答して特定のやり方で動作するよう構成することができる。例えば、或るコミッション済ユニットに関連する全ての照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)は、パーソナル制御装置が特定の作業区域に対して特定のシーンをリクエストするために使用された場合、基準表面上に500luxを供給するように構成することができる。コミッション済ユニット及び/又はパーソナル制御装置に関連して1以上のパーソナル制御モードも存在し得る。例えば、制限されたセットポイントモードは、ユーザが校正された最大の照明セットポイントを超えて調光することを防止することができる。無制限セットポイントモードは、このような制限を課すことはない。
【0195】
[0261] 典型的に制御リクエストに基づいて動作を調整するコミッション済ユニットは、パーソナル制御リクエストを可能化又は不能化するようにコミッショニングすることができる。このようなユニットは、パーソナル制御リクエストに対し優先レベルを割り当てることもできる。加えて及び/又は代わりに、パーソナル制御装置自体又はパーソナル制御リクエストを生成するために斯かる装置を使用するユーザも、パーソナル制御リクエストに優先レベルを割り当てることができる。
【0196】
[0262] パーソナル制御アプリケーションを実行するスマートフォン等のパーソナル制御装置は、ユーザにより該装置の制御の下にある区域及び/又はコミッション済ユニットをグラフィック的に見るために使用することができる。幾つかの実施態様において、このようなリクエストに対する如何なる応答も、設定された量の時間(例えば、3秒)内に実行されることを必要とし得る。割り当てられた時間内に応答し損なうと、結果として、当該パーソナル制御装置自体により当該システムの1以上のモジュール(例えば、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等)にエラーが報告されることになる。代わりに、種々の実施態様において、パーソナルコントローラを介してなされたユーザリクエストに対する応答が、設定された量の時間よりも長く掛かった場合、ユーザには当該リクエストの進捗に関するフィードバック(例えば、進捗バー又は他の視覚的若しくは聴覚的通知)が付与され得る。
【0197】
[0263] [シーン選択及び光の調整]
[0264] ユーザは、パーソナル制御を用いて、自身の作業区域のための事前に設定されたシーンを選択することができる。例えば、ユーザは、該ユーザの作業区域に対して光を供給するコミッション済ユニットに関連する全ての照明ユニットが特定の光レベルに切り換わるような標準のシーンを選択することができる。また、ユーザはパーソナル制御を用いて、コミッション済ユニットに関連する照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)の調光レベルを制御することもできる。コミッション済ユニットは所定の範囲内の(例えば、最小光出力と最大光出力との間の)照明を供給するように構成することができ、斯かるユニットの調光レベルを制御するユーザの能力は斯様な範囲内での出力の制御に制限することができる。
【0198】
[0265] 幾つかの実施態様において、手動でなされた環境変更のリクエストの結果として環境条件の変更が生じ得、該環境条件は、その後、自動的に制御される。例えば、手動でなされたパーソナルリクエストの結果、或る空間において一定レベルの光が供給されることとなった場合、自動制御が、特定のイベントが発生した(例えば、該空間が空きとなったと判定された)後、該空間の制御を取り戻し得る。幾つかの実施態様において、手動でなされた条件の変更は、その後、自動手段に制御を移管する前に特定のイベントが生じることを要せずに、自動制御により管理することもできる。
【0199】
[0266]
図21は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様により実行される、手動でなされたパーソナル制御リクエストを処理する方法2100を示す。方法2100はステップ2110~2150を有し、これらステップは図示されたものとは異なる順序で実行することもできる。ステップは省略することもでき、他のステップを追加することもできる。ステップ2110において、手動でなされたパーソナル制御リクエストが受信される。種々の実施態様において、該リクエストは
図1に示したシステム100Aの環境マネージャモジュール110等のシステムモジュールにより受信することができ、ユーザはスマートフォンを用いて該リクエストを発することができる。幾つかの実施態様において、ユーザは現在の温度セットポイントを、設定可能な範囲内(例えば、現在のセットポイントから摂氏2度以内)の他のセットポイントに上昇又は低下させることができる。当該上昇をリクエストするために使用されているユーザインターフェースは、設定可能なレベルの細分度に従う上昇又は低下を可能にすることができる(例えば、0.1℃ステップでの上昇又は低下を可能にすることができる)。多くの実施態様において、リクエストされた温度の調整は、当該ユーザの作業区域における1以上のコミッション済照明ユニットに関連するHVAC領域に影響を及ぼし得る。
【0200】
[0267] ステップ2120においては、該リクエストを発したユーザが該リクエストされた環境条件の変更を行う権限を有するかについての判定がなされる。幾つかの実施態様において、この判定は、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等の1以上のシステムモジュールによりなされる。該判定は、当該ユーザの位置及び/又は識別(例えば、ユーザID及びパスワード)情報に基づくものであり得る。権限を検証するためにユーザのログイン情報(例えば、ユーザID及びパスワード)を用いる実施態様において、ユーザは、該ユーザの証明情報が最後に検証されてからログアウトしていない限り、自身の証明情報を1回提供するだけでよい。当該ユーザが当該リクエストに従って環境条件を変化させる権限を有していない場合、制御はステップ2130に移り、該ステップにおいて当該パーソナル制御リクエストは無視される。当該ユーザが自身のリクエストに従って環境条件を変える権限を有していない場合、該ユーザは、この事実を通知されるであろう。ユーザの権限が、付加的に又は代替的に、該ユーザの位置に依存する場合、位置情報を設定可能な期間にわたりキャッシュすることができ、これにより、ユーザが環境条件の変更をリクエストする度に同一のユーザの位置を更新する必要性を回避する。
【0201】
[0268] ユーザが、リクエストされた環境変更を行う権限を有する場合、ステップ2140において、1以上のコミッション済ユニットが当該パーソナル制御リクエストに従って環境条件を調整するように命令される。例えば、当該ユーザの作業区域内の照明条件を制御する1以上のコミッション済ユニットに関連する照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)は、設定されたフェード時間に従い該ユーザの作業区域(例えば、基準表面)においてリクエストされた光のレベルを生成する状態に移行することができる。多くの実施態様において、制御は次いでステップ2150に移り、該ステップにおいて当該環境条件の制御は自動制御に戻る。例えば、当該ユーザの作業区域に関連した1以上のコミッション済ユニットにより生成される光出力は、その後、前に使用されていた昼光ベースの及び/又は占有ベースのアルゴリズムに従って制御される状態に戻ることができる。
【0202】
[0269] 多くの実施態様において、パーソナルコントローラは、権限を持つユーザが自身のパーソナル制御の地理的範囲を選択又は指定することを可能にすることができる。この範囲選択を行うユーザが自身のパーソナルコントローラ装置(例えば、スマートフォン)を使用している場合、該ユーザを識別する情報を、該範囲選択及び/又は該ユーザの他のプロファイル設定に、該ユーザからの更なる入力を要せずに、自動的にリンクさせることができる。一方、該範囲選択を行うユーザが公共的にアクセス可能なパーソナルコントローラ装置(例えば、複数のユーザによりアクセス可能な空間内の壁に固定されたコントローラ等)を使用している場合、該ユーザは自身の範囲選択を当該環境条件管理システム内における自身の識別情報にリンクさせるために、自身を識別(特定)しなければならない。ユーザがパーソナル制御の地理的範囲を成功裏に選択又は指定したら、同一の地理的領域内の領域に影響を与えるが、該地理的領域外のユーザから受信された環境制御リクエストは無視することができる。
【0203】
[0270] [パーソナル設定及び前に適用された環境条件の呼び戻し]
[0271] 多くの実施態様は、ユーザが前にリクエストされた光の設定値又は他の環境条件を呼び戻すことを可能にする。これらの設定値又は条件は、当該呼び戻しをリクエストしているのと同じユーザにより、又は同じ空間の他のユーザにより以前にリクエストされたものであり得る。コミッション済ユニット自体が前にリクエストされた設定値を記憶することができ、及び/又は設定値は例えばシステム100Aの環境マネージャモジュール110、ゲートウェイモジュール130及び/又はコミッショニングモジュール120等のシステムモジュールによりアクセス可能な1以上のメモリに、もっと集中的に記憶することもできる。以前にリクエストされた環境条件は、特定のユーザ、区域及び/又はコミッション済ユニットに関連付けることができる。
【0204】
[0272] [中央制御]
[0273] 中央制御とは、ユーザが、或る空間内の環境条件に一層全体的な又は行き渡る態様で影響を与え得るシステムパラメータに対してスケジュールされた又はリアルタイムな調整を実行するために利用可能な手段を示す。中央制御とは、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールにより実行されるユーザインターフェースを用いた環境条件の制御も指す。中央制御は、手動的なもの(例えば、ユーザが、表示されたユーザインターフェースを用いて光の設定を手動で調整する)又は自動的なもの(例えば、検出されたイベントに対するシステムの反応の結果として生じる、環境条件に対する調整)であり得る。多くの実施態様において、或る空間内の1以上のコミッション済ユニットを集中的に制御するために、これらコミッション済ユニットは中央ダッシュボードに通信的に接続されることを必要とする。該中央ダッシュボードは、権限を持つユーザが種々のコミッション済ユニット、コミッション済ユニットのグループ及び/又は物理的構造物内の全区域を制御することを可能にする1以上のユーザインターフェースを実行するコンピュータコードを有する。多くの実施態様において、該中央ダッシュボードは、ここに説明する環境変化を管理するためのシステムの動作の中核となる1以上のモジュールと通信的に接続され、及び/又は斯かるモジュールにより実行することもできる。例えば、多くの実施態様において、該中央ダッシュボードは、システム100Aの環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130により又は斯かるモジュールに関連して実行される。種々の実施態様において、該中央ダッシュボードはコミッション済ユニットを再コミッショニング及び/又は再構成するために使用することができる。これらの実施態様の幾つかにおいて、中央ダッシュボードのユーザインターフェース(又は複数のユーザインターフェース)は、再構成可能なパラメータを斯かるパラメータの現在の値又は状態と一緒に表示し、該中央ダッシュボードのユーザが、再構成不能なパラメータを構成し又はコミッション済ユニットのパラメータを許可された範囲外の値に設定することを防止することができる。
【0205】
[0274] [スケジュールされた及びリアルタイムな中央制御]
[0275] ユーザは、上記中央ダッシュボード等の集中化されたユーティリティを用いてコミッション済ユニットの設定を変更することにより、環境条件にリアルタイムに又はスケジュールされた形態で影響を与えることができる。リアルタイムなリクエストは、環境条件の結果的変更が該リクエストに続く設定可能な量の時間内になされるように処理される。前記中央ダッシュボードを、適切な権限のあるユーザ(例えば、施設管理者)により、リアルタイムなリクエストがサービスされることを要する設定可能な量の時間等のシステム全体の挙動に影響を及ぼすパラメータを変化させるために使用することもできる。
【0206】
[0276] [スケジュールの作成及び管理]
[0277] 前記中央ダッシュボードは、環境条件の変更を具現化するタスク(処理)を作成、編集及びスケジュールするために使用することができる。タスクは、特定の時間に(例えば、特定の時間間隔で、イベントに対して或る時点で、若しくは絶対時刻に)、又は特定のイベントの発生に際して起動されるようスケジュールすることができる。タスクは、例えば複数の領域又はコミッション済ユニットに影響するパラメータを再設定する(例えば、フェード時間、保持時間を変更する、或るタイプの制御を可能化若しくは不能化する等)ことにより、一層全体的な性質の変更を指定することができる。タスクは、例えば特定の作業区域のみに影響するコミッション済ユニットの光出力を減少させることにより、一層局部的な性質の変更を指定することもできる。前記コミッショニング処理の間において、施設管理者等の権限を有するユーザは、デフォルトのタスクを作成し、スケジュールすることができる。例えば、夜間のタスクは、仕事時間の後に実行されるように起動させることができ、エネルギを節約するために保持時間及びデフォルトの光レベルを変更することができる。
【0207】
[0278] スケジュールされたタスクは、それら自体が特定の時点に、特定のイベントの発生に際して及び/又は特定のロジックに従って実行されるようにスケジュールされた一連のタスクを有することができる。ユーザは、適用するために既存のスケジュールを選択することができる。同一のスケジュールを繰り返し適用することもできる。従って、前記中央ダッシュボードは、適用のために1以上のスケジュールを選択し、スケジュールの範囲(例えば、選択されたスケジュールが活性状態になるコミッション済ユニット若しくは区域)、何のイベントがスケジュールを起動させるか(例えば、1日における時刻、環境条件、ユーザの行動等)及び/又はスケジュールが適用されるべき頻度(例えば、1回のみ、1日に数回、起動イベントが発生する毎等)を指定するためのユーザインターフェース手段を提供することができる。
【0208】
[0279] スケジュールは、即座に起動することもできる。このような場合、当該スケジュール内のタスクは所定量の時間内に(例えば、5秒以内に)効力を発することができる。タスクの例は、照明器具若しくはコミッション済ユニットに関する光出力の変更(例えば、現在の光レベルからの上昇調光/下降調光、特定の調光レベルへの移行、照明シーンの呼び戻し、スイッチオフ等)、制御パラメータの再構成(例えば、制御オプションを可能化/不能化する、センサ保持時間を変更する、フェード時間を変更する等)、領域内の温度の変更、非常用照明試験の実行、及び選択されたセンサの自動校正の実行を含む。多くの実施態様において、スケジュールされたタスクは、例えばコミッション済ユニットからデータ(例えば、診断記録、エネルギ消費データ等)をロールさせる、別のシステムモジュールにレポート又は通知を送る、及び特定のデータ又は特定の分類のデータをバックアップする等のデータベースに関するタスクも含み得る。
【0209】
[0280] 多くの実施態様において、如何なる所与の時点においても、同一のコミッション済ユニットに対して1つのみのタスクを活性にすることができる。スケジュール内の2つの連続するタスクの設定値間の移行処理は、フェード時間内でフェードする遷移を含むことができる。従って、スケジュールを作成及び/又は選択することは、フェード時間等のパラメータを指定若しくは選択すること、及び/又はスケジュールにおけるタスク間のフェード遷移を可能化する若しくは不能化することを含み得る。
【0210】
[0281] [警報の作成及び構成]
[0282] 前記中央ダッシュボード又は前記コミッショニングモジュールに関連するユーザインターフェースは、施設管理者等の権限を有するユーザが警報を作成及び構成することを可能にする。警報は、構造物内の環境条件を管理するシステムに関連する1以上のモジュール、コントローラ又は装置に、異常であるか又は行動を必要とし得るシステム状態が通知されるようにする何らかの手段であり得る。警報は、種々の構成可能なパラメータに関連され得る。これらのパラメータは、権限のあるユーザにより手動で設定若しくは変更され得るか、又はシステム動作中に自動的に更新され得る。警報は、関連するタイプ(例えば、エラー又は警告)を有し得る。警報は、その源、即ち当該警報を発生したイベント又は条件を示すことができる。それらの例は、システム状態の変化、特定のシステム状態、又はスケジュールされた若しくはスケジュールされていないイベントの発生を含むことができる。警報は、関連する宛先(例えば、当該警報について通知されるべきユーザのアカウント)、範囲(例えば、当該警報が可能性として影響するコミッション済ユニット)、フォーマット(例えば、SMS、Eメール、音響、視覚、触覚)、きっかけ(例えば、当該警報が呼び出すスケジュール又はタスク)、及び当該警報が呼び出されるようにしたトリガ条件(例えば、時間、システム状態、システム状態の変化、又はスケジュールされた動作)を有することもできる。警報は、警報データを責任者に視覚的に提示するために、特定のデータが中央ダッシュボード上に表示されるようにすることもできる。それらの例は、当該警報の原因であるコミッション済ユニット、装置又は環境条件の位置、当該警報の重大さの指示情報、及び当該警報の状態(例えば、当該警報が対処されているか否か)の指示情報を含む。
【0211】
[0283] [中央制御のオーバーライド]
[0284] 幾つかの実施態様において、権限のあるユーザは中央ダッシュボードを使用して、優先する中央制御コマンドを発するか又は当該システムを中央環境制御専用として構成し、かくして、他の全ての自動的又はユーザが発した環境制御リクエストが、該特定の優先する中央コマンド若しくは他のイベントが完了し又は手動で終了されるまで、阻止又は無視されるようにすることができる。このような中央制御のオーバーライドは、ビル火災又はセキュリティの侵害の間等の、緊急時の間に用いることができる。
【0212】
[0285] 中央制御は、種々の領域において実施されている手動でリクエストされた環境条件を考慮に入れることもできる。例えば、中央ダッシュボードは施設管理者が大きな自由間取りオフィス領域における照明条件を容易に変更することを可能にするが、該施設管理者は他のユーザのパーソナル制御の下にある領域を跳ばすことを欲し得る。幾つかの実施態様において、このことは、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールによりリアルタイムで利用可能な種々の部分における種々の照明条件についての情報を利用することにより達成される。
【0213】
[0286] 多くの実施態様において、パーソナル又は手動制御リクエストの前又は後に到来する中央で発せられた環境制御リクエストは、上記パーソナル又は手動制御リクエストに対する当該システムの応答に影響を与えることはないであろう。例えば、コミッション済ユニットを一層低い光レベルに切り換える中央制御リクエストは、該コミッション済ユニットが該一層低い光レベルを生じる結果にさせることができる。しかしながら、パーソナル又は手動制御リクエストは、その後、該コミッション済ユニットを一層高い光レベルを生じるように成功裏に切り換えることができる。
【0214】
[0287] [デフォルトの動作への戻り]
[0288] 多くの実施態様において、中央制御リクエストは、或る空間で効果を発するように送出されると共に、手動で無効化されるまで、該空間において他の制御リクエストが効果を生じることを防止することができる。施設管理者が斯様な優先する中央制御を不注意に無効化し損ない得るような状況を防止するために、自動的制御が、当該空間が空になっていることをシステムが認識する等の幾つかの限られた状況下では斯かる中央制御をオーバーライドすることができる。このような状況下において、占有ベースの制御は上記空間の中央制御を置換することができ、該占有ベースの制御による環境変更が効果を生じる。
【0215】
[0289] [負荷制限]
[0290] 多くの実施態様において、中央ダッシュボードは、適切に権限を付与されたユーザ(例えば、施設管理者)が当該システムを予め定められた負荷制限(load shedding)モードに切り換えさせることを可能にする。このようなモードは、種々のシステム全体のパラメータが自動的に変更されるようにすると共に、種々のコミッション済ユニットが特定の態様で反応するようにすることによって電力を節約するように設計することができる。例えば、全てのパーソナル制御は不能化され得、選択された領域における全ての照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)は調光又はオフされ得、占有ベースの制御等の自動的に起動される制御のための全ての保持期間及び猶予期間は短縮され得る。
【0216】
[0291] [グラフィックユーザインターフェース]
[0292] [ビューのカスタマイズ]
[0293] ここに記載される環境制御システムは、ユーザとの対話を容易化するために種々の異なるグラフィックユーザインターフェース(GUI)を提供する。以下に、3つの分類の斯様なGUIの例示的実施態様を説明する。更に、ユーザがカスタマイズされたGUIを作成することを可能にするカスタマイズ化グラフィックユーザインターフェース(カスタマイズ化GUI)が示される。ユーザは、該カスタマイズ化GUIを使用して、特定のタスク(例えば、異なる部屋内のコミッション済ユニットに関連する照明器具を調光する)で使用する、又は該ユーザが頻繁に訪れる特定の領域において使用するためのGUI(例えば、当該ユーザが関心のある3つの部屋のコミッション済ユニットに関する監視情報を表示するGUI)を作成することができる。該カスタマイズ化GUIは、ユーザの役割に基づいた異なるビューを作成するために使用することもできる(例えば、電力消費を監視することを要する役割のユーザには、電力消費情報が強調表示されるか又は僅かなクリック若しくは該ユーザからの対話でアクセス可能となるような、或る部屋の一連のグラフィックビューが提供され得る)。ユーザの役割及び/又は予め設定された好みのプロファイルに基づいて、該カスタマイズ化GUIは、種々の詳細(例えば、小部屋オフィスにおける温度及び湿度条件等)を含む種々のカスタムビュー(例えば、ユーザの小部屋オフィス及び周囲の領域の俯瞰ビュー)を提案することができる。該カスタマイズ化GUIを用いて1以上のカスタムGUIを準備している間において、ユーザは自身の好みを示すカスタムGUIを得るために種々の細部を追加又は削除するよう選択することができる。
【0217】
[0294] [中央ダッシュボード]
[0295] システムモジュールは、ユーザが、中央ダッシュボードのホームページのGUIを該ユーザの必要性に従ってカスタマイズすることを可能にすることもできる。例えば、ユーザが、自身の役割(例えば、オフィス空間のエンドユーザ又は施設管理者)に基づいて異なるビューを作成することもあり得る。施設管理者には保守データ及びエネルギ消費データを提示することができる一方、エンドユーザにはエネルギ消費データ及び現在の環境条件に関するデータ(例えば、温度、光レベル等)のみを提示することができ、保守データは提示されない。
【0218】
[0296] ダッシュボードGUIは、(例えば、間取図自体上に又はサイドパネル上に)、種々のコミッション済ユニットの動作状態(例えば、或るユニットに関して未解決のエラーが通知されているか、或るユニットがオン又はオフ状態であるか等)を提示することもできる。多くの実施態様においては、装置に関するデータ(該装置の機能又は状態データ等)は、ユーザによりリクエストされて(例えば、カーソルを間取図における当該装置上に位置させることにより)から0.5秒以内に該ユーザに提示される。これら装置は、間取図上で視覚的に強調することもできる。該ダッシュボードGUIは、異なる分類の装置又はコミッション済ユニットを、間取図上に視覚的に異なるように描くこともできる。例えば、照明装置、HVAC装置、センサ及び制御装置を視覚的に描くために異なるアイコンを使用することができる。アイコンの選択は、ユーザの好みによりカスタマイズすることができる。コミッション済ユニットに関し、該ユニットの分類に依存して異なる情報を提示することができる。照明のために使用されるコミッション済ユニットの場合、該情報は、現在の光レベル、エネルギ使用量、及び占有ベースの又は昼光ベースの制御が可能化されているか否かの情報を含み得る。センサの場合、最後に感知されたデータの測定値又は特定の最新期間にわたる測定値の平均を提示することができる。
【0219】
[0297] 中央ダッシュボードGUIは、ユーザにコミッション済ユニットのためのパラメータを変更する能力を付与することもできる。ユーザが或るコミッション済装置を選択した場合、該装置のパラメータを表示することができ、該ユーザの許可及び/又は役割に基づいて、編集可能なパラメータを編集可能であるとして視覚的に表示することができる。ユーザが編集することを許されていないパラメータは、編集不能として視覚的に提示することができる(例えば、無色調にされる)。パラメータの許容範囲も示すことができ、該範囲外のパラメータ値は該中央ダッシュボードGUIにより受け付けられない。該中央ダッシュボードGUIを介してヘルプ情報も利用可能である。例えば、ヘルプ情報は、ユーザのカーソルがコミッション済ユニット上で停止すると、重ね表示として提示され得る。該中央ダッシュボードGUIの幾つかの実施態様は、英語以外の言語で利用可能であり得る。該中央ダッシュボードGUIは、ユーザがスケジュールを管理するためのグラフィック手段も提供する。権限のあるユーザは、該ダッシュボードGUIを用いて、スケジュールを作成し、編集し、削除し、優先付けし、それ以外で管理することができる。
【0220】
[0298] 中央ダッシュボードGUIは、当該システムの全体にわたるコミッション済ユニットの動作設定を集中的に制御するためのグラフィック手段を提供することもできる。例えば、ユーザは一群の選択されたコミッション済ユニット又は個々のコミッション済ユニットに対する照明設定をリアルタイムに制御することができる(例えば、グラフィック手段を用いて、複数のコミッション済ユニット及び/又は個々の照明器具を選択すると共に、新たな光レベルを選択し又は光出力を1以上のステップにより調光することにより)。新たな動作状態(例えば、新たな照明レベル)は、その後、該中央ダッシュボード上に当該変更がなされたとのユーザに対するフィードバックとして視覚的に反映させることができる。
【0221】
[0299] システムモジュール又はコミッション済ユニット自体も、利用可能な監視データの分析を実行して、システム100Aの環境マネージャモジュール110等のシステムモジュールに、最適なシステム性能(例えば、エネルギ効率性能)につながるパラメータ設定についての推奨案を提供することができる。これらの推奨案は、ユーザにコミッション済ユニットに関する動作パラメータを調整するためのユーザインターフェース手段が提供された時点で、該ユーザに対して提示することができる。推定されるエネルギ使用量及びエネルギ節約のリアルタイムな分析を、実行することができると共に、ユーザが最適なパラメータ設定を決定することを補助するために、ユーザに対して費用推定と一緒に提示することができる。
【0222】
[0300] [監視ダッシュボード]
[0301] 前記中央ダッシュボード(GUI)は、当該システムの種々の構成要素(例えば、環境マネージャモジュール110、ゲートウェイモジュール130、IP照明器具150又は領域コントローラ320等)により収集されたデータを表示する監視ダッシュボードGUIを有することもできる。収集されるデータ(ここでは、広く監視データと呼ぶ)は、例えば、空間の使用(占有、存在)、エネルギ消費、温度、湿度、二酸化炭素レベル、自動的制御及び手動制御の使用、並びに検出された動作エラーを反映するデータであり得る。エネルギ消費は、KWhで測定することができる。収集された各データサンプルにはタイムスタンプ及び装置識別子又は物理的位置を関連付けることができる。存在はコミッション済ユニット(又は複数のユニット)又は領域毎にイエス/ノーとして記録することができ;占有は当該コミッション済ユニット(又は複数のユニット)又は領域が占有された時間のパーセンテージとして記録することができる。占有状態は、1つのコミッション済ユニットに関連する複数のセンサに基づいて決定することができる。保守及び診断メッセージ又はレポートの発生も、監視及び記録することができる。例えば、動作エラー又は警告をレポートするメッセージの形でコミッション済ユニットにより発生される警報又は警告は、可能性のある将来の故障を予測するために監視することができる。
【0223】
[0302] 監視データは、グラフィックの形態で提示することができ、標準の及び私有の分析方法の何らかの組み合わせを用いて分析することができる。多くの実施態様において、監視データは、施設管理者等のユーザが、当該データにおける傾向の貴重な洞察を得ること、以前に収集されたデータ(例えば、履歴データ)との比較を行うこと、及び該データに基づいてエネルギ消費戦略等の戦略を実施化することを可能にし得る。
【0224】
[0303] 監視されているコミッション済装置が当該装置自体に監視されたデータを記録することができ、又は斯かるデータは、システム100Aの環境マネージャモジュール110、コミッショニングモジュール120又はゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールによりアクセス可能な1以上のメモリ(例えば、データベース)に記憶することができる。監視データは、指定された設定可能な時間間隔で記録することができる。更に、イベント(例えば、占有の検出)の発生は、監視を停止させ又は再開させることができる。何時監視を行うかは、システム全体に対して(例えば、複数の領域及びコミッション済ユニットに影響を与えるシステム全体のパラメータ又は規則の設定により)又は装置毎に、1以上の設定可能なパラメータにより表すことができる。
【0225】
[0304] [データの監視及び監視されたデータの提供]
[0305] 監視ダッシュボードは、権限のあるユーザが、監視されるべき情報、監視されたデータが収集されるべき空間的及び時間的細分度、監視されるべき空間(又は複数の空間)、当該データに適用されるべき分析ツール、及び/又は生の若しくは分析されたデータの視覚的提示を選択することを可能にし得る。幾人かのユーザ(例えば、施設管理者)は、監視する新たな領域を選択する、又は他の領域におけるデータの収集を停止する権限を有することができる。他のユーザ(例えば、オフィスの使用者)は、何のタイプの監視データを監視ダッシュボード上で見るか又は生の若しくは分析された監視データを見るか否かを指定することはできるが、監視データの収集自体には影響を与えることはできない。
【0226】
[0306] ユーザは、対話型のフロアマップから、領域(例えば、構内、ビル、特定のフロア、部屋又は作業領域)又は監視する特定のコミッション済ユニット若しくはコミッション済ユニットのタイプを選択することができる。ユーザは、どの程度多くの監視データにアクセスしたいか(例えば、1年、6ヶ月、1月、1週間、1日等)、及び当該データがどの程度最近のものであるべきか(例えば、前月、前週、前日、1時間前の)を指定又は選択することもできる。監視データのタイプに依存して、利用可能なデータの時間的細分度は変化し得る。
【0227】
[0307] ユーザは、監視データの提示も構成することができる。例えば、監視ダッシュボードはユーザが生の若しくは分析されたデータ(例えば、ヒートマップ)を提示するために使用されるグラフのタイプを選択し、又は視覚的表現に影響を与える他の詳細を選択することができるようにし得る。例えば、ユーザは自身の監視ビューを、占有状態を示すために特定のカラーコードを使用するように構成することができる(例えば、勤務時間の間の時間の90%より多くを占有されている領域に対し赤、勤務時間の間の時間の20%未満しか占有されていない領域に対し緑等)。ユーザは、収集された監視データに基づいてレポートを発生することもできる。レポートは、カスタマイズすることができ、pdf、doc、xls及びXML等の多くのフォーマットでエクスポートすることができる。
【0228】
[0308] ユーザの快適さは構造物内の環境条件を管理する当該システムにとり非常に重要であるので、監視されたデータは、この尺度の重要な指示情報を含む。例えば、コミッション済ユニット又は領域に関連する行き渡った環境条件の手動又は個人的(パーソナル)なオーバーライドの数を、時間にわたり追跡することができる。これは、光レベルの手動変更、並びに温度、湿度及び空気の流れの手動変更を含む。これらの変更は集計で分析されて、全ての手動及びパーソナルオーバーライドが或る期間にわたって考慮された場合の傾向を明らかにすることができる。或る期間にわたる記録された温度データに基づいて、コミッション済ユニットに対するヒートマップを作成することができ、過度に熱せられたコミッション済ユニット及び熱不足の(under-heated)コミッション済ユニットを識別することができる。或る区域における温度は隣接する区域における温度に影響を与え得るので、幾つかの区域は、隣接する区域の温度に基づいて過度に又は不足して暖房され得る。記録された温度データの分析は、このような傾向を明らかにし得る。この場合、識別された如何なる悪い傾向にも対処すべく、温度の変化及びコミッション済ユニットに対する空気の流れのパラメータを示唆するために数学的モデルを利用することができる。
【0229】
[0309] [保守関連データの記録及び提示]
当該システムを動作する状態に維持することに関係する全ての監視データは、1以上の関連するユーザインターフェース上に提示することができる。多くの実施態様において、これらのUI(1以上のウインドウ、パネル又はリンクされたウェブサイトとして提供される)は、診断メッセージ;コミッション済ユニットに関連する警報、警告及び他のイベント;非常用照明の作動;装置故障に関するレポート及び通知;並びに計画された及び完了された装置交換等のデータを提示する。装置が意図されたように動作していないかも知れないことを示す警報とは異なり、警告は当該システムが動作限界の近く又は外側で動作しているかも知れないことを示す(例えば、装置が寿命、過電圧又は過電流状態に近付いていることを示す)。通信障害及び電力の欠如等の異なる分類の装置故障を視覚的に示すために、異なる視覚的特徴(例えば、異なるアイコン又はカラー)を用いることができる。
【0230】
[0310] 幾つかの実施態様において、故障した装置又はコミッション済ユニットが交換される場合、適切な保守資格証明を有するユーザは、中央ダッシュボードを使用して装置を
図5に示した方法に従って再コミッショニングすることができる。交換された装置は当該システムにより発見することができ、該装置の位置は間取図上に印される。当該装置に関するコミッショニングデータは、交換後に装置を効果的に再コミッショニングするために、コミッショニングモジュール120及び環境マネージャモジュール110等のシステムモジュールの間で共有することができる。交換された装置をセンサに結合する処理は、例えば、権限のあるユーザが発見された装置を表すアイコンを、中央ダッシュボードにより表示されたデジタル間取図上の1以上のセンサを表すアイコン上に単にドラッグ及びドロップすることにより開始することができる。
【0231】
[0311] 環境マネージャモジュール110等のシステムモジュールは、システム全体の又は局所化された自己検査を実行することができる。斯かる自己検査は、規則的間隔で自動的に又は権限のあるユーザにより手動で開始することができる。レポート及び診断メッセージは、システムモジュール又はコミッション済ユニットにより種々のコミッション済ユニット又はシステムモジュールの健康状態に関して発生することができ、中央ダッシュボード上に提示される。手動でリクエストされた自己検査の場合、当該システムはユーザに対し該自己検査の進展に関するフィードバックを供給することができる。更に、システムモジュールは、種々のコミッション済ユニットに関するTCP/IPネットワークメッセージを記録し、利用可能にすることができる。
【0232】
[0312] [ユーザ管理ダッシュボード]
[0313] 中央ダッシュボードは、権限のあるユーザが当該システムのユーザのためのユーザアカウントを作成し、編集し及び削除することを可能にするユーザ管理GUIも有することができる。これらユーザアカウントは、当該構造物のユーザ(例えば、オフィス作業者)のためのアカウント、及びユーザアカウントを構成する許可を有する管理者により使用するためのアカウントであり得る。ユーザ及び管理者の各アカウントは、認証目的のための関連するユーザID及びパスワードを有することができる。幾つかの実施態様において、管理者アカウントは、例えば、何のタイプのデータが監視されるか、何のユーザが監視されたデータを何の細分度で見ることができるか、何のシステムパラメータが構成可能であり何のユーザが斯かるパラメータの値を変更することができるか、何のユーザがシステム通知を受けるか、及び何のコミッション済ユニットが種々のシステムレベルのタスク(例えば、監視データを収集する)のために使用されるか等を、構成することができる。
【0233】
[0314] 新たなユーザ及び管理者アカウントを手動で作成するための手段を提供することに加えて、ユーザ管理GUIは、以前から存在するユーザアカウントを既存のユーザアカウント設備(例えば、LDAP、RADIUS/アクティブサーバ)からインポートすることによりユーザアカウントの作成を容易にすることもできる。幾つかの実施態様において、ユーザアカウントは、割り当てられた役割(例えば、保守技術者の役割)を有することができる。特定の役割に割り当てられた全てのユーザは、情報に対する同じレベルのアクセス権を有し得ると共に、当該システムの種々の側面に対して同じレベルの支配を有することができる。例えば、保守技術者の役割が割り当てられた全てのユーザは、当該システムの機能を維持することに関する監視された利用情報(例えば、当該ビルの種々の位置における照明レベル等)を特定のレベルの詳細さ及び細分度で見ることが許可され得る。従って、役割は、特定の許可が可能化されると共に他のものが不能化されたテンプレートとして働くことができる。ユーザアカウントに役割を割り当てることは、結果的に、ユーザが当該構造物内の他のユーザの行動に関する潜在的に敏感な情報にアクセスすることを制限する一方、ユーザが自身に割り当てられた役割に関する機能を実行するための適切なタイプの情報にアクセスすることを依然として可能にする効率的な態様である。
【0234】
[0315] 当該ユーザ管理GUIは顧客アカウントの作成及び管理も可能にすることができ、ここで、管理者及びユーザアカウントの各々に顧客アカウントが関連付けられる。当該システムは、各顧客アカウントに対する管理者アカウントが自身の顧客アカウントのみに関連付けられたユーザアカウントを編集することを許可され得るようにして、複数の顧客アカウントをサポートすることができる。このような構成は、別個の団体による同一の物理的空間における環境条件の管理を可能にする。例えば、同一のオフィスビルは、月曜日から水曜日までは或る団体により占有され得る一方、木曜日から金曜日までは他の団体により占有され得る。各団体は、自身の従業員に関連したユーザアカウントを持つ異なる顧客アカウントを有することができる。
【0235】
[0316] [保守及び信頼性]
[0317] [ソフトウェアのアップグレード]
[0318] システムモジュール(例えば、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130)は、種々の実施態様において、コミッション済ユニットのソフトウェアアップグレードを可能にすることができる。ソフトウェアアップグレード処理の種々の段階の間において、アップグレード中の装置は動作しないかも知れない。ソフトウェアアップグレードは、スケジュールに基づいて実行することができ、中央ダッシュボード等のユーザインターフェースを用いて遠隔的に開始することができ、又は前記コミッショニングツール等のシステムツールを用いて資格のあるユーザ(例えば、現場支援技術者)により現場で開始することもできる。アップグレードは選択された装置に対して又は或る分類の装置に対して実施することができ、中央ダッシュボードは当該システムのコミッション済ユニットに対する進行中の、スケジュールされた及び完了したソフトウェアアップグレードを反映することができる。
【0236】
[0319] ソフトウェアアップグレードの間において、照明装置等の装置の挙動は、当該アップグレード以前の構成された挙動とは異なり得る。例えば、ソフトウェアアップグレードを受け、次いで再ブートされたコミッション済照明ユニットは、特定のレベルの照明(例えば、背景レベルの照明)を供給すると共に、受信される如何なる照明制御リクエストも無視し得る。コミッション済ユニットに対して自動的に又は手動で発生された環境制御コマンドを準備及び/又は転送することに関わるシステムモジュール(例えば、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130)は、現在ソフトウェアアップグレードを受けているコミッション済ユニットに対して該コマンドを転送することを停止することができる。ソフトウェアアップグレードが完了した後に、該アップグレードされた装置は、幾つかの実施態様では、該アップグレード直前の挙動に戻ることができる。多くの実施態様において、装置のソフトウェアアップグレードは、該アップグレード前に設定された構成パラメータを書き換え又は削除することはない。
【0237】
[0320] 多くの実施態様において、セキュリティ侵害から保護するために、認可されたバージョン及びタイプのファームウエア及びコンピュータコードのみが装置によりアップグレード目的で受け入れられ、権限のあるユーザのみがソフトウェアアップグレードを開始することができる。アップグレード関連データの伝送は、安全な通信チャンネルを介してのみ許可され得る。
【0238】
[0321] 本発明者は、オペレーティングソフトウェアのアップグレードが実行される幾つかの場合において、新たにアップグレードされた照明器具コントローラ(及び該コントローラに関連する照明器具(又は複数の照明器具))を使用不能にさせるようなバグ、非互換性等の問題が発生し得ることを理解及び認識した。このことは、当該照明器具(又は複数の照明器具)の動作不良又は動作の完全な停止を含み得る。
【0239】
[0322] 更に、多くの場合、照明器具コントローラは限られたROM/RAM記憶容量しか備えないかなり小さな装置であり、一般的に、当該照明器具コントローラが以前の動作状態に戻ることができるように、完全なシステム復元ポイントを該照明器具コントローラ内のメモリに記憶することは可能ではないであろう。また、照明器具コントローラがアップグレードされた場合、新たなオペレーティングソフトウェアは、たとえ当該照明器具内に記憶され且つ復元されたとしても以前のバージョンのオペレーティングソフトウェアが、最早、使用不能となるような態様で、該照明器具内のメモリに新たなデータを記憶し、及び/又はデータを再フォーマットし得る(例えば、構成データセット、構成データの更なる詳細及び例は後述する)。
【0240】
[0323] このような状況下では、単に以前のオペレーティングソフトウェアに戻すことは不可能であり得るか又は当該問題を解決するものとはならない。
【0241】
[0324] 例えば、照明器具コントローラがソフトウェアバージョンA及び対応する構成データセットAで動作しており、該照明器具コントローラがソフトウェアバージョンB及び対応する構成データセットBにアップグレードされる場合を考察しよう。アップグレード後に、当該照明器具コントローラが期待されたように又は望まれたように機能しない場合、ソフトウェアバージョンAに戻すように決定するかも知れない。しかしながら、該照明器具コントローラのメモリにソフトウェアバージョンAが依然として存在していたとしても、復旧に際して、該照明器具コントローラはソフトウェアバージョンA及び構成データセットBを有することになり、これらは互いに全く互換性がない可能性があり得る。例えば、構成データセットBのフォーマットは、ソフトウェアバージョンAが期待し、且つ、一緒に動作するように設計されていたフォーマットとは異なり得る。
【0242】
[0325] この目的のために、本発明者は、オペレーティングソフトウェアのアップグレード後に当該照明器具コントローラの機能に悪影響を与える問題が生じた場合に、該照明器具コントローラが自身を以前に動作していた状態に自律的に復元させるような、照明器具コントローラが自律的に復元ポイントを作成すると共に自身の構成データセットを待避させるシステム及び方法を着想し、開発した。このようなシステム及び方法の実施態様を、
図28~
図34に関連して説明する。
【0243】
[0326]
図28は、通信ネットワーク2805により第1及び第2装置2820及び2830に接続された照明器具コントローラ2810を含む照明システム(又は照明ネットワーク)2800の例示的実施態様を示す。
【0244】
[0327] 照明器具コントローラ2810は1以上の照明器具2802を制御し、これら照明器具の各々は1以上の光源(例えば、LED光源)を含むことができる。照明器具コントローラ2810は、プロセッサ2812及びメモリ2814を含む。メモリ2814は、複数のメモリエレメントを含むことができる。種々の実施態様において、メモリ2814は少なくとも1つの不揮発性メモリエレメントを含み、該不揮発性メモリエレメントはプログラマブル・リードオンリメモリ、フラッシュメモリ、磁気抵抗RAM(MRAM)及び強誘電体RAM(F-RAM)等のうちの1以上を含むことができる。照明器具コントローラ2810は、一般的に、通信ネットワーク2805のための通信インターフェース等の多数の他の要素も含み得るが、これらは
図28には示されず、ここでは特に説明されない。
【0245】
[0328] 照明器具コントローラ2810のプロセッサ2812は、1以上の関連する照明器具2802の動作を制御することを含む処理を実行するための第1オペレーティングソフトウェアを実行する。メモリ2814は、該第1オペレーティングソフトウェアの第1ソフトウェアイメージ28000を記憶する。特に、照明器具コントローラ2810は、自身の関連する照明器具(又は複数の照明器具)2802を制御するために該第1オペレーティングソフトウェアを、これら照明器具のための第1構成データセット28100(これも、メモリ2814に記憶される)と一緒に使用する。
【0246】
[0329] 通常、構成データは、照明器具コントローラ2810及び/又は該コントローラが制御する照明器具2802を構成するために使用される如何なるデータも含むことができる。構成データセット28100に含まれ得る構成データの例は、これらに限定されるものではないが、通信パラメータ、記録及び/又はレポートされるべき測定値、照明器具構成パラメータ並びに照明器具照明パラメータを含む。通信パラメータの例は、これらに限定されるものではないが、当該照明器具コントローラが通信するゲートウェイコントローラのインターネットプロトコル(IP)アドレス、当該照明器具コントローラが通信するドメインネームサーバ(DNS)のアドレス、当該照明器具コントローラのネットワークID、当該照明器具コントローラが対話する装置(例えば、センサ、照明器具等)のアドレス、及び当該照明器具コントローラが自身の測定データをレポートすべきアドレスを含む。照明器具構成パラメータの例は、照明器具のタイプ、照明器具の製造者、照明器具の製造日(例えば、年、週、月等)を含む。照明器具照明パラメータの例は、当該照明器具コントローラにより照明器具を制御するために使用される照明制御アルゴリズムのタイプ又はバージョン、当該照明器具を時間にわたり一定の光出力を有するように構成するためのパラメータ等を含む。
【0247】
[0330] 第1及び第2装置2820及び2830は、照明器具コントローラ2810の復元ポイントのためのソフトウェアイメージ及び構成データセットを記憶するように構成される。特に、照明器具コントローラ2810は通信ネットワーク2805を介して第1装置2820に第1ソフトウェアイメージ28000を伝送し、該第1装置は第1ソフトウェアイメージ28000をメモリ2822に記憶する。また、照明器具コントローラ2810は通信ネットワーク2805を介して第2装置2830に第1構成データセット28100を伝送し、該第2装置は第1構成データセット28100をメモリ2832に記憶する。幾つかの実施態様において、第2装置2830は削除することができ、第1装置が第1ソフトウェアイメージ28000及び第1構成データセット28100の両方を記憶することができる。幾つかの実施態様において、第1及び第2装置2820及び2830の一方又は両方は、照明器具コントローラ2810が配備される照明ネットワークのためのゲートウェイコントローラとすることができる。
【0248】
[0331] 後に更に詳細に説明されるように、照明器具コントローラ2810に対しオペレーティングソフトウェアのアップグレードが望まれる場合、第2(例えば、アップグレードされた)オペレーティングソフトウェアのための第2ソフトウェアイメージを、通信ネットワーク2805を介して照明器具コントローラ2810に伝送することができる。この場合、照明器具コントローラ2810はメモリ2814内の第1ソフトウェアイメージ28000を該第2(例えば、アップグレードされた)オペレーティングソフトウェアのためのソフトウェアイメージで置換することができる。しかしながら、第1ソフトウェアイメージ28000は、第1装置2820のメモリ2822内に記憶されたままとなる。また、第2構成データセットが照明器具コントローラ2810に当該アップグレードの一部として伝送された場合、第1構成データセット28100は第2装置2830のメモリ2832内に記憶されたままとなる。従って、第2(例えば、アップグレードされた)オペレーティングソフトウェアが照明器具コントローラ2810及び/又は該コントローラに関連する照明器具の1つを動作不良にさせた又は全く機能させなくさせたと判断された場合(例えば、自己テストの間に)、照明器具コントローラ2810は、第1装置2820から第1ソフトウェアイメージ28000を取り出すと共に第2装置2830から第1構成データセット28100を取り出し、第1オペレーティングソフトウェア及び第1構成データセット28100の以前の既知の機能動作状態に復帰することができる。
【0249】
[0332]
図29及び
図30に関連して後に更に詳細に説明するように、第1装置2820及び第2装置2830を設けることは、複数の異なる照明器具コントローラのための複数の以前に既知の良好なソフトウェアイメージ及び/又は構成が1つの場所に記憶されることを可能にする。その場合、格納効率が得られ得る。例えば、幾つかの場合において、以前に知られていた最後の良好な状態に対応するオペレーティングソフトウェアのソフトウェアイメージは、複数の異なる照明器具コントローラに対して同一であり得る。その場合、該ソフトウェアイメージの1つのコピーしか記憶される(例えば、第1装置2820に)ことを要しない。第1装置に同様に記憶されるインデックス又はマッピングテーブルを、何のソフトウェアイメージが何の照明器具コントローラに属するかを追跡するために用いることができる。
【0250】
[0333]
図29は、各々が通信ネットワーク2805を介して第1及び第2装置2820及び2830に接続された第1及び第2照明器具コントローラ2810-1及び2810-2を含む照明システム(又は照明ネットワーク)2900の他の例示的実施態様を示す。
【0251】
[0334] 第1及び第2照明器具コントローラ2810-1及び2810-2は、
図28に関連して上述した照明器具コントローラ2810と概ね同一の構成及び動作を有しており、その差異のみを説明する。この場合、第1照明器具コントローラ2810-1は第1構成データセット28100に従って構成される一方、第2照明器具コントローラ2810-2は該第1構成データセット28100とは異なる第2構成データセット28102に従って構成される。幾つかの場合において、第1及び第2構成データセット28100及び28102は、互いに同一のフォーマット及びバージョンを有することができるが、対応する照明器具コントローラ2801-1又は2810-2に固有な異なる構成データを含むことができる。
【0252】
[0335]
図29に示されるように、第2照明器具コントローラ2810-2は第2構成データセット28102を、通信ネットワーク2805を介して第2装置2830に伝送する。第2装置2830は該第2構成データセット28102をメモリ2832に記憶する。幾つかの実施態様において、メモリ2832は、異なる各照明器具コントローラに関する構成データセットがメモリ2832内の何処に記憶されているかを識別するインデックス又はマッピングテーブルも記憶することができる。幾つかの実施態様において、メモリ2832は、その構成データセットを記憶する各照明器具コントローラに割り当てられた固定のメモリアドレスを有することができる。
【0253】
[0336] 照明システム2900において、第1及び第2照明器具コントローラ2810-1及び2810-2の各々は、互いに同一の既知の良好なオペレーティングソフトウェアを有し、従って、単一のソフトウェアイメージ28000のみが、第1及び第2照明器具コントローラ2810-1及び2810-2の両方に対して、第1装置2820のメモリ2822に記憶される。
【0254】
[0337]
図30は、各々が通信ネットワーク2805を介して第1及び第2装置2820及び2830に接続された3つの照明器具コントローラ2810-1、2810-2及び2810-3を含む照明システム(又は照明ネットワーク)3000の他の例示的実施態様を示す。
【0255】
[0338] 第1、第2及び第3照明器具コントローラ2810-1、2810-2及び2810-3は、
図29に関連して上述したものと同一の構成及び動作を有している。この場合、第3照明器具コントローラ2810-3は、第1構成データセット28100及び第2構成データセット28102とは異なる第3構成データセット28104に従って構成される。幾つかの場合において、第1、第2及び第3構成データセット28100、28102及び28104は、互いに同一のフォーマット及びバージョンを有することができるが、対応する照明器具コントローラ2801-1、2810-2又は2810-3に固有な異なる構成データを含むことができる。
【0256】
[0339]
図30に示されるように、第3照明器具コントローラ2810-3は第3構成データセット
28104を、通信ネットワーク2805を介して第2装置2830に伝送する。第2装置2830は該第3構成データセット28104をメモリ2832に記憶する。幾つかの実施態様において、メモリ2832は、異なる各照明器具コントローラに関する構成データセットがメモリ2832内の何処に記憶されているかを識別するインデックス又はマッピングテーブルも記憶することができる。幾つかの実施態様において、メモリ2832は、その構成データセットを記憶する各照明器具コントローラに割り当てられた固定のメモリアドレスを有することができる。
【0257】
[0340] 照明システム3000において、第1及び第2照明器具コントローラ2810-1及び2810-2の各々は、互いに同一の既知の良好なオペレーティングソフトウェアを有し、従って、単一のソフトウェアイメージ28000のみが、第1及び第2照明器具コントローラ2810-1及び2810-2の両方に対して、第1装置2820のメモリ2822に記憶される。しかしながら、第3照明器具コントローラ2810-3は、第1及び第2照明器具コントローラ2810-1及び2810-2に対する既知の良好なオペレーティングソフトウェアとは異なる既知の良好なオペレーティングソフトウェアを有している。例えば、第3照明器具コントローラ2810-3は、第1及び第2照明器具コントローラ2810-1及び2810-2により使用されている現バージョンのオペレーティングソフトウェアとは互換性のない古いモデルであり得、この場合、該第3照明器具コントローラ2810-3は、以前のバージョンのオペレーティングソフトウェア(ソフトウェアイメージ28002を有する)で動作することができる。この場合において、第3照明器具コントローラ2810-3はソフトウェアイメージ28002を、通信ネットワーク2805を介して第1装置2820に伝送する。第1装置2820は、該ソフトウェアイメージ28002をメモリ2822にソフトウェアイメージ28000と一緒に記憶する。幾つかの実施態様において、メモリ2822は、異なる各照明器具コントローラのためのソフトウェアイメージがメモリ2822の何処に記憶されるかを、又は逆に何の照明器具コントローラがメモリ2822に記憶された異なる各ソフトウェアイメージに属するかを識別するインデックス又はマッピングテーブルを記憶することもできる。
【0258】
[0341] 照明器具コントローラのための既知の良好な復元ポイントをバックアップ又は待避すると共に、次いで該待避された復元ポイントを用いて照明器具コントローラを既知の良好な動作状態又は条件に復元するシステム及び方法を、
図31~
図35に関連して説明する。
【0259】
[0342]
図31は、通常動作モードの間の照明システム(又は照明ネットワーク)3100の例示的実施態様を示す。
【0260】
[0343] 照明システム3100は、第1照明器具コントローラ3110-1を含む複数の照明器具コントローラ3110及びゲートウェイコントローラ3120を含み、これらは全て通信ネットワーク3105に接続されている。ゲートウェイコントローラ3120は、該コントローラの動作を制御するためのプロセッサ3122及び通信インターフェース3124を含んでいる。ゲートウェイコントローラ3120はメモリ(
図31には図示されていない)も含み、該メモリは
図28~
図30に関連して前述したように1以上のソフトウェアイメージ及び/又は1以上の構成データセットを記憶することができる。
【0261】
[0344] ここで、第1照明器具コントローラ3110-1は、第1オペレーティングソフトウェアSW1により適切に動作している。
【0262】
[0345]
図32は、第1照明器具コントローラ3110-1が、通信ネットワーク3105に一時的に接続され得る照明器具プログラミング装置3200から第2オペレーティングソフトウェアSW2のための新たな(第2)ソフトウェアイメージを受信した、オペレーティングソフトウェアのアップグレードの間における照明システム3100の一実施態様を示す。ここで、プログラミング装置3200は、プロセッサ、メモリ及び通信インターフェースを備えたタブレット等の手持ちコンピュータ装置又はラップトップコンピュータとすることができるもので、上記プロセッサはアルゴリズムを実行し、これにより、該プログラミング装置は通信ネットワーク3015を介して接続された1つの、2以上の又は全ての照明器具コントローラにソフトウェアアップグレードを分配する。
【0263】
[0346] 幾つかの場合又は実施態様において、第1照明器具コントローラ3110-1が第2オペレーティングソフトウェアのための新たな(第2)ソフトウェアイメージを受信する場合、該第1照明器具コントローラは、第2オペレーティングソフトウェアが当該第1照明器具コントローラ3110-1の動作を制御すべく動作するための第2構成データセットも受信することができる。
【0264】
[0347]
図33は、新たなソフトウェアイメージを受信した第1照明器具コントローラ3110-1が、既知の良好な第1オペレーティングソフトウェアSW1のための現(第1)ソフトウェアイメージ及び当該第1照明器具コントローラ3110-1が現在構成されている第1構成データセットを、ゲートウェイコントローラ3120に記憶する照明システム3100を示す。幾つかの実施態様において、当該照明システムは、ゲートウェイコントローラ3120に加えて、通信ネットワーク3105に接続された第2装置を含むこともできる。その場合、第1照明器具コントローラ3110-1は
図28~
図30に関連して前述したように、第1ソフトウェアイメージをゲートウェイコントローラ3120及び第2装置のうちの一方に伝送することができると共に、第1構成データセットを該ゲートウェイコントローラ及び第2装置のうちの他方に伝送することができる。
【0265】
[0348]
図32及び
図33においては、第1照明器具コントローラ3110-1が、新たな(第2)ソフトウェアイメージを受信した後に、第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットをゲートウェイコントローラ3120に伝送するように図示されているが、この順番は逆にすることもできる。即ち、幾つかの実施態様において、第1照明器具コントローラ3110-1は第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットを、これが第1照明器具コントローラ3110-1にとり良好に動作する状態に対応するものと判断した後であって、新たな(第2)ソフトウェアイメージを受信する前の、任意の時点でゲートウェイコントローラ3120に伝送することができる。
【0266】
[0349]
図34は、新たな(第2)ソフトウェアイメージを受信した第1照明器具コントローラ3110-1が、該第2オペレーティングソフトウェアSW2へのオペレーティングソフトウェアアップグレードをインストールした後の自己テストに失敗した場合の照明システム3100を示す。詳細には、第1照明器具コントローラ3110-1が新たな(第2)ソフトウェアイメージ(及び、幾つかの実施態様においては第2構成データセット)を受信した後、該第1照明器具コントローラは、第2(アップグレードされた)オペレーティングソフトウェアSW2をインストールし、第2構成データセットを自身のメモリに待避し、動作を開始する。第2オペレーティングソフトウェアSW2をインストールした後の或る時点で、第1照明器具コントローラ3110-1は健康診断、即ち自己テストを実行して、当該新たな(第2)オペレーティングソフトウェアSW2により適切に又は期待されたように機能しているか否かを判定する。
【0267】
[0350] 斯かる自己テストは、種々の異なる方法で実行することができる。幾つかの実施態様において、自己テストは、単に、第1照明器具コントローラ3110-1のプロセッサが特定の時間間隔内で何らかのエラーにより再ブートを実行した回数を追跡するカウンタである。例えば、幾つかの実施態様において、第1照明器具コントローラ3110-1は、該第1照明器具コントローラ3110-1が500時間(勿論、他の数も使用することができる)なる期間内に10回の再ブートを実行した場合、自己テストを失敗したものとなり得る。幾つかの実施態様において、自己テストは、該第1照明器具コントローラ3110-1により実行されている全てのタスクの利用可能なスタックサイズ及びキューサイズの検査とすることができ、これらの数値の一方又は両方が閾値を超えた場合、当該自己テストは失敗したと判定することができる。幾つかの実施態様において、第1照明器具コントローラ3110-1のプロセッサは、第2オペレーティングソフトウェアSW2内の組み込みアルゴリズムを実行することにより、当該構成データセットの内容を期待される特徴に対してチェックし、該データが期待されるものと合致するかを調べることができる。例えば、第2オペレーティングソフトウェアSW2は、当該第1照明器具コントローラ3110-1が動作するために接続された照明器具又はセンサのモデル若しくはバージョン番号をチェックし、これらモデル若しくはバージョンが当該アップグレードされた第2オペレーティングソフトウェアSW2によりサポートされているかを検証することができる。
【0268】
[0351] 上述した説明から、種々の実施態様において、自己テストは、第1照明器具コントローラ3110-1の離散的なテストイベント及び/又は進行する連続的な健康度チェックを含むことができることは明らかであろう。
【0269】
[0352]
図35は、照明器具コントローラ3110-1が自身の以前のソフトウェアイメージ及び構成データセットに戻った照明システム3100を示す。この場合、第1照明器具コントローラ3110-1は、ゲートウェイコントローラ3120に第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットを該第1照明器具コントローラ3110-1に送信して戻すリクエストを送出している。第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットを受信すると、第1照明器具コントローラ3110-1は、第1構成データセットを自身のメモリに記憶すると共に、第1オペレーティングソフトウェアを、ゲートウェイコントローラ3120から受信された第1ソフトウェアイメージを用いてインストールする。この状態において、当該照明システム3100は、先に
図31に示したように動作する。
【0270】
[0353]
図36は、照明器具のための復元ポイントを自律的に作成すると共に、該照明器具がソフトウェアアップグレード後に機能しなくなった場合に該照明器具を自律的に復元する方法3600の例示的実施態様のフローチャートを示す。種々の実施態様において、方法3600は、前述した照明システム2800、2900及び3000に適用することができる。
【0271】
[0354] 処理3605において、照明器具は第1オペレーティングソフトウェア及び第1構成データを用いて動作している。
【0272】
[0355] 処理3610において、当該照明器具は、該照明器具が接続された通信ネットワークを介して、第2(アップグレードされた)オペレーティングソフトウェアのための第2ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットとは異なる第2構成データセットを受信する。
【0273】
[0356] 処理3615において、当該照明器具は第1オペレーティングソフトウェアのための第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットを、該照明器具が通信ネットワークにより接続された1以上の装置に該第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットを送信することによりコピーする。例えば、幾つかの実施態様において、第1ソフトウェアイメージは第1装置内のメモリにコピーされる一方、第1構成データセットは第2装置内のメモリにコピーされる。
【0274】
[0357] 処理3610及び3615の順序は、
図36のフローチャートに示されたものと比較して逆にすることもできると理解されたい。
【0275】
[0358] 処理3620において、当該照明器具は第2ソフトウェアイメージを用いて第2オペレーティングソフトウェアをインストールすると共に、第2構成データセットを自身のメモリに待避又は記憶する。
【0276】
[0359] 処理3625において、当該照明器具は、例えば
図34に関連して前述したように、自己テストを実行する。
【0277】
[0360] 処理3630において、自己テストが合格したか又は失敗したかが判定される。
【0278】
[0361] 処理3625における自己テストが失敗した場合、当該方法は処理3635に進む。処理3635において、当該照明器具は、第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットが記憶された装置(又は複数の装置)が第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットを通信ネットワーク経由で当該照明器具に戻すように送信することを要求する。
【0279】
[0362] 処理3640において、当該照明器具は第1ソフトウェアイメージ及び第1構成データセットを受信する。
【0280】
[0363] 処理3645において、当該照明器具は第1オペレーティングソフトウェアを、取り込まれた第1ソフトウェアイメージを用いてインストールすると共に、取り込まれた第1構成データセットを自身のメモリに待避又は記憶する。
【0281】
[0364] 処理3625における自己テストが合格した場合、当該方法は処理3650に進み、該処理において当該照明器具は第2オペレーティングソフトウェア及び第2構成データセットを用いて動作する。
【0282】
[0365] [保守:装置の再コミッショニング及び再構成]
[0366] [フロアマップ及びホットプラグ接続]
[0367] 幾つかの実施態様において、前記コミッショニングツールは、センサ、PoEスイッチ、照明器具、領域コントローラ及びゲートウェイモジュール等の装置の実際の物理的配置を示す対話型フロアマップを提供する。このような装置のホットプラグ接続及びホットプラグ切断(例えば、システム全体が給電され且つ動作している間における装置の配置及び削除)の間において、該フロアマップは装置の斯かる削除及び追加をリアルタイムに反映することができる。
【0283】
[0368] [自動的再コミッショニング:照明器具及びセンサの交換]
[0369] 幾つかの実施態様において、照明器具又はセンサ等の以前にコミッショニングされたユニットの交換後の再コミッショニング及び再構成は、自動的とすることができる。交換したコミッション済ユニット、交換されたユニット、及び/又は再コミッショニング及び/又は再構成処理から生じた何らかのエラー若しくは警告に関する詳細を伴うレポートを、その後、作成し中央ダッシュボードに転送することができる。該レポートは、当該交換がなされた装置及び位置を含むことができる。多くの実施態様において、交換された照明器具は、コミッション済ユニットの一部としての挙動を、電源及び通信ラインに接続した時点から5秒以内に取り戻すことができる。
【0284】
[0370] センサも、他のコミッション済ユニットと同様に、当該システムが稼働状態である間にアップグレード及び交換することができる。例えば、1以上の二酸化炭素、湿度及び温度センサを、当該システムがコミッショニングされ、稼働状態になった後でさえも追加することができる。多くの実施態様において、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールは、交換したセンサの能力を認識し、該センサを適切なコミッション済ユニットにリンクすることにより自動的にコミッショニングすることができる。更に、交換したセンサの能力は中央ダッシュボードにレポートすることができる。
【0285】
[0371] [半自動的再コミッショニング]
多くの実施態様において、照明システムコントローラ又は作動装置(センサ、照明器具、制御UI、領域コントローラ等)が交換された場合、権限のあるシステムユーザ(例えば、コミッショニング技術者)は、適切な機能を可能にするために該装置をコミッショニング及び構成する必要があり得る。多くの場合、これは、前記コミッショニングツールを用いて達成することができる。幾つかの事例において、コミッション済ユニットが交換された場合、環境マネージャモジュール110又はゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールは、ネットワーク上の当該装置を発見し、コミッショニングのために該装置をコミッショニングツール上に提示する。
【0286】
[0372] 交換された装置の位置特定は、自動的に又は半自動的に実行することができ、その場合、権限のあるユーザ(例えば、コミッショニング技術者)は成功した位置特定に関して確認を要求される。当該システムにおいて単一の装置が交換される場合、前記コミッショニングモジュールは、該装置を、交換した故障した装置の構成明細により自動的に再構成することができる。権限のあるユーザは、交換された装置に関連する構成データの最後のバージョンを、例えば、中央ダッシュボードを用いて要求することもできる。
【0287】
[0373] [手動の再コミッショニング]
[0374] 権限のあるユーザは、中央ダッシュボードを用いて、コミッション済ユニットを手動で再コミッショニングすると共に、選択されたコミッション済ユニットのパラメータを再構成することができる。例えば、ユーザはコミッション済ユニットに追加するための装置を選択することができるか、又はコミッション済ユニットを副ユニットに分割することができると共に、新たなコミッション済ユニット(又は複数のユニット)の動作を制御するために使用される種々のパラメータを指定することができる。
【0288】
[0375] [非常モード及び照明]
[0376] 停電があるか又は無スイッチ主電源ラインがオフされた場合、当該システムはシステム全体の非常(緊急)モードを起動することができる。該非常モードの間において、コミッション済ユニットは、如何なる昼光ベース若しくは占有ベースの制御にも、又は個々のユーザからの如何なる制御リクエストにも反応することはできない。種々の実施態様において、当該構造物にわたって分散された非常用照明器具又は照明ユニットは、ビルからの避難等の目的のために十分な光を発生するように駆動され得る。このような非常用照明器具は、各々、種々の光状態が関連するシステム状態を示す、1以上の指示LEDを有することができる。例えば、継続する緑色光は当該システムが所要のように機能していることを示すことができ;点滅する緑色光は当該システムが或る機能又は持続性テストを実行していることを示すことができ;4点滅周期で点滅する赤色光は電池故障を示すことができる。
【0289】
[0377] [信頼性]
[0378] [光出力品質]
[0379] 幾つかの実施態様においては、異なる照明効果(例えば、温度及びカラー)の照明器具が使用され得るものであり、当該システムは以下の仕様の照明装置をサポートすることができる:80より大きなRa;0.7より大きな作業照明の均一度;0.4より大きな背景照明の均一度;オフィス空間に対する19の及び通路領域に対する28のURG(Unified Glare Rating);4000KのCCT。
【0290】
[0380] [ネットワーク故障]
[0381] システム全体で利用可能なネットワーク接続性がない状況において、該システムは、ネットワーク接続性が再確立されるまで、予め定められたやり方で動作し得る。例えば、占有ベースの制御は、占有が検出された領域において最小限のレベルの照明を供給するために、限定された容量で利用可能にされる一方、昼光ベースの制御及びパーソナル制御は利用不可能となるであろう。個々の照明器具又は照明ユニットがネットワークに最早接続されていないことを検出した状況においても、該照明器具又は照明ユニットは予め規定されたやり方で動作し得る。例えば、該照明器具又は照明ユニットはネットワーク故障が検出される前と同一のレベルの照明を供給し続けることができ、オフされている場合は、後に近傍において占有が検出された場合に、最小限のレベルの照明を供給するように切り換わり得る。このような挙動は、ネットワーク故障の場合でさえも、占有された領域には最小限のレベルの照明が存在することを保証する。
【0291】
[0382] [PoEスイッチの故障]
[0383]
図22は、PoEスイッチの故障の視覚的影響を低減するためのコミッション済ユニット及び関連するPoEスイッチの配置を示す。
図22には、2つの別個の部屋における複数のコミッション済ユニット(点線長方形を用いて識別されている)に電力を供給する2つのPoEスイッチ(PoEスイッチA及びPoEスイッチB)が示されている。PoEスイッチAは、部屋1における3つのコミッション済ユニット及び該ユニットの各照明器具又は照明ユニット(点線長方形内に円として示されている)並びに部屋2における1つのコミッション済ユニット及び該ユニットの照明器具に電力を供給するものとして示されている。PoEスイッチBは、部屋2における2つのコミッション済ユニット及び該ユニットの各照明器具(又は照明ユニット)並びに部屋1における1つのコミッション済ユニット及び該ユニットの照明器具(又は照明ユニット)に電力を供給するものとして示されている。各PoEスイッチが2つの部屋の各々における少なくとも1つのコミッション済ユニットに電力を供給する斯かる配置においては、上記PoEスイッチのうちの一方が故障しても、何れの部屋も完全な暗さにはならない。
【0292】
[0384] [自己診断]
[0385]
図23は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様におけるコミッション済ユニットにより実行される自己診断及び回復のための方法2300を示す。
図23は、ステップ2310~2350を有している。該方法2300の幾つかの変形例において、図示された全てのステップが図示された順番で実行される必要はなく、1以上のステップを追加することができ、1以上のステップを図示されたステップから削除することができる。ステップ2310において、コミッション済ユニットは、ゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールの助けを受けて又は受けないで、自身の動作の不具合を検出する。或る不具合は、リクエストされた制御コマンドが自身の仕様により許される技術的範囲内である場合に、該リクエストされた制御コマンドに当該コミッション済ユニットが応答することができないことであり得る。例えば、不具合は、照明器具の仕様が特定のレベルの照明を許容している場合に、該照明器具(又は照明ユニット若しくは光源)が斯かるレベルで照明を供給することができないことであり得る。当該コミッション済ユニットが不具合を検出したら、制御はステップ2320に移る。ステップ2320において、当該コミッション済ユニットは自己回復を試みる。自己回復は、該ユニットが自身を再起動させること及び/又はそれ以外で自身をリセットすることを含み得る。幾つかのコミッション済ユニットは、再起動又はリセットが当該不具合を修正しない場合に、動作エラーを直すことが通常知られている一連の他の動作を試みるように構成することもできる。当該コミッション済ユニットが自己回復を試みたら、該コミッション済ユニットはステップ2330に進み、該ステップにおいて該コミッション済ユニットは、ゲートウェイモジュール130等のシステムモジュールの助けを借りて又は借りずに、前記検出された不具合が修正されたかを判断するためのチェックを行う。このステップの間において、当該コミッション済ユニットは該ユニットに当該不具合を前に検出させたのと同一のタスクを実行するよう試みることができる。当該不具合が修正されている場合、当該コミッション済ユニットは通常のように機能するようになり、制御はステップ2310に戻る。幾つかの実施態様において、当該コミッション済ユニットは、当該動作エラーを環境マネージャモジュール110、コミッショニングモジュール120又はゲートウェイモジュール130等の他のシステムモジュールにレポートすることができる一方、該コミッション済ユニットが該エラーから自己回復したとのメッセージも伝達する。このようなエラーレポートは、通知されたシステムモジュールからの補正動作を生じさせることはないが、統計目的で用いることができる(例えば、システム全体の動作エラー、及び斯かるエラーがどの様に処理されたかを記録する)。
【0293】
[0386] 上記不具合が修正されない場合、制御はステップ2340に進み、当該コミッション済ユニットは当該エラーを他のシステムモジュール(例えば、環境マネージャモジュール110、コミッショニングモジュール120又はゲートウェイモジュール130)にレポートする。該エラーレポートは関連する緊急レベルを有することができ、該レベルは当該コミッション済ユニット自体により設定することができる。該緊急レベルは、通知されたモジュールが当該エラーに何時、どの様に応答するかに影響を与えることができる。エラーをレポートする際に、当該コミッション済ユニットは、該エラーをレポートするモジュールに対して自身を識別する情報も送信することができる。このエラーレポートに応じて、該エラーレポートを受信したモジュールの1つは、当該コミッション済ユニットに対して自己回復命令を送出することにより応答することができる。これら自己回復命令は、例えば、コンピュータコード、又は自己回復のためのコンピュータコード若しくは命令の1以上のメモリにおける位置を識別する情報であり得る。幾つかの実施態様において、環境マネージャモジュール110等のシステムモジュールは、当該レポートされたエラーが当該コミッション済ユニットに関連する既知のバグに関するものである場合、該コミッション済ユニットにより実行可能なコンピュータコードの形態の既知のバグ修正を送信することができる。ステップ2350において、当該コミッション済ユニットは、自己回復命令が受信されたかを判定する。命令が受信されていない場合、制御はステップ2350に留まり、当該コミッション済ユニットは斯様な命令の受信、又はハードウェア交換等の権限のあるシステムユーザによる他の行動を待つ。自己回復命令が受信された場合、制御はステップ2320に戻り、該ステップにおいて当該コミッション済ユニットは該新たに受信された命令を用いて自己回復を試みる。
【0294】
[0387]
図24は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様による、環境マネージャモジュールに対するフロントエンドとして表示された対話型グラフィックユーザインターフェースの一実施態様を示す。該ユーザインターフェースは、対話型間取図上に装置及びコミッション済ユニットを描くと共に、リクエストされた場合に、これら装置及びユニットに関する利用情報(例えば、点灯時間、エネルギ使用)及び状態情報を表示する。
図25は、環境条件を管理するシステムの幾つかの実施態様による、コミッショニングモジュールに対するフロントエンドとして表示された対話型グラフィックユーザインターフェースの一実施態様を示す。該ユーザインターフェースは、ユーザが、例えば小部屋オフィス等の領域における種々の照明ユニットの光レベルを手動で調整することを可能にする。
図26は、コミッショニングモジュールに対するフロントエンドの一部として使用するための対話型領域ウィザードの一実施態様を示し、該領域ウィザードはユーザが物理的構造内の領域の機能を一緒に定義する種々のパラメータを指定することを可能にする。領域の機能に関してユーザから入力される情報は、その後、該領域内の種々の装置を自動的に構成するために使用することができる。
図27は、環境条件を管理するシステムにおいて使用するための、新たな装置(例えば、センサ)をコミッショニングする際に使用する対話型グラフィックユーザインターフェースの一実施態様を示す。
【0295】
[0388] 以上、幾つかの本発明実施態様を本明細書において説明及び図示したが、当業者であれば、ここに説明した機能を実行し、及び/又はここで述べた結果及び/又は利点の1以上を得るための種々の他の手段及び/又は構成に容易に想到するであろう。このような変更及び/又は修正の各々は、ここに述べた本発明の実施態様の範囲内であると見なされる。もっと一般的に言うと、当業者であれば、ここに述べた全てのパラメータ、寸法、材料及び構成は例示的なものであることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は構成は、本発明の教示が用いられる特定の用途に依存するであろうことを容易に理解するであろう。また、当業者であれば、ここで述べた本発明の特定の実施態様に対する多くの均等物を認識し、又は通例の実験を用いるだけで確認することができるであろう。従って、上述した実施態様は例示としてのみ提示されたものであり、添付請求項及びその均等物の範囲内で、本発明の実施態様は、特定的に説明及び請求項に記載したもの以外で実施することができると理解されるべきである。本開示の発明的実施態様は、ここで述べた各フィーチャ、システム、物品、材料、キット及び/又は方法に向けられたものである。更に、2以上の斯様なフィーチャ、システム、物品、材料、キット及び/又は方法の如何なる組み合わせも、このようなフィーチャ、システム、物品、材料、キット及び/又は方法が相互に矛楯しないならば、本開示の発明の範囲内に含まれるものである。
【0296】
[0389] ここで定められ及び使用された全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれた文献における定義及び/又は定義された用語の通常の意味を規制すると理解されるべきである。
【0297】
[0390] 本明細書及び請求項で使用される単数形は、そうでないと明示しない限り、“少なくとも1つの”を意味すると理解されるべきである。
【0298】
[0391] 本明細書及び請求項において使用される“及び/又は”なる語句は、そのように結合されたエレメントの“何れか又は両方”、即ち或る場合には連接的に存在し、他の場合には離接的に存在するエレメントを意味すると理解されるべきである。“及び/又は”で列挙された複数のエレメントは、同様に、即ちそのように結合されたエレメントの“1以上”であると見なされたい。“及び/又は”なる文により固有に識別されたエレメント以外の他のエレメントも、これらの固有に識別されたエレメントに関係するか関係しないかによらず、オプションとして存在することもできる。このように、限定するものではない例として、“有する”等の非制限的文言との関連で使用される場合、“A及び/又はB”なる言及は、一実施態様ではAのみを(オプションとしてB以外のエレメントを含む)、他の実施態様ではBのみを(オプションとしてA以外のエレメントを含む)、更に他の実施態様ではA及びBの両方を(オプションとして他のエレメントを含む)等を指すことができる。
【0299】
[0392] 本明細書及び請求項で使用される場合、“又は”は上記に定義した“及び/又は”と同じ意味を持つと理解されたい。例えば、リスト内で項目を分ける場合、“又は”又は“及び/又は”は、包含的であると、即ち、少なくとも1つの包含のみならず、複数の又は一連のエレメントのうちの2以上及びオプションとして追加の非掲載項目も含むと解釈されるべきである。“のうちの1つのみ”又は“のうちの正確に1つ”のように、そうでないと明確に示された用語のみ、又は請求項で使用される場合の“からなる”は、複数の又は一連のエレメントのうちの正確に1つのエレメントの包含を指す。一般的に、ここで使用される“又は”なる用語は、“何れか”、“のうちの1つ”、“のうちの1つのみ”又は“のうちの正確に1つ”等の排他性の用語により先行された場合にのみ、排他的な代替物(即ち、“一方又は他方であるが、両方ではない”)を示すと解釈されるべきである。“から本質的になる”は、請求項において使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものである。
【0300】
[0393] 本明細書及び請求項で使用される場合、1以上のエレメントのリストを参照する“少なくとも1つの”なる語句は、該エレメントのリストにおけるエレメントの何れか1以上から選択された少なくとも1つのエレメントを意味するものであり、該エレメントのリスト内の各及び全エレメントの少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、該エレメントのリスト内のエレメントの如何なる組み合わせをも除くものではないと理解されるべきである。この定義は、上記“少なくとも1つの”なる語句が参照する上記エレメントのリスト内で特定的に識別されるエレメント以外のエレメント(上記の特定的に識別されたエレメントに関係するか又は関係しないかに拘わらず)がオプションとして存在することも可能にする。このように、限定するものではない例として、“A及びBの少なくとも1つ”(又は等価的に“A又はBの少なくとも1つ”若しくは等価的に“A及び/又はBの少なくとも1つ”)は、一実施態様では、少なくとも1つの(オプションとして2以上を含む)Aで、Bは存在しない(オプションとしてB以外のエレメントを含む)場合、他の実施態様では、少なくとも1つの(オプションとして2以上を含む)Bで、Aは存在しない(オプションとしてA以外のエレメントを含む)場合、更に他の実施態様では、少なくとも1つの(オプションとして2以上を含む)A及び少なくとも1つの(オプションとして2以上を含む)B(オプションとして他のエレメントを含む)の場合等を指すことができる。
【0301】
[0394] 明確にそうでないと示さない限り、請求項に記載された2以上のステップ又は動作を含む如何なる方法においても、該方法のステップ又は動作の順序は、該方法の斯かるステップ又は動作が記載された順序に必ずしも限定されるものではないと理解されるべきである。
【0302】
[0395] 請求項における括弧内の符号は、ヨーロッパ特許実務に即して便宜のためにのみ設けられたもので、当該請求項を決して限定するものと見なしてはならない。
【0303】
[0396] 請求項及び上記明細書において、“有する”、“含む”、“担持する”、“持つ”、“収容する”、“伴う”、“保持する”及び“からなる”等の全ての移行句は非制限的であると、即ち含むが限定されるものではないことを意味すると理解されるべきである。“からなる”及び“から本質的になる”なる移行句のみが、各々、制限的又は半制限的移行句であろう。