(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】コンロ用バーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/06 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
F23D14/06 L
(21)【出願番号】P 2018001149
(22)【出願日】2018-01-09
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】武田 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138055(JP,A)
【文献】米国特許第05865615(US,A)
【文献】実開昭51-002183(JP,U)
【文献】実開昭49-060171(JP,U)
【文献】特開平10-253044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/00 - 14/10
F24C 3/08
F16B 21/00 - 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナボディ上に設置され多数の炎孔が周方向に形成された環状壁を有する環状のバーナヘッドと、バーナヘッドの上面を覆うように組み付けられる環状のバーナキャップとを備え、
バーナヘッドの上面に第1環状板が固定され、
バーナキャップの下面に第2環状板が固定され、
第1環状板の周方向の複数個所に固定片部が設けられ、
第2環状板の周方向の複数個所に前記固定片部に周方向に係合可能な係合片部が設けられ、
前記固定片部に対して係合片部が周方向一方に外れた状態からバーナキャップを周方向他方に回動させたとき、係合片部の回動方向の先端部が、それに対向する固定片部の先端である固定端部よりも下方に位置するように、
固定片部には固定端部に向かって上昇する第1傾斜面部と、その基端部近傍に嵌合凹部とが設けられ、係合片部には先端部に向かって降下する第2傾斜面部
と、第2傾斜面部の上端が頂部となるように折り曲げられて、前記嵌合凹部に下方から嵌合可能な屈曲凸部とが設けられ、
バーナキャップの前記回動に伴って、係合片部と固定片部
とが上下方向に弾性変形した状態で、係合片部が前記先端部から
第1傾斜面部に沿って固定片部の下方に潜り込んで、固定片部に係合するように設定されているコンロ用バーナ。
【請求項2】
請求項
1に記載のコンロ用バーナにおいて、
バーナヘッドの上部のうち、バーナキャップの外周下端部が載置される範囲に、外周側が内周側よりも低い段部または外周側に向かって降下する傾斜部が設けられているコンロ用バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに用いられるコンロ用バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンロ用バーナは、燃料ガスと一次空気との混合ガスを供給する混合管と、混合管に連設されるバーナボディと、バーナボディ上にセットされるバーナヘッドを有する。
【0003】
バーナヘッドの上面外周寄りの部分が、調理中に生じた煮こぼれによって急冷されて、バーナヘッドの耐久性に悪影響を及ぼす不都合を防止するために、バーナヘッドの上面に、環状のバーナキャップを被覆させたものがある(特許文献1)。
このものでは、バーナヘッドの上面に第1環状板が、バーナキャップの下面に第2環状板がそれぞれ固定され、第2環状板に設けた係合片部を、第1環状板に設けた固定片部に、下方から弾性的に係合させることにより、バーナキャップをバーナヘッドの上面に抜け止め状態に且つ回り止め状態に固定させている。
【0004】
具体的には、前記係合片部及び固定片部は、それぞれ周方向に複数設けられており、係合片部には上方に凸の凸部が設けられていると共に、固定片部は所定の隙間を介して一対ずつ設けられており、前記隙間は前記凸部が嵌合可能な大きさに設定されている。
係合片部と固定片部とが周方向一方に外れた状態から、バーナキャップを周方向他方に回動させることにより、係合片部と固定片部の少なくとも一方を上下方向に弾性変形させて、係合片部を固定片部に下方から係合させると共に、係合片部の凸部を、固定片部間の隙間に下方から嵌まり込ませることにより、バーナキャップは、バーナヘッドの上面に、上方へ抜け止め状態に且つ周方向へ回動阻止状態に組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のバーナキャップの取付構造で、バーナキャップのがたつきを防止するためには、係合片部が固定片部にしっかり係合して固定されるように、バーナキャップを周方向に回動させるとき、上下方向における固定片部と係合片部の高さを略一致させておくことが好ましい。その結果、バーナキャップを周方向に回動させたとき、係合片部の回動方向の先端部と、それに対向する固定片部の端面との干渉が大きくなって、係合片部を固定片部の下方に潜り込ませることが困難になる。そのため、組み付けの作業性が劣るだけでなく、異なる部品の相関関係を高精度に管理する必要がある。
【0007】
また、係合片部を固定片部の下方に潜り込ませるために、バーナキャップを下方(バーナヘッド側)に強い力で押し付けながら回動させる必要がある。その結果、バーナキャップの外周下端部で、バーナヘッドの上面を疵つけてしまい、バーナヘッドの上面に施されている塗装が剥がれてしまうと、コンロ用バーナの外観を悪化させてしまう不都合がある。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、部品の精度管理を緩和しながら、バーナキャップを、バーナヘッドの上面に、がたつくことなく且つ容易に組み付けることが出来るようにすると共に、組み付け時におけるバーナヘッドの上面の疵付きを防止出来るコンロ用バーナを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
バーナボディ上に設置され多数の炎孔が周方向に形成された環状壁を有する環状のバーナヘッドと、バーナヘッドの上面を覆うように組み付けられる環状のバーナキャップとを備え、
バーナヘッドの上面に第1環状板が固定され、
バーナキャップの下面に第2環状板が固定され、
第1環状板の周方向の複数個所に固定片部が設けられ、
第2環状板の周方向の複数個所に前記固定片部に周方向に係合可能な係合片部が設けられ、
前記固定片部に対して係合片部が周方向一方に外れた状態からバーナキャップを周方向他方に回動させたとき、係合片部の回動方向の先端部が、それに対向する固定片部の先端である固定端部よりも下方に位置するように、固定片部には固定端部に向かって上昇する第1傾斜面部と、その基端部近傍に嵌合凹部とが設けられ、係合片部には先端部に向かって降下する第2傾斜面部と、第2傾斜面部の上端が頂部となるように折り曲げられて、前記嵌合凹部に下方から嵌合可能な屈曲凸部とが設けられ、
バーナキャップの前記回動に伴って、係合片部と固定片部とが上下方向に弾性変形した状態で、係合片部が前記先端部から第1傾斜面部に沿って固定片部の下方に潜り込んで、固定片部に係合するように設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、係合片部と固定片部とが周方向一方に外れた状態からバーナキャップを周方向他方に回動させるとき、係合片部の回動方向の先端部が、それに対向する固定片部の固定端部に対して、上下方向にずれることとなり、そのまま、傾斜面部に沿って回動させることが出来る。そのため、バーナヘッド側の固定片部と、バーナキャップ側の係合片部との上下方向の干渉が大きい場合でも、バーナキャップを回動させる際の抵抗が少なくなり、少ない力でバーナキャップを回動させることが出来る。よって、両部品の精度管理を緩和しつつ、バーナキャップのバーナヘッドへの組み付け作業が容易となる。
また、係合片部を固定片部の下方に位置させるために、強い力でバーナキャップをバーナヘッド側に押え付ける必要もないから、バーナキャップを周方向に回動させる際に、バーナキャップの外周下端部によるバーナヘッドの上面の疵付きを防止出来る。
組み付け完了状態にて、係合片部と固定片部との少なくとも一方は、上下方向に弾性変形した状態にあり、その弾性復帰力によって、バーナキャップはバーナヘッドに対して上方へ抜け止め状態に固定される。また、係合片部が固定片部に係合することにより、周方向に回動阻止状態に固定される。
【0011】
また、バーナヘッドの上面に固定させる第1環状板の固定片部に、その固定端部に向かって上昇する第1傾斜面部を設けると共に、バーナキャップの下面に固定させる第2環状板の係合片部に、その先端部に向かって降下する第2傾斜面部を設ける構成としたから、係合片部と固定片部とが周方向一方に外れた状態からバーナキャップを周方向他方に回動させると、係合片部の先端部は固定片部の固定端部よりも確実に下方に位置する態様となると共に、その状態で、固定片部の第1傾斜面部の下面に、係合片部の第2傾斜面部の上面を摺擦させながら、バーナキャップを回動させることが出来る。そして、係合片部に設けた屈曲凸部が、固定片部に設けた嵌合凹部に下方から嵌合した状態で、バーナヘッドへバーナキャップが、上方へ抜け止め状態に且つ周方向に回動阻止状態に組み付けられる。
【0012】
上記コンロ用バーナにおいて、好ましくは、バーナヘッドの上面のうち、バーナキャップの外周下端部が載置される範囲に、外周側が内周側よりも低い段部または外周側に向かって降下する傾斜部が設けられていることである。
バーナキャップの外周下端部とバーナヘッドの上面との間には、隙間が形成されているから、バーナキャップを回動させる際に、バーナキャップの外周下端部とバーナヘッドの上面との摺擦を防止出来る。言い換えれば、バーナキャップをバーナヘッドに組付ける際に、バーナキャップをバーナヘッド上で回動させても、バーナキャップの外周下端部がバーナヘッドの上面に擦れることがないから、バーナヘッドの上面が疵付くことも、バーナヘッドに施された塗装が剥げることもない。よって、コンロ用バーナの外観を向上させることが出来る。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係るコンロ用バーナによれば、バーナキャップ側に設けた係合片部に先端に向かって傾斜する第2傾斜面部を設け、バーナヘッド側に設けた固定片部に先端に向かって傾斜する第1傾斜面部を設けることで、バーナヘッドの上面にバーナキャップを組み付ける際に、係合片部と固定片部が、相互に干渉し合うことなく、これらを弾性変形させながら、バーナキャップを、少ない抵抗でスムーズに周方向に回動させて、バーナヘッドに上方向に抜け止め状態に且つ周方向に回動阻止状態に固定することが出来る。よって、両部品の精度管理を緩和することが出来ると共に、バーナキャップのバーナヘッドへの組み付け作業が容易となる。また、組み付け後のバーナキャップのガタツキも防止することが出来る。
さらに、バーナキャップの外周下端部によるバーナヘッドの上面への疵付きも防止出来るから、コンロ用バーナの外観を損疵させることもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態のコンロ用バーナを示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップを除いた要部拡大斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップを斜め下方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップの下面に固定させる第2環状板の係合片部が、バーナヘッドの上面に固定させた第1環状板の固定片部に係合する前の様子を示す概略図である。
【
図5】本発明の実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップのみを非表示とした、バーナキャップの下面に固定させる第2環状板の係合片部を、バーナヘッドの上面に固定させる第1環状板の固定片部に係合させた状態を示す要部拡大斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップの外周下端部とバーナヘッドの上面との関係を例示する要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態のコンロ用バーナは、内外三重の筒体からなるバーナボディ(4)の上端部に、
図1及び
図2に示すように、主バーナ(3a)と副バーナ(3b)を二段に備えた環状のバーナヘッド(3)を着座させると共に、バーナヘッド(3)の上面には、バーナヘッド(3)と同心となるように設けられた環状のバーナキャップ(2)を被覆させた構成とする。
主バーナ(3a)の内部空間へは、主バーナ混合管(41)が連通し、副バーナ(3b)の内部空間へは、副バーナ混合管(42)が連通している。
バーナヘッド(3)の環状壁には、主バーナ(3a)用の主バーナ炎孔(30a)と、主バーナ炎孔(30a)の下側に設けられた副バーナ(3b)用の副バーナ炎孔(30b)が多数設けられており、主バーナ混合管(41)から送られて来る、燃料ガスと一次空気との混合ガスは、主バーナ炎孔(30a)から外方斜め上方へ噴出し、副バーナ混合管(42)からの混合ガスは、副バーナ炎孔(30b)から外方斜め上方へ噴出するように設定されている。
なお、図示しないが、バーナヘッド(3)の外周域の所定箇所には、各炎孔(30a)(30b)から噴出する混合ガスに点火するための点火電極が配設されている。
【0016】
主副バーナ炎孔(30a)(30b)に形成される火炎によって高温となるバーナヘッド(3)の上面外周寄りの部分が煮こぼれによって急冷されて、バーナヘッド(3)の耐久性に悪影響が及ぶことのないように、バーナヘッド(3)の上面には、環状の金属板から成るバーナキャップ(2)を被覆させている。
バーナキャップ(2)をバーナヘッド(3)の上面に、上方へ抜け止め状態に且つ周方向へ回り止め状態に、がたつくことなく固定するために、バーナヘッド(3)の上面には第1環状板(10)が載置されると共に、バーナキャップ(2)の下面には第2環状板(20)がスポット溶接等で固定される。
【0017】
まず、第1環状板(10)について説明する。
第1環状板(10)は、バーナヘッド(3)の中心孔に沿って、バーナヘッド(3)と同心状にセットされる環状体(13)と、その対向位置から外方に突設された一対の連結片(11a)(11b)と、その各々の一側辺から同方向に延長され且つ環状体(13)と同心の円弧状片(12a)(12b)と、その各々の先端に設けられる固定片部(1a)(1b)とから構成されている。固定片部(1a)(1b)は、それぞれ、
図2に示すように、その先端である固定端部(14a)(14b)に向かって上昇する第1傾斜面部(15a)(15b)と、第1傾斜面部(15a)(15b)の基端部の近傍にて、円弧状片(12a)(12b)の内方に開放している切欠(16a)(16b)とから構成されている。切欠(16a)(16b)が、本発明特定事項としての嵌合凹部に相当する。
なお、固定片部(1a)(1b)は、片持ちバネ状態でバーナヘッド(3)に固定された円弧状片(12a)(12b)の先端に設けられていることから、円弧状片(12a)(12b)を上下に弾性変形させることにより、上下に弾性的に揺動可能となっている。
【0018】
バーナヘッド(3)の上面には、
図1に示すように、連結片(11a)(11b)を載置させるための一対の支持台(31)が設けられていると共に、その各々の周方向の両側には、支持台(31)よりも上方に突出する凸部(32)が突設されている。
連結片(11a)(11b)を、凸部(32)間に位置する支持台(31)上にそれぞれ載置させることにより、第1環状板(10)は、バーナヘッド(3)上に周方向に回り止め状態にセットされると共に、このセット状態にて、固定片部(1a)(1b)の下方には空間が形成される態様となる。
【0019】
次に、第2環状板(20)について説明する。
第2環状板(20)は、
図3に示すように、バーナキャップ(2)の裏面に、溶接等により、その内周縁の一部をバーナキャップ(2)の中央の開口部の周縁に当接させて、バーナキャップ(2)と同心状に固定されるものである。第2環状板(20)の内周縁の対向位置から、垂下片(221)と水平片(222)からなる断面略L字状の屈曲支持片(22a)(22b)が下方内方に向かって突設されていると共に、水平片(222)の一側辺から、上述した第1環状板(10)の円弧状片(12a)(12b)の延長方向と反対方向に、係合片部(21a)(21b)が延長形成された構成となっている。
なお、係合片部(21a)(21b)は、上方に凸となるように山折りに屈曲させた屈曲凸部(26a)(26b)と、屈曲凸部(26a)(26b)の頂部から、係合片部(21a)(21b)の先端部(24a)(24b)に向かって降下する第2傾斜面部(25a)(25b)とから構成されており、水平片(222)を上下に弾性変形させることにより、係合片部(21a)(21b)も上下に弾性的に揺動可能となる。
【0020】
第2環状板(20)を裏面に固定させたバーナキャップ(2)を、第1環状板(10)がセットされたバーナヘッド(3)の上面に載置させる手順について説明する。
バーナヘッド(3)の上面には、上述したように、第1環状板(10)が固定されており(
図2参照)、この第1環状板(10)の一方の円弧状片(12a)の先端である固定端部(14a)から、一方の連結片(11b)に至る間の空間(S1)に、第2環状板(20)の一方の屈曲支持片(22a)が、他方の固定端部(14b)から他方の連結片(11a)に至る間の空間(S2)に他方の屈曲支持片(22b)が位置するように、バーナキャップ(2)をバーナヘッド(3)の上面に載置する。
この状態では、
図4に示すように、第2環状板(20)の屈曲支持片(22a)(22b)の水平片(222)の高さは、第1環状板(10)の円弧状片(12a)(12b)の高さに略一致するが、係合片部(21a)(21b)の先端部(24a)(24b)の高さは、固定片部(1a)(1b)の固定端部(14a)(14b)の高さよりも低くなるように、各々の先端に向かって傾斜させている。
【0021】
上述したように、空間(S1)に屈曲支持片(22a)が、空間(S2)に屈曲支持片(22b)を位置させた状態から、先端部(24a)(24b)が、固定端部(14a)(14b)に向かって移動する方向(
図2では、時計回りの方向)に、バーナキャップ(2)を、バーナヘッド(3)の上面に載置させた状態のまま回動させる。すると、 第2環状板(10)の先端部(24a)(24b)の高さは、第1環状板(10)の固定端部(14a)(14b)よりも低く位置するように設定されていると共に、固定片部(1a)(1b)の下方には空間が形成されているから、先端部(24a)(24b)は固定端部(14a)(14b)の下方に潜り込むと共に、それに続く第2傾斜面部(25a)(25b)の上面が、第1傾斜面部(15a)(15b)の下面に沿って、円弧状片(12a)(12b)及び水平片(222)を弾性変形させながら、バーナキャップ(2)を回動させることが出来る。
そして、
図5に示すように、係合片部(21a)の屈曲凸部(26a)が固定片部(1a)の切欠(16a)に、係合片部(21b)の屈曲凸部(26b)が固定片部(1b)の切欠(16b)に対応した時点で、円弧状片(12a)(12b)及び水平片(222)の弾性復帰力により、屈曲凸部(26a)が切欠(16a)に、屈曲凸部(26b)が切欠(16b)に、それぞれ下方から嵌合し、屈曲凸部(26a)(26b)の頂部が、嵌合凹部である切欠(16a)(16b)よりも上方に突出する。これにより、バーナヘッド(3)の上面に、バーナキャップ(2)が、 第1環状板(10)及び第2環状板(10)を介して、上方へ抜け止め状態に且つ回り止め状態に固定されることとなる。
【0022】
本発明に係るバーナキャップ(2)は、屈曲支持片(22a)(22b)を、第1環状板(10)の空間(S1)(S2)に位置させた状態から、バーナキャップ(2)を時計回りに回動させると、先端部(24a)(24b)が固定端部(14a)(14b)に当接することなく、また、第2傾斜面部(25a)(25b)の上面を、第1傾斜面部(15a)(15b)の下面に摺擦させながら回動させることが出来るので、バーナキャップ(2)を、少ない抵抗でスムーズに回動させることが出来る。よって、第1環状板(10)に具備させる固定片部(1a)(1b)や、第2環状板(20)に具備させる係合片部(20a)(20b)等の高さや位置関係を高精度に管理しなくても、バーナキャップ(2)を、バーナヘッド(3)の上面に、容易に組み付けることが出来る。また、バーナキャップ(2)を回動させる際に、バーナキャップ(2)の外周縁から垂下させた環状壁(23)の下端部が、バーナヘッド(3)の上面に強く押し付けられることもないから、バーナヘッド(3)を疵付けることなく、コンロ用バーナの外観を損疵させることがない。
【0023】
特に、バーナキャップ(2)の環状壁(23)の下端部が載置されるバーナヘッド(3)の上面外周域(33)に、
図6の(A)に示すように、外側が内側よりも一段低い段部(34)を設けたり、同図の(B)に示すように、外方に向かって降下する傾斜部(35)を設けたりして、バーナキャップ(2)の環状壁(23)の下端部と、バーナヘッド(3)の上面外周域(33)との間に隙間(G)が形成されるようにしたものでは、バーナヘッド(3)の上面外周域(33)の塗装が剥がれる等の損疵を確実に防止することが出来る。
【0024】
そして、円弧状片(12a)(12b)及び水平片(222)の弾性復帰力によって、屈曲凸部(26a)が切欠(16a)に、屈曲凸部(26b)が切欠(16b)にそれぞれ嵌まり込んだ状態で、係合片部(21a)(21b)が固定片部(1a)(1b)に対して下方から弾性的に係合しているから、バーナキャップ(2)は、バーナヘッド(3)の上面に対して、上方へ抜け止め状態に且つ回り止め状態に組付けられ、組み付け後のバーナキャップ(2)ががたつくこともない。
【0025】
上記実施の形態では、第1環状板(10)の固定片部(1a)(1b)よりも下方に位置させる第2環状板(20)の係合片部(21a)(21b)に、上方に凸の屈曲凸部(26a)(26b)を設け、固定片部(1a)(1b)に、屈曲凸部(26a)(26b)が下方から嵌め込まれる嵌合凹部としての切欠(16a)(16b)を設ける構成としたが、屈曲凸部は、固定片部(1a)(1b)に下方に凸となるように設け、それに対応する係合片部(21a)(21b)の所定位置に、屈曲凸部が上方から嵌合する嵌合部としての、孔や切欠等を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0026】
(1a)(1b)・・・・・・・・・固定片部
(10)・・・・・・・・・・・第1環状板
(14a)(14b)・・・・・・・・固定端部
(15a)(15b)・・・・・・・・第1傾斜面部(傾斜面部)
(16a)(16b)・・・・・・・・切欠(嵌合凹部)
(2) ・・・・・・・・・・・バーナキャップ
(20)・・・・・・・・・・・第2環状板
(21a)(21b)・・・・・・・・係合片部
(24a)(24b)・・・・・・・・先端部
(25a)(25b)・・・・・・・・第2傾斜面部(傾斜面部)
(26a)(26b)・・・・・・・・屈曲凸部
(3) ・・・・・・・・・・・バーナヘッド
(30a)(30b)・・・・・・・・炎孔
(4) ・・・・・・・・・・・バーナボディ
(41)(42)・・・・・・・・・混合管