(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20220113BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H01L23/46 C
(21)【出願番号】P 2018003190
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一旗
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-302981(JP,A)
【文献】特開2014-22398(JP,A)
【文献】国際公開第2002/049106(WO,A1)
【文献】特開昭63-221699(JP,A)
【文献】実公平2-41876(JP,Y2)
【文献】特開平8-8565(JP,A)
【文献】特開2003-133772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヒートシンクが搭載された上面を有する第1基板と、
前記第1基板の前記上面に対向する下面を有し、当該下面に複数の電子部品が搭載された第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板が収納され、これらの基板の間に空気を流すための吸気口が設けられた筐体と、
前記第1基板の前記上面に立設され、前記吸気口からの空気を前記第1ヒートシンクへ導くための流路を形成するガイド板と、
を備え、
前記ガイド板の下端縁には、下方へ突出した第1突出部が設けられ、前記第1基板には、前記第1突出部が差し込まれる第1スリットが設けられており、
前記複数の電子部品のうちの少なくとも2つの電子部品が、前記ガイド板の上部を間に挟んで当該ガイド板の立設姿勢を保持できる位置に隣接配置されている、電気機器。
【請求項2】
前記ガイド板は、前記流路の左右に1つずつ設けられており、
前記第2基板の前記下面には、隣接配置された前記2つの電子部品が、前記ガイド板のそれぞれに対応させて1組ずつ設けられている、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記第2基板の前記下面には、第2ヒートシンクが更に搭載されており、
前記ガイド板によって形成される前記流路において、隣接配置された前記2つの電子部品は、前記第2ヒートシンクよりも上流側の位置に配されている、請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第1ヒートシンクの上面を覆う電気絶縁板を更に備え、
前記第2ヒートシンクは、前記電気絶縁板のうちの下流側の第1部分を介して前記第1ヒートシンクに対向し、
前記ガイド板は、前記第1ヒートシンクよりも上流側の位置にて前記第1基板に立設される本体部と、前記電気絶縁板のうちの上流側の第2部分上へ前記本体部から延び出た延出部と、を有し、
前記延出部の下端縁には、下方へ突出した第2突出部が設けられ、前記電気絶縁板の前記第2部分には、前記第2突出部が差し込まれる第2スリットが設けられている、請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
隣接配置された前記2つの電子部品は、前記第2基板の前記下面のうちの前記電気絶縁板の前記第2部分と対向する位置に設けられている、請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記ガイド板の前記本体部には、下流側の端縁のうちの前記延出部の下端位置に、前記電気絶縁板の上流側の端部が挿入される第3スリットが設けられている、請求項4又は5に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置等の電気機器において筐体内を冷却する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器には、吸気口から空気を取り込んで筐体内の電子部品等を冷却するものが多く存在する。しかし、この様な電気機器では、取り込んだ空気が筐体内で分散し、発熱部品や当該発熱部品を冷却するためのヒートシンク等、冷却したい対象(冷却対象)に空気を効率良く導くことができなかった。そこで、冷却対象へ空気を導くための流路を筐体内に形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-166777号公報
【文献】特開2011-100794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、上記流路を形成するためのダクト部品(例えば、流路を形成するための左右の側壁及び底壁(或いは天壁)が一体的に形成された部品など)を、基板や筐体にネジ留め等で固定する必要があった。このため、冷却対象を冷却するための構造(冷却構造)が複雑にならざるを得なかった。又、従来の技術では、筐体内に基板を固定する前に、ダクト部品を基板や筐体に予め固定しておくことが必要であった。このため、電気機器を組み立てるときの作業性を向上させ難いという問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的は、冷却構造を有する電気機器において、冷却効率を低下させることなく、冷却構造の簡略化と組立て時の作業性の向上とを両立させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気機器は、第1基板と、第2基板と、これらが収納される筐体と、ガイド板と、を備える。第1基板は、第1ヒートシンクが搭載された上面を有する。第2基板は、第1基板の上面に対向する下面を有し、当該下面に複数の電子部品が搭載されている。筐体には、第1基板及び第2基板の間に空気を流すための吸気口が設けられている。ガイド板は、第1基板の上面に立設され、吸気口からの空気を第1ヒートシンクへ導くための流路を形成する。そして、ガイド板の下端縁には、下方へ突出した第1突出部が設けられ、第1基板には、第1突出部が差し込まれる第1スリットが設けられている。又、複数の電子部品のうちの少なくとも2つの電子部品が、ガイド板の上部を間に挟んで当該ガイド板の立設姿勢を保持できる位置に隣接配置されている。
【0007】
上記電気機器によれば、ガイド板に設けられた第1突出部が第1スリットに差し込まれ、且つ、隣接配置された2つの電子部品によって立設姿勢が保持されるといった簡単な構成で、吸気口からの空気を第1ヒートシンクに効率良く流すための流路を形成することができる。よって、電気機器において、冷却効率を低下させることなく冷却構造を簡略化することができる。
【0008】
又、上記電気機器によれば、組立て時の作業性を次の様に向上させることができる。第1基板に対して第2基板を取り付けるとき、ガイド板の上部を、隣接配置された2つの電子部品の間に挿入する。ここで、電子部品で保持されたときのガイド板の立設姿勢は、ガイド板が第1基板に対して厳密に垂直に立った姿勢である必要はなく、流路を形成することができて、且つ大きな隙間を生じない姿勢であれば、ある程度傾いた姿勢であっても許容される。従って、ガイド板を保持するべく隣接配置される2つの電子部品の間隔は、第1スリットの幅の様にガイド板の第1突出部の厚さに略一致させたものとは異なり、ガイド板の厚さよりも大きく設定することができる。よって、組立て時においては、ガイド板が固定されていない状況で、第2基板の方から迎えに行って2つの電子部品の間にガイド板を挿入する必要があるが、そのときでも2つの電子部品の間にガイド板を簡単に挿入することができる。従って、第1基板及び第2基板を上下2段で配置すると共にそれらの間にガイド板を設けて流路を形成するときの組立て作業が容易になり、その結果として組立て時の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷却効率を低下させることなく、冷却構造の簡略化と組立て時の作業性の向上とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態である電源装置を概念的に示した分解斜視図である。
【
図2】電源装置が備える第1基板及び2つのガイド板を示した分解斜視図である。
【
図3】2つのガイド板の取付状態を吸気口側から見て示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を電源装置に適用した実施形態について、図面に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態である電源装置を示した分解斜視図である。
図1に示される様に、電源装置は、第1基板1と、第2基板2と、筐体3と、2つのガイド板4と、電気絶縁板5と、を備える。
【0012】
第1基板1及び第2基板2は、電源回路を構成する基板であり、上下2段に配置された状態で筐体3内に収納される。本実施形態では、筐体3は、直方体状の箱型を呈している。尚、
図1では、筐体3を構成する外壁のうち、底壁30Aと、前壁30Bと、後壁30Cと、が示される一方で、天壁及び2つの側壁は図示が省略されている。そして、第1基板1及び第2基板2は、左右に設けられた2つの固定具6Aにより、上下2段に配置された状態で底壁30Aの内面に固定されている。
【0013】
具体的には、2つの固定具6Aは何れも、底壁30Aに対して垂直に固定される平板部60を有し、これら2つの平板部60は、第1基板1の左右の側縁に沿ってそれぞれ配置される。又、各平板部60の下部には、第1基板1を水平姿勢で保持するための第1受け部61が設けられており、本実施形態では、各平板部60の下部において、前後方向における3箇所に第1受け部61が設けられている。そして、各第1受け部61にはネジ穴が設けられており、当該ネジ穴には、第1基板1の側端部に設けられた貫通孔を通じてネジ部材71が捩じ込まれる。
【0014】
更に、各平板部60の上部には、第2基板2を水平姿勢で所持するための第2受け部62が設けられており、本実施形態では、各平板部60の上部において、前後方向における3箇所に第2受け部62が設けられている。そして、各第2受け部62にはネジ穴が設けられており、当該ネジ穴には、第2基板2に設けられた貫通孔を通じてネジ部材72が捩じ込まれる。
【0015】
上記2つの固定具6Aによれば、第1基板1及び第2基板2を、水平姿勢を保ったまま上下方向にこれらを互いに離間させ、この状態(即ち、上下2段の状態)で底壁30A上に固定することができる。
【0016】
本実施形態では更に、上段の第2基板2を支えるための2本の支柱6Bが、下段の第1基板1を介して(例えば、第1基板1を貫通した状態で)底壁30Aに立設されている。具体的には、2本の支柱6Bは、第1基板1の中央寄りの位置にて底壁30Aに立設されている。そして、それらの上端面にはネジ穴が設けられており、当該ネジ穴には、第2基板2の中央寄りの位置に設けられた貫通孔を通じてネジ部材73が捩じ込まれる。支柱6Bによれば、第2基板2の左右両端部を2つの固定具6Aで保持したときに生じ得る第2基板2の撓みを防止することができる。又、後述する様に、2本の支柱6Bは、第1ヒートシンク11の前後の位置に配されており、電気絶縁板5の位置決め手段としても用いられる。
【0017】
筐体3の前壁30B及び後壁30Cには、第1基板1と第2基板2との間に空気を流すための吸気口31及び排気口32がそれぞれ設けられている。そして、本実施形態では、排気口32の外側に、筐体3内の空気を吸い出すためのファン33が設けられている。よって、ファン33の駆動により、吸気口31から筐体3内に空気が吸入されると共に、吸入された空気は、第1基板1と第2基板2との間(即ち、第1基板1の上面側、及び第2基板2の下面側)に流れ込む。
【0018】
尚、第1基板1と第2基板2との間に空気を流し入れただけでは、空気が分散してしまう。このため、冷却対象へ空気を効率良く導くことができず、冷却効率が低下する。そこで、本実施形態では、後述する2つのガイド板4により、吸気口31からの空気を冷却対象(主に第1ヒートシンク11及び第2ヒートシンク21)へ効率良く導くための流路Rfを形成する。
【0019】
第1基板1は、電子部品等が搭載される主面1aを上方へ向けた状態で固定具6Aに保持される。この様に第1基板1の主面1aを上面にすることにより、当該主面1aに搭載された電子部品等を空気で冷却することが可能になる。そして、主面1a(上面)には、前後方向に延びた第1ヒートシンク11が搭載されており、当該第1ヒートシンク11には、放熱を必要とするスイッチング素子等の発熱部品が設置されている。尚、第1基板1には、第1ヒートシンク11の他に、種々の回路部品(電子部品、配線、端子等を含む)が搭載されていてもよい。
【0020】
第2基板2は、電子部品等が搭載される主面2aを下方へ向けた状態で固定具6Aに保持される。この様に第2基板2の主面2aを、第1基板1の主面1a(上面)に対向する下面にすることにより、当該主面2aに搭載された電子部品等を空気で冷却することが可能になる。そして、主面2a(下面)には、第2ヒートシンク21と、複数のコンデンサ22と、が搭載されており、当該第2ヒートシンク21には、放熱を必要とするスイッチング素子等の発熱部品が設置されている。尚、第2基板2には、第2ヒートシンク21やコンデンサ22の他に、種々の回路部品(電子部品、配線、端子等を含む)が搭載されていてもよい。
【0021】
コンデンサ22は、第2ヒートシンク21で冷却する発熱部品よりも発熱量が小さい電子部品であり、本実施形態では、コンデンサ22として電解コンデンサが用いられている。一方、コンデンサ22は、発熱部品からの熱影響を防ぐことが好ましい部品である。そこで、本実施形態では、第2ヒートシンク21を通じて発熱部品から放出される熱がコンデンサ22に伝わり難くなる様に、コンデンサ22は、空気が流れる方向において第2ヒートシンク21よりも上流側に配置されている。尚、空気が流れる方向は、後述する2つのガイド板4によって形成される流路Rfに沿って、吸気口31から排気口32へ向かう方向である(
図1に示された白抜き矢印参照)。
【0022】
又、コンデンサ22以外の回路部品についても、発熱部品からの熱影響を防ぐことが好ましいものについては、第2ヒートシンク21よりも上流側に配置されることが好ましい。更に、電源装置に、電源回路を構成する部品として、スイッチング素子よりも発熱量が大きい電子部品(例えば、トランス等)が含まれている場合には、その電子部品は、空気が流れる方向において第2ヒートシンク21よりも下流側に配置されてもよい。
【0023】
電気絶縁板5は、第1ヒートシンク11の上面を覆うことにより、第1ヒートシンク11と第2ヒートシンク21との間の電気的な絶縁を確保している。又、電気絶縁板5は、第2基板2を固定具6Aで保持したときに第2ヒートシンク21が電気絶縁板5に接触又は近接する様に厚さが調整されることにより、第2基板2の撓みを防止することができる。
【0024】
図2は、第1基板1及び2つのガイド板4を示した分解斜視図である。
図2に示される様に、本実施形態では、電気絶縁板5により、第1ヒートシンク11の上面全体が覆われている。又、電気絶縁板5の前端部501及び後端部502がそれぞれ第1ヒートシンク11よりも前後に突き出ており、それぞれの中央位置に切欠き501a及び501bが設けられている。そして、切欠き501a及び501bには、第1ヒートシンク11の前後に配置されている2本の支柱6Bがそれぞれ通され、これにより切欠き501a及び501bのそれぞれに支柱6Bが嵌合している。よって、電気絶縁板5は、前後方向及び左右方向における位置が規定されており、従って、支柱6B並びに切欠き501a及び501bは、電気絶縁板5の位置決め手段として機能している。
【0025】
第2ヒートシンク21は、第1ヒートシンク11よりも前後方向(本実施形態では、空気が流れる方向)の長さが小さく、電気絶縁板5のうちの下流側の第1部分51を介して第1ヒートシンク11に対向している(
図1参照)。そして、コンデンサ22は、第2基板2の下面において、電気絶縁板5のうちの上流側の第2部分52と対向する位置に設けられている(
図1参照)。即ち、コンデンサ22は、電気絶縁板5の第2部分52を介して第1ヒートシンク11に対向している。よって、電気絶縁板5は、第1ヒートシンク11を通じて発熱部品から放出される熱がコンデンサ22に伝わり難くなる様に、電気絶縁性に加えて断熱性を有していることが好ましい。この様な回路部品(主に、第1ヒートシンク11、第2ヒートシンク21、及びコンデンサ22)の配置によれば、筐体3内に電源回路をコンパクトに構築することが可能になる。
【0026】
図2に示される様に、2つのガイド板4は、第1基板1の上面(主面1a)に立設され、吸気口31からの空気を第1ヒートシンク11へ導くための流路Rfを、第1基板1及び第2基板2と共に形成する。即ち、2つのガイド板4は、流路Rfの左右に1つずつ設けられることにより、当該流路Rfを形成するための側壁を構成している。本実施形態では、吸気口31、第1ヒートシンク11、及び排気口32が、前後方向において一列に並んで配置されており(
図1参照)、従って2つのガイド板4は、流路Rfが第1ヒートシンク11を通って吸気口31から排気口32へ向かう直線的な流路となる様に、屈曲がない平坦状に形成されている。
【0027】
尚、流路Rfは、吸気口31から排気口32へ向かう直線的なものに限らず、吸気口31と第1ヒートシンク11との位置関係に応じて、吸気口31から排気口32へ向かって斜めに直線的なものや、吸気口31から排気口32へ向かって曲がったものなどへ、適宜変更することができる。そして、2つのガイド板4は、流路Rfの形状に応じて、屈曲したものや湾曲したものへ適宜変更することができる。
【0028】
具体的に、各ガイド板4は、第1ヒートシンク11よりも上流側の位置にて第1基板1に立設される本体部41を有する(
図2参照)。又、本体部41の下端縁41aには、下方へ突出した第1突出部43Aが設けられている。本実施形態では、本体部41の下端縁41aにおいて、前後方向における3箇所に第1突出部43Aが設けられている。そして、第1基板1には、本体部41の位置を規定するべく、第1突出部43Aが差し込まれる第1スリット12が設けられている。
【0029】
本実施形態では更に、吸気口31からの空気を第2ヒートシンク21へも導くことを可能にするべく、各ガイド板4は、電気絶縁板5の第2部分52上へ本体部41から延び出た延出部42を有する(
図2参照)。又、延出部42の下端縁42aには、下方へ突出した第2突出部43Bが設けられている。本実施形態では、延出部42の下端縁42aにおいて、前後方向における2箇所に第2突出部43Bが設けられている。そして、電気絶縁板5の第2部分52には、延出部42の位置を規定するべく、第2突出部43Bが差し込まれる第2スリット53が設けられている。
【0030】
2つのガイド板4で形成された流路Rfに吸気口31からの空気を効率良く流すためには、流路Rfからの空気の漏出を防ぐことが好ましい。本実施形態では、電気絶縁板5の前端部501が第1ヒートシンク11よりも前方に突き出ているため、ガイド板4を設けた場合、当該ガイド板4の本体部41と第1ヒートシンク11との間に隙間が生じ易い。そこで、各ガイド板4の本体部41には、下流側の端縁41bのうちの延出部42の下端位置に、電気絶縁板5の前端部501(即ち、上流側の端部)が挿入される第3スリット44が設けられていることが好ましい(
図2参照)。各ガイド板4の設置時に、第3スリット44に電気絶縁板5の前端部501が挿入されることにより、ガイド板4の本体部41を第1ヒートシンク11に接触又は近接させることができ、その結果として隙間の発生を防ぐことができる。
【0031】
上述した第1突出部43A及び第2突出部43Bをそれぞれ第1スリット12及び第2スリット53に差し込んだだけでは、各ガイド板4の位置を規定することはできるが、第1基板1や電気絶縁板5に対して垂直に立った各ガイド板4の姿勢(立設姿勢)を保持することは難しい。上述した第3スリット44への電気絶縁板5の挿入により、各ガイド板4の立設姿勢をある程度は保持することができる。しかし、この様な保持だけでは、電源装置に何らかの衝撃が加わった場合や、電源装置が傾けられた場合に、各ガイド板4が倒れてしまう虞がある。
【0032】
図3は、2つのガイド板4の取付状態を吸気口31側から見て示した平面図である。そこで、
図3に示される様に(
図1においてガイド板4を示す一点鎖線も参照)、上述した第2基板2の下面(主面2a)に搭載される複数のコンデンサ22のうちの2つのコンデンサ22が、一方のガイド板4の上部を間に挟んで当該ガイド板4の立設姿勢を保持できる位置に隣接配置されている。同様に、複数のコンデンサ22のうちの別の2つのコンデンサ22が、もう一方のガイド板4の上部を間に挟んで当該ガイド板4の立設姿勢を保持できる位置に隣接配置されている。即ち、第2基板2の下面には、隣接配置された2つのコンデンサ22が、2つのガイド板4のそれぞれに対応させて1組ずつ設けられている。尚、本実施形態では、各ガイド板4の上部として主に延出部42が、隣接配置された2つのコンデンサ22によって挟まれる。
【0033】
上述したガイド板4によれば、各ガイド板4に設けられた第1突出部43A及び第2突出部43Bがそれぞれ第1スリット12及び第2スリット53に差し込まれ、且つ、隣接配置された2つのコンデンサ22によって立設姿勢が保持されるといった簡単な構成で、吸気口31からの空気を冷却対象(本実施形態では、第1ヒートシンク11及び第2ヒートシンク21)に効率良く流すための流路Rfを形成することができる。よって、電源装置において、冷却効率を低下させることなく冷却構造を簡略化することができる。
【0034】
又、上述したガイド板4によれば、組立て時の作業性を以下の様に向上させることができる。
【0035】
先ず、第1基板1を、主面1aを上方に向けた状態で固定具6Aの下段(第1受け部61)に固定する。その後、各ガイド板4に設けられた第1突出部43A及び第2突出部43Bをそれぞれ第1スリット12及び第2スリット53に差し込むことにより、2つのガイド板4を第1基板1上に配置する。このとき、第3スリット44への電気絶縁板5の挿入が、延出部42の下端縁42aに設けられている第2突出部43Bによって邪魔される虞がある。そこで、第3スリット44への電気絶縁板5の挿入が可能となる様に、ガイド板4には、ある程度の強度を持った板材であって撓曲させることが可能なものを用いることが好ましい。
【0036】
次に、第2基板2を、主面2aを下方に向けた状態で固定具6Aの上段(第2受け部62)に固定する。このとき、各ガイド板4の上部を、これに対応する隣接配置された2つのコンデンサ22の間に挿入する。これにより、各ガイド板4の上部が、これに対応する2つコンデンサ22で挟まれ、その結果として当該ガイド板4の立設姿勢が保持される。
【0037】
ここで、コンデンサ22で保持されたときのガイド板4の立設姿勢は、ガイド板4が第1基板1に対して厳密に垂直に立った姿勢である必要はなく、流路Rfを形成することができて、且つ大きな隙間を生じない姿勢であれば、ある程度傾いた姿勢であっても許容される。従って、ガイド板4を保持するべく隣接配置される2つのコンデンサ22の間隔は、第1スリット12の幅の様にガイド板4の第1突出部43Aの厚さに略一致させたものとは異なり、ガイド板4の厚さよりも大きく設定することができる。よって、組立て時においては、各ガイド板4が固定されていない状況で、第2基板2の方から迎えに行って2つのコンデンサ22の間にガイド板4を挿入する必要があるが、そのときでも2つのコンデンサ22の間にガイド板4を簡単に挿入することができる。従って、第1基板1及び第2基板2を上下2段で配置すると共にそれらの間にガイド板4を設けて流路Rfを形成するときの組立て作業が容易になり、その結果として組立て時の作業性が向上する。
【0038】
この様に、上記電源装置によれば、冷却効率を低下させることなく、冷却構造の簡略化と組立て時の作業性の向上とを両立させることができる。
【0039】
尚、各ガイド板4の上部を間に挟んで当該ガイド板4の立設姿勢を保持できる電子部品であれば、コンデンサ22に限らず、セメント抵抗やリレーなど、様々な電子部品を用いることができる。又、ガイド板4を保持する電子部品には、ヒートシンクを通じて熱を放出するスイッチング素子等の発熱部品に関連する周辺部品を用いることができる。
【0040】
更に、隣接配置される2つの電子部品は、同種のものに限らず、異種のものであってもよい。又、ガイド板4を保持する電子部品の高さは、隣接配置された電子部品との間に立設姿勢を保持できる程度にガイド板4を挟むことができるのであれば低くてもよい。
【0041】
上述した電源装置において、例えば固定具6A等の別の部材との間に流路Rfを形成できるのであれば、ガイド板4は1つであってもよい。又、ガイド板4を3つ以上設けることにより、複数の流路Rf或いは1つの連続した流路Rfを形成してもよい。更に、例えば、第2ヒートシンク21がなくてヒートシンク間の電気的な絶縁を確保する必要がない場合には、電気絶縁板5はなくてもよい。
【0042】
更に、上記電源装置の各部構成は、電源装置に限らず、種々の電気機器に適用することができる。
【0043】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1 第1基板
2 第2基板
1a、2a 主面
3 筐体
4 ガイド板
5 電気絶縁板
6A 固定具
6B 支柱
11 第1ヒートシンク
12 第1スリット
21 第2ヒートシンク
22 コンデンサ
30A 底壁
30B 前壁
30C 後壁
31 吸気口
32 排気口
33 ファン
41 本体部
42 延出部
41a、42a 下端縁
41b 端縁
43A 第1突出部
43B 第2突出部
44 第3スリット
51 第1部分
52 第2部分
53 第2スリット
60 平板部
61 第1受け部
62 第2受け部
71、72、73 ネジ部材
501 前端部
502 後端部
501a、501b 切欠き
Rf 流路