(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ゴム混練機の排出口を開閉するドア
(51)【国際特許分類】
B29B 7/26 20060101AFI20220113BHJP
B29B 7/28 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B29B7/26
B29B7/28
(21)【出願番号】P 2018004823
(22)【出願日】2018-01-16
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2017012047
(32)【優先日】2017-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】福谷 和久
(72)【発明者】
【氏名】植村 正昭
(72)【発明者】
【氏名】山根 泰明
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 和夫
【審査官】田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】特公昭50-022754(JP,B1)
【文献】特開平05-004224(JP,A)
【文献】特開平04-276406(JP,A)
【文献】特開平04-276405(JP,A)
【文献】特開平05-285939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00-11/14
B29B 13/00-15/06
B29C 31/00-31/10
B29C 37/00-37/04
B29C 71/00-71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム混練機のチャンバの底部に形成された排出口を開閉する、前記チャンバに挿入される側が左右対称の山形状とされたドアであって、
長手方向に直交する断面視において、前記山形状の外形が、前記排出口の内方側開口端と接するドア下端角部から、鉛直方向に最も高いドア頂部へ向けて、中途部まで下に凹の円弧とされ、当該中途部と前記ドア頂部との間では、相互に異なる角度で水平方向に対して傾斜する複数の直線とされて
おり、
長手方向に直交する断面視において、前記ドア下端角部を原点、水平方向をx軸、水平方向における前記ドア下端角部から前記ドア頂部への方向をx軸の正、鉛直方向をy軸、鉛直方向における前記ドア下端角部から前記ドア頂部への方向をy軸の正、前記原点と前記ドア頂部との間の水平方向の距離をLとしたとき、0≦x≦0.5Lの範囲の前記外形が、式(1)を満たす領域を通過する一定の曲率の少なくとも1つの前記円弧とされている、
ゴム混練機の排出口を開閉するドア。
・・・・・式(1)
θ:ゴム混練機のロータの回転中心を中心とする前記原点を通る円の前記原点における接線の水平方向に対する傾斜角
R:ゴム混練機のロータの回転中心を中心とする前記原点を通る円の半径であって、且つ前記チャンバの内壁面の円形状部の半径
【請求項2】
請求項
1に記載のドアにおいて、
0.5L≦x≦0.75Lの範囲の前記外形が、式(2)を満たす領域を通過する、水平方向に対して傾斜する直線とされている、
ゴム混練機の排出口を開閉するドア。
・・・・・式(2)
θ:ゴム混練機のロータの回転中心を中心とする前記原点を通る円の前記原点における接線の水平方向に対する傾斜角
R:ゴム混練機のロータの回転中心を中心とする前記原点を通る円の半径であって、且つ前記チャンバの内壁面の円形状部の半径
【請求項3】
請求項
2に記載のドアにおいて、
0.75L≦x≦Lの範囲の前記外形が、式(3)を満たす領域を通過する、水平方向に対して傾斜する少なくとも1つの直線とされている、
ゴム混練機の排出口を開閉するドア。
tan(θ+41)×x+b2≦y≦tan(θ+45)×x+b1 ・・・・・式(3)
θ:ゴム混練機のロータの回転中心を中心とする前記原点を通る円の前記原点における接線の水平方向に対する傾斜角
b1:前記ロータの回転中心を中心とする半径が0.97Rの円と、前記ドア頂部を通る直線x=Lとの2つの交点のうちの下方の点を通る傾きがtan(θ+45)の直線の切片
b2:前記ロータの回転中心を中心とする半径が1.05Rの円と、前記ドア頂部を通る直線x=Lとの2つの交点のうちの下方の点を通る傾きがtan(θ+41)の直線の切片
【請求項4】
請求項
3に記載のドアにおいて、
前記ドア頂部の長手方向の中央部は凹部とされており、
前記凹部に温度計が設置され、
長手方向に直交する断面視において、前記凹部を除く部分の、前記山形状の外形が、前
記円弧と前記複数の直線とで形成されている、
ゴム混練機の排出口を開閉するドア。
【請求項5】
請求項
4に記載のドアにおいて、
前記凹部は、当該ドアの長手方向に直交する断面視において左右対称の山形状とされており、
前記凹部を除く部分の前記ドア頂部の高さをT1とし、前記凹部の山形状の頂部の高さをT2としたとき、
0.71T1≦T2≦0.96T1を満たし、
且つ、前記式(3)の中の右式で特定される、前記凹部を除く部分の前記ドア頂部の高さをTxとしたとき、
0.79Tx≦T2も満たし、
当該ドアの長手方向から視たときに、前記温度計の先端部が、前記ドア頂部と、前記凹部の山形状の頂部との間に配置されている、
ゴム混練機の排出口を開閉するドア。
【請求項6】
請求項
4または5に記載のドアにおいて、
前記凹部は、当該ドアの長手方向に直交する断面視において左右対称の山形状とされており、
前記凹部の山形状の頂部の長手方向の長さが、前記温度計の直径よりも長く、且つ、当該ドアの長手方向の長さの1/2未満の長さとされている、
ゴム混練機の排出口を開閉するドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム混練機のチャンバの底部に形成された排出口に設けられ、当該排出口を開閉するドアに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドアとして、例えば特許文献1,2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載のドア(排出ドア)は、次のようにして特定される形状を有する。密閉混合室の排出口と排出ドアとの接点(D),(E)と、混練用ロータの回転中心(A),(B)とを結ぶ線上(L1),(L2)上に、半径(S)の中心(Q)を夫々設ける。この中心(Q)を支点として、接点(D),(E)を通る円弧を夫々描く。この円弧の交点を排出ドアの先端(P)とする。排出ドアの旋回中心(O)を支点として半径(R)の円弧を描いた時、先端(P)が、前記接点(D)及び回転する混練用ロータの先端と干渉せず、かつ前記中心(Q)ができるだけ混練用ロータの回転中心(A),(B)に近づくように排出ドアの先端形状を形成する。
【0004】
上記形状の排出ドアにより、密閉混合室内でコンパウンドの混練を効率良く行うことが出来ると共に、密着し易いコンパウンドを混練しても、コンパウンドの放出時に全部が排出されずに排出口の周縁部と排出ドアとの間に挟まったり、排出口の周縁部と排出ドアとの隙間に付着することがなく、コンパウンドの排出を簡単に、しかも効率良く行うことが出来る、と特許文献1に記載されている。
【0005】
特許文献2に記載のドア(ドロップドア)は、次のようにして特定される形状を有する。ドロップドアの高さhとチャンバの半径Rとの比α(=h/R)が、0.6≦α≦0.8とされる。
【0006】
上記形状のドロップドアにより、混練室内での混合・分散作用が向上し、均一な混練物を短時間で得ることが可能になる。また、ドロップドア上部とロータとで形成される空間も少なくなるため、配合剤や被混練物の滞留、固着等も減少する、と特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第2562396号公報
【文献】特開平8-332630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
被混練材料としてシート状のゴム(ゴムシート)が、ゴム混練機に投入されて混練される場合がある。ゴムシートは、チャンバへの投入初期の固体状態のとき(シート状のとき)に、ロータ(混練ロータ)に巻き込まれて巻き付いてしまうことがある。
【0009】
特許文献1,2に記載のドアは、いずれのドアにおいても、ゴムと接する混練室側の斜面の全てが滑らかな連続する曲面とされている。なお、特許文献2に記載のドアについては、その頂部の僅かな部分は水平方向に延びる直線とされている。このような形状のドアの場合、当該ドアへのゴムの付着は抑制される。しかしながら、被混練材料がゴムシートの場合、ドア部分でゴムが滞留しにくい。そのため、ロータへのゴムシートの巻き込みが、発生しやすい。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、混練対象であるゴムが、ロータに巻き込まれることを抑制することができる、ゴム混練機の排出口を開閉するドアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ゴム混練機のチャンバの底部に形成された排出口を開閉する、前記チャンバに挿入される側が左右対称の山形状とされたドアである。このドアは、長手方向に直交する断面視において、前記山形状の外形が、前記排出口の内方側開口端と接するドア下端角部から、鉛直方向に最も高いドア頂部へ向けて、中途部まで下に凹の円弧とされ、当該中途部と前記ドア頂部との間では、相互に異なる角度で水平方向に対して傾斜する複数の直線とされている。
【発明の効果】
【0012】
上記構成のドアによれば、チャンバ内のドア近傍においてゴムをある程度滞留させることができ、これにより、ロータへのゴムの巻き込みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るドアを備えるゴム混練機の断面図である。
【
図2】
図1に示すドアを含む複数の実施形態に係るドアの山形状部分の外形(主に片側のみ)を示す図である。
【
図3】0≦x≦0.5Lの範囲のドア外形(円弧)の作図方法を説明するための図である。
【
図4】0.75L≦x≦Lの範囲のドア外形(直線)の作図方法を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るドアの長手方向の中央部の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るドアの長手方向に沿う方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(ゴム混練機の構成)
図1を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るドア32を備えるゴム混練機100の構成について説明する。なお、本発明のドアを備えるゴム混練機の混練対象であるゴムは、形状がシート状のゴム(ゴムシート)に限定されることはない。
【0016】
ゴム混練機100は、被混練材料であるゴムの混練を行う装置であって、供給部20と、混練部30とを備える。供給部20は、混練部30に被混練材料を供給する部分であり、ホッパ21と、材料供給筒22と、シリンダ装置23とを備える。
【0017】
ホッパ21には、ゴム混練機100の外部から混練対象のゴム(被混練材料)が投入される。材料供給筒22は、被混練材料が通ることが可能な筒である。材料供給筒22の上部は、ホッパ21に連通する。
【0018】
シリンダ装置23は、材料供給筒22から混練部30(後述する混練室33)に被混練材料を押し込む装置である。シリンダ装置23は、例えば空圧式のアクチュエータである。シリンダ装置23は、シリンダ24と、ピストン25と、ピストンロッド26と、フローティングウェイト27とを備える。
【0019】
ピストンロッド26の下端部に連結されたフローティングウェイト27は、ホッパ21から投入された被混練材料を混練室33に押し込む部材である。
【0020】
混練部30は、被混練材料を混練する部分であり、チャンバ31と、チャンバ31の底部に形成された排出口37を開閉(開放および閉止)するドア32と、一対のロータ34・35(混練ロータ)とを備える。
【0021】
チャンバ31は、内部に混練室33を形成する部分であり、その上部に被混練材料の供給口36が設けられている。この供給口36部分にめがけて、その上方から、フローティングウェイト27が降下させられる。
【0022】
混練室33は、被混練材料が混練される空間である。混練室33の縦断面形状は、まゆ型である。この縦断面形状は、ロータ34・35の軸方向から見たときの混練室33の断面形状である。
【0023】
ドア32は、アクチュエータにより駆動されることで、チャンバ31の排出口37を開閉する。チャンバ31の排出口37は、被混練材料の混練中はドア32により閉止され、混練が終了したゴム(混練物)をチャンバ31から出すときに開放される。ドア32を駆動するアクチュエータは、例えば回転式アクチュエータ(ロータリアクチュエータ)である。ドア32(ドアの形状)は、チャンバ31内(混練室33内)でロータ34・35によって混練されるゴムの混練度におよぼす影響が大きい。
【0024】
ロータ34・35は、被混練材料を混練する部材であり、チャンバ31内(混練室33内)に配置される。ロータ34・35は、その中心軸まわりに回転する。ロータ34・35の回転中心Cを、
図1に示している。ロータ34・35は、対向する部分が下方に移動するように、互いに異なる方向に回転する。
【0025】
(ドアの形状)
ドア32について詳述する。ドア32は、チャンバ31に挿入される側が山形状とされている。なお、この山形状は、当該ドア32の長手方向に直交する断面視において、左右対称の形状である。
【0026】
例えば
図1中のドア32部分、および
図2中の外形1を参照されたい。本発明の実施形態に係るドア32は、長手方向に直交する断面視において、上記山形状の外形1が、排出口37の内方側開口端と接するドア下端角部32aから、鉛直方向に最も高いドア頂部32bへ向けて、中途部まで下に凹の円弧1aとされ、当該中途部とドア頂部32bとの間は、相互に異なる角度で水平方向に対して傾斜する2本の直線1b、1cとされている。すなわち、ドア32の山形状部分の外形1は、ドア下端角部32aとドア頂部32bとの間が、ドア下端角部32aからドア頂部32bへ向けて、1つの円弧1aと2本の直線1b、1cとで形成されている。なお、
図2は、長手方向に直交するドアの断面視において、当該ドアの山形状部分の外形(主に片側のみ)を示す図である。また、
図2中の一点鎖線は、中心線である。
【0027】
図2には、本発明の実施形態に係る、外形1から外形9まで計9つのドアの形状を示している。
図2に示すように、外形1~9は、ドア下端角部32aとドア頂部との間が、ドア下端角部32aからドア頂部へ向けて、いずれも、1つの円弧1a~9aと、2本の直線1b~9b、1c~9cとで形成されている。なお、
図2中において「従来技術」と付記した点線で示すドアの外形は、ドア頂部を除いて全て滑らかな連続する曲面である。なお、この従来技術のドア頂部の僅かな部分は、水平方向に延びる直線とされている。
【0028】
本発明者らは、
図2に示す外形1~9の計9つのドア、
図2に示す従来技術形状のドア、について、ロータ34・35へのゴムの巻き込み、およびドアへのゴムの付着性、について評価した。評価結果を表1に示す。なお、被混練材料としてのゴムは、初期形態(投入時の形態)がシート状のゴム(ゴムシート)とした。
【0029】
【0030】
[表1の説明]
巻き込み ○:巻き込み抑制効果有り
×:巻き込み抑制効果無し
付着 ○:付着無し
×:常に付着有り
【0031】
[ゴムの巻き込みについて]
従来技術では、ゴムと接する混練室33側の斜面の全てが滑らかな連続する曲面とされている。これに対して、本発明のドアでは、
図2に示す外形1~9のように、ゴムと接する混練室33側の斜面は、ドア下端角部32aから、ドア頂部へ向けて、中途部まで下に凹の円弧1a~9aとされ、中途部とドア頂部32bとの間は、相互に異なる角度で水平方向に対して傾斜する2本の直線1b~9b、1c~9cとされる。ドア頂部側を、相互に異なる角度で水平方向に対して傾斜する複数の直線とすることで、チャンバ31内(混練室33内)のドア近傍においてゴムをある程度滞留させることができ、これにより、ロータ34・35へのゴムの巻き込みを抑制することができる。すなわち、外形1~9の計9つのドアは、全て、ゴムの巻き込み抑制効果を有し、これに対して、従来技術形状のドアは、ゴムの巻き込み抑制効果を有さない。この評価を、○、×で表1に示している。
【0032】
[ゴムの付着性について]
従来技術を含む計9つのドアについて流動解析を行うことにより、各ドアへのゴムの付着性について評価した。表1に示すように、従来技術形状のドア、本発明の実施形態の外形1~4、6~9の各ドアについては、ゴムの付着が認められなかったが、本発明の実施形態の外形5のドアについては、ゴムの付着が認められた。
【0033】
[より好ましいドア形状について]
ドアの形状に関し、前記したように、長手方向に直交する断面視において、山形状の外形が、ドア下端角部32aから、ドア頂部へ向けて、中途部まで下に凹の円弧とされ、中途部とドア頂部との間は、相互に異なる角度で水平方向に対して傾斜する2本の直線とされていることで、チャンバ31内(混練室33内)のドア近傍においてゴムをある程度滞留させることができ、これにより、ロータ34・35へのゴムの巻き込みを抑制することができる。
【0034】
<ゴムの巻き込み抑制に加えて、ゴムが付着しにくいドア>
図2~4を参照しつつ、ゴムの巻き込み抑制に加えて、ゴムが付着しにくいドアの形状について説明する。ここで、長手方向に直交する断面視において、ドア下端角部32aを原点O、水平方向をx軸、水平方向におけるドア下端角部32aからドア頂部への方向をx軸の正(
図3,4中のx軸の矢印参照)とする。また、鉛直方向をy軸、鉛直方向におけるドア下端角部32aからドア頂部への方向をy軸の正(
図3,4中のy軸の矢印参照)、原点Oとドア頂部との間の水平方向の距離をLとする。外形1~9は、それぞれ、0≦x≦0.5Lの範囲が円弧1a~9aとされ、0.5L≦x≦0.75Lの範囲が直線1b~9bとされ、0.75L≦x≦Lの範囲が直線1c~9cとされている。
【0035】
ドアへのゴムの付着性においては、ドアの0≦x≦0.5Lの範囲の形状の影響が大きく、0.5L≦x≦0.75L、0.75L≦x≦L、というように、ドア頂部側に近いほど、ゴムの付着し易さに関するドア形状の影響は小さい。
【0036】
ドア表面へのゴムの付着を抑制することができるドアは、0≦x≦0.5Lの範囲におけるドア外形が、次の式(1)を満たす領域を通過する、一定の曲率の円弧とされていることである。なお、0≦x≦0.5Lの範囲において、1つの円弧ではなく、式(1)を満たす領域を通過する複数の円弧とされてもよい。
【0037】
・・・・・式(1)
θ:ゴム混練機100のロータの回転中心Cを中心とする原点Oを通る半径Rの円の原点Oにおける接線の水平方向に対する傾斜角(
図3参照)
R:ゴム混練機100のロータの回転中心Cを中心とする原点Oを通る円の半径であって(
図3参照)、且つチャンバ31の内壁面の円形状部の半径(
図1参照)
【0038】
式(1)の中の左側の円弧式は、
図3に示す中心S1、半径1.05Rの実線で示す円の一部の円弧式であり、式(1)の中の右側の円弧式は、
図3に示す中心S2、半径0.91Rの実線で示す円の一部の円弧式である。なお、半径1.05Rの実線で示す円の中心S1は、ロータの回転中心Cを中心とする原点Oを通る半径Rの円の原点Oにおける接線に垂直な直線と、原点Oを中心とする半径1.05Rの点線で示す円との2つの交点のうちの上方の点である。また、半径0.91Rの実線で示す円の中心S2は、ロータの回転中心Cを中心とする原点Oを通る半径Rの円の原点Oにおける接線に垂直な直線と、原点Oを中心とする半径0.91Rの点線で示す円との2つの交点のうちの上方の点である。
【0039】
また、式(1)の中の左側の円弧式は、外形6の円弧6a(
図2参照)を含む円弧式であり、式(1)の中の右側の円弧式は、外形2,8,9の円弧2a,8a,9a(
図2参照)を含む円弧式である。
【0040】
次に、ドア表面へのゴムの付着を抑制することができるドアは、0.5L≦x≦0.75Lの範囲におけるドア外形が、次の式(2)を満たす領域を通過する、水平方向に対して傾斜する直線とされていることである。
【0041】
・・・・・式(2)
θ:ゴム混練機100のロータの回転中心Cを中心とする原点Oを通る半径Rの円の原点Oにおける接線の水平方向に対する傾斜角(
図3参照)
R:ゴム混練機100のロータの回転中心Cを中心とする原点Oを通る円の半径であって(
図3参照)、且つチャンバ31の内壁面の円形状部の半径(
図1参照)
【0042】
なお、式(2)の中の左側の直線式は、外形6の直線6b(
図2参照)を示し、式(2)の中の右側の直線式は、外形2,8,9の直線2b,8b,9b(
図2参照)を示す。
【0043】
次に、ドア表面へのゴムの付着を抑制することができるドアは、0.75L≦x≦Lの範囲におけるドア外形が、次の式(3)を満たす領域を通過する、水平方向に対して傾斜する直線とされていることである。なお、0.75L≦x≦Lの範囲において、1本の直線ではなく、式(3)を満たす領域を通過する複数の直線とされてもよい。
【0044】
tan(θ+41)×x+b2≦y≦tan(θ+45)×x+b1 ・・・・・式(3)
θ:ゴム混練機100のロータの回転中心Cを中心とする原点Oを通る半径Rの円の原点Oにおける接線の水平方向に対する傾斜角(
図4参照)
b1:ロータの回転中心Cを中心とする半径が0.97Rの円と、ドア頂部を通る直線x=Lとの2つの交点のうちの下方の点P1を通る傾きがtan(θ+45)の直線の切片(切片のy座標)(
図4参照)
b2:ロータの回転中心Cを中心とする半径が1.05Rの円と、ドア頂部を通る直線x=Lとの2つの交点のうちの下方の点P2を通る傾きがtan(θ+41)の直線の切片(切片のy座標)(
図4参照)
【0045】
なお、上記したドア頂部を通る直線x=Lは、2つのロータ34・35の中心を結ぶ線分の垂直二等分線でもある。また、式(3)の中の左側の直線式は、外形7の直線7c(
図2参照)を示し、式(3)の中の右側の直線式(式(3)の中の右式)は、外形9の直線9c(
図2参照)を示す。
【0046】
ロータ34・35へのゴムの巻き込みを抑制しつつ、ドア表面へのゴムの付着を抑制することができるドア形状について、前記記載をまとめると、ドアの形状は、当該ドアの山形状部分に関し、0≦x≦0.5Lの範囲の外形が、前記式(1)を満たす領域を通過する一定の曲率の少なくとも1つの円弧とされ、0.5L≦x≦0.75Lの範囲の外形が、前記式(2)を満たす領域を通過する、水平方向に対して傾斜する直線とされ、且つ、0.75L≦x≦Lの範囲の前記外形が、前記式(3)を満たす領域を通過する、水平方向に対して傾斜する少なくとも1本の直線とされていることである。
【0047】
(ドアへの温度計取り付けについて)
図5,6を参照しつつ、ドア32への温度計40取り付けについて説明する。
図5,6に示すように、ドア頂部32bの長手方向の中央部は凹部38とされている。この凹部38部分には孔39があけられており、当該孔39に温度計40が挿入されて固定されている(設置されている)。この凹部38部分は、
図5に示すように、曲面とされている。
【0048】
長手方向に直交する断面視において、凹部38を除く部分の、ドア32の山形状の外形1が、ドア32の長手方向の全長にわたって、円弧1aと2本の直線1b,1cとで形成されている。温度計40は、ドア頂部32bよりも上方に突出しないように設置される。この構成によると、ドア32の温度計40設置付近でのゴムの付着を防止することができる。
【0049】
図5に示すように、上記の凹部38は、ドア32の長手方向に直交する断面視において左右対称の山形状とされている。ここで、凹部38を除く部分のドア頂部32bの高さ(高さ寸法)をT1とし、凹部38の山形状の頂部38bの高さ(高さ寸法)をT2としたとき、0.71T1≦T2≦0.96T1を満たし、且つ、前記した式(3)の中の右式(tan(θ+45)×x+b1)で特定される、凹部38を除く部分のドア頂部32bの高さ(高さ寸法)をTxとしたとき、0.79Tx≦T2も満たし、ドア32の長手方向から視たときに、温度計40の先端部が、ドア頂部32bと、凹部38の山形状の頂部38bとの間に配置されていることが好ましい。この構成によると、温度計40の摩耗や折損を防止することができるとともに、チャンバ31内を流動するゴムの温度をより正確に測定することができる。
【0050】
また、
図6に示すように、凹部38の山形状の頂部38bの長手方向の長さD2が、温度計40の直径Dtよりも長く、且つ、ドア32の長手方向の長さD1の1/2未満の長さとされていることが好ましい。なお、凹部38の山形状の頂部38bの長手方向の長さD2が、ドア32の長手方向の長さD1の1/2未満の長さとされているというのは、凹部38の山形状の頂部38bの長手方向の長さD2が、当該凹部38以外の部分の、ドア32の長手方向の長さ(=D1-D2)未満の長さとされているということである。この構成によると、チャンバ31内を流動するゴムの温度計40設置部への付着を抑制することができるとともに、ゴムの温度をより正確に測定することができる。また、シート状のゴムの巻きつきを抑制することもできる。なお、凹部38の山形状の頂部38bの長手方向の長さD2は、頂部38bの長手方向における一端から他端までの長さ、すなわち、温度計40が挿入されて固定される孔39部分を含む長さである。
【0051】
(変形例)
図2に示した実施形態のドアでは、水平方向におけるドア下端角部32aからドア頂部への0.5Lの位置でその外形が円弧から直線に変わり、0.75Lの位置で直線の傾きが変化している。円弧から直線に変わる位置は、0.5Lの位置から少しずれていてもよい。また、直線の傾きが変化する位置は、0.75Lの位置から少しずれていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1~9:外形
1a~9a:円弧
1b~9b:直線
1c~9c:直線
31:チャンバ
32:ドア
32a:ドア下端角部
32b:ドア頂部
37:排出口
38:凹部
40:温度計
100:ゴム混練機