(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】位置計測用光源の品質管理方法および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20220128BHJP
G01B 11/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G01B11/00 G
(21)【出願番号】P 2018054409
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【氏名又は名称】白井 達哲
(72)【発明者】
【氏名】遠島 未希
(72)【発明者】
【氏名】村上 貞俊
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-282018(JP,A)
【文献】特開平07-283103(JP,A)
【文献】特開平08-227840(JP,A)
【文献】特開2012-094744(JP,A)
【文献】特開平09-203615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 9/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さの異なる複数のマーク
であって、前記複数のマークが有する周期構造のピッチが同一である前記複数のマークに位置計測用光源の光を照射して、前記マークの高さと、前記マークで反射した光の強度との関係を計測し、
前記計測により取得した計測データを、前記マークの高さと、複数の波長ごとの反射光の強度との関係を表す参照データに照合し、前記位置計測用光源の波長を特定する位置計測用光源の品質管理方法。
【請求項2】
前記マークは、ウェーハまたはウェーハステージに設けられた請求項1記載の位置計測用光源の品質管理方法。
【請求項3】
位置計測用光源と、
高さの異なる複数のマーク
であって、前記複数のマークが有する周期構造のピッチが同一である前記複数のマークに前記位置計測用光源の光を照射して、前記マークの高さと、前記マークで反射した光の強度との関係を計測し、前記計測により取得した計測データを、前記マークの高さと、複数の波長ごとの反射光の強度との関係を表す参照データに照合し、前記位置計測用光源の波長を特定する制御部と、
を備えた半導体製造装置。
【請求項4】
前記参照データを記憶した記憶部をさらに備えた請求項3記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記複数のマークが設けられたウェーハステージをさらに備えた請求項3または4に記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、位置計測用光源の品質管理方法および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体露光装置は、露光用光源とは別に位置計測用光源を搭載している。位置計測用光源でウェーハに形成されたマークまたはパターンを読み取ることで、ウェーハ面内におけるパターンの位置合わせずれ量を計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、位置計測用光源の特性を評価することができる位置計測用光源の品質管理方法および半導体製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る位置計測用光源の品質管理方法によれば、高さの異なる複数のマークであって、前記複数のマークが有する周期構造のピッチが同一である前記複数のマークに位置計測用光源の光を照射して、前記マークの高さと、前記マークで反射した光の強度との関係を計測し、前記計測により取得した計測データを、前記マークの高さと、複数の波長ごとの反射光の強度との関係を表す参照データに照合し、前記位置計測用光源の波長を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(a)は実施形態に係る露光装置の構成を示すブロック図であり、(b)は実施形態に係る検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る位置計測用光源の品質管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】ウェーハステージおよびウェーハステージ上のウェーハの模式上面図である。
【
図4】実施形態に係る位置計測用光源の品質管理方法のフローチャートである。
【
図5】ウェーハステージまたはウェーハに設けられた実施形態に係るマークの模式断面図である。
【
図6】(a)はマークの高さと複数の波長ごとの反射光強度との関係を表す参照データの一例を表すグラフであり、(b)は、マークの高さとマークで反射した位置計測用光源の光の強度との関係を表す計測データの一例を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。各図において、同じ要素には同じ符号を付して詳細な説明は適宜省略する。なお、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
図1(a)は、実施形態に係る半導体製造装置の構成を示すブロック図である。
図1(a)には、例えば半導体露光装置1を例示する。
図2は、実施形態に係る位置計測用光源の品質管理装置40の構成を示すブロック図である。
図3は、ウェーハステージ100、およびウェーハステージ100上に保持されたウェーハWの模式上面図である。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係る半導体露光装置1は、露光用光源11と、位置合わせ装置20とを有する。また、半導体露光装置1は、
図3に示すウェーハステージ100を有する。
【0010】
位置合わせ装置20は、位置計測用光源30と、その位置計測用光源30の品質管理装置40とを有する。
【0011】
露光用光源11は、フォトマスクを通してウェーハWにパターン潜像を転写するための光源である。位置計測用光源30は、ウェーハWに形成された位置合わせ用のマークまたは下地パターンを読み取り、フォトマスクなどに対するウェーハWの位置合わせを行うための光源である。
【0012】
図2に示すように、位置計測用光源の品質管理装置40は、制御部50と、記憶部60とを有する。制御部50は、計測部51と、計測結果処理部52と、データベース照合部53と、波長特定部54とを有する。
【0013】
次に、
図4のフローチャートを参照して、実施形態に係る位置計測用光源の品質管理方法について説明する。
【0014】
ウェーハWまたはウェーハステージ100には、高さの異なる複数のマークが形成される。
【0015】
【0016】
マーク81は、交互に周期的に配列された複数の凸部と複数の凹部とを含む凹凸パターンである。また、マーク81は、高さの異なる複数の凸部81a、81b、81cを含む。
図5に示す例では、凸部81bの高さは凸部81aの高さよりも高く、凸部81cの高さは凸部81bの高さよりも高い。
【0017】
マーク81の高さは、凸部81a、81b、81cの高さを表す。また、マークは、凹凸パターンと、その凹凸パターンを被覆する膜とを有する構造でもよい。その場合、マークの高さは、凹凸パターンを被覆する膜の厚さとしても表すことができる。
【0018】
マーク81の高さは、位置計測用光源30の仕様波長の1/15以上1/10以下の範囲内で、3以上5以下のステップで変化している。
【0019】
図4におけるステップS1においては、ウェーハWまたはウェーハステージ100に形成されたマーク81の高さと、複数の波長ごとの回折光強度との関係をデータベース化し、参照データとして記憶部60に記憶する。
【0020】
図6(a)は、その参照データの一例を表すグラフである。
【0021】
横軸は、マークの高さを表す。縦軸は、マークで回折し反射した回折光の強度を表す。複数の波長、例えば、830nm、840nm、845nm、850nm、855nm、860nm、870nmの7通りの波長のそれぞれについて、回折光強度をシミュレーションで求めた。
【0022】
なお、この参照データは、半導体露光装置1に備わった記憶部60ではなく、外部の記憶部に記憶してもよい。
【0023】
ステップS2では、マーク81に、位置計測用光源30の光を照射して、そのマーク81で回折し反射した回折光の強度を計測する。この計測は、
図2に示す計測部51が実行する。
【0024】
そして、ステップS3において、計測結果処理部52は、マーク81の高さと、上記回折光の強度との関係をグラフ化し、計測データとして取得する。
【0025】
図6(b)は、その計測データの一例を表すグラフである。
【0026】
横軸は、マーク81の高さを表す。縦軸は、マーク81で回折し反射した位置計測用光源30の回折光の強度を表す。
【0027】
次に、ステップS4において、データベース照合部53は、計測データ(
図6(b)に示すグラフ)を、参照データ(
図6(a)に示すグラフ)と照合する。
【0028】
この照合処理を受けて、ステップS5において、波長特定部54は、位置計測用光源30の波長(例えば中心波長)を特定し、出力する。例えば、
図6(a)に示す参照データの中から、
図6(b)に示すグラフの形状やピーク波長と一致または近似するデータが抽出され、位置計測用光源30の波長を特定することができる。
【0029】
一般に、半導体製造装置に搭載された位置計測用光源は、露光用光源などに比べて高い品質管理が要求されない傾向にあった。例えば半導体製造装置のメンテナンス時に位置計測用光源を評価することは可能であったが、装置搭載後に位置計測用光源の特性を常時モニタすることは困難であった。
【0030】
これに対して、本発明の実施形態によれば、半導体製造装置のダウンタイムなしで位置計測用光源の特性を常時モニタ可能となる。例えば、位置計測用光源の波長が、仕様で定められた波長からずれていることがわかれば、そのずれをフィードバックして位置計測用光源をキャリブレーションすることも可能となる。
【0031】
また、ウェーハに形成された位置合わせ用のマークまたはパターンの加工ばらつきによっては、位置計測用光源を用いた位置合わせずれ量の計測に誤りが生じうる。この位置合わせずれ量の計測誤りの程度は、位置計測用光源の波長によって変動しやすい。計測誤りが生じにくい波長と、生じやすい波長とがある。
【0032】
そこで、実施形態のように位置計測用光源の波長を特定できれば、その波長と計測誤り量との相関関係に基づいて、計測誤りをキャンセルすることも可能である。
【0033】
以上説明した実施形態では、半導体製造装置として半導体露光装置を例示したが、半導体製造装置は
図1(b)に示すように半導体検査装置2であってもよい。
【0034】
この半導体検査装置2も、前述した半導体露光装置1と同様、位置計測用光源30と、この位置計測用光源30の品質管理装置40とを含む位置合わせ装置20を有している。そして、
図4のフローにしたがって、位置計測用光源30の波長を特定することができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
20…位置合わせ装置、30…位置計測用光源、40…位置計測用光源の品質管理装置、81…マーク、81a,81b,81c…凸部、100…ウェーハステージ、W…ウェーハ